Disc. 麻衣 『麻衣』 

麻衣 『麻衣』

2010年12月15日 CD発売 VICL-63695

 

久石譲の愛娘、麻衣。4際の時に、映画『風の谷のナウシカ』の中で、ナウシカ幼少時の回想シーンで流れる「ラン ラン ララ~」のメロディーを歌っていたのは彼女。その後も久石譲作品やハリーポッター作品などの活動を経て、オリジナルアルバム。久石譲が作曲・編曲を手がけているのは、(3) (9) (10)。

 

本作には収録されていないが、2012年1月からの中部電力CMにて自身が作詞作曲した「Dreamland」という曲が使用されている。中部電力公式サイトにて、同曲フルバージョンをweb限定公開している。

 

2015.4 追記
「Dreamland」は、セカンドミニアルバム『空みあげて』(2015年4月8日発売)に収録された。

 

 

麻衣 『麻衣』

1. 光の朝
2. 大きな木 ~The Giving Tree~ (キョーリン製薬グループCMソング)
3. I will be (日産スカイラインCMソング)
4. きみを守りつづける
5. 永遠の地へ
6. きみにわらい きみになく
7. 大地のはじまり
8. 月と宇宙ひっくり返っても
9. ウルルの唄 (映画「ウルルの森の物語」主題歌)
10. 心のかけら (RPGゲーム「二ノ国」(DS/PS3)主題歌)
11. 空の奇跡
12. Lullaby

「I will be」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「ウルルの唄」
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲

「心のかけら」
作詞:鈴木麻実子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『Joe Hisaishi ANNIVERSARY』 ※非売品 *Unreleased

2010年11月26日 非売品

 

同日開催された「久石譲60歳誕生記念パーティー」にて参加者に贈られた贈答品2枚組記念CDである。久石譲の音楽活動を総括する主要CD作品から1楽曲がセレクトされている。

 

 

ごあいさつ

本日はお忙しい中、
お越しいただきありがとうございました。

気がつけばもうすぐ60、
その歳までに交響曲を書くと決めていたのですが、
道半ば、来年には必ず実現するつもりです。
やっと音楽の中で少し自由になったとは思いますが、
なかなか総てがうまくいくというわけではありません。
2勝1敗の人生を目指して今後も頑張ります。

ここまで来られたのは皆様のご支援があってのこと、
心より感謝致します。
より一層の努力と精進が、
皆様のご支援にお応えできることと考えております。
どうぞ今後とも、よろしくお願い申し上げます。

末筆ながら、皆様のご健康とご多幸を
お祈り申し上げます。

平成22年11月 吉日
久石譲

(CD寄稿より)

 

 

久石譲 アニバーサリー 60 1

DISC 1
1. MKWAJU / 『MKWAJU』 1981/08
2. WONDERCITY / 『INFORMATION』 1982/10
3. DA・MA・SHI・絵 / 『α-BET-CITY』 1985/06
4. 794BDH (マツダ「ファミリア」CFソング) / 『CURVED MUSIC』 1986/09
5. The Wind Forest (映画「となりのトトロ」より) / 『Piano Stories』 1988/07
6. 冬の旅人 (東海テレビ「華の別れ」主題歌」) / 『illusion』 1988/12
7. VIEW OF SILENCE / 『PRETENDER』 1989/09
8. Tasmania Story (映画「タスマニア物語」より) / 『I am』 1991/02
9. TANGO X.T.C. (映画「はるかノスタルジィ」より) / 『My Lost City』 1992/02
10. PROLOGUE ~ DRIFTING IN THE SKY / 『Symphonic Best Selection』 1992/09
11. ぴあの (English Version) (NHK連続テレビ小説「ぴあの」より) / 『地上の楽園』 1994/07
12. I Believe In you / 『Melody Blvd.』 1995/01
13. The Wind of Life / 『PIANO STORIES II ~The Wind of Life~』 1996/10
14. MADNESS / 『WORKS I』 1997/10

 

久石譲 Joe Hisaishi ANNIVERSARY D1

 

DISC 2
1. HANA-BI (映画「HANA-BI」より) / 『NOSTALGIA ~ PIANO STORIES III ~』 1998/10
2. Asian Dream Song (長野パラリンピック冬季競技大会テーマソング) / 『WORKS II』 1999/09
3. KIDS RETURN (映画「KIDS RETURN」より) / 『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』 2000/05
4. Summer (映画「菊次郎の夏」より) / 『ENCORE』 2002/03
5. Quartet Main Theme (映画「Quartet」より) / 『SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001』 2002/07
6. Silence (Short Version) (ダンロップ「VEURO」CFソング) / 『CURVED MUSIC II』 2003/01
7. 夢の星空 (日本テレビ「未来創造堂」オープニングソング) / 『ETUDE ~a Wish to the Moon~』 2003/03
8. Musée imaginaire (Orchestra Ver.) (NHK「世界美術館紀行」テーマソング) / 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』 2003/10
9. Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CFソング) / 『FREEDOM ~ PIANO STORIES 4~』 2005/01
10. Keaton’s 「THE GENERAL」 01. Movement 1 (映画「バスターキートンの大列車強盗」より / 『WORKS III』 2005/07
11. Welcome to Dongmakgol (韓国映画「トンマッコルへようこそ」主題曲) / 『Asian X.T.C.』 2006/10
12. Innocent (映画「天空の城ラピュタ」より) / 『Piano Stories Best ’88-’08』 2008/04
13. Theme of Departures (映画「おくりびと」より) / 『Another Piano Stories ~The End of the World~』 2009/02
14. The End of the World III.Beyond The World / 『Minima_Rhythm』 2009/08
15. One Summer’s Day (映画「千と千尋の神隠し」より) / 『Melodyphony』 2010/10

 

久石譲 Joe Hisaishi ANNIEVERSARY D2

 

Disc. 久石譲 『パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

2010年11月20日 CD発売 MDG-R-00007

 

2010年11月20日より、三鷹の森ジブリ美術館にて公開

三鷹の森ジブリ美術館 ジブリの森のえいが
『パン種とタマゴ姫』 上映時間 11分37秒
原作・脚本・監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

『ラ・フォリア』ヴィヴァルディ / 久石譲 編
指揮:久石譲
演奏:三浦ストリングス
コンサートマスター:三浦章宏

 

同美術館のショップ「マンマユート」でのみの販売されている本作サントラ盤は、ジャケットだけでなく内容も一部異なっており、本盤は最終的に映画で使用された構成で収録されている。録音は2010年10月。

本作のみ、美術館ショップ専売CDとは別に一般市販向けCDが制作された。ヴィヴァルディの「ラ・フォリア」を久石が現代的アプローチで再構築。

 

久石譲 『ラ・フォリア パン種とタマゴ姫 サウンドトラック』

 

 

2021.11 update

liner notes フォリア(ラ・フォリア)とは?/ヴィヴァルディの原曲について/『パン種とタマゴ姫』のスコアについて/楽曲(主題と変奏)解説 (前島秀国)所収

 

 

 

パン種とタマゴ姫 サウンドトラック sc

1. 主題~第1変奏
2. 第2変奏
3. 第3変奏
4. 第4変奏
5. 第5変奏
6. 終曲

レコーディングスタジオ:ビクタースタジオ , Bunkamuraスタジオ

 

La Folía – Mr. Dough and the Egg Princess Soundtrack

1.Theme
2.Variation 1
3.Variation 2
4.Variation 3
5.Variation 4
6.Variation 5
7.Coda

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

2010年11月17日 CD発売 TOCT-27010

 

司馬遼太郎の長編小説を原作とするスペシャルドラマ「坂の上の雲」。日本のテレビ史上これまでにないスケールを目指しNHKが総力を挙げて取り組んでいるスペシャルドラマである。音楽を手掛けるのは日本を代表するコンポーザー久石譲。

本作は「ドラマ第1部」使用曲より第1弾サントラ未収録曲と「ドラマ第2部」のために録音された新曲をまとめて一挙収録した豪華盤。視聴者の皆様からの多くのお問い合わせ・リクエストを頂いた「少年の国」などの楽曲も収録。

壮大なスケール感。希望に満ちた旋律。坂の上の雲に向かってひたすらに歩み続けた明治人の世界が鮮やかによみがえるオリジナル・サウンドトラック。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

