Disc. 麻衣 『麻衣』 

麻衣 『麻衣』

2010年12月15日 CD発売 VICL-63695

 

久石譲の愛娘、麻衣。4際の時に、映画『風の谷のナウシカ』の中で、ナウシカ幼少時の回想シーンで流れる「ラン ラン ララ~」のメロディーを歌っていたのは彼女。その後も久石譲作品やハリーポッター作品などの活動を経て、オリジナルアルバム。久石譲が作曲・編曲を手がけているのは、(3) (9) (10)。

 

本作には収録されていないが、2012年1月からの中部電力CMにて自身が作詞作曲した「Dreamland」という曲が使用されている。中部電力公式サイトにて、同曲フルバージョンをweb限定公開している。

 

2015.4 追記
「Dreamland」は、セカンドミニアルバム『空みあげて』(2015年4月8日発売)に収録された。

 

 

麻衣 『麻衣』

1. 光の朝
2. 大きな木 ~The Giving Tree~ (キョーリン製薬グループCMソング)
3. I will be (日産スカイラインCMソング)
4. きみを守りつづける
5. 永遠の地へ
6. きみにわらい きみになく
7. 大地のはじまり
8. 月と宇宙ひっくり返っても
9. ウルルの唄 (映画「ウルルの森の物語」主題歌)
10. 心のかけら (RPGゲーム「二ノ国」(DS/PS3)主題歌)
11. 空の奇跡
12. Lullaby

「I will be」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「ウルルの唄」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「心のかけら」
作詞:鈴木麻実子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 森高千里 『ペコちゃんの歌』

2010年10月29日 CD発売 TGCS-6408 数量限定

 

不二家創業100周年記念ソング
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲 歌:森高千里

 

テンポの良いリズムで、子供から大人まで口ずさんでしまう元気なかわいい曲。ウクレレやストリングスに加えて、バンジョー、パーカッション、クイーカが使われている。

CDでは、1曲目:ボーカル 森高千里 2曲目:カラオケバージョンを不二家公式サイトでは、子供たちによる合唱バーションを聴くことができる。

 

このCDは一般のCD販売店での販売はなく、不二家洋菓子店舗、不二家ネットショップ「ファミリータウン」、2010年銀座ペコちゃんミュージアムで数量限定販売された。

 

 

不二家 ペコちゃんの歌 1

不二家 ペコちゃんの歌 2

不二家 ペコちゃんの歌 3

不二家 ペコちゃんの歌 4

不二家 ペコちゃんの歌 5

 

Disc. トロンボーン・クァルテット・ジパング 『EXPO in ZIPANG』

2010年10月27日 CD発売 OVCC-79

 

ジブリ映画の久石譲、吹奏楽の巨匠スパークの両氏による書き下ろし作品を含む ジパング的トロンボーン・クァルテット万国博覧会!!

日本を代表する管楽器アンサンブル、トロンボーン・クァルテット・ジパングの最新アルバムの登場です。今回の注目はなんといっても、日本を代表する作曲家で、ジブリ映画の音楽を担当し、今年はSMAPに楽曲提供し話題となった久石譲が、ジパングのために楽曲を提供しました! 久石らしい美しいメロディとミニマム・ミュージックが融合した大作となりました。このレパートリーの定番となってゆくでしょう。

また、吹奏楽界の巨匠、フィリップ・スパークの書き下ろしも収録。今回はミディアム・テンポの重厚でスパークらしい心地よいハーモニーを堪能できる作品となりました。

その日本とイギリスの作曲家の新作を中心に、フランスのバセット、ポーランドのセロツキ、イタリアのガブリエリ、ドイツのライヒェ、オーストリアのアルブレヒツベルガーと世界のトロンボーン四重奏の作品を集めました。世界各国を代表する楽曲を、トロンボーン・クァルテット・ジパングが見事に奏でます。まさにジパングによる世界万国博覧会!!

トロンボーン・クァルテットによる世界平和のハーモニーが高らかに響きます!

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

久石譲(1950-)
トロンボーンカルテットのための『4つのバガテル』
1:アレグロ・マルチャ・コン・アニマ
2:アレグロ・ヴィヴァーチェ
3:レント
4:アレグロ・コン・ブリオ

「4つのバガテル」は自分にとって、とても大切な作品になりましたが、4つの同じ楽器、それも低い低音のトロンボーンをどう聴かせるのか、実は作品に取り掛かるまでは不安でした。

しかし、ZIPANGのメンバーの方々の、僕の作品の出来上がりをじっくり待ってくださる姿勢と(笑)、彼らの心暖まるサウンドを聴きながら、自分なりに出来るものを作ろうと思ったのです。「バガテル」とは、作曲家がスケッチのように思いつくままに書いたり、手すさびとして書かれたもののことをいいます。そのタイトルのように、僕も、心に浮かぶ風景をできるだけそのまま音にしています。もちろん作曲家として構成など、随所に工夫を凝らしています。

彼らの音を聴くのを一番楽しみに待っているのは、きっと僕です。 (久石譲)

(CDライナーノーツより 久石譲メッセージ)

 

 

宮﨑駿監督によるアニメーション映画をはじめとする一連のフィルム・スコアで数々の受賞歴を誇り、広範な層にファンを獲得している作曲家…などと久石譲を改めて紹介するまでもあるまい。ミュージシャンへの楽曲提供やプロデュース活動のキャリアは国立音楽大学在学中に始まり、彼自身のグループによる演奏活動も恒常的に展開してきた。そのスタートラインといえるのが1970年代に一大潮流をなした”ミニマル・ミュージック”の分析と研究であり、1981年に発表されたファースト・アルバムのコンセプトにも集約的に示されている。当アルバムのために書き下ろされた「4つのバガテル」における反復音形や声部進行の書式には、”ミニマル”の語法を独自の感性を昇華してみせた作曲家の筆の冴えが感じられよう。

