Blog. 「クラシック プレミアム 18 ~ベートーヴェン4~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2014/09/09

「クラシックプレミアム」第18巻は、ベートーヴェン4です。

第1巻ではベートーヴェン1として交響曲 第5番《運命》・第7番、第9巻ではベートーヴェン2として交響曲 第3番《英雄》ほか、第15巻ではベートーヴェン3としてピアノ協奏曲 第5番《皇帝》、それぞれ特集&CD収録されています。

今号は生涯を通じて創作し続けたピアノ・ソナタの中からの3大傑作です。そして毎号特集される収録曲の解説も深いですが、今回も3大ピアノ・ソナタを作品ごとに、各楽章ごとに、計5ページにわたって解説や考察が記されています。当時のベートーヴェンを取り巻く環境や時代反映にも触れながら。

 

【収録曲】
ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 《悲愴》
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)
録音/1967年

ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 作品27の2 《月光》
アルフレッド・ブレンデル(ピアノ)
録音/1994年

ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 《情熱》
エミール・ギレリス(ピアノ)
録音/1973年

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第18回は、
「楽譜の不完全さについて」

「音楽を伝える」というテーマで数回にわたって書き進められていました。今回がそのまとめの項となっています。久石譲が大学時代から愛蔵しているという音楽之友社刊『標準音楽辞典』。その辞典より「楽譜」や「記譜法」などの意味を紹介しながら、エッセイは進みます。さながら大学の講義を受けているような辞典からの音楽解説がつづき、それをふまえて久石譲の独自の解釈、結論へと導かれています。

一部抜粋してご紹介します。

 

「~中略~ 人はそれぞれの時代を生き、音楽と向かい合い、楽しみ、慈しみながらその感動を何らかの形で伝えようと書き記してきた。そしてそこに書き記されたものは間違いなく人類の財産なのである。」

「譜面とは何か?音楽を演奏者に伝えるために視覚化したもので、その視覚から入った情報を脳に伝達して、音に置き換えさせるもの。いずれにせよ音楽を視覚化したものではある。」

「プロの演奏家はこの視覚からの情報をいち早く体に伝え、身体的運動によって音に置き換える。同時に聴覚もフル活動させ音程やリズムに注意する。すべては脳でコントロールするのだが、それを経由しないで直接身体的運動にするまで修練する。まことに複雑なあるいは神秘的といっていいほどのメカニズムなのだが、この視覚と聴覚の問題は次回から書きたい。」

 

エッセイに登場した『標準音楽辞典』。調べてみましたら1966年に発刊された辞典で、なんと1542ページ。かなり分厚い、重い。この辞典の紹介には「音楽を極めたい人はぜひ」とほぼ書いてあります。

標準音楽辞典

そんな『標準音楽辞典』も長い年月を経て改訂され、今では『新訂 標準音楽辞典 第二版』として上下巻になっています。上下巻合わせて約3500ページに、第一版の倍近くに。詳しくはわかりませんが、おそらく1970年代から2000年代の音楽の歴史、さらには音楽史に刻まれる音楽家たちが加筆されているのだと思います。

法律を学ぶ人のバイブルである六法全書のように、音楽を深く学んでいる人たちは持っているのでしょうか? 標準音楽辞典。

 

クラシックプレミアム 18 ベートーヴェン4

 

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