生みの苦しみ、生みの喜び

スペシャルドラマ「坂の上の雲」は3年間におよぶ撮影、そして3年に亘る放送と、これまでの規格に収まらない番組だ。この文章を書いている時点で、この番組のプロジェクトを立ち上げてからすでに8年になる。プロジェクトを進行させてゆく面白さと裏腹に、継続させてゆくつらさも常に付きまとう。新しいことに挑戦してゆくときのある種の熱気のようなものをバネに「エイヤッ」と走り出しても、ゴールは遥か先で到底視界には入らず、そして途中棄権も許されないマラソンを走っている感じだ。しかし、短距離走よりマラソンの利点も多く、それだけ準備も撮影も周到にできる。番組をご覧いただいた方には、その質の高さを実感いただけたのではないかと自負している。

このマラソンを走る「面白さ」と「つらさ」を感じているのは私だけではなく、この番組に携わっている全てのスタッフや出演者が感じているのではないかと思う。ご本人に直接聞いたことはないが、音楽を担当していただいている久石譲さんも、同じ感覚を持っているのではないか、と勝手に想像している。

ドラマの第1部はいわば「青春編」だった。日本が国際社会という舞台に初めて立ち、主人公たちがそれぞれの道を歩き始めるというストーリーだった。第2部は「友情編」である。ロシアとの関係が緊張を増し、ついに開戦となるなか、秋山真之の二人の親友、正岡子規と広瀬武夫が壮絶な最期を遂げる。兄の好古はロシアや清国の、本来は対決するはずの人々と親交を結んでゆく。子規や広瀬の死は音楽的にも大きなテーマだし、ロシアを音楽でどう表現するのかなど、久石さんのマラソンコースの上で、難所だったに違いない。

そしてメインテーマだ。ドラマは3部構成であり、しかも3年に亘って放送する。物語は激しく展開し、時代は変わり、見ている人たちも作っている私たちも変わってゆく。ならばメインテーマも変わっていったらどうだろうか。そう思っていたのは私だけではなく、久石さんも同じだったようだ。しかし、英国の歌姫のイメージを踏襲しながら、違和感なく新しいヴァージョンを創り出すのはかなりの難産だった。けれど、森麻季さんの歌声と久石さんの手腕で素晴しい曲に仕上がった。

これがマラソンの面白さかな、と思っている。

2010年11月

NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」
チーフ・プロデューサー 藤澤浩一

(CDライナーノーツより)

 

 

 

『NHKスペシャルドラマ 坂の上の雲』楽曲解説

(1)イントロダクション
(2)語られたこと
(3)Stand Alone
(4)サウンドトラック
(5)組曲
(6)第1部(第一回~第五回)使用楽曲
(7)第2部(第六回~第九回)使用楽曲
(8)第3部(第十回~第十三回)使用楽曲

 

 

 

 

久石譲 『坂の上の雲 オリジナル・サウンドトラック 2 』

第1部:未収録楽曲より
1. 少年の国
2. ガキ大将!真之
3. 奇跡の時
4. 悪ガキ行進曲
5. Stand Alone for Violin & Violoncello
6. 疵
7. 偵察
8. 狼煙
9. 破局の始まり
10. 終の住処
11. 少年の国 for Woodwinds & Strings
12. 広瀬 ~快活な人物~
13. Stand Alone with Piano サラ・ブライトマン×久石譲(Bonus track)

第2部:新録音楽曲より
14. 若き精鋭たち
15. 真之と季子
16. 律 ~愛と悲しみ~
17. 強国ロシア
18. アリアズナ
19. 列強と日本
20. 奸計
21. 慕情
22. 開戦への決意
23. 広瀬の最期
24. Stand Alone 歌/森麻季(ソプラノ)

Total Time:約76分

音楽/久石譲
指揮/久石譲 演奏/東京ニューシティ管弦楽団
指揮/外山雄三 演奏/NHK交響楽団 (第2部メインテーマ:M24)

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano by 久石譲 (M13, M24)

Recorded at NHK CR-506, CR-509, Nemo Studios (M13)
Mixed at NHK CP-604, CR-506, NHK出版宇田川スタジオ (M24), Nemo Studios (M13)

 

Disc. リトルキャロル 『クリスマスコレクション』

2010年11月10日 CD発売 WRCT-1012

 

親子で楽しむクリスマスソング!
リトルキャロル セカンド・アルバム

 

 

久石譲楽曲が二曲収録されている。どちらもカバーとしてセレクトされたもの。

 

 

 

 

Christmas Collection
Little Carol

1.O Come O Come Emmanuel
John Mason Neale/Traditional/arr. 松波千映子
2.Carol of the bells
Traditional/arr. 南安雄
3.Angels we have heard on high~Hark! The Herald angels sing
Charles Wesley & Felix Mendelssohn/Japanese by 由木康/arr. 松波千映子
4.We wish you a Merry Christmas
Traditional/arr. Connor Burrows
5.Gaudete!
Traditional/arr. 藤沢麻衣
6.O Little Town of Bethlehem
Phillips Brooks/Traditional/Japanese by 矢崎節夫/arr. David Willcocks
7.Come Oh Jesus
Traditional
8.Oh Holy Night
海野洋司/Adolphe Adam/arr. 南安雄
9.Deck the hall
Traditional/arr. 南安雄
10.Gabriel’s message
Traditional/arr. 藤沢麻衣
11.God rest ye merry gentlemen
Traditional/arr. 松波千映子
12.Sing Joy!
Traditional/Georg Friedrich Händel/arr. 鵜飼侑起子
13.Sing Noel
Jay Althouse/Georges Bizet/arr. 鵜飼侑起子
14.まきびとひつじを
Traditional/arr. 松波千映子
15.プチパパノエル
藤沢麻衣&河野清香(Little Carol)/Raymond Vinci/arr. よこやまじゅんこ
16.聖フランシスの祈りのうた
Sebastian Temple/arr. よこやまじゅんこ
17.Girl
藤沢麻衣/久石譲/arr. 足本憲治
18.ホワイトナイト
河野清香&小池光子(Little Carol)/久石譲/arr. 松波千映子

 

All Performed & Produced by Little Carol

Recorded at Saitama Arts Theatre Concert Hall
Recording & Mixing Engineer: Toshiyuki Takahashi [Wonder Station]
Assistant Engineer: Atsuo Fujita [F]
Mixed at Wonder Station
Mastering Engineer: Atsuo Fujita [F]

Illustration: Chie Hitotsuyama
Design: Ai Hayashi

Piano: Go Nakajima (M-3,6,7,8,12,13,15,16,17,18)

Production Management: Mai Fujisawa, You Kobayashi, Akiko Suzawa [Wonder City Inc.]

Director: Mai Fujisawa

Technical Derector: Daisuke Mogi [Principal Oboe, NHK SYMPHONY ORCHESTRA]
(M-1,2,3,4,5,9,12,14,16)

Executive Advisor: Joe Hisaishi

Executive Producer: Ayame Fujisawa [Wonder City Inc.]

Thanks to Nobumasa Koyama, Emiko Koyama, all our families and friends

 

Disc. 森高千里 『ペコちゃんの歌』

2010年10月29日 CD発売 TGCS-6408 数量限定

 

不二家創業100周年記念ソング
作詞:麻衣 作曲・編曲:久石譲 歌:森高千里

 

テンポの良いリズムで、子供から大人まで口ずさんでしまう元気なかわいい曲。ウクレレやストリングスに加えて、バンジョー、パーカッション、クイーカが使われている。

CDでは、1曲目:ボーカル 森高千里 2曲目:カラオケバージョンを不二家公式サイトでは、子供たちによる合唱バーションを聴くことができる。

 

このCDは一般のCD販売店での販売はなく、不二家洋菓子店舗、不二家ネットショップ「ファミリータウン」、2010年銀座ペコちゃんミュージアムで数量限定販売された。

 

 

不二家 ペコちゃんの歌 1

不二家 ペコちゃんの歌 2

不二家 ペコちゃんの歌 3

不二家 ペコちゃんの歌 4

不二家 ペコちゃんの歌 5

 

Disc. トロンボーン・クァルテット・ジパング 『EXPO in ZIPANG』

2010年10月27日 CD発売 OVCC-79

 

ジブリ映画の久石譲、吹奏楽の巨匠スパークの両氏による書き下ろし作品を含む ジパング的トロンボーン・クァルテット万国博覧会!!

日本を代表する管楽器アンサンブル、トロンボーン・クァルテット・ジパングの最新アルバムの登場です。今回の注目はなんといっても、日本を代表する作曲家で、ジブリ映画の音楽を担当し、今年はSMAPに楽曲提供し話題となった久石譲が、ジパングのために楽曲を提供しました! 久石らしい美しいメロディとミニマム・ミュージックが融合した大作となりました。このレパートリーの定番となってゆくでしょう。

また、吹奏楽界の巨匠、フィリップ・スパークの書き下ろしも収録。今回はミディアム・テンポの重厚でスパークらしい心地よいハーモニーを堪能できる作品となりました。

その日本とイギリスの作曲家の新作を中心に、フランスのバセット、ポーランドのセロツキ、イタリアのガブリエリ、ドイツのライヒェ、オーストリアのアルブレヒツベルガーと世界のトロンボーン四重奏の作品を集めました。世界各国を代表する楽曲を、トロンボーン・クァルテット・ジパングが見事に奏でます。まさにジパングによる世界万国博覧会!!

