映画『たたら侍』(5月20日公開予定)の主題歌「天音(アマオト)」/EXILE ATSUSHI & 久石譲、5月17日に配信限定でリリースされることが決定しました。
EXILE ATSUSHIが作詞とボーカルを務め久石譲が作曲を担当。2人のコラボレーションは2013年10月に発表された「懺悔」以来約3年ぶりです。 “Info. 2017/05/17 EXILE ATSUSHI & 久石譲「天音」 配信限定リリース! &最新PV公開” の続きを読む
映画『たたら侍』(5月20日公開予定)の主題歌「天音(アマオト)」/EXILE ATSUSHI & 久石譲、5月17日に配信限定でリリースされることが決定しました。
EXILE ATSUSHIが作詞とボーカルを務め久石譲が作曲を担当。2人のコラボレーションは2013年10月に発表された「懺悔」以来約3年ぶりです。 “Info. 2017/05/17 EXILE ATSUSHI & 久石譲「天音」 配信限定リリース! &最新PV公開” の続きを読む
Posted on 2017/04/24
2017年4月21日~23日、チェコ首都プラハ開催「プラハ映画音楽フェスティバル2017(原題:Film Music Prague festival 2017)」。久石譲がゲストとして招かれ23日(日)プラハのフォルム・カルリーンでシンフォニックコンサートが開催されました。久石譲指揮によるプラハ初コンサートです。ガラコンサート「THE WORLD OF JOE HISAISHI」と題しジブリ作品から北野武作品まで、まさにスペシャルなプログラム。 “Info. 2017/04/24 《速報》久石譲プラハコンサート「THE WORLD OF JOE HISAISHI」プログラム 【5/7 Update!!】” の続きを読む
【アートメントNAGANO 2017】
「ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)第4回定期演奏会」
芸術監督・久石譲が長野市芸術館でプロデュースする室内オーケストラの第4回定期演奏会。前回の演奏会は、一般席がソールドアウトとなり大好評を博しました。久石自らの指揮で、①ベートーヴェン、②ミニマル・ミュージックを中心とした現代の音楽、③バロック以前の古楽曲のリバイバルという3つの軸で展開していきます。 “Info. 2017/05/04 「アートメントNAGANO 2017」NCO第4回・第5回定期演奏会 PV公開” の続きを読む
Posted on 2017/04/24
ふらいすとーんです。
なんだろう、この映画音楽のような美しくて甘いメロディは。
「ヴィオラと管弦楽のためのロマンス ヘ長調 作品85(Romance for Viola and Orchestra In F Major, Op.85)」(ブルック作曲)を初めて聴いたとき、てっきり往年の名作映画メインテーマを聴いているような夢見心地で、すっかり聴き惚れてしまいました。旋律美もさることながら、強く印象に残るキャッチャーでロマンティックなメロディ。
1枚盤CDでも輸入盤を探せばあったような気もしますし、その前に動画サイトでも存分聴きこんでいたんですけれども(うっ…)、せっかくならヴィオラのフルコースをたっぷりご賞味あれ、いい機会なので9枚組のCDを購入しました。9CD-BOX盤で1枚盤CDと同じ価格です(うっ…うれしい)。


Yuri Bashmet:The Complete RCA Recordings
Disc1
● ウォルトン:『ヴィオラ協奏曲』
アンドレ・プレヴィン(指揮)ロンドン交響楽団
録音: 1994年
● ブルッフ:ヴァイオリン、ヴィオラと管弦楽のための協奏曲O p.88
● ブルッフ:ロマンツェ Op.85
● ブルッフ:コル・ニドライ Op.47
ネーメ・ヤルヴィ(指揮)ロンドン交響楽団
録音: 1996年
Disc2
● シュニトケ(バシュメット編):トリオ・ソナタ
ユーリ・バシュメット(指揮 &ヴィオラ)モスクワ・ソロイスツ
録音:1990年
● シュニトケ:ヴィオラ協奏曲
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(指揮)ロンドン交響楽団
録音: 1988年
Disc3
