長野県中野市出身の作曲家・久石譲さんが、長野市芸術館の芸術監督を今年度で退任する意向を明らかにしました。
久石さんは長野市芸術館で8日行われた音楽フェスティバル・アートメント長野のオープニングコンサートのステージで、「ちょうど5年目で任期満了になるので今年が最後のコンサートになります」と述べ、退任する考えを示しました。同館によると、久石さんは、音楽祭が身近な存在として定着したことに感謝の言葉を口にしたといいます。同館の山本克也総支配人は「このタイミングでの発表に驚いたが、市民の間で年々高まる音楽祭への熱気に手応えを感じたのだと思う」と語りました。
2013年に長野市芸術館の芸術監督に就任した久石さんの任期は来年3月までで、その後の去就が注目されていました。取材によりますと退任を決めた理由について複数の関係者は「文化・芸術に対する長野市との意見の相違」と話しているということです。長野市芸術館の山本克也総支配人は「突然のことで驚いている。今後のことはまったく未定」と話しています。
長野市の夏を音楽で盛り上げようと、2016年から同音楽祭を始め、昨年から「ロック・ザ・ベートーベン~クラシックってこんなに楽しい!」をテーマにベートーベンの曲をロックのようなリズム感で演奏し、曲の面白さを伝えています。最終日は久石さんが手兵「ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)」を率いてベートーベン最後の交響曲を指揮するなど、今年も善光寺や同館で10公演を行っています。
久石さんは6月の信濃毎日新聞の取材に、任期満了後を見据え、「きちんとやっていきたいという気持ちと、(忙しさなどから)やっぱりちょっとしんどい部分もいっぱいある。自分がどこまでやれるかを考え、結論を出したい」と話していました。久石さんの所属事務所は「任期満了であるということしか現時点でお話できない」としています。
加藤久雄市長は取材に、「まだまだ力を発揮していただけるものはたくさんあると感じていたので寂しい。久石さんが築いたものを礎に、芸術館をより発展させていけるようにしたい」と述べました。
同館の山本克也総支配人は「今後もより良いプログラムを作っていけるよう、任期満了まで相談させてもらう」とする一方、来年度以降の態勢やアートメントNAGANOの実施などは「未定」と説明。退任後も、何らかの形で同館の活動に関わってもらうことを検討しているとしました。久石さんの事務所も「(同館側と)じっくり話して決めていきたい」と。
久石さんは、芸術館開館前の2013年10月に芸術監督に就任。「日常に芸術を」をコンセプトに掲げ、芸術音楽と娯楽の意味を併せた造語「アートメント」を発案しました。多彩な公演を組む毎夏の「アートメントNAGANO」の企画や、NCOの定期演奏会などを主導してきました。
(Webニュース各種より編集)