Disc. 久石譲 『Girl』 *Unreleased

1994年 TV放送

 

1994年2月19日~3月19日 全5話
フジテレビ系 ボクたちのドラマシリーズ
「時をかける少女」
原作:筒井康隆 音楽:久石譲 出演:内田有紀 袴田吉彦 河相我聞 他

 

 

メインテーマ曲「Girl」

オープニング・バージョンは、女性ヴォーカルによるメロディと久石譲特有のデジタルサウンドの融合による。本編BGMバージョンとして、ピアノソロ・ヴァージョン、ピッツィカート・バージョン、アコーディオン・ヴァージョンなどが存在する。

本作品に使用されたメインテーマはオープニング含む全ヴァージョン、CD化されていない。

 

久石譲セルフカバー作品『MELODY Blvd.』にて「Girl」もアレンジ収録されている。こちらのヴァージョンでは女性ヴォーカルから男声ヴォーカルになっているが、パートによっては女性ヴォーカルも登場する。アレンジや楽器含めオリジナル版に近いサウンドにはなっている。

 

 

本編BGMについて。「Girl」以外に書き下ろされた曲はないと思われる。BGMとして使われたのは久石譲が手がけた他作品からの転用である。

映画「はるか、ノスタルジィ」
映画「ふたり」
映画「あの夏、いちばん静かな海。」
映画「Sonatine」
映画「水の旅人 -侍Kids」
映画「魔女の宅急便」
映画「紅の豚」
ソロアルバム「I am」より Sunny Shore
ソロアルバム「PRETENDER」より VIEW OF SILENCE
NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体 THE UNIVERSE WITHIN」
NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体II 脳と心/BRAIN&MIND」

これらのサウンドトラック盤収録曲から使用されている。

 

 

またドラマ映像も作品化されてはいないが、全5話を120分に編集した総集編としてVHS発売された。

 

1994年9月21日 VHS発売

「時をかける少女 Special Edition」

時をかける少女 Girl

(VHS)

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体II 脳と心/BRAIN&MIND サウンドトラック Vol.1』

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体II 脳と心/BRAIN&MIND サウンドトラック Vol.1』

1993年12月17日 CD発売 MRCA-20030

 

1993年放送 NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体II 脳と心」
音楽:久石譲

 

「感性のサウンドに導かれた、はるかなる脳宇宙への旅路」

 

 

Brain and Mind
By Joe Hisaishi

Don’t you change your way
Don’t you change your mind
Brain and Mind
Forever

Standing on the earth
And we can tell this dream
when it’s all too late
Don’t break my heart

Ah! you can change your world
You can change your life
Brain and Mind
Forever

 

 

「そうそう。ああなってしまうと、一歩間違えるとヒューマン・ドキュメントになってしまって、科学番組にならない。実際、そういう傾向があったんでね。前回は非常に科学番組的なニュアンスが強かったんで、音楽はヒューマンに攻めた。だけど、今回はヒューマン・ドラマになってる分だけ、音楽は非常に引いてね、もっと違ったアプローチでいこうと。ただ端的に言っちゃうと、クールな気持ちっていうかね、突き放したアプローチっていうか。そういう方が多分、良くなる。もうひとつ言うと、”脳と心”っていうテーマの今回の方がウェットな分だけ、音楽は非常にドライなアプローチでいこうというのはありましたね。」

「ええ、他の仕事との絡みもあって。もうこのままロンドンで、それこそソロ・アルバムとの絡みもあったんで、とにかくロンドンでやろうと。そういうことが基本にあったんで。逆に、変に日本人的情緒に流されないで済むから、きっといいものができるだろうっていうのもありましたね。実際の話、向こうに行って……日本の音楽レコーディング業界とその状況と、ロンドンのレコーディング状況ってやっぱり違うんですよね。日本は、もうどうでもいいものまで全部デジタル、デジタルって言ってる。でも向こうはまだデジタル・レコーディングって、ほんとに2割か3割だから。だから、ヒューマンな味っていう意味で言うとね、逆に内容が非常にハウス的であったりとかいろいろしてても、アプローチとしての音の肌触りは暖かい方がいいんで、あえてアナログで全部通すとかね。そういうような方法は、いろいろ細かくやりましたね。」

「基本的には、アルバムとしてまずキチンと聴けることっていうのがありますね。音楽的にまずしっかりしていること。それからもうひとつ、ファンタジーっていうか、いろんなことを想起できるような内容にするっていうことですか。その2点にすごく気を付けてますね。だから、例えば今回の場合は、いかにもNHKというようなヒューマン・ドキュメントみたいなものよりは、自分の部屋で、自分の感覚でかけたいバックグラウンド・ミュージックとして成立するようにするっていうことに気を付けたんですよ。それこそ、そのまま”人体”って言っちゃったら、なんか「人体だ? どんくさいなぁ」みたいな感じがするけど、”BRAIN&MIND”っていうことでひとつの環境……バックグラウンド・ミュージックっていうふうにとらえても、絶対聴けるものをっていうのはすごく意識して作りました。そのくらいやらないと、前回と変化がないですしね。」

「やっぱりこのアプローチで良かったなっていう気がする。そうしないとけっこうベタベタした関係になっちゃうと思うんですよ。前回みたいなね、ヒューマンな音楽が入るとね。だから、このくらいのアプローチをしておいて、ちょうど全体が良くなった。僕が作った音楽と映像がけっこうよく絡んでるんで、すごく満足してますけどね。」

Blog. 「キーボード・マガジン 1994年4月号」久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

第2シリーズ「脳と心」は、ヒューマンドキュメントとしての側面が強く打ち出されていて、それぞれ6作の内容が脳に障害を持った人たちを主人公にしていて、科学的な解明とそれをどう乗り越えていったかを丁寧に描いた力作だった。そこで僕は内容自体がヒューマンなぶんだけ、音楽的には客観性を持たせるためハウスミュージック的なリズムを全面に出した音楽を作った。感動的な内容に感動的な音楽をかぶせるほどつまらないものはないからだ。オープニングの不可思議なボーカルも僕自身である。