トロンボーン・クァルテットによる世界平和のハーモニーが高らかに響きます!

(メーカーインフォメーションより)

 

 

 

久石譲(1950-)
トロンボーンカルテットのための『4つのバガテル』
1:アレグロ・マルチャ・コン・アニマ
2:アレグロ・ヴィヴァーチェ
3:レント
4:アレグロ・コン・ブリオ

「4つのバガテル」は自分にとって、とても大切な作品になりましたが、4つの同じ楽器、それも低い低音のトロンボーンをどう聴かせるのか、実は作品に取り掛かるまでは不安でした。

しかし、ZIPANGのメンバーの方々の、僕の作品の出来上がりをじっくり待ってくださる姿勢と(笑)、彼らの心暖まるサウンドを聴きながら、自分なりに出来るものを作ろうと思ったのです。「バガテル」とは、作曲家がスケッチのように思いつくままに書いたり、手すさびとして書かれたもののことをいいます。そのタイトルのように、僕も、心に浮かぶ風景をできるだけそのまま音にしています。もちろん作曲家として構成など、随所に工夫を凝らしています。

彼らの音を聴くのを一番楽しみに待っているのは、きっと僕です。 (久石譲)

(CDライナーノーツより 久石譲メッセージ)

 

 

宮﨑駿監督によるアニメーション映画をはじめとする一連のフィルム・スコアで数々の受賞歴を誇り、広範な層にファンを獲得している作曲家…などと久石譲を改めて紹介するまでもあるまい。ミュージシャンへの楽曲提供やプロデュース活動のキャリアは国立音楽大学在学中に始まり、彼自身のグループによる演奏活動も恒常的に展開してきた。そのスタートラインといえるのが1970年代に一大潮流をなした”ミニマル・ミュージック”の分析と研究であり、1981年に発表されたファースト・アルバムのコンセプトにも集約的に示されている。当アルバムのために書き下ろされた「4つのバガテル」における反復音形や声部進行の書式には、”ミニマル”の語法を独自の感性を昇華してみせた作曲家の筆の冴えが感じられよう。

久石は2004年から、新日本フィルハーモニー交響楽団が新たにスタートさせた「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」(W.D.O.)の音楽監督の地位にあり、指揮者およびピアニストとして公演を率いてきた。それが契機となってジパングのメンバー(バス・トロンボーンの門脇賀智志が新日本フィル団員)との交流も始まり、この委嘱新作に結びつくこととなったわけである。  (こはた・いっせい)

(CDライナーノーツより 解説)

 

 

 

EXPO in ZIPANG

ノレ:
1. カトル・ア・カトル: 1 Fox-trot
2. カトル・ア・カトル: 2 Ballade
3. カトル・ア・カトル: 3 Blues
4. カトル・ア・カトル: 4 Vif
セロツキ:
5. 組曲 : 1 Intrada
6. 組曲 : 2 Kanon
7. 組曲 : 3 Interludium
8. 組曲 : 4 Choral
9. 組曲 : 5 Intermezzo
10. 組曲 : 6 Arietta
11. 組曲 : 7 Toccatina
バセット:
12. トロンボーン四重奏曲
スパーク:
13. リフレクション
ガブリエリ / ブラウン編
14. ソナタ
ライヒェ:
15. ソナチネ 第3番
アルブレヒツベルガー
16. ドッペルフーガ
久石譲:
17. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 1 Alla marcia con anima
18. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 2 Allegro vivace
19. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 3 Lento
20. トロンボーンカルテットのための「4つのバガテル」 4 Allegro con brio

演奏:トロンボーン・クァルテット・ジパング
メンバー:
吉川 武典(Takenori Yoshikawa)
桑田 晃(Akira Kuwata)
岸良 開城(Haruki Kishira)
門脇 賀智志(Kachishi Kadowaki)

収録:2010年6月7-9日 茨城・小美玉市四季文化館みのーれにて収録

 

Disc. 久石譲 『Melodyphony メロディフォニー ~Best of JOE HISAISHI〜』

久石譲 『メロディフォニー』

2010年10月27日 CD発売
2CD+DVD(初回限定盤A)UMCK-9386
CD+DVD(初回限定盤B)UMCK-9387
CD(通常盤)UMCK-1369
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80

 

一般アンケートで上位に選ばれた楽曲を中心に 「誰もが知っている久石譲メロディー」 を久石譲の指揮・ピアノと世界最高峰のオーケストラ、ロンドン交響楽団の演奏で贈るベストアルバム。

 

 

Joe Hisaishi “Melodyphony” に寄せて

スピーカーからオープニングを飾る「Water Traveller」が流れ出してすぐに僕はその見事なオーケストレーションに唸らされた。以前から映画音楽からCM音楽、自身のアルバム、それにコンサート活動、イベント制作に至るまで驚くべき仕事量をどれも高いクオリティでこなしてきた久石譲は3年ほど前からさらにそのレベルを上げ、創作活動を拡大、かつ加速させている感があるが、聴き進めていくうちに『Melodyphony』と題されたこの新作には久石譲の音楽を創ることの喜びと自信がみなぎっているとはっきりと思った。

収録されているのは映画『水の旅人~侍KIDS』のメインテーマである「Water Traveller」から映画『となりのトトロ』のエンディング曲「My Neighbor TOTORO」まで全9曲。僕はこれまでにも幾度となく、久石譲の手になる曲がまるで魔法のように形を変え、新たな魅力を持った作品になってしまうのをコンサート会場で目撃、またCDでも耳にしてきたが、一般のファンからの投票も受けつけて選ばれた曲は、ロンドン交響楽団という世界最高峰と称賛されているオーケストラと久石譲の完璧ともいえるコラボレーションによって、時空を超えたマジカルな作品になっている。

同じロンドン交響楽団とロンドンのアビー・ロード・スタジオでレコーディングされた『ミニマリズム』が深い森のような、とても入り組んだ構造を持ち、神秘的ともいえる雰囲気を漂わせていたのに対し、この『Melodyphony』はこれまでに本当に多くの人に感動と夢を与えてきた久石メロディが大きな客船や帆船になり、大海原を航海しているような印象を受ける作品。完成したばかりのCDと一緒に手元に届けられたDVDにはロンドン交響楽団とのレコーディング風景とともにインタビューも収録されていたが、「2度目であるということもあって非常にいい協調する関係ができ、去年よりもお互いに理解しあえた。1回目より2回目、2回目より3回目とうまくいってれば、音楽の上でもすごくコミュニケーションがとれる。ほぼ去年と同じメンバーの人たちがマリンバとかすごく難しいところがあるとか、去年と同じとか、デジャ・ヴとか言ってけっこう楽しみながら演奏してたから自分が書いている音楽のスタイルが理解してもらえたっていうのがある」と満足気に話す久石譲のロンドン交響楽団についてのコメントは何故彼が多忙なスケジュールをさいてロンドンまで出かけ、ロンドン交響楽団と一緒にレコーディングするのかの解答にもなっていると思う。

そして「こういうセッションのレコーディングっていうのは、1曲1時間半ぐらいであげていかなきゃならないんですけど、それにしては音符の数とか難易度は非常に高い。でも、そのレベルをこなしてしまうというロンドン交響楽団の奥深さというか、弦はどんな高い所であってもヒリヒリはしてこないし、豊かで下まで響いている音を作ってくれる。それからホルンも含めて難しいものを難しいように演奏するのではなく、音楽的に表現する。やはりこの辺で世界最高峰のオケなんだなとすごく思いました。」というコメント。

このコメントはそのままメロディとシンフォニーという言葉の造語である『Melodyphony』というアルバムの魅力、聴きどころを言い当ててもいる。

「難しいものを難しいように演奏るのではなく、音楽的に表現する」という言葉は作曲家、編曲家、ピアニスト、プロデューサーという肩書きに数年前から指揮者という肩書も加わり、昨年にはクラシックの指揮者デビューまで果たしてしまった久石譲の作り出す作品全てに共通する魅力であり、久石譲がアルバムのレコーディング・エンジニアであるピーター・コービンも口にしていた通り”Special Musician”であることの大きなポイントでもあるが、音楽の構築力ということでは世界でも有数のアーティストではないだろうか。

