Info. 2025/08/15 《速報》 「BBC Proms: Joe Hisaishi and Steve Reich」コンサート(ロンドン)プログラム 【8/22 update】

Posted on 2025/08/15

2025年8月14日、世界最大級のクラシック音楽祭・BBCプロムスに久石譲が初出演しました。毎年夏に開催される約8週間にも及ぶ音楽イベントです。

久石譲がコンポーザー・イン・アソシエーションを務めるロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とともに3作品をプログラムしています。日本からもBBC Radio3で視聴することができました。 “Info. 2025/08/15 《速報》 「BBC Proms: Joe Hisaishi and Steve Reich」コンサート(ロンドン)プログラム 【8/22 update】” の続きを読む

Info. 2025/11/13,14 「Joe Hisaishi Returns」久石譲コンサート(フィラデルフィア)開催決定!!

Posted on 2025/08/20

2025年11月13,14日、久石譲コンサートがアメリカ・フィラデルフィアで開催されます。共演オーケストラは今年6月に初共演したばかりのフィラデルフィア管弦楽団です。その公演では久石譲作品から「交響曲第2番」「Viola Saga」「Spirited Away Suite」を披露しています。 “Info. 2025/11/13,14 「Joe Hisaishi Returns」久石譲コンサート(フィラデルフィア)開催決定!!” の続きを読む

Blog. 「久石譲&ロイヤル・フィル スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート」コンサート・レポート

Posted on 2025/08/08

2025年7月24,25日開催「久石譲&ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート」です。久石譲がComposer-in-Associationを務めるロイヤルフィルとの日本公演が実現です。ジブリフィルムコンサート・ツアーファイナルat東京ドーム、ソウル公演を経てツアー最終日まで熱く駆け抜けたこの夏へ。

久石譲&ロイヤルフィルの世界最高水準で溢れる音楽はまさにスペシャルな体験です。オール久石譲プログラムはこの夏VIPなフルコース!たっぷり心ゆくまで世界クラスを堪能!ライブ配信も叶いました。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Orchestra Concert at Suntory Hall

[公演期間]  
2025/07/24,25

[公演回数]
2公演
東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ハープ:エマニュエル・セイソン

[曲目]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

久石譲:Harp Concerto ※日本初演
Movement 1
Movement 2
Movement 3

—-Soloist Encore—-
ドビュッシー:月の光 (7/24)

久石譲:Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra
    交響組曲「君たちはどう生きるか」 ※日本初演

—-Orchestra Encore—-
One Summer’s Day (for Piano and Harp) (7/25)
Merry-go-round (for Piano and Orchestra) (7/24,25)

[参考作品]

君たちはどう生きるか サウンドトラック 久石

 

 

まずは会場で配られたプログラム冊子からご紹介します。

 

 

皆さん今晩は。

先週の東京ドームに続いてロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)とのオーケストラコンサートを韓国ソウルと東京サントリーホールで行う事ができることを心から嬉しく思っています。今回は自作のミニマル楽曲を中心に聞いていただきます。海外ではこちらの方がジブリフィルムコンサートより多く演奏しています。

RPOでは2024年から僕がコンポーザー・イン・アソシエーションを務めていてアルバム「A Symphonic Celebration」の録音や来月のロンドンでのPROMSでも共演することになっています。僕がとても信頼しているオーケストラです。また今日演奏するHapr Concertoはロサンゼルス・フィルハーモニックなどの共同委嘱作品ですが、これを演奏するエマニュアル・セイソンとまた共演できることを楽しみにしています。それからドイツグラモフォンもライブレコーディングする予定です。

ご来場された皆様に楽しんでもらえると幸いです。

2025年 夏
久石譲

 

 

Metaphysica(交響曲 第3番)

Metaphysica(交響曲第3番)は新日本フィル創立50周年を記念して委嘱された作品。新作は2021年4月末から6月にかけて大方のスケッチを終え、8月中旬にはオーケストレーションも終了し完成した。前作の交響曲第2番が2020年4月から2021年4月と1年かかったのに比べると約4ヶ月での完成は楽曲の規模からしても僕自身にとっても異例の速さだった。

楽曲は4管編成(約100名)で全3楽章からなる約35分の長さで、この編成はマーラーの交響曲第1番とほぼ同じであり、それと一緒に演奏することを想定して書いた楽曲でもある。

Metaphysicaはラテン語で形而上学という意味だが、ケンブリッジ大学が出している形而上学の解説を訳すと「存在と知識を理解することについての哲学の一つ」ということになる。要は感覚や経験を超えた論理性を重視するということで、僕の場合は音の運動性のみで構成されている楽曲を目指した。

I. existence は休符を含む16分音符3つ分のリズムが全てを支配し、その上にメロディー的な動きが変容していく。

II. where are we going? は26小節のフレーズが構成要素の全て。それが圧縮されたり伸びたりしながらリズムと共に大きく変奏していく。

III. substance は ド,ソ,レ,ファ,シ♭,ミ♭の6つの音が時間と空間軸の両方に配置され、そこから派生する音のみで構成されている。ちなみにこれはナンバープレースという数字のクイズのようなゲームからヒントを得た。

 

 

Harp Concerto

Harp Concertoは、ロサンゼルス・フィルハーモニック(LAフィル)とボルドー国立オペラ、フィルハーモニー・ド・パリ、シンガポール交響楽団の共同委嘱として作曲を依頼された。LAフィルに在籍しているハープ奏者のエマニュエル・セイソンが演奏する前提の依頼である。

2023年の夏にハリウッドボウルで初めてLAフィルと共演して(その時は17500人の会場はSold Outになった)、エマニュエルとも最初のセッションを持った。早く作曲を開始したかったが過密なスケジュールのため翌年の2月から作曲を開始した。2024年5月に来日した彼とほぼ完成した第1楽章を聞きながら修正の方向を確認し7月にハープパートを完成し、9月中旬にオーケストレーションがも終了した。約30分の全3楽章の楽曲になった。

第一楽章はロ短調の分散和音を主体としたAllegroで構成し、一番最後に完成した第2楽章はニ短調6/8+7/8のゆったりしたリズムによる緩徐楽章になり、カデンツァを経て第三楽章のヘ短調Allegroのトッカータでクライマックスに到達する。通常イメージするハープは優雅で優しく穏やな音楽なのだが、このコンチェルトは激しく、荒々しく、躍動的で今までの概念とはだいぶ異なっていると思う。それはエマニュエルの演奏スタイルに感化されたこともあり自分が望んでいたことでもある。

約9ヶ月に及ぶ作曲期間は(もちろん思考していた時間も入れたら1年半以上になる)自分にとってはかなり長い期間である。もちろんその間多くのコンサートがあったため時間を取られたこともあるが、その分、曲を吟味する時間もあったことも事実だ。多くの関係者に感謝するとともに、これから演奏を通して楽曲が育っていくことを心から期待する。

 

 

Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra

Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestraは宮﨑駿氏の2023年に制作された同名映画に書いた音楽をコンサート楽曲として再構成した作品だ。

映画の構成は前半が当時のリアルな現実描写になっていて、後半は少しダークなファンタジーになっている。それを音楽で繋げるために僕のベースであるミニマルミュージック的な手法で全体を構成する方法を採った。ミニマルミュージックは短いフレーズを繰り返しながら変化していく音楽の手法である。そしてこの映画は、宮﨑さんの個人的な内面世界を表現していると思われたので、自分が弾くピアノを音楽の中心に据えてオーケストラも控えめに作曲した。

そのため、劇的効果をねらった音楽的表現を省き、画面で展開されているドラマからも距離をとることで監督の考えがよりクリアに表現できるよう心がけた。その結果、宮﨑監督に喜んでもらえたことは幸いである。

そして2025年4月、ドイツ・グラモフォンからリリースするため、ロンドンのエア・スタジオとアビー・ロード・スタジオでロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団と自作のSymphony No.3、そしてこのThe Boy and the Heronを組曲としてレコーディングした。その演奏やレコーディングは素晴らしく我々のチームが機能した成果である!と思っている。

組曲としては映画の進行に即して構成し、より音楽的な表現になるようオーケストレーションにも手を加えた。今までの交響組曲とは違った世界が展開されることを願っている。

久石譲

(「Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025 Orchestra Concert」パンフレットより)

 

 

 

ここからはレビューになります。

 

2025年の久石譲&ロイヤルフィルスペシャルツアーは、久石譲スタジオジブリフィルムコンサートを皮切りにソウル公演と本公演へと続いてきました。東京ドーム12万人、ロッテコンサートホール4,000人、サントリーホール4,000人の大反響です。「おそらく海外からやって来たオーケストラの単年での日本動員記録更新となるだろう」(Mikikiコラム)とも言われています。

そしてなんと8月には久石譲×ロイヤルフィル、BBC Proms 2025に登場します。まさに世界中を駆け巡っています。今後もコンサートやレコーディングそして新作委嘱などパートナーシップに注目が集まっています。本公演のパンフレットからも新情報!アルバム発売とライブレコーディングがさらりとアナウンス、さらりどころじゃないうれしさ爆上がりです!

