Disc. 久石譲 『弦楽オーケストラのための《螺旋》』 *Unreleased

2010年2月26日 世界初演

 

2010年2月26日開催コンサート「久石譲 Classics Vol.2」にて初演。

2011年9月7日開催コンサート「久石譲 Classics Vol.4」にて披露。

2014年10月12日開催コンサート「久石譲×新日本フィルハーモニー交響楽団」長野公演にて披露。

2015年2月25,26日開催コンサート「世紀音樂大師-久石譲 Maestro of the Century – Joe Hisaishi」(台北/台南)にて改訂初演。

 

 

 

久石譲:弦楽オーケストラのための「螺旋」

弦楽オーケストラのための「螺旋」は、2010年2月16日に行ったコンサート《久石譲 Classics Vol.2》のために書いた作品である。作曲は、2010年1月20日より2週間という短い期間で一気に書き上げ、その後直しを含めて時間の許す限り手を加えた。ミニマル・ミュージックの作家としてコンテンポラリーな作品を書きたいという思いが強かったのかもしれない。

曲は、8つの旋法的音列(セリー)と4つのドミナント和音の対比が全体を通して繰り返し現れる。もちろんミニマル・ミュージックの方法論で作曲したが、その素材として上記の12音的なセリーを導入しているため結果として不協和音が全体の響きを支配している。

心がけたことは、感性に頼らず決めたシステムに即して音を選んでいくことだった。もちろんそのシステムを構築する土台は(それが良いと決めたこと自体)個人的な感性である。

曲の構成は日本の序・破・急(※)の形をとり、第1部は遅めのテンポの中で様々なリズムが交差し、第2部では同じセリーのスケルツォ的躍動感を表現している。第3部の前には、もう一度基本セリーによる静かな神秘的な部分があり、その後、急としての激しい空間のうねりが展開される。

曲のタイトルとして Spiral という言葉を最初考えていたが、この急の部分を作曲したときに「螺旋」という日本語が最もふさわしいと確信した。

(※)序・破・急 = 音楽・舞踊などの形式上の三区分。序と破と急と。舞楽から出て、能その他の芸術にも用いる。

(2011年9月7日《久石譲 Classics Vol.4》 曲目解説より一部補筆し転用)

Blog. 「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団」(長野) コンサート・レポート

 

 

 

約14分の作品。3.11に大きな影響を受け、本名の藤澤守として発表した「5th Dimension」と同時期に書き下ろされた作品もあってか、現代音楽、芸術性という、大衆性とは表裏一体の一面をのぞかせた久石譲の意欲作。

本人による楽曲解説にもあるとおり、”不協和音が全体の響きを支配している”なか、ミニマル・ミュージック特有のリズム、躍動感と神秘性をかねそなえた、弦の響きが360度まさにスパイラルしている響きがそこにはある。

渦を巻いた弦楽オーケストラの響きには圧倒される。コンテンポラリーな久石譲作品として後世に残るべき重要な作品である。

2010年の世界初演から、2015年の改訂初演まで、これまでにコンサートで数回披露されたのみで未音源化作品である。

 

 

Disc. 久石譲 『Winter Garden』 *Unreleased

2006/2022年 作品

 

2006年ヴァイオリニスト鈴木理恵子のために久石譲が書き下ろし収録された作品。第1楽章と第2楽章が収められている。

 

◇ウィンター・ガーデン / 久石譲

2006年作。このアルバムにあわせて書きおろされた楽曲。ミニマリスティックで疾走感のある第1楽章と、それとは対照的に瞑想的な雰囲気を持つ第2楽章の2つの楽章からなる。

1.第1楽章
8分の15拍子の中で多彩にフレーズが変化を見せる。ピアノとヴァイオリンの鋭いパッセージが互いの旋律を模倣しながら交錯してゆき、ねじれる様に絡み合いながらもお互いに歩み寄ることで再現へと向かう。

2.第2楽章
純度の高い硬質な和音の上に、ヴァイオリンが叙情的に歌い始める。次第に不安と緊張を増してゆく旋律を、助長する様に響きが変容してゆく。

(CDライナーノーツ 楽曲解説より)

 

 

 

 

2007年コンサート「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ There is the Time」にて久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)編成、「Winter Garden 1st&2nd movement」、つまり上記第1楽章・第2楽章が演奏される。