久石は2004年から、新日本フィルハーモニー交響楽団が新たにスタートさせた「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」(W.D.O.)の音楽監督の地位にあり、指揮者およびピアニストとして公演を率いてきた。それが契機となってジパングのメンバー(バス・トロンボーンの門脇賀智志が新日本フィル団員)との交流も始まり、この委嘱新作に結びつくこととなったわけである。  (こはた・いっせい)

(CDライナーノーツより 解説)

 

 

 

EXPO in ZIPANG

ノレ:
1. カトル・ア・カトル: 1 Fox-trot
2. カトル・ア・カトル: 2 Ballade
3. カトル・ア・カトル: 3 Blues
4. カトル・ア・カトル: 4 Vif
セロツキ:
5. 組曲 : 1 Intrada
6. 組曲 : 2 Kanon
7. 組曲 : 3 Interludium
8. 組曲 : 4 Choral
9. 組曲 : 5 Intermezzo
10. 組曲 : 6 Arietta
11. 組曲 : 7 Toccatina
バセット:
12. トロンボーン四重奏曲
スパーク:
13. リフレクション
ガブリエリ / ブラウン編
14. ソナタ
ライヒェ:
15. ソナチネ 第3番
アルブレヒツベルガー
16. ドッペルフーガ
久石譲:
17. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 1 Alla marcia con anima
18. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 2 Allegro vivace
19. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 3 Lento
20. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 4 Allegro con brio

演奏:トロンボーン・クァルテット・ジパング
メンバー:
吉川 武典(Takenori Yoshikawa)
桑田 晃(Akira Kuwata)
岸良 開城(Haruki Kishira)
門脇 賀智志(Kachishi Kadowaki)

収録:2010年6月7-9日 茨城・小美玉市四季文化館みのーれにて収録

 

Disc. Kazumi Tateishi Trio 『GHIBLI meets JAZZ ~Beautiful Songs~』

2010年7月14日 CD発売 VICL-63644

 

Kazumi Tateishi TrioによるJAZZトリオによるスタジオジブリ作品カバーアルバム

 

有名なジブリソングたちを原曲の持ち味を活かしながらおしゃれなJAZZに。いろんなシーンで重宝されている数あるジブリ・アレンジ、カバーアルバムのなかでも秀逸。

 

 

GHIBLI meets Jazz~Beautiful Songs

1. いつも何度でも(千と千尋の神隠し)
2. となりのトトロ(となりのトトロ)
3. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ)
4. Arrietty’s Song(借りぐらしのアリエッティ)
5. 海の見える街(魔女の宅急便)
6. さくらんぼの実る頃(紅の豚)
7. アシタカとサン(もののけ姫)
8. 君をのせて(天空の城ラピュタ)
9. 風の通り道(となりのトトロ)
10. ナウシカレクイエム(風の谷のナウシカ)
11. 風の伝説(風の谷のナウシカ)
12. 帰らざる日々(紅の豚)
13. カントリーロード(耳をすませば)
14. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ)
15. テルーの唄(ゲド戦記)
16. さくらんぼの実る頃 レトロバージョン(紅の豚)

 

Disc. 久石譲 『舞台 おくりびと』 *Unreleased

2010年5月29日 公演スタート

 

2008年公開 映画「おくりびと」
監督:滝田洋二郎 音楽:久石譲
出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努 他

 

第81回アカデミー賞外国語映画賞や第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞など数々の賞を受賞した映画作。その7年後を描いた物語が舞台として2010年公演される。

舞台「おくりびと」
作・小山薫堂 演出:G2 音楽:久石譲
出演:中村勘太郎、田中麗奈、真野響子、榎本明 他

東京公演
2010年5月29日~6月6日 赤坂ACTシアター

大阪公演
2010年6月9日~6月13日 イオン化粧品シアター

名古屋公演
2010年6月16日~6月24日 御園座

音楽監督(編曲):山下康介

第1バイオリン:真部裕
第2バイオリン:柳原有弥
ビオラ:生野正樹
チェロ:多井智紀
チェロ:遠藤益民
クラリネット:中秀仁

 

2008年公開映画「おくりびと」(監督:滝田洋二郎 脚本:小山薫堂 音楽:久石譲)の7年後の物語。映画版の久石譲による音楽を余すことなく舞台でも使用。音楽監督は久石譲作品の編曲(演奏会用およびCD作品)を数多くてがけている山下康介。舞台公演では舞台上および舞台袖で物語の進行にあわせた生演奏による演出で、物語のテンポ感、呼吸とリアルに連動。オリジナル版の12人のチェロから上記6人編成用に再構成された楽曲たちが奏でられている。

 

 

「おくりびと」の舞台公式パンフレットより、久石譲および山下康介のインタビューなどをまじえてご紹介。

 

INTERVIEW

作曲家・久石譲

あの「おくりびと」が舞台化されるのは個人的にも大変喜ばしい出来事です。しかも内容が「その後のおくりびと」という、発想がすごい。さすが小山薫堂さんですね。映画の撮影現場で見た滝田洋二郎監督の集中力を僕は今でも覚えています。それが世界の檜舞台までこの映画を押し上げた。そして今度は、G2さんを始めとする素晴らしいキャスト・スタッフの皆さんによって、舞台ならではの「おくりびと」が誕生することが楽しみです。音楽も生で演奏しますので、臨場感もさらに増すと思います。この舞台が、たくさんの人に愛される公演となることを心から期待しています。

 

音楽監督・山下康介

映画を優しく、温かく彩った久石譲氏の音楽が、今回の舞台では生演奏で披露される。アレンジを手掛けた音楽監督の山下康介氏に聞いた。

-”歌のない音楽劇”という演出プラン通り、全編に音楽があふれた舞台になりそうですね。

山下:
はじめは、オリジナルスコアをこの舞台用にアレンジして、録音したものを使用するのかと思っていたんですよ。それが、最初にG2さんにお会いした時に生演奏という話が出て、さらには「映画で流れる楽曲を余すところなく、すべて使いたい」ということになりまして。どの場面でどの曲を使いたいというG2さんからの意向を受けて、それぞれの場面に合わせて新たにアレンジしていきました。

-アレンジにあたって、一番大切にされたことは何ですか?