● チャイコフスキー:弦楽セレナードハ長調 Op.48
● グリーグ:ホルベルク組曲 Op.40
● グリーグ:2つのノルウェー舞曲 Op.63
モスクワ・ソロイスツ
録音:1989年
Disc4
● レーガー:組曲ト短調
● ブリテン:ヴィオラと弦楽のためのラクリメ Op.48a(ダウランドの歌曲の投影)
● ヒンデミット:ヴィオラと弦楽のための葬送音楽
● シュニトケ:ヴィオラと弦楽のためのモノローグ
モスクワ・ソロイスツ
録音: 1990年
Disc5
● シューベルト (マーラー編):弦楽四重奏曲第14番ニ短調D .810『死と乙女』
● ベートーヴェン(マーラー編):弦楽四重奏曲第111番ヘ短調O p.95『セリオーソ』
モスクワ・ソロイスツ
録音:1991年
Disc6
● ブラームス(バシュメット編):ヴィオラと弦楽のための五重奏曲ロ短調O p.115(原曲:クラリネット五重奏曲)
● ショスタコーヴィチ( A.チャイコフスキー編):ヴィオラと弦楽のためのシンフォニア(原曲:弦楽四重奏曲第13番変ロ短調O p.138)
ユーリ・バシュメット(指揮&ヴィオラ)モスクワ・ソロイスツ
録音:1998年、原盤:Sony Classical
Disc7
● ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第1番ヘ短調 Op.120-1
● ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第2番変ホ長調 Op.120-2
● ブラームス:2つの歌 Op.91(コントラルト、ヴィオラとピアノのための)
ミハイル・ムンチャン(ピアノ)、ラリッサ・ディアトゥコーヴァ(メゾ・ソプラノ)
録音: 1995年
Disc8
● シューベルト:アルペジオーネ・ソナタイ短調 D.821
● シューマン:おとぎの絵本 Op.113
● シューマン:アダージョとアレグロ変イ長調 Op.70
● ブルッフ:コル・ニドライ Op.47
● エネスコ:演奏会用小品
ミハイル・ムンチャン(ピアノ)
録音: 1990年
Disc9
● グリンカ(ボリゾフスキー版 ):ヴィオラ・ソナタニ短調
● ロスラヴェッツ:ヴィオラ・ソナタ
● ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタハ長調 Op.147
録音:1991年
ユーリ・バシュメット(ヴィオラ &指揮)
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なかなか玄人すぎるラインナップが並んでいます(^^;)
その他の作品はここでは深追いしないとして。ヴィオラが主役な作品をしっかり聴くことってなかなかないように思います。弦楽器であれば、なんといっても花形ヴァイオリンが一番スポットライトを浴び、音域でいうと次はヴィオラのはずなのに、すっと飛び越えチェロが準主役級の扱いをうけますね。
弦楽四重奏の場合、第1ヴァイオリン/第2ヴァイオリン/ヴィオラ/チェロという編成になりますが、ここでもヴィオラは縁の下の力持ち、目で弾いている姿を見ていても、耳ではその音が聴こえてこないような、かもくでつつましいヴィオラです。
ヴィオラは弦楽器のなかでも一番音域が人の声に近いと言われ、聴くと自然に安心してしまう、そんな響きです。実験で弦楽四重奏曲のヴィオラありとなしの弾き比べを聴いたことがあります。テレビのクラシック番組だったと思います。全く違う! なんというか、だしのないみそ汁。みそ汁ですと言われればそうなんだけど、味もそっけないし深みもない。日本食の美や味わいに”旨み”が欠かせないのと同じように、弦楽四重奏の美しさや奥ゆかしい響きに”ヴィオラ”は不可欠、なのです。
ちゃんと音楽的な話をがんばってみようとすると、ヴィオラは内声の役割をはたすことの多いパートです。ヴァイオリンのメロディをもっと引き立たせたいときにはそっと下でハモってあげ、伴奏をもっと豊かに表現したいときにはチェロをサポートしてあげ。全体に目と耳を配らせバランスをとる役割とも言えるかもしれません。音楽三要素のハーモニーとリズム、どちらにも精通したセンスが必要なんですね。そこに三要素のもうひとつメロディも優雅に奏でるとしたら、、すごいぞヴィオラ!