 

久石譲指揮はオーケストラの対向配置(古典配置/両翼配置)をとっています。ベートーヴェンの時代(古典)もそうでした。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが左右対称に位置すること(両翼)などが特徴です。本公演では作品ごとにオーケストラの大きさを変えながら最もふさわしいオーケストラ編成でプログラムは進んでいきます。

(対向配置の参考図)

 

 

久石譲コンサートといえば国際色豊かで幅広い観客層におなじみのSOLD OUT!この二つはもう名物だから取り立てて言うまでもないかもしれない。僕の座った席も右隣は欧米カップル、左隣はジブリフィルムコンサートに行ってきた若い女性たちでした。余韻冷めやらぬトークが漏れすぎて聴こえてきました。

何回も言ってしまいそうだから、最初に完全に言っておこう。ロイヤルフィル素晴らしい!日本にいながら世界水準の音を聴けるなんて贅沢この上ない。演奏が上手いとか全ての楽器のバランスが素晴らしいとかクオリティが高すぎるとか、そんなことしか言えないのですが、オーケストラからは「そんなの当たり前だよ、これが普通さ」みたいな貫禄のオーラがまたまぶしい。

休符が上手いというか休符の処理が上手い。だから全ての楽器から奏でられる音が邪魔されない埋もれない。響きの良いサントリーホールのなかで、音楽がバタバタバターとかぐちゃぐちゃぐちゃーとか粗く流れていかない。弦楽器・木管・金管・パーカッションとそれぞれが最高プレイな上に他セクションの音もよく聴いてる、そんな最高チームプレイでした。

 

本公演は究極のオール・ミニマル・コンサートです。

 

Metaphysica(交響曲 第3番)

日本での2021年初演と2023年再演は弦16型でしたが、本公演では弦14型4管編成でした。ホルン7本は過去一かもしれない(初演時は6本)。

プログラムノートの久石譲の言葉から音楽を感じとるのが一番です。もちろんそれは完成後に書かれたものです。その前に語られたことからもヒントが隠れているかもしれません。また深い一面が見えてきそうです。

 

「最終的なオーケストレーションの段階です。曲は交響曲第3番(仮)で、全3楽章約35分の作品。第2番と姉妹作ですが、自然をテーマにしたような第2番に比べると内面的で激しく、リズムはより複雑になっています。加えてミニマル的な構造の中にもう一度メロディを取り戻したいとも考えました。編成は後半のマーラーに合わせた4管編成でホルンは1本少ない6本。自分だけ見劣りしたくないというのは作曲家の性ですね。また作曲家は皆そうですが、大編成になると逆に弦の細分化など細部にこだわるようになります。あと50周年は意識しながらも、現況から祝典風ではなく力強さを織り込んだつもりです」

Info. 2021/08/18 久石譲 現代曲同様のアプローチでクラシックを活性化したい (ぶらあぼ より) より抜粋)

 

 

I. existence

カオスな楽章です。冒頭から力強い速いパッセージのモチーフが核となってミニマルなフレーズが幾重にも交錯します。長さを変えたり(圧縮)、ヴァリエーション(変奏)したりで息つく暇がありません。激しいパーカッションも怒涛のように追い立ててきます。かなりの密度です。プログラムノートにもありますが、ミニマル・ミュージックとは短いフレーズを繰り返しながら変化していく音楽の手法です。その上で、久石譲ミニマル・ミュージックを言うなれば、同音型や律動の反復と変化による劇的緊迫とエモーショナルの創出です。

この作品ではアプローチが見事に結実しています。それはミニマル音型ではない、ある種メロディラインのような息の長いフレーズがモチーフとなり変化し発展していることです。インタビューのなかの「ミニマル的な構造の中にもう一度メロディを取り戻したい」という構想は通して貫かれています。各楽章ともにテーマとなっているモチーフは執拗に繰り返され性格もはっきりしていて印象に残りやすい。

 

II. where are we going?

きびしく美しい楽章です。ゆっくりとした弦楽合奏から始まり久石譲指揮は手で音楽を導いていきます。中間部から楽想はリズミックになり指揮棒を取りシビアに音楽をまとめあげていきます。そして最後のトランペットによる旋律がまた美しい。

これら全てに聴かれるのは同じモチーフからのヴァリエーション(変奏)です。プログラムノートにも「26小節のフレーズが構成要素の全て」とあります。極限に磨かれたモチーフが徐々に膨れあがっていき、満ちたるエネルギーのなかで強固に結晶化しています。荘厳なエモーショナルです。中盤で現れる弦楽四重奏メインのパートも近年の作風にみられる一つです。新しく取り入れる手法が作品群を線でつないでいます。

初演時から最愛でしたが、やはり何度聴いても胸に迫ってくるものがあります。数ある久石譲交響曲・協奏曲のなかで傑作楽章の一つだと思っています。

 

III. substance

ミニマル・ビッグバンな楽章です。核となるモチーフが絡み合いながら壮大な世界を築いています。「ド,ソ,レ,ファ,シ♭,ミ♭の6つの音」からなるモチーフは強力なフックになっています。ここでもモチーフが「圧縮されたり伸びたりしながらリズムと共に大きく変奏して」いますが最終楽章にふさわしいカタルシスです。

マクロな大編成のなかにミクロな弦の細分化もまたすごい。対向配置を最大限に活かした扇型が前後や左右に波打つような音像は必見必聴です。クライマックスまで複雑と密度を極めた音楽は爆発しています。高次元な存在に震えてきます。

僕はこれまでに2回この作品に立ち会っていますが、あまりの巨大さに受け止めきれていなかったことを知りました。いくつかの楽器が書き加えられているような印象も受けました。間違いなく最高傑作の一つです。「音の運動性」をコンセプトにしていますが、おそらく強いメッセージが込められた作品じゃないかとも改めて強く感じました。

久石譲&ロイヤルフィルの豪華な日本公演で「Metaphysica(交響曲 第3番)」が選ばれたのは本当に良かった。心からそう思いました。海外では2024年にトロント交響楽団、シカゴ交響楽団とプログラムしています。2025年は本公演ロイヤルフィルのほか9月にクリーヴランド管弦楽団とプログラム予定です。世界各地で久石譲交響曲が荒れ狂う。グラモフォンから今後リリースされた時の世界の反応もまた楽しみです。こういう作品はまず局地的に熱狂的に盛り上がるのが一番ふさわしい!楽しみです。

 

今すぐにでも聴きたくなった人はこちら。

 

 

 

Harp Concerto

2024年ロサンゼルスでの世界初演から、2025年この夏シンガポール初演と韓国初演を巡りいよいよ日本初演です。

プログラム前半の「Metaphysica(交響曲 第3番)」は弦14型4管で「Harp Concerto」は弦12型2管になっていました。ハープとオーケストラにふさわしい規模ということでしょうか。約25人くらいのオーケストラ奏者の変化があります。

さて、何から書いたらいいでしょう。それはもう素晴らしい作品でした。こんなハープ曲聴いたことない驚きと、こんなハープ曲をたっぷり聴けた感動でいっぱいです。聴いた人は好きになる、終わってすぐ話題にしたくなる、十人十色な感想が止まらなくなる。個人的にも、最高だった!の一言で終わりたい。でもご容赦ください。思い巡らせていたら広がっていった個人の彷徨にこれからどうぞお付き合いください。

 

プログラムノートの久石譲の言葉から音楽を感じとるのが一番です。「通常イメージするハープは優雅で優しく穏やな音楽なのだが、このコンチェルトは激しく、荒々しく、躍動的で今までの概念とはだいぶ異なっている」、本当にそのとおりでした。ハープの固定概念を覆すには十分すぎるほどで、18世紀のヘンデルに始まったハープ協奏曲の歴史において21世紀に新たなマスターピースが加わりました。ただ並べられたわけじゃありません。それは現代の音楽として新境地を切り拓いています。

主役を務めるハーピストがまた素晴らしい。作品のもつ潜在エネルギーを最大限に高めています。エマニュエル・セイソンさんの演奏スタイルは力強くしなやか、幅広い音色と豊かな表現力で魅せてくれます。体づくりがハープを演奏するうえでの音楽づくりにもしっかりなっていると感じたほどです。ハープを奏でる反射神経や敏捷性、そして体の軸や重心の強靭さがしっかりと音として伝わってきました。すごい。

 

「Harp Concerto」プログラムノートを見て一番の疑問だったのはコンセプトやキーワードがわからないことです。「Metaphysica(交響曲 第3番)」には「形而上学/音の運動性/マーラー」などといった聴く助けになるキーワードもあれば作品タイトルも楽章タイトルもある。そのほか久石譲交響曲や室内楽から協奏曲までを眺めてみても、ここまで隠された作品は「コントラバス協奏曲」くらいしかすぐに思い浮かびません。もちろんコントラバスやハープそれ自体がコンセプトだよと言われればそうなのですが。

はっきり言ってしまうと、久石譲のメッセージが全くわからない作品なんですね。楽章ごとの音楽的な構造が少し書かれいるだけです。唯一読み解こうとすると「2024年/激しく、荒々しく、躍動的/自分が望んでいた」という数少ないピースたちです。これはなぜか。どうしても人は言葉やキーワードも合わせて音楽を聴いたりそこからイメージしていきます。久石譲が最も望んだことはイマジネーションの解放なんじゃないかと思っています。曲名やキーワードや創作イメージまで一切を封じる。何の先入観もなしに音楽だけで提示したかった。聴いてどう感じるか。こんなにイマジネーションをかき立ててくれる音楽はありません。そして素晴らしい出会い方に心から感謝しています。だってそのくらい考えてしまったし、これからも考えつづける音楽になり得たからです。

 

Movement 1

中央に置かれた黄金色のハープのグリッサンドからオーケストラとの一発の最強音で音楽は始まります。「ロ短調の分散和音を主体とした」モチーフは、流れるように転調を繰り返しながら緩めることなく進んでいきます。

