Blog. 久石譲 「ジルベスター・コンサート 2011」 コンサート・パンフレットより

Posted on 2014/12/27

いよいよ2014年12月31日大晦日のジルベスター・コンサートに向けてカウントダウンが始まりました。2006年から始まった久石譲のジルベスター・コンサートですが、この2011年のジルベスター・コンサートを最後に、今回なんと3年ぶりの開催となります。

前回の「ジルベスター・コンサート 2011」はどんな内容だったのか。当時の貴重なコンサート・パンフレットをもとにプログラムおよび楽曲紹介をしていきます。

 

 

ジルベスタ―コンサート2011

2011/12/31

指揮:ピアノ:久石譲
指揮:金 洪才
ヴォーカル:麻衣
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

 

第一部 ラ・フォリア

2010年スタジオジブリ制作、宮崎駿監督作品の短編映画『パン種とタマゴ姫』より。ヴィヴァルディの「ラフォリア」を素材に、現代的なアプローチで再構築。ヴィヴァルディが活躍した時代の”バロック音楽”のシステマチックな部分にミニマル・ミュージックの手法を取り入れ、古典的なニュアンスを保ちながらも現代のバロック曲として新たな命が吹き込まれた作品。
*「ラ・フォリア ヴィヴァルディ/久石譲編 『パン種とタマゴ姫』 サウンドトラック」 収録

 

第二部 「坂の上の雲」 第二組曲
・第3部序幕
・少年の国
・真之と季子
・煉獄と浄罪
・絶望の砦 ~二◯三高地ニ起ツ~
・日本海海戦
・終曲
・Stand Alone

司馬遼太郎の長編小説『坂の上の雲』が映像化。NHKスペシャルドラマとして2009年11月~12月に第1部。2010年12月に第2部、今年12月に完結編となる第3部が放送されたばかり。明治時代、近代国家として新しく生まれ変わろうとする「日本」。純粋さやひたむきさだけでなく、高み=”坂の上”を目指そうとする人々の強い志と貪欲さが時代を動かす風となっていく。ドラマの枠を超え、壮大なスケールで描かれた作品は日本中に感動と衝撃を与えた。

音楽を担当した久石は、「史実・そこに立ち向かう人々の”凛とした”生き様を描きたかった」という。今回はその作品群の中から第3部を中心に「第3部序幕」「少年の国」「真之と季子」「煉獄と浄罪」「絶望の砦~ニ◯三高地ニ起ツ~」「日本海海戦」「終曲」「Stand Alone」の8曲を選りすぐり、組曲形式に再構築した。第3部のメインテーマ「Stand Alone」を歌うのはヴォーカリスト、麻衣。彼女の透きとおった歌声は、番組プロデューサーの耳に留まり3年目を迎える今年、第3部の歌手として抜擢された。2011年の締めくくりにふさわしい重厚且つ壮大なオーケストレーションが秀逸。
*「NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」オリジナル・サウンドトラック2・3」「Melodyphony」 収録

 

第三部 二ノ国より
・メインテーマ 聖灰の女王
・シズク
・灰の恐怖
・聖灰の女王とのラストバトル
・心のかけら

レベルファイブ企画・制作、アニメーション作画スタジオジブリによる作品、ファンタジーRPG『二ノ国』より。2010年発売のニンテンドーDS用ゲームソフト『二ノ国 ~漆黒の魔導士~』、2011年発表のプレイステーション3用ゲームソフト『二ノ国 ~白き聖灰の女王~』から「メインテーマ ~聖灰の女王~」、ナミダの妖精シズクのテーマ「シズク」、「灰の恐怖」、「聖灰の女王とのラストバトル」、麻衣が歌うエンディングテーマ「心のかけら」の5曲を選曲。フルオーケストラ楽曲による聴き応えのある音楽の数々はゲーム界に大きな衝撃を与え、コンサートの開催を求める声が多数。満を持して今回の発表に至った。現実世界と別の時間軸に存在するもうひとつの現実”二ノ国”の世界をお楽しみいただきたい。
*「二ノ国 漆黒の魔導士 オリジナル・サウンドトラック」 収録