 

 

2010年コンサート「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ ニューイヤーコンサート」にて、第3楽章が新たに加えられ初披露される。

 

Winter Garden
・1st movement
・2nd movement
・3rd movement

ミニマル・ミュージックの手法をベースに、ヴァイオリンとピアノのために書き下ろした2006年の作品『Winter Garden』を、今回はヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲に改訂、新たに第3楽章が付け加えられた。8分の15拍子の軽快なリズムをもった第1楽章、特徴ある変拍子のリズムの継続と官能的なヴァイオリンのメロディによる第2楽章。そして初披露となる第3楽章は、8分の6拍子を基調とし、ソロパートとオーケストラが絶妙に掛け合いながら、後半はヴィルトゥオーゾ的なカデンツァをもって終焉へと向かっていく。W.D.O.コンサートマスターの豊嶋泰嗣のヴァイオリン・ソロでおくる。
*2006年版の『Winter Garden』は、ヴァイオリニスト鈴木理恵子のアルバム『Winter Garden』に収録されている。

(コンサート・パンフレット 楽曲解説より)

 

 

2014年コンサート「久石譲 ジルベスターコンサート 2014 in festival hall」にて、2010年版をベースに全3楽章が改訂初演される。

 

 

 

2022.2 追記

2022年2月開催「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.4」コンサートにてプログラムされた。

 

久石譲:ウィンター・ガーデン(2014年版)
Joe Hisaishi:Winter Garden (2006/2014)
・1st movement
・2nd movement
・3rd movement

「Winter Garden」は、2006年に鈴木理恵子さんのSolo Album用にヴァイオリンとピアノのために作曲したもの(全2楽章)をベースにして、ヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲として、2010年の改訂の際に新たに第3楽章を付け加えた。さらに2014年に大幅改訂し、よりヴァイオリンとオーケストラのコントラストを際立たせつつ、ミニマルの手法になぞらえた作品とした。

8分の15拍子の軽快なリズムをもった第1楽章、特徴ある変拍子のリズムの継続と官能的なヴァイオリンの旋律による瞑想的な雰囲気を持つ第2楽章。そして第3楽章は、8分の6拍子を基調とし、ソロパートとオーケストラが絶妙に掛け合いながら、後半はヴィルトゥオーゾ的なカデンツァをもって終焉へと向かっていく。

ヴァイオリン・ソロを担当するFOCのコンサートマスターである近藤薫の演奏を心から楽しみにしている。

久石譲

(「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.4」コンサート・パンフレットより)

 

 

久石譲:ウィンター・ガーデン(2014年版)
Joe Hisaishi:Winter Garden (2006/2014)

約20分の作品です。そういうこともあってか久石譲は「小協奏曲」と控えめに(?)言っているのでしょうか(?)。小協奏曲の概念にはいろいろ分類パターンがあるようですが、正確には20分を切りそうなこの作品はおそらく時間的な尺度から「小」としているのだろうと思います。久石譲作品「コントラバス協奏曲」や「The Border(ホルン協奏曲)」は約25-30分の作品です。時間というのは作品の大きさを表すうえで作曲家にとって大切なひとつだと思います。ですが!!とっぱらってもらって「協奏曲」でいい!!堂々たる「ヴァイオリン協奏曲」だ!!という強い気持ちを語っていきたいと思います。

 

その前に作品経歴です。

楽曲解説からふれると「2006年に鈴木理恵子さんのSolo Album用にヴァイオリンとピアノのために作曲したもの(全2楽章)をベースにして、ヴァイオリン・ソロとオーケストラの小協奏曲として、2010年の改訂の際に新たに第3楽章を付け加えた。さらに2014年に大幅改訂し~」、このとおりです。

・2006年 CD発表(Vn&Pf版)
・2007年 WDO(Orchestra版 全2楽章)
・2010年 WDO 豊嶋泰嗣
・2014年 ジルベスター 岩谷祐之
・2016年 上海 五嶋龍
・2022年 FOC 近藤薫

すごいですね。演奏機会は少ないなか日本を代表するヴァイオリン・トッププレーヤーがこの作品を演奏してきたことがわかります。今回満を持してFOCで披露となったわけですが、同時にそれは秘められてきた珠玉の作品が光放たれる瞬間でもありました。

 