西洋の音階で繰り広げられる楽想は、少し落ちつきをみせる中間部あたりで分散和音のヴァリエーション(変奏)がちょうどヨナ抜きのようなモチーフに変化して聴こえます。日本的なのはもちろん広く民俗的な印象も醸し出しています。そこから先で弦を強くかき鳴らす奏法は、何を強く訴えかけるようで何かに抗うさまのようで。その後に一音一音ゆっくりと奏でられていくスケール(音階)には半音階が含まれています。西洋とは違うものの暗示のよう。そしてまた楽章は分散和音をモチーフとして激しく進んでいきます。

僕はこの作品を、今を生きる現代の作曲家が書くべくして書いた作品だと聴いていくことになります。Mov.1は望むと望まざるにかかわらず歴史の激動に翻弄されるものたち。

 

Movement 2

心を打つ緩徐楽章です。久石譲の自作品のなかでメロディアスなミニマルというのはそんなに多くはありません。まるで久石譲の映画音楽のときに聴けるそんな楽想でもあります。ヴァイオリンの旋律も心の琴線に触れます。実際に映像にもマッチすると思いますね。

冒頭や中盤以降でも登場する不穏な半音階がとても印象的です。Harp Concertoを聴いてすぐにイメージ飛んだのは「ディープオーシャンII」の音楽でした。深海シリーズの一つで「紅海」をテーマにしたNHKドキュメンタリー番組です。そこはまさに中東に位置しています。思い巡らせながら好奇心で調べていくと、「ディープオーシャンII」の音楽はアラビックスケール(アラビアンスケール/オリエンタルスケール)で書かれているのではと辿り着きました。詳しい深海話は、公式動画紹介も含めて追記したこちら。

 

中東はイスラエルとパレスチナも位置しています。この作品を聴いて覆われることになった印象はここへとつながります。一方では、全楽章において数あるアラビックスケールの中から取り入れられているのか、残念ながら解き明かせる耳はありませんでした。ただ添えるとすると、西洋の音階とは異なり民族音楽のスケールは種類も多く呼び方もいろいろです。民族や地域を越えることもしばしばで、例えばアラビックスケールの一つはジブシースケールの一つとも同じだけど別々の名前で呼ばれていたりする。民俗的なメロディを辿っていけば日本的な音階とも共通点が出てくる。つまりエスニックと感じる音楽や音階は世界にまたがっている、そんな感じなんでしょうか。Mov.2は憂いです。

「The End of The World」第2楽章の冒頭もまた中東風のチェロのメロディにティンパニが鳴っています。

 

Kadenza

約2~3分間のカデンツァです。特殊奏法もいっぱいでした。プリペアド・ピアノは、ピアノの弦にゴム・金属・木などを挟んだり乗せたりして独特な音色効果を生んだり何かの音に見立てたりする手法です。このカデンツァでハープはプラスティックのような細い棒で一本の弦を上下にこすったり、弦を手の面で叩いたり、銀紙のようなものを弦に当てた状態で音を鳴らしたりしていました。

ここも色濃くエスニックなパートになっています。銀紙を弦に当てたときのハープの質感は、まるでウード(中東)やシタール(北インド)やリュート(ヨーロッパ)などといった民族楽器らを模しているようにも聴こえてきます。先ほどの「ディープオーシャンII」音楽では撥弦楽器のウード、笛のナーイ、打弦楽器のサントゥールなど、中東・アラビアの民族楽器が取り入れられています。それぞれの楽器や音色は、公式動画紹介も含めて追記したこちら。

 

tendoさんのレポートにも、韓国の伝統音楽をさす「国楽」にも通じるような民俗的なメロディと感じた、とありました。郷愁を誘う私たち全てに向いている音楽なのかもしれません。このカデンツァは人々の生活、そこに根づいている一人一人の日常がありありと浮かび上がってくるようです。

 

Movement 3

冒頭からハープとオーケストラの力強いエネルギーです。「トッカータ」技巧を駆使した華麗なパッセージと速いリズムで推進力がすごいです。片手で弦を奏でながら片手でボディーを叩くハープも躍動的です。少しユーモアなフレーズ(それは例えば「久石譲:Encounter」のような)も登場して楽想はカラフルになっていきます。

この楽章でも執拗に繰り出される半音階を含んだモチーフは印象的です。そうして、いろいろな性格をもったモチーフたちとまるでごった煮で飛び交い行き交っています。

ハープは世界最古の楽器の一つとも言われています。歴史の連鎖、人類の性、そして希望。

 

 

なぜ今「Harp Concerto」を世界各地で精力的にプログラムしているのか。ハープ奏者のエマニュエル・セイソンさんが演奏する前提となっていて、久石譲の多忙さとLAフィル在籍のエマニュエル・セイソンさんと合わせたスケジュールや公演調整も決して容易ではないはずです。今どうしてもしておきたい作品、今あらゆる世界各地でリアルに聴いてほしい作品、そんな印象すら受けます。

僕はこの「Harp Concerto」をMovement1「激動」Movement2「憂い」Kadenza「生活」Movement3「希望」と聴きました。今だからこう聴こえたのかもしれないし、こう聴かないといけないと思ったところもあるのかもしれない。でも聴けば聴くほど、そこからまたさらに広がって、これは誰にでも突如として起こり得る激動や悲劇であり、誰しも自分ごとの音楽として聴けてしまう、そして何かを見出せる先がある、ものすごい音楽だと感じました。

どう読み解くか、どう聴きとるかはリスナーに委ねられています。一人一人の感想に正解はないけれど、それがいつか新しい真実に近づくかもしれない。自分の感想や感情がその小さな小さなきっかけになるのならそれはもう嬉しいことです。イマジネーションの広がる作品は本当に素晴らしいと思います。

 

最後に。この作品を聴いて浮かんだのはこの絵でした。

 

“HOPE” GEORGE FREDERIC WATTS (1886)
Tate Gallery (NO1640)

 

“もともと「HOPE」は19世紀のイギリスの画家ワッツが描いたものなんだけど、地球に座った目の不自由な天女がすべての弦が切れている堅琴に耳を寄せている。でもよく見ると細く薄い弦が一本だけ残っていて、その天女はその一本の弦で音楽を奏でるために、そしてその音を聞くために耳を近づけている。ほとんど弦に顔をくっつけているそのひたむきな天女は、実は天女ではなく”HOPE”そのものの姿なんだって。”

from 『地上の楽園』CDライナーノーツ

 

 

パンフレットの久石譲メッセージにあるとおり、本公演がドイツ・グラモフォンでライブレコーディングされるならば「Hapr Concerto」との再会は約束されました。また会えるとわかってうれしい。一日でも早く聴きたい。

 

About Harp Concerto

 

 

 

About Harp Concerto episode

出典:The Moments That Move Me with Emmanuel Ceysson | LA Phil
https://www.laphil.com/about/watch-and-listen/the-moments-that-move-me-with-emmanuel-ceysson

 

 

 

どこに置いたらいいかわからなかったからここに。

久石譲はインタビューで「エンターテインメントで試したものや身についたものを、現代音楽やクラシックの作品のなかでより深めていける。両側があるおかげで両方とも上がっていける」という趣旨を語っています。実際に自分は「ディープオーシャン」と「Harp Concerto」でまた強く感じました。だからこそ、久石譲から生み出される全ての音楽はきちんと音源化されて現代に届けられるべきだ、未来に遺されるべきだ、そう強く思います。今回「ディープオーシャンII」の音楽を振り返れる史料(動画)がなかったらと思うと、ぞっとします。僕はHarp Concertoの感動にこれほどまで出会うことはできなかったと。

誰かが、久石譲の音楽をより理解できる誰かが、この先きっと現れます。リスナー、評論家、研究家、音楽家。それでまた久石譲の楽曲は”いい音楽”(長く聴かれる音楽)になっていきますね。どうぞ音楽が手にとれる環境づくりもよろしくお願いします。

 

 

 

久石譲コンサートではプログラムごとに舞台替えが行われることも珍しくありません。「Harp Concerto」のあと短い時間のなかでソリスト用ハープの移動、そして久石譲が弾くピアノが中央に運ばれてきます。しかも今回はいつもと向きが違う。鍵盤が観客席側を向いている。モーツアルトの時代などでもあったピアノ演奏中も指揮者と同じようにオーケストラを正面から見渡せる配置になっています。ピアノと指揮の弾き振りです。

 

 

Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra

交響組曲「君たちはどう生きるか」です。約15分にまとめられた組曲の構成曲はこのようになっていました。

Ask me why(疎開)/青サギのテーマ/ワナ/ワラワラ/火の海/祈りのうた(産屋)/大王の行進/大崩壊/Ask me why

(下線曲は厳密なサントラ曲名ではありません)

 

“for piano and orchestra”でピアノが一貫して主役になるジブリ交響組曲は初です。「ワラワラ」「大崩壊」の2曲を除いて久石譲はピアノを弾いています。指揮もしています。

「Ask me why(疎開)」やはりこの曲から始まりますよね。映画メインテーマながらメロディはまだ流れない、そのシルエットだけで惹かれる一曲目です。交響組曲となったこの作品はいずれの曲も豊かな音色パレットに広がっています。この曲では弦楽の複雑なハーモニーがより現代的になっていたことも印象的でした。

「青サギのテーマ」四度の二音からなる究極のミニマルです。サントラで聴かれる「青サギI,II,III および 青サギの呪い」から二音の構成をまとめたようなパートになっています。

「ワナ」久石譲は両手でピアノを弾きながら目くばせで合図を送ったり、片手でピアノを弾きながら指揮もしたりとこの曲でもそうです。オーケストラピアノ奏者とも連携している交響組曲です。

