Blog. NHK WORLD 「Joe Hisaishi Special Program」 久石譲特番 放送内容

Posted on 2016/11/1

10月22日にNHK WORLDにて久石譲のスペシャル・プログラムが放送されました。

 

NHK WORLD
Entertainment Nippon 2016
Joe Hisaishi
Saturday, October 22 8:10/ 14:10/ 19:10
Sunday, October 23 2:10

In this episode we will be featuring Japan’s top composer, Joe Hisaishi.
In addition to creating music for movies, including many films from Studio Ghibli, Joe Hisaishi also composes symphonies and conducts orchestras, all the while continuing to push the limits of minimal music. His widespread appeal will no doubt resonate with music fans around the world.

(英文:NHK WORLD より)

 

NHKワールドとは、NHKの海外向けサービスで、日本とアジアの今を伝えるニュースや 番組を世界に発信しています。日本国内でも当日ライブストリーミングやスマホアプリとしても閲覧可能のようです。

海外向け全編英語および英語字幕、「Entertainment Nippon 2016」という番組枠で、日本から世界に向けたエンターテインメントを発信する番組です。その22日放送分が久石譲特集でした。約1時間のスペシャル番組、とても濃厚な内容でした。

約35年以上にも及ぶ久石譲の音楽活動をうまく組み立てた番組構成になっていました。もちろんジブリ作品、北野武作品から、オリジナル(コンテンポラリー)作品、最新コンサートまで、久石譲が凝縮された内容で、「久石譲とは?」と聞かれたら、『これを1時間見ればわかります!』と言えるほどの素晴らしいプログラム。

 

番組内容を要点のみご紹介します。

 

コンサート映像から

  • 「となりのトトロ」「メーヴェとコルベットの戦い」「遠い日々」「ふたたび」「タタリ神」「アシタカとサン」(2008 in 武道館より)
  • 「HANA-BI」「Asian X.T.C.」「Oriental Wind」(2006 コンサートツアーより)
  • 「Asian Dream Song」(2003 コンサートツアーより)
  • 「Orbis ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~ 新版」「交響曲 第9番(ベートーヴェン)」(2015 第九スペシャルより)

などが、ほぼフルサイズや抜粋版など盛りだくさんに散りばめられていました。そのほかにも多くのコンサート映像・楽曲が使われていました。最新コンサートからも(これは後ほど)。

[ひとり言]
2006年のコンサート映像は、当時TV放送されましたが録画保存できていてもVHS?!DVD?!…DVD化もされていないなかで今回高画質・高音質で放送されたことはかなり貴重だったりします。「Orbis」と「第九」はTV放送もされていない蔵出し映像。「Orbis」は新版第1楽章(オリジナル「Orbis」を基とした)でした。記録用として各種コンサートは映像も音源も収録しているのだと思いますが、このコンサートも収録してたんだ!映像あるなら…これ以上は言わずもがな。

 

インタビュー

鈴木敏夫プロデューサー、秋元康さん、ガブリエル・プロコフィエフ(Gabriel Prokofiev)さんが登場していました。推測ですが、おそらく番組用の撮り下ろしではないかと。久石譲インタビューも随所にありました。(各インタビュー内容は、それだけで一記事になってしまいますので、いつか整理できたときに)

[ひとり言]
撮り下ろしインタビューなら、それはもちろんすごいのです。さらに、久石譲のインタビューがかなり直近だということに驚きと鮮度満点。インタビュー場所が「よみうり大手町ホール」の観客席だったからです。ということは、10月に撮影された可能性が高い、なんとも贅沢極まりない特番です。

 

その他紹介として、初期アルバム「MKWAJU」「INFORMATION」、長野パラリンピック総合演出(1997)、映画「Quartet カルテット」(2001 監督:久石譲)、、「MIDORI SONG」(2015 ミュージック・シェアリング委嘱)、フィギュアスケートの羽生結弦選手への楽曲提供(2016)など、多彩な紹介でした。

 

要約すると

——————————————————————–
プロフィール

国立音楽大学在学中よりミニマル・ミュージックに興味を持ち、現代音楽の作曲家として出発。1981年「MKWAJU」を発表、翌1982年にファーストアルバム「INFORMATION」を発表し、ソロアーティストとして活動を開始。以後、「Minima_Rhythm」(2009)「Melodyphony」(2010)「Vermeer & Escher」(2012)「The End of the World」(2016)に至るまで数々のソロアルバムを生み出す。作曲だけでなく指揮・演奏・プロデュースも手掛け、ジャンルにとらわれない独自のスタイルを確立する。

1984年の映画『風の谷のナウシカ』以降、『風立ちぬ』(2013)まで宮崎駿監督の全作品の音楽を担当。このほか、北野武監督『HANA-BI』(1998)、滝田洋二郎監督『おくりびと』(2008)、李相日監督『悪人』(2010)、高畑勲監督『かぐや姫の物語』(2013)、山田洋次監督『小さいおうち』(2014) 『家族はつらいよ』(2016)など数々の映画音楽を手掛ける。

2001年には、初監督作となる『Quartet カルテット』を製作。音楽・共同脚本をも手掛けた本作品は、日本初の本格的な音楽映画として、モントリオール映画祭のワールドシネマ部門正式招待作品に選ばれた。

国内ではこれまでに数度にわたる日本アカデミー賞最優秀音楽賞をはじめ、数々の賞を受賞。海外においても、音楽監督を務めた韓国映画『トンマッコルヘようこそ』、中国映画『おばさんのポストモダン生活』などで、各国の最優秀音楽賞を受賞している。