・室内交響曲 for Electric Violin and Chamber Orchestra(2015)
・Contrabass Concerto(2015)
・室内交響曲第2番《The Black Fireworks》〜バンドネオンと室内オーケストラのための〜(2017)
・The Border Concerto for 3 Horns and Orchestra(2020)

これから先リリースされる日が来たとしても(いや来ますよね願)、オーケストラ版全3楽章となった2010年を点としても、作品系譜としては一番若い作品になります。これは久石譲作品を線でつなげていきたい人は押さえておきたい。もし仮にいうなれば、《協奏作品 第1番》それが「Winter Garden」にほかなりません。

 

もっと。

”実はこの「Links」を作る前に「Winter Garden」というヴァイオリンとピアノのための曲を書いたのだが、変拍子のリズムと、それでも違和感が無いメロディーが合体するヒントが掴めた。それと同じアプローチでオーケストラに発展させたものが「Links」だ。この「Links」を書いたことによって、徐々に自分の中でミニマル・ミュージックへ戻るウォーミング・アップが出来た。”

(『Minima_Rhythm ミニマリズム』CDライナーノーツより 抜粋)

 

そうなんです。「Winter Garden」があったから「Links」があるんです。そして「Orbis」「The End of The World」「Sinfonia」輝かしい久石譲オリジナル作品群の新しい歴史が進んでいくことになります。「Links」も8分の15拍子の曲です。Winter Garden 第1楽章のリズムのとり方とはまた違うからおもしろい。

 

 

第1楽章
1st movement

急緩急の全3楽章の第1楽章は、口ずさみたくなるくらい印象的なモチーフから始まります。8分の15拍子を基調としていますが、リズムは2・2・3/2・3・3で取っています。モチーフを分解すると7拍と8拍(15拍子=1モチーフ)に大きく切り分けることができます。そこに斜線を入れました。ここで注目してほしいのが、後ろの8拍のところは4拍子のような2・2・2・2じゃなくて2・3・3でリズムに乗りましょう。このグルーヴ感は曲が進行するなかでよりはっきりと活きてきます。

基本モチーフはすぐにオーボエやフルートに引き継がれていって変化していきます。ソロ・ヴァイオリンはずっとメロディを歌っていることはなく、メロディとリズミカルに掛け合ったりと、ソロ楽器とオーケストラが主従関係(主旋律・伴奏)に定まらないのが久石譲協奏作品のうれしい特徴です。

オーケストラが大きくふくらむパート(1分半経過あたり)で、ティンパニやテューバがリズムを打ち鳴らしています。ここ2・2・3/2・3・3のリズムのとり方が一番わかりやすいですね。この前もこの後も、15拍子になってるところはほとんどそうです。なにかしらの楽器で伴奏的リズムを2・2・3/2・3・3で刻んでいると思います。ぜひ探してみてください。指揮姿からもわかるかもです。第1楽章に秘められた高揚感です。

ヴァイオリンをフィーチャーした「Untitled Music」という作品もそうですが、トライアングル・ピアノ・チェレスタ・ハープ・グロッケンシュピールなど、キラキラ輝いた印象のオーケストレーションが魅力的です。まるで雪が反射して煌めいているようです。さりげなく随所に配置されているピッツィカートも巧妙です。冬感たっぷりに散りばめられています。

 

第2楽章
2nd movement

緩徐楽章ともいえる第2楽章は、ヴァイオリンのたゆたう旋律に誘われるままに、なにか深いところへ深いところへと。くり返される漂うハーモニーに危うい雰囲気を感じながらもカウベルの響きが心地よさを、その両極なふたつが溶け合っていくようです。

目立ちにくい楽章ですが、こういった楽想は久石譲作品にみられるひとつの特徴です。『DEAD』より「II. The Abyss~深淵を臨く者は・・・・〜」、『The End of the World』より「II. Grace of the St. Paul」、『THE EAST LAND SYMPHONY』より「II. Air」など。メランコリックだったり瞑想的な雰囲気をもつ楽章があります。現実と夢、現実世界と異界、というようにひとつの作品に別世界を持ち込むといいますか、異なる空間軸や時間軸な次元を描くといいますか。そうして楽章間や作品そのものを有機的につなぐ役割を果たしているようにも感じてきます。あらためて気に留めてそんなことも思いながら。大切に聴きたい楽章です。

