Info. 2016/04/05 《速報》「久石譲&五嶋龍 シンフォニー・コンサート in 北京・上海」 プログラム

Posted on 2016/4/5

2016年久石譲のコンサート活動は、今年も海外公演でスタートしました。近年は台湾でのコンサートを行っていましたが、今年は5年ぶりとなる中国公演、北京・上海での公演となりました。

さらにコンサートに華を添えるのが、ソリストにヴァイオリニスト:五嶋龍を迎えての贅沢なシンフォニー・コンサート。2015年10月「題名のない音楽会」リニューアルに新テーマ曲「Untitled Music」を書き下ろした久石譲です。記念すべき第1回目放送には自らの指揮と五嶋龍のヴァイオリンというコラボレーションににて初披露も果たしています。

 

そんな二人がコンサートで初共演、かつ海外公演でのプレミア・プログラムとなりました。

 

久石譲&五嶋龍 シンフォニー・コンサート in 北京 / 上海

[公演期間]久石譲 上海 2016
2016/03/26 – 2016/04/02

[公演回数]
5公演
3/26,27 北京・北京展覧劇場
4/1,2 上海・上海東方芸術センター コンサートホール
(4/2 15:00/19:30 2公演)

[編成]
指揮:久石譲
ヴァイオリン:五嶋龍
管弦楽:
北京交響楽団 (北京)
上海フィルハーモニー管弦楽団 (上海)

[曲目]
久石譲:交響変奏曲「人生のメリーゴーランド」
(Symphonic Variation ”Merry-go-round”)
Winter Garden *China Premier
Untitled Music *China Premier

—-intermission—-

ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 作品47 (北京)
ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト短調 作品88 (上海)

—-encore—-
ドヴォルザーク:スラブ舞曲 第2番 ホ短調 作品72 (上海)
久石譲:Kiki’s Delivery Service for Orchestra

 

 

いくつか補足です。

北京で2回、上海で2回という当初の公演回数予定でしたが、あまりの反響に、急遽最終日4月2日に1公演追加されることになりました。日本でも同日2回公演をしたのは、伝説の「久石譲 in 武道館 ~宮崎アニメと歩んだ25年間」くらいしか思い浮かびませんが、そのくらい熱狂的に迎えられていたという証だと思います。

「Winter Garden」は、「久石譲 ジルベスターコンサート 2014 in festival hall」でも演奏されている、全3楽章のシンフォニック・バージョンへと改訂された作品です。もともとがヴァイオリンのために書かれた作品であり今回は五嶋龍さんの演奏で届けられています。

Disc. 久石譲 『Winter Garden』 *Unreleased

 

「Untitled Music」も、オリジナル版同様、久石譲×五嶋龍のタッグによる演奏です。日本ではTV放送はあったものの、コンサートではまだ未披露作品です。いち早く中国公演にてコンサート初披露となりました。

ちなみに「Winter Garden」および「Untitled Music」が《China Premier》という表記になっています。これは楽曲構成が大きく変化したというものではなく《中国初演》という意味あいです。作品自体の大きな改訂ではありません。

 

北京公演プログラム後半のクラシック作品からの演目は、ショスタコーヴィチ 交響曲第5番。過去にも数回演目として取り上げている作品です。久石譲にとっても思い入れの強い作品なのかもしれません。

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「そして一番わかったことは「革命」というタイトルを持つこの楽曲が(これは日本だけでしか呼ばれていない)、実はとてつもなく暗く、表の表現とはかけ離れているところにショスタコーヴィチ本人はいたということだ。つまり苦悩から歓喜へ、闘争から勝利へ、というベートーヴェンの第5番、第9番やマーラーの第5番交響曲と同じ図式に従って全体は構成しているが決して歓喜でも勝利でもないのである。表面上をそうすることで党から睨まれている状況から脱出したが、本人の心はいたってクール、冷めて見ているのがよくわかった。だからといってこの楽曲を適当に書いたのではなくて、むしろ裏に託した批判の精神、孤独などが痛いほど僕には感じられた。だから第4楽章ラストのテンポは色々議論の的なのだが、これは遅ければ遅いほどよいというのが僕の結論。凱旋パレードのように華やかに盛り上げるのは以ての外。まるであたりを埋め尽くしている戦車軍団がゆっくり進軍していくようなA音(ラ)の連打がここの決め手になる。もちろんこれは僕の考えで、人に押し付けられるものではない。やはりクラシックは演奏するたびに新しい発見がある。」

Blog. 「クラシック プレミアム 34 ~リスト ピアノ作品集~」(CDマガジン) レビュー より抜粋)
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「NHKのクラシック番組で、パーヴォ・ヤルヴィ指揮、NHK交響楽団の演奏でショスタコーヴィチの交響曲第5番の演奏を聴いた。この楽曲については前にも触れているので多くは書かないが、一応形態は苦悩から歓喜、闘争から勝利という図式になっているが、裏に隠されているのはまったく逆であるというようなことを書いたと思う。パーヴォ・ヤルヴィの演奏はその線上にあるのだがもっと凄まじく、この楽曲を支配しているのは恐怖であり、表向きとは裏腹の厳しいソビエト当局に対する非難であると語っていた。第2楽章がまさにそのとおりでこんなに甘さを排除したグロテスクな操り人形が踊っているような演奏は聴いたことがなかったし、第4楽章のテンポ設定(これが重要)がおこがましいが僕の考え方と同じで、特にエンディングでは、より遅いテンポで演奏していた。だから派手ではないが深い。」

Blog. 「クラシック プレミアム 38 ~ヴァイオリン・チェロ名曲集~」(CDマガジン) レビュー より抜粋)
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上海公演ではドヴォルザーク交響曲第8番が披露されています。とてもダイナミックでドラマチックな交響曲ですが、久石譲曰く「ドヴォルザークはメロディーメーカー」というとおり、親しみやすく心に残ります。久石譲作品と並べて演奏するにも相性がいいとも思いますし、同じくメロディーの力をわかっている久石譲の指揮だからこそ、聴こえてくる響きもあるのかもしれません。それは上海公演アンコールで披露されたスラブ舞曲にも同じことが言えます。

 

アンコールは近年コンサート演目としても定番となっている「Kiki’s Delivery Service for Orchestra」。演奏プログラムにオリジナル作品が多かっただけに、海外でも人気のあるおなじみのスタジオジブリ作品をアンコールで聴けて、待ちに待っていた中国ファンの皆さんも歓喜に湧いたのではないかと思います。

ただでさえコンサート回数が少なく、また見事チケットをゲットできたとしても、オーケストラコンサートの収容人数は2000人前後です。まさにレアでプレミアムなコンサートとして刻まれた中国公演。ファン心理の欲をいえば、そういった背景からもさらにあと1-2曲、久石譲の代名詞的楽曲を演奏して、待ちわびた海外ファンにもっと喜んでもらえたらな、とも思います。けれども、全5公演、管弦楽も会場ごとにそれぞれ2楽団と共演ということで、スケジュールもタイト、リハーサルも考えたらさらにタイト。

なにはともあれ、政治や経済といった近年の日中関係の悪化を経て、このように音楽をとおして響きあえたことは貴重な機会、かけがえのないことだと思います。

中国のファンの皆さんは、すでに次はいつだ?と早くも熱望していることと思いますが、それは日本も同じ。本公演のプログラムや五嶋龍さんとのコンサート・コラボレーション。そんな一期一会なコンサートが日本でも聴けるときを楽しみに待っています。

 

 

久石譲 中国公演 2016

 

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