「ワラワラ」南国風で幻想的な世界が広がります。ガムランやゴングといった打楽器も楽想を彩っています。金管楽器奏者がマウスピースのみで演奏する人声とも効果音ともとれる不思議なSE効果もアクセントになっています。サウンドトラックにあったサンプリングボイスまでオーケストラで完結しうる構成はさすがです。

「火の海」女声コーラスのパートが久石譲のピアノに置き換わっています。激しく速いパッセージの連続はよりダイナミックに緊張感を増しています。

「祈りのうた(産屋)」静まりかえったなか久石譲のピアノの音だけが鳴る導入部は息をのみます。シンプルな語法で磨かれたこの曲は、冒頭からピアノの音が一音一音ゆっくりと水面にしずくが一滴一滴と落ちていくような神聖さがあります。2015年に初めて聴いたときは、こんな運命を辿る曲になるとは想像もしていませんでした。深いものが宿っています。

「大王の行進」起伏に富んだ交響組曲はここで大きく推進力をもちます。この交響組曲はピアノをメインに据えながらもオーケストラ弦14型2管と決して小さくはない標準タイプを維持しています。サントラよりもテンポアップした感のあるこの曲では、指揮者久石譲とオーケストラが漲っています。

「大崩壊」大叔父のテーマともなっている楽曲です。久石譲の高音と低音を司る重厚なピアノとオーケストラの荘厳な響きが拮抗しています。もっとサントラから「大叔父の思い」なども加えながら大きく大叔父のテーマとして長く聴きたいと思ったほどです。

「Ask me why」光の綾のようなストリングスに美しい反射光を照らす木管金管は至芸です。そしてサントラでは叶わなかったAsk me whyフルバージョンです。コンサートではピアノソロで披露された機会もありました。これまたサントラにはないピアノ&オーケストラの珠玉ピースで完成をみました。つい先日の久石譲スタジオジブリフィルムコンサートでアンコール披露された特別バージョンとおそらく同じか限りなく近いか、かな。

ジブリ交響組曲シリーズのなかで、久石譲ピアノに始まり久石譲ピアノに終わるのは「One Summer’s Day」の『千と千尋の神隠し』、「Bygone Days / il Porco Rosso」の『紅の豚』に続くものです。

 

tendoさんのソウル公演レポート(下に紹介)にもありましたけれど、別でシンガポール公演時の観客SNSだったかもしれませんが「The Boy and The Heron」のパート譜表紙に「Short ver.」と見つけることができました。Long ver.を聴ける日は訪れるのか?アルバムはどちらのバージョンなのか?またひとつ謎と楽しみができました。

スタジオジブリ×久石譲の一大プロジェクトはジブリフィルムコンサートとジブリ交響組曲シリーズです。今まさに歴史のど真ん中にいます。そして今年ひとつのツアーファイナルとひとつの新交響組曲を迎えた。同じ時代を生きるファンは幸せものです。

 

ジブリ交響組曲シリーズの歩み

『風の谷のナウシカ』(1997/2015年版)『もののけ姫』(1998/2016/2021年版)『千と千尋の神隠し』(2001/2018年版)『となりのトトロ』(2002・改訂未音源)『ハウルの動く城』(2005)『風立ちぬ』(2014)『かぐや姫の物語』(2014・改訂未音源)『天空の城ラピュタ』(2017)『魔女の宅急便』(2019)『紅の豚』(2022・未音源化)『崖の上のポニョ』(2023・未音源化)『君たちはどう生きるか』(2025・音源化決定)です。

 

 

アンコール

One Summer’s Day(for Piano and Harp)

カーテンコールが続くなかエマニュエル・セイソンさんのハープがキャリアに乗ってステージに運ばれてきます。中央にある久石譲のピアノの横に二つの楽器が対話するように並びます。スペシャルギフトです。

この楽曲は「ピアノとデュオのための」と言えるもので、ジブリフィルムコンサートではピアノ&ヴォーカル版、WDO2022ではピアノ&バンドネオン版を聴くことができました。

1コーラス目は久石譲のピアノが主役と言わんばかりに、なんとハープはミュート奏法になっていました。ハープには弦楽器や管楽器のように専用の弱音器はないようです。またピアノの場合はソフトペダルを使って音を小さくまろやかな響きに切り換えることができますが、ハープにはそのような一瞬にして切り換わる便利なペダルはないみたい。おそらく巧みなペダル操作で音を柔らかく小さくしたミュート奏法を実現しているのではないかなあと想像しています。

2コーラス目はハープの豊かな響きが広がっていきます。ピアノ&ヴォーカル版も1コーラス目はスキャット(歌詞のない歌唱法で声を一つの楽器として表現する方法)で2コーラス目は歌詞をもって歌っています。1コーラス目と2コーラス目のハープの立ち位置や寄り添い対話する変化ははっきり演出されたものだろうと思いながら聴いていました。終結部のこぼれるような美しいグリッサンドまでスペシャルギフトです。

 

2001年7月20日に公開された映画『千と千尋の神隠し』、この年は激動でした。約2ヶ月後に9.11米同時多発テロが起こったからです。2019年新たに作られた「久石譲:One Summer’s Day」ミュージック・ビデオはニューヨーク撮影で、映像にもニューヨークの様々な景色が映っています。

 

Joe Hisaishi – One Summer’s Day

from Joe Hisaishi Official YouTube

 

 

Merry-go-round

わざわざソリスト用ハープをまた舞台袖に移動させての再びアンコールです。わざわざ、ほんとそうでそこまでしてくれてアンコール二曲をやってくれた、そんな気持ちです。

久石譲コンサートのアンコール定番曲にもなっている「Merry-go-round」ですが、本公演はバージョンが違いましたね。多くの久石譲ファンが気づくほど驚いたのは中盤にも久石譲によるピアノメロディがあったからです。ジブリフィルムコンサートで聴けるバージョンとも違います。「交響組曲 君たちはどう生きるか」からの流れでピアノが中央にあったらの大サービス、もちろんそう思っていいくらいうれしい。

2001年の激動で世界は大きな変化へと突き進みます。2004年公開の映画『ハウルの動く城』は戦火を描いています。物語の最後でサリマン先生が「このバカげた戦争を終わらせましょう」と言うセリフも印象的でした。

今回のバージョン、実は「人生のメリーゴーランド ’05」と題して「Joe Hisaishi Symphonic Special 2005」コンサート(WOWOW放送)などで演奏していたものと構成が同じです。つまり久石譲のピアノ登場回数が同じです。

久石譲は近年のコンサートで定番にしている「Merry-go-round」ではなく、あえて当時披露していた2005年バージョンをもってきたことに意味はあるのでしょうか。僕はしっかりとその意味が見出せそうな気がしています。誰もが喜ぶ選曲だよ、純粋にエンターテインメントだよ、もちろんそういう楽しみかたも十分にできますよね。終わってみたら盛大なスタンディングオベーションでした!

 

 

「Metaphysica(交響曲第3番)」「Harp Concerto」からアンコールまで、音楽文化を通して現代社会・世界の動きを色濃く滲ませたのではないか、というのは終わってみての個人の感想です。特にシリアスなイメージを押しつけたいものではありません。8月開催「祈りのうた2025」スペシャルツアーまで、何か大きな線で結ばれている気はしています。エンターテインメントの顔をしてある一面も隠し持っている。将来に振り返ったら何かあぶり出てくるものがあるかもしれませんね。

久石譲、その進化の最前線はコンサートにあります。とにかく久石譲&ロイヤルフィルはスペシャルだった。アルバム情報も飛び出し楽しみは尽きない。これからは『A Symphonic Celebration』を聴いても、さらに「Hapr Concerto」が音源化されたときも、あの夏聴いたオーケストラだとぐっと距離も音楽も近づいてひとしお感慨深い。とても素晴らしい経験ができました。

 

 

コンサートの雰囲気までたっぷり味わえるのはこちら。

 

みんなのコンサート・レポート

 

 

 

リハーサル風景

from ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団公式X(Twitter)/Facebook/Instagram
https://x.com/royalphilorch
https://www.facebook.com/royalphilharmonicorchestra
https://www.instagram.com/royalphilorchestra

 

 

公演風景

from 久石譲コンサート2025公式X(Twitter)
https://x.com/joehisaishi2025

 

 

ほか

リハーサル風景動画もあります

from 久石譲本人公式インスタグラム
https://www.instagram.com/joehisaishi_composer/

 

 

from ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団公式X(Twitter)/Facebook/Instagram

 

 

from エマニュエル・セイソン公式インスタグラム
https://www.instagram.com/emmanuel_ceysson/

 

 

 

 

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

 

 

Info. 2025/08/08 ニューアルバム『Joe Hisaishi Conducts』発売決定!! 【8/8 update】

Posted on 2025/06/25

アルバム『Joe Hisaishi Conducts』8月8日リリース決定

久石譲が作曲家の視点でクラシック曲の新たな魅力を引き出すシリーズ「Joe Hisaishi Future Orchestra Classics vol.7」を収録したライブ盤。 “Info. 2025/08/08 ニューアルバム『Joe Hisaishi Conducts』発売決定!! 【8/8 update】” の続きを読む

Info. 2025/08/23-27 久石譲×日本センチュリー交響楽団「祈りのうた 2025」スペシャルツアー開催決定!【8/7 update!!】

Posted on 2025/03/13

戦後80年の今年、久石譲が挑む特別コンサート “祈りのうた 2025” 開催

久石が2025年4月に音楽監督に就任する日本センチュリー交響楽団との特別コンサート開催決定! “Info. 2025/08/23-27 久石譲×日本センチュリー交響楽団「祈りのうた 2025」スペシャルツアー開催決定!【8/7 update!!】” の続きを読む