 

第3楽章
3rd movement

ワクワク止まらないイマジネーション豊かな第3楽章です。聴き惚れて満足しきり、感じたことをたくさん書きたいところですが、ちょっとぐっとこらえます。少し背伸びして音楽的にこう聴いてほしい3つに絞って進めます。感じるままに聴きたいんだ!という人もいるでしょうが、よかったらお付き合いください。

1.基本モチーフはスケールそのまま。

冒頭からヴァイオリンの基本モチーフが現れます。音をなぞっていてビックリしました。これホ長調のスケールそのままなんです。F#-G#-A-B-C#-D#-E,D#,E(ファ#-ソ#-ラ-シ-ド#-レ#-ミレ#ミ)です。文字だとわかりにくい。

 

ミからはじまる、ドレミファソラシドの響きと思ってください。イントロ導入が弦楽器トレモロのE(ミ)で通奏しているなか、基本モチーフが次のF#(ファ#)からそのまま上がっていっています。だからスケール(音階)そのままなんです。すごい!

もっとすごい!冒頭の基本モチーフは2回繰り返しています。なんと2回目は1音違っています。これは音をさらっていかないとなかなか気づかないことかもしれません。AがA#に変化しています。基本モチーフ1回目「F#-G#-A-B-C#-D#-E,D#,E」2回目「F#-G#-A#-B-C#-D#-E,D#,E」です。この一音のズレは絶妙です。生楽器で奏するからこその微妙なピッチのズレを生かした得も言われぬ揺らぎやハーモニーをつくることになります。指の位置で音程を探るヴァイオリンだからこそこの半音ズレたまりません。音程をつくる管楽器もそうですね。ピアノなどの打楽器だと鍵盤おすと誰でも同じ音程の音が出せるからまた違ってきます。気づかないほどに微細な変化、奏者や楽器ごとに生まれる音程のニュアンス、無意識な違和感をつくる仕掛けと奥ゆかしく広がるハーモニー。すごい!!

 

 

2.基本モチーフはアウフタクト。

休符からはじまります。小節の頭が1拍お休みなので、ン・F#-G#- ン・A-B- ン・C#-D#-E,D#,E ですね。それはなんとなく聴いててわかるよ。そうなんです。この第3楽章は8分の6拍子ですがリズムが裏なんです。1・2・3・4・5・6/1・2・3・4・5・6 この2小節分で基本モチーフ、休符から始まっているのでアクセントも小節の頭じゃなくて1・2・3・4・5・6/1・2・3・4・5・6 と裏拍になっています。これがシンコペーションになって躍動感を生みだしているように感じます。モチーフは転調を繰り返しながら変化していきます。8分の6拍子を基調としながら変拍子もはさみます。

3.リズムも裏拍で。

中間部の展開するパート(4分経過あたり)、低音「ド・シ♭・ド・や・す・み」と力強くどっしり刻んで進んでいきます。ふつうに聴いていると、歩くようにドン・ドン・ドン[1・2・3・4・5・6]と頭でリズムをとってしまいそうになりますが、ここも裏拍です。なので正解は(ン)ド・(ン)シ♭・(ン)ド [1・2・3・4・5・6]となります。このリズム感をつかんでくると快感すらおぼえてきます、きっと。このグルーヴ感を見失わなずにカデンツァ前までいけたらもうばっちりです。とびきりのウィンター・ガーデン広がっています。

 

とにかく聴くたびにどんどん喜び溢れてきます。発見も溢れてきます。近藤薫さんのカデンツァの完璧さに圧倒されたなんて言うまでもありません。すごすぎて体震えて目も見開いて次第に顔もほぐれて緩んでいったしかありません。雪のなかの炎のように熱かったです。

2000年代からの指揮活動も影響を与えていると感じられる色彩感に満ちたオーケストレーション。そしてストレートなミニマル手法がたっぷり堪能できる作品です。現代誇る新しいヴァイオリン協奏曲のレパートリー登場です。広く演奏してほしいずっと聴かれてほしい作品です。記憶に新しい「コントラバス協奏曲」の石川滋さん、「ホルン協奏曲」の福川伸陽さんもメンバーにいるなんて豪華すぎます。久石譲と一心一体FOCのパフォーマンスで音源化されることを心から楽しみにしています。

(以上、2022.2追記ここまで)

