Disc. 久石譲 『風の谷のナウシカ ハイテックシリーズ』

久石譲 『風の谷のナウシカ ハイテックシリーズ』

1989年10月25日 CD発売

1984年公開 スタジオジブリ作品 映画「風の谷のナウシカ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

「ナウシカ」のサウンドトラックを、エスニックポップ感覚で新たにレコーディング。

 

 

解説

アニメージュ・レーベル、ハイテック・シリーズは、名作アニメ映画等のサントラ音楽を新たに様々なハイテクノロジー、ハイシステム、ハイ感覚等を駆使し、作り上げた音楽である。アニメファン、サントラ音楽ファンのみならず、広く音楽ファンまでもが楽しめる作品である。

今回のコンセプトは、一つの楽器をどこまで追求できるか(音作り、音色作りと云う事において)を狙いに置いた。またアレンジの面では、今、世界で静かなブームを起こしているEsno Popの味つけをしつつ、オリジナル曲の持つ良さは失わない様作り上げた。

基本は、”YAMAHA TX 81Z”をシーケンサーとして、下記音源を鳴らした。
・YAMAHA RX5
・YAMAHA VII
・Oberheim Matrix
・AKAI S900
・KORG M1
それに
・CASIO FZ
・CASIO Guitar Synth
の2台をDrms以外のほぼ全音色に使用(単独の音ではなく、各楽器の音にCASIOの音を混ぜ合わせ使用)して、音作りに臨んだ。(フェアライトやシンクラビアの高額楽器を使用しなくてもHi-Techな音は可能である。)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

SOUND MEMO

1.風の谷のナウシカ~オープニング~
この曲では、テーマを演奏しているソプラノサックスのみが唯一生楽器である。特に印象的な音は、・シタール(曲頭部)「FZ・FL-11 SOUND OF JAPAN III」”CHIKUZEN-BIWA” 「Guitar Synth PG RC-510G」”SITAR”の音を組み合せEQ処理して作った音である。・ピアノ(インプロビゼーション部)「FZ・FL-5 JAZZ PIANO」”JAZZ PIANO 1”を他楽器に混ぜ合わせて作った音である。・効果音(ピアノソロからテーマに戻る所)「Guitar Synth PG RC-510G」”WATER RING”の音を他音と加工して作った。

2.王蟲の暴走
曲頭からのアコースティック・ギターは生音である。サウンドホール部分に紙を張り付け共鳴を押さえ、シタールぽい響きを出している。・シロフォン(A・Gの後に聴こえる)「FZ・FL-1 MARIMBA」”MARIMBA 3”の音を足してある。・Dist・Sax(インプロビゼーション部)「FZ・FL-14 SOLO VIOLIN」”OCTAVE VIOLINS”「G SYnth PG RC-510G」”DIST DG 2”等を混ぜ合せEQ、EFで過激な音作りをした。・シタール Track-1と同様の音。

3.メーヴェとコルベットの戦い
・三味線「FZ・FL-11 SOUND OF JAPAN III」”TSUGARU-SHAMISEN”の音色をメインに加工した音。・和ダイコ「FZ・FL-11 SOUND OF JAPAN V」”JAPANESE PERCUSSION”の音をEQで厚みを出した。・フルート(テーマ部)「FZ・FL-2 FLUTE」”FLUTE 2”の音を加えてある。・シタール Track-1と同様の音作り。

4.戦闘
・ブラス「FZ・Fl-3 BRASS ENSEMBLE II」”BRASS ENSEMBLE 5”を足して作っている。・ソロブラス(インプロビゼーション部)「FZ・FL-13 ROXK BRASS」”FILTER BRASS”の音を加工して付け加えた音色。・バイオリン(インプロビゼーション部)「FZ・FL-14 SOLO VIOLIN」”SOLO VIOLIN”を加えている。

5.虫愛ずる姫
・シタール Track-1と同様。・ピッチカート、ハープ(テーマ部のメロとオブリガード)「FZ・FL-10 STUDIO STRINGS III」”VIOLA/VIOLIN PIZZ”「FZ・FL-11 SOUND OF JAPAN」”KOTO”「FZ・FL-1 MARIMBA」”MARIMBA 4”「FZ・FL-12 HARP」”CHORUS HARP”等の音色を作ってメロディアスなフレーズを演奏している。

6.ナウシカ・レクイエム
・バイオリン(テーマ部メロ)「FZ・FL-14 SOLO VIOLIN」”SOLO VIOLIN”を混ぜ合せEQで音を調整し使用した。・パンフルート(コーラス部メロ)「FZ・FL-12 PIPE ORGAN II」”FLUTE FAMILY 8”を加工し混ぜ合せ、音に厚みを持たせた。・マリンバ(オブリ・ソロ)「FZ・FL-1 MARIMBA」”MARIMBA 2”を加えてある。・タブラ「G・Synth PG RC-510G」”TUBULAR”を音色加工して混ぜ合せて作ってある。

7.ペジテの全滅
・マリンバ(曲頭部、左右にPAN)「FZ・FL-1 MARIMBA」”MARIMBA 2”の音を加えてある。・効果音(パーカシブルな効果音、ベースラインとユニゾン)「G・Synth PG RC-510G」”DIGI PIANO”を加えてある。曲中のソプラノサックス(インプロビゼーション)は、生楽器で演奏。

8.腐海にて
・ガムラン、タブラ「G・Synth PG RC-510G」”TUBLA””GAMELAN”を中心にEQで音を処理して作っている。・奇妙な効果音「FZ・FL-7 ANIMALS」”ANIMALS”の音を色々と加工して奇妙な効果音に仕上げている。曲中のアルトサックス(インプロビゼーション)は生楽器。

