Blog. 「クラシック プレミアム 21 ~オペラの時代2 序曲・間奏曲集~」(CDマガジン) レビュー

Posted on 2014/10/20

「クラシックプレミアム」第21巻は、オペラの時代2 序曲・間奏曲集 です。

第16巻にて、オペラの時代1 アリア集 が特集されています。アリア集が声に焦点をあてたものであったのに対して、今号ではオーケストラに的を絞り、序曲・間奏曲・前奏曲やバレエ音楽まで、華やかでオペラを盛りたてる絶品のオーケストラ音楽が収録されています。

 

【収録曲】
ロッシーニ:《セビリャの理髪師》 序曲
クラウディオ・アバド指揮
ヨーロッパ室内管弦楽団

ヴェルディ:《椿姫》 第1幕への前奏曲
カルロス・クライバー指揮
バイエルン国立管弦楽団

ヴェルディ:《アイーダ》 第2幕「凱旋の場」より 〈凱旋行進曲と大合唱およびバレエ音楽〉
ニコライ・ギャウロフ(バス)
クラウディオ・アバド指揮
ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団

プッチーニ:《マノン・レスコー》 第3幕間奏曲
マスカーニ:《カヴァレリア・ルスティカーナ》 間奏曲
レオンカヴァッロ:《道化師》 間奏曲
マスネ:《タイス》より 〈瞑想曲〉
オッフェンバック:《ホフマン物語》より 〈舟唄〉 編曲:マニュエル・ロザンタル
ポンキエッリ:《ジョコンダ》より 〈時の踊り〉
ヴォルフ=フェラーリ:《マドンナの宝石》 第3幕間奏曲
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

グリンカ:《ルスランとリュドミラ》 序曲
ミハイル・プレトニョフ指揮
ロシア・ナショナル管弦楽団

 

 

「久石譲の音楽的日乗」第21回は、
視覚と聴覚のズレはどうして起こるのか?

前号からの話つづきになっています。
一部抜粋してご紹介します。

 

「視覚と聴覚から入る情報にはズレが生じる。では何でそういうことが起こるのか?本来映像は光だから音より速い。だとすると映像のほうが先に飛び込んで来るから、音楽を逆に先行させなければ映像にぴったり合うことはない。ところが現実は逆である。」

「そのことに関して養老孟司先生は「おそらくシナプスの数です。意識がどういう形で発生するかわかりませんけど、自分がこういうことを見ているというのと、聞こえてくるのと、脳の神経細胞が伝達して意識が発生するまでの時間が、視覚系と聴覚系とでは違う。だからズレているわけです」と僕との対談本『耳で考える』で語っている。」

「いつも気になることがある。テレビやDVDでクラシックのコンサートを観るとき、特に速いテンポのときなど指揮者の打点とオーケストラの音の出るタイミングが微妙に違うのだ。「まだ点に行き着いてないそこで音は出ないよ」といつも変な感じがするのは音が早く出過ぎているためだ。現場では音声と映像がタイムコードでしっかりシンクロしているはずだが、結果として音が早く感じる。そんなに多くはないが、僕もコンサートのDVDを作るとき、このことが気になってすべてのシーンのタイミングを合わせるために何度も徹夜したことがある。また普通に映画を観ているときでもセリフと映像のタイミング(リップシンク)のズレがとても気になる。このことも視覚と聴覚のズレが関係しているのだろうか?もっとも音声を録る機材と映像を撮る機材の(特にケーブル)問題やそれを家庭で再生するときの装置の問題でズレる場合もある。ブラウン管より液晶のほうが圧倒的に映像は遅れる。僕の家の4Kテレビでは……これは気にならない。何故なら見ている番組のほとんどがアメリカのテレビドラマだから、字幕を見るのに忙しくリップシンクにまで眼が行かない(笑)。まあ普通は気にしないだろうな、こんなこと。」

 

 

その他、ふと耳にした音楽から過去を思い出して胸を熱くすることはあっても、逆に昔の懐かしい場面を思い浮かべて、それから音楽を思い浮かべる人はそういうない、など、なるほどそう言われればそうかもな、と日常生活に置き換えて納得することも多く。

視覚(映像)と聴覚(音楽)のズレ。とても精通している専門家じゃないと気にならないような、視覚と聴覚のズレのようにも思いますが、なるほどそういう感覚なのかと思います。いざコンサートDVDを制作しようとしたときに、こういった点でも水面下の調整、苦労があるとは知りませんでした。

ただ単にLive コンサートで録画したものを編集したらいいわけではないんですね。何十本にも及ぶ録音用マイクで音はバランス調整しているのはわかりますが、映像も十数台のカメラワーク、カット割りの編集のみならず、総合的に視覚(映像)と聴覚(音楽)のズレの微調整まで。

なかなか久石譲コンサートがDVD化されないのは、こういった作曲者・指揮者の繊細な感覚と、やるなら!というこだわりからでしょうか。それでも映像作品として残してほしいことに変わりはないのですが。コンサートはLive感、その臨場感を楽しむものですから。

武道館DVDはこのズレどうなっているんだろう?など、またいろいろと気が散漫してしまいます。いつかゆっくりチェックしてみます。いや、素人よろしく楽しく鑑賞するのが一番いいのかもしれませんね。

 

クラシックプレミアム21 オペラの時代2

 

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