山下:
オリジナルの楽曲が持つサウンドのテイストや意図を、できるだけそのまま表現しながらも、新しく舞台のための音楽に仕上げることです。もともとはチェロ12人編成だったり、ピアノやハープなども使用していた楽曲を今回は6人で演奏するので、多少なりとも印象が変わる部分はあると思います。でもそういう物理的な違いを超えて、楽曲の持つ”本質”を引き出すことを何より心がけました。

-バンドの編成について教えてください。

山下:
バイオリン2人+ビオラ+チェロという通常の弦楽カルテットに、木管楽器1人と、チェロをもう1人加えました。この作品で欠かせないのはもちろんチェロです。同じメロディーを演奏しても、楽器が変わると印象が変わります。例えば高い音を弾いた時の緊張感や芯の強さといったものは、バイオリンで同じ音を弾いても出ないんですよ。メインテーマ「おくりびと」のメロディーはとても魅力的ですが、あの風合いはチェロだからこそ。チェロが歌うべきメロディーはできる限りチェロでと思い、ソリストを入れました。

-メインテーマは劇中、何度か登場しますね。

山下:
サントラには、タイトルに「おくりびと」とつく曲が4種類収録されていますが、今回はそのうちの2曲をベースにして使います。まずは、映画では最後に流れるリズミカルな「おくりびと~ending」を、今回は幕開けで。G2さんのアイデアですが、物語の第2章が始まることを音楽で示唆しています。そして、よりしっとりとした「おくりびと~memory」は2幕、大悟と息子との絆が深まる場面と終盤の2カ所。終盤は、物語と音楽が密接に絡む演出になっているので、大きな見どころの一つだと思います。

-生演奏ならではの”聞きどころ”は?

山下:
ミュージシャンが役者の皆さんと呼吸を合わせながら演奏しますので、その時々の掛け合いから、その場にしかない音楽が生まれると思います。G2さんの言う”歌のない音楽劇”には、そういう意味もあるのでしょう。それと、演奏する姿が見えるというのも大きいと思います。耳だけでなく、目でも音楽を感じられるのではと思っています。

(INTERVIEW ~舞台「おくりびと」公演パンフレット より)

 

 

なお、舞台「おくりびと」は舞台公演を完全収録したDVDが販売されている。舞台での生演奏という主旨もあり、サウンドトラック盤は発売されていない。

 

 

舞台 おくりびと P

 

Disc. 井上あずみ 『ジブリ名曲セレクション Dear GHIBLI』

井上あずみ ジブリ名曲セレクション

2010年5月12日 CD発売 FRCA-1221

 

井上あずみの歌手生活25周年を記念したスタジオジブリ作品の楽曲をカバーしたカバーアルバム

 

 

オリジナル主題歌を担当した「天空の城ラピュタ」や「となりのトトロ」も久石譲のアレンジとは違い、歌い直し、セルフカバーとなっている。

全曲新しいアレンジとなっているが、やはり歌声は井上あずみ。ジブリ作品のイメージが強い声だけに違和感はない。原曲のイメージを損なわず、優しく明るい軽やかな仕上がりになっている。アレンジもシンプルな生楽器を中心に上品な佳曲たち。

「千と千尋の神隠し」や「崖の上のポニョ」など近年のジブリ作品まで網羅し往年のジブリファンや彼女の美声ファンには、うれしい作品。新しいけれど、懐かしい。そんなタイムスリップを体験できるような作品。

 

 

井上あずみ ジブリ名曲セレクション

1. めぐる季節 (映画「魔女の宅急便」より)
2. となりのトトロ (映画「となりのトトロ」より)
3. もののけ姫 (映画「もののけ姫」より)
4. カントリー・ロード (映画「耳をすませば」より)
5. 世界の約束 (映画「ハウルの動く城」より)
6. 愛は花、君はその種子 (映画「おもひでぽろぽろ」より)
7. 君をのせて (映画「天空の城ラピュタ」より)
8. 風の谷のナウシカ (映画「風の谷のナウシカ」 イメージソング)
9. いつも何度でも (映画「千と千尋の神隠し」より)
10. さんぽ (映画「となりのトトロ」より)
11. やさしさに包まれたなら (映画「魔女の宅急便」より)
12. 崖の上のポニョ (映画「崖の上のポニョ」より)
13. 時には昔の話を (映画「紅の豚」より)
14. ナウシカ・レクイエム (映画「風の谷のナウシカ」より)

 

Disc. 久石譲 『ハッピー・ヴォイス』 *Unreleased

2009年4月1日 TVCM放送

 

JA共済(全国共済農業共同組合連合会)
「幸せの天使」篇

テーマ曲:「ハッピー・ヴォイス」

合唱:リトルキャロル、杉並児童合唱団

 

 

制作日誌

「フッフッフッ ハハッハハッ! ハッピー!」
仲間由紀恵さんが出演しているJA共済のCM「幸せの天使篇」、一度聞いたら頭の中でループし、虜になってしまうこの曲。4月1日から放送が始まったJA共済の新CM用に久石が書き下ろした楽曲はなんと歌入りの曲でした。リトルキャロルと児童合唱団が可愛くスマートに歌う、心あったまるハッピーな曲です。作詞は電通のライターさん。作曲の依頼を受けたときには「女性の声をいれたい」というリクエストはあったものの、ソロなのか、コーラスなのかは曲の制作状況次第という話になっていました。そこで久石はデモ音源を2パターン作曲。伴奏形も異なる2パターンが出来上がったのですが、これがどちらも捨てがたく、本人も決めかねてしまうほどに。その後、クライアントから子供の声も入れたいとのリクエストを頂き、リトルキャロルと児童コーラスの採用が決まりました。そこで最終的には2パターンの良いとこどりで新たなバージョンを作曲。デモがあがった時から社内のスタッフの頭には「フッフッフッ!・・・♥」と幸せな空気が流れっぱなしです。