Overtone.第105回 「久石譲&ロイヤル・フィル スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート」コンサート・レポート by ふじかさん

Posted on 2025/08/05

2025年7月24,25日開催「久石譲&ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート」です。久石譲がComposer-in-Associationを務めるロイヤルフィルとの日本公演が実現です。ジブリフィルムコンサート・ツアーファイナルat東京ドーム、ソウル公演を経てツアー最終日まで熱く駆け抜けたこの夏へ。

今回ご紹介するのは、ジブリフィルムコンサートに続いてふじかさんです。とても熱のこもった音楽世界が広がっています。久石譲音楽の今を感じることができます。全てのプログラムともこれからの音源化が待ち遠しくなる、そんなレポートです。ぜひお楽しみください。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Orchestra Concert at Suntory Hall

[公演期間]  
2025/07/24,25

[公演回数]
2公演
東京・サントリーホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ハープ:エマニュエル・セイソン

[曲目]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

久石譲:Harp Concerto ※日本初演
Movement 1
Movement 2
Movement 3

—-Soloist Encore—-
ドビュッシー:月の光 (7/24)

久石譲:Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra
    交響組曲「君たちはどう生きるか」 ※日本初演

—-Orchestra Encore—-
One Summer’s Day (for Piano and Harp) (7/25)
Merry-go-round (for Piano and Orchestra) (7/24,25)

[参考作品]

君たちはどう生きるか サウンドトラック 久石

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Special Tour 2025 Orchestra Concert at Suntory Hall コンサートレポート

 

2日目の7月25日公演の模様をレポートさせて頂きます。

2025年7月25日 サントリーホール 19:00開演

 

夏の豪華コンサートの一つ、サントリーホールでのオーケストラコンサート。こちらもジブリのスクリーンコンサートに引き続きチケット入手困難な公演となりました。

個人的には、この公演が一番の本命でした。最新交響曲、最新協奏曲、最新交響組曲と今の久石さんの最前線を聴く事、触れることのできる特別なプログラム。ジブリコンサートは、ある意味お祭りコンサート。本公演は、まだまだ進化し続ける久石さんの”今”が凝縮されたコンサートです。

この日は、先週の東京ドームコンサートの時は全く異なり、1日中晴天で、酷暑の厳しい夏の日でした。

 

チケットもぎりを通過し、中へ入ると、赤い絨毯に包まれたサントリーホールのホワイエへ。3月以来のサントリーホールです。ホール内へ入ると、ステージ上にぎっしりと並んだオーケストラ奏者の譜面台、椅子。奥には打楽器群。そして配信関係機材が所狭しと配置してありました。

公演開始時間間近になると、コンマスを除き奏者が全員集結。コンマス不在のまま、チューニングが始まり、チューニングが終わると共に、コンマスが登壇する流れでした。その後、久石さんが登場。

いよいよコンサートが始まります。

 

久石譲:Metaphysica(Symphony No.3)

生で演奏を聴くことができたのは、2021年のすみだトリフォニーホールでの世界初演のとき以来でした。その後、世界各地での演奏会でプログラム入りしており、4年経って再び生演奏で聴くことができました。

1楽章『existence』の冒頭の力強いホルンの導入から、一気にミニマルシンフォニックの世界へと連れて行かれます。導入で提示されたホルンのメロディ、モチーフが随所へ変容しながら受け継がれていく様子は、本作品以後に書かれた『Viola Saga』、このプログラムにも入った『Harp Concerto』にも随所に現れています。マーラーの『Symphony No.1』を意識して制作された経緯もあり、力強く響き渡る金管が耳に強く残り、次々と聴こえてくる打楽器も聴いていて楽しいです。木管の細かいパッセージや、弦楽の上昇下降を繰り返すフレーズ、そして何度も聴こえてくる冒頭のフレーズ。終盤に向けてどんどんと盛り上がっていく感じ、聴いていてとても楽しかったです。

演奏が終わって、指揮台の久石さんが少し拍手をしたことで会場にも連鎖する拍手の音。久石も少し会釈したのちに演奏が続きます。

一気に雰囲気の変わる2楽章の『where are going?』。この楽章だけは新日本フィルの公式youtubeでも今でも全編聴くことができます(2025年8月現在)。虚無感を感じさせるような弦楽の息の長いメロディ、多層的で緻密なロイヤルフィルの弦楽アンサンブルが、よりこの楽曲のクオリティを押し上げてくれている感じがします。初演時よりも落ち着いて演奏を聴くことができましたが、改めてこの曲は久石さん流の葬送行進曲な印象を持つことできました。重い足取りのように聴こえてくる弦楽の歩みに、時折遠くの方で聴こてくるコーラルのような金管の音色。2023年9月の新日本フィルでの定期演奏会でのマーラー『Symphony No.5』の1楽章を彷彿とさせる響きを感じました。

冒頭は重厚で足取りのゆっくりな感じで始まりますが、徐々にリズミックで、迫力も増しながら変奏していく様子は久石さんのミニマリスト作曲家としてのテクニックが光ります。中盤で聴こえてくる弦楽4重奏のみで演奏されるシーンから感情が爆発するような後半での金管の力強い音色まで、次々と畳み掛けてきました。

コーダ部では空からの光を感じさせるような荘厳な響きで静かに曲が終わります。

3楽章の『substance』はいかにも久石さんのミニマル曲を感じさせるような、力強い弦楽のうねりと金管と木管の次々と折り重なっていくパルスがとても心地よいです。演奏風景も弦楽が波を描いていくように弓が動いていくシーンも視覚的にもとても楽しい。中盤で盛り上がりがピークに達した後、ホルンが提示する力強いフレーズに裏拍が強調されるリズム伴奏が絶妙な引っ掛かり感があっていてこちらも心地よいです。終盤へ向かうにつれどんどんと増えていく打楽器、益々力強くなっていく金管セクション、複合的に構築されていく木管、弦楽のリズム。盛り上がりが頂点に達したところから一気に崩れ落ちるようにしてフィニッシュです。

 

拍手喝采の中、久石さんが何度からお辞儀をしたのち金管を労うように紹介をします。途中拍手が途切れそうになり、久石さんが拍手を煽りますが、うまく伝わらず手拍子になってしまうような場面も。これには久石さんの「しまった!」というような照れ笑いをされていました。

 

ー休憩ー

 

休憩中に次の演奏曲へ向けてステージ上では大きな舞台転換が行われていました。ステージ中央に設置された赤いハープが印象的でとても目を引きます。

 

久石譲:Harp Concerto

久石さんの最新協奏曲の日本初演がいよいよ始まります。昨年のロサンゼルス初演から始まり世界各地で披露されてきた本楽曲が満を持して日本で演奏されました。オーケストラのチューニング後、久石さんとハープのエマニュエルさんが笑顔でステージへ登場しました。

 

1楽章 

冒頭ソロハープの駆け上がりに続き、力強い全体での一打があり、十六分音符の刻みとハープが細かく交錯し合いながら、緊迫した雰囲気で一気に駆け抜けていきます。ソロハープの動きがとても目を引きますが、オーケストラ奏者のハープも緻密な動きでソロハープの演奏を裏で支えている印象です。一瞬のブレイクののちに、スネアソロ、それに続き雪崩れ込んでくるハープとオーケストラの音色と、今までに無い久石さんの協奏曲の展開に圧倒されてしまいます。冒頭から提示されているハープの旋律が細かく変奏を重ねながら展開されていく様子は、前半で演奏された『Symphony No.3』の流れを汲んでいる印象を受けました。癒しの音色の側面が強いハープですが、こんなにもスリリングで圧倒的な力強さの一面を引き出した久石さんの作曲技術はまだまだ進化し続けていくものだと改めて思いました。コーダ部は冒頭の提示部を再現して力強くフィニッシュです。

1楽章の力強さに圧倒された為か、会場からも楽曲の途中ですが拍手が入ります。ハープの短いチューニングののちに2楽章へ続きます。

 

2楽章

ソロハープとチェロ、ピアノのみの静かなスタートです。

ハープの「ラファミー、レミシ♭ソー」と続く旋律はなんとも日本的な音階でまるで琴が演奏しているような音色に聴こえてきます。すぐにフルートがその旋律をなぞり、ハープが後ろから追いかけてくるような展開になります。ちなみにこの旋律、自宅にある電子オルガンで琴の音色で演奏してもピタリハマるくらい美しい日本的な旋律なんです。その後に続く、「レードレミファミファレー」という旋律もとても美しく、そのメロディをハープが奏し、ヴァイオリンソロへと続きます。ヴァイオリンソロが奏でている時はまるで“人体シリーズ”のサントラの1曲のような雰囲気も感じました。徐々に曲調が明るくなりハープと木管が絡み合いながら光差し込む森の奥深くに進んでいくように。二ノ国2のサントラ『神秘の森』のような印象も受けました。終盤は冒頭の旋律が再度提示されますが、ハープに続き、オーケストラが折り重なるようにして旋律が次々と紡がれていきました。

 

そしてハープソロのカデンツァへ。弦にドライバーを当てるような特殊奏法から始まり、高音から低音まで幅広い音域を使って駆け下りたり、一気に昇っていったり。弦を掌で叩いたり、ミュートをあてて、ミニマル的なフレーズを爪弾いたり。ミニマル的なフレーズは“KIDS RETURN”のサントラより『I Don’t Care』のような軽めのサウンドを感じました。

