Posted on 2025/09/28
2025年9月26日、「久石譲指揮 日本センチュリー交響楽団 第292回 定期演奏会」が開催されました。日本センチュリー交響楽団音楽監督に就任したシーズン、2度目の登場となる定期演奏会です。ベートーヴェン交響曲からは前回は第6番を、今回は第1番をプログラムしています。
翌27日には同内容プログラムでの北摂定期演奏会・高槻公演も開催されました。
日本センチュリー交響楽団 定期演奏会 #292
[公演期間] 
2025/09/26
[公演回数]
1公演
大阪・ザ・シンフォニーホール
[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:日本センチュリー交響楽団
合唱:日本センチュリー合唱団
[曲目]
久石譲:シンフォニア ~室内オーケストラのための~ から 第3楽章 ディヴェルティメント
ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 作品21
—-intermission—-
ラヴェル:ダフニスとクロエ 第2組曲 ※合唱付き
ラヴェル:ボレロ
—-encore—-
フォーレ:パヴァーヌ
[参考作品]
まずは会場で配られたプログラム冊子からご紹介します。
Program Notes
1960年代に生まれた幾何学的で装飾を削ぎ落とした「ミニマル・アート」になぞらえ、同時代に誕生した”少ない素材の反復”を基調とする現代音楽を「ミニマル・ミュージック」と呼ぶようになった。ところが時代が進むほどに、素材の少なさ(≒ミニマリズム[最小限主義])は必ずしも重要視されなくなり、反復されるリズムを主体にした音楽へと姿を変えていく。それらは「ポスト・ミニマリズム」「ポスト・ミニマル」などと呼称されている。久石譲は20代だった頃にミニマル・ミュージックと出会い、現在に至るまで多大な影響を受けてきた。そうした作曲家は他にもいるが、指揮者としてルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770~1827)などのクラシック音楽を振る際にもミニマリズムの視点を持ち込むのは久石だけだろう。現代的な表現をすれば、ポピュラー音楽における「グルーヴ」のような推進力のある心地よいリズム感でクラシック音楽をあたらしく読み解き直すのである。「第九」第1楽章冒頭のようなベートーヴェンに内在するミニマル・ミュージック的な部分に着目することで、新しい音楽を生み出すのも実にユニークだ!
久石譲:シンフォニア ~室内オーケストラのための~ から第3楽章 ディヴェルティメント
「Sinfonia for Chamber Orchestra」は、音楽的な意味での、例えば複合的なリズムの組み合わせであるとか、冒頭に出てくる四度、五度の要素をどこまで発展させて音楽的な建築物を作るか、ということを純粋に突き詰めた。三和音などの古典的な要素をきちんと取り入れてミニマル・ミュージックの作品にした。今回演奏する第三楽章「Divertimento」は、2009年の「久石譲Classics vol.1」で初演した曲。そのときは弦楽オーケストラだったが、その後アルバム「Minima_Rhythm」のために管楽器などを加えて再構築した。ティンパニやホルンなどが入ったので、より一層シンフォニックなニュアンスが強調された。(久石譲)
*他作品の掲載は割愛しています
(導入、ベートーヴェン、ラヴェル:小室敬幸)
(「日本センチュリー交響楽団 第292回定期演奏会/北摂定期演奏会~高槻公演~」コンサートプログラム冊子より)
ここからはレビューになります。
プログラム前半はベートーヴェン・セットとも言えそうな統一感ある構成でした。「久石譲:Sinfonia」もベートーヴェン交響曲から強く影響のある作品です。弦10型の室内オーケストラはベートーヴェンの時代に演奏されていた大きさとほぼ同じです。2つの作品ともラージオーケストラと室内楽の中間にあるいい塩梅で、とてもフレッシュで清涼感のあるアンサンブルを聴くことができました。小ぶりさのメリットは久石譲のアプローチがダイレクトに奏者から跳ね返ってくる音像です。「ベートーヴェン:交響曲第1番」はバロックティンパニとコルネットを使用した小気味よさもあって、音楽は若々しく駆け抜けていきます。第三楽章なども、モチーフをリズム動機のように強調しながら(それは第5番のダダダダーンの連鎖するモチーフのような)しっかり指揮者とオーケストラが同じ方向性で進んでいく感じがとても印象的でした。
久石譲の交響曲や交響作品は、楽章ひとつを取り上げても箸休めのようなちょっとした小皿感はないはっきりとした性格と美味をもっています。本公演の第三楽章「Divertimento」もプログラムの冒頭に置かれることで序曲のような輝きを放っていました。次回はシンフォニア、フルコースで聴きたい。
プログラム後半は2025年に生誕150年を迎えるラヴェル作品が並びます。オーケストラもぐっと拡大して「ダフニスとクロエ 第2組曲」では合唱との濃密な世界に魅了されました。「ボレロ」は言わずと知れた名曲で、とにかく本能的に心が放っておきません。いつの間にか引き込まれる魔術的なものがあります。神聖さと野性さが共にあるような感じで、神が人に近づくとき、人が神に近づくときこういう感じなのかなあと思ったりします。久石譲のミニマルなアプローチとも相性抜群に、ひたすら繰り返すなか巨大に膨れ上がっていき極みに達します。もう終わった瞬間の爆発力もすごかったけど、観客からの大きな拍手がずっと小さくならない、カーテンコールを繰り返すなか強弱波打たない大喝采のフェルマータ、すごかったです。とてもいい雰囲気でアンコール「フォーレ:パヴァーヌ」で合唱パートも加わりながら美しく終演となりました。
演奏会に行くたびにどんどん久石譲×日本センチュリー交響楽団がパワーアップしてように感じて楽しくてゾクゾクして、これからもワクワクです。
翌日には同内容プログラムにて高槻公演が開催されました。
リハーサル風景


ほか
リハーサル風景動画もあります
from 久石譲本人公式インスタグラム
https://www.instagram.com/joehisaishi_composer/
リハーサル風景







“今回も対向配置!
荒井英治、篠原悠那のダブルコンサートマスターでお届けします🎻”
from 日本センチュリー交響楽団公式X(Twitter)/Facebook
https://x.com/Japan_Century
https://www.facebook.com/JapanCentury




from 日本センチュリー合唱団公式X(Twitter)
https://x.com/jcchor2019
公演風景










“終演しました!
久石マエストロのタクトが導く自身の作品「シンフォニア」、ミニマルのリズムと古典の雰囲気を纏った美しい楽曲から開幕し、ベートーヴェンの若々しい交響曲第1番は精緻なアンサンブルが躍動。後半はセンチュリー合唱団も加わってのラヴェル「ダフニスとクロエ」。オーケストラと合唱が溶け合い、色彩豊かな音楽に会場が包まれました✨「ボレロ」では各セクションの持ち味を発揮した大熱演でフィナーレでした🔥”
from 日本センチュリー交響楽団公式X(Twitter)/Facebook





from SNS (ご提供いただきありがとうございます)
公演風景(高槻)




”終演しました!
昨日に続き同プログラムで、久石~ベートーヴェン~ラヴェルを満席のお客様と共有しました。
終演後、約2年半前にオープンしたまだ新しいホールの舞台裏に久石マエストロのサインが刻まれました👏”
from 日本センチュリー交響楽団公式X(Twitter)/Facebook

from 高槻城公園芸術文化劇場【公式】X(Twiteer)
https://x.com/TATbunka






よかったです!✨
ありがとうございました♪♪♪