Blog. 書籍「NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体3 遺伝子・DNA 6」久石譲 音楽制作ノート より抜粋)

 

 

1999年4月28日 CD発売 PCCR-00302

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 [人体Ⅱ] サウンドトラック Vol.1 & 2 脳と心(2CD) として再発売された。

 

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体II 脳と心/BRAIN&MIND サウンドトラック Vol.1』

(2CDジャケット)

 

 

1. BRAIN&MIND 未知の秘境へのいざない
2. NEW GENERATION 未来人への予感
3. MEMORIES OF… 鮮やかな記憶の残照
4. PRINCIPLE OF LOVE やさしさの芽生え
5. WHY DO THE PEOPLE 長い旅路の果て
6. GONE TO SCIENCE 時空を越え、憧憬を求めて
7. IMAGINATION FACTORY 魔術師たちの部屋
8. MYSTERIOUS NEURON きらめく神秘の世界
9. NATURAL SELECTION 消えゆくものたちへの挽歌
10. ETERNAL HARMONY ひらめきの瞬間
11. EMOTION 永遠の春

Compose & Arrangement:Joe Hisaishi
Producer:Joe Hisaishi

Singer:Jakie Sheridan , Without Sugar
Guitar:Clen Clempson

Synthesizer Operator:Peter Wielk , Blue Weaver

Recording Studio:
Battery Studios (London)
Matrix Studios (London)
The Townhouse
Wonder Station

 

Disc. 久石譲 『君だけを見ていた』

久石譲 『君だけを見ていた』

1992年3月4日 CDS発売 TODT-2810

 

1992年放送 フジテレビ系ドラマ「大人は判ってくれない」

オープニング・テーマ曲「君だけを見ていた」
エンディング・テーマ曲「Tango X.T.C」

 

 

両A面シングルとして発売された。「Tango X.T.C.」は約1ヶ月前にリリースされたオリジナル・ソロアルバム『My Lost City』収録と同曲である。

「君だけを見ていた」はファンのあいだでも人気の高い幻の名曲である。幻と言われる所以は、このシングル盤しか存在せず、アルバム等には未収録楽曲だからである。またオリジナル版のみならず、リアレンジなどでも収録はなく、唯一コンサートDVDにて久石譲ピアノ・ソロ・ヴァージョンを聴くことができる。

そのピアノ版をも今となっては貴重な記録となっている。

 

 

 

 

 

 

久石譲 『君だけを見ていた』

1.君だけを見ていた
2.TANGO X.T.C.

「君だけを見ていた」
Joe Hisaishi:Paino & SYnth.
Kisyoshi Hiyama:Chorus
Fujimaru Yoshino:Guitar
Fumihiko Kazama:Accordion
Masatsugu Shinozaki:Strings
Recorded at
Wonder Station, Tokyo
Hitokuchizaka Studio, Tokyo

「Tango X.T.C.」
Joe Hisaishi:Piano & Synth.
Richard Galliano:Bandonéon
Phil Todd:Sax
Chris Laurence:Bass
Recorded at
Abby Road Studio, London
Studio Guillame Tell, Paris

 

Disc. 久石譲 『My Lost City』

My Lost City

1992年2月12日 CD発売 TOCT-6414
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25122

 

1920年代、アール・デコの時代にインスピレーションを抱いた会心作

ロンドンのストリングス、パリのバンドネオン、最高の音楽を求めて
久石譲のピアノは、1920年代を、そして世紀末を彷徨った。

 

 

Prologue
僕にとってのピアノとストリングス、それは永遠に彷徨う旅人の心を歌うには最も相応しい形態だ。
新しい旅の始まり。

漂流者 ~Drifting in the City
都市の漂流者。行く場所さえない心のさすらい人。
「彼は自分の身勝手さを重々承知しながらも芸術家になるための戦いから身を退くことができず、
そのせいで彼の人生は何処か悲劇的気高さを帯びるに至ったのである。」

1920 ~Age of Illusion
バリエーション、音の変奏、それはうつろいゆくもの。
映画のカメラで言えば、特徴を使って絶えず移動するようなもの。
交通機関と一緒で都市と都市の間を結ぶ、移動祝祭空間だ。
そしてテーマは、主役、立ち止り確認すること。音の都市なのだ。
テーマからテーマへ、人から人へ、絶えずうつろい行く、それがバリエーションだ。
そこには予想もつかない未来のように、スリリングな展開となる。

Solitude ~in her・‥
それは不可能な試みだった。芸術行為とは自我の放出だ。
発生する自我と放出される自我のバランスを常に一定に保つことなど不可能なのだ。
実現不可能な目標に向けてなされる超人的努力の行き着く先は、精神と肉体の崩壊だ。

Two of Us
幸せの時は流れて・‥Floating

Jealousy
人はえてして合い反する感情のなかに自分の身を置く。
優しさ────傲慢さ センチメンタリズム────シニシズム
楽天性────自己破壊への欲望 上昇志向────降下感覚
そんな合い反する感情の向かう先は…

Cape Hotel
リビエラ、ジェラルド・マーフィとセーラ・マーフィの夫婦は何を考えていたのだろうか?
サティの作品は文学的に縛られていたのだろうか?
表層的な都市で育つ音楽はその資源的な根を絶たれる。
明快で表面のみからなる音楽は文学的な表現とは違う土壌にある。

狂気
目標を達成することで自分を駆り立てていた悪霊を統御できるはず。
自己を証明することによって平安を得られる。

冬の夢
魂の孤独な旅、寒い「氷の宮殿」を抜けて何処へ行くのか?
人は様々な感情のなかで成功と失敗を繰り返して、何処へ行くのか?
シューベルトの「冬の旅」から「白鳥の歌」には深い人生への慈愛と悲しみに満ちている。

Tango X.T.C.
なぜ1920年代のタンゴはセンチメンタルなのか?
ブエノスアイレスは。世紀末から都市化されたのであり、ニューヨークとほとんど同じなのだ。
とすれば20年代に置いてこの都市は
大自然の平原から引き抜かれた根なし草の悲哀を味わっていた
パンパ────ブエノスアイレス────パリ、これはタンゴの道そのものだ。
20年代のタンゴには草原から切り離されて、
再び戻ることのできない都市生活者の悲しみが響いている。

