Info. 2013/06/26 「NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック」 CD発売

久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」
■第1回「伝説のイカ 宿命の闘い」
放送日時:2013年7月27日(土)午後7時30分~ NHK総合
■第2回「謎の海底サメ王国」
放送日時:2013年7月28日(日)午後9時00分~ NHK総合

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Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

2013年6月26日 CD発売 UMCK-1450

 

NHKスペシャル シリーズ「深海の巨大生物」
2013年1月13日放送 第一部
「NHKスペシャル 世界初撮影!深海の超巨大イカ」

第二部
■第1回「伝説のイカ 宿命の闘い」
放送日時:2013年7月27日(土)午後7時30分~ NHK総合
■第2回「謎の海底サメ王国」
放送日時:2013年7月28日(日)午後9時00分~ NHK総合

音楽:久石譲 演奏:NHK交響楽団 東京ニューシティ管弦楽団

 

 

久石譲さんインタビュー
番組音楽にかけた想い

NHK 深海 1

「深海」は当然のことながら、地上ではない。我々は地上で生きていますから、そこから考えると、とても深いところ、遠い次元になりますよね。音楽的に言うと、実は深海は宇宙の物語、宇宙と同じ空間であるということが大事なんです。

ただ、宇宙と深海の大きな違いは「水」ですから、今回ハープを2台起用して、フランス印象派的な、ドビュッシーやラヴェルのような世界観を持ち込もうというのが最初の狙いでもありましたね。

このハープがさまざまなパッセージを奏でているところに、和音感などの凝った形を取ることで、深海の不思議な感じを出せるのではないかなと考えました。

NHK 深海 2

今回は「ダイオウイカ」に続いて、「サメ」の曲をつくるということで、最初は苦しむのではないか…という嫌な予感がありましたね(笑)。サメと聞けば、あまりにも有名なジョン・ウィリアムズが作曲した映画『ジョーズ』のテーマ曲がありますから、それしか頭に浮かばないのではないかと思っていたんです。

ところが映像を見せてもらうと、メガマウスは想像していたどう猛なサメとはまったく違っていた。プランクトンを食べたり、サクラエビを食べたり、とても草食系な感じを受けたんです。メガマウスの優しい性格と、時間軸を超えたようなゆったりした広がりをその映像から感じ取ったときに、これならできると思って。メガマウスのイメージをつかめた瞬間から、対比としてどう猛なカグラザメには、不協和音を思いっきりぶつけたり、現代音楽的なアプローチを広げることができて、とても取り組みやすくなりました。

NHK 深海 3

さらに今回、プロデューサーの岩崎弘倫さんから、生きものの連鎖、輪廻を表現してほしいという依頼がありました。

話を伺う中で、いろんな生きものが他のものを食べ、それらがまた他のものを食べるという光景が、ある種宗教的、哲学的なテーマに感じましたね。その普遍的なテーマに対して僕自身も興味を持ち、力を入れて書きました。

書き上がったものは、かなりゆっくりした楽曲なのですが、NHK交響楽団の方々が素晴らしい演奏をしてくださり、とても満足できる作品に仕上がっています。 映像と音楽のめぐり逢いを楽しんでいただきたいですね。

NHK 深海 4

(久石譲インタビュー 出典元:NHK 深海プロジェクト 番組にかけた想い より)

 

 

メインテーマ(1)は、神秘的な深海の世界をあますことなく表現している。フルオーケストラの壮大かつ悠々とした広がりのある響きと、各楽器たちが織りなす旋律が、まさに多種多様な深海の生き物たちを、そして未知の世界の不思議さを感じとることができる。

メインテーマにも関わらず、いい意味でつかみどころのない不思議なメロディーが、未だなお解明されていないことの多い深海の世界、つまりは海の宇宙に対してこれからも探究が続いていく世界であることを予感させる。

ミステリーとロマンの大航海を彷彿とさせる(2)「ミステリー&ロマンへの誘い」、変拍子のリズムがまるで生き物のような躍動感を放つ(3)「海の世界」、シンセサイザーの不思議な音色と旋律が深く深く神秘の世界へ誘う(7)「神秘の海中」、悠々としたストリングスがその品格と高貴さを感じる(11)「ダイオウイカのテーマ」、ピアノで美しく優しく語りかけてくる(13)「達成~メインテーマ~」など、深海の魅力がぎっしりとつまっている。

