Disc. ムクワジュ・アンサンブル 『MKWAJU』

1981年6月25日 LP発売 YF-7019-ND
1982年6月25日 CT発売 CTR-7052
1991年8月21日 CD発売 COCO-7764
2005年4月20日 CD発売 COCB-53340
2018年1月31日 UHQCD発売 COCB-54240
2018年11月16日 LP発売 WRWTFWW025

 

 

MKWAJU LP 2

MKWAJU LP 3

MKWAJU LP 4

MKWAJU LP 1

MKWAJU LP 2

(LPジャケット / LP盤)

 

 

パーカッション・トリオ、ムクワジュ・アンサンブル
久石譲プロデュースによる作品

マリンバや民族楽器とシンセサイザーを絡ませた野心作
意欲的なミニマル音楽集

 

「私は旅行と探検家がきらいだ」と書いたのは、レヴィ=ストロスではなかったろうか。未開民族の社会構造を研究し、人間の基本的な生存システムをさぐる。このフィールド・ワークはヨーロッパ人の植民地主義的発想と最初不可分であった。

短い旋律。短すぎて、それだけでは喜びも悲しみも表現できない。
その旋律を単位として何回も何回も繰り返す。はてしなく続く旋律。太陽の動きとおなじくらいゆっくり変化する。
またこの旋律を何人かでひいてみる。ズレが生じる。このズレが思いがけないメロディーを生む。音と音の隙間にできる新しい音。ついには、この新しい音が独立して最初のメロディーとは無関係に動き出す。

ミニマル・ミュージックとのちに名づけられるのは、こんな音楽。
アフリカでもアジアでも、ヨーロッパ文明の浸食をうけていないところでは、多くの場所にのこっている。

(CDライナーノーツ より)

 

ムクワジュ・アンサンブル
高田みどり(マリンバ、ヴィブラフォン、ゴング、トムトム、カウベル、他)
定成庸司(バス・マリンバ、ゴング、トムトム、他)
荒瀬順子(ミトラ・マリンバ)

久石譲(ピアノ:スタインウェイ / エレクトリック・ピアノ:フェンダー)
ペッカー(ラテン・パーカッション)
松武秀樹(コンピューター・プログラミング シンセサイザー:MC-8、プロフェット-5)

 

MKWAJU ムクワジュ

ムクワジュ組曲 MKWAJU SUITE
1. ムクワジュ Mkwaju
2. シャク・シャク Shak Shak
3. レモア Lemore
4. ティラ=リン Tira-Rin

5. パルス・イン・マイ・マインド PULSE IN MY MIND
6. フラッシュ=バック FLASH-BACK

久石譲プロデュース 全作曲:久石譲

録音:1981年2月6日、7日、3月12日 日本コロムビア第1スタジオ

 

 

 

今も色褪せぬ久石譲の1981年のミニマル音楽傑作集
待望の「ムクワジュ・ファースト」リイシュー決定

MKWAJUとはスワヒリ語でタマリンドの樹の意味

 

ミニマルに躍動するアフリカン・リズム。それは大地の鼓動、生命の息吹。世界的作曲家、久石譲の原点がここに。

(UHQ CD帯より)

 

「MKWAJU ムクワジュ・ファースト」
MKWAJU ENSEMBLE ムクワジュ・アンサンブル

久石譲:作曲&プロデュース

最新リマスタリング UHQ CD

発売日:2018年1月31日
品番:COCB-54240

 

ムクワジュ組曲 MKWAJU SUITE
1. ムクワジュ MKWAJU
2. シャク・シャク SHAK SHAK
3. レモア LEMORE
4. ティラ=リン TIRA-RIN

5. パルス・イン・マイ・マインド PULSE IN MY MIND
6. フラッシュ=バック FLASH-BACK

ムクワジュ・アンサンブル
高田みどり(マリンバ/ヴィヴラフォン/ゴング/トム・トム)
定成庸司(バス・マリンバ/ゴング/トム・トム)
荒瀬順子(ミトラ・マリンバ/ゴング)

久石譲(キーボード)
ペッカー(ラテン・パーカッション 他)
松武秀樹(コンピューター・プログラミング)

オリジナル・リリース:1981年6月25日 YF-7019

 

朱に燃ゆる空、はるか地平まで続く草原に生える1本の大きな木、アフリカの大地を想起させるミニマルなアートワークをまとった、ムクワジュ・アンサンブルのファースト・アルバム『ムクワジュ・ファースト』は、1981年、斬新なアイディアと冒険心を胸に、ジャンルの垣根を超えて数々の先進的な音楽を世に送り出したレーベル、BETTER DAYSから発表された。