さて、レコーディングを行ったのは2月14日のバレンタインデー♥スタジオにはチョコレートや焼き菓子などの差し入れが並び甘い香りが漂います。久石も到着し早速アンサンブルのレコーディングからスタート。印象的なハープのイントロと弦のピッチカートから始まるこの曲はシンプルながらも完成度の高い作品、心の底から嬉しくなってしまう不思議な力を持っている曲になりました。

スムーズに終えた録音に続いて歌のダビングがスタート。リトルキャロルの登場です。シンプルなのですが音の跳躍があり、音程を正しくとるのが意外と難しいこの旋律は彼女たちを少々泣かせました。そしてリトルキャロルの後には児童コーラスのメンバーが到着。スタジオ内はさらに和やかな雰囲気に。そんな中、ややピリッとしたスパイスを利かせているのはコーラス指導の先生方。柔らかな口調にも関わらずスパッと指摘する光景に、何故か私たちも思わず背筋を伸ばしてしまいました。その甲斐あって、出来上がりも上々、児童コーラス録りも無事終了しました。

チョコレート休憩をはさんで次はトラックダウンです。楽器の音色と2つのコーラスが響き合い、いよいよ完成!!CMにリトルキャロルに入ってもらうのも子供の声を起用するのも初めての試みでした。二つのコーラスを取り入れたことが功を奏し、子供っぽくなりすぎず、とてもハッピーな良いアンサンブルに仕上がりました!久石も「この曲は化けるかも!」と満足な様子で喜んでいました。この日のコントロールルームは制作陣に代理店の皆様などお客様でいっぱい。皆に見守られながらここにまたひとつの心温まる音楽の誕生です。

(制作日誌 ~JOE CLUB Vol.10 2009.06 より編集)

 

 

朗らかで愛らしい楽曲である。ただし合唱パートはとても緻密に交錯している。重厚ではないけれど、軽快なアンサンブルがバッグでささえている。

 

 

(CM映像より)

 

Disc. 久石譲 『Another Piano Stories ~The End of the World~』

久石譲 『Another Piano Stories』

2009年2月18日 CD発売
CD+DVD(初回限定盤)UMCK-9260
CD(通常盤)UMCK-1294

 

あのPiano Storiesから新たな物語が生まれる。話題の楽曲から新曲までを全新録にて収録。久石譲のピアノはもとより、12名のチェリスト、2台のハープ、コントラバス、マリンバ、パーカッション編成で魅了したコンサートツアーを元に新たにレコーディングされたアルバム。

 

 

【楽曲解説】

1. Woman
婦人服ブランド「レリアン」のCMテーマ曲として作曲。今作品はヨーロピアンテイストをそのままに新たな作品に仕上げた。マリンバの軽快なリズムや、ピアノとハープの織り成す旋律によってますます華やかさと洗練された都会のイメージをまとい、凛とした力強さが加わった。”欧州の街並みを背に、颯爽と歩く現代の女性像”を想起させる楽曲である。

補足)
CMに使用されたオリジナルバージョンは、オリジナル・アルバム『Asian X.T.C.』(2008)のボーナストラックとして収録されている。オリジナル版「Woman ~Next Stage~」では旋律をバンドネオンが奏でている。

 

2. Love Theme of Taewangsashingi
韓国ドラマ『太王四神記』より、スジニのテーマを書き直した。若き聡明な王が真の王へと成長する一大叙事詩の愛のモティーフとして描かれている。前世の夫であった王に恋心を抱くスジニの切ない想いをのせ、恋の行方を暗示するがごとく、哀しくも美しいメロディーが印象的である。

補足)
同作品オリジナル・サウンドトラック(2007)では、フルオーケストラ・バージョンやピアノ・ソロ、そしてシンセサイザーを絡めた神秘的なバージョンまで、多彩なアレンジにてひたることができる。それだけこのドラマ作品において重要な役割を果たしている楽曲であることがわかる。

 

3. Les Aventuriers
男女3人の愛と友情の物語、アラン・ドロン出演の仏映画『冒険者たち』(1967年)にインスピレーションを受けて作られた楽曲。冒険ならではの昴揚感と緊張感を味わえるこの曲は、久石のお気に入りでもある。5拍子が生み出す攻撃的なビートと、メロディアスな主題が交錯しながらエンディングへとなだれ込む、スリル満載な楽曲。

補足)
オリジナル版は『Piano Stories II』(1996)に収録されている。サクソフォンによる旋律、隠し味としてシンセサイザーも効果的に使われている。ノンタイアップの楽曲にもかかわらずオリジナルから13年を経てリメイクされるという稀な楽曲。楽曲解説中の「久石譲お気に入り」というのもうなずける。

 

4-6. Departures
2008年秋に公開され、モントリオール世界映画祭グランプリにも輝いた映画『おくりびと』のサウンドトラックから複数のモティーフを抜粋し、約14分の組曲に再構築。元チェリストが主人公であるこの映画と、チェロ楽曲の構想を温めていた久石が運命的に出会った。チェロの音域の広さと表現力の豊かさを最大限に活かし、主人公の心の揺れ動くままに、激しく、やさしく、時にコミカルに様々な表情を見せる。ソロチェリストとしてサウンドトラック同様、東京都交響楽団首席チェロ奏者の古川展生氏が優しくも力強く奏でている。

 

7. Ponyo on the Cliff by the Sea
2008年、日本全国に”ポニョ旋風”を巻き起こした映画『崖の上のポニョ』より、弦楽器のピッチカートが特徴的な小品。”ポニョ”のテーマが次々と様相を変えて引き継がれていく。各々の楽器の特性を知り尽くした久石ならではの手法によって、可愛らしくも爽やかな余韻をもたらしてくれる。

 