Blog. 「久石譲 FUTURE ORCHESTRA CLASSICS Vol.4」コンサート・レポート より抜粋)

 

 

Disc. 久石譲 『Mt.Fuji』 *Unreleased

2014年7月18日 オープン

 

富士急ハイランドの新アトラクション「富士飛行社」のために書き下ろされた楽曲『Mt.Fuji』。富士山の大自然の魅力と、四季折々の富士山の美しい映像とともに流れる臨場感のある音楽。フルオーケストラ編成で構成され、壮大で美しい、日本の美を感じることができる大迫力の音楽になっている。

 

公式Youtubeにてダイジェスト映像動画が視聴できる。

 

富士急ハイランド|WEBサイト動画【富士飛行社】

from Fuji-Q Highland Official富士急ハイランド公式 YouTube

 

 

アトラクション所要時間5分20秒のため、同じく5分程度の楽曲に仕上がっている。

富士急ハイランド内の「富士飛行社」アトラクションに搭乗しないと聴くことができない贅沢な音楽になっている。

 

富士急ハイランド 富士飛行社 久石譲

 

 

2016.7 追記

2016年7月14日「Mt. Fuji 2016」

富士飛行社リニューアル。新たな富士山の魅力をお届けするために映像を一新。久石譲が担当したオリジナル曲「Mt. Fuji」も、曲の持つ雰囲気はそのままに、ゴージャスで重厚感あふれる新ヴァージョン「Mt.Fuji 2016」に生まれ変わる。久石譲自ら指揮をとり、演奏されたフルオーケストラが織りなす壮大なオーケストレーションと雄大な富士山の姿を堪能できるアトラクションとなっている。

アトラクション所要時間も7分15秒となり、新映像に合わせて新たなパートも加筆されている。そして従来の旋律もふくめてオーケストレーションを再構成している。

 

 

Disc. 久石譲 『長谷川町子物語 ~サザエさんが生まれた日~』 *Unreleased

2013年11月29日 TV放送

 

放送日:2013年11月29日(金)21:00-
フジテレビ開局55周年特別番組 アニメ「サザエさん」放送45周年記念
TVドラマ 『長谷川町子物語~サザエさんが生まれた日~』

監督・プロデューサー:加藤義人 テーマ音楽:久石譲
出演:尾野真千子 長谷川京子 木村文乃 イッセー尾形 松坂慶子 他

 

 

メインテーマと姉妹、創造の音楽を書き下ろしている。全体的に、室内楽、小編成、弦楽四重奏のようなシンプルな響き。

メインテーマはピアノ、弦、チェロなどとともに、ピチカートやバンドネオンも聴かれ、とても優しい上品なメロディーであり、普遍的なそっと寄り添うような旋律。昭和的な、日本的なメロディーというよりも、あまり感情に訴えかけず主張しすぎないという直近の作風となっている。

一連の「ラーメンより大切なもの」 「イザベラ・バードの日本紀行」 「かぐや姫の物語」などがその作風の流れをくんでいる。シンプルであり、小編成であり、唄いすぎない、それでいてしっかりと印象や余韻を残す音楽。

昭和から愛され続けるサザエさんに呼応するかのように、時代に左右されない、時代を選ばない、そんなテーマ音楽になっている。

クラシカルな旋律と響きが印象的な作品。

 

楽曲情報
・MAIN THEME
・FAMILY
・CREATION
・SISTER

 

未発売作品であり未CD化作品。

 

 

長谷川町子物語

 

Disc. 久石譲 『スイートハート・チョコレート』 *Unreleased

2013年 中国公開

 

2013年 映画「スイートハート・チョコレート」(原題:甜心巧克力)
監督:篠原哲雄 音楽:久石譲 出演:リン・チーリン 他

2012年制作、日中合作映画である本作品は、日本では2012年10月20日-28日に行われた「第25回東京国際映画祭」にて期間上映された。2013年11月2日、第13回韓国光州国際映画祭で最高賞の審査員大賞を受賞し、中国国内でもメディアの注目度が急上昇している。そんななか中国国内で11月08日から上映開始されることが決定。

 

 

メインテーマは切ないピアノの旋律。1音1音丁寧に、お互いの愛を確かめあうような美しいメロディー。チェロによる主曲もまた悠々としっとりと歌い上げている。哀愁漂う叙情的なメロディーが印象的。他にもギターやピチカートによる軽快でリズミカルな曲も含まれている。

