Info. 2022/11/12 久石譲の新作、ミニマル・ミュージックの癒し…「コロナ禍で痛んだ人々に届く音楽を」(読売新聞)

Posted on 2022/11/12

久石譲の新作、ミニマル・ミュージックの癒し…「コロナ禍で痛んだ人々に届く音楽を」

作曲家・指揮者の久石譲(71)が、自ら企画する現代音楽のシリーズ公演「ミュージック・フューチャー」で新作を披露した。同じく委嘱新作を手がけた米国の作曲家ニコ・ミューリー(41)と共に現代作品の楽しみ方について聞いた。(松本良一)

10月26、27日に四ツ谷の紀尾井ホールで自らの指揮で初演したビオラ協奏曲「Viola Saga」(独奏=ナディア・シロタ)は、敬愛するミニマル・ミュージック(最小限の音型を反復する手法を用いた音楽)の流儀を踏襲しつつ、耳に優しいサウンドが聴き手に癒やしをもたらした。「コロナ禍で痛んだ人々の心の奥深くに届く音楽をめざした」

2014年に始まった「ミュージック・フューチャー」では、今まで日本であまり紹介されてこなかった米国発祥のミニマル・ミュージックの系譜に連なる作品を積極的に取り上げている。「日本の現代音楽界は芸術至上主義的なところがある」と言い、聴衆にこびるわけではないが、作曲家のやりたいこととお客の受け止め方の接点を見つける努力が必要だと話す。

ミューリーは新作「Roots, Pulses」について、「シンプルで活気に満ちた曲調が、複雑で抽象的なものに変容していく、その二つの対比を表現した」と説明する。「演奏するミュージック・フューチャー・バンドのすばらしいアンサンブルのおかげで、作曲者、演奏者、聴衆の間で高い水準のコミュニケーションが実現できたと思います」

未来と同時に過去の古典とも向き合うマルチな活躍を続ける久石は、「ほぼミニマル・ミュージックだけの曲目で800席のホールを2日間満席にできるのはすごいこと。クラシック音楽ファンにも現代曲を聴いてもらうきっかけにしたい」と話し、今後はオペラの作曲などにも意欲を示す。

オペラから映画音楽まで幅広く手がけるミューリーは、「新しい音楽を既成のジャンルに無理やり押し込める必要はない」と語る。「音楽には詳しくないけれど、知的で好奇心のある聴衆が楽しいと感じるような曲を、自分の流儀で自由に作れることが大事です」

今回の曲目は5日、ニューヨークのカーネギーホールでも演奏される。日米の聴衆が2人の作品をそれぞれどのように受け止めるのか。反応が楽しみだ。

 

現代作曲家について「自分の意志を実現するプロデュース力が必要」と話す久石(右)と「同時にやりたいことを明確に持っているべきだ」と言うミューリー=木田諒一朗撮影

 

出典:読売新聞オンライン|久石譲の新作、ミニマル・ミュージックの癒し…「コロナ禍で痛んだ人々に届く音楽を」
https://www.yomiuri.co.jp/culture/music/20221105-OYT1T50207/

 

 

 

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