Posted on 2025/02/24
《前編》はジブリフィルムコンサートのプログラムや楽器編成そのほか参考作品までを見ていきました。《中編》《後編》は作品ごとに見ていきます。
▽プログラム
▽出演/楽器編成
▽歌
▽参考作品(DVD/TV/CD)
▽MUSIC VIDEO
▽INTERVIEW VIDEO
▽コンサート軌跡
▽風の谷のナウシカ
▽魔女の宅急便
▽もののけ姫
▽風立ちぬ
▽崖の上のポニョ
▽天空の城ラピュタ
▽紅の豚
▽ハウルの動く城
▽千と千尋の神隠し
▽となりのトトロ
武道館コンサート(2008)、パリ・コンサート(2017)から始まった世界ツアー、その最新版を録音したグラモフォン・アルバム『A Symphonic Celebration』(2023)です。最新版のポイントは? まずは作品ごとに一言でズバリ!その前にちょっと確認です。全作品とも堂々と声を大にして初音源化となる内容やバージョンです。それではスタート!
『風の谷のナウシカ』世界ツアー版も遂に完全版、『魔女の宅急便』世界ツアー版のためのオーケストレーション、『もののけ姫』合唱付き&日本語は世界ツアー版だけ、『風立ちぬ』新プログラム、『崖の上のポニョ』グローバルにブラッシュアップ、『天空の城ラピュタ』世界ツアー版(管楽+合唱)初登場、『紅の豚』新しいアンサンブル編成、『ハウルの動く城』オフィシャルスコアと対向配置で完全音源化、『千と千尋の神隠し』ピアノと歌の結晶、『となりのトトロ』さんぽのバージョン注目、です!
これから作品ごとにぐぐっと迫っていきます。時に細かいところに注目してしまうこともあるかもしれません。今まで聴いてたものと何が違うの?どこが違うの?となったらここを思い出してみてください。
クラシック名門レーベル、ドイツ・グラモフォンからのデビュー盤です。宮崎駿監督の輝かしい功績を称えるものであり、久石譲の音楽が世界に認められる瞬間です。前人未到の快挙を成し遂げてきたスタジオジブリと海外でも華々しい活躍をみせる久石譲。とは言っても前代未聞です。世界的クラシックレーベルからスタジオジブリにスポットライトを当てた作品が出ること、その第一弾に久石譲は自身の交響曲ら現代作品ではなく宮崎駿監督作品を選んだこと。映画音楽がクラシックになる日、私たちは今その道のうえを共に歩いています。
世界に聴かせたかったジブリがここにあります。久石譲のピアノでしか伝えることのできないジブリの世界があります。歌いたくなるメロディは空を翔けていく。海外オーケストラらしい空気と風の生まれる音。私たちは音楽を聴きながら自分なりのジブリ的情景を気の向くままに描くことができる。知っている曲たちの、知らなかった輝きをぜひ。
風の谷のナウシカ
NAUSICAÄ OF THE VALLEY OF THE WIND
オープニング「風の伝説」
ナウシカ・レクイエム
メーヴェとコルベットの戦い
遠い日々
鳥の人
The Legend of the Wind
Nausicaä Requiem
The Battle between Mehve and Corvette
The Distant Days
The Bird Man
編成特記:
合唱
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽曲ごとには変化を見てとれます。
《オープニング「風の伝説」》武道館コンサートは大規模編成、ティンパニも2台だったことから連打する幕開けもこだまして轟いています。ここの木管の入りも異なります。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは一般的なオーケストラ編成になっていてティンパニは1台です。楽曲が進んでいくなかでも他の太鼓系が活躍しています。すべてはここから始まった、宮崎駿×久石譲ゴールデンコンビの歴史です。コンサートも久石譲によるピアノからメロディを奏ではじめることは象徴的です。
《ナウシカ・レクイエム》パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、盛り上がりのところでティンパニロールが追加されていたり管楽器の厚みやハープ、ピッツィカートの修正などを聴くことができます。合唱パートは、『ヴェルディ:レクイエム(鎮魂ミサ曲)より「怒りの日」』のラテン語歌詞が引用されています。