第二部からも、寄せては返す波のように、解明してはまた新しい謎が現れるというくり返し、そんな深海の迷宮をダイナミックに表現した(16)「深まる謎」、どう猛なカグラザメと優しい性格のメガマウスをうまく対比した(18)と(20)、そして生き物の輪廻、生命の尊厳を高らかに讃歌する(21)「輪廻」、と、その魅力は尽きない。

久石譲本人も本作品の制作について、「音楽的に言うと、実は深海は宇宙の物語、ただ宇宙と深海の大きな違いは「水」、今回ハープを2台起用して、フランス印象派的な、ドビュッシーやラヴェルのような世界観を持ち込もうとしたのが狙いでもある。ハープが様々なパッセージを奏でているところに、和音感などの凝ったかたちを取ることで、深海の不思議な感じを出せるのではないかと考えた。」と語っている。

またプロデューサーからの「生き物の連鎖、輪廻を表現してほしい」との依頼からそれに応えるべく「ある種宗教的、哲学的、そして普遍的」なテーマに対して、魅力のある壮大な音楽世界を築きあげている。

世界も大注目のビッグニュースとはいえ、ひとつの番組において、ここまでの音楽的世界観の作り込みとしては贅沢な作品である。

映画「崖の上のポニョ」、映画「海洋天堂」、映画「水の旅人」などもそうだが海や水の世界観の表現は本当にすばらしい。そこにはダイナミックな躍動感と、緻密で精細なオーケストレーションという、ふたつの対極的な要素が見事に融合している。

ダイナミクスな海、宇宙、巨大生物から、ミクロな微生物やプランクトン、得体のしれない未知の生命体、そして化石まで命あるすべてのものが、ひとつひとつの旋律に楽器に宿っている。

 

 

久石譲 『NHKスペシャル 深海の巨大生物 オリジナル・サウンドトラック』

第一部
1.NHKスペシャル深海 メインテーマ
2.ミステリー&ロマンへの誘い
3.海のテーマ
4.科学者たち
5.世紀の大調査
6.ダイブ開始
7.神秘の海中
8.初めての発見
9.セカンドコンタクト
10.挑戦
11.ダイオウイカのテーマ
12.深海へ帰る
13.達成~メインテーマ~
第二部
14.海に生きる大きな生物
15.奇跡の大陸ニッポン
16.深まる謎
17.海の生命力
18.深海の強者 カグラザメ
19.科学者たち~愛~
20.メガマウスのテーマ
21.輪廻
22.NHKスペシャル深海 エンディングテーマ

All Music Composed and Produced by Joe Hisaishi

Performed by Tokyo New City Orchestra
Conducted by Joe Hisaishi

Performed by NHK Symphonic Orchestra (except M-1,8,20,21,22,23,24) 
Conducted by Junichi Hirogami (except M-1,8,20,21,22,23,24) 

Recorded at NHK509Studio , NHK506Studio
Mixed at NHK604Studio

Orchestration:Joe Hisaishi , Junichi Nagao

 

Info. 2013/06/17 久石譲、音楽祭で「全国に発信」…新長野市民会館の芸術監督内定

2015年完成予定の新長野市民会館の芸術監督に内定した久石譲氏(62)が6日、長野市で記者会見し、「日常の中に音楽が入ってくるための魅力的なプログラムをつくりたい」と述べた。

久石氏は芸術監督を引き受けた理由について、「出身県でもあり、自分の年齢も考え、少しは世の中に貢献しようと思った」と述べた上で、「いろいろな人が見に来る環境をつくるために、広告塔になっても構わない」と力強く語った。

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Disc. 久石譲 『ふるさとのメロディー』 *Unreleased

ラーメンよりも大切なもの

2013年6月8日 映画公開

 

ドキュメンタリー映画「ラーメンより大切なもの ~東池袋 大勝軒 50年の秘密~」
監督:印南貴史 音楽:高田耕至
エンディングテーマ:久石譲

 

 

エンディングテーマ 『ふるさとのメロディー』を作曲。ピアノトリオというピアノ、ヴァイオリン、チェロというアコースティックなシンプルな構成。

久石譲本人もこう語っている。「あえてクラシカルなスタイルにした。包み込むようなメロディー。」と。

ひとりの男の人生の背後に流れるドラマや歴史、そして希望。4分弱の楽曲に人生が凝縮されている。温かくもあり、力強くもあり。ヴァイオリン、チェロ、ピアノがそれぞれ絡み合い、メロディーを織りなし、それはまさに歩んできた足あとや道標のよう。クラシカルな構成ながら、「古き良き時代の昭和」「古風な昭和の男」を感じされるのもメロディーの巧みな力だと思う。

サウンドトラック未発売楽曲。

 

