Posted on 2015/9/30
9月19日、Web媒体「Music Voice」に久石譲インタビューが掲載されました。
ミニマル・ミュージックについて、最新オリジナル・ソロアルバム『ミニマリズム2』について、最新コンサート「ミュージック・フューチャー Vol.2」について、年末にかけての演奏会予定について。
そんな旬な話題について語られています。
久石譲に聞くミニマル音楽とは、難解か?ポップか?
聴き易さの秘密を解説
ミニマル・ミュージックという音楽がある。最小限の音を、同じパターンで反復させながら少しずつズラしていく音楽の手法で、現代音楽のジャンルのひとつに数えられる。なんだか難しい音楽みたいで、ちょっと近寄り難い雰囲気があるのは否めない。
そんなところへ、数々の映画音楽やCM音楽を世に送り出してきた作曲家の久石譲が“バリバリ”のミニマル・ミュージックのアルバム『ミニマリズム 2』を8月にリリースした。
そうした先入観もあって、恐る恐る久石に話を聞いてみると「あれ? 意外にも難しくない!」。クラシック音楽の要素にプログレッシブ・ロックやジャズ&フュージョンが加わり、さらにリズムやビートが入っていて、とっても聴き易い。何よりもポップで、ドキドキワクワクするような高揚感すら感じる。
アルバムタイトルの「ミニマリズム」という言葉は、ミニマル(Minimal)とリズム(Rhythm)を組み合わせた造語だという。キーワードは「リズム」か?。
久石に尋ねると「小さい音型が何度も繰り返されるだけなので、最初はあれ? と思ってしまうかもしれない。でも、実はリズムを基調にした上で組み立てていますので、ロック音楽にも共通項があって、根はそんなに難しいものではないんですよ(笑)」と聴き易さの秘密を明かしてくれた。
初期の前衛的なミニマル・ミュージックは、ズレを聴かせる、いわゆる難解なものが多かったそうだ。久石は現代音楽といわず、あえて“現代の音楽”と呼ぶ。
「リズムというのは音楽の垣根を崩して、誰にでも理解できるものになるんです。このリズムがあるおかげで、ワクワクするとか躍動感といった感覚が生まれ、“現代の音楽”は垣根を崩して入り易くなる」。
確かに、このアルバムを聴いているとジャンルや垣根といったカテゴライズがどうでもよくなってくるから不思議だ。
「今、僕が作っているのは、何か新しい体験をするための音楽。あ〜面白かったね、と素朴に感じてもらえるような音楽。色々な人に聴いてもらえればと思っています」
久石は昨年より、“未来につながる音楽を紹介する場”として『Music Future』コンサートを主宰しており、第2回の今年は9月24日と25日に東京・よみうり大手町ホールで開催される。
ミニマル・ミュージックの古典から、ポストクラシカルと呼ばれる“現代の音楽”気鋭の作曲家に加え、このコンサートの為に久石は新曲を書き下ろす。まだ世界でも稀な6弦のエレクトリック・ヴァイオリンをフィーチャーした全3楽章から成る大作だ。
「第1楽章は、6弦のエレクトリック・ヴァイオリンでディストーションを利かせた“ロック”。衝撃的な出だしになります!」と新曲の構想に目を輝かせながら話す。
「クラシックをよく知っているとか、ミニマル・ミュージックに詳しいとかは全然関係ない! なんだかわからなかったけど、もの凄く面白かった! と、そういう感覚を味わってもらえるだけで、いいと思います! その体験が、もう一回こういった音楽を聴いてみたいというきっかけになれば嬉しい」。
クラシック系のホールでプラグド・サウンドが響き渡るとは。想像するだけでも楽しそう。
さらに年末に開催される『第九スペシャル -2015-』や、『ジルベスターコンサート2015 in festival hall』では、第九の序曲として演奏される「Orbis~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~」で、新たな楽章を書き加えた完全版を披露する予定だという。こちらもミニマル・ミュージックの手法で書かれ、変拍子を多用しているため演奏者にとっては至難の曲になりそうだ。
公式サイト:Music Voice ミュージックヴォイス 久石譲