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そんな存在意義を大きく見なおされた(僕のなかで)ヴィオラが、「名脇役はね、深みのある主役もできるんだよ」と舞台にあがり、強い光と深い影をくっきりと浮かびあがらせたかのような作品「ヴィオラと管弦楽のためのロマンス ヘ長調 作品85」です。
絶景を見たときって言葉がでない、大きなため息がもれる。「すごい。きれい。美しい。」ひと言しぼり出すまで少し時間が必要なほどに。──そんな曲です。
たとえばこの曲を聴いてジブリ作品をイメージするなら、「魔女の宅急便」のキキが生まれ育った自然豊かな町、一方で仕事をはじめたコリコの街。「紅の豚」でジーナの待つ庭。「ハウルの動く城」でソフィーが働いていた帽子屋さんのある街風景、ハウルとソフィーだけの秘密の花園。「風立ちぬ」で次郎と菜穂子が再会した軽井沢。──そんな曲です。
ヴィオラのような”でしゃばり”に慣れていない楽器を主役に迎え入れたとき、管弦楽はどうサポートするんだろう。突き抜けた高音でもなく音も強くない楽器がソリストとなったとき、オーケストレーションはどういう構成になるんだろう。そういう楽しみ方もできたらおもしろいですね。もしこれが「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス」だったなら、おそらく曲想も構成も大きく異なり、まったく表情や響きの違った作品になるんだろうなあ、とイメージできないくせに想像しようとしてしまいます。音が鳴らないイメージでおわるのが残念なところです。ヴァイオリンのような煌めく華麗なドレスアップとはまたちがう、内面からにじみでるようなナチュラルなドレスアップで魅了するヴィオラ。
ヴィオリストのユーリ・バシュメットは、奏者だけでなく近年は指揮者としても活躍しているそうです。2014年開催ソチオリンピック閉会式でもオーケストラを指揮していたそうです。このCDBOXでもヴィオラ&指揮としてクレジットされていますね。
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ヴィオリスト? Violist?!(わざとらしい)
久石さんのオリジナルアルバム『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)です。イギリスの弦楽四重奏団バラネスク・カルテットを迎え、ミニマル・ミュージックや映画音楽をアンサンブル編成でたっぷり聴かせてくれます。バラネスク・カルテットとは90年代後期のコンサート共演をきっかけに、久石譲コンサートツアーでも一緒に全国をまわるほど充実した信頼関係を築き、その音楽交流は『Asian X.T.C.』(2006)までつづいています。
アルバムタイトルについて。
「なぜヴィオラなのか。アンサンブルでもオーケストラでもなかなか目立たない存在だが、とても重要な楽器で、ヴィオラがしっかりしているオーケストラは素晴らしいものになる。そんなヴィオラにも目を向けてもらいたいと”ヴィオリストを撃て”というタイトルにした」
と久石さんが当時語っている記録があります。
一生懸命ヴィオラの魅力を伝えたいとつらつら書いてきたところに…この久石譲語録だけで充分でしたね。ヴィオラが主役な楽曲はなかったと思いますが(あるのかな?!)、もちろんバラネスク・カルテットとしても久石譲の音楽構成としても、ヴィオラはいい仕事をしている、はずです!
アンサンブルならではのグルーヴ感で魅せる「DA・MA・SHI・絵」「MKWAJU」などのミニマル・ミュージックに、ソリッドな疾走感で駆けぬける「KIDS RETURN」、マリンバの響きで包みこむ「Summer」、そして《W.D.O.2017 Bプログラム》予定演目の「Two of Us」。この曲は《久石譲ジルベスターコンサート2016》でも数年ぶりに披露されました。CD作品ではチェロ&ヴァイオリン&ピアノという編成になっていますが、コンサート・ヴァージョンはそこに約30名の弦楽オーケストラが深く優しく支えるという贅沢な響きでした。弦楽合奏に6~8名のヴィオラ奏者がいるからこそ、CD版トリオとは味わいの異なる熟成された奥ゆかしい”音の旨み”がいっぱいに広がるんですね。

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「ヴィオラと管弦楽のためのロマンス Op.85」ヨーロッパや昭和レトロまで懐の深い、音楽なんだけれど極上の短編映画を見ているような可憐でドラマティックな作品です。ぜひ10分うっとりしてください。これまで映画/TV/CMなどタイアップがついたことがないならそれが不思議なくらい。ここに書いた曲名をコピペ検索すると、もれなく紹介したCD盤と同じ演奏、ユーリ・バシュメットが奏でるヴィオラを、動画サイトで聴くことができてしまいます(うっ…)。
ただですね♪
音楽が運んできてくれる幸運な出逢いというのは、本当にあるもので。「ヴィオラと管弦楽のためのロマンス」をきっかけに買った9枚組CD、そこにまた幸せな出会いの種がありました。きっと知ることも聴くこともなかったのだろうと思うと、誰にともなく何にともなく「ありがとう!」と叫びたくなる気持ちを抑えることができません。それは「Untitled Music」を聴いたときのような鳥肌と感動に近い。次回は ~ヴィオラが主役 II~ です。
それではまた。
reverb.