My Lost City
彼を描くのが目的ではない。
彼を通して自分を見つめるのが目的なのだ。
それはあたかも意志を持った鏡のように(彼と僕が同じだということ、又は似ている事ではなく)
そこで乱反射されたものを受けとることなのだ。
つまり僕が彼という鏡を通して写る姿を見たときまで見えなかった自分が
写しだされるかも知れないのだ。
そこは何処までも果てしなく続くビルの谷間ではなかった。
そこには限りがあった。
想像の世界に営々と築き上げてきた光り輝く宮殿は、脆くも地上に崩れ落ちた。

久石譲

 

 

アビーロード・スタジオでの録音、深い絆で結ばれたマイク・ジャレット(エンジニア)、チェロ版ナウシカ組曲などでも有名な藤原真理(チェロ)による「Two of Us」「冬の夢」、リチャード・ガリアーノ(バンドネオン)による「Jealousy」「Tango X.T.C.」、そして久石譲の決意表明にして渾身の名曲「漂流者 -Drifting in the City」。最高の音楽を求めて、当時できうるすべてを注ぎこんだ作品。

当時の久石譲が純度高く封じ込まれている本作品は、当時の著書にも詳しく書かれている。1920年代という時代について、MY LOST CITY・漂流者というキーワードやコンセプトについて、バンドネオンやタンゴへのこだわりについて。

「漂流者—Drifting in the City」の出だしの音型を決めるのに10日以上悩んだとあるとおり、人に受けようとするのではなく、自分が納得するものを追い求めた決意表明のようなもの渾身の楽曲。非常にシンプルなメロディで8分も展開していくための厳選されたメロディ、出たしからその世界観が広がるような強いメロディ。

当時久石譲はこのように語っている。「華やかでなくて、でも優しくて、それで寂しくて、乾いていて、激しくて、劇的で、人間の強さと脆さ、優しさと哀しさ、すべてを持っていて、すべてから距離を保っている、そういうメロディに行き着きたいという思いが、ずっとあった。いろんな人にいろんな感情を抱いてもらう。そのためには、こちら側は自分の感情をぶつけないことだ。ぎりぎりまでテンションを盛り上げたところで作れば、聴く人にいろんなインスピレーションを持ってもらえる。」

 

 

 

My Lost City

MY LOST CITY
HOMMAGE A Mr. SCOTT FITZGERALD

1. PROLOGUE
2. 漂流者~DRIFTING IN THE CITY
3. 1920〜AGE OF ILLUSION
4. SOLITUDE〜IN HER・‥
5. TWO OF US
6. JEALOUSY
7. CAPE HOTEL
8. 狂気 MADNESS
9. 冬の夢 WINTER DREAMS
10. TANGO X.T.C.
11. MY LOST CITY

Recorded at Abbey Road Studio, London etc
Recording Engineer:Mike Jarratt (Abbey Road Studio)
Mixing Engineer: Mike Jarratt(Abbey Road Studio)

Musicians are
Piano:Joe Hisaishi
Strings:Gavyn Wright Londons Strings (14Vioins,4Violas,2Cello,2Bass)
Flute:Andy Findon 3. 8.
Bandonéon:Richard Galliano 6. 10.
Cello:Mari Fujiwara 5. 9.

Musicians
Gavyn Wright London Strings
(Strings Conductor:Mick Ingman)
Andy Findon(Flute)
Mari Fujisawa(Cello)
Masatsugu Shinozaki(Violin)
Gavyn Wright(Violin)
Wilf Gibson(Violin)
George Robertson(Viola)
Anthony Pleeth(Cello)
Chris Laurence(Dble Bass)
Richard Galliano(Bandoneon)
Phil Todd(Sax)
Frank Ricotti(Vib.)

Recorded at:
Abbey Road Studio,London
Studio Guillame Tell,Paris
Wonder Station,Tokyo
Onkio Haus,Tokyo
Sedie Studio,Tokyo
Marine Studio,Kannon-zaki

 

Disc. 久石譲 『NASA 未来から落ちてきた男』 *Unreleased

1991年8月23日 TV放送

 

フジテレビ系ドラマ
「金曜ドラマシアター 終戦記念スペシャル NASA ~未来から落ちてきた男~」
脚本:鎌田敏夫 音楽:久石譲 出演:三上博史、中井貴一 他

放送日:1991年8月23日 21:03~23:07

 

 

久石譲の映画・TV未発表テーマ曲を集めたアルバム『B+1 Original Movie’s Sound Track Themes』に、メインテーマ「As time passes」は収録されている。

本編ではほかにも、メインテーマ曲のリズムなし/スローテンポver.なども聴くことができる。ここではメロディの旋律もピアノではなくシンセサイザーのパンフルート系の音色になっている。またシーンのための短い場面音楽など、この作品のために書き下ろされたBGMがふんだんに使われている。

おもしろいのは、北野武監督映画「Sonatine ソナチネ」のメインテーマを彷彿とさせるモチーフを聴くことができる。時系列に見たときに、このモチーフがその後「ソナチネ」として発展していった可能性はあるのかもしれない。

 

1992年7月17日VHSにて発売されたが、その後DVD化もされていない作品。

 

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Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体 SPECIAL ISSUE / THE UNIVERSE WITHIN』

久石譲 『驚異の小宇宙・人体 SPECIAL ISSUE~THE UNIVERSE WITHIN』

1991年7月1日 CD発売 NACL-1038
1994年3月21日 CD発売 NACL-1513

 

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

 

~三次元 音が飛びかう 包み込む~
久石譲のファンタジック・インナースペースへの航海 スペシャル・ヴァージョン

 

 

楽曲解説

1.THE INNERS Opening Theme – Synthesizer Version
初めてCDをお聞きになった時、「おや?」と思われる方があるかもしれません。「一体どこが空間的な立体音響なのだろう?」でも他のCD(できれば”THE UNIVERSE WITHIN”に入っている同じ曲)と聞きくらべてみてください。こちらの方が格段に広がり感があるのがお分かりいただけるでしょう。つまり、3次元的な広がりがこのミックスのテーマです。

