Blog. 「久石譲 アジアツアー 2010」 コンサート・パンフレットより

Posted 2015/1/9

今から5年前、2010年に開催された久石譲アジアツアー。その名のとおり、国内のみならず海外公演も含めた精力的な全15公演です。2010年11月から翌2011年1月までと、年をまたいでのツアー公演。ツアー期間中の12月31日大晦日の公演は、「久石譲アジアツアー2010 大阪公演 シルベスタースペシャル」でした。

 

 

[公演期間]
2010/11/5〜2011/1/19

[公演回数]
15公演(高雄、台北、台中、北京、広州、香港、上海、大阪、東京、韓国)

[編成]
指揮、ピアノ:久石譲
管弦楽:
高雄、台北、台中:ナショナルシンフォニーオーケストラ(国家交響楽団)
北京:国家大劇院オーケストラ
広州:深圳交響楽団
香港:香港フィルハーモニー管弦楽団
上海:上海フィルハーモニックオーケストラ
東京:東京フィルハーモニー交響楽団
大阪:関西フィルハーモニー管弦楽団
韓国:韓国シンフォニーオーケストラ

【東京】 2010/12/27 東京芸術劇場 大ホール
【大阪】 2010/12/31 ザ・シンフォニーホール

LINKS
MKWAJU
Prime of Youth
The End of the World
Departures
Kiki’s Delivery Service
One Summer’s Day
Summer
Castle in the Sky
Ponyo on the Cliff by the Sea
Oriental Wind

 

 

その中から東京公演/大阪公演にて当日配布されたコンサート・プログラムより、演奏プログラム内容をご紹介します。

 

 

PROGRAM

《Minima_Rhythm》
■LINKS

JAPAN国際コンテンツフェスティバル(通称 CoFesta)のテーマ曲として2007年につくられた楽曲。ミニマル・ミュージックのスタイルを多分に踏襲した楽曲。冒頭に現れるリズミックで特徴的なフレーズを様々な形に発展、展開させていき、後半にいくにつれ、緊張感とともに盛り上がりをみせる。15拍子という変拍子であるが、グルーヴさえも感じさせる久石らしい、スピード感溢れる楽曲。
*ソロアルバム 「Minima_Rhythm」 収録

■MKWAJU 1981-2009
アフリカの民族楽器を素材に、多重的なリズム要素の音型をもとに作品にした楽曲。「♪タンタンタカタカタカタカタッタッ」という心地よいリズムの音型が全編を通して微細に変化していく久石のミニマル・ミュージック作品の代表格。1981年に初出した小編成だったものを、2009年の「ミニマリズム」に収録する際に、オーケストラ曲として再構築した。
*ソロアルバム 「Minima_Rhythm」 収録

■Prime of Youth
2010年、大阪青年会議所のピース・カンファレンス・オブ・ユース事業のテーマソングとして書き下ろされた。ファンファーレのように高らかに鳴り響く冒頭と、それに続く8分の11拍子の変拍子のリズムから紡ぎだされるミニマル・ミュージックとシンフォニックな響きが特徴的な作品。

■The End of the World
1楽章 Collapse
2楽章 Grace of the St.Paul
3楽章 Beyond the World
「After 9.11」をテーマに、世界の秩序の崩壊と価値観の変遷に危惧を抱いた久石が、今の時代にこそ遺さねばならない作品として書き上げた渾身の一作。人々の悲哀や嘆きを表しつつも、混沌とした世界の中で、力強く生きなければならない、と未来へ向けての祈りと明るいメッセージが込められている。
*ソロアルバム 「Minima_Rhythm」 収録

《Melodyphony》
■Departures
Cello solo:金本博幸
2008年の滝田洋二郎監督作品、『おくりびと』(米国アカデミー賞外国語映画賞受賞作品)サウンドトラックより、メインテーマを含む複数の主要テーマを組曲として再構築したもの。元チェリストの主人公が納棺師になる設定から、チェロをメインに据える楽曲の構想が練られた。楽器の特性を最大限に活かしたメロディは、ときには優しく、ときには激しく、時折コミカルさも覗かせながら、心の揺れ動きを表現している。
*最新ソロアルバム 「Melodyphony」 収録

