Blog. 『スタジオジブリの歌 -増補盤-』発売に思う「音楽:久石譲」の凄み

Posted on 2015/12/3

2015年11月25日『スタジオジブリの歌 -増補盤-』CDが発売されました。

内容説明を一気に言いますと、

スタジオジブリ設立30周年記念!ジブリ映画24作品の主題歌/挿入歌を網羅した究極のアニバーサリー盤。2008年リリース「崖の上のポニョ」までのを網羅したオムニバス『スタジオジブリの歌』から、以降公開された「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」の5作品を追加した30周年増補盤にして完全版。高音質のHQCDとして登場。全ての世代に愛されるスタジオジブリの永久保存版として一家に一枚。同内容のオルゴール盤『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤-』も同時発売。

早期購入特典や早期同時購入特典(歌盤とオルゴール盤)もありますが、いつまで入手可能かどうかはショップにてご確認ください。特典内容や詳細はディスコグラフィーにて収載しています。

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリの歌 -増補盤-』
Disc. V.A. 『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤-』

 

【収録楽曲】

[DISC.1]
01. 風の谷のナウシカ(風の谷のナウシカ) 安田成美
02. 君をのせて(天空の城ラピュタ) 井上あずみ
03. さんぽ(となりのトトロ) 井上あずみ
04. となりのトトロ(となりのトトロ) 井上あずみ
05. はにゅうの宿(火垂るの墓) アメリータ・ガリ=クルチ
06. ルージュの伝言(魔女の宅急便) 荒井由実
07. やさしさに包まれたなら(魔女の宅急便) 荒井由実
08. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ) 都はるみ
09. さくらんぼの実る頃(紅の豚) 加藤登紀子
10. 時には昔の話を(紅の豚) 加藤登紀子
11. 海になれたら(海がきこえる) 坂本洋子
12. アジアのこの街で(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
13. いつでも誰かが(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
14. カントリー・ロード(耳をすませば) 本名陽子
15. On Your Mark (On Your Mark) CHAGE and ASKA
16. もののけ姫(もののけ姫) 米良美一
17. ケ・セラ・セラ(ホーホケキョとなりの山田くん)山田家の人々ほか
18. ひとりぼっちはやめた(ホーホケキョとなりの山田くん) 矢野顕子

[DISC.2]
01. いつも何度でも(千と千尋の神隠し) 木村弓
02. 風になる(猫の恩返し) つじあやの
03. No.Woman, No Cry (ギブリーズepisode2) Tina
04. 世界の約束(ハウルの動く城) 倍賞千恵子
05. テルーの唄(ゲド戦記) 手嶌葵
06. 時の歌(ゲド戦記) 手嶌葵
07. 海のおかあさん(崖の上のポニョ) 林昌子
08. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ) 藤岡藤巻と大橋のぞみ
09. The Neglected Garden [荒れた庭](借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
10. Arrietty’s Song (借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
11. 夜明け~朝ごはんの歌(コクリコ坂から) 手嶌葵
12. 上を向いて歩こう(コクリコ坂から) 坂本九
13. さよならの夏~コクリコ坂から~ (コクリコ坂から) 手嶌葵
14. ひこうき雲(風立ちぬ) 荒井由実
15. いのちの記憶(かぐや姫の物語) 二階堂和美
16. わらべ唄(かぐや姫の物語)
17. 天女の歌(かぐや姫の物語)
18. Fine On The Outside (思い出のマーニー) プリシラ・アーン

 

 

圧巻の主題歌・挿入歌完全網羅となっています。

久石譲にフォーカスします。

宮崎駿監督作品全10作+高畑勲監督作品1作の、計11作品にて音楽を担当している久石譲。ですが、上の収録楽曲全36曲中、久石譲が作曲(編曲)したのは7曲。なんとも少ないという印象です。太文字になっている楽曲が該当曲ですが、「世界の約束」(ハウルの動く城)は編曲のみの担当です。『かぐや姫の物語』挿入歌「わらべ唄」「天女の歌」作曲は高畑勲監督です。それが久石譲作曲の劇中音楽と絶妙に織り重なって構成されているのですが。

全11作品中、7曲しか歌曲がないということは、当たり前ながら本編音楽は担当していても主題歌は別作曲家によるもの、ということになります。それなのに…なんで久石譲=ジブリというイメージが強いんだろう?それは簡潔かつ決定的に言ってしまえば、本編で流れる久石譲の劇中音楽が強烈に印象に残っているからです。

 

これまた当たり前のことだと言われてしまいそうですが、いやこれは一般的に考えてもすごく稀で特筆すべき点です。今でこそ映画音楽というジャンルは確立され一定の立場として扱われていますが、その功績の一因として数えられるのが、間違いなくジブリ音楽です。

 

”ナウシカ”と聞いて浮かんでくるメロディーは?

「海の見える街」「あの夏へ」という曲で浮かぶ映画は?

「人生のメリーゴーランド」の華麗なワルツはどの作品?

 

曲名を聞いてピンとこなくても、そのメロディを聴いた瞬間に、すぐにどのジブリ映画か即答できる人は少なくないと思います。主題歌や挿入歌ではない、歌詞や歌声のない、楽器だけが奏でるインストゥルメンタル楽曲で、強烈な印象を残すことは容易なことではありません。

一般的に記憶している楽曲を思い出して歌えるのは、メロディーに歌詞が乗っているという言葉の力による記憶補佐も大きいと思います。だから鼻歌でもなんとなくメロディを口ずさめる。それをピアノやオーケストラが奏でる旋律を、同じように鼻歌で歌えるほど人の記憶にインパクトを与える旋律の力。

久石譲コンサートでも「ナウシカが聴けた!」「千尋をやってくれた!」と大満足な感想をさしているその楽曲は、もちろん主題歌ではなく劇中音楽です。これが結構な大多数の人に認知されている、それこそがジブリ映画の『音楽:久石譲』たる凄みだと思っています。

ジブリ映画の音楽が担う役割の比重、ジブリ映画はTV放送など鑑賞回数が多い、そんな他の要因ももちろんあるかもしれませんが、…でも『耳をすばせば』という映画作品が好きだったとして、「カントリー・ロード」以外に、思い浮かぶ劇中音楽やメロディがあるか、と言われればなかなか難しいかもしれません。

 

今回発売された『スタジオジブリの歌 -増補盤-』それ自体ももちろん素晴らしいです。ここまで正規に・公平に・正統に網羅されるベスト・アルバムはどんなジャンルにおいてもなかなかありません。まさに出し惜しみしないスタジオジブリの真摯な姿勢が現れているというところでしょうか。