軽い思いつきや簡単なひらめきなどから生まれた音楽とは全く次元が違う、十分に練り上げられ、精密な作業を続けた結果として高みに位置している久石譲の音楽。この『Melodyphony』制作の動機についても「昨年『ミニマリズム』ってアルバムを作って、長い間の夢だったミニマル・ミュージックが出来上がったんですが、同時に自分がやってきたメロディアスなオーケストラを録りたいと思っていたんです。ミニマリズムは出来たけれど、その作家性の部分と、メロディ・メイカーというか、メロディを作っていく自分というのを両方出したい。それを昨年ここでレコーディングが終わった時から思っていて、年が明けてこれはやはり両方あって自分ではないかという思いがどんどん強くなった。ミニマリズムっていうのはミニマルとリズムという言葉の合成語だったんだけど、今回はメロディとシンフォニックなオーケストラ、メロディとシンフォニー、これが合体することでメロディフォニーっていうアルバムを作る、これで全て自分が表現できる、そう思えた」と話しているが、その思い、発想は完璧かつ理想的な形で1枚のCDに結実している。

「昔の作品はもっと編成が小さかったので、それを今回用に直したりすることと、映像音楽として書いた曲はそのままになっていてコンサート・ピースとしては完成させていないものが多かったので、それを今回まとめて作品として聴けるようにすることを考えた。例えば『坂の上の雲』もものすごい量があるわけですよ。それを11~2分にきっちり作品としてまとめる。あるいは『魔女の宅急便』、個人的には1回もレコーディングしていない。武道館で演ったりはしたけれど、CDとしてはないので、今回きちんと弦とピアノでやるとか、そういうことで今、現在としてのメロディとシンフォニック・オーケストラが一番合体する方法、それを一番気をつけました。ただ選ぶ段階で、インターネットなどでみなさんに投票してもらって、何が聴きたいのか、それも参考にして上位に入っているものはほとんど網羅しましたね」という言葉はそれをはっきりと裏付けているし、今やオーケストラを自由自在に操る才能ということでは、かけがえのない音楽家になっているのではないだろうか。ピーター・コービンが口にしていた”Best musician in the World”という言葉もとても現実味をおびている。

だから、僕は出来る限りの音量でこの『Melodyphony』を聴いて欲しいと思う。20年以上の時を超えて、メロディがシンフォニー・オーケストラと合体した作品群が聴く者にもたらしてくれる高揚感は”良い音楽”の力と永遠性を実感させてくれるし、聴き慣れた曲がまるで魔法のように変化していく様は久石版”ファンタジア”と形容してもいいかも知れない。

僕はこの『Melodyphony』を聴くときに、久石譲がクラシックの指揮者デビューを果たした記念すべきアルバム「JOE HISAISHI CLASSICS 1 ドヴォルザーク 交響曲第9番 《新世界より》/シューベルト 交響曲第7番 《未完成》」のライヴ録音の際に語った「ドヴォルザークはチェコの偉大な作曲家だ。彼は今でいう最も優れたキャッチーな作曲家だろう。スコアを追っていくとよくわかるのだが、とても緻密に、色々なモチーフ(音型)を散りばめ、沢山構築している。ところが、幸か不幸か、あまりにもメロディがキャッチーすぎるため、我々はその裏側に隠された彼の緻密さになかなか気づくことができないのである」という言葉の”ドヴォルザーク”をそのまま”久石譲”に置きかえると、久石ワールドを聴き手に十分に堪能させながら新しいアプローチや様々な仕掛けをしているこのアルバムの”凄さ”がわかることをつけ加えておきたい。「シューベルトの一番わかりやすい天才的な部分は、ハーモニー感覚の凄さだ。普通は、ある調からある調に移るには正当な手続きを踏んで新たなキーに転調するように書くのだが、シューベルトはたった一音で次の調に自然に転調してしまう。これほどの天才は他に見たことがない」という言葉もそこにつながっていく。

そして、もしまだ久石譲の原点ともいえる「MKWAJU」から「自分の中のクラシック音楽に重点を置き、音楽的な意味での、例えば複合的なリズムの組み合わせであるとか、冒頭に出てくる四度、五度の要素をどこまで発展させて音楽的な建築物を作るか、ということを純粋に突き詰めていった。」…と本人が書いている「Sinfonia」、「The End of the World」といった魅力的な作品が収録された『ミニマリズム』をお持ちでない人がいたら、すぐ手に入れて、連続して聴いて欲しいと思う。僕はこの原稿を書くため、以前久石譲も出演してくれたことがある彫刻の森美術館でのコンサートの仕事をするべく箱根に向かう車の中で久しぶりに『ミニマリズム』を聴き、クラクラするくらいの魅惑的空間に連れていかれたが、ラストの「DA・MA・SHI・絵」が終わってすぐに流れ始めた「Water Traveller」を聴いた時に、この2枚のアルバムは完全に一対のものであることがよくわかった。

その音楽性の幅広さと完成度の高さ。僕は今回の『Melodyphony』を初めて聴いた時、一体この人はどこまで飛翔していくのだろうかと思わされたが、「サントリー 1万人の第九」の25周年記念序曲として2007年に作曲された「Orbis」はメロディとシンフォニー・オーケストラの合体に、さらに現代音楽の要素が大胆に盛り込まれた久石譲ならではの作品に仕上がっていることも最後につけ加えておきたい。

『ミニマリズム』にも参加していたロンドンでは由緒ある合唱団、London Voicesとパイプオルガンを加えて出来上がった華やかな祝典序曲。ラテン語の”Orbis”には”環”や”輪”などの意味もあり、本人は生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となるようなイメージで作ったようだが、それはミニマル・ミュージックに対する久石譲の思いそのものでもあり、もし図形で表すとすると、この曲が『ミニマリズム』をつなぐポイントになると思う。

久石譲自身が『Melodyphony』の核になっていると感じているというのも納得できる。DVDの中で久石譲は「ひとつひとつの仕事を区切りにしながら挑戦して解消し、次のことを考えていく…」という言葉も口にしていたが、『Melodyphony』はその姿勢が見事に反映したアルバムであり、これからもその歩みは決して止まることがないだろう。その歩みを追いかけることは今や僕の楽しみになっている。

2010年夏 箱根にて 立川直樹

(CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

『ミニマリズム』 『メロディフォニー』 久石譲インタビュー内容(Web/DVD収録)

音楽業界では、世界で最高峰の機材を英国人たちが作っているんですよ。「ロード・オブ・ザ・リング」も「ハリー・ポッター」も、サウンド・トラックはロンドンで録音していますよね。ハリウッド映画だって、一番大事な音楽はほとんどロンドンで録ってるんですよ。すると、やはりここは世界で一番良い音楽環境ということになる。ロンドンでのレコーディングを続けていると、そのレベルを絶えず意識させられます。

ロンドン交響楽団とは、15年くらい前に、「水の旅人 -侍KIDS」という映画のテーマ音楽を録ったんですね。また昨年には、前作となる「ミニマリズム」の録音も行いました。日本以外で音楽を表現できる場として、ロンドンでの活動がまた復活したというのがうれしいですね。

私には、大きな夢が2つありました。一つは、芸術家としての自分が追い求める、ミニマル・ミュージックをテーマとしたアルバムを完成させること。この目標は、昨年の時点で「ミニマリズム」というアルバムを完成させることで実現しました。ただそれだけではなくてもう一つ、これもやはり自分が長年続けてきた映画音楽やテレビ・ドラマのサウンド・トラックに代表されるメロディアスな音楽を、オーケストラを使って録りたいと去年からずっと思っていたんですよ。つまり、作家としての自分と、メロディー・メーカーとしての自分の両方を生かしたいというか。去年の「ミニマリズム」の録音時に書いていたノートを引っくり返してみると、両方の種類の音楽についてのメモを残しているんですね。年が明けて考えてみて、やはりこれは両方あってこそ自分の姿ではないか、と強く思うようになって。「ミニマリズム」と「メロディフォニー」の2つを持って、自分をすべて表現できるという気持ちです。

レコーディングでこちらに来る直前まで編曲作業などを行っていたので、ピアノを触る時間が1日に1時間もなかったんですよ。ピアノは間違いなく練習量が比例してくる楽器ですから。通常だと1日7、8時間は練習するのに、今回は1時間くらいしかできなかった。

3日間にわたってオーケストラとのレコーディングがあり、その後に迎えたピアノ演奏の収録の日は、朝から別の録音作業を始めて、午後は50人くらいのコーラスを指揮して、疲労もピーク。それからピアノの演奏をするのは少し厳しいんじゃないかと思っていたんですが、その中でも実は起きていたんで。限界を超えているときは、変に休まない。確か夜中に4時間くらいぶっ通しでピアノを弾いてました。疲れているときは、ピークを超したらひたすら集中する。休まずにもうひたすらそこに向かったのが、良い結果になったのではないかと思いますね。