 

第四部 My Favorites

・Prologue ~ Drifting in the City
1992年制作のアルバム「My Lost City」より。1920年代後半から起こった世界大恐慌に破壊的な人生を歩んだ米国の小説家スコット・フィッツジェラルドの悲劇と悲哀を題材に描いたアルバム。収録曲の数々は、オマージュ作品でありながらも、日本のバブル崩壊への警鐘の意も込められ、情熱的かつ悲劇的・感傷的なメロディが特徴。なかでも「Drifting in the City」は、ニューヨークの冷気や心地よい怠惰感、そこに漂う切なさなのか、甘美なメロディが胸に突き刺さるようでもある。オーケストレーションもさることながら、ピアノの魅せる表情も聴きどころである。
*アルバム「My Lost City」「Symphonic Best Selection」 収録

・HANA-BI
1997年公開、北野武監督作品の映画『HANA-BI』より。追われる身の刑事とその妻の逃亡劇を、これまでの北野監督の乾いた視点から一転して、叙情的に描写した作品。ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を受賞。テーマ音楽は非常に叙情的で、映画のエモーショナルな部分を深く表現している。
*アルバム「WORKS II」 収録

・Kids Return
1996年公開、北野武監督作品の映画『Kids Return』より。ボクサーを目指す少年と、ラーメン屋で出会った若頭のもとで極道の世界に入った青年二人が、汚い大人の世界に踏み込み、過酷な現実を味わう模様を描いた作品。このテーマ曲のオーケストラ版は、疾走感のあるリズムと、どことなく悲壮感漂うメロディが印象的な作品。
*アルバム「The Best of Cinema Music」 収録

・Merry-go round
2004年公開、宮崎駿監督作品の映画『ハウルの動く城』より。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの著書「魔法使いハウルと火の悪魔」をもとに、魔法で90歳の老婆に変えられてしまったソフィーと魔法使いのハウルとの恋をとおして、生きる楽しさや愛する歓びを描いた作品。映画では、テーマ曲を様々に変奏してそれぞれの場面に個性的な楽曲が付いている。この曲は映画のテーマ曲を核にして書かれた。
*アルバム「WORKS III」 収録

・One Summer’s Day
2001年公開、宮崎駿監督作品の映画『千と千尋の神隠し』より、「あの夏へ」。神々の住まう不思議な世界に迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、湯屋「油屋」で下働きをしながら次第に生きる力を取り戻していく物語。郷愁をかきたてる美しいメロディと、ピアノをフィーチャーした繊細なオーケストラが秀逸。
*アルバム「Melodyphony」「The Best of Cinema Mucis」 収録

・Orietntal Wind
2004年より放映中の、サントリー京都福寿園「伊右衛門」CM曲より。今や、お茶の間のおなじみとなった美しい旋律は、黄河の悠々とした流れをイメージしてつくられたといわれている。しかし、朗々とした格調高い優雅なメロディの裏には、繊細なリズムや激しいパッセージの連続があり、難易度の高い楽曲でもあるが、それ故、聴く者の心に刻み込まれ、何度も聴きたくなるのであろう。
*アルバム「Melodyphony」 収録

(ジルベスター・コンサート 2011 コンサート・パンフレット より)

 

 

-アンコール-
・Merry-go round
※パンフレットには曲紹介ありますが実際にはアンコールにて演奏

・Madness
映画『紅の豚』より。ダイナミックなフルオーケストラと久石譲のピアノが激しく競演するコンサートでは昔からの定番曲であり、人気のある楽曲です。

・My Neighbour Totoro
映画『となりのトトロ』より。主題歌「となりのトトロ」のフルオーケストラ・バージョン。壮大で弾けるようなトトロのメロディに思わず口ずさんでしまう、子どもから大人まで親しまれている楽曲です。