全体的にはシンプルなアコースティックサウンド。隠し味的に使用されているシンセサイザーのバックグラウンドもちょうどいい。映画のとおりハートウォーミングな音楽となっている。

 

日本公開日:2016年3月26日

 

 

甜心巧克力 スイートハートチョコレート

 

 

Disc. 久石譲 『イザベラ・バードの日本紀行』 *Unreleased

2013年10月1日 ラジオ放送

 

2013年10月1日~10月11日
ラジオ番組 J-WAVE 25th Anniversary Special
『UNBEATEN TRUCKS IN JAPAN イザベラ・バードの日本紀行』
企画・構成・演出・ナビゲーター:三谷幸喜 朗読:松たか子 音楽:久石譲

 

 

ピアノとヴァイオリンが織りなすクラシカルな音楽世界。明治維新、イギリス人、女性旅行作家、こういった時代背景。高貴で上品なタッチであり、軽やかでもあり優美さもあり、新しい時代の幕開けと、女性の社会的進出の加速も感じさせる曲調。

テーマ曲はピアノとヴァイオリンが跳ねるように響く。ヨーロッパな香り、女性イギリス人の主人公を表現しているかと思えば、明治時代という時代のうねりも顔を覗かせる。テーマ曲だけでもオープニングとエンディングで流れたメインテーマと、物語のなかでのヴァイオリンのソロ、そしてピアノとヴァイオリンがよりゆったりと優雅にアレンジされた、少なくとも3つのヴァリエーションは確認できた。

その他ストーリにそって、テーマ曲以外のシーン音楽も登場する。アイリッシュな旋律もあり、シンプルながらも躍動感や臨場感も感じさせる、イギリスと日本の文化が絡み合っているよう。

テーマ曲、およびテーマ曲のヴァイオリン・ソロ、テーマ曲の別アレンジ・ヴァージョン。シーン音楽も少なくとも3-4曲登場している。

全編にわたりピアノとヴァイオリンのみというシンプルなアコースティック構成。時に優雅に歌い、時に弾むように、時に激しいパッションを表現したピアノとヴァイオリン。ラジオ物語らしい心地のよいゆったりとした調べ。日曜日の昼下がりにとても似合う。叙情的にもなりすぎず、幾学的でもない、まさにクラシカルな室内音楽のような音楽世界。

ちなみに、この作品でのピアノ奏者は久石譲ではない。おそらくクラシック専門のピアノ奏者であり、久石譲の持ち味とはまた違った、この作品らしいクラシカルな規則正しい演奏が上品さを引き立てている。

クラシカルな響きな時代を問わず普遍的であり、聴く人の年齢によっても味わいや深みも変わって感じられる、成熟していく大人な香りのする作品。このような小品集を日常生活のなかで、ほんのひとときでも非日常な時間を体感できるならば、それはすごく価値のある尊い作品だと思う。

 

楽曲情報
・イザベラのテーマ
・MOUNTAIN HUT

 

 

 

Disc. 久石譲 『ふるさとのメロディー』 *Unreleased

ラーメンよりも大切なもの

2013年6月8日 映画公開

 

ドキュメンタリー映画「ラーメンより大切なもの ~東池袋 大勝軒 50年の秘密~」
監督:印南貴史 音楽:高田耕至
エンディングテーマ:久石譲

 

 

エンディングテーマ 『ふるさとのメロディー』を作曲。ピアノトリオというピアノ、ヴァイオリン、チェロというアコースティックなシンプルな構成。

久石譲本人もこう語っている。「あえてクラシカルなスタイルにした。包み込むようなメロディー。」と。

ひとりの男の人生の背後に流れるドラマや歴史、そして希望。4分弱の楽曲に人生が凝縮されている。温かくもあり、力強くもあり。ヴァイオリン、チェロ、ピアノがそれぞれ絡み合い、メロディーを織りなし、それはまさに歩んできた足あとや道標のよう。クラシカルな構成ながら、「古き良き時代の昭和」「古風な昭和の男」を感じされるのもメロディーの巧みな力だと思う。

サウンドトラック未発売楽曲。

 

 

ラーメンよりも大切なもの

 

