Blog. 映画「東京家族」 山田洋次監督×久石譲 スペシャルトークセッション

Posted on 2014/1/21

いよいよ2014年1月25日より、山田洋次監督 最新作「小さいおうち」が公開されます。2013年に公開された山田洋次監督50周年記念作品 映画「東京家族」にて、山田洋次監督との初タッグを果たした久石譲が再び音楽を担当します。2作品続けてとなります。

映画本編も、そして映画公開に合わせて発売される「小さいおうち サウンドトラック」もいまかいまかと楽しみにしているところです。

そんな待ち遠しいなか、ちょうど約1年前に行われた「山田洋次監督×久石譲 スペシャルトークセッション」の公式レポート記事をご紹介します。

 

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この度、映画の公開を記念し、国立音楽大学の学生向けに、映画界・音楽界の第一線を走り続けている山田洋次監督、久石譲さんの2人の巨匠による、初の貴重なトークセッションが開催されました!

また、この日を楽しみに集まった250名の学生からもたくさんの質問も飛び出し、更には、久石譲さんによる『東京家族』のピアノ生演奏が行われるなど映画同様大いに盛り上がりました!

■スペシャルトークセッション概要
【日時】2013年1月25日(金)16:20~
【場所】国立音楽大学新1号館オーケストラスタジオ
【登壇者】山田洋次監督、久石譲
【ゲスト】花崎薫(チェロ演奏)
(愛知県立芸術大学准教授 元新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者)
【司会】津島令子

【スペシャルトークセッション内容】
<ご挨拶>
●山田洋次監督:
音楽大学はあこがれの場所です。
ここでどんな授業が行われているのか、想像するだけで夢のようです。

●久石譲さん:
今日は映像と音楽の話で、授業じゃないから興味深い話が出来ると思うから楽しみにしててね(笑)。

●MC:
映像音楽という世界へ入られたきっかけは?

●久石譲さん:
食べるためですかね(笑)
年間300本以上映画を見ていたので、一番好きな音楽と、大好きな映画の仕事ができるからかな。

●MC:
映像音楽の魅力とは?

●久石譲さん:
思い通りにいかないところですね。今でも思い通りにいかない。

●山田洋次監督:
映画が一番近い芸術は音楽かもしれないですね。演劇なんかよりも映画は音楽に近いのでは?映画音楽の学問が日本にないのが不思議なくらいです。

●MC:
ここで、本日は特別に、生演奏をお聞かせ頂きましょう。

<演奏曲>
・One Summer’s Day (『千と千尋の神隠し』より)
・東京家族 (『東京家族』より)
・Departues (『おくりびと』より)

●MC:
山田監督演奏はいかがだったでしょうか?

●山田洋次監督:
『東京家族』の画面が浮かんできました。私の中では音楽と画面が既に一緒になってしまっているようです。

●MC:
山田監督と久石さんは今回の『東京家族』で初タッグを組まれましたが、どのような感じだったのでしょうか?

●久石譲さん:
映画監督も音楽家も呼吸が合うかが大事ですね。『東京家族』はある意味重くて、素晴らしい作品。個人的にはとてもプレッシャーがありました。

●山田洋次監督:
作曲家と組んでやるのはとても大変。お見合いのようなもので、どういう人と組んでやるかというのはとても気を使う。緊張しました。

●MC:
『東京家族』では監督からはどんな指示があったのでしょうか?

●久石譲さん:
空気のような音楽、雰囲気を邪魔しないような音楽と言われていました。今回はあまりたくさんの音楽を必要としない、芝居を邪魔しないで共存出来る音楽なんだと思いました。

●山田洋次監督:
カメラだけ、演技だけ、音楽だけが素晴らしいというのではなく、映画全体でアンサンブルをつくりあげて、観客の心の中にすーっと吸い込まれていくような作品でなければいけないと思っています。

●久石譲さん:
今回は2時間半ぐらいの映画なんだけど、曲は全部で25分ぐらいしかないんです。いかにうすく書くか、でもやせすぎちゃいけない…そんな色々な工夫をしていくうちに、こんな技があるんだと、3つぐらい新しい技を発見しました。

●山田監督:
今回はいかに雰囲気を邪魔しないような音楽と思っていたのですが、でもオーケストラでないといけないと思いました。節約するととどうしても貧しくなってしまう。

●久石譲さん:
色々なテクノロジーが流行るのはいけど、ダウンロードした音楽などはあくまで情報。情報には感動がありません。映画もやっぱり映画館で見るからこそ感じるものがあると思います。

●山田洋次監督:
安っぽく感じるものは全て情報だけで成り立っている。映画は全てのショットが情感を持っていなくてはいけないと思います。

<この後、学生から山田洋次監督と久石譲さんとの間で、活発な質疑応答が行われ、イベントは大盛況のうちに幕をおろしました。>

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映画界の巨匠と映画音楽の巨匠による、とても興味深い話ばかりです。

そして、上のトークから久石譲本人も語っているように、この山田洋次監督との仕事が、それ以降(2013年以降)の作品に大きく影響してきています。

どのトーク内容かというと、

「空気のような音楽、雰囲気を邪魔しないような音楽と言われていました。~ 」
「いかにうすく書くか、でもやせすぎちゃいけない…そんな色々な工夫をしていくうちに、こんな技があるんだと、3つぐらい新しい技を発見しました。」

このあたりが2013年に携わった他の映画作品などにも影響するきっかけとなっています。宮崎駿監督 映画「風立ちぬ」も監督からの要望もあったのも事実ですが、小編成のオーケストレーションとクラシカルな音楽になっていますし、高畑勲監督 映画「かぐや姫の物語」も、ほぼ山田洋次監督と同じ思考といいますか、高畑勲監督からの要望も同じようなものでした。

「今まではどうしても映画音楽としても主張してしまう自分がいたけれど、その力みがなくなった」といつかのインタビューでも語っています。

 

さて、現在進行形の久石譲音楽に、大きな影響を与えた山田洋次監督と「東京家族」。そこからの進化形である映画「小さいおうち」がいよいよ顔を出すかと思うと楽しみです。

 

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