もっと完成されたものを考えたい、もっとレベルの高いものをという思いはいつも根底にはあるのですが、結局はディテールの積み重ねなんですよ。一つひとつの仕事を区切りにしながら、一個一個調整をしていく。指揮者としてもきちんとしたものができるようになりたい。もちろん作曲家としても。そういうようなことを僕は考えちゃいますね。

Blog. 久石譲 「ミニマリズム」「メロディフォニー」 Webインタビュー内容

 

 

 

【楽曲解説】

1. Water Traveller
1993年、大林宣彦監督の映画『水の旅人 ~侍KIDS』よりメインテーマ。身長約17センチの水の精霊と主人公の少年の交流を描いた末谷真澄原作の『雨の旅人』を映画化したSFXファンタジー映画。サウンドトラック収録も、ロンドン交響楽団の演奏で行った。当時のオリジナル楽譜のホルン6本の編成を甦らせ、壮大な世界観が見事再現されている。

2. Oriental Wind
2004年より放映中のサントリー緑茶・京都福寿園「伊右衛門」CM曲。今やお茶の間でお馴染みとなった美しい旋律は、黄河のようなアジアの大河の悠々とした流れをイメージしてつくられた。朗々とした格調高い優雅なメロディの裏では、繊細なリズムや激しいパッセージの複雑な内声部が繰り広げられ、より深い味わいを加えている。

3. Kiki’s Delivery Service
1989年、宮崎駿監督の映画『魔女の宅急便』より。「海の見える街」を本アルバムのために、ピアノとヴァイオリン、弦楽オーケストラを主体に書き下ろした楽曲。愛くるしさいっぱいの軽やかなリズムと可憐なメロディ、中間部の大人びたジャジーな曲調は、大人へと成長をとげる魔女の子・キキのように、様々な表情を魅せてくれる。

4. Saka No Ue No Kumo
NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より。司馬遼太郎の同名長編小説をもとに映像化され、2009年より足掛け3年間にわたり放映。明治時代の過渡期を生きた人々を描く壮大なスケールの物語。重厚なオーケストレーションは日本の五音階と西洋のモダンな音階を融合させ、独自の世界観を引き出している。”凛として立つ”美しき姿をイメージしたというメインテーマ「Stand Alone」を含む、「時代の風」「蹉跌」「戦争の悲劇」の4つのテーマを組曲形式で再構築した。

5. Departures
2008年、米国アカデミー賞外国語映画賞に輝いた滝田洋二郎監督作品、映画『おくりびと』のサウンドトラックより、メインテーマを含む複数の主要テーマを組曲として書き直した。元チェリストの主人公が納棺師になる設定から、チェロをメインに据える楽曲の構想が練られた。楽器の特性を最大限に活かしたメロディは、時には優しく、時には激しく、時折コミカルさも覗かせながら、心の揺れ動きを表現している。

6. Summer
1999年に公開された北野武監督の映画『菊次郎の夏』より、メインテーマ「Summer」。軽快な弦のピッツィカートからはじまる冒頭部と、中間部の美しいピアノの旋律が印象的な楽曲は、ひと夏の冒険を描いた映画の世界を爽やかにうたいあげている。トヨタ「カローラ」のCMでも起用された楽曲。

7. Orbis
「サントリー 1万人の第九」の25周年記念委嘱曲として2007年制作。初演時には、大阪城ホールとサントリーホールとを衛星中継で同時演奏し話題を呼んだ。パイプオルガンとオーケストラ、1万人の合唱から成る華やかな祝典序曲を、フルオーケストラ用に書き直した。散文的なキーワードを組み込んだ歌詞を世界有数の合唱団London Voicesが歌う。生命の起源となる水の小さな水泡が繋がって、やがて大きな環となる…。Orbisとはラテン語で「環」「輪」などの意。

/////////////////////////////////////
「Orbis」 ~混声合唱、オルガンとオーケストラのための~
曲名はラテン語で”環”や”繋がり”を意味します。2007年の「サントリー1万人の第九」のために作曲した序曲で、サントリーホールのパイプオルガンと大阪城ホールを二元中継で”繋ぐ”という発想から生まれました。祝典序曲的な華やかな性格と、水面に落ちた水滴が波紋の”環”を広げていくようなイメージを意識しながら作曲しています。歌詞に関しては、ベートーヴェンの《第九》と同じように、いくつかのキーワードとなる言葉を配置し、その言葉の持つアクセントが音楽的要素として器楽の中でどこまで利用できるか、という点に比重を置きました。”声楽曲”のように歌詞の意味内容を深く追求していく音楽とは異なります。言葉として選んだ「レティーシア/歓喜」や「パラディウス/天国」といったラテン語は、結果的にベートーヴェンが《第九》のために選んだ歌詞と近い内容になっていますね。作曲の発想としては、音楽をフレーズごとに組み立てていくのではなく、拍が1拍ずつズレていくミニマル・ミュージックの手法を用いているので、演奏が大変難しい作品です。

「Orbis」ラテン語のキーワード

・Orbis = 環 ・Laetitia = 喜び ・Anima = 魂 ・Sonus, Sonitus =音 ・Paradisus = 天国
・Jubilatio = 歓喜 ・Sol = 太陽 ・Rosa = 薔薇 ・Aqua = 水 ・Caritas, Fraternitatis = 兄弟愛
・Mundus = 世界 ・Victoria = 勝利 ・Amicus = 友人

Blog. 「久石譲 第九スペシャル」 コンサート・プログラムより
/////////////////////////////////////

8. One Summer’s Day
2001年公開、宮崎駿監督の映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」。神々の住まう不思議な世界に迷い込んでしまった10歳の少女・千尋が、湯屋「油屋」で下働きしながら次第に生きる力を取り戻していく物語。郷愁をかきたてる美しいメロディと、ピアノをフィーチャーした繊細なオーケストレーションは秀逸。

9. My Neighbour TOTORO
1988年の宮崎駿監督作品、映画『となりのトトロ』より、エンディングテーマ曲「となりのトトロ」。父親とともに郊外に引っ越してきたサツキとメイの幼い姉妹が、森で不思議な生き物・トトロと出会う。心躍るファンタジーの要素をふんだんに取り入れたアレンジとシンプルなメロディは、久石譲の代表作の一つ。

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

【補足】
DVD収録内容について

本作品より選ばれた楽曲のレコーディング映像を編集したものである。またドキュメンタリーなどとは違い、レコーディング映像中心で楽曲も省略されたり途中で終わることなく一曲通して聴くことができるのもありがたい。CDと同じように音楽だけが響いている。CD同様に楽曲を楽しみ、かつパートごとに映し出される楽器や奏者を映像で楽しむことによって、臨場感や緊張感が伝わりより深く作品を味わうことができる。

インタビューに関しては本作品ライナーノーツでの楽曲解説や久石譲インタビューと重複内容も多く、言葉として文章として参考にされたい。

また久石譲インタビューの前に、レコーディング・エンジニアであるピーター・コービンのインタビューも収められている。ここではその内容を一部抜粋して紹介する。海外からみた久石譲、世界屈指の一流音楽家たちからみた久石譲を垣間見ることができる貴重な証言である。

 

「彼は完成された音楽家です。作曲家としてももちろん尊敬していますし、オーケストラにとっては、実際に作曲する指揮者と共に演奏する事が最も幸せな事なのです。言語の違いはあるけれど、コミュニケーションも問題なく、オーケストラの中でも尊敬されています。自分の音楽を誰よりも把握しているし、具体的な指揮をしているからです。リズムとメロディーを通じて、明確な指揮をしていると感じます。」

「去年収録した『ミニマリズム』と今回のアルバムの違いは、前回はリズムが特徴的でしたが、今回のアルバムではメロディーが中心になっています。楽曲から映像が想像できる美しいメロディーが存在しています。映像的なメロディーは、彼の卓越した感性と技術から成るものです。メロディーとリズムを絶妙に組み合わせるのが上手いのです。」

(ピーター・コービン DVD収録インタビューより 書き起こし)

 

 

「つくり終わって大変満足しています。やっとこれでトータルな自分の音楽が完成したなと。なぜかと言うと去年『ミニマリズム』という作家性の強い作品をつくって。その制作中から今回のようなエンタテインメントのメロディー中心の曲をオーケストラで録りたいと思っていたんです。だから2年がかりでひとつのコンセプトが完成したという感じ。自分の持っている内生的な部分と外に向かって人を楽しませたいという部分。その両面をこれで表現できたなと思います。やはりどちらかだけではダメなんですよね。」