NHK「ブラタモリ」、久石譲音楽率が高いですね♪ これなんの曲だっけ?番組を置いてけぼりにしてグルグル記憶をたどってしまいます。

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number]
このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪
「アートメントNAGANO 2017」の特設ウェブサイトがオープンしました。
公演詳細情報から、チケット購入の入り口にも。
また、これからの最新情報をこちらにアップしていきます。 “Info. 2017/04/21 「アートメントNAGANO 2017」特設ウェブサイト オープン” の続きを読む
昨年に引き続き長野市の象徴である善光寺本堂にて、フェスティバルのオープニングを飾ります。フェスティバル提唱者である芸術監督・久石 譲によるピアノとナガノ・チェンバー・オーケストラのメンバーからなる弦楽器奏者たちによる室内楽で贈る奉納コンサート。国宝善光寺本堂でピアノを使用する本格公演は話題必至。 “Info. 2017/07/08 「アートメントNAGANO 2017」善光寺・奉納コンサート 応募方法” の続きを読む
長野市から発信する夏の音楽フェスティバル「アートメントNAGANO 2017」が今年もやってきます!特設ウェブサイトも現在準備中。先行で情報をこちらでアップいたします。
一部の公演を除き、チケット発売は、
4月20日(木)10:00〜 NCACチケットオンライン先行発売
4月22日(土)10:00〜 一般発売
ぜひ、ご覧ください! “Info. 2017/04/18 「アートメントNAGANO 2017」詳細情報を先行でアップ!(公式サイト)” の続きを読む
Posted on 2017/04/12
「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」に掲載された久石譲インタビューです。
どの時期の話かはすぐにわかると思います。楽曲制作における譜面やデモ音源の工程、指揮者としてピアニストとしてレコーディングするときの難しいところ、かなり深いところまで読みごたえ満点です。またピアノの響きの好みや、影響を受けたピアニストまで。
ひとつだけ先に書いてしまいます。
久石:
「メロディは記憶回路なんですよ。記憶回路であるということは、シンプルであればあるほど絶対にいいわけです。メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは、自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作る。表面はシンプルで分かりやすいんだけど、水面下は白鳥みたいにバタバタしてるんです。」
このお話はTV番組「笑っていいとも!」テレフォンショッキング出演時にも、CM中タモリさんと話していた内容です。時期は異なります。エピソードとしてJOE CLUB会報にあったように記憶しています。
久石譲音楽が久石譲音楽たらしめる、ひとつの核心のような気がします。感覚だけに流されない計算しつくされた緻密な音楽構成、久石譲が言うところの「論理が95%」というところなのでしょうか。凄みで身震いします。
それではご紹介します。
久石譲 Joe Hisaishi interview
宮崎駿、北野武監督作品などの映画音楽を手掛けたことで幅広く知られる久石譲。彼が映画やCMのために提供した楽曲を中心にオーケストラで再演するという”WORKS”シリーズの第3弾、『WORKS III』がリリースされた。昨年公開された大ヒット映画「ハウルの動く城」のテーマ曲「Merry-go-round(人生のメリーゴーランド)」や、CMでおなじみの「Oriental Wind」、バスター・キートンのサイレント映画に久石が新たに音楽を加えカンヌ映画祭で話題となった「GENERAL」など、久石ワールドを堪能できる1枚だ。ここでは新作について、さらには作曲やピアノについて久石本人に大いに語ってもらった。また、P.134からは「Birthday」のピアノ・スコアも掲載しているので、そちらも併せてチェックしてほしい。
メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作るんです
映像と対でしか存在しない映画やCM音楽がしっかり作られているのを確認してほしい
-”WORKS”シリーズではCM音楽や映画のために書いた楽曲を中心に取り上げていますが、映画などとは独立した作品としてレコーディングを行ったのでしょうか?
