Posted on 2022/03/03
3/4(金)久石譲が新曲「Variation57~2台のピアノのための協奏曲~」(管弦楽版)披露~ピアノデュオは気鋭の坂本姉妹~
昨年4月から首席客演指揮者に久石譲さんを迎えた日本センチュリー交響楽団。
期初の就任会見で「新曲を用意する」と言っていた3月4日(金)の第262回定期演奏会のリハーサルを報道陣に公開した。
世界初演となる新曲は「Variation57~2台のピアノのための協奏曲~」(管弦楽版・世界初演)。2019年10月に、久石が主催する「Music Future Vol.6」のために、2台のピアノとチェンバー・アンサンブルの曲として書き下ろした曲を、2管編成のオーケストラのためのコンチェルトに仕立てたという。
今回、ピアノを演奏するのはPiano duo Sakamoto(坂本彩・坂本リサ)。姉の彩が6歳、妹リサが4歳からピアノデュオを始めた2人を、久石は「YouTubeで見た演奏が良かったのでオファーした」という。
センチュリー・オーケストラハウスでのリハーサル=3月2日撮影
新曲の「Variation57」は、久石が提唱するSingle Track Musicという作曲手法で構成された3楽章形式の曲だ。
その作曲手法は「和音がなく、ただ単旋律が変容しながら続いていくが、ある音が高音に配置され、またある音が低音に配置されると、3声のフーガのように聞こえ、発音時は同じ音でも、それがエコーのように弾き伸ばされると和音的効果も生まれる」と解説している。
リハーサルで久石は、オーケストラとピアノが同時に鳴る場面を止めて、ピアノの坂本姉妹だけに弾かせた。
メンバーの耳目が集中する中で弾いた姉妹の演奏が見事だったので、オーケストラから拍手が起こった。一緒に弾くと見失いがちな相手の音を記憶に残して演奏時にイメージする中で、よりピタリと合わせることができるようになるのだろう。
久石の曲目解説には面白いエピソードも。曲名の57は、各楽章の3つのモチーフに加え、57の変奏があるが、それはニューヨークの57thストリートに滞在していた時に着想してスケッチを書いたことに由来するという。
また、第3曲は福山雅治が出演した2016年のダンロップのCMの使用曲をベースに再構成したものという。
休憩中にマエストロと話す坂本姉妹
リハーサルを聞いていると、それぞれの楽器が自立したリズムで奏でるメロディーが、全体として調和がとれて心地よく響く中で、久石が音を止め「何でここはバタバタして聞こえるんだろう?」と自問したシーンがあった。
首席客演ヴィオラ奏者の須田祥子が「難しいんですよ」とお茶目に答えると、マエストロも「そうか、愚問でしたね」と笑い、和やかなムードが広がった。これならきっと、センチュリー響のメンバーなら、当日の演奏は期待できそうだ。
私のそんな思いをすくい取ってくれたのか、リハーサルが続く中で、曲の最後に全員が音を合わせる場面では見事な“ジャン!”が実現。久石も「これほど合わせてくれるのは素晴らしい!」とたたえていた。
日本センチュリー交響楽団の第262回定期演奏会は、ザ・シンフォニーホールで3月4日(金)19時開演。久石の新曲のほか、現代の作曲家ペルトの「フェスティーナ・レンテ」、プロコフィエフ「交響曲 第7番」がプログラムされている。料金はA席6,500円ほか。
問い合わせはセンチュリー・チケットサービス TEL06・6848・3311(平日10~18時)。
日本センチュリー交響楽団の公式サイトはコチラ https://www.century-orchestra.jp/
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出典:朝日ファミリーデジタル|エンタメ内
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