「それはですね、映像の仕事の場合、基本的には監督にインスパイアされて、すごく一所懸命曲を書くわけです。ところがやはり映像の制約というものもある。『このシーンは3分です』だとか。だから映像の中のドラマ性に合わせなくてはいけなくて。映像と音楽合わせて100パーセント、もしくは音楽がちょっと足りないくらいがいいときもある。そこから解放されて音楽自体で表現、音楽だけで100に。つまり本来曲がもっている力を音楽的にすべて表現できる。そこが今作なんです。」

Blog. 「週刊アスキー 2010年11月9日号」「メロディフォニー」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「サビの部分で日本のオーケストラは『トトロ…』と歌を知っているので楽譜の音符ではなく、言葉のリズムで弾くんですが、LSOは譜面に忠実に演奏するので、イントネーションが違ってきたんです」

Blog. 「モーストリー・クラシック 2010年12月号 vol.163」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「昨年、ストイックに現代音楽を追求した「ミニマリズム」という作品を作って長年の夢をかなえた。でも、実はその時から対になるメロディーを重視したアルバムを出したいという構想があったんだ。「ミニマリズム」に続いてロンドン交響楽団に演奏してもらったのは、「となりのトトロ」など、僕の曲をほとんど聴いたことがないであろうオーケストラが演奏するとどうなるか興味があったんだ。結果はとても面白いことになった。「トットロ トットーロ」というフレーズも、彼らは元の歌を知らないのであくまでシンフォニーを支えるモチーフの一つとして捉えて演奏していたんだ。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲が全曲を編曲、監修した作曲家自身によるオフィシャルスコア。久石の映画音楽の楽譜がオーケストラ・スコアの形で公表されることは、これまでほとんどありませんでした。久石サウンドの秘密を探る絶好の楽譜となっています。

 

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9079/80
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『メロディフォニー』

1. Water Traveller (映画『水の旅人』メインテーマ)
2. Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CM)
3. Kiki’s Delivery Service (映画『魔女の宅急便』より「海の見える街」)
4. Saka No Ue No Kumo (NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』より)
5. Departures (映画『おくりびと』より)
6. Summer (映画『菊次郎の夏』メインテーマ / トヨタ・カローラCM)
7. Orbis (サントリー「1万人の第九」25回記念序曲 委嘱作品)
8. One Summer’s Day (映画『千と千尋の神隠し』より「あの夏へ」)
9. My Neighbor TOTORO (映画『となりのトトロ』より「となりのトトロ」)

指揮・ピアノ:久石譲
演奏:ロンドン交響楽団 London Symphony Orchestra
コーラス:ロンドン・ヴォイシズ London Voices 7.

録音:アビーロード・スタジオ(ロンドン・イギリス)

 

初回限定盤
レコーディング映像とインタビューを収録したDVD付豪華デジパック仕様

《初回限定盤DVD》 (メロディフォニー映像)
Melodyphony Recording Video
・Departures
・One Summer’s Day
・Kiki’s Delivery Service
・Interview

 

【初回限定盤A】
CD2+DVD
CD ~「Melodyphony」 / 「Minima_Rhythm」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ
スペシャル・ブックレット

【初回限定盤B】
CD+DVD
CD ~「Melodyphony」
DVD ~「Melodyphony映像」「Minima_Rhythm映像」
※「Minima_Rhythm」CDおよびDVD内容は同作品初回限定盤に同じ

【通常版】
CD
CD ~「Melodyphony」

 

Disc. 久石譲 『悪人 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『悪人 オリジナル・サウンドトラック』

2010年9月1日 CD発売 SRCL-7360

 

2010年公開映画「悪人」
原作/吉田修一 監督/李相日 出演/妻夫木聡 深津絵里 他

 

 

INTERVIEW

事前に手の内を明かさないように、
ニュートラルな位置から映画を推進していきたかった。

-久石さんの音楽が、映画を観る手助けをしてくれていると感じました。特に、祐一に対して。なぜか、やさしい気持ちで祐一を見つめていられる。でも、簡単に救いを与えているわけではなくて。負担を軽減してくれるというか、高度な音楽作用だと思いました。

久石:
祐一は殺人者だけど、誰もがなりえてしまう。若くて、思い通りに生きられない、大勢いる人たちのなかのひとりでもある、でも、それを音楽が肯定してもいけない。やっぱり罪を犯しているわけですから。距離はとる。けれども、彼が持っている孤独感や共感できる部分は、この映画のメインテーマになるだろうと思いました。あまり饒舌にもならず、たえず揺れる祐一の気持ちとシンクロしていくために、同じ音階を繰り返すミニマルな曲調を選びました。

-映画と音楽の距離感が絶妙です。

久石:
気持ちを煽ってしまうと、すごく安っぽくなってしまうから。あと、難しかったのが、この映画は後半、群像劇になる。房枝にしても、佳男にしても、それぞれがシチュエーションのなかで自分を乗り越えていく。一方、(祐一と光代の)ふたりの主人公は、逃避行がはじまってから、ドラマがなくなる。でも、最後には、祐一のテーマをメインにした、少しメロディアスなふたりの愛のほうに焦点を絞っていったほうが結果、観る側はこの映画にストレートに入れる。あの夕陽を見て終わっていく瞬間に、「これはふたりのラブストーリーだったんだ」ということが明確になってくれれば、観やすくなるんじゃないかと。そこに神経を使いました。

-だから、あのラストが効くのだと思います。

久石:
ラストの曲は、救い、じゃないんです。レクイエムでもない。ある種の救済的なぬくもりはある-でも、あったかいわけじゃない-それがあることで音楽的な構造は非常に明確になるんじゃないかと思いました。

-あのラストが、いわば「到着」の感慨をもたらすのは、序盤で流れる音楽が、それこそ山道の急カーブを祐一が駆る車の走りのように、どこに連れて行かれるかわからない、あらゆる「予感」だけが乱れ絡み合うドライブ、つまり多様なファクターの集積になっているからだと思います。

久石:
ある種のサスペンス。どうなっていくの? というニュアンスは絶対必要。でも、メロディアスに「これはラブロマンスですよ」と伝えるのもまったくの嘘。悲劇性が強すぎても駄目。つまり、事前に手の内を明かすような真似をしたらいけない。たえず、何かが繰り返されている。気持ちが増幅されていくかもしれないし、不安も増強されていくかもしれない。どちらにもいない、ニュートラルな位置から映画を推進していきたかったんです。

-あの雑多な「予感」は、全体に流れていますね。

久石:
李(相日)監督も(あの曲を)すごく気に入ってくれて。結果、今回は、ギリギリまで無駄をはぶいた構成になりました。

-徹底された?

久石:
そうですね。日本映画でここまで(曲のトーンを)抑えて作ったのは久しぶりですね。自分としても、「いつもだったら、こうしてしまうな」というところも全部、抑えて抑えて作った。結果的に、いままでやったことのないかたちにチャレンジができました。たいていの場合、音楽は、ある部分の感情だけを刺激するのはものすごく得意。でも、(それが何か)はっきりとは言わないで、押し上げていくようなことは難しい。音楽はどうしても、色を決めてしまうのが速い。でも今回はそこを極力避けるようにしましたね。あとは、音楽が映像と共存しつつも、映像から一歩退いたところで支えていく。たぶん、映像と音楽が(ドンピシャと)ハマってる箇所は一個もない。唯一の笑顔であるラストカットへのアプローチもやはりそうです。

-音楽そのものの可能性を追求された結果、日本映画というより世界映画と呼ぶべき作品が完成したと思います。

久石:
最も重要なのはクリエイティヴィティ。とにかく徹底的に「ほんもの」を作る。それだけです。我々はもっと危機感を持つべき。たえず挑戦するべき。この映画は間違いなく、世界に向かって放つことができるレベルの作品になったと思います。

-最後に。『悪人』というタイトルをどう捉えましたか。

久石:
人間。そう解釈しました。

(取材・文/相田冬二)

Blog. 映画『悪人』(2010) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより

 

 

 

映画『悪人』の音楽制作の模様を少しだけお届けします。2月末におこなった音楽打ち合わせの内容をもとに、2週間足らずで全曲ラフスケッチを書き終えた久石は、2回目の音楽打ち合わせに臨みました。しかし、そこで重大な問題に直面することになります。久石と、監督、そしてプロデューサー、三者の音楽に対する考え、イメージ、音楽のつける対象の方向性が微妙に違うのです。また、ラフスケッチをシンセサイザーでラフに創りこんだものを元に話し合いを進める方法をとったので、そのシンセサイザーの音源から、オーケストラで演奏しているものを想像するのが難しかったらしく、また、それが方向性のずれへと発展してしまったように今考えれば思えます。