《メーヴェとコルベットの戦い》パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、最後にシンバルやティンパニロールが追加されています。
《遠い日々》最も改訂されている楽曲です。ひらひらとコードが展開する導入部は、パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは小節数が増えています。次にメロディに入ってからです。武道館コンサートは合唱です。オーケストラはストリングスが土台になっています。くり返しなしです。パリ・コンサートはスキャットで始まります。そのときチェレスタ、ハープ、グロッケンシュピールで静かに添いピッツィカートが加わっていきます。後半は合唱が入りオーケストラも広がりくり返しありになります。グラモフォン・アルバムは合唱ですがオーケストレーションは武道館/パリとも異なります。くり返しもありです。ここでの合唱声部は精緻に分かれて織りあがっています。たしかな聴きどころです。
パリ・コンサート(2017)とグラモフォン・アルバム(2023)だけを比べても大きく飛躍したようにも感じます。ここで見逃してはいけない作品があります。それは「Symphonic Poem NAUSICAÄ 2015」完全版です。グラモフォン・アルバムの《遠い日々》パートはこれとほぼ同じ構成です。久石譲は2021年インタビューで「スタジオジブリフィルムコンサート世界ツアーで使用しているオーケストレーションを関連楽曲に導入した」(交響組曲もののけ姫について)と語っています。つまり、ナウシカでいうと2017年の時には2015年版の継承はまだ据え置かれいた。世界ツアーを展開していくなかで楽曲構成やオーケストレーションを出来得るところは統一させていった。これはほかの作品でも見ることができます。
《鳥の人》武道館コンサートにはありませんが、パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムには中間部に「風の伝説」冒頭のアルペジオが2小節入ります。ハープとピアノでグラモフォン・アルバムのほうがピアノに比重が寄って聴こえます。TV音源とCD音源の違いもあるため聴こえ方や判断は難しいところです。聴かせたかったのはもちろんCD音響のほうになるでしょう。
おまけ。エンディングのティンパニ最強音は何回鳴っているでしょうか?正解は武道館8回、パリ9回、グラモフォン8回です。交響組曲もまた8回です。2017年から2023年まで修正を重ねている小さい確かな証拠です。
最新版の風の谷のナウシカは見てきたとおり正真正銘の初音源化になります。さらにオーケストラの対向配置から混声合唱・児童合唱のステレオ配置まで完成度を極めた壮大なタペストリー、世界ツアー版も遂に完全版です。
この作品は、児童合唱(ユースコーラス)が出演しない公演ではメインの合唱団のみで歌われます。
一番目の作品ということもあって少し丁寧に長くなりました。あくまでも個人の耳で聴きとれた範囲のことを記しています。オーケストラ編成の違い、フォーメーションの違い(通常配置/対向配置)、録音環境や音質の違い(ライヴ/セッション、DVD/TV/CD)などもあって、フラットに聴き比べることは難しい面もあります。違って聴こえるようだけどスコアは同じかもしれない、ここも明らかに違うようだけど触れられていない、たくさん気づきもあると思います。以降の作品も武道館/パリ/グラモフォンの三つで進めていきます。交響組曲は突っ込んで触れていません。好きな作品をもっと楽しみたいときは合わせて聴き並べてみてください。
魔女の宅急便
KIKI’S DELIVERY SERVICE
海の見える街
傷心のキキ
かあさんのホウキ
A Town with an Ocean View
Heartbroken Kiki
Mother’s Broom
編成特記:
ヴァイオリン・ソロ
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽曲ごとには変化を見てとれます。
