Disc. V.A. 『運動会・体育祭のマスゲーム音楽集』

運動会・体育祭のマスゲーム音楽集

1989年5月1日 CD発売 CC-3394

 

久石譲が多数編曲を担当した楽曲が収録されている。「CLAPPING MARCH “SPACE”」は作・編曲をした楽曲である。

 

 

「こどものための新体操 エチュード曲集」のSIDE-Bに「クラッッピング・スペース・マーチ」が収録されたEPが発売されている。(82年4月 日本コロムビア EK-745)

 

マスゲーム 久石譲 クラッッピング・スペース・マーチ EP

 

「行進曲 地球へ…」(EP)にも「CLAPPING MARCH “SPACE”」は収録されている。(日本コロムビア 1980年4月1日発売 EP EK-645)

 

 

ほぼ同内容収録のLP盤2枚組もある。

「運動会・体育祭のマスゲーム音楽集」

1982年 LP発売 EZ7171-2

(LPジャケット / LP盤)

 

 

運動会・体育祭のマスゲーム音楽集

1. 若い力
作曲:高田信一 編曲:横山菁児
2. 片道航海
作曲:B.シルヴェッティ 編曲:久石譲
3. コパカバーナ
作曲:B.マニロウ、B.サスマン、J.フェルドマン 編曲:久石譲
4. CLAPPING MARCH “SPACE”
作曲・編曲:久石譲
5. 雨
作曲:G.アルケユイタ、D.パセ 編曲:若松正司
6. 草競馬
アメリカ民謡 編曲:横山菁児
7. 口笛のマーチ 白い雲
作曲・編曲:冬木透
8. ハンガリアン ダンス第5番
作曲:ブラームス 編曲:越部信義
9. エーデルワイス
作曲:R.ロジャーズ 編曲:早川正昭
10. 足音高く
作曲・編曲:越部信義
11. 喜びの歌
作曲:ベートーヴェン 編曲:横山菁児
12. 美と力のハーモニー
作曲・編曲:早川正昭
13. 春の日の花と輝く
スコットランド民謡 編曲:横山菁児
14. ドンキホーテ
作曲:P.L.ジェイコブ、G.ハット 編曲:久石譲
15. レッツ・ゴー UGM
作曲:木村昇 編曲:久石譲
16. 異邦人
作曲:久保田早紀 編曲:久石譲
17. 愛のオルゴール
作曲:F.ミルズ 編曲:久石譲
18. 秋の詩 ~「四季」より~
作曲:ビバルディ 編曲:若松正司

全曲/振付・指導案つき

演奏:コロムビア・オーケストラ

 

Disc. 久石譲 『THE INNERS ~遙かなる時間の彼方へ~』

1989年4月21日 CDS発売 N09C-29

 

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

 

オープニングテーマとエンディングテーマを収録したシングルCD。アルバムにも同ヴァージョンで収録されている。

 

 

(CDジャケット)

 

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opnening Theme-Synthesizer Version)
2. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

Compose & Arrangement:JOE HISAISHI
Piano:JOE HISAISHI

 

Disc. 久石譲 『魔女の宅急便 イメージアルバム』

魔女の宅急便 イメージアルバム

1989年4月10日 CD発売 32ATC-180
1989年4月10日 CT発売 25AGC-2064
1996年11月21日 CD発売 TKCA-71030
2004年9月29日 CD発売 TKCA-72741
2020年3月11日 LP発売 TJJA-10020

 

1989年公開 スタジオジブリ作品 映画「魔女の宅急便」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

それ自体が作品として成立するイメージアルバムをまず作り、サントラ制作に生かすという方法も本作で4回目。今回も充実した内容となった。「なんとなくヨーロッパ、どこか地中海あたり…」をイメージしながらこのアルバムは制作されている。

 

本作品「魔女の宅急便 イメージアルバム」から、「魔女の宅急便 サウンドトラック」への変化。
曲名をイメージアルバム → サウンドトラック の順番で明記。

  • かあさんのホウキ / 木漏れ日の路地 → 旅立ち / オソノさんのたのみ事…
  • ナンパ通り → 海の見える街(後半) / 大忙しのキキ
  • 町の夜 → 傷心のキキ
  • 元気になれそう → 仕事はじめ
  • 風の丘 → 海の見える街(前半) / おじいさんのデッキブラシ ※モチーフとして
  • リリーとジジ → 身代わりジジ
  • トンボさん → プロペラ自転車
  • 世界って広いわ → 晴れた日に… / 空飛ぶ宅急便 / ウルスラの小屋へ / デッキブラシでランデブー
  • パン屋さんの窓 → パン屋の手伝い