・夢の星空 (ピアノ・ソロ)
オリジナル・ソロアルバム「ETUDE」より。久石譲のピアノ・ソロ曲。ノンタイアップながら一度聴いたら忘れられないキャッチーで優しく美しいメロディです。

 

と、アンコールの曲解説はさらりと紹介する感じで。

さすがジルベスター・コンサート!お祭りコンサートと言わんばかりの大盤振る舞いなプログラムです。なかなかこのラインナップは昨今拝むことはできません。アンコールの出し惜しみない選曲や曲数もふくめて。

 

そしてこの「ジルベスター・コンサート 2011」で特徴的なことがふたつ。

  • 第1部 ~ 第3部までのプログラムすべてこのコンサート初演
  • 久石譲のピアノ演奏プログラムが多い

 

特に、ピアノ演奏に関しては、指揮者の金 洪才さんがいるため演奏家に専念できたということですね。ここ数年では、ほぼプログラム全楽曲の指揮者は久石譲ですので、指揮をしながら、楽曲によってはピアノを演奏に、また指揮に戻る、という感じで、ピアノに座ったまま1曲通してということも希少なくらいです。だからこそ上記2点をふまえて、この「ジルベスター・コンサート 2011」はとても贅沢な内容だったと思います。

もちろん近年のスタイルとなっている久石譲全曲指揮。久石譲がタクトを振ることで、久石譲作曲の音楽たちは、のびのびと羽ばたき、会場に独特の空気感を響かせます。

 

そしてこのコンサートの終盤に久石譲MCにより「今年をもってジルベスター・コンサートを終わること」「ゆっくりと作曲に専念する時間をつくるため」「ずっと同じままじゃだめ、変わっていかなければ」「また曲をたくさん作って、持ってきます!」といったことが語られたようです。

 

 

あれから3年、2014年大晦日に、ジルベスター・コンサートが帰って来ます。さて、今年は何が起きるのでしょうか?!すでにチケットはSOLD OUTとなっていますが、現時点での演奏予定プログラムはこうなっています。

 

久石譲 ジルベスターコンサート 2014 in festival hall

[編成]
指揮・ピアノ:久石譲
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団

[曲目] (予定)
久石 譲作曲
交響ファンタジー「かぐや姫の物語」
ウィンター・ガーデン
****** 休憩 *******
「風立ちぬ」第2組曲
「小さいおうち」
「水の旅人」
「魔女の宅急便」より Kiki’s Delivery Service for Orchestra
オリエンタルウィンド
などから演奏予定

こちら ⇒ Info. 2014/12/31 「久石譲 ジルベスターコンサート 2014 in festival hall」(大阪) 開催決定![10/01 update!]

 

 

3年間という月日で、ここまでコンサート構成も変わってくるのだなあとなんだか感慨深い思いもあります。「ジルベスター・コンサート 2014」を目前にひかえ、「ジルベスター・コンサート 2011」を振り返ってみました。

2006年から2010年までのシルベスター・コンサートプログラムは
こちら ⇒ 久石譲コンサート2005-

 

 

そして、上の久石譲MCもふくめてですが、久石譲オフィシャルサイト内 スタッフブログにて、なんとこの日の模様はとても詳細に記録されています。リハーサルから、本番、久石譲MCなどなど写真もたくさんあります。

ぜひそちらもタイムスリップしてのぞいてみてください。ジルベスター・コンサートに行けても行けなくても、そんな気分にひたりましょう!

公式サイト》》 久石譲オフィシャルサイト スタッフブログ 大阪 ジルベスターコンサート2011

「ジルベスター・コンサート 2014」のレポートも、スタッフブログならではの舞台裏まで!期待したいところですね。

 

ジルベスター・コンサート 2011

久石譲 コンサート 2011

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