9.蘇える巨神兵
・ピアノ、ハプシコード(曲頭部)「FZ・FL-1 HARPSICHORD」”HARPSICHORD 3”「FZ・FL-JAZZ PIANO」”JAZZ PIANO 2”等を合せて作ってある。・ストリングス(ベースとユニゾンの重量感ある)「FZ・FL-1 CELLO/VIOLIN」”CELLO 1”「FZ・FL-10 STUDIO STRINGS III」”BASS/CELLO”等、弦の音をたくさん合せて作っている。

10.鳥の人~エンディング~
ギターの音はTrack-2と同様の音作りでEQで加工している。途中からサックスのソロは生楽器。・パーカッション(全編に入っているコンガ・ボンゴ・タブラetc…)「FZ・FL-6 PERCUSSION」「G・Synth PERCUSSION」を色々と混ぜ合せ使用してある。

一応、曲中でメインで聴こえる音色について具体的に使用器材を取り上げた。今回の試みは、CASIO FZ、CASIO Guitar Synthを使用してほぼ全部の音を表現しようとしたものであるが、諸々の状況からベーシックな音等は、前出の楽器とFZ等の音を混ぜ加工してある。尚、この試みにはCASIO音楽ソフト企画部の古谷仁氏に多大な協力をいただいた。

(SOUND MEMO ~CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『風の谷のナウシカ ハイテックシリーズ』

1. 風の谷のナウシカ〜オープニング〜
2. 王蟲の暴走
3. メーヴェとコルベットの戦い
4. 戦闘
5. 虫愛ずる姫
6. ナウシカ・レクイエム
7. ペジテの全滅
8. 腐海にて
9. 蘇る巨神兵
10. 鳥の人〜エンディング〜

Produced by HIROYUKI KAMII
Arranged by KISHO YAMANAKA

ALL Song Composed by JOE HISAISHI

 

Disc. 久石譲 『魔女の宅急便 ドラマ編』

1989年9月25日 LP発売
1996年11月21日 CD発売

1988年公開 スタジオジブリ作品 映画「魔女の宅急便」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

本作品は映画本編を映像なしの音声のみで聴く作品である。BGMはもちろんセリフや効果音などもそのまま収録されている。

 

 

ものがたり

キキは魔女の血を引く女の子。とてものどかな田園の村に育ち、今年13歳になりました。魔女は古くからのしきたりで、13歳になったら一年親元を離れ修行の旅にでかけなくてはなりません。キキはそれがうれしくてうれしくてしようがありませんでした。満月の昇った晩あこがれの大都会に向けて旅立ちます。かあさんのほうきにまたがって。

キキが見つけたのは、人や車がごったがえす大きな街でした。都会にあこがれる少女にとっては願ってもない場所です。しかし思ったようにはいきません。都会での風当たりはとかく厳しいもので、大きく膨らんでいた期待感はみるみるしぼんで、すっかりおちこんでしまいました。そんな時、キキはパン屋のオソノさんに出会います。オソノさんはキキを気に入ってくれて空き部屋を提供してくれました。こうしてキキの都会での暮らしが始まったのです。

キキはさっそく商売を始めます。それは唯一の魔法、空を飛ぶ力を利用した宅急便でした。いろいろ失敗しながらも老犬のやさしさにふれたり、きさくなお姉さんウルスラと友達になったり、あるいは老婦人の真心に心打たれたりしながらキキは少しずつ成長していきます。男の子の友達もできました。トンボというその少年の破天荒な明るさは、最初キキを戸惑わせましたが、大空を飛びたいと願う少年の純粋な心が徐々にキキをうちとけさせたのでした。

ある日、キキは魔法の力を失います。ジジの言葉がわかりません。大空も飛べません。自分の取柄を失ったキキは途方に暮れ、じたばたと辛い毎日を送るのでした。そんな時ウルスラが訪ねてきて、森のログハウスにキキを誘ってくれたのです。初め気もそぞろだったキキも、いつしか笑顔を取戻し楽しい時を過ごすのでした。心がなごみキキはウルスラに自分の気持ちを打ち明けます。ウルスラは、自分にも同じことがあったと語ります。自分も苦しんだのだと・・・。

キキは少し大人になりました。

翌日、街はパニックに陥りました。夏の突風が海岸に停泊していた飛行船を舞い上げ、一本のロープにトンボ少年をぶら下げたまま街の上空に流されてしまったのです。トンボの危機をニュースで知ったキキは、トンボを救いたい一心でデッキブラシにまたがり念じます。そして、再びキキは大空へ舞い上がったのでした。

 

◆ ◆ ◆

このCDに記録されているのは正真正銘、劇場公開された《魔女の宅急便》のサウンド・トラックである。こうしてサウンドだけを抽出して聞いてみようとなさる方は、きっと映画をご覧になって体感なさった音を存分に堪能してやろうと思っていらっしゃるのではあるまいか。

さて、ここに収められているサウンド・トラックの中身とは実は、我々録音作業に携わったスタッフ一人一人の血のにじむような努力と格闘の日々の全記録なのである。ああ、たれが知る、百尺下の水の心…。(大仰な…。)そう、何を隠そう我等こそ『魔女宅に彼等あり。』とうたわれた録音スタッフ軍団なのであ~る。(ホントかよ。)