*サウンドトラックへ収録されなかった未使用曲:渚のデイト / 突風

 

こう並べてみるとわかりやすい。

そして曲名タイトルだけを見比べても、アレンジや長さこそ編曲されているものの、どのシーンで使われるべくイメージ作曲されたのかが明確である。そのくらい曲名タイトルがどちらも似ているというか、同じシーンや登場人物をかんたんに連想することができる。

「イメージアルバムの時点ではこのつもりだったけれど、映画本編では全く違う場面やシーン・キャラクターに使われた」というようなミスマッチは起こっていないことがよくわかる。イメージアルバムの時点で、”どのシーンにどんな曲を”ということを、監督と作曲者が入念に打ち合わせをしていることがわかる。

そして、映画本編での未使用曲が2曲しかないのも、イメージアルバムの時点で、それだけ音楽による世界観の完成度が高いことがわかる。未使用となった「渚のデイト」と「突風」もどちらも『魔女の宅急便』の世界観を表現した貴重な曲。

 

映像の絵コンテにあたる、ラフスケッチな音楽集ということで、シンセサイザーをメインに奏でられている。なかにはヴァイオリンの生楽器や、ギター、パーカッションなども登場し、そのヨーロッパ的な雰囲気を表現した楽器たちは、そのままサウンドトラックにも反映されている。

映画本編用の作り込みやオーケストレーションがされていない原石的楽曲だけに、シンプルなシンセサイザー・アレンジでありながら、そのメロディーたちが際立っていて、生き生きと、そして印象的に響いてくる。

 

このイメージアルバムからサウンドトラックへの曲変化をもとに、サウンドトラックのトラックリストを見ると、また別の視点で楽しめる。それは、イメージアルバムの時点では存在しなかった楽曲、つまりは映画本編のシーンのために新しく書き下ろされた曲、それがどのシーンのどの曲なのかがよくわかる。

上記のイメージアルバム→サウンドトラックへの比較リストのなかで、曲名のあがっていない「サウンドトラック」収録楽曲である。

イメージアルバムとサウンドトラック、いろいろな楽しみ方ができる。

 

 

魔女の宅急便 イメージアルバム

1. かあさんのホウキ
2. ナンパ通り
3. 町の夜
4. 元気になれそう
5. 渚のデイト
6. 風の丘
7. トンボさん
8. リリーとジジ
9. 世界って広いわ
10. パン屋さんの窓
11. 突風
12. 木洩れ陽の路地

 

Kiki’s Delivery Service Image Album

1.Mother’s Broom
2.Nampa Street
3.The Town at Night
4.I will be Fine
5.A Date by the Beach
6.A Windy Mountain
7.Mister Tombo
8. Lily and Jiji
9.What a Wide World
10.The Bakery’s Window
11.A Sudden Gust
12.An Alley lit by Treelight

 

Disc. 久石譲 『ヴイナス戦記 オリジナル・サウンドトラック』

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1989年4月10日 CD発売 29L2-58
1989年4月10日 LP発売 25L1-58
1989年4月10日 CT発売 25L4-58
2005年12月21日 CD発売 COCX-33509

 

1988年公開 映画「ヴイナス戦記」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

 

 

ヴィナス戦記 オリジナル・サウンドトラック

1. メインテーマ(ヴイナスの彼方へ)
2. 青空市場 -スピトーンにて-
3. 灼熱のサーキット 歌:山根えい子
4. 愛のテーマ(For Maggie)
5. 青春の疾走
6. メインテーマ -ハウンド-(Reprise)
7. ヴイナスの風(Wind On The Venus) 歌:北原拓
8. デッド・ポイント
9. スウVS.ドナー
10. 戦場、そして残るものは…
11. 明日への風 歌:柳ジョージ

作曲・編曲:久石譲 (except 11.)
作詩:冬杜花代子 3. 7.

ストリングス&ホーン・アレンジ:藤野浩一 1. 3. 4. 7.