久石:
「そうですね。作られた目的が映画でもCMでも構わないんですけど、それを独立した楽曲として成立させるということは音楽家としてやらなきゃいけないことなんです。どうしても映像と対になってしか存在しないという映画音楽やCM音楽が、実はしっかり作られているというのを確認してもらうには、こういうシリーズが必要なんですね。」
-アレンジもオリジナルとは変えていますね。
久石:
「全体的にサウンドを少し厚くゴージャスにしています。映画の場合、音楽にいろいろな要素を入れ過ぎてしまうとセリフとぶつかってしまうんです。オリジナルでは主旋律だけしかない曲に、オブリガートのメロディを足すなどの作業はしていますね。」
-今回の『WORKS III』で新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラを選んだ理由を教えてください。
久石:
「もう長い付き合いなんですが、現在はワールド・ドリーム・オーケストラの音楽監督もやっているので、一番表現しやすい最高のオーケストラなんです。」
-オーケストラのアレンジは譜面に書いていくのですか?
久石:
「今はコンピューターで打ち込んだものを、譜面作成ソフトのメイク・ミュージック!Finaleなどで譜面に起こしていますね。ここ3年くらいは、やらなきゃいけない量が膨大なので、全部譜面を手書きしている時間がないんですよ。」
-ラフに打ち込んでいく感じですか?
久石:
「譜面になるギリギリのところまで緻密にやります。シンセだとやっぱり最終的に人間が演奏したときとは違いますが、それにしてはクオリティはめちゃくちゃ高いですよ。弦もフォルテ、ピアノ、ピチカート、デタシェ、トレモロなど細かいところまで表現しますね。あんまりラフだと次のアイディアが出てこないでしょ? 僕が作ったデモは、だいたい”このままで完成ですよね?”って言われるんですけど、そこから全部生の演奏に差し替えるんです。」
-以前のインタビューで、サウンドトラックなどでは生のストリングスにシンセのストリングスを混ぜることもあると話されていましたが、最近でもそうなのでしょうか?
久石:
「最近はフルオーケストラがものすごく好きなので、基本的にはオーケストラだけで成立するようにしていますね。ただ、つい最近やった韓国映画「ウェルカム・トゥ・トンマッコル」の音楽では、リズム・ループやサンプリング音源などを結構使っています。レコーディングは沖縄に行ったんですが、おかげでエスニックなリズムとオーケストラ・サウンドの融合みたいな感じに仕上がっていますね。”何で寒い冬場の戦争シーンで沖縄音階が流れるんだ”っていう(笑)。」
-『WORKS III』では久石さんがピアノを弾いているのですか?
久石:
「「人生のメリーゴーランド」のメロディなど、ソロの部分はだいたい僕が弾いてますね。それ以外はオーケストラのピアニストに弾いてもらっています。」
-レコーディングで使用したピアノは?
久石:
「すみだトリフォニーホールのスタインウェイです。響きを大事にしたかったので、スタジオではなくホールで録音しました。」
-一発録音ですか?