今回のテーマは”ある普通の女の子の数週間の日常”である。宮崎監督はアニメーションでは御法度(?)とされている”普通”と”日常”というテーマに真っ向から取り組み勝負を挑まれた。勿論すべてうまく運んだわけではない。話を作っていく過程でさまざまな難問が飛びだし、ご苦労も多かったようだ。画が大変となれば音もそれに比例してしっかり大変になる。我々録音スタッフは、映像に、追従するサウンドの3つの要素、Voice、Sound Effect、Musicを、あーだこーだ混ぜ合わせて、映像に対してその表現が充分発揮されるよう蔭になり日向になりしてお助けする使命を与えられていると言っていい。勿論、宮崎監督は音作りの段階でも大変熱心にその過程にかかわり表現一つ一つに対してイメージ違いがあればビシバシ駄目だしをなさる。特に、役者の声の質や表現力についての注文は厳しく、おメガネにかなうキャラクターを見付け出すのは容易なことではない。「魔女宅」では、声に対してこれまで以上に難しい注文がだされ、我々録音スタッフは、配役を決定するまでにかなりの時間を費やし、いくつもの曲折を経なければならなかった。監督が求めるキャラクターは、果たしてこの世に存在し得るのだろうか? 我々はなかなか目指す人材と接触できず、監督もさぞ気をもまれたに違いない。だがついに、ついに我々録音スタッフは、数奇石を…。姓は高山、名はみなみ、人呼んで”誰も気付かなかった意外な人物”。そう、彼女がキキとウルスラの二役をあれほど見事に演じわけてくれるとは、まさに前代未聞の珍事、とても幸運な事だったと思う。

彼女はまだ若く、役者歴も浅い。2年程続いているTVアニメで主役の少年を演じているくらいで、女の子など一度もやったことがなかったそうだ。本人も、また両親や知人にいたるまで、この役が決まったことが信じられなかったと言う。とうとうARまで一カ月と迫ったある日、我々録音スタッフな何度目かのオーディションを行い、ウルスラ役で高山みなみを呼んだのだが、我々のほうでは彼女ならウルスラでいけるだろうとにらんでいた。案の定、監督をはじめ作画スタッフのみなさんにお聞かせしたところ、大変喜んでくださり、ウルスラは高山さんに満場一致で即決定したのだった。ではなぜキキ役に? キキというのは、限りなくヒロインに近いただの娘である。この”ただ”という部分に監督は一貫してこだわっていらした。だが”ただ”という前に”限りなくヒロインに近い”という修飾語がついている。この点が非常に難しかったと言えるだろう。ところが彼女は、その壁をいとも簡単にうち砕いてくれた。ウルスラのテープを監督と共に聞いたときはっとするものがあったのだ。監督も感じられたそうだが、それは”この子をキキにすれば”という直感であった。-ともあれ高山みなみの出現は「魔女宅」の仕上がりに大きな影響を与えたと言えるだろう。今後、彼女がどんな役者に成長していくか大いに期待したい。

ところで宮崎監督はSEに対しての要求も大変熱心で細かい。何よりも自然な音を求められる。ところがこれが実にやっかいなのだ。アニメーションではそもそも音がない。まったくの無から作りあげねばならない。これは効果音を担当する者にとってはまさに力のみせどころ、が同時に限られた時間の中で、膨大な量の音を用意し、決めなければならない苦しみが伴うのである。しかもそれが自然や日常の再現となると、些細な嘘も通用しない。現実の音などいくらでもころがっているように思いがちだが、あたりまえの音というのは決して目立ってはいけないものであり、さりげなく、それでいて空間に存在感を持たせる音でなくてはダメなのである。いわゆる背景音、あるいは環境音というのは、具体性がないだけにプランを立てにくく仕上がりを予測しにくい。これが効果泣かせの由縁でもある。また、自然な動きを再現するために効果さん自身がラッシュにあわせて人や動物を演じることも多々ある。ナチュラルなサウンド作りは大変地味であるが実は、どのような音作りよりも奥が深く、幾重にも塗り重ねる油彩画を描くがごとく、丹念な仕上げが求められるものなのだ。それゆえたくさんの苦労がつきまとう。今回の効果音を担当した佐藤氏の努力は並々ならぬものであったに違いない。本当によくやってくださったと思う。雷や雨の音、カモメたちの声、都会の喧そう、床のきしみ、etc・・・・。そんなキキを取り巻く様々な音に是非耳を傾けて戴きたい。

(ものがたり/解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

魔女の宅急便 ドラマ編

DISC 1
1. 旅立ち〜海の見える街
ルージュの伝言
詩・曲・歌:荒井由実
(by the courtesy of ALFA RECORDS,INC)
2. 空とぶ宅急便

DISC 2
1. キキとトンボ
2. 元気になれそう
やさしさに包まれたなら
詩・曲・歌:荒井由実
(by the courtesy of ALFA RECORDS,INC.)

 

Disc. 久石譲 『PRETENDER』

久石譲 『PRETENDER』

1989年9月21日 発売

1989年9月21日 CD発売 N29C-703
1989年9月21日 カセット発売 N25K-703
1992年12月21日 CD発売 NACL-1506

鋭敏なエレクトリック・サウンドと生の声のミックス NY録音

 

 

INTERVIEW

Q.ニュー・アルバム『プリテンダー』のコンセプトの「原点」に戻る・・・ということについて、くわしく教えてください。

久石:
今回のコンセプトである「原点」に戻るということは、いわゆる本当の根本的な「原点」に戻るということではなく、自分が今ままでやってきた事で、例えば、『α-Bet-City』というアルバムをニューヨークでレコーディングした時、「フェアライトをこれだけ使うのはZTTかHisaishiだけだな」みたいな感じで、レコーディングしている最中にA&Mレコードやセルロイドから引き合いがきたり、自分が今までやってきた「インストゥルメンタル」、「音楽」、「世界レヴェルで通じるもの」を今回徹底して作ってみたいと思っていました。ヴォーカルものは英語詞で歌ったり、歌ってもらったし・・・。日本語だとどうしてもローカルになってしまうしね。「世界のフィールドで自分がどれだけ通用するか?」ということが一番根底にあったし、それがいわゆる「原点」ですね。

 

Q.海外のアーティストやミキサーと一緒に作り上げた今回のレコーディングのエピソード等がありましたら教えてください。

久石:
今回のレコーディングに参加してくれたミュージシャンを始め、ミキサーや各スタッフ達が日本発売とは思ってなくて、当然、世界発売・・・すくなくとも自分達の国の音楽だと思って、レコーディングに参加してくれたことが非常に嬉しかったことですね。

例えば、どのチャートを狙うのか、日本国内のチャートではなく、全米のブラコンやディスコ・チャートなのか、ポップス・チャートなのか。「どのチャートを狙うんだ」と、僕のところに親身になっていろいろと相談してくれて、「ブラコンやディスコ・チャートを狙うんだったら、良いミキサーを紹介するよ」って、いろいろ助言してくれたことが印象に残っています。

 

Q.国内とは違う環境でのレコーディングで何か変化や影響がありましたか? また、共演したアーティストやミキサーから触発されたものがありましたでしょうか?