8. Destiny of Us (from Musical Turandot)
祝祭音楽劇『トゥーランドット』から、二重唱「運命は遠い日の約束」をインストゥルメンタル作品へと書きかえた。トゥーランドットとカラフが愛を交わし合う場面で、物語のクライマックスを盛り上げる。本作品にはアコースティック・ギターが参加し、他トラックとは一味違う趣向を楽しめる。

補足)
同作品は舞台上演でのみ聴くことができた、サウンドトラックも発売されていない作品である。よってここに収録されたアレンジ版でこそあれ、貴重な収録となっている。舞台を収めたDVDは発売されている。

 

9-12. The End of the World
2007年秋、ニューヨークを訪れた久石が見たものは、グランド・ゼロに向けられた人々の悲しみと祈りであった。

全4楽章から成るこの組曲は、当初「After 9.11」と名付けられていた。アメリカ同時多発テロを契機に世界の秩序の崩壊と価値観の変遷に危惧を抱いた久石が、今の時代にこそ遺さねばならない作品として書き上げた渾身の一作。世界に拡がる不安と混沌をテーマに描いた、ミニマル作曲家・久石譲の真骨頂が味わえる。

第1楽章の「Collapse」は、グランド・ゼロに着想を得て作られた。冒頭から絶えず打ち鳴らされるピアノのリズムは、後の全楽章に通ずる主要動機となり、強烈なメッセージを投げかけ続ける。チェロやハープ、マリンバのアンサンブルが主要動機と複雑に絡み合い、焦点の定まらない危うさを醸し出している。

グランド・ゼロに程近いセント・ポール教会の名を称した、第2楽章「Grace of the St. Paul」は、人々の嘆きや祈り、悲しみを題材としている。チェロソロのイスラム的なメロディーとティンパニの主要動機による対話から始まる。一転してコントラバス、ピアノ、ヴィブラフォンによるジャジーなメロディーは、調性の定まらない浮遊感を漂わせる。

第3楽章「Beyond the World」は、人々の不安や悲哀が極限まで膨張する様を描くが、同時に人間の持つ混沌としたエネルギーに対する肯定的ない見も含まれている。8分の11拍子の複雑かつ緻密に関わり合うパッセージは、常に緊迫感を持ち大きな渦となって膨らみ続ける。我々の住む世界の”向こう側”には何があるのだろうか…。コンサートツアーの後に、第4楽章「The End of The World」が付け加えられ組曲として完結。ジュリー・ロンドンの歌ったスタンダードナンバー「The end of the world」に深く感銘を受けた久石が、”あなたがいなければ世界は終わる”と歌ったラブソングを甦らせた。原詞の”you”を複数形の”あなたたち”と捉え、現代社会に強いメッセージを投げかけている。

人々の悲哀や嘆きを表しつつも、混沌とした世界の中で、力強く生きなければならない、と未来へ向けての祈りと明るいメッセージが込められている。

補足)
第4楽章にて同名スタンダードナンバーのボーカルは久石譲本人である。

この作品は間をおかずして、約半年後オリジナル・アルバム『ミニマリズム』(2009)にも収録されている。そこではオリジナルのアコースティック編成では表現できなかったと言わんばかりに、爆発するほどに解き放たけたフルオーケストラサウンドとして昇華されている。第1-3楽章までが再構築されている。ミニマルシンフォニーの大作であり、現代音楽家久石譲の芸術作品として少なくない部分を占めるエポック的作品である。

 

13. I’d rather be a Shellfish
映画『私は貝になりたい』のメインテーマ。戦争に翻弄される家族の悲劇を、ワルツの使用によって、格調高く荘厳さを持ち合わせた楽曲へと昇華させた。ドラマの壮絶な人生と絶望的な結末に相反して、音楽は人間的な優しさや愛に溢れた世界観を表現している。本作品唯一のピアノソロ。

 

14. I will be
日産スカイラインのCMテーマ曲「I will be」が、満を持して登場。娘である麻衣が作詞と歌唱で参加。その透き通った歌声は、明らかに独自の世界観を示している。16ビートによる心地よいグルーヴ感に、突如現れる8分の11拍子が絶妙な緊張感をもたらす。ミニマル作曲家久石ならではのポップスチューンだ。

(Wonder City : 本多哲子)

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

補足)は追記するかたちで併記させてもらった。

 

 

 

「今回のツアーのように12人いる場合、弦4部と捉えて4パートに分けると1パートが3人ずつ。でも、この3人というのが鬼門で、8つの和音を各パートに2音ずつ振り分けると、どうしても1人ずつ余ってしまうんです。この通常の書き方が通用せずに、やはり難しくて、どうしよう!困った!……と(笑)。これでは、あまりにも難しい書き方になってしまうので、悩んだ挙句、自分の解決策として、4人1組のチェロ”カルテット”が3組あるという考え方に辿り着いたんです。要するに、第1カルテット、第2カルテット、第3カルテットという発想で書くことによって、全く違う動きをもたせることが出来るようになった。その上で、一人一人の奏者が更に独立したり共同したりという様々な動きを見せることによって、タペストリーのように非常に細かい動きを出していこうと思ったんです。」

「やはり、前回よりも更に進化している必要がありますよね。普通、大規模なオーケストラでないとハープ2台は使わないと思うんですが、そこを敢えてこの小さい編成で取り入れ、マリンバ、ティンパニまで入ったパーカッションが2人と、そしてコントラバスを付け加え、全く新しい編成で、世界にもないスタイルでの挑戦です。」

「この曲(「The End of the World」)は、もう本当に一言で表わせば、「After 9.11」ということなんです。「9.11(アメリカ同時多発テロ)」以降の世界の価値観の変遷と、その中で、政治も経済もそこで生きている人々も、今の時代は、どこを向いてどう頑張っていけばいいのか分からなくなってしまっているんじゃないかと、最近とみに考えるようになって。今年はたくさんの作品や映画音楽を書かせていただき、監督たちとコラボレーションすることで自分を発見する楽しい作業に数多く恵まれましたが、それとは対極の、ミニマル作曲家である本来の人という立場から、自身を見つめる時期も必要であると。そして、今回の限られたわずかな時間しかない中でも、どうしてもつくらなければならないと、個人的な使命感にも似た感覚を強く感じて、書いた作品なんです。」

