Score. 久石譲 「THE EAST LAND SYMPHONY」 [スコア]

2019年10月15日 発刊

久石譲が本格的に書き下ろした長大な交響曲「THE EAST LAND SYMPHONY」のスコア。

 

 

THE EAST LAND SYMPHONY

「THE EAST LAND SYMPHONY」は2011年に着手し、2016年の夏に完成した。全5楽章で約45分かかる規模の大きな作品になり、第3、5楽章にはソプラノも入る。

タイトルの「THE EAST LAND」は「東の国」つまり「日本」であり、その日本の中の東の国は、「東北地方」を指す。作曲の過程で起きた東日本大震災が何らかの形で影響していることは間違いない。もちろん社会的な事象を表現しようと思って作曲した訳ではない。音楽は音の構成のみで成立するべきだというのが僕の信条だが、人として、我々はどこに行くのか? 世界のカオス(混沌)の中でどう生きるのか? という思いはあり、そんな中でも生きる勇気と力を持ち、自分を見失わない日本人であってほしいという願いを、作曲しながら常に持っていた。

第1楽章「The East Land」と第2楽章「Air」は2011年に作曲した。核になっているのはセリー(音列)*的な要素とミニマルを合体させることで、全体を覆う不協和音はその結果である。第1楽章の中間部を過ぎてからアップテンポになるのだが、そこで炸裂する大太鼓はまるでクラブのキックドラムのようで個人的には気に入っている。また第2楽章は、鍵盤打楽器が大気の流れのように止め処なくくり返される。少し抽象的な表現をすると「時間の進行を拒否した」ような佇まいだ。最も作曲に時間を要した曲でもある。

(*セリー:音列のこと。特に十二音技法においては、すべての音を1回ずつ用いて構成する。)

第3楽章「Tokyo Dance」は、「自分と自分の周りだけが大切、世界なんかどうでもいい!」というガラパゴス化した当時の日本(東京)を風刺したソプラノの楽曲だ。ロンド形式のように構成したが、中間部、後半部は英語とミックスしながら『平家物語』と同じ諸行無常を歌っている。娘の麻衣が作詞を担当し、何回か書き直しをしていく過程で数え歌というアイディアが浮かび、いわば「東京数え歌」ともいえる楽曲になった。また第3~5楽章は2016年に作曲した。

第4楽章「Rhapsody in Trinity」は前曲と同様にブラックな喜遊曲だが、全体のクライマックスを構成するために第1楽章のモチーフが再現される。また日本的なもの、西洋的なものが、激しく交差してカオスを作っている。11/8拍子という何とも厄介なリズムもそれに貢献している。

第5楽章「The Prayer」は最小限の音で構成されたシンプルな祈りの楽曲だ。ソプラノで歌われる言葉はラテン語のことわざ辞典から選んでいる。後半に現れるコラールはバッハ作曲の「マタイ受難曲第62番」からの引用だ。このシンフォニーを書こうと考えたときから通奏低音のように頭の中で流れていた。

久石譲

(「THE EAST LAND SYMPHONY」スコア より)

 

補足)
上記文章は、英文併記されています

編成表、オリジナル歌詞(日本語/ラテン語)、訳詞(英語) 収載
including INSTRUMENTATION, TEXT and TRANSLATIONS

 

 

●初演情報

【第1楽章のみ初演 (『交響曲第1番 第1楽章』として発表)】
2011年9月7日 東京・サントリーホール
指揮:久石譲
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

【全楽章初演 (『THE EAST LAND SYMPHONY』)】
2016年7月29日~8月10日
「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2016」
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
ソプラノ独唱(ダブルキャスト):市原愛・安井陽子

●World Premiere

【Symphony No.1 1st movement】
September 7, 2011 – Suntory Hall, Tokyo, Japan
Joe Hisaishi, conductor
Tokyo Philharmonic Orchestra

【THE EAST LAND SYMPHONY with five movements】
July 29, 2016 – August 10, 2016
“Jpe Hisaishi & World Dream Orchestra 2016”
Joe Hisaishi, conductor
New Japan Philharmonic World Dream Orchestra
Ai Ichihara / Yoko Yasui, soprano solo (double cast)

 

 

JOE HISAISHI
THE EAST LAND SYMPHONY

I. The East Land
II. Air
III. Tokyo Dance
IV. Rhapsody of Trinity
V. The Prayer

(全5楽章)
演奏所要時間:約45分

 

スコア/菊倍判/192頁
JAN: 4511005103918
ISBN: 978-4-11-899712-4
定価:4,500円+税
全音楽譜出版社

 

※レンタル扱いのパート譜は全音楽譜出版社にて取り扱い

全音楽譜出版社|レンタル楽譜
https://www.zen-on.co.jp/rent/

 

 

◎音源は久石譲『Minima_Rhythm III ミニマリズム 3』に収録されています。

 

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