徐々に3楽章のフレーズが聴こえてきて、それに応えていくようにオケが反応していくとそのまま3楽章へ突入です。

 

3楽章

アップテンポで、明るい雰囲気の3楽章。『DA・MA・SHI・絵』や『Tri-AD』『sinfonìa』の2楽章のようなリズミックで楽しいサウンドがどんどん広がっていきます。ミニマル特有の短くてキレの良いリズムとメロディがソロハープから聴こえてくるとそれに続いて、木管、金管、打楽器、弦楽と次々とフレーズが重なり万華鏡のような変容していくような広がりを見せていきます。コーダ部は冒頭1楽章のようなスリリングなハープとオーケストラの掛け合いを聴かせた後に、ダダン!!という力強いフィニッシュ。様々な音色を魅せてくれたハープコンチェルトの終結部です。

 

日本初演ということで、まだまだ聴き馴染みのない楽曲でしたが、ハープのエマニュエルさんの表現力、オーケストラの力強さに圧倒されたのか、会場は割れるような大きな拍手に包まれました。

エマニュエルさん、久石さんはしっかりと握手を交わし、何度かのカーテンコールが行われました。

 

 

再び、大規模のステージ転換へ。

下手側に置いてあったグランドピアノがステージ中央へ。鍵盤が完全に客席側へ向くような、いわゆる指揮者自らが弾き振りをするスタイルをする時に設置される位置へピアノが置かれました。大きな転換だったので、結構時間がかかった印象です。

 

久石譲:Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra

いよいよジブリ作品の最新交響組曲作品がお披露目の時です。

今までの交響組曲作品とは大きく編成が異なり、久石さんが自らピアノでエスコートしながらオーケストラを従えていくスタイルにワクワクが止まりませんでした。コンマスがピアノのA49の音を鳴らしてチューニングがスタート。それに続き、指揮者兼ソリストの久石さんが登場し、ピアノに向かいました。

『Ask me why(疎開)』

 物語のスタートを飾った曲から交響組曲もスタートです。イントロのG、Em、D、Cの和音に続き、ミニマル的な「ソーレーソー」というフレーズがピアノから紡がれていきます。サントラ版よりも弦楽の刻みが増えててより物語のスタートを感じさせるようなアレンジに進化していました。

『青サギの呪い〜ワナ』

 力強い「ミー、ミシー」という青サギのモチーフに続き、“悪人”のサントラのような緊迫感のある展開になります。サントラ版よりも厚いオーケストラ編成に進化したためか、よりパワーアップした印象を受けます。

『ワラワラ』

 現実には存在しないキャラクターに印象的な音楽をつけるのは久石さんの得意技。『コダマ達』『天人の音楽』のような耳に残る名曲の一つです。サントラ版ではサンプリングボイスのようなもので表現されていた音色が、この組曲では金管楽器のマウスピースで演奏されました。マウスピースのみでの奏法は久石さんの楽曲では『2 Pieces』『The Border』でも取り入れたきた実績があり、ここにも帰結したと思うと、いろんな楽曲の要素を組み合わさり“君たちはどう生きるか”の世界観が表現されているものだと感じました。

『火の海』

 リトルキャロルのコーラスで表現されていた部分は久石さんのピアノで表現されていました。

『祈りのうた(産屋)』

 サントリホールの大ホールに久石さんのピアノの単音のみが響き渡るとても貴重な時間。本来は7分近くある楽曲ですが、原曲の雰囲気はそのままに短くまとめてありました。10年前の2015年WDOで披露された時から再び披露されたこと思うととても感慨深かったです。終盤はピアノ音色がより低音〜高音(A1,A13,A73,A85)のラの音が強調されていました。

『大王の行進』

 前曲とは雰囲気が一転、明るく快活な音楽となります。快活な印象のこの楽曲ですが、サントラでは序盤『追憶』にて寂しさを感じるアレンジになっていることも印象的です。アレンジの仕方で聞こえ方、捉え方が全く変わるメロディです。『ワラワラ』と『大王の行進』では久石さんが立ち上がり指揮のみに専念となります。

『大崩壊』

 物語終盤でとても印象的に響き渡る楽曲です。チューブラーベルとピアノの希望を感じさせる和音に、翼を広げて飛び立っていくような弦楽、木管のフレーズが新たな世界へと誘っていってくれます。

『Ask me why』

 組曲最後はこの楽曲で、久石さんのピアノで締めくくれます。先日の東京ドーム公演でアンコールの1曲として披露されましたが、その時とは若干アレンジも異なっていた印象です。前半サビの終わりくらいで加わるトランペットが今回は入りませんでした。

サントリーホールという極上の音響空間で、久石さんのピアノと静かな湖面に波が広がっていくような繊細なオーケストレーションがとても美しく、言葉では言い表せないくらい贅沢な時間でした。その感動に包まれながら楽曲は静かに終わりました。

 

 

会場は再び大きな拍手に包まれ、拍手の中恒例の各演奏者の紹介へと移ります。何度かのカーテンコールののちに、ハープが中央へ設置され、アンコールの楽曲へと移ります。

ソロハープのエマニュエルさんと久石さんが登場。二人のソリスト同士の特別なアンコール始まりました。

 

One Summer’s Day (for Piano and Harp)

冒頭の久石さんの和音が奏でられると、会場からは声にならないような「・・・・!!!!」というような音が聞こえました。

アルバム“A Symphonic Celebration”での『One Summer’s Day』と2022年のWDOでバンドネオンの三浦さんと披露された構成を元に、ハープとの新アレンジバージョンが披露されました。久石さんのピアノとエマニュエルさんのハープが折り重なる特別なアンコール。会場の観客のみんなも酔いしれている雰囲気に包まれていました。アウトロでは久石さんのピアノの旋律に合わせて彩りを添えるハープの上下するグリッサンドがとても美しかったです。

 

ステージ上のハープが舞台袖へ引き上げられたあと、久石さんとロイヤルフィルによる最後のアンコールがスタートです。

 

Merry-go-round(for Piano and Orchestra)

近年では久石さんが指揮に徹するアレンジが多くアンコールで披露されてきましたが、今回はピアノが弾き振りスタイルで設置されていることがあってか久石さんのピアノによる導入でスタートです。こちらもイントロのピアノが聴こえると会場はからは声にならないような「・・・・!!!!」というような音が聞こえました。老舗ヨーロッパのオーケストラが奏でるワルツを東京で聴くことができるなんて本当に贅沢な時間でした。転調前のサビでは再び久石さんもピアノ演奏へ加わりました。転調後は盛り上がりもピークのままコーダ部へ一気に駆け抜けていき、最高のフィナーレでした。

 

会場のボルテージも最高潮に。一気に観客へスタンディングオベーションが広がり、会場は総立ちで熱気の渦に。そのまま久石さんは恒例の弦楽メンバーとの握手へ。ですが、中央にピアノがあり、手が届かない奏者もいるため手を大きく掲げて握手のジェスチャーへ。会場からも温かい笑みが溢れます。何度かのカーテンコールのちに久石さんは客席へ大きく手を振って退場、会場も明るくなり、コンサートは無事に終演となりました。

 

熱量たっぷりのとっても濃いコンサートでした。

先週のジブリスクリーンコンサートでは披露されていなかった“君たちはどう生きるか”の楽曲も聴くことができて、ここで初めてジブリコンサートも完結。完全版の『人生のメリーゴーランド』もこのコンサートで聴くことができて、こちらも完結。

今最前線の『Symphony No.3』『Harp Concerto』をヨーロッパで活躍するオーケストラ演奏で作曲者本人の指揮で東京で聴くことができたという事実。

そして来月“祈りのうたツアー”で披露される『祈りのうた』も少し聴くことができたと共に、鳴り響いたチューブラーベルの音色からも来月のツアーの序奏として捉えることもできたと思います。

この公演でこの夏の3本のコンサートが全て繋がっているようにも感じました。

 

とても充実した満足感を心に刻みながら、コンサート会場を後にしました。

 

2025年8月5日 ふじか

 

ふじかさんこの夏大本命、このコンサートへの期待と充実感が伝わってきますね。「最新交響曲、最新協奏曲、最新交響組曲」と文章にも書かれていましたけれど、それだけ大作が並んだプログラムです。興奮状態もひしひしと伝わってきますし、感じとったものもしっかりと伝わってきますね。初めて聴いた、まだ数回目、そんな掴みきれないほど大きな作品をここまで文章にするって結構なエネルギーだと思います。記憶やイメージを言葉に置き換える作業は大変です。だからこそ、ここに鮮やかに封じ込められた素敵なレポートはきっと大切な歴史の一ページになります。ありがとうございます。

熱量たっぷりのとっても濃いコンサート・レポートでした。

 

 

 

みんなのコンサート・レポート

 

 

 

「行った人の数だけ、感想があり感動がある」

久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋では、久石譲コンサートのレポートや感想をどしどしお待ちしています。どうぞお気軽に、ちょっとした日記をつけるような心持ちで、思い出を残してみませんか。

 

コンサートについて語りたいそう願うのは、ほかならぬ私もまた誰かにコンサートや音楽の魅力を教えてもらった一人だからです。

 

 

みんなのコンサート・レポート、ぜひお楽しみください。

 

 

reverb.
いつかまた自分の行けなかったコンサート、聴けなかった曲のふじかさんレポートを読んでみたい。まっさらから広がる世界に。

 