「実は、直前まで決定するのに苦しんでいて、やっと「The End of the World」というタイトルに決まったんです。この「The End of the World」には同名のスタンダード曲も存在して、「あなたがいないと私の世界が終わる」というような意味のラブソングです。でも、この曲のあなたを複数形でとらえ、あなたたちが存在していなければ、世界は終わってしまうといった、もっと広い意味で捉えると、たぶん今、僕が考えている世界観にとても近いんじゃないかと感じて、敢えてこの同じタイトルを用いた理由です。楽曲は、1楽章は4分の6拍子から始まり、最終楽章が8分の11拍子という、大変難しい曲。おまけに、絶えずピアノが鳴らす基本リズムがあり、それに他の楽器が絡み合う、本当に”世界のカオス”、まさに”混沌”を表現するような、アンサンブル自体がカオスになってしまうんじゃないかというくらいの難曲になってしまいました。」

「これは(「Departures」)、映画「おくりびと」のために書いた楽曲を、今回、約14分の組曲風に仕立て上げました。どちらかというとこちらの新作は、精神的な癒し、あるいは究極の安らぎをテーマにした楽曲でもあるんです。」

Blog. 「久石譲 ~Piano Stories 2008~」 コンサート・パンフレット より

 

 

「このアルバムは、どちらかというと、自分のために作った。プロなので商業的視点も必要なんだが、ヒット作だけでまとめるのは苦痛を伴う」と久石。「『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』を入れようと決心した時から、この作品は『アナザー(別物)』にしようと思った」

「『おくりびと』はもとより『ポニョ』も、実は死を描いているんですよ。『死』は僕にとっても最も大きなテーマ。人間にとっても最大の問題だと思う。そこを見つめないと、生きるってことがわからない」

Info. 2009/03/09 久石譲:アルバム「アナザー・ピアノ・ストーリーズ」発表 (毎日jpより) 抜粋)

 

 

 

 

本作品に先駆けて開催されたコンサート・ツアー『Joe Hisaishi Concert Tour ~Piano Stories 2008~』にて収録作品が多数披露されている。同コンサートから半年後にCD発売されたのが本作品である。コンサートとCDともに楽器編成も同じ。

同コンサート・ツアー期間中の空き日2008年10月21日、22日に東京の第一生命ホールにてレコーディングの一部が行われている。この時には「The End of The World」「Departures」「Woman」「Les Aventuriers」等が録音されている。また12月に追加レコーディング、ツアーでは演奏していなかった楽曲の録音が行われている。

本作品化に先駆けて行われたコンサートツアーのパンフレットにて、本作品を紐解く久石譲インタビューが収められている。なおその内容は、初回盤限定DVDに収録された久石譲インタビュー内容とも大きく関連している。

 

 

日産スカイランCM曲「I will be」については、本作収録バージョンよりも前の、2006年版がある。

 

 

 

 

久石譲 『Anoter Piano Stories』

1.Woman (「レリアン」CMソング~)
2.Love Theme of Taewangsashingi (韓国ドラマ「太王四神記」より)
3.Les Aventuriers

Departures (映画「おくりびと」より)
4.Prologue~Theme
5.Prayer
6.Theme of Departures

7.Ponyo on the Cliff by the Sea (映画「崖の上のポニョ」より)
8.Destiny of Us (from Musical Turandot) (舞台「祝典音楽劇 トゥーランドット」より)

The End of the World
9. I.Collapse
10. II.Grace of the St.Paul
11. III.Beyond the World
12. IV.The End of the World

Bonus Tracks
13.I’d rather be a Shellfish (映画「私は貝になりたい」より)
14.I will be (日産「スカイライン」CMソング)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Piano by Joe Hisaishi

(M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi)

Performed by
12 Special Violoncello / Contrabass / Marimba / Percussion / 2 Harp / A.Guitar

Recorded at
DAI-ICHI SEIMEI HALL , Victor Studio , Wonder Station

Mixed at ON AIR AZABU STUDIO

「I will be」
Vocal:Mai Piano:Joe Hisaishi
Lyrics:Mai

 

≪DVD≫ ※初回限定盤
Another Piano Stories ~The End of the World~
レコーディング風景
【収録曲】
・The End of the World ~I. Collapes~
・Woman
・Departures ~Theme of Departures~
・Ponyo on the Cliff by the Sea
・Oriental Wind  ※DVDのみ収録

・久石譲 Interview

 

 

The End of the World
Vocal: Joe Hisaishi
M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi,
Words by Sylvia Dee, Music by Arthur Kent

I will be

Vocal: Mai Piano: Joe Hisaishi
Lyrics: Mai
Drums: Yuichi Tokashiki E.Bass: Yoshinobu Takeshita E.Guitar: Nozomi Furukawa
Piano: Ichiro Nagata Latin Percussion: Motoya Hamaguchi
A.Saxophone: Takahiro Nishio, Kazuyuki Hayashida Strings: Kimata Group

12 Special Violoncello

Ludovit Kanta (Solo Concertmaster)
Nobuo Furukawa (Departures Solo)
Yumiko Morooka (12 Vc Inspector)
Akina Karasawa
Mikio Unno
Eiichiro Nakada
Yutaka Hayashi (M-2, M-8)
Robin Dupuy
Mikiko Mimori
Shigeo Horiuchi
Eiko Onuki
Takayoshi Sakurai
Keiko Daito

Contrabass

Igor Spallati
Jun Saito (M-2, M-8)

Marimba, Percussion

Momoko Kamiya
Reiko Komatsu

Harp

Yuko Taguchi
Micol Picchioni

A. Guitar

Masayuki Chiyo (M-8)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Piano by Joe Hisaishi (M-12 Music Arranged and Produced by Joe Hisaishi)