久石:
一番は電話がかかってこないということですね。ふたつ目は、集中して音楽を創り上げられるということです。

基本的には国内でレコーディングしても同じだと思ってました。「海外でレコーディングをする」という意味は例えば、「海外でレコーディングした」ということは、もうアルバム・セールスにおいて「売りになる時代」にはならないし、それだけでインパクトがあるとも思っていないので、重要なファクターではないと思ってます。

今年(1989年)の3月にニューヨークに行って調べたミュージシャンやミキサーと知り合って、例えば、ドラムのノリ等の細かい点で、国内のドラマーが参加すると「こうなってしまう」とか、ある程度先が見えてしまう・・・海外のアーティストの場合、あるミュージシャンに参加してもらうと、その細かいリズムのノリや仕上がり具合がわかる。そういう意味では、海外でのレコーディングは必然的であったということだと思います。

根本的には海外でレコーディングしたから、今回のアルバムが出来たという気持ちはないけれど、それなりの+αはあったという感じはしています。

 

Q.『プリテンダー』で使用した主要なキーボード系、デジタル系(リズム・マシン、サンプラー、エフェクター等)の楽器を教えてください。

久石:
今回のアルバムでは、ほとんど生の楽器を多様しているし、生リズムで録ったのでシンセサイザーの使用頻度は少なめですが、使用した楽器はフェアライトIII、カーツェルやジュノー、DX7、S1000等の通常使用しているものです。

レコーディングに入る前にフェアライトIIIに全部のパートを打ち込んでおいて、本番ではそれを生の楽器に差し替えて録音しました。実際、レコードに収録されているフェアライトIIIの音や使用頻度は、全体の2~3割り程度ですね。

曲のスケッチ段階で、ドラム・パートやベース・パート等すべてを打ち込んでおいて、それは、アルバムで聴けるフレーズや曲の感じの差はあまり変わってないということは、今回のフェアライトIIIの役目としては「縁の下の力持ち」になったということになります。

 

Q.最後に読者に対してコメントをお願いします。

久石:
今回の『プリテンダー』は、自分にとっても非常に大切なアルバムに仕上がりました。「日本」という独特な土壌の中で、日本の人々に受ける(日本人に受けるという言い方も変だけど)、つまり「国内向けに日本的なものを創る」というのではなくもっと乾いた「ウェットな部分ではない部分」を出したというのがあって、そういう意味でいうと自分なりに納得するアルバム、「洋盤として納得するアルバム」に仕上がったと思ってます。

「聴き手」と「作者としての自分」の関係が「ベタベタ」したものではなく、むしろお互いに「対等」にあるような関係があって、自分の中ではとてもおもしろいチャレンジが出来たし、非常に納得したという部分があるので、その辺を感じながら聴いてもらえるとありがたいと思います。同時に、音楽的にもかなり高度な部分と、それを分かり易く噛み砕いてやている部分とがあるので、その辺がわかっていただけると幸いだし、また、本書を利用して演奏していただけると嬉しいと思います。

「ピアノ弾き語り 久石譲/プリテンダー +BEST」 楽譜所蔵インタビューより 抜粋)

 

 

【楽曲解説】 Music Commentary by Joe Hisaishi

Meet Me Tonight
この曲は古き良きアメリカ、或いはビートルズ・エイジの人々が非常に懐かしく感じるようなメロディ・ラインを意識して作りました。

都会というよりは、田舎のハイスクールの学生が彼女のことを思うというような、ノスタルジックな暖かさを含んだ楽曲です。ニューヨークでレコーディングをしている時にも、ミュージシャンが思わず口ずさんでしまうという感じで、自分達の国の音楽として受け入れられた曲です。サビのコーラスの部分が特に自分でも気に入っています。

True Somebody
これはブリティッシュ・ロック系の曲を意図して作った楽曲ですが、ベーシックなリズム・ラインにはモータウンのリズムを取り入れました。ヴォーカルに黒人のヴォーカリスト(N.David “Tigger” Whitworth)を起用しており、世界的なマーケットでも通用するような曲に仕上がっていると思います。

Wonder City
この楽曲は、7~8年前にリリースした僕のソロ・アルバムの中に収められていたものです。当時、自分でも納得いかなかった部分もありましたが、今回の再度のチャレンジでかなり納得のいく仕上がりとなりました。自分でも、とっても気に入っている曲です。今年(1989年)の2月に行ったコンサートでもこの曲は非常に評判が良かった曲です。

Maria
これはシングル用に作った楽曲で、バラードの路線を狙って作りました。僕の音楽の特徴は、メロディ・ラインが非常に器楽的だということがありますが、それを強調してみようということで、音域の広い曲になっています。『秋の夕日が落ちていく海辺・・・・』そんなイメージ。

All Day Pretender
このアルバムのタイトル『PRETENDER』が象徴するように、この曲が全体のコンセプト曲になっています。「いつも”ふり”をしている人」という意味をもったこの曲は、出だしの”モード”っぽいところからサビにいくまで、自分の中でも非常に納得した仕上がりになっています。ある意味では自分の原点的な楽曲といえます。