■Kiki’s Delivery Service
1989年、宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』より。映画の中で流れる「海の見える街」をピアノとヴァイオリン、弦楽オーケストラを主体に描き下ろした楽曲。愛くるしさいっぱいの軽やかなリズムと可憐なメロディ、中間部の大人びたジャジーな曲調は、大人へと成長をとげる魔女の子・キキのように、様々な表情を魅せてくれる。
*最新ソロアルバム 「Melodyphony」 収録

■One Summer’s Day
2001年公開、宮崎駿監督作品の映画『千と千尋の神隠し』より、「あの夏へ」。神々の住まう不思議な世界に迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、湯屋「油屋」で下働きをしながら次第に生きる力を取り戻していく物語。郷愁をかきたてる美しいメロディと、ピアノをフィーチャーした繊細なオーケストラが奏でる旋律が印象的な作品。
*最新ソロアルバム 「Melodyphony」 収録

■Summer
1999年に公開された、北野武監督の映画『菊次郎の夏』より、メインテーマ「Summer」。軽快な弦のピッツィカートからはじまる冒頭部と、中間部の美しいピアノの旋律が印象的な楽曲は、ひと夏の冒険を描いた映画の世界を爽やかにうたいあげている。
*最新ソロアルバム 「Melodyphony」 収録

■天空の城ラピュタ
Trumpet solo:古田俊博
1986年に公開された宮崎駿監督の長編アニメーション映画『天空の城ラピュタ』の楽曲をトランペット協奏曲として新たにアレンジ。独奏トランペットは「ハトと少年」を爽やかに奏で、「君をのせて」ではその柔らかな音色がノスタルジックな世界へと導く。オーケストラとの対話の後、物語を彷彿とさせる壮大な終焉へと共に向かう。

■Ponyo on the Cliff by the Sea
2008年に公開させるや否や、日本中に”ポニョ旋風”を巻き起こした、宮崎駿監督映画『崖の上のポニョ』より、サウンドトラックから組曲形式にアレンジした長編組曲よりメインテーマ「崖の上のポニョ」をお届けする。

■Oriental Wind
2004年より放映中の、日本のお茶の間に流れるサントリーの緑茶・京都福寿園「伊右衛門」CM曲。黄河の悠々とした流れをイメージしてつくられたといわれるとても美しい主旋律が特徴的である。朗々とした格調高い優雅なメロディの裏では、繊細なリズムや激しいパッセージの複雑な内声部が繰り広げられ、より深い味わいを加えている。
*最新ソロアルバム 「Melodyphony」 収録

(「久石譲 Asia Tour 2010」コンサート・プログラム より)

 

―アンコール―
NUSICAÄ
Wave(Pf.solo)
My Neighbor TOTORO
アシタカとサン(Pf.solo)

※「アシタカとサン」は全公演ではない

 

 

おそらくこの当時に開催されたコンサートとしては、群を抜けてダントツに素晴らしいプログラムだと思います。

2009年発表の「ミニマリズム」から2010年発表の「メロディフォニー」。一方はミニマル作曲家久石譲の真骨頂であり、一方は耳馴染みの名曲たちの華やかなシンフォニー・ベスト。芸術性と大衆性の久石譲音楽の両側面を昇華させた2枚のCD作品。その両方が前半・後半と堪能できるプログラムという意味において、国内だけでなく海外公演も展開されたにふさわしい集大成プログラムです。

 

このコンサート・プログラムの楽曲解説を見ながら、ぜひ2つの作品を聴いてみてください。当時会場で聴けた方は涙ものでしょうし、そうでない方も鳥肌モノ間違いなしです。

 

久石譲 『ミニマリズム』

久石譲 『メロディフォニー』

 

 

この2作品は30年以上に及ぶ久石譲音楽活動において、今後も必ずエポックとして語られていくであろう作品です。

また、ツアープログラムのなかで、CD作品化されていない(コンサートバージョンとして含む)楽曲は、「Prime of Youth」と「Ponyo on the Cliff by the Sea」です。※「天空の城ラピュタ」はW.D.O.名義でCD化あり

ということは、、、これから「ミニマリズム」や「メロディフォニー」を継承する作品が発表される際、めでたく収録確定ということなのでしょうか?!ひそかな期待として胸にしまいつつ、見守りつつ、楽しみとして持ちつづけていく、待ち望ぞむファン心理です。

 

アジアツアー 2010 

ジルベスター 2010 久石譲

 

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