Posted on 2013/7/21
7/20公開 スタジオジブリ作品 宮崎駿監督 映画『風立ちぬ』公開に先駆けて、ひと足お先に試写会にて鑑賞してきました。一言で言うと、大人な映画。あまりあらすじや感想は控えるとして。
1920-1930年代、世界恐慌による不景気、政治不信、関東大震災。2010年代、リーマンショックによる世界的不景気、各国での政治不信、東日本大震災。図らずもリンクしているんですね。時代が繰り返されているというか。そういう社会情勢のなか、「今、ファンタジーをつくる時期ではない」と近年言い続けてきたスタジオジブリだけに、すごくリアリズムな映画になっていました。
一人の青年の自伝的なストーリーをもとに時代背景や、そこから未来へ、そういったことをほんと真正面からまじめに描いた作品だと思います。飛行機づくりを通して戦争を美化するわけでも、かたや反対と言ってるわけでもなく、そんな表面的な社会的批判とは一線を画した、主人公の美しい夢を一貫して、その個人の生き方を清く表現している。そんな印象でした。
重くのしかかる鑑賞後の心境もありますが、個人的には「美しい映画」だなと思いました。夢も恋愛も挫折も、真正面から逃げずに対峙した主人公の姿が。この映画を、あの優等生で、子供に大人気で、ファンタジー感あるれる、スタジオジブリが、賛否両論受ける覚悟を決めて、今この時に世に送り出した作品、というところになにかしら尊厳を感じています。同様に夢や希望を与えている作品だとは思いますが、それも観る人次第、夢や希望は自らの意思、ということも痛感させられます。
「生きねば。」この映画のキャッチコピーです。決して、「生きてりゃなんとかなるさ」とは言っていない。なぜ生きねば? どんな未来に対して生きねば? そんなお題を突きつけられたような気がします。あまり触れないといいながら、所感が入りすぎました。それだけ、大人な映画である、と思います。
「あなたの人生や夢に、力を尽くしているか?」そう投げかけられたような気が個人的にはしています。未来へのエネルギーをたくさんもらった映画でした。