収録楽曲を聴いても、各々ジブリ映画の世界へと一気に誘ってくれます。プレゼントにも喜ばれている逸品のようで、まさに世代を越えた、老若男女に愛されるジブリソングがぎっしり詰まっています。映画のために書き下ろされた楽曲がほとんどで、そこにもスタジオジブリの歌や音楽に対する力点を感じますし、そういった楽曲たちが後のスタンダード曲となって引き継がれていくんだろうなあと改めて思います。

「ここまで網羅するなら3枚組にしてBGMを集めた音楽集もつけてほしかった」そんなコメントもちらほら見かけるほどで、やはりそこには久石譲音楽がジブリ作品と切っても切れないほどお茶の間に浸透している証拠なのではと思います。

 

今回はたまたま本作品の発売に際して、収録楽曲のラインナップを眺めていて思った、いや再認識した「音楽:久石譲」の凄みについてでした。

残念ながら、今企画と同類の純粋な「スタジオジブリ サウンドトラック ベスト・アルバム」のような作品は発売されていません。それでも『ジブリ・ベスト ストーリーズ』(2014)というベストアルバム作品はあります。同作品は、久石譲名義で初のジブリ・ベスト盤ですが、全曲サウンドトラック盤からではなく、久石譲が音楽作品として再構成した自身のソロ・アルバムに収録された楽曲群です。詳しいレビューは下記ご参照ください。

Blog. 久石譲 初ジブリベスト 宮﨑駿 x 久石譲 30周年 CD発売決定!
Disc. 久石譲 『ジブリ・ベスト ストーリーズ』

 

入門編としては太鼓判の作品です。もっと奥深くジブリ作品「音楽:久石譲」の世界へとのめり込みたい方は、ディスコグラフィーにてカテゴライズしています。イメージアルバム、サウンドトラックから、久石譲がオリジナル・ソロアルバムで再構成したもの、ピアノ・ソロ、オーケストラ。映画公開から数年~数十年の時が流れ久石譲によるジブリ音楽は今もなお進化しつづけていることがわかります。

ちょうど2014年久石譲はジブリ作品の交響組曲化を始動させ、記念すべき第1弾「交響詩 風の谷のナウシカ」完全版が同年コンサートでお披露目されました。久石譲が現在においても30年以上の時を越えて手を加えて、さらに完成度の高い音楽作品へと昇華する活動をしている。裏を返せば、30年以上の時を越えて、今でも聴かれつづけている、聴きたい聴衆がいつづける、色褪せることのない新鮮な魅力を保ちつづけている。ジブリ映画のおける「音楽:久石譲」はすでに未来へのスタンダード軌道に入っているのです。

Studio Ghibili ディスコグラフィー

 

スタジオジブリの歌 増補版

スタジオジブリの歌 オルゴール 増補版

 

Blog. 久石譲×今井美樹 極上コラボレーションの軌跡

Posted on 2015/11/29

久石譲と今井美樹。

90年代に一緒に仕事をしている二人ですが、なぜ今このタイミングで取り上げるかというと、「季節 ~冬~」と「オールタイムベスト盤発売」というふたつです。

最初に結論を言ってしまうと、”ぜひ「遠い街から」という隠れた名曲をこの冬聴いてください!”

 

 

出会い編

1987年公開映画「漂流教室」(監督:大林宣彦 音楽:久石譲)

この作品の劇中音楽を担当していたのが久石譲です。そしてその主題歌を歌ったのが今井美樹です。

「野性の風」
作詞:川村真澄 作曲:筒美京平 編曲:久石譲

今井美樹の2作目のシングルにしてなんとも豪華な制作陣です。ちなみにサントラ盤に収録されていたとも思いますが、今井美樹は同楽曲を英語(劇中)、日本語(エンドロール)で歌っています。

 

 

プロデュース編

そして満を持して久石譲x今井美樹のコラボレーションが実ったのが7枚目のアルバム「flow into space」(1992)です。

今井美樹オフィシャルサイトでの、作品コメントには、

————————————————-
「全く新しい今井美樹」を探して、久石譲プロデュースで、東京とロンドンで録音。人気曲「The Days I Spent With You」「amour au chocolat」の2曲は布袋寅泰さんから初めての楽曲提供でした。「Blue Moon Blue」での美しいストリングスアレンジや、「かげろう」「雪の週末」など個人的にも大好きな楽曲がいっぱいです。
————————————————

とあります。

 

 

収録楽曲
1.Blue Moon Blue Re-mix (4:31)
作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華 編曲:久石譲
2.amour au chocolat (5:25)
作詞:今井美樹 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
3.素敵なうわさ (5:13)
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:浦田恵司
4.The Days I Spent With You (5:47)
作詞:岩里祐穂 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
5.かげろう Re-mix (5:48)
作詞:今井美樹 作曲:MAYUMI 編曲:久石譲
6.永遠が終わるとき (5:26)
作詞:川村真澄 作曲:久石譲 編曲:久石譲
7.雪の週末 (5:04)
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:久石譲
8.flow into space (3:52)
作詞:今井美樹 作曲:上田知華 編曲:浦田恵司
9.遠い街から (5:24)
作詞:今井美樹 作曲:久石譲 編曲:久石譲

今井美樹 flow into space

 

久石譲が作品プロデュースを担当し、収録全9曲中、作曲2曲、編曲7曲と、久石譲カラーが強くでています。今井美樹の音楽方向性においても大きな分岐点となった作品と言われています。より透明感のある大人な女性、そして布袋寅泰との共同作業へ。

「Blue Moon Blue」はシングル曲なので、聴いたことある方もいるかもしれません。アコースティック・サウンドでとてもお洒落な仕上がりです。久石譲寄り目線で見るならば、間奏の久石譲によるピアノの旋律が、同時期作品「ぴあの」(NHK朝の連続テレビ小説 主題歌)を彷彿とさせ、聴いているだけでニンマリしていしまいます。

 

 

そしてなんといっても隠れた名曲といえば、

 

「遠い街から」

アルバムの最後を飾る「遠い街から」です。

イントロのピアノの調べから、徐々に重なりあうストリングス、透きとおった歌声。今井美樹による歌詞も遠く恋人を待ちわびる女性と冬の情景が広がる世界。久石譲プロデュース作品としては、このアルバム1作のみで、その後シングルとしてもコラボレーションは現在に至るまでないです。それだからこそ、1992年のこの作品を残してくれたことが素晴らしいの一言に尽きます。楽曲提供をしたうちのひとつになるので、久石譲としては忘れているとしても致し方ないのですが、

……

なんと2007年に久石譲自身のコンサートで取り上げています。「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ There is the Time」全国7公演中、3公演プログラムにて、ヴォーカルは林正子さん。忘れていなかったんですね、名曲を。

 

 