Directors:
Masayoshi Okawa (Bic-River)
Suminobu Hamada (Wonder Station)

Recording & Mixing Engineers:
Suminobu Hamada (Wonder Station)
Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Recorded at
DAI-ICHI SEIMEI HALL,
Victor Studio, Wonder Station
Mixed at ON AIR AZABU STUDIO
Manipulator: Yasuhiro Maeda (Wonder City, Inc.)
Assistant Engineers:
Masashi Okada (SCI)
Takahiro Okubo (Victor Studio)
Masahito Komori (Bunkamura Studio)
Toshiyuki Takahashi, Akihiro Tabuchi (Wonder Station)
Hitomi Joko, Mari Shinohara (ON AIR AZABU STUDIO)
Mastering Engineer: Hiroyuki Hosaka (H2 Mastering)

 

Disc. 久石譲 『Runner of the Spirit』 *Unreleased

久石譲 箱根駅伝 Runner of the Spirit

2009年1月2日 TV放送

 

2009年第85回箱根駅伝より新しいオリジナルテーマ曲を担当。
『Runner of the Spirit』初の吹奏楽作品。

 

レコーディング:
2008年12月22日、サウンドシティ(東京)
指揮:久石譲
演奏:東京佼成ウインドオーケストラ

 

本人は制作にあたりこう語っている。

「オープニングはこれから走る高揚感を、エンディングは感動を伝えるものにしたい。」

 

CD化されていない未発売曲。

 

 

2009年コンサート「久石譲ジルベスターコンサート2009」と、2010年コンサート「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート」にて、吹奏楽の原曲を、フルオーケストラでも演奏披露している。

ちょうどこの楽曲が新しいテーマ曲として使用されることになった、2009年正月を経て、同年大晦日、および翌年新年コンサートという、時期的なタイミングもあったのかもしれない。

2009年以降毎年箱根駅伝に華を添えている新テーマ曲なのでこれから定着していくだろう。そしてそれと同時にCD化してほしい作品。

 

 

追記

2014年10月22日 CD発売 COCQ-85096

 

このCD作品に初収録された。

「吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》」
Runner of the Spirit for Symphonic Band
I. オープニング Opening
II. エンディング Ending

 

もちろん久石譲名義のCD作品ではないが、オリジナル版も東京佼成ウインドオーケストラが演奏しており、スコアも忠実に再現していることから、ほぼオリジナルに近いかたちで収録されている。

オリジナル版と差異があるというのは、指揮者の違いによる楽曲のダイナミクス、テンポ、演奏表現方法という点である。パートごとに前面にフィーチャーされている楽器の違いによる印象と響きの違いと思われる。

それでも2009年発表から現時点(2014年)までに、久石譲名義として作品化されていないだけに、ほぼオリジナル版と言ってもいいくらいのバージョンがCD作品化されたことは、貴重でありうれしい限り。

 

 

2012年4月11日からショット・ミュージックによる楽譜レンタルが開始されている。もちろん久石譲によるオリジナル・エディション。

 

 

久石譲 箱根駅伝 Runner of spirit

 

Disc. 久石譲 『おくりびと オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『おくりびと オリジナル・サウンドトラック』

2008年9月10日 CD発売 UMCK-1268
2017年3月29日 CD発売 UPCY-9672

 

2008年公開 映画「おくりびと」
監督:滝田洋二郎 音楽:久石譲 出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努 他

 

 

寄稿

今や国内のみならず世界にその名を知られる映画音楽の名匠・久石譲。2007年初冬。滝田監督とは過去にもコンビを組んで多大な成果を収めている久石氏にオファーしたところ、脚本を一読して即快諾いただいた。ちょうど久石氏は2008年のコンサート・ツアーをチェロ主軸でと考えていた矢先に、チェリストを主人公に据えた映画の音楽依頼がきたことに運命的なものを感じたようだ。

映画「おくりびと」の音楽もチェロを主体としたもので、劇中曲では、若きチェリストの代表格・古川展生をはじめNHK交響楽団や東京都交響楽団の主席陣ら13名の奏でる美しいチェロの音色が映画に華を添えている。名だたる13名のチェリストが集結という他では類をみないレコーディング日には、あらゆるオーケストラのトップチェリストが不在となるため、その日、クラシック・コンサートを開催するのは不可能ではないかと思えたほど。豪華編成による迫力と情緒溢れる素晴しい演奏が響き渡った。

チェロは弦楽器の中でも、下はコントラバスから上はヴァイオリンまでと最も音域が広く、いわば万能楽器。しかもチェロでヴァイオリンの音域を奏でることで、また違った情感が深まるのだ。

ここにまた一つ、久石譲の新たな名曲が誕生した。

映画「おくりびと」プロデューサー 間瀬泰宏

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

インタビュー

音楽・久石譲

チェロはこの作品のもうひとるの主役。
まずチェロありきで音づくりをしました。

-今回の仕事は運命的な出会いだったとか…?

久石:
ええ、僕は毎年コンサートツアーをやっていて、今年はチェロを主軸において展開しようと企画していた矢先に『おくりびと』のオファーをいただきました。主人公がチェリストであり、楽団の解散によって音楽の道をあきらめるという設定から、チェロが重要な役割を占めています。そこでチェロのアンサンブルだけで映画音楽を構成しようと考えました。ピアノや他の楽器も少しは入りますが、あくまでチェロに焦点を当て、全編を流してみよう、20曲以上のメロディーすべてをチェロで演奏しようと試みたわけです。でも、やり始めたら結構難しくて苦労しました(苦笑)。とはいえ、映画自体が良くなければ音楽的なチャレンジはできません。そうした試みができたことを監督に感謝しています。