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

このコーナーでは、もっと気軽にコメントやメッセージをお待ちしています。響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

 

Overtone.第104回 「久石譲&ロイヤル・フィル スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート」(ソウル)コンサート・レポート by tendoさん

Posted on 2025/07/30

2025年7月21,22日開催「久石譲&ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 スペシャルツアー 2025 オーケストラ・コンサート in ソウル」です。久石譲がComposer-in-Associationを務めるロイヤルフィルとのソウル公演が実現です。WDO2017以来となる8年ぶりの韓国公演はどよめき歓声そしてスタンディングオベーションと熱狂的に迎え入れられました。

今回ご紹介するのは、両日参戦のtendoさんです。8年越しの思いがつまっています。自分が全力で楽しむことはもちろん、事前にコンサートに向けて久石譲音楽(主に自作品)の魅力を韓国国内で発信するなど、ロッテコンサートホールに集う観客への全力活動も素晴らしいです!ぜひお楽しみください。

 

 

Joe Hisaishi Royal Philharmonic Orchestra Special Tour 2025
Orchestra Concert in Seoul

[公演期間]  
2025/07/21,22

[公演回数]
2公演
ソウル・ロッテコンサートホール

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
ハープ:エマニュエル・セイソン

[曲目]
久石譲:Metaphysica(交響曲第3番)
I. existence
II. where are we going?
III. substance

—-intermission—-

久石譲:Harp Concerto ※韓国初演
Movement 1
Movement 2
Movement 3

—-Soloist Encore—-
ドビュッシー:月の光 (7/21)

久石譲:Symphonic Suite The Boy and the Heron for piano and orchestra
    交響組曲「君たちはどう生きるか」 ※韓国初演

—-Orchestra Encore—-
One Summer’s Day (for Piano and Harp)  (7/22)
Merry-go-round(for Piano and Orchestra) (7/21,22)

[参考作品]

君たちはどう生きるか サウンドトラック 久石

 

 

はじめに

2017年以来8年ぶりの来韓公演、その感動的な瞬間をレビューで残したい。2025年7月21,22日両公演を鑑賞した。どちらの公演も同じプログラムなので一度にレビューを書こうと思う。

今回のコンサートは久石譲がキャリアを始めたミニマル・ミュージックを主体にしたコンサートだ。プログラムに紹介された曲は「交響曲3番」そして「ハープ協奏曲」また「君たちはどう生きるか」交響組曲だ。「君たちどう生きるか」はジブリ作品だがミニマル・ミュージックの手法で書かれた音楽なので、事実上全曲がミニマルで構成されたミニマルミュージックコンサートだ。

TENDOWORKで久石譲曲をレビューし始めたのは、久石譲が究極的に作曲家として追求したミニマル・ミュージックをさらに応援したい理由が強かった。そういう意味で今回のコンサートは本当に重要なコンサートであり重要な意味があった。

 

 

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団の紹介

ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団(RPO)は英国のオーケストラで、世界の音楽界の最前線にいる。2024年から久石譲がコンポーザー・イン・アソシエーション(Composer-in-Association)を務めるパートナーだ。

私たちがよく知っていたワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)は2023年のWDOコンサートを最後に休憩に入ったので、自然に久石譲の様々な活動(アルバム録音やコンサート共演など)の大きな軸がロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団に継承されている。そのようなオーケストラが丸ごと韓国に来て公演するのは凄いことだった。

 

 

さて、21日の公演の公演から見てみよう。

 

Joe Hisaishi:Metaphysica (Symphony No.3)

久石譲の三番目の交響曲だ。(この辺りで交響曲番号についてはっきりまとめると、「The East Land Symphony」が交響曲第1番になる。今回のコンサートパンフレットにも確かに表記されている。)

Metaphysicaは新日本フィルハーモニー交響楽団第637回定期演奏会で初演されたのを聴いたことがある。もちろん直接日本に行ったのではなくアーカイブ配信で視聴した。その時の感想はこちらから。

 

初日はロッテコンサートホールの合唱席の一番後方真ん中の席に座って聴いた。そうだ。純粋に指揮者の久石譲の表情を詳しく観覧できる席だった。久石譲は指揮をしながら集中する表情をしながらも、時には演奏が満足なのか笑ったりもした。

この席では合唱席の特性上、打楽器があまりにも強調されてMetaphysicaを完全に楽しむことができないかもしれないと思ったが、幸い合唱席の最後列なのでそのような影響は少なかった。

 

第1楽章はホルンの咆哮で始まり祝典の雰囲気が漂う。Metaphysicaはもともと新日本フィル創立50周年を記念して委嘱された曲なので祝典の性格が強い。ハイライトはフレーズが複雑に絡み合って巧妙な調和が起こった時だった。私はフレーズが絶妙に交錯し広がる複雑な瞬間が好きだ。もちろん指揮や演奏にはかなりの難易度が続くでしょうが。

第1楽章を終え久石譲さんはハンカチで汗をぬぐった。少し緊張している様子だった。心の中で「久石譲さん、頑張ってください!」と叫んだ。

第2楽章は久石譲が指揮棒を手の後ろに折って手を使った繊細な指揮を始めた。第2楽章は弱から強へと徐々に移動していく。パンフレットの楽曲解説で「音の運動性」の意味を少し知ることになった。第2楽章の全体的な感じは夜明けのような雰囲気。あるいは夕焼けになってシニカルになるような雰囲気。曲のタイトルもちょうど「where are we going?」。

グロッケンシュピールの音も少し耳に入った。初演の時には感じられなかった音だ。単なる勘違いなのか、少し追加されたのか、元々あったものが強調されたのか、定かではない。今後アルバムで確認できるかもしれない。初演の時と比べて聴いて面白かった。

第3楽章は非常に爆発的な音を立てて始まる。ド,ソ,レ,ファ,シ♭,ミ♭!!! オーケストラの力強い音とともにストレスは一気に吹き飛ぶ!久石譲の他の自作曲「DEAD」を思い浮かべるぎゅっと抑えて演奏されるド,ソ,レ,ファ,シ♭,ミ♭!! もやはり良かった。トランペットの音も途中で追加されたのか、強調されたのか耳に入ってきた。

 

 

Joe Hisaishi:Harp Concerto

エマニュエル・セイソンさんと共に久石譲さんが舞台上に登場する。コンサートマスターとにこやかに握手を交わし、楽譜もなく金色の素敵なハープに近づき椅子に着席するEmmanuelさん。

ハープ協奏曲第1楽章は分散和音が主体だ。初めに演奏されるフレーズがハープを中心に何度も変奏され演奏された。ハープとオーケストラの組み合わせが完璧な曲だった。適度なスピード感があり、適度なメロディ感もあった。リズム的にも楽しめた曲だった。これがMinimal+Rythmの威力か!

第1楽章はかなりパワフルに終わった。第1楽章の終わりと同時に小さな拍手が沸き起こった。個人的にはその拍手はいいサインだと思った。ハープ協奏曲の始まりは良かった!

第1楽章が終わり拍手に向かって軽く礼をした久石譲さんは、再びハンカチを取り出して汗を拭き取る。「頑張ってください、久石譲さん!うまくいっています!」 はい。私の心の声です。

第2楽章。海外で反応が良かった緩徐楽章だ。やはりメロディアスな感じが強く特にハープ演奏にコンサートマスターのヴァイオリン演奏が素敵に乗せられるのも素晴らしかった。

第2楽章が終わりハープのカデンツァが続く。ハープを上下に扱ったりさまざまな奏法が続いた。またカデンツァには韓国の「타령」(taryeong/打令)の感じが少しある民俗的なメロディーもおもむろに演奏された。

カデンツァに続き自然に第3楽章が始まる。かなりスピーディーで激しい曲だった。ものすごいエネルギーだった。ハープのボディを叩く音もした。第3楽章には前で演奏されたカデンツァのフレーズがすべて入っていた。カデンツァで第3楽章の主題を予告するわけだ。

ああ、ハープ協奏曲はすべての楽章が完璧だった!久石譲の最近のミニマル曲の中でVariation 14 for MFBを聴いたとき、Viola Sagaの第2楽章を聴いたとき、あのヒット作の感じがした!ただ違いがあるとすれば、ハープ協奏曲はすべての楽章が完璧だったということだ!この曲は必ずヒットする!

コンサートのパンフレットで注目したのは【交響曲3番そして君たちどう生きるか交響組曲はすでにすべて録音済みで、ハープ協奏曲も東京でライブレコーディング予定】だということだ! 来年にも発売されるだろうが、早く発売されて全世界に知らせるべきだと思った。

 

ハープ協奏曲が終わりEmmanuelさんのソリスト・アンコールが続いた。ドビュッシーの「月の光」だった!本当にコンサートで思い出す素晴らしい瞬間の一つだ。その黄金の輝きとハープの美しい音色··· 涙が自然とにじんだ。

合唱席ではハープのペダルの動きもよく見えたがハーピストのその足技にも驚いた。ハープは本当に難しい楽器だな、それとともに本当に魅力的な楽器だな!

 

 

久石譲のコンサートの醍醐味の一つは、まさに舞台セッティングにある。短い時間にテキパキと舞台をセッティングする方々が現れメインハープをキャリアに乗せてすっと消えた。もっと驚くべきことは、久石譲の指揮台も遠くへさっと片づけられることだった。さらに驚くべきことに、久石譲のメインピアノは合唱席と向き合うようにセットされた。ちょっと待って、ピアノを弾く久石譲の表情が正面にあるじゃない?! この席に座って本当によかった!!!