オールタイム・ベスト

2015年10月7日発売
「Premium Ivory -The Best Songs Of All Time-」 今井美樹

今井美樹デビュー30周年目のアニバーサリーイヤーに、彼女のシンガーとしての足跡を辿る全レーベルの垣根を越えたオールタイム・ベストアルバムをリリース。

数々の大ヒット曲はもちろん最新作「Colour」からも選曲、これまでとこれからの代表曲を選りすぐったCD2枚組で全31曲を収録。全曲新たにリマスタリングを行い、エンジニアには日本音楽界の至高・オノセイゲン氏を迎え、ジャケット写真には巨匠・篠山紀信氏の撮り下ろしが決定。

通常盤はCD2枚組で2,980円(税抜)というスペシャル・プライスを設定。コアファンからライトユーザーまで完全に網羅したパッケージで発売。まさにアニバーサリーイヤーを飾るに相応しい、究極のプレミアム・ベスト。 【通常盤/2CD】

(Amazon商品説明より)

●DISC 1
1. PIECE OF MY WISH
2. 瞳がほほえむから
3. Miss You
4. 遠い街から
5. Goodbye Yesterday 6. PRIDE
7. 卒業写真
8. 春の日
9. Blue Moon Blue
10. 愛の詩
11. 陽のあたる場所から
12. 雨のあと
13. 野性の風
14. 夕陽が見える場所
15. 太陽のメロディー (New Recording)

●DISC 2
1. Anniversary
2. ふたりでスプラッシュ
3. SATELLITE HOUR
4. 彼女とTIP ON DUO
5. オレンジの河
6. Boogie-Woogie Lonesome High-Heel
7. FLASH BACK
8. 氷のように微笑んで
9. ホントの気持ち
10. 夏をかさねて
11. 汐風
12. 夢
13. 中央フリーウェイ
14. 微笑みのひと
15. DRIVEに連れてって
16. 幸せになりたい

今井美樹

 

 

30周年という長い音楽活動の総決算でもありますから、おそらく候補曲もシングルからアルバムと多かったと思います。久石譲関連作品としては、「野性の風」「Blue Moon Blue」「遠い街から」の3曲が収録されています。先の2曲はシングル曲としても、「遠い街から」は過去アルバム収録曲の1曲です。30年という時間を越えて選ばれた!名曲たる所以が証明されたのではないでしょうか。

選ばれたことがうれしいというよりも、正直なところ一番おいしいのは何と言っても音質の向上です。1992年オリジナル盤と2015年オールタイム・ベスト盤、久石譲作品3曲を聴き比べもしましたが、新たにリマスタリングされたその音質のクリアさは素晴らしい!まさに甦る名曲たち!です。

約20年を経ての音響技術の進歩はすごいです。原曲が加工されるということではなく、より制作当時の、制作陣たちが聴いて作っていた音、つまりマスターテープの音質に近い音響で聴くことができる。作り手と聴き手の耳に響くサウンドがより近くなる。

この点においては、パッケージ化しておくことの、現代社会、技術発展の恩恵のひとつではとも思います。久石譲寄りばかりで申し訳ないですが…久石譲のピアノも、ほどこしたアコースティックな編曲も、すべてが生き生きと透明感たっぷりに堪能できます。もちろん、久石譲全面プロデュースによる「flow into space」を1枚まるまる聴いてみてほしいところもありますが、そのきっかけとしても、この最新オールタイム・ベスト盤は一聴の価値ありです。

そして当サイトのディスコグラフィーには、オリジナル盤「flow into space」を収載していますので、このオールタイム・ベスト盤はラインナップから外れる、ということもあり、ブログにて紹介させていただきました。

 

 

番外編

1990年代は、久石譲がJ-POP界でも活躍していた時代です。初期のアーティスト楽曲提供や編曲担当ともまた違い、どっぷりと腰を据えて、アーティスト・プロデュースをしていた時代です。今井美樹のほかにも、純名里沙、西田ひかる、本名陽子 etc…

そのほとんどは今井美樹などと同じく、自らが音楽を手がけた映画やTVドラマなどでの出会いがきっかけです。そういった『久石譲プロデュース』および『久石譲楽曲提供』はディスコグラフィー内にカテゴリーあります。ぜひご覧ください。

久石譲 プロデュース | Produce Work

 

 

「野性の風」も「Blue Moon Blue」も、久石譲のアレンジ極意をたっぷりと味わうことができます。やっぱり久石譲だな、久石譲の音だと思った、と。作曲ではないのに、編曲だけでそう思わせてしまう、やはり強烈な音楽性なのだと思います。今井美樹の歌声も素敵です。

これから寒くなる12月に聴く「遠い街から」も、クリスマスを目前に聴く「遠い街から」も、一番寒さのきびしい1-2月に聴く「遠い街から」も、温かいサウンドとぬくもりに包まれる名曲です。いつしか、シンフォニック・インストゥルメンタル・ヴァージョン、夢のまた夢で聴いてみたいと願いをこめて。

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリの歌 増補盤』

2015年11月25日 CD発売 TKCA-10171

 

スタジオジブリ設立30周年記念!
これ一枚でスタジオジブリの全てが分かる!

スタジオジブリ設立から30年を記念して、
ジブリ映画の楽曲を網羅した究極のアニバーサリー盤が登場!

2008年リリース、「崖の上のポニョ」までのスタジオジブリ代表作の主題歌・挿入歌を網羅したオムニバス「スタジオジブリの歌」。このアルバムに「借りぐらしのアリエッティ」「コクリコ坂から」「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」「思い出のマーニー」の5作品を追加した、ファンには嬉しいアニバーサリー盤が高音質のHQCDとして登場。全ての世代に愛されるスタジオジブリの永久保存版として一家に一枚。

全楽曲同内容のオルゴール盤『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤-』も同時発売された。

 

早期購入特典:スタジオジブリ特製ポスター (全作品を1枚ポスターとして特製)

スタジオジブリの歌 特典 1

 

早期同時購入特典:スタジオジブリ復刻チラシ21枚セット(全作品劇場公開時)
(『スタジオジブリの歌-増補盤-』+『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤』同時購入)

24作品中「On Your Mark」のチラシは制作されておらず、「となりのトトロ」と「火垂るの墓」、「猫の恩返し」と「ギブリーズ episode2」 は公開時にそれぞれ2本立てだったため2作を1枚で制作のため、21枚セットとなっている。

スタジオジブリの歌 特典 2

 

 

 

 

 

 

