Posted on 2015/3/24
2009年に箱根駅伝の新しいテーマ曲として誕生した「Runner of the Spirit」です。久石譲書き下ろし、しかも初の吹奏楽作品として、以降毎年正月にTV中継番組で聴くことのできる楽曲です。一度は耳にしたことがある人も多いと思います。
この楽曲は久石譲によるCD作品化はされていません。
つい先日、この「ランナー・オブ・ザ・スピリット」のCDを見つけました。
東京佼成ウインドオーケストラ
『吹奏楽燦選/嗚呼! アフリカン・シンフォニー』
(2014/10/22発売)
1.音楽祭のプレリュード (アルフレッド・リード)
2.コンサートマーチ 《アルセナール》 (ヤン・ヴァンデルロースト)
3.ロマネスク (ジェイムズ・スウェアリンジェン)
4.海の男達の歌 (船乗りと海の歌) (ロバート・W・スミス)
5.マゼランの未知なる大陸への挑戦 (樽屋雅徳)
6.百年祭 (福島弘和) 2012年改訂版
7.嗚呼! (兼田敏)
8.吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》 I. オープニング (久石譲)
9.吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》 II. エンディング (久石譲)
10.ラ・フォリア ~吹奏楽のための小協奏曲(伊藤康英)
11.ボレロ(イン・ポップス) (モーリス・ラヴェル/岩井直溥)
12.アフリカン・シンフォニー (ヴァン・ マッコイ/岩井直溥)
演奏:東京佼成ウインドオーケストラ
指揮:藤岡幸夫
録音:2013年9月9~10日、江戸川文化センター(東京) [96kHz/24bit録音]
このCDに久石譲楽曲が収録されています。
「吹奏楽のための《ランナー・オヴ・ザ・スピリット》」
Runner of the Spirit for Symphonic Band
I. オープニング Opening
II. エンディング Ending
詳しい解説はCDライナーノーツも参考に紹介しています。
久石譲はこの作品の制作にあたってこう語っています。「オープニングはこれから走る高揚感を、エンディングは感動を伝えるものにしたい」。オープニングはファンファーレのように高らかに鳴り響く序奏から印象的です。箱根駅伝TV中継番組のCMジングルとしても使用されています。
エンディングは、しっとりとトランペットを中心にメロディーを奏で、ドラマを振り返るような勇壮で雄美な曲調となっています。そしてラストはオープニングで鳴り響いた管楽器たちが再びその勇姿を讃えている。スポーツマンシップを象徴するような晴れやかでエネルギーが湧き上がる作品です。
CD化されていないながらも人気は高く、多くの久石譲オフィシャルスコアを担っているショット・ミュージックより、2012年に楽譜レンタルも開始されています。もちろんオリジナル・スコアです。
CDに収められているこの楽曲について大切なこと。
本作品に収録されているこの2楽曲は、2009年から箱根駅伝のTV放送で流れているオリジナル音源ではありません。けれど、2009年からTV使用されているオリジナル版も東京佼成ウインドオーケストラが演奏していています。スコアにも忠実にほぼオリジナル音源に近いかたちで収録されています。
オリジナル版と差異があるというのは、指揮者の違いによる楽曲のダイナミクス、テンポ、演奏表現方法という点です。パートごとに前面にフィーチャーされている楽器の違いやバランスによる印象と響きの違いです。
オリジナル版の指揮者は久石譲本人です。また本作CDの録音は2013年ともクレジットされていますので、2009年のオリジナル版音源でないことになります。指揮者は違うものの、演奏団体は同じ、スコアも同じオリジナル・スコア、ということになると思います。藤岡幸夫さんの指揮はとてもダイナミックでかっこいい仕上がりです。
2009年発表から現時点(2015年)までに久石譲名義として作品化されていないだけに、ほぼオリジナル版と言える程のバージョンがCD化されたことは、貴重でありうれしい限りです。CD販売だけでなく、Amazonやappleにて音楽配信もされています。試聴して確かめるもよし、単品で購入できるのもいいですね。
初の吹奏楽作品となった、この「Runner of the Spirit」から6年を経て、2015年にはバンド維新2015のために新しい吹奏楽作品を書き下ろしています。久石譲による吹奏楽作品は、「Runner of the Spirit」と「Single Track Music 1」の2作品のみになります。
毎年正月を楽しみにしていたのですが、1年に1回しか聴くことのできない「ランナー・オヴ・ザ・スピリット」。これからはいつでもクオリティの高いパフォーマンスと高音質をオーディオで楽しむことができます。TVスピーカーでしかも聞き耳をたてて楽しむしかなかった楽曲が、です。
ぜひこの東京佼成ウインドオーケストラのCD作品を参考にしてください。またこの曲を演奏しようと思っている吹奏楽団体の方も、ショット・ミュージックからのオフィシャル・スコアとあわせて、模範演奏としても参考にできるのかもしれません。
なによりも、聴くだけでもエネルギーが沸きあがる、そんな力があります。
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