《海の見える街》サウンドトラックから「海の見える街」「大忙しのキキ」の2曲が再構成されていると言っていい楽曲です。時折コンサートでプログラム「魔女の宅急便/Kiki’s Delivery Service」として単曲演奏されることもある人気曲です。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、ピッツィカートで始まるメロディの後フルートやストリングスで奏でられるメロディに装飾が付いています。クラシカルな旋律を奏でる中間部は武道館コンサートはオーボエでしたが、後者二つはフルートからオーボエへそして木管のアンサンブルも少し変化しています。終結部は武道館コンサートは金管楽器のみでしたが、後者二つはストリングスも入りオーケストラ全体でフォルテで終わります。この曲全体に言えることで「Kiki’s Delivery Service 2018 *改訂初演」(WDO2018/未音源化)をグラモフォン・アルバムは継承しています。とりわけ後半部はジャジーなホーンセクションをはじめ華やかにリズミカルに踊っています。
《傷心のキキ》武道館コンサートは、ハープ2台だったこともあり歌い出しのメロディと伴奏とを2奏者で分け合いながらメロディラインにビブラフォンの響きが重ねられているように聴こえます。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、ハープ1台で歌い出しはハープ、ピアノらで紡がれています。さらに言うとグラモフォン・アルバムはシロフォンも加わっているようにも聴こえ、そのたった8~9小節のなかに繊細さがつまっています。
《かあさんのホウキ》武道館コンサートは、ヴァイオリン・ソロのメロディ歌い出しを久石譲によるピアノがエスコートしています。Aメロ一巡目はヴァイオリンとピアノだけにスポットが当たっている時間です。Aメロ二巡目から久石譲は指揮へ移りオーケストラも加わっていきます。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、久石譲は指揮者としてヴァイオリン・ソロを導いていきます。そのため歌い出しの伴奏は、ハープのアルペジオとピアノの伴奏音型が紡いでいます。二巡目もその流れを引き継いだままオーケストラが加わっていきます。
パリ・コンサートから新たに手を加えられたBメロのファゴットとホルンの織りなす内声がなんとも美しい。グラモフォン・アルバムはちょっと後ろに引いていますがしっかり聴こえます。そこからのカデンツァ風のヴァイオリン・ソロは奏者ごとの個性を楽しめるパートです。同じ楽器でも歌い方や響かせ方から艶感までを感じることができます。
交響組曲の《海の見える街》《傷心のキキ》《かあさんのホウキ》はいずれもオーケストレーションが異なります。比べられる箇所はいくつも挙げらると思いますが、大きくはサウンドトラックを基盤にしていること、そして何と言っても楽器編成にアコーディオンやマンドリンが入っていることです。世界ツアー版の魔女の宅急便は、一般的なオーケストラの音色パレットで最大限に描かれています。交響組曲とはまた別モノでどちらも存分に楽しむことができます。
もののけ姫
PRINCESS MONONOKE
アシタカせっ記
タタリ神
もののけ姫
The Legend of Ashitaka
The Demon God
Princess Mononoke
編成特記:
ソプラノ、合唱
全体構成は武道館/パリ/グラモフォンと変わっていませんが、楽曲ごとには変化を見てとれます。
《アシタカせっ記》《タタリ神》《もののけ姫》武道館コンサートの合唱付きは強烈に焼きついています。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムでもしっかり継承されました。その一方で交響組曲は2021年に完全版となりましたが、合唱編成は外れてあくまでもサウンドトラックに忠実にさらにダイナミックに再構築されています。合唱付き&日本語のもののけ姫が聴けるのは世界ツアー版だけです。また『The Best of Cinema Music』には全体構成は同じで合唱付き&英語で歌うもののけ姫がライヴ収録されています。