スタジオジブリの歌 増補版

[DISC.1]
01. 風の谷のナウシカ(風の谷のナウシカ) 安田成美
02. 君をのせて(天空の城ラピュタ) 井上あずみ
03. さんぽ(となりのトトロ) 井上あずみ
04. となりのトトロ(となりのトトロ) 井上あずみ
05. はにゅうの宿(火垂るの墓) アメリータ・ガリ=クルチ
06. ルージュの伝言(魔女の宅急便) 荒井由実
07. やさしさに包まれたなら(魔女の宅急便) 荒井由実
08. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ) 都はるみ
09. さくらんぼの実る頃(紅の豚) 加藤登紀子
10. 時には昔の話を(紅の豚) 加藤登紀子
11. 海になれたら(海がきこえる) 坂本洋子
12. アジアのこの街で(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
13. いつでも誰かが(平成狸合戦ぽんぽこ) 上々颱風
14. カントリー・ロード(耳をすませば) 本名陽子
15. On Your Mark (On Your Mark) CHAGE and ASKA
16. もののけ姫(もののけ姫) 米良美一
17. ケ・セラ・セラ(ホーホケキョとなりの山田くん)山田家の人々ほか
18. ひとりぼっちはやめた(ホーホケキョとなりの山田くん) 矢野顕子

[DISC.2]
01. いつも何度でも(千と千尋の神隠し) 木村弓
02. 風になる(猫の恩返し) つじあやの
03. No.Woman, No Cry (ギブリーズepisode2) Tina
04. 世界の約束(ハウルの動く城) 倍賞千恵子
05. テルーの唄(ゲド戦記) 手嶌葵
06. 時の歌(ゲド戦記) 手嶌葵
07. 海のおかあさん(崖の上のポニョ) 林昌子
08. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ) 藤岡藤巻と大橋のぞみ
09. The Neglected Garden [荒れた庭](借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
10. Arrietty’s Song (借りぐらしのアリエッティ) セシル・コルベル
11. 夜明け~朝ごはんの歌(コクリコ坂から) 手嶌葵
12. 上を向いて歩こう(コクリコ坂から) 坂本九
13. さよならの夏~コクリコ坂から~ (コクリコ坂から) 手嶌葵
14. ひこうき雲(風立ちぬ) 荒井由実
15. いのちの記憶(かぐや姫の物語) 二階堂和美
16. わらべ唄(かぐや姫の物語)
17. 天女の歌(かぐや姫の物語)
18. Fine On The Outside (思い出のマーニー) プリシラ・アーン

HQCDリマスター音源

全56ページオールカラーブックレットつき
<ブックレット内容>全映画の●作品データ●公開当時ポスター絵柄●全曲歌詞

 

Disc. V.A. 『スタジオジブリの歌オルゴール 増補盤』

2015年11月25日 CD発売 TKCA-74303

 

スタジオジブリ設立30年を記念したアニバーサリー盤が登場。誰もが知ってる、口ずさめるスタジオジブリの数々の名曲を癒しのオルゴールの音色で。

2008年発売『スタジオジブリの歌 オルゴール』に、『借りぐらしのアリエッティ』『コクリコ坂から』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『思い出のマーニー』の5作品を追加収録。

全楽曲同内容のオリジナル歌唱盤『スタジオジブリの歌 -増補盤-』も同時発売された。

 

早期購入特典:スタジオジブリ特製ポスター (全作品を1枚ポスターとして特製)

スタジオジブリの歌 特典 1

 

早期同時購入特典:スタジオジブリ復刻チラシ21枚セット(全作品劇場公開時)
(『スタジオジブリの歌-増補盤-』+『スタジオジブリの歌オルゴール -増補盤』同時購入)

24作品中「On Your Mark」のチラシは制作されておらず、「となりのトトロ」と「火垂るの墓」、「猫の恩返し」と「ギブリーズ episode2」 は公開時にそれぞれ2本立てだったため2作を1枚で制作のため、21枚セットとなっている。

スタジオジブリの歌 特典 2

 

 

スタジオジブリの歌 オルゴール 増補版

[DISC.1]
01. 風の谷のナウシカ(風の谷のナウシカ)
02. 君をのせて(天空の城ラピュタ)
03. さんぽ(となりのトトロ)
04. となりのトトロ(となりのトトロ)
05. はにゅうの宿(火垂るの墓)
06. ルージュの伝言(魔女の宅急便)
07. やさしさに包まれたなら(魔女の宅急便)
08. 愛は花、君はその種子(おもひでぽろぽろ)
09. さくらんぼの実る頃(紅の豚)
10. 時には昔の話を(紅の豚)
11. 海になれたら(海がきこえる)
12. アジアのこの街で(平成狸合戦ぽんぽこ)
13. いつでも誰かが(平成狸合戦ぽんぽこ)
14. カントリー・ロード(耳をすませば)
15. On Your Mark (On Your Mark)
16. もののけ姫(もののけ姫)
17. ケ・セラ・セラ(ホーホケキョとなりの山田くん)
18. ひとりぼっちはやめた(ホーホケキョとなりの山田くん)

[DISC.2]
01. いつも何度でも(千と千尋の紙隠し)
02. 風になる(猫の恩返し)
03. No.Woman, No Cry (ギブリーズepisode2)
04. 世界の約束(ハウルの動く城)
05. テルーの唄(ゲド戦記)
06. 時の歌(ゲド戦記)
07. 海のおかあさん(崖の上のポニョ)
08. 崖の上のポニョ(崖の上のポニョ)
09. The Neglected Garden [荒れた庭](借りぐらしのアリエッティ)
10. Arrietty’s Song (借りぐらしのアリエッティ)
11. 夜明け~朝ごはんの歌(コクリコ坂から)
12. 上を向いて歩こう(コクリコ坂から)
13. さよならの夏~コクリコ坂から~ (コクリコ坂から)
14. ひこうき雲(風立ちぬ)
15. いのちの記憶(かぐや姫の物語)
16. わらべ唄(かぐや姫の物語)
17. 天女の歌(かぐや姫の物語)
18. Fine On The Outside (思い出のマーニー)

全56ページオールカラーブックレットつき

 

Info. 2015/11/24 [雑誌] 「月刊ピアノ 2015年12月号」 久石譲インタビュー掲載

11月20日発売の「月刊ピアノ」2015年12月号
「Artist Interview」に久石が登場。
アルバム「ミニマリズム 2」の魅力をふくめての紹介や、
いよいよ来月に差し迫ったコンサート「第九スペシャル」について語っています。
ぜひご一読ください。

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Info. 2015/11/24 [CDマガジン] 「クラシック プレミアム 50 ~ガーシュウィン/バーンスタイン~」 久石譲エッセイ連載 発売

2015年11月24日 CDマガジン 「クラシック プレミアム 50 ~ガーシュウィン / バーンスタイン~」(小学館)
隔週火曜日発売 本体1,200円+税

「久石譲の音楽的日乗」エッセイ連載付き。クラシックの名曲とともにお届けするCDマガジン。久石による連載エッセイのほか、音楽評論家や研究者による解説など、クラシック音楽の奥深く魅力的な世界を紹介。

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Blog. 「クラシック プレミアム クラシック プレミアム 49 ~ブルックナー~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2015/11/20

クラシックプレミアム第49巻は、ブルックナーです。

 