Manhattan Story
これは、古い新しいということではなく、スタンダードできちんとしたメロディを書きたいと思って書いたものです。都会派のメロディ・ラインを意識して作りました。

Holly’s Island
この曲は、「東洋的なメロディ・ラインとラテン的なサウンドをドッキングさせたらどうなるか?」ということを考えて作った楽曲です。アイランド的といいますか、非常にほのぼのとした感じが出ているので、自分でもとても好きな曲です。タイトルの”Holly’s”というのは、ドラマーのスティーヴ・ホリーと、「Holly Night(聖なる夜)」からきています。

Midnight Cruising
これはインストゥルメンタルの曲で、メロディも非常にクールなハードボイルド・タッチを意識して作った楽曲です。曲の中間部では、ジャズ・ワルツのような部分もあって、演奏面からいっても非常に難しいものなのですが、共演のミュージシャン達もノリにノッて素晴らしい演奏をしてくれました。

View of Silence
これはピアノとストリングス(ニューヨーク・フィルのメンバーとの共演)の楽曲です。

アルバム『Piano Stories』以来、ピアニストとしての僕は、前作品の『illusion』に引き続き、必ず最後にピアノの作品を入れていこうという意図で作った楽曲です。いわゆる映画音楽をひくるめて作ってきた、「僕なりのメロディ」というものの延長線上にあるものです。

今回はストリングス・セクションもニューヨークで録るということで、特に力を入れてアレンジをしました。「内なる情熱」というようなエモーショナルな部分が引き出せたと思います。

(【楽曲解説】 「ピアノ弾き語り 久石譲/プリテンダー +BEST」楽譜より)

 

 

「今回は「節」になるメロディーはやめようという考えがあったんです。日本のメロディーってみんな「節」でしょ? AがあってA’がきてBメロ、サビのC……という具合に分かれてて、それをビルト・アップしていく感じ。『イリュージョン』ではそれをやったんですよね。いかにも日本風のやつをやってみようと思ったから。だけど、今回はもっとシンプルなことをやりたかったんですよ。要するにリフの繰り返しでいけるようなことをしたい。非常にモードっぽくいきたい、と。日本だと1つのパターンで全曲押し切るっていうのはなかなかできないじゃない? 一度、そういうところでのメロディーのチャレンジをしてみたかったということなんです。外国の曲では当たり前のことなのに、日本では一生懸命コード変えたりとかするでしょ? 簡単に言うと、今回はできるだけ情報を整理したかった。情報量を最小限にして、ゴテゴテさせないっていう考えはありましたね。」

「「オールデイ・プリテンダー」という曲は全曲を通して「ラミシミレミラミ」というシーケンスがずっと鳴ってるんです。これはどちらかというとAmモードっぽいですよね? ところが、ベースは出だしからDの音なんです。レミファソ……といって、ラはなかなか出てこない。でも、「ラミシミ……」と鳴ってベースがDだとDのモードにも聞こえる。ベースがEに行くと、Esus4にも聞こえる。Fに行くとF△7の変形にも聞こえるし、Gに行くとG6……。基本的に要素が少ないでしょ? 右手はずっと同じだから。ベースの音が1個変わるだけで世界がパッと変わる。そういうのがやりたかったんです。「ワンダー・シティ」は最初から最後までベースが同じですからね。音が1つも変わってない。省エネの極致だね(笑)。」

Blog. 「KB SPECiAL キーボード・スペシャル 1990年1月号」久石譲連載 第2回 ドからド。それだけで作れる音楽 より抜粋)

 

 

久石譲 『PRETENDER』

1. MEET ME TONIGHT
2. TRUE SOMEBODY
3. WONDER CITY
4. HOLLY’S ISLAND
5. MARIA
6. MIDNIGHT CRUISING
7. ALL DAY PRETENDER
8. MANHATTAN STORY
9. VIEW OF SILENCE

Lyric:宇多田照實 1. 2. 3. 7.

Musicians
Steve Holly(drums)
Brian Stanley(Bass)
Paul pesco(Guitars)
Steve Thornton(Percussions)
Steve Elson(Saxophone)

Recording:Sorcerer Sound,Sanctuary Recording,RCA Studio,Wonder Station
April 1989~June 1989

 

Disc. 久石譲 『魔女の宅急便 サントラ音楽集』

久石譲 『魔女の宅急便 サントラ音楽集』

1989年8月25日 CD LP発売 ※カセットは89.8.10に先行発売

1989年公開 スタジオジブリ作品 映画「魔女の宅急便」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

映画本編で使用された全楽曲を収録したサントラ盤。高畑勲が本作では音楽演出を担当している。録音は1989年6~7月、ソロアルバムの作業で渡米していた久石の帰国直後に行われた。CDとLPのジャケットは同一。荒井由実の挿入歌2曲も収録。

 

ヨーロッパの雰囲気を出すために、ヨーロッパのエスニックや舞曲風の曲が、見事にその世界観を表現している。ダルシマ(ピアノの原型となった民族楽器)やギター、アコーディオンというふうにヨーロッパの香りのする楽器も多く使用している。久石譲は『風の谷のナウシカ』から『魔女の宅急便』までの音楽にて、当時のシンセサイザー、フェアライトを駆使・多用している。

 

 

「そうですね。架空の国ではあるけれどもヨーロッパ的な雰囲気ということで、いわゆるヨーロッパのエスニック、それも舞曲ふうのものを多用しようということは考えました」

「それはあまり意識しませんでしたけど、たとえばギリシャふうですとか、そういうニュアンスを出したというのはありましてダルシマ(ピアノの原型となった民族楽器)とかギター、アコーディオンというふうにヨーロッパの香りのする楽器をたくさん使ったりしました」