2.VOICE OF SILENCE
ヴォイスによって作られた大きな音空間の中でサックスが自由に動き回り遊んでいます。シンプルですが広い音場がよくわかる曲です。

4.TOUR IN CELL
この曲では、パーカッションのリヴァーブやピアノのリヴァーブを後方に飛ばして前進する感じを出してみたつもりです。ただ、音の世界では、前後の関係はよく間違えられる(普段は視覚のおかげで前後はほとんど間違えない)ので、あまりよく分からない時があるかもしれません。そんな時は、目をとじてリラックスした状態で聞いてみて下さい。ほら、あなたの回りを音が通りすぎてゆくでしょう。

5.MICROWORLD
この曲では、ベーシックなパートを担当するオルガンが空間的に配置され、その中をいろんな楽器が自在に動いています。ミクロの世界での分子の動きをイメージしてみました。

6.HUMAN WAVE
この曲では、ハープをダイナミックに動かしてみました。まるで竜巻のように、あなたの周りをぐるぐる回りながら、上昇下降をくりかえしているのがよくわかると思います。

7.ANIMA PORTRAIT
この曲では音につつみ込まれる感じ(囲にょう感といいます)を出してみました。ピアノとシンセの金属音だけのシンプルな曲ですが、これだけでも十分に音につつみ込まれる感じがします。

8.BIRTH
この曲も、特に奇をてらわず空間的な広がり感を追求してみました。

9.DÉJÁVU
この曲では、ドライな音場を基本として、シンセのメロの部分で急に音場がウェットになるようにしてみました。こうすることにより、後方に広がる大きな音場がよく知覚できるようになったと思います。

10.ONE NIGHT DREAM
この曲は、ドライな音場を基本とし、そこにヴォイスの「ハーッ」という音を空間的に配置しました。大きなひろがりはありませんが、ヴォイスがあなたの頭上を通り越して、反対側に消えてゆくのがよく分かるでしょう。

11.MIND SPACE
この曲では、小宇宙「人体」の広大な空間をイメージしました。イントロから出てくるカリンバの作り出す音場と、ヴォイス及びストリングスの作り出す空間の対比を聞いて下さい。

12.THE INNERS Ending Theme – Orchestra Version
この曲は、このアルバムで唯一の生オケの曲です。ここでは、特に奇をてらわず、2000人程度のコンサートホールの音場をシュミレートしてみました。つまり反射音の到来方向を空間的に配置してみたわけです。目をとじると、あたかもホールの中央にいて、ステージ上の演奏を聞いているかのようです。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

※3.INNER VOYAGEは楽曲解説掲載なし

 

 

久石譲 『驚異の小宇宙・人体 SPECIAL ISSUE~THE UNIVERSE WITHIN』

1. THE INNERS Opening Theme – Synthesizer Version ~遙かなる時間(とき)の彼方へ~
2. VOICE OF SILENCE ~静寂の中の初声~
3. INNER VOYAGE ~内なる宇宙への航海(たびだち)~
4. TOUR IN CELL ~ミクロの戦士たち~
5. MICROWORLD ~10数ミクロンの遠景~
6. HUMAN WAVE ~60兆のさざなみ~
7. ANIMA PORTRAIT ~魂の肖像~
8. BIRTH ~生命の歓び~
9. DÉJÁVU ~わればかりかく思うにや~
10. ONE NIGHT DREAM ~千億光年の夢物語~
11. MIND SPACE ~永遠の亜空間物語~
12. THE INNERS Ending Theme – Orchestra Version ~遙かなる時間(とき)の彼方へ~

COMPOSE & ARRANGEMENT by JOE HISAISHI
PIANO:JOE HISAISHI

PRODUCED by JOE HISAISHI

RECORDED at WONDER STATION, NIKKATSU STUDIO CENTER
MIXED at FREEDOM STUDIO

 

Disc. 久石譲 『I am』

久石譲 『i am』

1991年2月22日 CD発売 TOCP-6610
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25121

 

クラシックやイージー・リスニングではなく、ニュー・エイジミュージックでもない。
ポップだけれど、アヴァンギャルド…
屈指のメロディー・メーカー、久石譲のピアノ・ワールド。
ロンドン・ストリングスとの華麗でスリリングなセッションを経て、
どんなジャンルにも属さない久石譲の世界が完成。

 

 

INTERVIEW

Q.今回のアルバムに収録されている「Venus」や「Echoes」に聴かれる民族音楽との出逢いはいつ頃でしょうか?

久石:
民族音楽はもともと最初から好きだったんですね。エスニックな音楽が大好きで、そこから得る要素は自分の体験外のものなので……。と同時に、僕がやってきた「ミニマル・ミュージック」の音楽的な構造が民族音楽と近い要素を持っていますからね。ミニマル・ミュージックを始めた頃、アフリカ民族音楽のリズム構造を研究したり、中近東のインド音楽に聴ける16拍子の曲や複雑なリズム構成とか、同時にその音楽の時間の流れなど、特殊な時間の流れですよね。そうやって研究していくうちに民族音楽の魅力に魅せられて、気づいてみたらクラシックの勉強と同じかそれ以上ぐらい、自分の中にエスニック的な要素が色濃く染み付いていましたね。

民族音楽的な要素をシンセサイザーで表現する場合、比較的そのニュアンスは出しやすいんだけど、今回のような”ピアノ”と”ストリングス”という「西洋音楽の王者」みたいな楽器編成で演奏する場合、難しいことなんですね。当初は、エスニック的な要素を取り入れられなくて悩んでいたんです。悩んでいたというよりは、取り入れられないだろうなって思ってましたから……。作品を仕上げていく段階で、結果的に「Venus」や「Echoes」の中に、本来の自分らしさを出せたので、とても嬉しいですね。

 