今回は長いです、所感が。

久石譲のエッセイに際して、いろいろ数珠つなぎとなってしまい、久石譲が指揮をしたドヴォルザーク作品から、はたまたベートーヴェン「第九」のことまで。(そして、おまけつき)

 

【収録曲】
ブルックナー
交響曲 第9番 ニ短調 (ノヴァーク版)

カルロ・マリア・ジュリーニ指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1988年

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第47回は、
「商業化された大量生産」の音楽の台頭と行く末

音楽の進化をテーマに、楽典さながらの音楽講義もまじえながら、進んできたエッセイもいよいよ現代、今日の音楽のお話です。おそらく音楽業界に携わる多くの人が問題意識として、危惧していること、警鐘していること、そして久石譲の考えが正面からストレートに語られています。

 

「T・W・アドルノが書いた『新音楽の哲学』という本がある。その序文で「音楽現象そのものが商業化された大量生産に組み込まれることによってこうむる内的変化を立証し、同時に標準化された社会で起きている一定の人類学的変位がいかに音楽聴取の構造にまで入り込んでいるか……」などと、何回読んでも僕には意味がつかめない難しい言い回しが続く。この本自体はシェーンベルクとストラヴィンスキーを比較しながら(大雑把に言って)20世紀の音楽のあり方を論じているのだが、作者はユダヤ人でその論理的明晰さに脱帽したくなるが、読むにはかなり重度の忍耐が必要だ。」

「彼の言うように20世紀は「商業化された大量生産」の音楽が著しく台頭した時代だった。レコードの発達である。それまではホールなどに出向き、いくばくかのお金を払い、一期一会の音楽を楽しんでいたのだが、家で好きな時に好きなだけ聴けるようになった。音楽はレコードというパッケージになり、商品として流通経済の1アイテムになったわけだ。そこで誕生したのがポピュラー音楽だった。ちなみにウィキペディアで検索してみると「広く人々の好みに訴えかける音楽のことである」と書いてあった。なるほど、人々の好みか……?」

「その土台となった音楽は奴隷としてアメリカに渡った黒人と白人のあいだで生まれたデキシーランド・ジャズだということは前に書いた。それがロックンロールになり、ロックになり今日のエンターテインメント音楽になったのだが、その論理的な構造はいたってシンプル、機能和声で述べたとおりメロディーと伴奏の和音が主体である。だが小学校の教科書に載っている音楽の3要素はメロディー、和音、リズムとあるように、これほどまでにポピュラー音楽が世界を席巻したのは実はリズムの力である。先ほどのアフリカから来た黒人のリズムが入ることによって、ヨーロッパ系の機能和声中心の歌曲(一部のフォークソングを含む歌謡形式)から大きく変貌した。4リズムという編成がある。これはドラム、ベース、ギター、ピアノ(キーボード)のことをいうのだが、見事に音楽の3要素そのものではないか。これをバックにメロディーの象徴であるヴォーカルが入るのだから完璧である。だからドームを埋め尽くすコンサートライヴも小さなライヴハウスのバンドもベーシックは同じ編成なのである(もちろん弦を入れたり管楽器を入れたりコーラスを入れたりするが)。シンプル・イズ・ベスト、だが!である。目にあまる商業主義の中で、音楽は本当に豊かになったのか? プロとアマチュアの境も無く人気者が余興のように歌う音楽で(もちろんそうではない本物の歌い手もいるが)、人々は「人々の好みに訴えかける」というポピュラー音楽を心から楽しんでいるのか? 感動はあるのか? コンピューターでは音楽を情報化して定額料金で聴き放題などというふざけた話がある。それは音楽の尊厳を踏みにじる行為である。「商業化された大量生産」の音楽の行く末がこれなら、世界から本物の作曲家が消えていくだろう(食べられなくなるから)。もうこちら側に未来はないのかもしれない。」

「話を戻して、レコードの発達は一方のクラシック界にも影響を与えた。例えばソナタ形式の提示部の繰り返し(前に説明すると約束した)だが、レコード化されるときにカットされることが多くなった。レコードは片面約15~20分、両面で交響曲がやっと入る長さなのでその時間の制約が大きかった。もちろんそれだけではない。時代はたらたらした長いものより、よりコンパクトでスピードのあるもの、そして大掛かりなもの、つまりオーケストラの編成も巨大化したものを求めていった。その象徴がカラヤン、ベルリン・フィルだった。もちろん他のオーケストラも同じ道を辿っていった。」

「ソナタ形式の繰り返しは今のことから逆に辿っていくとわかる。ソナタ形式の重要なことは第1主題と第2主題にある。それが提示され、どのように展開され、またどのように再現されるか、それを聴き分けるためには第1主題と第2主題を印象づけなければならない。だから繰り返すのである。当時はホールでしか聴かなかったから(家では聴けない)繰り返す必要があった。それが提示部についているリピートマークの意味だと僕は考えているのだが、今の時代でもそのことは有効であると思っている。だから指揮をする時、提示部は繰り返すようにしている。」

「「商業化された大量生産」のパッケージはレコードからCDになり、今ではダウンロードが主流になりつつある。手軽に便利はいいことなのだろうか?」

「人の生活はものや情報で豊かにはならない。爆買する中国人を見て豊かだと思うだろうか? 我々はどこかに置いてきてしまった大事なものをもう一度取り戻さなければならない。」

 

 

なかなか重い問題提起であり、おそらく多数決でも答えのでない永遠のテーマのような気もします。そこには時代の流れ、芸術の社会的地位、そして時代が今求めているもの、いろいろな側面があるからです。

たしかに大量生産というのは、みんなが同じものを、同じ品質で、同じように、得ることができる。つまり平等で均一な満足感。

一方では、大量に存在することでの価値の低下、過度な需要供給バランス、有り難みを感じない浪費、つまり商品サイクルを短くします。希少性がない、価値が低いと感じられるモノは、流行り廃りが早いのは当然です。裏を返せば「飽きる」ということは、「入れ替わり」がいかようにでもきくという環境にあるということです。それは音楽であっても物質的なモノであっても。

 

久石譲の言葉を何回も読み返しながら思った結論としては、、ご本人の意図とは違うかもしれないという注釈をしたうえで、レコード化されて家でも簡単に聴けちゃうことでもなく、大量生産され商業化され音楽の尊厳を踏みにじられることでもなく、”ホンモノとしての音楽がしかるべき扱いをうけられない時代”ここなのかなと思いました。

 

レコード化すること、コンピューターを駆使して、オケを束ねて、あらゆる手段で音楽を作り出すこと、パッケージに残すことは、これまで音楽家にしかできなかったことです。そこには膨大なお金も時間も資源も必要だったからです。それが誰でも簡単にできるようになった。できるようになったことが悪なのではなく、そこでプロとアマの区別化が正常にされなくなってしまった。それはプロとしては精進するべきことであり、一方では聴衆側にも求められることがあります。目利き耳利きといった正常な区別をできること。