 

 

Joe Hisaishi:Symphonic Suite The Boy an the Heron for piano and orchestra

久石譲の「Ask me why」演奏で始まる。弦楽器がピアノの演奏を包み込む。続いて「アオサギ」のモチーフが久石譲のピアノで演奏される。

今回の組曲は「君たちはどう生きるか」の異世界で使われた曲が主になったものと見られる。2曲を除いてはピアノがメインで、片手でピアノを弾きながら片手では指揮をする場面が続いたりもした。ピアノのない2曲は立ち上がって素手で指揮した。

一番記憶に残るのは「ワラワラ」という曲だった。不思議な打楽器も使われゴングも使われた。特に独特なサンプリング音はトランペットのマウスピースで表現した。木の打楽器の音は木ではなく鈴と鉄製の打楽器で演奏された。

「大伯父のテーマ」オーケストラの節度が感じられた。そして続く「Ask me why」。最近東京ドームで演奏されたバージョンと全体的な印象は似ていた。映画の場面が次々と思い浮かぶ素敵な交響組曲だった。映像と音楽の力はやはりすごい。

さらに、合唱席からオペラグラスで覗き込んだ楽譜には、「Symphonic Suite The Boy an the Heron」の隣に「Short Ver.」という文字があった。 ロングバージョンを先に作曲して少し切り取ったのかな?ロングバージョンは長さがどのくらいかな?今回録音したのはどっちかな?いろいろと気になることが増えていくばかりだ。

 

 

熱狂的な歓声と拍手が続き、アンコールが続いた。

久石譲さんが登場し、ピアノに向かって手招きし、「演奏しようか?」というイタズラなジェスチャーを見せてはピアノの椅子に着席する!

今回演奏される「Merry-Go-Round」 最初のイントロが聴こえるやいなや観客の嘆声が続いた。さらに今回演奏されたバージョンは、前半部だけが久石譲がピアノを演奏するのではなく、中盤部も演奏する2005年バージョン。貴重なアンコールだった。

今日は90%を超える観客のスタンディングオベーションが起きた。本当に熱狂的な雰囲気だった。そして団員の方々も合唱席の方にも後ろを向いて挨拶しててくれた。こちらにも丁寧に心配りを見てくれてありがとうございます!

 

 

 

続いて22日の公演の番組を見ていこう。

 

少し重複するので主な変化点を中心にレビューする。1日目は久石譲の指揮の正面の姿とピアノ演奏の正面を集中的に観察できる合唱席だったが、2日目は舞台を正面から見る。すべての楽器が一目で見えたりもするが音響的にもとても良い席で鑑賞した。

 

Joe Hisaishi:Metaphysica (Symphony No.3)

やはり素敵な祝典曲になるMetaphysica。前日よりさらにバランスが良くなった。久石譲さんも緊張感が解けたのか、2日目は汗を拭かなかった。(私の応援が効いたか?)

第1楽章はフレーズが重なって複雑な音が作られる時のカタルシスがすごかった。Metaphysicaの初演当時にはホルンを持ち上げる場面があった。第1楽章と第3楽章の最後にホルンを持ち上げる箇所が再現されるだろうか? 関心を持ったが持ち上げなかった。前日の合唱席だから見えないわけではなかった。初演と確かに違う点だ。

 

Joe Hisaishi:Harp Concerto

2日目は舞台を正面から見ていたので、第2楽章を終えたカデンツァの姿をオペラグラスで詳しく見ることができた。ちょっと待って、小さく長くて黒いプラスチックを利用してハープ弦を上下にこすったり、椅子の横に置いた銀箔紙のようなものを利用して弦にあてながらもう一方の手で弦の弾き独特の音を出したりもした。ハープボディを叩く時も最初は右にその次は左に。 向きを変えながらボディを叩いた。

Emmanuelさんは演奏中ずっと微笑んでいて、指揮者の久石譲さんとよくアイコンタクトをした。ハープ協奏曲の曲を心から愛し楽しんでいる感じでテクニックも完璧だった。

2日目は楽章間の拍手がなかった。ハープ協奏曲が終わった後に歓声が続いたが、前日と違ってハーピストのアンコールはなかった。

実は前日のドビュッシーの「月の光」が本当に良かったが、ちょっとすれ違う思いで全曲が久石譲作曲のコンサートでドビュッシーの曲が演奏されるのは玉に瑕だと思ったりもした。一瞬の久石譲ファンとしての小さな心配のようなものだ。とにかく昨日とは違うアンコールにつながるという予想が始まった。

 

Joe Hisaishi:Symphonic Suite The Boy an the Heron for piano and orchestra

最後の「Ask me why」では涙がポロポロと落ちて嗚咽するところだった。とてもうっとりしてその雰囲気に心酔した。

 

 

続く歓声、熱烈な反応!

あれ? 突然ハープが再びキャリアに乗せられて舞台に急いでセッティングされる。

そうして始まったアンコールはOne Summer’s Day。それも久石譲さんのピアノとEmmanuelさんのハープ。デュエットバージョンだった。最初の小節が聞こえるやいなや観客の嘆声が聞こえた。私は口を塞いだ。

One Summer’s Dayのスペシャルバージョンのアンコールは、急に準備されたものではないだろうか?前日の観客の熱い歓声に突然アイデアが浮かんだとか。もしそうなら、ソウルで一日で準備して初めて演奏したことになるだろう。いろいろ感動的だった。ハープの素晴らしいグリッサンドで曲は終わった。

最初のアンコールが終わり、観客のスタンディングオベーションが続いた。続く二番目のアンコールはやはりMerry-Go-Round!やはりイントロが演奏されるやいなや歓声が起こった。今日も中盤も久石譲さんが演奏する完璧なバージョンだった。

大々的なスタンディングオベーションが続いた。観衆の歓呼の声も圧巻だった。本当に爆発的な反応だった。2017年と比べると今回のコンサートは両日ともはるかに圧倒的な熱烈な反応だったようだ。

 

 

終わりに

実は今回のコンサートは久石譲のファンとして心配していた部分もあった。

韓国で久石譲の名前をつけた公演はヒット曲中心のメドレー形式のコンサートだ。人々はそのような形式に慣れていて、近年久石譲が追求するコンサートと大きく違う。韓国にとても久しぶりにいらっしゃるので最近の傾向と人々の認識の距離が相当あった。

実際に今回のコンサートの主なプログラムは30分の大きさでやや現代的で難解と感じられるMetaphysica、そして30分のミニマル作品のハープ協奏曲。

それで私は今回のコンサート計画が知らされるやいなや、いくつかの文章を投稿しながらコンサートの予定曲の性格について大々的に知らせようと努力した。

幸いにもそのブログの閲覧数は相当でしっかり投稿した文章が大きな効果があったのではとも感じた。そのような面でとても嬉しかった。久石譲さんも韓国公演が本当に盛り上がったと思う。その結果One Summers’ Dayのスペシャルなバージョンにも繋がったのではないかとも思う。

今回のコンサートはコンサートパンフレットも韓国語にすべて翻訳されていて、そのような部分で細心の配慮が感じられた。幸い全曲がミニマルで構成されたこの歴史的で重要なコンサートで熱く爆発的な反応が起きた。

コンサートが終わってからも余韻が相当だった。貴重な時間をつくって韓国で公演してくださってありがとうございます。 これからまた会いましょう!

 

公式X(旧ツイッター)に紹介された写真と映像に私の姿が写っていた。夢じゃなかったね。現実だったね。

久石譲のファンの方々と大切な会話もして、FlyingStoneさん(ふらいすとーん)の日本から海を渡ってきた大切なプレゼントも渡された。

私にこんな日も来るんだな、これからも一生懸命生きていかなければならない。そんな凄いエネルギーを与えてもらったコンサートだった。

 

2025年7月25日 tendo

出典:히사이시조 로얄 필하모닉 오케스트라 스페셜 투어 2025 오케스트라 콘서트 인 서울 리뷰 :: TENDOWORK
https://tendowork.tistory.com/93

 

 

 

photos by tendo

 

tendoさんのレポートは真剣さと愛嬌があっていつも楽しいですね。日常的にSNSで投稿や交流もありますが、とにかく視点や考察まで鋭い。なるほどそうかもしれない!と感嘆します。それはこの公演からも見つけることができますね。とりわけ久石譲のミニマルを中心とした自作品においては、日本はもとより世界中を見渡しても最前列にいるファンの一人だろうと思います。もっと会話できたらどれだけ楽しいだろう。でもなにより日本じゃない場所でそんなファンがいてくれて心からうれしい!

さて、tendoさんに教えてもらって、コンサート前に啓蒙活動したブログがこちらです。とても丁寧に久石譲の自作品について紹介されています。もともとtendoさんがミニマルから久石譲音楽に入っているのでそれはもうお墨付きの案内人です。「いい投稿をありがとう」とか「予習できて感謝しています」とか「おかげでもう少し公演が楽しめると思います!ありがとうございます!」といったコメントにも溢れています。

実際に閲覧者は何千人にも及びこのソウル公演を楽しみにしていた多くの人たちが見たと思います。ほんと素晴らしいです。

 

 

tendoさんのサイト「TENDOWORKS」には久石譲カテゴリーがあります。そこに、直近の久石譲CD作品・ライブ配信・公式チャンネル特別配信をレビューしたものがたくさんあります。ぜひご覧ください。

https://tendowork.tistory.com/category/JoeHisaishi/page=1

 

いつもtendoさんのレポートや活動を見ると、自分もがんばろうと思わせてくれます。ありがとうございます。

 

 

 

 

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