「ええ。さっきもいったように、今回は僕のほうのスケジュールがつまっていたものですから、高畑さんにはいろいろと助けていただきました。通常ですと、僕が自分で音楽監督も兼ねるわけですが、今回は時間的にむずかしかったので、高畑さんと宮崎さんが打ち合わせてどのシーンに音楽を入れるかというプランを立てて、それをもとにぼくが作曲するという形をとらせてもらったんです。宮崎さんはもちろんですけど、高畑さんも音楽にはたいへんくわしい方ですから、安心しておまかせしました」

「今回はシンセサイザーを使った曲をぐっと少なくしています。従来ですと半分くらいはシンセやほかの電気楽器を使ったりするのですが、この作品では内容もリアルなものになっていますから、全体に生の音に近づけてみました。あとはメロディーの部分で、地中海ふうのもの、それも三拍子を使った舞曲的なものが多いというのが今回の特徴でしょう。」

Blog. 久石譲 「魔女の宅急便」 インタビュー ロマンアルバムより 抜粋)

 

 

高畑
「ヨーロッパ的雰囲気をもった舞台にふさわしいローカルカラーをうちだそうということだったんです。それと、つらいところ悲しいところに音楽はつけない、とか、歌とは別にメインテーマの曲を設定して、あのワルツですが、あれをキキの気持ちがしだいにひろがっていくところにくりかえし使うとかが、音楽の扱いの上での特徴というえば特徴ではないでしょうか。はじめ、ホウキで空を飛ぶ、というのはスピード感もないし、変な効果音をつけるわけにはいかないので心配だったのですが、久石さんの音楽もユーミンの歌も、いまいったねらいにピッタリだったし、上機嫌な気分が出ていたのでホッとしているところです。」

Blog. 久石譲 「魔女の宅急便」 インタビュー ロマンアルバムより 抜粋)

 

 

 

久石譲 『魔女の宅急便 サントラ音楽集』

1. 晴れた日に…
2. 旅立ち
3. 海の見える街
4. 空とぶ宅急便
5. パン屋の手伝い
6. 仕事はじめ
7. 身代わりジジ
8. ジェフ
9. 大忙しのキキ
10. パーティーに間に合わない
11. オソノさんのたのみ事…
12. プロペラ自転車
13. とべない!
14. 傷心のキキ
15. ウルスラの小屋へ
16. 神秘なる絵
17. 暴飛行の自由の冒険号
18. おじいさんのデッキブラシ
19. デッキブラシでランデブー
BONUS TRACK
20. ルージュの伝言  歌:荒井由実 (作詞・作曲:荒井由実)
21. やさしさに包まれたなら  歌:荒井由実 (作詞・作曲:荒井由実)

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体 サウンドトラック / THE UNIVERSE WITHIN 』

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.1』

1989年5月21日 CD発売

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

~遙かなる時間(とき)の彼方へ~
久石譲が奏でる 内なる宇宙への航海!

 

1989年4月21日 CDS発売
「THE INNERS」は同作品からの先行シングルである。

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opnening Theme-Synthesizer Version)
2. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

 

『人体』そのヒューマンなるもの

『驚異の小宇宙・人体』の映像は、最新の技術を投入し、コンピュータ・グラフィックスをふんだんに駆使するなど、時代の最先端をいく要素が多分にあるのです。しかしその反面例えば精子と卵子の合体シーンなどは、卵巣に集団で飛び込んだ精子の中から一つだけが合体するわけで、まるで勝ち残りゲームを見ているようなかんじがしてとてもヒューマンな印象を受けたんです。実はこれら最新の技術が描いているのは”生命のドラマ”なのだなということに気が付き、そのような映像には、テクノロジーを駆使したコンピュータ・ミュージックだけでなく、むしろ、それに生オーケストラのサウンドや、詩情豊かなメロディラインを織り込むことによって、人体という宇宙の持つ計算されないダイナミズム、緻密さの中の壮大さというような様々な融合を表現できるのではないかと思いました。とにかくこのアルバムは、ヒューマンなイメージを頭に置きつつ作りました。

久石譲

(CDライナーノーツ より)

 

 

第1シリーズの「人体」はピアノとオーケストラを中心に構成した。実はCGが多いと聞いてテクノ系の音楽を考えていた。が、精子が卵子に飛び込む顕微鏡撮影の映像を見て考えを変えた。精子がいくつかのグループに分かれ、天の岩戸の前よろしくたむろしていた。何やら話し合っている風でもあるそれらは、どこにでもある学校のクラスを彷彿させた。そのうちに元気のいい、いわばガキ大将のような威勢のいい精子がその岩戸に突入する。が、次々に玉砕する。するとクラスによくいる眼鏡をかけたガリ勉型のひ弱な感じの精子が、するすると抜け出してすんなりと岩戸卵子の壁を突入して侵入に成功した。人間社会の縮図のような光景に感動した僕はヒューマンなアコースティックな方向に音楽を切り替えた。

Blog. 書籍「NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体3 遺伝子・DNA 6」久石譲 音楽制作ノート より抜粋)

 

 

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.1』

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opening Theme-Synthesizer Version)
2. TOUR IN CELL ~ミクロの戦士たち~
3. FANTASY ~かくも壮大なる小宇宙~
4. MYSTERIOUS LOVE ~ひと・そして・愛~
5. TRANSIENT LIFE ~うたかたの夢~
6. MICROWORLD ~10数ミクロンの遠景~
7. BIRTH ~生命(いのち)の歓び~
8. THE ORIGIN OF SPECIES ~35億年の結晶~
9. INNER VOYAGE ~内なる宇宙への航海(たびだち)~
10. MIND SPACE ~永遠の亜空間旅~
11. SYSTEM OF LIFE ~細胞60兆のめくるめく世界~
12. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