膨大なソース(人,金,資源)を使って、音楽を作り続け、伝え続けるプロ。作ることにも、伝えること(演奏披露)にも、同じように膨大なソースが必要ということです。反比例して、音楽というものはあらゆる芸術の中でも、とりわけ日常生活に密接に関わっているもの。手軽さや便利さを求めることもまたしかり。そこで登場するアマに関しては、プロほどのソースが必要なく、また手軽に音楽をつくることも伝えることもできる。

 

また別の角度からの音楽のパッケージ化は、受け手側からすると喜ばれることもまたしかり。・・発信側の多様化と、受け手側のニーズの多様化と・・これらの事象が分別なく交錯しすぎているからではないかと。

 

プロはすごい、技術力が上、アマはダメ、技術力が乏しい、のではなく、アマは一発勝負やビギナーズラックでもOK、しかしプロは継続してプロなわけです。だから同じ土俵で天秤にかけること自体がそもそも違うような気もしますね。

プロに対する正当な評価として対価を払うこと。CD、楽譜、コンサートなどお金を払って手にする対価、演奏会など足を運んで時間を払って手にする対価、その両軸のサイクルによって、聴かれつづけ、演奏されつづけ、残っていく音楽。瞬間的にアマが台頭する現代社会が仮にあったとしても、やはり長い目で見たときには、プロの作品が引き継がれていくのでは、自然と。と思ったりもします。残るものとしてカタチにすることも、一般社会に浸透させていく対マスの力も、やはりプロが優っているわけですから。

 

ということで、結論としては、

”ホンモノとしての音楽がしかるべき扱いをうけられない時代”

”プロに対して瞬間的な実績や評価が求められてしまう時代”

流行り廃りのサイクルが過剰な現代社会も時間の尺度として音楽家や芸術家には負のスパイラルというわけです。だからプロとしての音楽家が生き残っていけない。クラシック音楽の巨匠たちは、ひとつの作品をつくるのに、少なくとも数年、長い人で十年以上かけもしていたわけですから。これも現代と古典を同じ土俵では比較できないのです。

 

堂々巡り。それを現すように書いている自分も支離滅裂、収拾ついてない。答えがないですね、だから。唯一の答えがあるとするならば、それは未来にしかわからないということです。

今から300-500年以上も前の音楽が今でも愛され続けている。ベートーヴェンやモーツァルト、バッハのようなクラシック音楽です。今から300年後に、今聴かれている音楽の何が残っているか。もしくはそうなるために、これから300年間、聴かれ、演奏され続けなければいけないということです。

そう考えると、クラシック音楽(宗教音楽から19世紀まで)以外はすべて20世紀の音楽です。ジャズもロックもポップスも。そこから派生したボサノヴァもタンゴもサンバもヘヴィメタもテクノも、すべて。だからこの約100年間で繁栄してきた今の音楽が、これからどう進化するか、現代人にはわからなくて当然かもしれません。

 

長くなったのでこの辺にしておかないと。

 

 

そういえば、本文中に「僕は提示部を繰り返すようにしている」と書かれています。たしかにそのとおりです。今年の5月演奏会での「ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より」(富山公演)のこと。

聴いたときに、あれ、なんかバージョンが違うと不思議に思った第1楽章。曲の途中でジャン!と鳴って、また聴きなじみのテーマが流れだしたので。あれは提示部を繰り返していたんですね。なかなかこの”提示部の繰り返し”ですが、名盤と呼ばれる名指揮者、名門オケのCDでも聴くことはできません。ほとんど繰り返していないからです。

だからコンサートで聴いたときに、普段耳馴染みがなかったので、一瞬で気づいてしまうインパクトだったんですね。この作品が収録されているCDをおそらく10枚以上は聴き比べました。単純に作品にハマって自分好みの1枚を探していたんです。”提示部の繰り返し”があったのは1枚でした。

それも久石譲のコンサート後に聴いた1枚からだったので、そこで”久石譲編曲!?”(そんなことするはずはありません)ではなく、あっ、これは”提示部の繰り返し”だったのか、と初めて気づいたわけです。

 

これに関しては、もう少し突っ込みたいところもあり、それはあらゆるクラシック音楽の作品には、スコアの版(バージョン)が複数存在するということなのです。

うーん、これを書き出すと、止まらないのですが、例えば有名なベートーヴェンの第九も、スコアが複数あるんですね。編曲されているということではなく、採譜に携わった人が違うという。

年末、第九をいろいろな指揮者によって公演する楽団は多く、12月は第九のオンパレードだから練習が楽かと思いきや、指揮者によって使用するスコアが違うと結構大変なようです。

X日 Xさん指揮の第九はX版だけど、
Y日 Yさん指揮の第九はY版なんだよね、と。

いくら演奏する音が同じであったとしても、見慣れない譜面に対応するのは、膨大な交響曲では大変なことです。さて、久石譲の「第九スペシャル 2015」では、どのスコア版が使用されるのでしょうか。

聴いてわかるわけがない!

 

(おまけ)

久石譲の音楽活動の歴史を見ても、久石譲の警鐘することの片鱗は見えなくもないのです。

初期はシンセサイザーを駆使していた久石譲が、ある時期を境に生音、オーケストラ楽器に移行していきます。これにもいろいろ伏線や理由はあるのでしょう。

でもひとつ言えることは、当時シンセサイザーを使うこと、そしてそこから鳴る音も含めて、アーティストとしてのオリジナリティとして扱われたわけです。何のシンセサイザーやシーケンサーを駆使しているか、どんな音をプログラムして作っているか、これもアイデンティティであり、音楽家の個性だったわけです。

それが無くなってしまった、簡単に模倣できるようになってしまった。あるいは、今後残っていかない、その時だけ鳴らすことのできる”音”。だからデジタル楽器からは距離を置いたところで、奏者と楽器と演奏技術が不可欠な生楽器へと移行していった。

これも久石譲の音楽と現代社会に対するひとつの答えゆえのような気もするのですが。どうなのでしょうか。

……

新鮮味のある音、意表をつく音、奇抜な音、ここで勝負できなくなったということは、裸にされた楽曲は残るメロディや旋律だけでの勝負となるわけです。そこで久石譲は勝負することを決意した。(推測)

そして古典クラシックを学びなおすこと、指揮すること。次に磨きをかけたことが楽曲の構成力とオーケストレーション。もちろん裸にされても核として強い旋律を突きつめ、削ぎ落としても貧弱にはならないメロディとなる。

同時にそれは短いモチーフからなる原点のミニマル・ミュージックをさらに進化させることにもつながる。そうして今の久石譲音楽があるような気がします。

 