 

ラーメンよりも大切なもの

 

Info. 2013/06/07 文春ジブリ文庫 ジブリの教科書 3 「となりのトトロ」 発売

ジブリの教科書 3 となりのトトロ

スタジオジブリ x 文春文庫 による文春ジブリ文庫 第3弾 「となりのトトロ」
2013年6月7日 発売

制作秘話、当時のインタビュー、多彩な執筆陣による作品解説
もちろん音楽:久石譲 の当時インタビューも収録

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Disc. 久石譲 『奇跡のリンゴ オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『奇跡のリンゴ オリジナル・サウンドトラック』

2013年6月5日 CD発売 UMCK-1449

 

2013年公開 映画「奇跡のリンゴ」
監督:中村義洋 音楽:久石譲 出演:阿部サダヲ 菅野美穂 他

 

 

コンセプトは、”津軽のラテン人”でした。

-今回の音楽設計はどのようになされたのですか。

久石:
台本を読んだら、単なるハートウォーミング路線の映画ではなくて、しっかり人間が描かれていました。そこで、まず全体をつなぐメインテーマとして「リンゴのテーマ」のようなものと、夫婦愛が出てくるので愛のテーマが必要だろうと。それを一旦書いたんですけど、青森ロケを見学させていただいたときに幸か不幸か、木村さんにお会いしちゃいまして(笑)。あの天真爛漫さを出すには、もうひとつ別のテーマを作らなければいけないと思ったんです。そこから結構、悩みました。結果としてたどり着いたコンセプトが「津軽のラテン人」(笑)。オーケストラのほかにマンドリンとウクレレ、口琴(ジューズハープ)を使って、なんとか木村さんの陽気さを出せないかと工夫しました。どちらかというとイタリア的なラテン感覚ですね。そんな感じの明るさが音楽で出せたらいいなと。

 

-ご苦労された部分となると、どのあたりでしょうか。

久石:
夫婦愛やリンゴ栽培の難しさを描く部分と、木村さんのキャラクターをどう両立させるか、ですね。ジューズハープって、一歩間違えると漫画チックになってしまうでしょう。あと、山崎努さん演じる父親のラバウルの話をどれだけきっちり書くか、山へ木村さんが自殺を図りに行くくだりの長いシーンをどうするかという配慮は大変でした。何より、エンターテインメントに落とし込まなければいけない作品ですからね。実は観客が一番シビアにご覧になるジャンルです。中途半端なことをやってしまうと一発で見抜かれます。そういう意味では全力、かつ、できるだけ客観的に臨まないといけない作品でした。エンターテインメントは、しっかりした形で作ろうとすると、意外に手間暇がかかりますし、思うほど簡単ではないんです。この映画は、ちょうど昨年の7月からの3~4ヶ月で映画3本を立て続けにやった時期の最後の作品だったんですが、集中していた分、いいものができたのかなとも思っています。少なくとも、あの時点でできることは100%やったという実感は確実にあります。個人的には結婚式のシーンが好きですね。音楽的にもうまくできたと思いますし、とてもいい感じだなと、完成した作品を観て思いました。

Blog. 映画『奇跡のリンゴ』(2013) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

「それはいちばん重要なところです。映画を2時間で構成するとなると、どこに音楽を入れ、どこに音楽を入れない箇所を作るかが重要になります。今回は、冒頭はエンターティメントでいかなければいけません。中盤は、(主人公の状況が悪い方向に)落ちていく。ただ、落ちたときに悲しげな音楽を入れてしまうと、その音が救いになってしまいます。だから音楽は抜くことにしました。普通なら「ここに音楽が入るな」という箇所もありましたが、あえて「抜きましょう」という話になって。そういう設計的な部分の考え方に関しては、中村義洋監督とも一致しました。だから、とてもやりやすかったですね。」

Blog. 「東洋経済オンライン」 久石譲 Webインタビュー内容 より抜粋)

 

 

「驚いたことに、『どこに音楽を入れるべきか』という意見が僕と監督でほとんど完璧に一致したんです。映画音楽を深く理解している監督で、一緒に仕事をするのは楽しかった。だから僕も一所懸命にやってしまいましたよ(笑)」

「まず第一は、リンゴのテーマですね。人類が何千年にもわたって苦労して栽培してきた、普遍的な果物としてのリンゴのテーマ音楽。それからもうひとつはこの映画の主題である愛のテーマ。木村さんと奥さんの夫婦の愛、それを包みこむ愛のテーマが必要です。本来ならこのふたつで行きたかったんですが、映画の撮影現場を訪ねた時に、映画のモデルになった木村秋則さんというとんでもなく個性的な方に会ってしまったんです。それですぐに気づいた。この人にリンゴのテーマだけでは太刀打ちできないなと」