Disc. 久石譲 『ふるさとの空』 *Unreleased

富山県ふるさとの空

2012年 発表

 

富山ふるさとの歌づくり実行委員会によって制作。「誰もが口ずさめ、富山への誇りをもてるように」と公募で選ばれた作詞に、補作詞されたものに、作曲された『ふるさとの空』。「富山の自然をこの歌とともに継承し、大切にしてほしい」という久石譲からのメッセージも寄せられている。

 

 

富山県ふるさとの歌
『ふるさとの空』
原詞:布村勝志 補作詞:須藤晃 作曲:久石譲 編曲:山下康介

公式ホームページにおいて
1.管弦楽
2.独唱(ソプラノ)
3.同声二部合唱
4.女声三部合唱
5.混声四部合唱
6.独唱(バリトン)
7.吹奏楽

同曲をそれぞれ編曲した7タイプのアレンジを視聴できる。 (2013年5月現在)
歌詞や楽譜のPDFファイルも閲覧できる。

ふるさとの空 – 富山県ふるさとの歌

 

 

 

メロディーも歌いやすい、童謡のような、懐かしみのある温かい旋律になっているが全4番という構成のなか、3番だけメロディーが少し展開しているのがおもしろい。

(1) (7)の管弦楽も吹奏楽も、市民たちが演奏できるようになのか、あまり難易度を高くせず、かつ楽曲としてまとめているアレンジもすばらしい。(2) ~ (6)の歌もそれぞれに趣があり、伴奏はすべてピアノのみとなっている。

ふるさとの市民が、これからも、いろんなかたちでこの曲を歌い続けていけるように、いろんなかたちで演奏できるように、7つものヴァージョンを制作しているのだろう、と思う。

 

 

ふるさとの空 非売品 2

CD応募プレゼント(非売品)

 

[CD情報]

ふるさとの空
1.管弦楽
演奏:富山シティフィルハーモニー管弦楽団 指揮:土居浩
録音:2012.6.2 富山市民芸術創造センター
2.独唱(ソプラノ)
歌唱:高野百合絵 伴奏:福田あき子
録音:2012.6.10 BS&T STUDIO
3.同声二部合唱
歌唱:南砺市立井波小学校・福野小学校合同合唱団 指揮:山田和美 伴奏:富永則子
録音:2012.6.16 南砺市井波総合文化センター
4.女声三部合唱
歌唱:富山県立呉羽高等学校音楽部 指揮:黒崎隆憲 伴奏:余川槙菊
録音:2012.6.16 富山市婦中ふれあい館
5.混声四部合唱
歌唱:合唱団「樂音樹」 指揮:重松秀子 伴奏:齋藤功子
録音:2012.6.3 富山市民芸術創造センター
6.独唱(バリトン)
歌唱:大畑理博 伴奏:福田あき子
録音:2012.6.10 BS&T STUDIO
7.吹奏楽
演奏:富山ミナミ吹奏楽団 指揮:牧野誠
録音:2012.6.17 富山市民芸術創造センター

8.富山県民の歌
歌唱・演奏:コロムビア合唱団、原信夫とシャープス・アンド・フラッツ(昭和33年収録)

Producer:須藤晃
制作:富山県ふるさとの歌づくり実行委員会

 

 

富山県ふるさとの空

 

 

2015.5 追記

2015年5月9日開催「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演」、管弦楽+混声合唱団という特別な編成でのお披露目となりました。

ふるさとの空 (富山県ふるさとの歌)
「ふるさとの空」は、県民や県出身者が、ふるさとを思い、ふるさとへの愛着を育みながら、みんなで一緒に歌い、心を一つにできる歌を作って欲しいという県内外の多くの方々の声を受け、平成23年8月から「富山県ふるさとの歌づくり実行委員会」で歌づくりが進められました。歌詞については、公募で選ばれた布村勝志さんの原詞を、富山県出身の音楽プロデューサー須藤晃さんが補作、久石譲さんが作曲を担当して、平成24年7月に富山県教育文化会館において発表されました。ふるさと富山の素晴らしさや魅力が盛り込まれた「ふるさとの空」は、子供から大人まで広く歌われています。今回の公演は、大編成の管弦楽と合唱により、久石譲さん本人の指揮で演奏される貴重な公演となります。

(久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演 コンサート・プログラム より)

 

 

 