《もののけ姫》武道館コンサートは、イントロから久石譲によるピアノで一音一音降りていきます。ヴォーカルとピアノを主役にしながらオーケストラはそっと支える。1コーラスを経て最高潮に達する後半部から久石譲は指揮へ移ります。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは、指揮に専念することになりオーケストレーションも修正されています。イントロの一音一音はハープとストリングスが美しい層をつくり、歌い出しからはハープとオーケストラのピアノ奏者などが伴奏フレーズを受け持っていきます。この曲はどの開催地/ソプラニストでも日本語で歌われます。作品の精神世界と日本語の美しさを伝える一曲です。ソプラノの歌唱を聴かせたい交響組曲と、ソプラノ+合唱に拮抗して絡み合ってくるホルンやトランペットの咆哮が前面に出ている世界ツアー版、この後半部の燃焼度もまたすごいです。
和太鼓・締め太鼓・チャンチキといった打楽器も登場する作品です。日本から持参されて業者も同行してなどして現地の気候で楽器メンテナンスを行い公演を迎えます。舞台裏でも多くの人が携わっている一大プロジェクトです。
ピアノと距離とオーケストレーションと。世界ツアーを展開していくなかで久石譲によるピアノパートは従来より少し減っています。指揮に重きを置くことでオーケストラの演奏やプログラム全体のコントロールもしやすくなります。映像とテンポやタイミングを合わせる演出面もあります。久石譲にとってはもう何回も重ねたプログラムであってもオーケストラはいつでも初共演でリハーサルも限られています。
武道館コンサートでの「もののけ姫」ヴォーカルとピアノのパート、「かあさんのホウキ」ソロ・ヴァイオリンとピアノのパートなど印象に残っているシーンです。ピアノはポロロンとテンポを揺らしても情感を込めてニュアンスをつけても、ステージ中央で距離も近い二者間は気配や息遣いを感じながら阿吽の呼吸でパフォーマンスできます。
世界ツアーでピアノから切り替えられるときハープやオーケストラのピアノ奏者などを絡めながらオーケストレーションの修正が施されています。このときピアノのパートは久石譲によるニュアンスを必要としない、誰が弾いてもその表現は担保される、あるいはリズムもしっかりとりやすい伴奏フレーズになっていたりもしそうです。半径3メートル内の二者間とは異なり、15メートル以上離れたオーケストラのピアノ奏者とステージ中央のソリストと、呼吸やタイミングを合わせたり音の伝達スピードも出てきたり。ピアノにハープなど他の楽器を組み合わせていることも意図や効果がありそうです。この視点から見ていくと、久石譲本人が弾いている曲やピアノパートもまた必然性がありそうです。
交響組曲も久石譲本人がピアノを弾いているパートとそうじゃないパートがあります。加えて言うなら交響組曲は音源化とスコア化とが並行して進められています。久石譲が出演しないコンサートでもスタジオジブリ交響組曲は人気プログラムです。ステージ中央にピアノの置かれない、オーケストラの後方にあることを想定して交響組曲も再構築されているのかもしれません。交響組曲の「もののけ姫」パートや「かあさんのホウキ」パートもピアノの役割や伴奏フレーズは変わっています。
風立ちぬ
THE WIND RISES
旅路(夢中飛行)
菜穂子(出会い)
旅路(夢の王国)
A Journey (A Dream of Flight)
Nahoko (The Encounter)
A Journey (A Kingdom of Dreams)
編成特記:
マンドリン
パリ・コンサートから加わった新プログラムです。
《旅路(夢中飛行)》マンドリンと久石譲のピアノで始まります。マンドリンのトレモロによるブリッジから久石譲は指揮へ移り曲想はオーケストラで大きく膨れあがります。
《菜穂子(出会い)》パリ・コンサートはピアノメロディでした。久石譲は前曲が終わってすぐにピアノに戻り、またこの曲が終わってすぐに指揮へ移りと忙しいパートでした。世界ツアーの途中からこの曲は指揮に専念することになり、そのメロディはマンドリンに託されます。