久石:
「指揮しながらピアノを弾いていると、そこが難しいんですよね。まず、オーケストラを録って、リズムがちゃんと感じられる部分はあとでピアノをかぶせようと思うんですが、なかなかニュアンスが一緒にならない。相手が出す音に対してこっちが反応し、こっちが出した音に相手が反応するのが音楽なのに、ダビングするとその双方向のコミュニケーションがなくなってしまう。「DEAD」の第4楽章は最初にオーケストラと録ったときにうまくいかなかったので、”すみません”って言って、翌日もう1回オケと一緒に録り直しました。自分で指揮をしているから分かってるつもりなんですけど、実際に自分が弾いた音にオケが反応するのと、別々で録音するのでは全然違いますね。クリックを使っていないので、オーバーダビングするにしても簡単じゃないですし。本当は同時録音がいいんですが、指揮とピアノを両方やっているとどちらも中途半端になりがちなんです。その辺をいつもレコーディングの直前までどうするか悩んでいるんですよ。」
低音がベーゼンドルファーで高音はスタインウェイが理想のピアノ
-小さいころはバイオリンを習っていたそうですね。
久石:
「4歳から12~3歳くらいまで習っていました。」
-最初にピアノを弾いたのはいつでしょうか?
久石:
「同じころです。そんなにピアノをメインにやってはいなくて、触ってたくらいですね。」
-では、ピアノをメインに演奏するようになったのは?
久石:
「音大を受験するためにピアノをやらなきゃいけなかったので、それからだと思いますね。」
-ピアノの響きの好みを教えてください。
久石:
「僕のスタジオにあるスタインウェイがすごく気に入っています。今のスタインウェイってペダルがきつくて、カクンカクンと持ち上がるんですが、今僕が使っているモデルは、どちらかというと昔のタイプなので、ペダルのスプリングがすごく弱いんです。だから自然にペダル操作ができる。あと、音もきらびやかじゃなくて、ホワンとしています。僕がアルバムでピアノを弾くときは、ほとんどそのピアノですね。ただ、楽曲によってもっと派手な音が欲しいときは、別のスタインウェイを用意してもらうこともあります。あと、好きなのはアルバム『ETUDE』などで使ったオペラシティのスタインウェイ。あそこのピアノはすごくいいですよ。最近はベーゼンドルファーを全然弾かなくなっちゃいました。低音鍵盤があるモデルではその分響きが豊かだから、昔は好きだったんですけどね。理想のピアノは真ん中から低い音がベーゼンで、高い音がスタインウェイ(笑)。」
-普段からピアノの練習をしていますか?
久石:
「僕は季節労働者ですね(笑)。コンサートがないと練習しない。映画音楽の制作に入ってしまうと、時間がないので全然弾かないこともあります。コンサートと近くなってくると1日8~10時間練習することもあるんですが、今年の夏のコンサートはオーケストラの指揮が大変なので、弾けても1日2時間くらいがやっとですね。」
-どういう練習をしているのでしょうか?
久石:
「人には聴かせられないけど、ハノンの鬼って言われるくらいにハノンをやってますね(笑)。」
-ピアニストとして影響を受けた人はいますか?
久石:
「大学時代はジャズのマル・ウォルドロンが大好きだったんです。彼は音色のニュアンスに富んだ人じゃないんだけど、しっかりした素朴なタッチがいいでしょ。耳コピで「レフト・アローン」なんかを弾いてましたからね。」
-マル・ウォルドロンとは意外ですね。
久石:
「かもしれないですね。『Piano Stories』の直線的にカンと弾くピアノの弾き方ってほとんどマル・ウォルドロン的ですよ。最近ちょっとうまくなったので、もう少し細かいニュアンスも表現できるようになりましたけど、あのころはストレートな演奏が好きだったんです。シンプルであるって強いですよね。最近好きなピアニストはミシェル・カミロ。トマティートというギタリストと共演した『スペイン』という作品を、毎晩聴いていた時期もりました。あとは、キース・ジャレットの『ザ・ケルン・コンサート』もいいですよね。」
人間の体で言うとメイン・テーマは顔 その世界観に合わせて手足を作っていくんです
-久石さんの作品は、いずれもメロディはシンプルでありながらオリジナリティを強く感じるのですが、曲作りで意識していることはありますか?
久石:
「メロディは記憶回路なんですよ。記憶回路であるということは、シンプルであればあるほど絶対にいいわけです。メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは、自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作る。表面はシンプルで分かりやすいんだけど、水面下は白鳥みたいにバタバタしてるんです。」
-メロディから曲を作ることが多いのですか?