「明日への風」
作詩:平野肇 作曲:大田黒裕司 編曲:平野孝幸

 

Disc. 久石譲 『となりのトトロ ドラマ編』

1989年2月25日 CD発売 24ATC-174~5
1992年11月25日 CT発売 TKTA-20265
1996年11月21日 CD発売 TKCA-71028

 

1988年公開 スタジオジブリ作品 映画「となりのトトロ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は映画本編を映像なしの音声のみで聴く作品である。BGMはもちろんセリフや効果音などもそのまま収録されている。

 

 

解説

『となりのトトロ』は、’88年4月、全国東宝系で公開され、大好評を博した、宮崎駿、原作・脚本・監督による劇場用長編アニメーションです。(同時上映「火垂るの墓」製作/新潮社。監督/高畑勲)

昭和30年代のはじめ、まだ自然や四季の美しさにあふれていた頃の日本の都市郊外を舞台に、11歳と4歳の姉妹と大自然の精霊・トトロとの心あたたまる交流を描いたファンタジックな内容は、それこそ大人から小さい子どもにいたるまで幅広く観客の心をとらえました。

「いま、ダサイ、クサイといわれるものの中にこそ、新しいもの、現代人が渇望していながら見失ってしまったものがある」と断言した宮崎監督のみごとな勝利といえるものでしょう。

さらにいえば「もっともナショナルなものこそ、インターナショナルになり得るのだ」という監督の言葉も、’88年8月現在香港における上映の大成功が裏付けしています。(ちなみに、香港における歴代邦画興行成績第1位は『天空の城ラピュタ』第2位が『風の谷のナウシカ』第3位は『子猫物語』。『トトロ』の最終興行成績予想では、ほぼ『ラピュタ』とならぶ。何と、これでBEST3はすべて宮崎作品となる!)

宮崎監督は東映動画を振り出しに、様々なスタジオで傑作を作ってきており、随分前からアニメーション界では伝説的に語られてきた人です。特に『ルパン三世カリオストロの城』(’79年・脚本・監督)はアニメ・アクション映画の最高峰として、いまだ人気を保っていますが、何といっても、その名がアニメーション界にとどまらず映画ファン、一般大衆にまで広く知られるようになったのは『風の谷のナウシカ』(’84年。原作・脚本・監督)においてでしょう。巨大産業文明崩壊後1000年の地球から、するどく現代における自然と人間の在り方を照射したこのSFヒロイックファンタジーは、’84年度、数多くの映画賞を獲得しました。

さらに2年後『天空の城ラピュタ』(’86年。原作・脚本・監督)でも、その並々ならぬ映画作りの腕を見せ、ついに映画界に「宮崎ブランド」を確立させました。そのいうところは、作品の質が高く、なおかつエンターテイメントであるということです。

ところで、一貫して「宮崎作品」の質が高いのは、その製作体制に秘密があります。

ふつうのテレビアニメの場合、制作費や時間的制約のため、分業が極度にすすんでおり、メインスタッフすら、別々のスタジオにいることは珍しくありません。宮崎作品の場合、メインスタッフ、原画、動画、背景、メインの仕上げにいたるまで、同じスタジオに集まります。監督と同じ土俵で、同じ目的意識を持ち、意志の疎通を計ります。なお、それぞれのスタッフが超一流であることはいうまでもありません。

さらにもうひとつ。監督の作画チェックです。自身が超一流のアニメーターだったこともあり、表情、動作、タイミングに実にきびしい、綿密なチェックが入ります。週1本制作したテレビシリーズ『未来少年コナン』でも同じだったと伝えられていますから、1年かける劇場用の場合のきびしさは、想像以上のものです。制作中、アニメーターはつらい思いをしますが、終わって聞いてみると、もてる才能のすべてを燃焼した満足感を語るアニメーターが多くいます。

ところで、『となりのトトロ』は『ナウシカ』『ラピュタ』の後、作られたわけですが、じつは、監督のもともとの発想は10年も前のことです。そのときの仮題は『所沢のオバケ』。『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』などのメインスタッフとして活躍していたころのことです。「なぜいつも、外国を舞台に、外国の子どもを主人公にしなければならないんだろう」という素朴な疑問がその出発点だったといいます。

そうして数多くのイメージボードを自ら描いたもですが、一見ジミに見えるこの企画は、とても通らなかったのです。あるいは時期が早かったのかもしれません。しかし、その後、10年間ひそかに温めつづけ、そして10年前よりさらにウデの上がった監督自身によって作られたこの作品は、むしろ幸運だったかもしれません。