COMPOSE & ARRANGEMENT:Joe Hisaishi
PIANO:Joe Hisaishi

Producer:Joe Hisaishi

 

Disc. オムニバス 『運動会・体育祭のマスゲーム音楽集』

運動会・体育祭のマスゲーム音楽集

1989年5月1日 CD発売

久石譲が多数編曲を担当した楽曲が収録されている。
「CLAPPING MARCH “SPACE”」は作曲・編曲をした収録唯一の楽曲である。

全曲/振付・指導案つき

演奏:コロムビア・オーケストラ

 

なお、「こどものための新体操 エチュード曲集」のSIDE-Bに「クラッッピング・スペース・マーチ」が収録されたEPが発売されている。(82年4月 日本コロムビア EK-745)

マスゲーム 久石譲 クラッッピング・スペース・マーチ EP

 

「行進曲 地球へ…」(EP)にも「CLAPPING MARCH “SPACE”」は収録されている。(日本コロムビア 1980年4月1日発売 EP EK-645)

 

 

ほぼ同内容収録のLP盤2枚組もある。

「運動会・体育祭のマスゲーム音楽集」 EZ7171-2

(LP盤)

 

 

運動会・体育祭のマスゲーム音楽集

1. 若い力 作曲:高田信一 編曲:横山菁児
2. 片道航海 作曲:B.シルヴェッティ 編曲:久石譲
3. コパカバーナ 作曲:B.マニロウ、B.サスマン、J.フェルドマン 編曲:久石譲
4. CLAPPING MARCH “SPACE” 作曲・編曲:久石譲
5. 雨 作曲:G.アルケユイタ、D.パセ 編曲:若松正司
6. 草競馬 アメリカ民謡 編曲:横山菁児
7. 口笛のマーチ 白い雲 作曲・編曲:冬木透
8. ハンガリアン ダンス第5番 作曲:ブラームス 編曲:越部信義
9. エーデルワイス 作曲:R.ロジャーズ 編曲:早川正昭
10. 足音高く 作曲・編曲:越部信義
11. 喜びの歌 作曲:ベートーヴェン 編曲:横山菁児
12. 美と力のハーモニー 作曲・編曲:早川正昭
13. 春の日の花と輝く スコットランド民謡 編曲:横山菁児
14. ドンキホーテ 作曲:P.L.ジェイコブ、G.ハット 編曲:久石譲
15. レッツ・ゴー UGM 作曲:木村昇 編曲:久石譲
16. 異邦人 作曲:久保田早紀 編曲:久石譲
17. 愛のオルゴール 作曲:F.ミルズ 編曲:久石譲
18. 秋の詩 ~「四季」より~ 作曲:ビバルディ 編曲:若松正司

 

Disc. 久石譲 『THE INNERS ~遙かなる時間の彼方へ~』

1989年4月21日 Single CD発売

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

オープニングテーマとエンディングテーマを収録したシングルCD。アルバムにも同一楽曲同一ヴァージョンで収録されている。

 

(シングルジャケット)

 

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opnening Theme-Synthesizer Version)
2. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

Compose & Arrangement:JOE HISAISHI
Piano:JOE HISAISHI

 

Disc. 久石譲 『魔女の宅急便 イメージアルバム』

魔女の宅急便 イメージアルバム

1989年4月10日 CD カセット 発売

1989年公開 スタジオジブリ作品 映画「魔女の宅急便」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

それ自体が作品として成立するイメージアルバムをまず作り、サントラ制作に生かすという方法も本作で4回目。今回も充実した内容となった。「なんとなくヨーロッパ、どこか地中海あたり・・・」をイメージしながらこのアルバムは制作されている。

 

イメージアルバムとは
映画制作段階で、その作品の世界観からイメージして作られた楽曲のこと。ゆえに映画本編で使用される劇中音楽とは異なり、それはサウンドトラックに収録される。

映画をつくるうえで、音楽面でのイメージボードや絵コンテにあたるもの、それがイメージアルバムと言っていいだろう。

監督からの解説やキーワード・絵をもとに、イメージを最大限ふくらませて、音楽だけでその世界を表現しようとするジブリ映画では恒例の試み。このイメージアルバムがあるからこそ、監督と作曲者は、ラフスケッチ(曲)をもとに、映画本編のどこにどのモチーフの曲を使うかという、共通言語(音楽)で制作を進めることができる。

だからこそ、スタジオジブリ作品 宮崎駿監督の映画、そして久石譲による音楽は、どの作品もその音楽世界の完成度も高く、作品に一役も二役もかっている。

ちなみに、この過程で当然ながら、イメージアルバムから、
・曲の構成やアレンジが大幅に変更になるもの
・映画本編では使用されない未使用曲
・映画ストーリーに合わせて曲名が変更になる

こういった過程を経て、サウンドトラックに劇中音楽として、新しい息吹が吹き込まれている。ゆえに、そういった意味においても、イメージアルバムとは、映像がまだできあがる前に、音楽だけでその作品の世界観を表現した、原石のようなもの。

久石譲の場合、もちろんイメージアルバムからの未使用曲もあるが、イメージアルバム段階からの曲のクオリティーも高く、サウンドトラックと聴きくらべても、すぐにどの曲か連想できるほど、そのメロディーはイメージアルバムの時点でほぼ完成しているところがすごい。

変更になっているのは編曲や長さくらいのアレンジである。サウンドトラックでは、本編ストーリーに合わせて、音楽の尺(長さ)が変わってきたり、カット割りに合わせての編曲やフェードアウトなど、1曲まるまる聴くことはできない。

イメージアルバムにおいては、1曲1曲が音楽として構成されているため、1曲あたり4-5分、かつイントロからエンディングまで起承転結に富んでいる。これはイメージアルバム製作段階では、まだ映像ができていないことが多く、そのカット割りや映像シーンの長さもわからないという点ももちろんあるが、それゆえに1曲ごとの音楽完成型として表現されている。