いずれにせよ、この打ち合わせの翌日から、監督が毎日久石の元へ通うという、今までにおそらくなかった事態になりました。打ち合わせの次の日から久石、監督は久石のプリプロルームに揃ってこもり、久石がラフの音楽を書き、その音楽を予定の映像箇所にあててみて、それを監督と二人でその場で話し合い、また久石が微修正をかけ、仕上げる。監督は決して口数の多い方ではないのですが、ピンポイントで要望をいう、それに久石が応える。または、監督の要望とはさらに違ったアプローチで結果、監督の要望に応える。などというやり取りが、時間のなか張りつめた状況の中続きます。久石はもちろんのこと、監督も絶対妥協はしないので、双方納得、というところにたどり着くまでとてつもない時間と労力がかかります。そのような作業が連日深夜まで繰り返されました。

また、そのようなやりとりはレコーディング後も状況は変わらず続き、トラックダウンの微修正、主題歌のアレンジの方向性、主題歌の歌手選定など全てのことが紆余曲折。気がつけば通常の倍くらいの労力をかける結果となりました。

5月8日、最後のレコーディング及びトラックダウンが都内某スタジオで行われました。今回は、久石が描き下ろした主題歌「Your Story」を歌っていただくことになった福原美穂さんの歌入れと、そのトラックダウン。実は、この『悪人』プロジェクトでのトラックダウンはこれで3回目、ちなみに最初のレコーディングは3月16日に行われています。音楽打ち合わせのときから、完成まで相当難航することがおおよそ予測はできたのですが、久石の作曲、アレンジ期間を入れると、およそ3ヶ月。早いときは、映画1本の音楽を作曲からトラックダウンまでだいたい一月くらいでこなしてしまう久石にしては珍しいくらい、長期間を要したプロジェクトとなりました。

しかし、久石、監督共々、信念にもとづき最大限の労力を結集したため、時間がかかったわけで、映画(我々としては特に音楽)の出来は、前回作品『ウルルの森の物語』とは全く違う世界観で、とてもすばらしいものとなっています。二人の天才が、妥協することなく作り上げたことを考えると当たり前と言えば当たり前なのですが、本当にみごとな仕上がりになっています。

(映画『悪人』制作レポート ファンクラブ会報 JOE CLUB vol.13 2010.06 より)

 

 

 

今までの映画音楽とは違った新しい印象を受ける。壮大ともメロディアスともミニマルとも違う佇まい。もちろんそれらの要素がないわけではないが、そのどれもが全面には出ておらず主張していない。

楽器にしても、オーケストラやピアノに加えて、アコースティックギターや、少しシンセサイザーも使わている。おそらく製作過程で通常では稀なほど監督と密にコミュニケーションを図り、シーンごとの音楽や楽器まで監督と意見交換しながら作り上げられたからゆえだろう。

物悲しい音楽が並ぶようだが、ある種人間の深い感情から祈りまで、アンビエントのような感情の揺れを巧みに表現している。(16)の主題歌は福原美穂が担当。英語歌詞。(13)では同曲のヴォカリーズ・ヴァージョンとなっているがこれが名曲。ボーカルとアンビエントなシンセサイザー伴奏のみの包み込むような音楽。まさに祈りの曲、一寸の光が射しこむような希望の曲。

(6)ではこの主題歌をモチーフにアコースティックギターやチェロがメロディーを静かに奏でている。またもうひとつの主要テーマ曲といえる(1) (4) (11) (15)などでは、ピアノの儚くも静かなメロディーが流れるように響いている。

奥深く切ない音楽、深い感動をおぼえる。自身の映画音楽としても新境地を開拓したとも言える秀逸な作品。

別のCD作品「The Best of Cinema Music」では、『(11)Villain (映画『悪人』より)』が、フルオーケストラでのライブ音源で、約11分に及ぶ組曲として映画のストーリー展開に沿って構成されている。

 

 

 

久石譲 『悪人 オリジナル・サウンドトラック』

1.深更
2.焦燥
3.哀切
4.黎明
5.夢幻
6.彷徨
7.悪見
8.昏沈
9.侮蔑
10.何故
11.彼方
12.追憶
13.Your Story ~Vocalise~ (久石譲 × 福原美穂)
14.再生
15.黄昏
16.Your Story (久石譲 × 福原美穂)

All Music and Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Conducted by Joe Hisaishi
Performed by Tokyo New City Orchestra
Performed by Shinozaki Strings (M-13,16)
A.Guitar:Masayoshi FUrukawa
Piano:Ichiro Nagata (M-13,16)

Recorded at Sound City, Bunkamura Studio
Mixed at azabu-O Studio, Bunkamura Studio

 

Akunin

1.Shinkou
2.Shousou
3.Aisetsu
4.Reimei
5.Mugen
6.Houkou
7.Akken
8.Konchin
9.Bubetsu
10.Naze
11.Kanata
12.Tsuioku
13.Your Story – Vocalise –
14.Saissei
15.Tasogare
16.Your Story

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

2010年9月1日 CD発売 WRCT-2002

 

久石譲「クラシックス・シリーズ」第2弾

久石譲指揮 クラシックでありながら新しい!
作曲家ならではの”血の共感”なくしてはあり得ない
伝統にとらわれない新たなクラシックがここに生まれる…

 

 

久石さんのブラームスとモーツァルトの指揮に寄せて

昨年2009年の夏、シュトックハウゼン作曲「グルッペン」の演奏会場で久石さんの姿をお見かけした時は、本当にびっくりした。3群のオーケストラと3人の指揮者が同時に演奏する「グルッペン」は、いわば独墺系オーケストラ音楽の極北に位置するような作品で、欧米でも滅多に演奏されない。驚くべきことに、久石さんは35年前の「グルッペン」日本初演にも足を運んでいたのだった。かつてシュトックハウゼンをはじめとする現代音楽の先人たちと真剣に格闘し、今もなお、その情熱を保ち続けている”永遠の音楽学生”の興奮が、久石さんの表情から伝わってきた。

本盤に収録されたブラームス「交響曲第1番」の久石さんの指揮には、”ブラームスの先人との格闘”が、これ以上望むべくもない明瞭な姿で刻みこまれている。その”先人”とは、久石さん自身の楽曲解説にもあるようにベートーヴェンだ。ブラームスの第1楽章主部全体を貫く「タタタ」あるいは「タタタ・ター」という三連のリズム。これがベートーヴェンの「運命」の有名なリズムに由来することは言うまでもない。それを実証するため、久石さんはブラームスの代名詞というべき濃厚なロマンティシズムからやや距離を置き、ブラームスがスコアの中に散りばめた運命リズムを、ひとつの洩れもなく丁寧に叩いていく。ブラームスの演奏で、これほど運命リズムを強調した解釈も珍しい。その結果、ブラームスがいかにベートーヴェン流の作曲原理を咀嚼し、それを自らの養分としていったか、その格闘のドラマがヴィヴィッドに伝わってくる。こういう解釈は、作曲家ならではの”血の共感”なくしては不可能だろう。

モーツァルト「交響曲第40番」の演奏も、最初の一音から久石さんのコンセプトは明瞭だ。つまり、バス(低音)声部と内声部の強調である。モーツァルトが得意としたポリフォニー音楽は、西洋音楽の調性と和声進行の原理を最大限に利用したものだった。その土台となるのが、言うまでもなく和音の構成音である。それをしっかり認識しなくては、モーツァルトの本当の凄さがわからない。だから久石さんは、一点の曇りもなく、バス声部と内声部を堂々と鳴らしていく。「第40番」が、これほど巨大な建築物のように聞こえたことは、久しくなかったのではあるまいか。

かつてシュトックハウゼンがモーツァルトを演奏し、ブラームスがベートーヴェンの作曲技法を嘆賞したように、作曲家たちは常に先人たちの仕事を振り返り、自らの音楽を豊かにしていく新古典主義(ネオ・クラシシズム)の運動を繰り返してきた。久石さんも、実はそうした作曲家のひとりに他ならない。2009年に久石さんが初演した「シンフォニア~弦楽オーケストラのための~」の明快この上ない形式感は、明らかに久石さんの新古典主義的関心を示すものであった。そして今、久石さんは指揮者として、先人たちの偉大なクラシック作品と格闘する、壮大な”ネオ・クラシック”の冒険を始めようとしている。

前島秀国(サウンド&ヴィジュアル・ライター)

(CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68

ブラームスはまさに地上の音楽である。例え天地創造を謳ったとしても、この北ドイツのハンブルクで生まれた天才の音楽には、悩み苦しみ希望に向かって生きていく、地に足をつけた人間の姿がそこにある。だからこそ人はその音楽に共感し感動するのではないだろうか。