作曲・プロデュースを手掛けたのは久石譲。メンバーは、クラシックや現代音楽のフィールドで活躍する3人の打楽器奏者、高田みどり、荒瀬順子、定成庸司。高田みどりは、1978年にベルリン放送交響楽団のソリストとしてデビュー後、アジアやアフリカの音楽家と多くの共演を重ねる。荒瀬順子は、深町純が音楽を手掛けた1980年公開の映画『海潮音』のサウンドトラックに参加し、深町のシンセサイザーとのデュオで幻想的な音楽を披露している。定成庸司は1973年に、尺八奏者の山本邦山が廣瀬量平作品を取り上げたリサイタルのスタジオ録音に参加するなど、いずれもクラシックや現代音楽の枠にとどまらず、幅広く演奏活動をしている打楽器奏者だ。メンバーのほかには、久石譲のキーボード、ペッカーのラテン・パーカッションと、松武秀樹のシンセサイザー・プログラミングが加わっている。

『ムクワジュ・ファースト』は、久石譲が大学在学中に出会い深く傾倒した、ミニマル・ミュージックの手法を用いて作曲・プロデュースした初めての作品だ。短い音型をわずかに変化させながら繰り返し演奏することで生じるずれを音楽の構成要素とするミニマル・ミュージック。その起源には諸説あるが、アフリカやアジアなどの民族楽器からの影響もそのひとつとされている。この『ムクワジュ・ファースト』も、アフリカの民族音楽がもつ様々なリズムの音型を素材に作られている。しかし、多様な表現を見せる70年代以降の現代音楽と同様、単にミニマル・ミュージックというひとことでは、このアルバムの魅力を語りきれない。「ムクワジュ組曲」のなかの「ムクワジュ」と「ティラ=リン」では、軽快にリズムを奏でながら少しずつ表情を変えていくマリンバのアンサンブルに、ペッカーの肉体的なパーカッションと、プログラミングされたリズムマシンの機械的なビートが加わることで、現代音楽としてのミニマル・ミュージックにはないグルーヴと、ポップな感覚が生まれている。歪んだ残響音をもった旋律を奏でている楽器は、小さな穴が開けられた共鳴パイプに貼られた薄い紙が震えることで独特の音を発する、《ミトラ》という変型マリンバで、シンセサイザーのノコギリ波のようにも聞こえる音色だ。「パルス・イン・マイ・マインド」では、クロマティック・ゴングという東南アジア原産の銅鑼による、倍音成分をたっぷり含んだ金属的な響きが、柔らかくトレモロするエレクトリック・ピアノとともに幻想的なアンサンブルを奏でている。まるでアンビエント・ミュージックのような佇まいだ。ミニマル・ミュージックのエッセンスを感覚的にとらえてロックやポップスに応用した、クラフトワークなどの電子音楽やブライアン・イーノに代表されるアンビエント・ミュージックとの共通点が見いだせるし、また、90年代に躍進したテクノやハウスなどのダンス・ミュージックに先駆ける手法も見てとれる。『ムクワジュ・ファースト』が昨今、若い世代の耳を惹きつけているひとつの要因だろう。また、「パルス・イン・マイ・マインド」の作曲方法として、ほぼ記憶不可能な音を構成するために、乱数表が用いられたそうだ。アメリカを代表する現代音楽の作曲家、ジョン・ケージの手法を彷彿とさせるが、ジョン・ケージが乱数表から偶然による即興性を得ることを目的としたのとは違い、ここでは緻密な構成を可能にするための手段として利用されている。「フラッシュ=バック」では、複合リズムの極みとでもいうべき、アフリカの民族音楽に肉迫した原始的な躍動感のあるパーカッション・アンサンブルを聴くことができる。ミニマル・ミュージックの面白さがもっとも顕著に現れた楽曲だろう。

久石は『ムクワジュ・ファースト』を発表した後、ポップスのフィールドへ活動の幅を広げたが、『風の谷のナウシカ』などの宮崎駿アニメのサウンドトラックでも、ミニマル・ミュージックの要素をもった楽曲を聴くことができるし、「ムクワジュ組曲」は、オーケストラや弦楽四重奏などにアレンジされてその後も演奏され、今も広く親しまれている。ポップスのフィールドで世界的に名を成した久石の深意には、常にミニマル・ミュージックへの思いがあり、その原点がこの『ムクワジュ・ファースト』にある。同時に、ミニマル・ミュージックに馴染みのないリスナーをも魅了する、フレッシュなエネルギーを秘めていることが、『ムクワジュ・ファースト』を名作たらしめている。

CHEE SHIMIZU(2017.11)

(UHQ CDライナーノーツより)

 

*UHQ CDには封入解説として、オリジナル盤LPのアートワーク(ライナーノーツ)付きです。主に楽曲解説などになりますが(上に一部写真あり)、CHEE SHIMIZU氏によるUHQ CD寄稿文にてきれいに同旨要約されています。ここでのあらためての記載はしていません。

 

 

2018.11 Update!!

 

 

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