イメージアルバムでは、その楽器編成も自由なため、ある意味では映画とは違った広がりや奥ゆきのある世界観を楽しむことができる。

 

こういった予備知識をもとに、イメージアルバムを聴いていくと、より一層ひとつの音楽作品として楽しめるだけでなく、いかに貴重で贅沢なアルバムであるか、ということがわかる。

映画は完成された本編が作品化されて親しまれるが、音楽においては、イメージアルバムとサウンドトラックなど、いろんな側面から作品の世界観を自由に楽しみ、それぞれのイメージをふくらませることができる。

 

イメージアルバムとは、の説明をもとにすすめる。

本作品「魔女の宅急便 イメージアルバム」から、「魔女の宅急便 サウンドトラック」への変化。
曲名をイメージアルバム → サウンドトラック の順番で明記。

  • かあさんのホウキ / 木漏れ日の路地 → 旅立ち / オソノさんのたのみ事…
  • ナンパ通り → 海の見える街(後半) / 大忙しのキキ
  • 町の夜 → 傷心のキキ
  • 元気になれそう → 仕事はじめ
  • 風の丘 → 海の見える街(前半) / おじいさんのデッキブラシ ※モチーフとして
  • リリーとジジ → 身代わりジジ
  • トンボさん → プロペラ自転車
  • 世界って広いわ → 晴れた日に… / 空飛ぶ宅急便 / ウルスラの小屋へ / デッキブラシでランデブー
  • パン屋さんの窓 → パン屋の手伝い

*サウンドトラックへ収録されなかった未使用曲:渚のデイト / 突風

 

こう並べてみるとわかりやすい。

そして曲名タイトルだけを見比べても、アレンジや長さこそ編曲されているものの、どのシーンで使われるべくイメージ作曲されたのかが明確である。そのくらい曲名タイトルがどちらも似ているというか、同じシーンや登場人物をかんたんに連想することができる。

「イメージアルバムの時点ではこのつもりだったけれど、映画本編では全く違う場面やシーン・キャラクターに使われた」というようなミスマッチは起こっていないことがよくわかる。イメージアルバムの時点で、”どのシーンにどんな曲を”ということを、監督と作曲者が入念に打ち合わせをしていることがわかる。

そして、映画本編での未使用曲が2曲しかないのも、イメージアルバムの時点で、それだけ音楽による世界観の完成度が高いことがわかる。未使用となった「渚のデイト」と「突風」もどちらも『魔女の宅急便』の世界観を表現した貴重な曲。

 

映像の絵コンテにあたる、ラフスケッチな音楽集ということで、シンセサイザーをメインに奏でられている。なかにはヴァイオリンの生楽器や、ギター、パーカッションなども登場し、そのヨーロッパ的な雰囲気を表現した楽器たちは、そのままサウンドトラックにも反映されている。

映画本編用の作り込みやオーケストレーションがされていない原石的楽曲だけに、シンプルなシンセサイザー・アレンジでありながら、そのメロディーたちが際立っていて、生き生きと、そして印象的に響いてくる。

 

ちなみに、このイメージアルバムからサウンドトラックへの曲変化をもとに、サウンドトラックのトラックリストを見ると、また別の視点で楽しめる。

それは、イメージアルバムの時点では存在しなかった楽曲、つまりは映画本編のシーンのために新しく書き下ろされた曲、それがどのシーンのどの曲なのかがよくわかる。

上記のイメージアルバム→サウンドトラックへの比較リストのなかで、曲名のあがっていない「サウンドトラック」収録楽曲である。

イメージアルバムとサウンドトラック、いろいろな楽しみ方ができる。

 

 

魔女の宅急便 イメージアルバム

1. かあさんのホウキ
2. ナンパ通り
3. 町の夜
4. 元気になれそう
5. 渚のデイト
6. 風の丘
7. トンボさん
8. リリーとジジ
9. 世界って広いわ
10. パン屋さんの窓
11. 突風
12. 木洩れ陽の路地

 

Disc. 森末慎二 『だってしょうがないじゃない / ありがとうのうた』

1989年4月10日 EP発売 LRS-2015
1989年4月10日 CDS発売 09L3-4081

1989年開催世界デザイン博覧会 『東邦ガスパビリオン』内「ファンタジーワールド」テーマ曲として、「ありがとうのうた」を久石譲が書き下ろしている。

ちなみに「だってしょうがないじゃない」は和田アキ子が歌う大ヒットナンバーのカバーである。

 

 

(EPジャケット EP盤)

 

(CDSジャケット 表/裏)

 

1.だってしょうがないじゃない
作詩:川村真澄 作曲:馬飼野康二 編曲:矢島賢
2.ありがとうのうた
作詩:冬杜花代子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『ヴイナス戦記 オリジナル・サウンドトラック』

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1989年4月10日 CD発売

1988年公開 映画「ヴイナス戦記」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

 

 

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1. メインテーマ(ヴイナスの彼方へ)
2. 青空市場 -スピトーンにて-
3. 灼熱のサーキット 歌:山根えい子
4. 愛のテーマ(For Maggie)
5. 青春の疾走
6. メインテーマ -ハウンド-(Reprise)
7. ヴイナスの風(Wind On The Venus) 歌:北原拓
8. デッド・ポイント
9. スウVS.ドナー
10. 戦場、そして残るものは・・・
11. 明日への風 歌:柳ジョージ

作曲・編曲:久石譲 (except 11.)
作詩:冬杜花代子 3. 7.

ストリングス&ホーン・アレンジ:藤野浩一 1. 3. 4. 7.

「明日への風」
作詩:平野肇 作曲:大田黒裕司 編曲:平野孝幸