《旅路(夢の王国)》こちらも公演を重ねていくなかでオーケストレーションが修正されています。グラモフォン・アルバムは、細かいところではリズム系パーカッションが鳴ってる鳴ってないパートが変わっていたりします。それよりも注目したいところがあります。曲はトランペットで奏でられる美しい中間部の後クライマックスへと盛り上がっていきます。そこでトランペットは俊敏にミュート(音を抑える役割や音色を変化させる機能)を付けて伴奏のリズムを刻みそしてメロディへと加わっていきます。この音像がバヤンを模してその狙いがあるように感じてきます。バヤンはロシアあるいはウクライナの民族楽器でアコーディオンの仲間です。「風立ちぬ第2組曲」は、バラライカ、バヤン、ギターといった特殊楽器が色彩を添えています。世界ツアー版はトランペットがメロディを響かせることで気高さや力強さもまた引き立っていると感じます。
崖の上のポニョ
PONYO
武道館コンサート
深海牧場
海のおかあさん
波の魚のポニョ
フジモトのテーマ
ひまわりの家の輪舞曲(ロンド)
母の愛
いもうと達の活躍〜母と海の讃歌
崖の上のポニョ
↓
パリ・コンサート
グラモフォン・アルバム
深海牧場
海のおかあさん
いもうと達の活躍~母と海の讃歌
崖の上のポニョ
Deep Sea Pastures
Mother Sea
Ponyo’s Sisters Lend a Hand – A Song for Mothers and the Sea
Ponyo on the Cliff by the Sea
編成特記:
ソプラノ、合唱
全体構成は武道館コンサートから大きく変わっています。
『もののけ姫』と同じようにすべての構成曲で合唱付きです。
《深海牧場》合唱パートは、物語に関連する単語(海、水、愛、母 etc)をラテン語で組み合わせてはめ込まれています。パリ・コンサートがTV放送された「久石譲 in パリ」ではカットされていますがしっかり本演では演奏されています。
《海のおかあさん》ソプラノによって日本語で歌われます。後半には合唱も加わっていきます。
《いもうと達の活躍~母と海の讃歌》ここまでの曲に言えることですが武道館/パリ/グラモフォンとすぐに見つけられるほどの変更点もなく引き継がれているように聴こえます。それだけ当初からオーケストレーション含めて完成されていたとも言えます。
《崖の上のポニョ》武道館コンサートは大橋のぞみほかゲストヴォーカル総出演で大合唱です。主題歌オリジナルバージョンを基調としてオーケストラサウンドでダイナミックに。当時大ヒットした主題歌は振り付けも話題になり大橋のぞみと児童合唱も一緒に振り付きで披露されました。パリ・コンサートとグラモフォン・アルバムは合唱です。児童合唱は編成されていません。ピッツィカートが奏でるAメロは弾(はじ)ける音で泡から生まれ溢れるようです。オーケストラ楽器がBメロと奏でていきサビは英語で歌われます。独特なリズミックを生む単語と弾ける発音(子音,破裂音)の英語で大合唱は相性抜群です。たくさんの泡たちが弾ける生命の力です。静かになる中間部ではピアノがメロディを奏でていますが、パリ・コンサートの時からオーケストラのピアノ奏者が担っています。
この作品は交響組曲(2023・未音源化)と比較しても断然おもしろい作品です。交響組曲は《深海牧場》も《海のおかあさん》も曲尺は長くオーケストレーションもさらに精緻です。《崖の上のポニョ》も英語で大合唱は共通していますが終盤に聴かれる海から空まで高く昇っていくごとく讃歌する大転調は圧巻です。そうは言っても今はまだ音源がない。武道館コンサートからの進化で披露された「久石譲 3.11 東日本大震災チャリティー・コンサート」で世界ツアー版の基盤は出来上がっています。残念ながらコンサートを収めたライブアルバム『The Best of Cinema Music』には収録されていません。このたびグローバルにブラッシュアップされて初音源化です。
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次回《後編》につづく
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《前編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《中編》
- Blog. ジブリフィルムコンサートを聴く(武道館/パリ/グラモフォン)《後編》