Q.今回のアルバムのコンセプトを教えてください。

久石:
基本的には、現在の商業ベースで作られている音楽の典型的なことはいっさいやめようと……。例えば、誰が聴いてもみんな同じように聴こえるようなものは意味がないしね。全曲に共通していえることなんですけど、基本ラインとして”ピアノだけで表現する(音楽性を保たせる)”ことがポイントなんですね。そして、そこに弦楽のアレンジを入れると。つまり、弦楽を入れて曲を保たせるのではなく、あくまでも”ピアノ”がメインということですね。それに、ぜいたくに弦楽の音色を必要最小限に加えるというコンセプトです。

アルバムをピアノと弦楽だけで作り上げることは非常に難しいことです。なぜ難しいかというと、その編成に耐えうるだけの強力なメロディーを生み出せなければならないし……。そういう意味でいえば、自分には”Hisaishi Melody”とみなさんがおっしゃってくれてるものもあるし、チャレンジできるのではないかなって……。

作品を作り上げていく段階で、一歩間違えるとそれが単にイージ・リスニングになってしまう可能性があるし、イージ・リスニングにしない為には、自分を含めて共演者の持っている確固たるアーティスト性やパーソナリティーがなくてはいけないわけですよ。つまりとても危ういところで作りあげていて、山岳の崖っぷちを歩いているようなものですね。例えば、一歩間違ったらリチャード・クレイダーマンになってしまうし、その反対に踏み外してしまえば、非常に難解なものにもなってしまう。また、要素を剃り落としている分だけ、飽きてしまう可能性も出てきます。

そんな中で、生み出すメロディーを信じて、そして、余計なものをどこまで剃り落とすか? という作業をしながら、例えば、「エスニック的なものが好き」という自分の志向する要素を含めたところでの、削り採る作業とっていいのかな? 音楽的な無駄を排除し、必要最小限の音で作り上げる……これが今回のアルバムで一番重要なことでしたね。

 

Q.完成されたアルバムを客観的に聴きかえしてみてどのような感想をお持ちになりましたか?

久石:
そうですね。初めて完成されたソロ・アルバムを作ったなって印象を持ちましたね。レコーディング中に、何百回、何千回って聴いていますから、トラック・ダウンが終了した頃には、あまり聴きたくないんですよね。でも今回のアルバムに関しては、その後、何度も繰り返して聴いても飽きないんです。それは、「完成されているアルバム」で、僕が創造したという意識を超えて、聴いていられる。

なんていったらいいのかな、不思議なもんでね、アルバムの完成度が高ければ高いほど、その作った作家から作品は離れて行くんですよ。とても客観的な作品になってしまう。そういう意味でいうと、自分の作品であっても、もう僕の作品じゃないっていうような、自分でいうのも変だけど、すぐれた作品に仕上がったと思いますね。

作品を完成させる段階で、ものすごく苦しんだり、悩んだりしました。微妙なコード進行の変化や、1音を付け加えるか、加えないかによって、その曲の雰囲気が変わってしまう……そういう微妙なところで物凄く苦しんだわけです。端の人はどんなことで、どうして苦しんでいる理由が分からないような細かいことで悩んでいたわけでしょ、ところが、苦しんで苦しんだほど、そうやって生まれ出てきた作品にはその苦しんだあとかたもないんですよ。そうして完成した作品は素晴らしいわけです。つまり、作家が苦しんだ形跡が見えるような作品にはろくなものがない。苦しんだ形跡が分かる作品は、カッコが悪いわけで、そして完成度が低い。

完成した作品は、「おお、ここでこんなことをやってる、凄いことやってるな」、「何だこのコード進行は? 何だこのモードは?」ってなプロ志向的な聴き方もできるし、反対に音楽に詳しい方でなくとも、さり気なくBGMとして流したり、「まあ綺麗なメロディーね、楽しい!」というような音楽本来の楽しむ為の聴き方もできるんですね。そんな僕が考える音楽の理想的なことがこのアルバムでできたなって気がしますね。

 

Q.作家の手から離れて行った作品がスタンダードになっていくわけですね? そして聴き続けられると同時に、弾き続けられていくと……?

久石:
できたらね、そういうスタンダードになって欲しいという願いを込めて作ったアルバムですね。例えば、前作『Piano Stories』は、日々アルバムがみなさんの手元に送り出されているわけで、そして、その楽譜もみなさんの手元に届いて、僕の曲を復習(さら)っていてくれると、そうするとその曲は定着しますよね。そのことは、作家にとってとても幸せなことですよ。

今回のアルバムの一つ一つの作品を完成するにあたっても、例えば、とんがり過ぎちゃえば1回聴いて(弾いて)、「おもしろかったな」で終わっちゃう。そういうことのないように、何度も聴いて(弾いて)楽しめる、そう意図して作り上げました。そういう意味では、現代のスタンダードを目指したといってもいいかも知れませんね。

「Piano Solo 久石譲/アイ・アム (I am)」楽譜 インタビュー より抜粋)

 

 

楽曲曲想
演奏解釈のための楽曲イメージ Commentary by 久石譲

Deer’s Wind
本楽曲は来年(1991年)のゴールデン・ウィークに東宝系全国一斉公開される映画『仔鹿物語』のメイン・テーマです。少年と仔鹿との「心の交流」をモチーフにした映画で、楽曲のテーマは、自然の中で繰り広げられる少年と仔鹿との「心の交流」を現す「優しさ」と、それを包む「大自然」を歌ったものです。優しさと同時に、大作映画の「おおらかさ」と「大自然」のスケール感を意識して仕上げてみました。

On The Sunny Shore
この曲は、前作『Piano Stories』に収録されている「Lady of Spring」とサウンド的にも、コード的にも同じ系列に入る曲です。曲のコンセプトとしては、隙間があって、その合間を縫うような淡々としたメロディーが奏でられる……。そして、モードを駆使したような響きと、その中に大人の優しさが出てくれば、と思って書き上げてみました。特に、弦楽のアレンジに関していえば”超スペシャル・アレンジ”で、トレモロや様々な要素を多様し、凝縮しています。アレンジの雰囲気は”空気感”。空気に漂っている”浮遊感”をものすごく意識してみました。今後アレンジャーを目指す方は、是非ともこのアレンジを研究してみてください。また、原曲では「ハーモニカ」が特徴的なフレーズを演奏していますので、メロディー・ラインを他の楽器で奏でてみるのもよいでしょう。いろいろな編成で演奏してみてください。