だから、数年前からクラシック音楽に傾倒していることも、シンセサイザーを全面的には使わなくなってしまったことも、過去から見れば名残惜しいと思えることも、未来から見ればあながち正統な道なのかもしれません、よ。

過去のシンセサイザーは今や古びれて使われませんが、オーケストラ楽器や生楽器は何百年と続いています。久石譲の音楽が300年後に演奏されているとしたら、おのずと、、そういうことなのかもしれませんね。

 

今回は持論が溢れ出てしまいました。

この素材だけで「久石譲論文」が書けそうですが、それはまたゆっくりと腰を据えたときにでも。

 

クラシックプレミアム 49 ブルックナー

 

Blog. 久石譲 「千と千尋の神隠し」 インタビュー 劇場用パンフレットより

Posted on 2015/11/19

2001年公開 スタジオジブリ作品 映画『千と千尋の神隠し』
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

映画公開に合わせて劇場で販売されたパンフレットより、久石譲の音楽制作インタビューです。

 

 

音楽・久石譲

千尋の心情が引き立つように全体を構成

根底にあるのは素朴で懐かしい感じ

-今回の音楽はガムランであったり、沖縄民謡的なものであったり、エスニック的なものなどさまざまなものが使われている中で、メインはフルオーケストラでしっかり押さえているという印象がありますが、映画音楽全体の構成はどのように考えられていたんですか?

久石:
「実はこの作品のテーマを表現するためにオーケストラが必要かどうかっていうのは、よくわからないんですよ。主人公の心情だけを追っていくことを考えたらピアノ一本でも充分なわけだから。だけどあの世界観を表現するにはやはりフルオーケストラぐらいの広がりがないとダメだと思ったんです。それで宮崎さんもすごくその場の空気感を大事にされる方だから、今回はスタジオで収録するのではなくて、コンサートホールでライブで録ったんです。それはすごく成功していると思う。それでエスニックやガムラン、バリ島の音楽、沖縄民謡、中近東やアフリカのものまでいろんなものを使っているんだけど、それらは料理でいう飾りつけみたいなもので、実はそこにはあまり意味がないんです。意味があるとすれば、それは作品自体が限定した空間のリアリティを求めているものじゃないですから、いろんなものを使うことによって閉じた感じをなくしてどんどん広がりを出す。そのための手段として使った。それだけです。

僕がこの作品の音楽をつける時に一番考えたことは、最後まで等身大の十歳の女の子を表現するにはどうしたらいいかということだけでしたから。例えばピアノと弦楽器だけの曲であるとか、単音のピアノでメロディを弾いている曲の持つ静けさを大事にしたつもりです。そしてその千尋のテーマ曲ともいえる曲が静かな分だけ、他の楽曲をやかましくして、千尋の心情が引き立つように全体を構成していったんです」

 

-その辺りについてもう少し伺えますか?

久石:
「映画の後半に千尋が海の上を走る電車に乗って銭婆のところへ向かうシーンがあるんですけど、僕はあのシーンが宮崎さんが今回一番やりたいところだったと思っているんです。それでイメージアルバムの中にある『海』という曲が、そのシーンにすごく合うんですよ。宮崎さんもイメージアルバムを作った時にその曲を真っ先に気に入ってくれたんですけどね。だからそれが千尋のテーマ曲の根底なんです。非常に素朴で懐かしい感じ。ひとりぼっちなのに前向きに生きるひたむきさ。そしてその中にある優しさ。つまりこの映画は誰の中にもあるそういうものを表現した作品なんですよ。それでこれは宮崎さん特有のものだけど、最後に主人公を救っていない。突き放しているんです。つまり宮崎さんは子ども向けの映画の体裁をとっているんだけど、大人も含めたいろんな人に向けて自分のメッセージを発しているんですよ。その根底にあるのが、イメージアルバムの中にある『海』という曲であり、その曲が使われるシーンだと思います」

 

宮崎さんの私的な心情が色濃く出ている作品

-今回の音楽には、湯婆婆やカオナシといったキャラクターのテーマ曲も作られている感じがありますが。

久石:
「僕は登場人物それぞれに音楽をつけるのはあまり好きではないんですけどね。今回は音楽のスタンスをどこにとるかを考えた時に、最初から最後まで千尋に降りかかる災難と彼女の心の動きだけを追っていくにはあまりにエキセントリックにいろんなことが起きすぎていましたからね。彼女の周りで起こる状況にも音楽をつけざるを得なかったんです。そうすると当然、千尋の周りに出てくる個性的なキャラクターの音楽も必要になったわけです。

でもその中で、湯婆婆だけは最後までキャラクターがつかみきれなかったですね。宮崎さんの作品っていうのは複雑で、善人が悪を抱えていたり、クールなキャラクターなのにその裏には優しさがあったり、必ず二律背反している。しかもその両方を宮崎さんは求めますから。そういう意味で湯婆婆のテーマ曲は最後まで手こずりましたね。オーケストラのスコアを書いてる途中で、もう一回ベーシックから全部作り直しましたから。それで結局どういうものにしたのかというと、ピアノの一番高い音と低い音が同時になるような、通常の楽器を使っているのに通常の音がしないような、そんな感じを湯婆婆のキャラクターサウンドにしたんです。個人的には気に入っています」

 

カオナシについてはいかがですか?

久石:
「カオナシは影の主人公ですよね。短く頻繁に登場する。彼の動きをずっと見ていくと、ある意味そのキャラクターは主人公より明解なんですよ。だから逆にカオナシのテーマ曲はかなり真剣に作りました。でもそれがどういうものかというのは、言葉で説明してもしようがないので、映画を見て下さいとしか言えません」

 

-音楽作業をほぼ終えられた今、久石さんのこの作品に対する印象は?

久石:
「根底にあるものはこれまでの作品と一緒だと思うんですけど、宮崎さんの私的な心情が色濃く出ている作品だなって感じます。”豚”が登場していますが、その作品と作家としての宮崎監督の距離が近づいている印象がありますよね。そういう意味ではこの映画には宮崎さん自身が経験したことや体験したことがかなり入っているんじゃないかと思います。だからこそこの映画は宮崎さんの作品の中でも今までにない大傑作になった。そう感じています」

2001年6月6日/スタジオ ワンダーステーションにて

(映画「千と千尋の神隠し」劇場用パンフレット より)

 

 

なお、「ジブリの教科書 12 千と千尋の神隠し」(2016刊)にも再収録されています。

 

 

そのなかには下記のようなエピソードも収録されています。

 

Part 1映画『千と千尋の神隠し』誕生
スタジオジブリ物語 空前のヒット作『千と千尋の神隠し』 項より

主題歌には宮崎作詞、久石譲作曲で『あの日の川へ』という曲が予定されていた。しかし宮崎の作詞作業が難航。二週間かかっても作詞をすることができなかった。そんな折、『いつも何度でも』を思い出した宮崎は、これ以上のものは自分にはできないと、この歌を主題歌にすることを提案し、そのように決まった。