久石:
「毎回違いますね。ポーンとメロディが浮かぶこともあれば、最初にリズムが出てきたり、ハーモニーからメロディをひっぱり出すこともある。あえてパターン化しないようにしています。」
-映画とCMの音楽制作はどこが違うのでしょうか?
久石:
「映画は2時間でストーリーを組み立てるから、全体の構成力が一番重要です。一方、CMは15秒くらいで終わってしまうので、どうやって瞬間的に見ている人の心をつかむかが大事。映画はお金を払って見に行くから、いやが応でもジッと見ていますけど、テレビだとトイレに行ったりビール飲んだり、つまらなければチャンネルを変えられてしまいますからね。」
-映画では映像が出来上がってから、曲を合わせるのですか?
久石:
「脚本を読んで監督がどういうものが作りたいのかを把握した上で音楽の方向性を決めて先にテーマを作っていくケースや、全部映像が完成してから一気に作っていくケースなど、これもあまりパターン化しないようにやってますね。」
-やはりメイン・テーマの制作には一番力が入るのでしょうか?
久石:
「人間の体で言うとメイン・テーマは顔みたいなもの。これをまずしっかり作って、あとはその楽曲の世界観に合わせて手足を作っていくんです。ある程度メイン・テーマができちゃうと楽ですね。最初にテーマを作るのが理想なんですけど、できないときもあるんですよ。」
-CMの場合はいかがでしょうか?
久石:
「CMは頭の7秒ぐらいが勝負。その場合はメロディよりもむしろサウンドが大事だったりすることもあるので、音色選びには時間をかけます。あとは、新鮮なネタみたいなものはすごく意識しています。ピアノ1台でも印象に残るフレーズってありますしね。」
(「キーボード・マガジン 2015年10月号 No.329 Keyboard Magazine October 2005」より)

Posted on 2017/04/01
3月31日付、NIKKEI STYLE「あの人が語る 思い出の味」にて、久石譲のインタビューが掲載されました。普段あまり語られることのない音楽以外のお話、私生活の一面をのぞかせる興味深い内容です。
あの人が語る 思い出の味
1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん
食の履歴書

妥協は絶対に許さない。他人にも厳しいが、自分にはもっと厳しい。常に全力投球。そんなストイックで孤独な音楽活動を支えてきたのが普段、意識していなかった妻の家庭料理。「1日2食」と決めてから43年。「小さな病気一つしない」と健康の原動力になっている。
■深夜まで仕事場にこもる夜型人間
音楽の鉄人の朝は遅い。
「深夜まで仕事場にこもってひたすら作曲に取り組む夜型人間」だから、家族と一緒に朝食を取ることはほとんどない。妻が作り置いてくれた朝・昼兼用の手料理を電子レンジで温め直し、自宅のキッチンで独りで黙々と食べる。
食卓にのぼるのは繊維質や海産物が多いメニュー。ワカメやホウレンソウがたっぷり入った味噌汁に七分づき米のご飯、そして焼いたシャケやサバの味噌煮が添えられる。
ゴボウやニンジン、シイタケなどを酢飯に混ぜたちらしずしも大好物。「余計な塩分や油分をなるべく減らした健康食材ばかり。特にこだわりはないので食卓に出されるまま何も考えることなく料理を食べてきた」と振り返る。
1歳下の妻とは国立音大で出会った。生まれ育った環境の違いから価値観が衝突することも多かったが、売れない時代を支えてくれた恩人だ。卒業と同時に結婚。それ以来、「1日2食」というリズムはまったく変えていない。
■「食事のことを考えている余裕はない」
「音楽というのはそんなに生易しいものじゃない。正直、食事のことなんて考えている余裕はほとんどないよ」
「しっかり食べれば1日2回で十分。3回も食べていたら過食になってしまう」
84年の「風の谷のナウシカ」から「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などアニメ映画の音楽をずっと任せてくれた宮崎駿監督とも一度も食事をしたことがないそうだ。
自分を究極まで追い込み、絞り出したメロディーを鍛え、全身全霊で1つの作品に磨き上げる。そんな求道者のような音楽活動が続けられるのは「毎日、健康食を食べてきたおかげ」と実感している。