(徳間書店「アニメージュ」編集部 亀山)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

1000-203本体22

DISC 1
1.さんぽ
2.五月の村

DISC 2
1.風のとおり道
2.となりのトトロ

 

Disc. 久石譲 『ゾイド2 -ゼネバスの逆襲- 音楽集』 ※非売品 *Unreleased

1989年 CDS PCDLZ-1002 非売品 Not for Sale

 

ファミリーコンピューター用ゲームソフト「ゾイド2 -ゼネバスの逆襲-」
音楽:久石譲 編曲:浅倉大介

 

 

 

ゾイド2 ゼネバスの逆襲 久石譲

1. メイン・テーマ
2. 地上移動のテーマ ~ 海上移動のテーマ
3. 戦闘のテーマ ~ 空中偵察のテーマ ~ 空中戦のテーマ
4. 道標のテーマ ~ 地下通路のテーマ ~ クックの街のテーマ ~ 水中のテーマ ~ 廃墟の村のテーマ
5. ヘリックⅠ世のテーマ ~ 共和国の街のテーマ ~ 共和国首都のテーマ
6. 帝国軍要塞のテーマ ~ ゼネバス皇帝のテーマ
7. エンディング・テーマ

音楽:久石譲 編曲:浅倉大介

Disc. 久石譲 『冬の旅人』

1989年1月10日 EP発売 N07E-702
1989年1月10日 CDS発売 N10C-702

 

フジテレビ系ドラマ「華の別れ」主題歌『冬の旅人』

 

作曲はもちろん、久石譲本人による歌唱楽曲である。1988年12月21日発売、オリジナル・ソロアルバム「illision」からのシングル・カットである。アルバム版とシングル版では歌詞が異なっている(作詞家は同じ)。

カップリングにはオリジナル・ソロアルバム「Piano Stories」より、「Green Requiem」が収録されている。これは映画「グリーン・レクイエム」のメインテーマ曲を、ピアノソロ作品にアレンジしたものである。

 

ちなみにTVドラマ本編BGMでは、「冬の旅人」アコースティックなインストゥルメンタルver.(未音源化)や、「A Summer’s Day」「Green Requiem」などオリジナルソロアルバム『Piano Stories』から複数の楽曲が使用されている。「illusion」(同名アルバム曲)も使用されている。

 

 

冬の旅人 LP corect

(EPジャケット)

 

1.冬の旅人
作詞:松本一起 作曲・編曲:久石譲 歌:久石譲
2.Green Requiem (Instrumental)
作曲・編曲:久石譲 ピアノソロ:久石譲(「Piano Stories」より)

 

Disc. 久石譲 『(MAZDA GRANZ)CM音楽』 *Unreleased

1988年 CM放送

 

「マツダ グランツ (MAZDA GRANZ)」のCM音楽。曲名不明。

硬質なフェアライトサウンド。前衛的なリズムを貴重に構成された楽曲で、パーカッションやサンプリングボイスが入り乱れた楽曲。未音源化楽曲。

 

(CM映像より)

 

Disc. 久石譲 『ヴイナス戦記 イメージアルバム』

久石譲 『ヴィナス戦記 イメージアルバム』

1988年12月21日 CD発売 32L2-41
1988年12月21日 LP発売 28L1-41
1988年12月21日 CT発売 28L4-41

 

1988年公開 映画「ヴイナス戦記」
監督:安彦良和 音楽:久石譲

 

 

【楽曲解説】

1.ヴイナスの彼方へ
愛と美の女神の地-ヴイナス。しかしその素顔は冷たく、人々の争いにも救いを与えてはくれない。激しい戦闘のあいまに、ひとときの安らぎを得ようとするヒロインたちの、悲しさをおびた旋律が盛り上がり、そしてまた無情な戦斗の彼方にかき消されてゆく。それでもヒロは走り続けるのだ。ヴイナスの明日は、一体どんなものとなるのか、果たして彼らはそれを戦いとれるのだろうか。

2.灼熱のサーキット
明るいエイトビートにのせ、力強い女声ヴォーカルが、ローリング・ゲームに賭けるヒロたちを唄い上げる。そしてまた、戦場へと世界は移っても、生命を賭けて疾走する彼らの若さが、激しくそして鮮やかな事に少しの変わりはないと。-…熱いものが、ほしいんだ。なにか、熱いものが… それを見つけるためにとび出してゆくヒロ。その後ろ姿にきらめくものは、希望と呼んで良いのだろうか。それを見た者は誰でも、彼を追おうとするだろう。