Venus
この楽曲は、8年ぐらい前に実は作った曲で、3~4回レコーディングをしています。どうも自分の中では形態がなかなか定まらなかったのですが、今回のアルバムでは”エスニック的”な要素を玩味した形態で成り立ち、やっと居場所を見つけ、完成しました。左手のオスティナートを続けながら、右手にロマンティックな割りには、とても器楽的なフレーズが続く不思議な曲です。本来の自分らしさの一部である”エスニック志向”がムクムクと出てきた1曲です。

Dream
本楽曲は、心の奥深い所での響きというか、その包みこむような優しさや味わい深さが出せればと思って書き上げました。Intro.やサビで使っている「Em」のメロディーのところを特に”ジャジー”なイメージにして、大人のけだるさというか、そのような感じを出してみたかったところです。原曲の弦楽のアレンジがかなり凝っていて、後半のピアノと弦楽が非常にダイナミックに絡むところは是非聴いて欲しいところですね。

Modern Strings
この曲は今回のアルバムに収録している曲の中で、もっとも”アヴァンギャルド”的な要素を多様した作品です。「単に驚かす為に」…というアヴァンギャルド的なものはカッコ悪いわけで、むしろ楽曲を聴いていくうちに「エッ?」と思う、本当の意味で深い味わいがあるアヴァンギャルドを打ち出した楽曲です。原曲の弦楽アレンジを具体的に言いますと、冒頭から弦楽が頭打してない点が特徴です。全部が裏拍になっていて、よく聴いていないと分からないかもしれませんね。そして、その「裏拍」がいったん分かると、この楽曲の変な魔力にひかれてしまいます。その魔力といい、スピード感といい、とてもたまらない曲になるんじゃないかと……。原曲の後半でピアノと弦楽が絡むところがとてもスリリングな響きになっています。楽曲のイメージやメロディーの雰囲気が「フランス映画」の感じで、その工夫として、レコーディングの時に、ピアノのタッチや音色を「鼻にかかる音色(鼻音的な音質)」に変えてみました。原曲でサックスを吹いているミュージシャンは”Mr.Steve Gregory”で、彼は「ワム!のケアレス・ウィスパー」で、あの印象的なサックスを吹いている方なのです。「泣ける、大人の味わい」をとても気持ちのいいサックスで演奏してくれていますので、じくりと聴いてみてください。

Tasmania Story
本楽曲は今年(1990年)の夏に東宝系全国一斉公開された映画『タスマニア物語』のメイン・テーマです。サントラ盤では、ピアノとオーケストラでしたが、本ヴァージョンは、ピアノとストリングスをメインにして、スケールの大きなフレーズの中から、そのしっとりした優しさを引き出してみました。レコーディングでのストリングス・セクションは、ロンドンの精鋭達が一同に会して、そのストリングスは、演奏の随所で歌ってくれて、狙い通り以上の演奏が展開できて非常に満足した仕上がりになっています。また、ピアノ自体のアレンジもサントラ盤とは違うヴァージョンです。

伝言
この曲は数年前にオンエアされたTVドラマのメイン・テーマです。当時の僕、というか”Hisaishi Melody”とみなさんに言われていた、典型的なスタイルの楽曲で、伴奏形式やメロディーにそれが現れています。今回のレコーディングでは、ピアノをメインにし、ストリングス・アレンジを最小限におさえて仕上げてみました。また、原曲のハーモニカもじっくりと聴いてみてください。

Echoes
本楽曲は、僕自身は、今回のアルバムのメイン曲だと思っています。オリエント・ミュージック(僕が付けた呼称です)を現した「アジアの夜明け」、「アジアのこだま」というような意味で作り上げた曲で、とても大切にしている曲でもあります。原曲には民族楽器のタブラーと胡弓が入っています。ピアノの特徴としては、ベーゼンドルファーのピアノでしか出せない超低音を出しており、その深い響きの中で、胡弓がメロディーを奏でる箇所はとても印象的で、僕自身とても気に入っています。原曲で胡弓が奏でるメロディーが終わった後に出てくる、ストリングスの不思議なコード進行も味わってみてください。微妙に変化していくコードの響きが特徴です。

Silencio de Parc Güell
ピアノ・ソロ作品として、あたかもシューベルトの「楽興の時」を思わせるような、さりげない優しい小品をイメージして仕上げてみました。曲のタイトルの「パルク・グエル」は、スペインのバルセロナにある”グエル公園”からです。スペインの鬼才、建築家”アントニオ・ガウディ”が作った印象的な公園で、その「静けさ」にとても感動して、曲名を付けました。

White Island
本楽曲は、テレビ朝日開局30周年記念特別番組の、メイン・テーマ曲です。「南極」をテーマにしたスペシャル・ドキュメンタリーで、この特別番組の為に作曲したものなのですが、放映時からとてもみなさんにご好評いただいた曲だったので、今回のアルバムに収録することになりました。メロディーが持っている親しみやすさ、優しさと同時に、スケール感あふれる形態を兼ね備えている楽曲なので、本アルバムの最後を飾るのがふさわしいのではないかと……。じっくりと聴いてみてください。

楽曲曲想 ~「Piano Solo 久石譲/I AM」楽譜より)

 

 

「ストリングスはロンドン・シンフォニーとロンドン・フィルのメンバーに協力してもらいました。ロンドンの──特に弦の音は、僕の求めている音に合うんです。録音はアビィ・ロード・スタジオ。あそこはね、ルーム・エコーが非常にいいんですよ。ピアノのパートは日本で録音しました。ピアノはベーゼンドルファー・インペリアル。低音部分にこだわってみたので」

「結構ね、難しいことやってるんですよ。普通だったら使わないような手法とか。でもさすがに向こうの人たちはその意図をわかってくれて、のってやってくれた。イギリス人のユーモアというか、あけっぴろげなアメリカとはまた違って、楽しい共同作業になりました」