2017.1 追記

2017年3月末をめどに、富山市内の駅と高岡駅の到着メロディーに使われることが決まりました。

 

 

2017.3 追記

 

 

Disc. 久石譲 『(伊右衛門 新テーマ)CM音楽』 *Unreleased

2012年10月 TVCM放送

 

2004年サントリー伊右衛門発売と同時にTVCMでいろんなヴァージョンを聴かせてくれたテーマ曲『Oriental Wind』。2012年10月よりリバイタライズされて、新しいテーマ曲になる。

 

「宣言篇」で流れている15-30秒程度の楽曲は、ミニマルミュージックをベースとしていて、『Oriental Wind』と『新テーマ』をつなぐような役割を果たしている。

そして「師匠のために篇」から新しく流れはじめた『新テーマ』。1分弱くらいのもので、ピアノのメロディーからはじまり、次第にオーケストレーションで壮大に展開していく。新しい息吹、緑広がる空気、澄んだ水、古都京都を思わせる、清らかな楽曲。「宣言篇」で流れていたミニマルな旋律が、この『新テーマ』のなかではバックモチーフとして随所に小刻みに流れている。

2004年から8年間にわたって流れていた『Oriental Wind』は、月日の経過とCMストーリーに合わせて、四季折々、様々なヴァージョンを聴かせてくれた。こちらの『新テーマ』も、これからどんな変化をしていくのか楽しみである。そして、いつの日か、『Oriental Wind』も『新テーマ』も全CMヴァージョンを集めたCD作品を発表してほしいと祈っている。

 

以後、「新テーマ曲」はOA開始から、「急須 篇」「青のれん 篇」「水出しを待つ贅沢 篇」「浴衣 篇」「秋の味覚 篇」とすでに5つの装いとバージョンがお披露目されている。

 

 

 

 

2014.4.1 追記

2014年4月1日 CM放送開始

「お茶の言葉 篇」

2012年秋からの久石譲による「新テーマ」が新たな装いとして新アレンジ。30秒CMのほかサントリー公式サイトCMギャラリーにて120秒特別篇も視聴可能。

 

 

Disc. 久石譲 『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』 *Unreleased

hakujuギターフェスタ

2012年8月19日 世界初演

 

久石譲作曲による2台ギターのための委嘱作品『Shaking Anxiety and Dreamy Globe』。「第7回Hakujuギター・フェスタ2012」にて荘村清志さんと福田進一さんという2大ギタリストにより世界初演された。

2014年9月22日開催コンサート、久石譲プレゼンツ「ミュージック・フューチャー vol.1」にて、『Shaking Anxiety and Dreamy Globe for for 2 Marimbas』オリジナルの2台ギター編成を、2台のマリンバのための編成として世界初演。

2015年8月23日「第10回Hakujuギター・フェスタ2015」にて再演。2012年同様2大ギタリスト(荘村清志/福田進一)によるオリジナル版。

 

 

エモーショナルなミニマル・ミュージック。音の粒の細かさといい、変拍子かつミニマル・ミュージックの音のずれによる変化。演奏の難易度もとても高い1曲だと思う。ギターのアコースティックな響きと、規則性あるデジタルな音型とのギャップが、メロディアスなメロディーがないなかで、強烈なインパクトと余韻を与えている。

曲名 “Shaking anxiety and Dreamy Globe”は、アメリカのシュルレアリスムの詩人、ラッセル=エドソンの詩にある、[生命が生まれる瞬間」を表した一節を引用した造語。

当時ラジオなどではO.A.紹介されたが、CD化はされていない作品。下記追記でもCD作品は紹介しているが、久石譲のオリジナル版とは演奏表現が異なる。

 

 

 

2015.6.24 追記

 

 

《Shaking Anxiety and Dreamy Globe ―揺れ動く不安と夢の球体―》

ミニマルの手法とフラメンコギターのエッセンスを取り入れた作品。複雑な変拍子と躍動感あふれる久石ならではの技巧的な楽曲。

【楽曲解説】
特筆すべきなのが拍子の独創性で、4分の13拍子(3+3+3+4拍子)をとり、しかも2人の奏者は1小節たりとも同じ動きの拍子を共有しない。そのことが生み出す一種幻覚的な音空間の魅力を味わわれたい。

(【楽曲解説】 CDライナーノーツより)

 

 

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