2021年7月15日 発刊
久石 譲によるコントラバスのための協奏曲。日本テレビ委嘱作品。
Contrabass Concerto
コントラバス協奏曲
「Contrabass Concerto」は日本テレビの「読響シンフォニックライブ」という番組でカール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」と一緒に演奏する楽曲として委嘱された。ソロ・コントラバスは石川滋氏を想定して作曲し、両曲とも僕が指揮した。
作曲に当たってコントラバスの音を実体験するために楽器を購入し、毎日作曲の前に15~30分練習した。そのことによって響きを身体で覚えることができた。
2015年の春先から作曲を開始し、夏にコントラバスのパートとピアノスケッチを作り、秋にオーケストラのパートを完成した。全3楽章からできており約30分の作品になった。
初演は2015年10月29日 東京芸術劇場 コンサートホールにて、ソロ・コントラバス 石川滋氏(読響ソロ・コントラバス)と読売日本交響楽団によって演奏された。その後2017年7月16、17日にわたって長野市芸術館 メインホールにて同石川氏とフューチャー・オーケストラ・クラシックス(FOC)によって再演され同時にレコーディングもされた。
第1楽章
F#-B-E-Aの4つの音が基本モチーフとして全体を支配している。この4度音程はソロ・コントラバスのオープンチューニング(通常はE-A-D-G)なのだが、展開していくと演奏する上では大変難しい音程でもある(ヴァイオリンの5度音程のように)。もともと軽快なテンポで始まる自由な形式の楽曲だったが、後に序奏と中間部に遅めにテンポのパートを作り、全体を立体的にした。
第2楽章
冒頭のコントラバスのピッツィカートはもちろんジャズからの影響であり、それがもっともこの楽器の良さを発揮すると考えたからである。その上にクラリネット、ホルンが奏でる、モチーフが全体の要になっている。その後コントラバスが同じモチーフを演奏しながら盛り上がり、静かな中間部になる。ちょっと複雑だが大きくは3部形式からなり、後半はベースランニングのアップビートで始まる。個人的にはもっとも無駄なく構成できた楽章で気に入っている。
第3楽章
この楽章では7度音程のモチーフで全体を構成している。スケルツォ的な明るさと終楽章としての重みが出るように気をつけた。一番ミニマル的な方法論に近い楽章になった。
久石譲
(「Contrabass Concerto」スコア より)
補足)
上記文章は、英文併記されています
編成表 収載
including INSTRUMENTATION
初演:2015年10月29日、東京芸術劇場
演奏:久石譲(指揮)、石川滋(ソロ・コントラバス)、読売日本交響楽団
演奏所要時間:約29分/パート譜はレンタル
久石譲:コントラバス協奏曲
Joe Hisaishi: Contrabass Concerto
Movement 1, Movement 2, Movement 3
出版社:全音楽譜出版社
スコア:菊倍判/160頁
ISBN:978-4-11-899715-5
定価:税込 4,400円 (本体4,000円+消費税10%)
発売日:2021年7月15日
※レンタルパート譜の取り扱いは、全音までお問い合わせください。
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◎音源は久石譲『Minima_Rhythm IV ミニマリズム 4』(UMCK-1682)に収録されています。