3.青空市場
大地に根づいた人類のいとなみを感じさせる土着的なリズムは、そのたくましさをも表しているといえよう。特に前半の明るい広がりは、人々の希望を思わせ力強い。そして、後半の金属質な旋律により、のしかかっている現実-すなわち政治的背景の存在を暗示し、日常にひそんだ不安をかいまみせるのである。

4.イシュタルの襲来
響く重低音とそれにかぶる不気味な高音は、重爆撃機の襲来と警報を表しているようだ。雨のように注ぐ爆弾、そして降下する重戦車隊に、街は制圧させてゆく。破壊と死、残るものは絶望ばかりか。そんな凄まじさを不協和音がいっそうあおりたてる。その唐突な終結は、不安なヴイナスの惑星としての未来をすら感じさせる。

5.愛のテーマ(For Maggie)
スローテンポのイントロが、ぎこちないヒロとマギーを映し出す。せつない主旋律は酸っぱいような想いをいっぱいにあふれさせ、ヒロを包み込み支えようとするマギーのおさない母性を感じさせる。激情のままに抱き合っても、心の中心部にはもっと真剣な想いのあふれる二人を、まるでヴイナスが見守っているような、詩情豊かなメロディが広がる。

6.青空の疾走
イオシティを疾走するヒロとバイク。街は頽廃の色から荒廃へと変わろうとしている。人々の不安があたりに満ちるなか、ひたすら走るヒロの目には、絶望しか映らぬようにさえ見える。いや、そんなことはない。何か、何かが起こるはず。その何かこそが、自分をぶつけられるもののはず。いらだちを交えたヒロの疾走を、アップテンポで追う。

7.スウのテーマ
軽いタッチのポップなリズムに、ちょっと散りばめられたのは、大人の女の妖しい気分? 自由奔放で目立ちたがりで、キャリアウーマンのツッパイも一人前。そんなスウがヴイナスにやってきた。スウにとっては戦争だってワクワクのもとだ。けれど、スウだって本当は楽しいことが大好きの明るい純情っ子。軽快なメロディに、スキップしている彼女が見えるようだ。

8.ヴイナスの風(Wind On The Venus)
ロック調のメロディにのせ、迷いながらも前進を続けていくヒロを唄う。負けず嫌いな性格が、いつしか自分ばかりでなく、回りの皆をひっぱって行く程の大きな力となってゆくのがよくわかるだろう。ヴォーカルの繊細さが、ヒロのナイーブさを上手く見せてくれているようでもある。

9.イオ・City
炎と氷、極暑と極寒。この二つの顔をもつヴイナスは、美しさと、すさまじい嫉妬をあわせもつ、きまぐれな女神のようだ。そして、二つのはざまの黄昏地でしか生きることができないヒロたちは、いつも同じ表情の太陽しか知らない。きらめくようなピアノが夜を教えても、見上げる空は薄明…。それでも時間だけは動いてゆく。この眺めが変わらないように、ヒロたちの明日もただ過ぎてゆくのだろうか。空の広がりの壮大さに、悲しみを含ませるような弦が美しい。

10.燃える戦場
緊迫したリズムが、初陣のヒロをふるえさせる。敵重戦車”タコ”の前進の響きが地をゆるがす。巨大な”タコ”を向こうに回し、大口径ミサイルや滑空砲をかいくぐり、戦闘バイクを操るヒロの指がトリガーにかかる。-撃つんだ!! 弾倉が空になるまで!! 40ミリライフルが火を吹き、部厚い”タコ”の胴体にくい込んでゆく。少年たちの歓声が、ヒロにきこえる。閃光と轟音をふくれあがらせ-”タコ”が死んだ。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

 

久石譲 『ヴィナス戦記 イメージアルバム』

1. ヴイナスの彼方へ
2. 灼熱のサーキット
3. 青空市場
4. イシュタルの襲来
5. 愛のテーマ(For Maggie)
6. 青春の疾走
7. スウのテーマ
8. ヴイナスの風(Wind On The Venus)
9. イオ・City
10. 燃える戦場

作曲・編曲:久石譲
作詩:冬杜花代子 2. 8.