演奏活動においては、ピアノソロや室内楽、オーケストラなどさまざまなスタイルのコンサートを精力的に開催。2004年には、第57回カンヌ国際映画祭オープニングセレモニーにおいて、バスター・キートンの無声映画『The General』のフィルムコンサートの音楽と指揮を担当。同年7月、新日本フィルハーモニー交響楽団と「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」(W.D.O.)を結成し、音楽監督に就任。2008年8月、「久石譲 in 武道館 -宮崎アニメと共に歩んだ25年間-」では管弦楽と混声合唱・児童合唱、吹奏楽、マーチングバンドを含む総勢1200名の大規模編成を指揮・ピアノ共演し大いなる成功に導いた。

また近年は、クラシックの指揮者としても国内外で活動の幅を広げるほか、《コントラバス協奏曲》や6弦エレクトリック・ヴァイオリンのための《室内交響曲》、《TRI-AD for Large Orchesta》、《THE EAST LAND SYMPHONY》などの作品づくりにも意欲的に取り組み、活躍の場は多岐にわたる。さらに2014年から、久石譲のプロデュースによるミニマル・ミュージックからポストクラシカルといった最先端の“現代(いま)の音楽”を紹介するコンサート・シリーズ「MUSIC FUTURE」を始動させ、今年で3回目をむかえる。

2009年紫綬褒章受賞。国立音楽大学招聘教授。長野市芸術館・芸術監督。

-2016 ver.
——————————————————————–

 

上記は、オフィシャル・プロフィール(2016年版)です。この活字を見事に映像化したようなスペシャル・プログラムと言ってしまえるほど、この表現が一番的確なような気がします。

 

[ひとり言]におさまらないこと
この番組のなにがすごいって、かなり鮮度が高い旬な編集ということです。「MUSIC FUTURE 2016」コンサートのリハーサル風景まで流れて、一番ホットな久石譲新作「2 Pieces for Strange Ensemble」がちょっとではありますが聴けてしまうという快挙。だから、久石譲インタビューもコンサート会場の「よみうり大手町ホール」で納得、収録もコンサート直前10月で納得、インタビュー内容もコンサート・パンフレット同旨で納得。さらには、前年Vol.2の「室内交響曲 for Electric Violin and Chamber Orchestra」まで映像で見聴きできてしまったという。もちろんそれぞれ1分程度かもしれませんが、貴重すぎて開いた口がふさがらない。

「室内交響曲 for Electric Violin」は、つい先日「MUSIC FUTURE 2015」CD化されました。あのエレクトリック・ヴァイオリンという特殊楽器とその演奏姿を映像で見れるなんて、アメージングです。初回盤DVD付きにしてほしかったなー、なんて。

いや、真面目な話、久石譲が語るこういった”現代の音楽”コンサートこそ、映像で発信することも大いに意義があるような気がするのです。なんでもかんでもCD化・DVD化と言っているわけではなく、「こういった面白いことやってるよ!」と映像で魅せれることは、これぞまさに3本の矢、音楽(耳)で伝える、言葉で伝える、映像で伝える。

 

そして、一番肝心なことは、この特番を日本国内で放送してほしい!ということです。それが言いたくて今回つらつら書いたと言っても過言ではありません。

 

直近でいうと、フィギュアスケートで俄然注目を集めている久石譲(「Hope&Legacy」~View of Silence+Asian Dream Song~)です。この番組でも羽生結弦選手からの「Asian Dream Song」コンサート映像という流れで進んでいました。個人的にはこの紹介の仕方すら日本メディアでされていないのが残念です。

11月は3週連続ジブリTV放送ということで、またその波がきますね。その時々の断片で注目を集めるのも、マス媒体の波としては起伏があっていいのですが、やはりそこは断片。久石譲を多面的に知ってもらうには…こういった特集番組が放送されることでバランスよく「久石譲とは?」を知ってもらえるんじゃないかなと思います。

約35年の音楽活動、30年来20年来ファンもいれば、「Summer」や「Oriental Wind」を経ての10年来ファン、はたまた今回の羽生結弦さんがきっかけとなって、久石譲音楽に触れる新ファンもきっといるでしょう。多種多彩な音楽活動と作品群、収拾つかない領域です。

「久石譲ファン」とひと言に言っても、その長さや深さといった広がりには大きな差があります。それだけの積み重ねと培われてきた久石譲音楽の歴史があるからです。かくいう私も、久石譲のことは一番知っている!なんて思うはずもなく、”多くの久石譲ファンのうちの一人が、たまたまファンサイトをやっていて、多くの久石譲情報発信サイトのひとつに過ぎず”、まだまだ情報整理への道のりも程遠く。

 

「久石譲とは?」と聞かれたら、『これを1時間見ればわかります!』と言える本番組、このような久石譲紹介番組をもっとメディアで発信してほしいと切に願っています。『NHK WORLD Entertainment Nippon 2016 Joe Hisaishi』とても素晴らしい番組でした。海外に向けてもっともっとリピート放送してほしいです。そして、日本国内に向けてぜひ放送してほしい番組です。久石譲の過去から現在までをきれいにコンパイル、さすがNHK!そして期待していますNHK in Japan!

すっかり情報キャッチが遅くなってしまい、事前にインフォメーションできずにすいませんでした。

 

NHK WORLD

NHK WORLD Joe Hisaishi

(公式サイト:NHK WORLD | TV  Entertainment Nippon 2016 よりキャプチャ)

 

カテゴリーBlog

コメントする/To Comment