「たどりついたのは『津軽のラテン人』というコンセプトでした。マンドリンとウクレレと口琴というあり得ない編成で、木村さんの天真爛漫で明るい雰囲気を出せないかと考えたんです。それでちょっと奇妙でコミカルなテーマ音楽が生まれた。ただ、雰囲気で決めたわけではない。この映画にはどういう音楽が必要なのかを考え抜き、詰め将棋のように緻密に、必要な音楽を作って組み立てる作業のなかで、あのテーマもできあがっている。映画音楽は大変ですから、1本作り上げようとすると、魂を入れるような作業が必要なんです。だから、あまり本数をやるべきじゃないと思っているんですけど(笑)」

Blog. 「GOETHE ゲーテ 2013年7月号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

全編において特徴的なのが、その軽快なタッチ。主要な2つのテーマを作曲しながらも、主人公になっている実在の方にお会いしてから、その陽気なキャラクターを表現するために別のテーマ曲も作曲。

コンセプトは「津軽のラテン人」という能天気な明るいイメージから、マンドリン、ウクレレ、口琴などの楽器をオーケストラと合わせる構成になっている。本来ならば「日本 津軽」という舞台にも関わらず、その音楽世界が「異国 南国 ラテン」の香りがするのはそのためだろう。そのギャップが結果として見事に功を奏していると思う。

ちなみに口琴という楽器にだけ触れる。口琴は、原始的な楽器で古くから世界各地に分布。日本では古くから北海道や津軽などでアイヌ民族が好んで用いていた。そのビヨ~ンという独特の音色は、飛び跳ねる動き等を表現する効果音としてもよく使われる。アニメ『ど根性ガエル』の主題歌といえば、一番想像しやすい。

というわけで、マンドリンやウクレレといった「ラテン」を意識しながらもそこに口琴を組み合わせることによって「ラテン+津軽」を、そして「陽気さ 明るい」空気感を演出している妙。いつもの久石メロディーが、よりパッと明るくなっている作品である。

メインテーマ、そしてそれをモチーフとした(1) (6) (9) (13) (21) (23) (25)はまさに自然の音楽。壮大というよりは、空気も水も透きとおるような音楽。日本だけでなくヨーロッパの田園、畑、山脈なども連想できる、心地のよい曲。

モチーフによって、フルート、ホルン、ストリングスなどの楽器が旋律を奏でることからも、そういった連想や世界が広がるのかもしれない。

主人公のテーマ、そしてそれをモチーフとした(2) (4) (10) (12) (14) (27)などは、冒頭に書いた「津軽のラテン人」をコンセプトに、その楽器たちをうまく組み合わせた軽快な曲。マンドリン、ウクレレ、口琴、オーケストラが、モチーフごとにその旋律を軽やかに彩っている。いろんなCMにも使用できそうな、短いメロディーながらもインパクト十分な、陽気な明るい曲。

ラブテーマ、そしてそれをモチーフとした(5) (20) (22)は、ピアノをメインにしたシンプルな旋律。少しメインテーマを垣間みるような音階が特徴的。

そして、最後の(28)にて、ラブテーマ~主人公のテーマ~メインテーマと上の3つのテーマを1曲として繋いで聴くことができる。映画のエンドクレジットに華を添えている、そして余韻が香る。

 

 

 

久石譲 『奇跡のリンゴ オリジナル・サウンドトラック』

1.奇跡のリンゴ
2.運命の始まり
3.母親の言葉
4.東京の空
5.祝言の夜
6.津軽の風物詩
7.安全の代償
8.幸福の訪れ
9.答えへの入口
10.挑戦の始まり
11.試練の訪れ
12.挑戦の決意
13.ラバウルの記憶
14.挑戦の日々
15.悪夢
16.三等分の想い
17.約束の光
18.現実の地獄
19.雛子倒れる
20.薄暮の背中
21.暗闇の出口
22.人間の証
23.挑戦の再開
24.困窮の果て
25.ありがとうの言葉
26.小さな希望
27.挑戦の続き
28.リンゴの軌跡

All Music Compose, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Tokyo New City Orchestra
Madolin:Tadashi Aoyama
Guitar & Ukulele:Mikihiko Matsumiya
Jew’s Harp:Ikuo Kakehashi

Recorded at Victor Studio
Mixed at Bunkamura Studio