Blog. 「ショパン CHOPIN’ 1991年3月号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

東芝日曜劇場 「伝言」 テーマ曲 TV Original Versionについては下記ご参照。

Disc. 久石譲 『The Passing Words』 *Unreleased

 

CM曲に使用された楽曲のCMオリジナルヴァージョンについては下記ご参照。

「Sunny Shore」 日産『サニー』
「Dream」 サントリー『ピュアモルトウイスキー 山崎』

 

 

久石譲 『i am』

1.Deer’s Wind (from Main Theme of“Kojika Story”) (映画「仔鹿物語」より)
2.Sunny Shore
3.Venus
4.Dream
5.Modern Strings
6.Tasmania Story (映画「タスマニア物語」より)
7.伝言~Passing The Words (東芝日曜劇場「伝言」より)
8.Echoes
9.Silencio de Parc Güell
10.White Island (TV「南極大陸1万3000キロ」より)

Musicians
Gavyn Wright London Strings
(Strings Condactor:Nick Ingman)
Toshihiro Nakanishi String Quartet
Tommy Reiry(Harmonica)
Steve Gregory(sax)
Pandit Dinesh(tabla)
Jia Peng Fang(kokyu)
Chuei Yoshikawa(A.Guitar)
Motoya Hamaguchi(L.Prec.)
Toshihiro Nakanishi(E.Vl.)
Hideo Yamaki(Drums)

Recorded at:
Abbey Road Studio London
Taihei Recording Studio Tokyo
Music Inn Yamanakako Studio Yamanashi
Wonder Station Tokyo

 

Recorded at ABBEY ROAD STUDIOS, LONDON
TAIHEI RECORDING STUDIO, TOKYO
MUSIC INN YAMANAKAKO STUDIO, YAMANASHI
WONDER STATION, TOKYO
Produced by JOE HISAISHI
Co-Produced by NAOKI TACHIKAWA
Arranged by JOE HISAISHI

Executive Produced by KEI ISHIZAKA (TOSHIBA EMI)
ICHIRO ASATSUMA (FUJI PACIFIC MUSIC INC.)
MAMORU FUJISAWA (WONDER CITY)
Recording Engineer:
MIKE JARRATT (ABBEY ROAD STUDIO)
YASUO MORIMOTO (ONKIO HAUS)
ATSUSHI KAJI (HEAVY MOON)
SUMINOBU HAMADA (WONDER STATION)
TOHRU OKITSU (WONDER STATION)
Mixing Engineer: MIKE JARRATT (ABBEY ROAD STUDIO)
Mastering Engineer: STEVE JOHNS (ABBEY ROAD STUDIO)

Musicians are: JOE HISAISHI-Piano
GAVYN WRIGHT LONDON STRINGS
(Strings Condactor: Nick Ingman)
TOSHIHIRO NAKANISHI STRING QUARTET (“Venus”)
TOMMY REIRY-Harmonica (“On The Sunny Shore”, “Rumor”)
STEVE GREGORY-Sax (“Venus”, “Modern Strings”)
PANDIT DINESH-Tabla (“Echoes”)
JIA PENG FANG-Kokyu (“Echoes”)
CHUEI YOSHIKAWA-Guitar (“On The Sunny Shore”, “Venus”)
MOTOYA HAMAGUCHI-L.Perc. (“Venus”, “White Island”)
TOSHIHIRO NAKANISHI-E. VI. (“Echoes”, “White Island”)
HIDEO YAMAKI-Drs. (“Modern Strings”)

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体 サウンドトラック II / MORE THE UNIVERSE WITHIN 』

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.2』

1990年12月21日 CD発売 NACL-1013
1994年3月21日 CD発売 NACL-1512

 

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

 

~35億年の時空を超えて~
再び、久石譲の内なる宇宙への航海が始まる

 

 

解説

60兆もの細胞からなる我々の人体は”小宇宙”といわれ、大宇宙と同じ様に一つの秩序だった働きをしている。-NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」は、スウェーデン放送協会の特殊カメラによる体内実写映像や、世界最先端を行くNHKのCG等を駆使した特殊映像技術で、私達を肉眼では決して見ることのできない世界、人間の想像力がおよびもしなかった光景を目の当たりに出現させました。その息を呑む映像美を久石譲のスケールの大きな詩情豊かな音楽がより一層感動的に彩っています。

久石譲-アニメ「風の谷のナウシカ」「魔女の宅急便」や映画「Wの悲劇」「タスマニア物語」等の音楽を手がけ、作曲家、プロデューサーとして、日本の「現在(いま)」を代表する音楽家-人体のもつ極めて巧妙精巧な総合システムを、あるいは大編成のオーケストラやピアノ・バイオリンであたかも吟遊詩人のように奏で、あるいはシンセサイザーを駆使して神秘の世界を探査する科学者のように計算されつくされた音の一つ一つで、全編を緻密であたたかい久石メロディーで包みこんでいます。

久石譲の作り出す音楽の底には、一貫した人間に対するたゆまない愛情と人生の素晴らしさ、言うなれば”人間賛歌”が脈々と流れています。スタジオの中で、音を一つ一つひろい集め分析・集積をくり返し続け、やっと一つの音楽として構築する。それは錬金術師のように、永遠に続けられる活動のように思われてくる。無味乾燥で殺伐となりがちな中にあっても彼は笑顔をたやさない。いつでも一緒に作業をする人達への細かい配慮を忘れないのです。

そんなヒューマンで、劇的にして知的、スケールの大きな詩情をかもしだす音楽、それは彼そのものなのです。この第2集は、第1集で聴かせてくれた久石メロディーが、ふんだんに溢れているわけではありませんが、その音の一つ一つに音と音の隙間に、クラシックから現代音楽、JAZZからポップスまで手がける久石譲の音楽性ヒューマンな感情が感じとられる事でしょう。久石譲の音楽が、静寂の中にくり広げられ続ける人体の様々なドラマをよりファンタジックに、よりドラマチックに感動をより一層感動へと導いてくれる事でしょう。