-チェロという楽器が与える効果は大きいわけですね。

久石:
そうですね。チェロは人間の肉声に近く、低い音から高い音まで、広い音域が奏でられる素晴らしい楽器です。ヴァイオリンなら普通に出せる高い音域をチェロが弾くと悲鳴のように聴こえるんです。音に力が込められ、独特のニュアンスが生まれてくる。そうした特性が、この映画の雰囲気にぴったりマッチしたのです。生きている世界の向こう側には死後の世界があり、あの世は人間の感情に決して左右されることがない。また、大悟が納棺師として生きていこうとする心の揺れも大切な見どころです。それらをゆったりしたテンポでハイポジションの音を必死に出しているチェロの演奏によって伝えられたと思います。本木さんは、本当に一生懸命練習されていました。通常、役者さんが楽器を演奏するシーンでは、顔のアップ、手のアップを撮り、最後は遠く離れた場所から撮影して、弾いている姿をはっきりと観えないように撮るんですが、本木さんは実際に本人が弾いているのではないかと思わせるほど上達されました。撮影後も練習を続けているそうで、そのうち僕のコンサートにゲスト・チェリストとして参加するかもしれません(笑)。

Blog. 映画『おくりびと』(2008) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

プロダクションノート

久石譲の運命的音楽の挑戦

本作の音楽は、今や国内のみならず世界にその名を知られる名匠・久石譲。滝田監督とは『壬生義士伝』(02)でもコンビを組んで多大な成果を収めている彼は、今回も脚本を一読して即オファーを快諾。その内容の素晴らしさはもちろんのこと、ちょうど彼は2008年のコンサートツアーをチェロ主軸でいこうと決めて動き始めていた矢先に、チェリストを主人公に据えた映画の音楽依頼があったことに運命的なものを感じたのだ。

当然、本作の音楽もチェロを主体としたもので、久石の声かけのもと日本を代表するチェリストが集結。劇伴では、若きチェリストの代表格・古川展生をはじめ苅田雅治、諸岡由美子、海野幹雄、木越洋、渡部玄一、高橋よしの、羽川慎介、久保公人、村井將、大藤桂子、鈴木龍一、堀内茂雄ら13名の奏でる美しいチェロの音色が映画に華を添えている。レコーディング日には、彼らが所属する各オーケストラのトップチェリストが不在となるため、その日、国内でまともなクラシック・コンサートを開催するのは不可能! と断言できるほど豪華メンバーの顔合わせとなった。

チェロは弦楽器の中でも、下はコントラバスから上はヴァイオリンまでと最も音域が広く、いわば万能楽器。しかもチェロでヴァイオリンの音域を奏でることで、また違った情感が深まるのだ。ここにまたひとつ、久石譲のあらたま名曲が誕生した。

さらに劇中、大悟が所属していたオーケストラの演奏シーンで指揮を執っているのは、東京交響楽団正指揮者であり山形交響楽団常任指揮者でもある飯森範親。本木のチェロ指導には、チェリストとして幅広く活躍する柏木広樹が就くなど、華やかな音楽人の参加も、特筆すべき楽しみのひとつだ。

Blog. 映画『おくりびと』(2008) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

 

舞台「おくりびと」
2010年5月29日より赤坂ACTシアター他で上演。
映画から7年後の大悟達を描く。

作:小山薫堂 演出:G2 音楽:久石譲 出演:中村勘太郎,田中麗奈 他
音楽監督(編曲):山下康介

 

映画にひきつづき久石譲が音楽を担当している。主に映画サウンドトラックにも収録されたメインテーマをはじめとした主要楽曲が使われている。

舞台では上演にあわせて舞台袖で同時進行で演奏している。編成は第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ビオラ、第1チェロ、第2チェロ。舞台のためのこの6人編成用にサウンドトラックの楽曲たちも再構成されている。

舞台「おくりびと」はDVD化もされている。

 

舞台 おくりびと

 

 

 

久石譲 『おくりびと オリジナル・サウンドトラック』

1.shine of snow I
2.NOHKAN
3.KAISAN
4.Good‐by Cello
5.New road
6.Model
7.first contact
8.washing
9.KIZUNA I
10.beautiful dead I
11.おくりびと~on record~
12.Gui‐DANCE
13.shine of snow II
14.Ave Maria~おくりびと
15.KIZUNA II
16.beautiful dead II
17.FATHER
18.おくりびと~memory~
19.おくりびと~ending~

 

All Music, Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Except M-14 “Ave Maria” Written by Giuseppe Verdi and Volgarizza da Dante

Recording & Mixing Engineer : Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Assistant Engineers : Takamitsu Kuwano (Victor Studio)
Akihiro Tabuchi (Wonder Station)
Mastered by Hiroyuki Hosaka (Hitokuchi-zaka Studios)

Recorded at Victor Studio
Mixed at Wonder Station

Musicians
Conducted by Joe Hisaishi
Solo V. Cello : Nobuo Furukawa
The★SUPECIOSA 12 Cellist : Masaharu Kanda, Yumiko Morooka,
Mikio Unno, You Kigoshi, Genichi Watanabe, Yuki Murai, Shinsuke Hagawa,
Masato Kubo, Keiko Daitou, Ryuichi Suzuki, Shigeo Horiuchi, Yoshino Takahashi
C. Bass : Iwahisa Kuroki, Koji Akaike / Flute : Hideyo Takakuwa, Kazuhiro Iwasa
Oboe : Satoshi Syoji / Clarinet : Kimio Yamane / Fagotto : Masashi Maeda
Harp : Yuko Taguchi / Piano : Ken Fujimitsu / Percussion : Toru Uematsu, Satoshi Takeshima

and more

 

Departures (Original Motion Picture Soundtrack)

1.Shine of Snow I
2.Nohkan
3.Kaisan
4.Good‐by Cello
5.New road
6.Model
7.First Contact
8.Washing
9.Kizuna I
10.Beautiful Dead I
11.Departures – On record
12.Gui‐Dance
13.Shine of Snow II
14.Ave Maria – Departures
15.Kizuna II
16.Beautiful Dead II
17.Father
18.Departures – Memory
19.Departures – Ending