(「ジブリの教科書 12 千と千尋の神隠し」より 一部抜粋)

 

 

千と千尋の神隠し パンフレット

 

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Blog. 久石譲インタビュー「米の作曲家を見習うべき」日本経済新聞 掲載内容

Posted on 2015/11/14

日本経済新聞 10月26日付 夕刊 / Web に久石譲のインタビューが掲載されました。

短い記事ではありますが、”今の久石譲”が色濃く表れ、これからの久石譲もうっすらと見えてくるような、そんなインタビュー内容になっています。

長い音楽活動のなかで、自身ソロ活動において、ヨーロッパ、イタリアなどを題材にしたことはありましたが、ここにきて”アメリカ”。たしかに直近の新作「ミニマリズム2」収録曲や、室内交響曲、コントラバス協奏曲などは、アメリカの匂いが漂っているなと、伏線がつながった気がします。「ポスト・クラシカル」という位置づけから、”アメリカ”を捉える。とても今後が楽しみです。

 

 

2015/10/26付 日本経済新聞 夕刊

「欧州よりも米国を見習うべきだ」。西洋クラシック音楽の流れをくむ現代の音楽を作曲する上で、米国を重視するようになった。「日本と同様、西洋音楽の長い伝統がない。ガーシュインやバーンスタインら米国の作曲家から学べる」

現代の音楽の演奏会「ミュージック・フューチャー」の第2弾を9月に東京都内で開いた。自作2曲と米国の作曲家の3曲を、自らの指揮による特別編成の管弦楽団などで演奏した。「自作を含めベースにあるのは、1960年代米国で生まれたミニマル・ミュージック」。最小限の音型を微妙に変化させながら延々と反復する音楽だ。大御所のスティーブ・ライヒらの作品を精緻に再現した。

自作ではエレクトリック・バイオリンの独奏を入れた「室内交響曲」を世界初演した。「エレキバイオリン自体が電気的に作られたアメリカンな楽器」と話す。エレキギター並みにエフェクター機能も使うなど「欧州の伝統音楽にはない新しい響きを感じてほしかった」と言う。

「現代の音楽」にこだわるのは、「同じような古典作品を毎回演奏するクラシック界の現状を変えたい」からだ。「かつてリゲティらの20世紀の作品にはパワーがあった。ロックでもセックス・ピストルズやルー・リードを聴いて人生が変わった人も多い。衝撃があるべきだ」

自らを「ポスト・クラシカル」と位置付ける。ミニマルから発展し、クラシックとポップスの垣根を越える作品を書く。「ポップス発祥の地の米国に学ぶ」のが理由だ。新CD「ミニマリズム2」に続き、10月29日には新作「コントラバス協奏曲」を世界初演する。看板だったアニメの映画音楽も超えて新たな世界を切り開く。

(ひさいし・じょう=作曲家)

 

久石譲 日本経済新聞 2015

※有料会員限定記事 (無料会員登録でも閲覧は可能)

公式サイト:日本経済新聞 Web より

 

Blog. 雑誌「モーストリー・クラシック 2015年12月号」久石譲 インタビュー内容

Posted on 2015/11/14

クラシック音楽誌「MOSTLY CLASSIC モーストリー・クラシック 2015年12月号 vol.223 」(10月20日発売)に久石譲のインタビューが掲載されています。今年2015年に発表した待望の最新ソロアルバム「ミニマリズム2」のことから、8月、9月、10月、そして12月へとコンサート活動もふまえて語られています。

 

 

多忙な活動の中、CD「ミニマリズム 2」をリリース
「自分の原点のミニマルをベースに、小さい編成でコンセプトが明快なら楽しいと思って作りました」

8月には自らが立ち上げた「ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)2015」の全国6回のツアー、9月には現代作品だけで構成される演奏会「Music Future」両プロジェクトを指揮。10月に初演する新作コントラバス協奏曲の作曲、「題名のない音楽会」の新テーマ曲やCM楽曲などの作曲と、多忙を極める中で、8月にソロアルバム「ミニマリズム 2」を発表した。

久石:
「前作の『ミニマリズム』は、それまで作ってきたミニマル的な作品や『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』や『シンフォニア』などをロンドン交響楽団とレコーディングしたものです。ただ、全体的にポップスの枠内でやろうとしている部分がちょっとありましたが、今回は自分が”作品”として作ったものを集めました」

今回は、室内楽中心の編成で、2009年に宮崎駿監督に贈り、特別な機会にしか演奏されずに”幻のピアノ曲”と呼ばれた「WAVE」、戦後70周年に書かれた「祈りのうた」、マリンバ2台の「Shaking Anxiety and Dreamy Globe」、4本のサクソフォンと打楽器の「Single Track Music 1」、「弦楽四重奏曲第1番」などが収録されている。

久石:
「今回はできるだけ小さい室内楽、マリンバ2人とか、サクソフォン4人とか。コンセプトが明快だったら、楽しく聴きやすいと思って作った曲が多いです。ただ、2台マリンバの曲は、2本のギターのために書いた作品を、マリンバ用に書き直したもので、変拍子が多くとても難しい。『シングル・トラック』は、線路の単線という意味で、それぞれが単旋律のユニゾンを演奏しますが、音域やズレが様々な音風景を生んでいます」

アルバムは、ミニマル・ミュージック(最小限に抑えられた音階とパターン化された音型を反復させる音楽)のソリッドなサウンドに貫かれている。

久石:
「僕の作曲の原点がミニマル・ミュージックで、若い頃はそれをベースに作曲していましたが、長い間、エンターテインメントの方で活動して封印状態だったんです。それが、2004年にW.D.O.を始めて、もう一度クラシック音楽をやり出したとき、ベースのミニマル・ミュージックに戻ろうと」

久石:
「世間で『ミニマルは古いよ』と言われていたのが、実情は違っていて、オペラをMETで上演したニコ・ミューリーやロックバンドとクラシックの両方で活躍するブライス・デスナー(いずれの作品も『Music Future』で紹介されている)といった作曲家や、テクノ系やクラブ・ミュージックまでに影響を及ぼし、『ポスト・クラシカル』と呼ばれているけれど、元々僕がずっとやってきたようなものだから、今の活動をやる意義が自分でも明快になりましたね」

10月には読売日響で自作のコントラバス協奏曲とオルフ「カルミナ・ブラーナ」を指揮、その模様は、日本テレビで収録され、「読響シンフォニックライブ」(日テレ、BS日テレ)の枠で放送される。(放送日:「カルミナ・ブラーナは12月予定、「コントラバス協奏曲」は16年1月予定)

(雑誌「モーストリー・クラシック 2015年12月号」より)

 

モーストリー・クラシック 2015年12月号