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

1998年4月28日 CD発売 PCCR-00301

NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」サウンド・トラック THE UNIVERSE WITHIN Vol.1 & 2(2CD) として再発売された。

 

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.1』

(2CDジャケット)

 

 

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.2』

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opening Theme Synthesizer Version)
2. HEART OF NOISE ~生命胎動~
3. STRANGER ~かくも果てしなき未知の世界へ~
4. DÉJÀVU ~わればかりかく思うにや~
5. OMEGA QUEST ~永遠なる探索者~
6. VOICE OF SILENCE ~静寂の中の初声~
7. ANIMA PORTRAIT ~魂の肖像~
8. ONE NIGHT DREAM ~千億光年の夢物語~
9. HUMAN WAVE ~60兆のさざなみ~
10. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Violin Version)

COMPOSE & ARRANGEMENT:Joe Hisaishi
PIANO:Joe Hisaishi

Producer:Joe Hisaishi

 

Disc. 久石譲 『ネットワーク・ベイビー』 *Unreleased

1990年5月1日 TV放送

 

NHKドラマ「ネットワーク・ベイビー」 (60分)

第17回放送文化基金賞奨励賞受賞作品。「純愛が時代のトレンドになる昨今、現代人は純な心に飢えている。金銭がらみのホンネとは異なり、もっと人間的に生きるための「純粋なもの」が、これほど必要とされている時代はない。このドラマは、純な心を取り戻すために、そして純な心を忘れないために、コンピューターを使った1人の母親の物語である。【この項、NHK広報資料より引用】」「ドラマに最先端のコンピュータ・テクノロジーを導入した新しいスタイルのドラマで新世代のファンタジーを鮮やかに描いている」(放送文化基金賞受賞理由より)。

 

演出:片岡敬司
原作:一色伸幸
脚本:一色伸幸
音楽:久石譲 (編曲: 片倉三起也)
制作:澁谷康生
主演:富田靖子

 

 

メインテーマふくめ、久石譲らしいメロディが聴かれるわけではない。どちらかというと実験的・前衛的な要素をくみとることができる。またこれは編曲が他者によるものからかもしれない。

本作品はVHS化され発売された(1991/2/21)が、サウンドトラック盤などは発売されておらず、また久石譲のどのCD作品にもリアレンジ含め収録されていない。

 

 

(VHS)

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体 サウンドトラック / THE UNIVERSE WITHIN 』

1989年5月21日 CD発売 N29C-27
1989年5月21日 CT発売 N25K-27
1992年11月21日 CD発売 NACL-1503

 

1989年放送 NHKスペシャル 「驚異の小宇宙 人体」
音楽:久石譲

~遙かなる時間(とき)の彼方へ~
久石譲が奏でる 内なる宇宙への航海!

 

 

1989年4月21日 CDS発売
「THE INNERS」は同作品からの先行シングルである。

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opnening Theme-Synthesizer Version)
2. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

 

 

『人体』そのヒューマンなるもの

『驚異の小宇宙・人体』の映像は、最新の技術を投入し、コンピュータ・グラフィックスをふんだんに駆使するなど、時代の最先端をいく要素が多分にあるのです。しかしその反面例えば精子と卵子の合体シーンなどは、卵巣に集団で飛び込んだ精子の中から一つだけが合体するわけで、まるで勝ち残りゲームを見ているようなかんじがしてとてもヒューマンな印象を受けたんです。実はこれら最新の技術が描いているのは”生命のドラマ”なのだなということに気が付き、そのような映像には、テクノロジーを駆使したコンピュータ・ミュージックだけでなく、むしろ、それに生オーケストラのサウンドや、詩情豊かなメロディラインを織り込むことによって、人体という宇宙の持つ計算されないダイナミズム、緻密さの中の壮大さというような様々な融合を表現できるのではないかと思いました。とにかくこのアルバムは、ヒューマンなイメージを頭に置きつつ作りました。

久石譲

(CDライナーノーツ より)

 

 

第1シリーズの「人体」はピアノとオーケストラを中心に構成した。実はCGが多いと聞いてテクノ系の音楽を考えていた。が、精子が卵子に飛び込む顕微鏡撮影の映像を見て考えを変えた。精子がいくつかのグループに分かれ、天の岩戸の前よろしくたむろしていた。何やら話し合っている風でもあるそれらは、どこにでもある学校のクラスを彷彿させた。そのうちに元気のいい、いわばガキ大将のような威勢のいい精子がその岩戸に突入する。が、次々に玉砕する。するとクラスによくいる眼鏡をかけたガリ勉型のひ弱な感じの精子が、するすると抜け出してすんなりと岩戸卵子の壁を突入して侵入に成功した。人間社会の縮図のような光景に感動した僕はヒューマンなアコースティックな方向に音楽を切り替えた。

Blog. 書籍「NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体3 遺伝子・DNA 6」久石譲 音楽制作ノート より抜粋)

 

 

1998年4月28日 CD発売 PCCR-00301

NHKスペシャル「驚異の小宇宙・人体」サウンド・トラック THE UNIVERSE WITHIN Vol.1 & 2(2CD) として再発売された。

 

久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体 Vol.1』

(2CDジャケット)

 

 

1. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Opening Theme-Synthesizer Version)
2. TOUR IN CELL ~ミクロの戦士たち~
3. FANTASY ~かくも壮大なる小宇宙~
4. MYSTERIOUS LOVE ~ひと・そして・愛~
5. TRANSIENT LIFE ~うたかたの夢~
6. MICROWORLD ~10数ミクロンの遠景~
7. BIRTH ~生命(いのち)の歓び~
8. THE ORIGIN OF SPECIES ~35億年の結晶~
9. INNER VOYAGE ~内なる宇宙への航海(たびだち)~
10. MIND SPACE ~永遠の亜空間旅~
11. SYSTEM OF LIFE ~細胞60兆のめくるめく世界~
12. THE INNERS ~遥かなる時間(とき)の彼方へ~ (Ending Theme-Orchestra Version)

COMPOSE & ARRANGEMENT:Joe Hisaishi
PIANO:Joe Hisaishi

Producer:Joe Hisaishi