長野県北部で生まれ育った。少年時代を過ごした中野市はリンゴやエノキダケなどの有名な産地。「シャボン玉」「あの町この町」を作曲した中山晋平や「故郷」「朧月夜」を作詞した高野辰之らの出身地としても知られている。
実は筆者も少年期を中野市で送った信州人である。だが故郷の話に触れると即座に不愉快そうな表情を浮かべ、こちらをジロリとにらんだ。
「僕の音楽を信州と結びつけたがる記者が多くてね」
母の料理もやたらに味が濃くて好きではなかったという。野沢菜やたくあん、煮詰めた濃い味噌汁、焼き魚とご飯……。子供心にあまりおいしいとは思えなかったらしい。
■小学校時代に見た膨大な映画、音楽活動の原点
だがこの時期に映画やジャズ、バイオリンなど音楽と出合う。高校教師の父に連れられて映画館によく出かけた。
「小学校時代はまさに映画の黄金期。公開される映画はほとんど見ていた。東映のチャンバラ劇も日活のアクション映画も大好きだった」
このころ見た膨大な映画の蓄積が今の音楽活動の原点になっている。4歳から習い始めたバイオリンで楽器に目覚め、ピアノ、吹奏楽、ギターを学び、高校時代には月2回、作曲家を目指して東京の先生のもとへ和声学や対位法などのレッスンに通い続けた。
体力的にはかなりきつかったが、信越線の横川駅で買った駅弁の釜めしの味が何とも懐かしい。列車の旅の中間点でちょうど腹がすく時刻。ウズラの卵、鶏肉、シイタケ、タケノコ、紅ショウガ……。益子焼の容器にしょうゆで味付けした炊き込みご飯に舌鼓を打った。「青春の味。懐かしいから今でも時々、食べている」と顔をほころばす。
2016年に長野市芸術館の芸術監督を引き受けたのは「自分の音楽経験をそろそろ故郷に還元してもいいかな」と感じたから。国内外で活躍している演奏者約40人を集めて「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」を立ち上げた。目下、7月15.17日予定の演奏会の準備に余念がない。
2月の演奏会では本番直前に転倒して左手を骨折するアクシデントに見舞われた。「結構痛かった」が、2時間も指揮棒を振り続け「気がついたら左手がパンパンに腫れ上がっていた」と豪快に笑う。
頑固でコワモテ。理屈屋で負けず嫌いのへそ曲がり。だが決して冷たくはない。この記事を読んだら本人は怒るかもしれないが、音楽の鉄人にはやはり典型的な信州人の血が流れている気がする。
■焼き鳥で仲間と乾杯
30年近く通っているのが東京・西麻布の交差点に近い焼鳥屋「鳥とも」(電話03・3409・9808)。22席のこぢんまりとした店だが「気取らない雰囲気が気に入っている」。
ねぎま・ぼんちり・つくね・ぎんなん・手羽先・かわ・砂肝の7本の「焼き鳥コース」(1750円税抜き)、錦サラダ(1050円)、煮込み(700円)が必ず頼む定番メニュー。
キュルキュルした食感のかわや焦げ目が香ばしいぼんちりなどが美味。紀州備長炭を使い「1981年の開店以来、メニューはほぼ変えていない」と店長。
カウンターの一番奥が久石さんの指定席で仕事仲間や友人らと愉快に酒杯を傾け、最後は鳥スープめん(500円)で締める。店内にはビルの所有者だった写真家、故・秋山庄太郎さん直筆の看板も飾られている。

久石さんお気に入りの錦サラダ、焼き鳥(東京都港区の鳥とも)
■最後の晩餐
もちろん洋食も嫌いじゃないけど、日本人だからやはり最後は和食がいいかな。頭に浮かぶのは、いつも食べ慣れている女房の手料理。豆腐と薄味の味噌汁に温かい白米か炊き込みご飯、そこにお新香や焼き魚、煮魚が付いているような普通の朝食が落ち着きます。
(編集委員 小林明)
(NIKKEI STYLE より)
ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)の公式ウェブサイトがオープンしました。公演情報・ニュース・NCOやメンバーの紹介など、今後随時アップしていくとのことです。 “Info. 2017/03/31 ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO) 公式ウェブサイト オープン” の続きを読む