交響曲第1番は構想から完成まで20年近い歳月を要した。1855年にシューマンの《マンフレッド》序曲を聴いて若きブラームスは大きな感銘を受け、自らも交響曲の構想を練りはじめた。ところが、第1楽章の原型が完成をみたのは1986年の夏のことであったという。その後も長い放置状態が続くが、1874年頃からようやく集中して作曲が進められるようになり、1876年ブラームスが43歳のときに全曲が完成した。

ブラームスがこれほど用心深く交響曲の作曲にあたったのは、ベートーヴェンを強く意識していたからに他ならない。第1楽章のハ短調に対して第2楽章は長三度上のホ長調、第3楽章は変イ長調、第4楽章はハ短調-ハ長調と、楽章が進むにつれて長三度ずつ上方へ進行し、終楽章において主調に戻っている。これはすでにベートーヴェンに見られたものであり、両端1・4楽章が長・短調の関係をもって明暗のコントラストを持つこともベートーヴェンの第5番(運命)に類似している。

だが、この第1番の初演のとき終楽章の主題がベートーヴェンの第9交響曲〈合唱付き〉と似ているという指摘に対してブラームスは「そんなことは驢馬(ろば)にだってわかる」と言ってのけている。つまりベートーヴェンの影響下にあることは織り込み済みの上で彼にはもっと大きな自信があったのだろう。実際リストやワーグナー派が主流になった当時のロマン派的風潮の中で、ブラームスはむしろ時代と逆行して形式を重んずるバロック音楽やベートーヴェンを手本として独自な世界を作っていった。本来持つロマン的な感性と思考としての論理性の葛藤の中で、ブラームスは誰も成し得なかった独自の交響曲を創作していったのである。

第1楽章は、序奏を持つソナタ形式。序奏では重厚なハーモニーがティンパニによって導かれ、全曲を統一する主要動機が次々に現れ緊迫感を高めていく。主部はアレグロ ハ短調 8分の6拍子。ヴァイオリンによるエネルギッシュな第1主題が提示され展開された後、第2主題が木管によって柔和に歌いだされ、激しく展開されていく。

第2楽章はアンダンテ・ソステヌート ホ長調 4分の3拍子で三部形式である。ヴァイオリンが美しい第1主題を提示するのだが、その背後にファゴットが同じテーマをユニゾンで演奏している。この辺りは北の大地ハンブルク生まれのブラームス特有の分厚いオーケストレーションの特徴となっている。その後オーボエが表情豊かに第2主題を奏でるのだが、第3部では同じ主題が独奏ヴァイオリンによって極めて印象的に演奏される。

第3楽章も三部形式で、ウン・ポコ・アレグレット・エ・グラツィオーソ 変イ長調 4分の2拍子。第1主題はクラリネットで牧歌風に始まるのだが、10小節から成るこの主題は前半の5小節のフレーズがそのまま反転して後半の5小節を形成している。この辺りはブラームスのユーモアに満ちた遊びということだけでなく、論理的なこだわりという意味で細部まで徹底するのに十数年という歳月を要した原因ではないかと考える。中間部ではブラームスが生涯好んで用いた2つの動機が現れる。〈運命の動機〉が管楽器に現れ、弦楽器による〈死の動機〉がそれに応える。なおこの2つの動機はリズムの核として全編を通して登場する。

第4楽章、アダージョ ハ短調の序奏と、アレグロ・ノン・トロッポ・マ・コン・ブリオ ハ長調 4分の4拍子で展開部の無いソナタ形式。再現部で展開部を兼ねさせているのが大きな特徴だ。重々しい序奏とまるで嵐のような激しい弦のパッセージの後、ピウ・アンダンテ ハ長調の美しいアルペンホルン風の旋律は、ブラームスが愛するクララ・シューマンに贈った歌曲から引用されている。そして歓喜のコラールともいえる第1主題がヴァイオリンによって歌いだされ、様々な変奏の後、経過句的な第2主題が提示される。それと同時に音楽は熱を帯び、輝かしいクライマックスへと向かっていく。そしてこの「勝利のフィナーレ」が発想のすべてのもとであり、最初に構想されたのではないかと僕は考える。

初演は、1876年11月にカールスルーエの宮廷劇場でオットー・デッソフの指揮によって行われ、直後にはブラームスの指揮によりマンハイム、ミュンヘン、ウィーンでも演奏された。

 

モーツァルト/交響曲 第40番 ト短調 K.550

「モーツァルトの三大交響曲」と呼ばれる第39番から第41番までは、死の3年前にウィーンで書き上げられた。第39番が1788年の6月26日、続いてト短調の第40番が7月25日、第41番(ジュピター)が8月10日という驚くべき速さである。それぞれの交響曲が1ヶ月足らずで作曲され、そのうえこの3曲が音楽史に燦然と輝く不朽の名作なのだから畏れ入る。だが、どういった目的で作曲されたのか、つまり委嘱を受けて書いたのか、コンサートのためなのか自発的に書きたいから書いたのか(当時の状況からするとあり得ない)判明せず、実際に演奏されたのかでさえ疑わしいのである。

が、ト短調の第40番は演奏された確率が高い。その根拠は原曲にはクラリネットが入っていないのだが、改訂版には入っている。つまり何らかの必要に迫られて改訂されたのだから、用途(演奏)はあったということになる。

曲の美しさと完成度は人類が到達できる最高峰のものであることは間違いない。しかし、この名曲は同時に当時では考えられない調性の実験をしている。

第1楽章の展開部はなんと半音下の嬰ヘ短調から始まりさらに下降するという不安定な調性が続いていくのである。美しさと裏腹のこの不気味さがいっそうこの曲の神秘さを増している。

第2楽章は、まれに見る高雅で気品ある緩徐楽章である、と言われているがそれは表面だけ、これほど完璧な方程式のような無駄のない書法は、情緒的なものなど寄せ付けない厳しさがある。第3楽章のメヌエットは、ヴァイオリン群の強い2拍子系とヴィオラ・チェロ・コントラバスの3拍子系という上下2つの声部に分割され、対位法的な鋭い緊張とエネルギーをはらんで絡み合う。これに対してトリオ部では、なだらかな旋律が優しく歌いかわされるのだが、それが救いではある。

終楽章は、強弱対比の著しい第1主題で始まり激烈なパッセージが続き、一気に我々をデモーニッシュな世界へ連れて行く。ここでも展開部では刺激的な転調を重ねながら対位法的な声部の交差で劇的なクライマックスへと上り詰める。ブラームスが地上の音楽であるとするならば、モーツァルトはすべてを超越した、まさに天上の音楽である。

 

最後にこの2曲を指揮するにあたって、僕が考えたことはできるだけスコア(総譜)から読み取れる情報をそのまま再現すること、ブラームス、モーツァルトが作曲するにあたってどこに苦心したか、どう響いてほしいかを作曲家としての眼で読み取ることであった。だから、ドイツ的、ウィーン的なヨーロピアンな響きということには重きを置いていない。それはベルリンフィル、ウィーンフィルの演奏を聴いたほうがいい。常々考えることがある。我々、亜細亜人がクラシックを演奏するということは、そして少しでも価値があるとするならば、伝統にとらわれない自由な解釈(それもまっとうな)をする、あるいは徹底的に譜面を読み込み、別の視点で再構築することしかないのではないか。それが古典芸能ではなく、現代に通じるクラシック音楽のあり方ではないかと僕は考える。

久石譲

(【楽曲解説】 ~CDライナーノーツより)

 

 

「ブラームスの交響曲第1番。作曲家として譜面に思いを馳せると圧倒されて、自分の曲作りが止まってしまった。20年近くかけて作られただけあって実によく練られている。あらゆるパートが基本のモチーフと関係しながら進行していくのに、そのモチーフが非常に繊細で見落としやすく、読み込むのに相当な時間を要した。バーンスタインがマーラーに取り組むと3か月間は他のことができないと言っていたそうだけど、分かる気がした。その分、強い精神力が養われたけどね。ただ、あんまり突き詰めたもんだから、今度は多くの人に届くような曲がもう一度作れるだろうかという不安な気持ちも出てきた。芸術家は「自分はアーティストだ」と宣言した瞬間に成立するけど、エンターテインメントの世界でやっていくには、受け手の支持がないと始まらない。そういう時にたまたまSMAPの曲(「We are SMAP!」)を依頼されて、「遠慮せず行けるところまで行ってみよう」と振り切ることができたんだ。」

Info. 2010/10/13 ベストアルバム「メロディフォニー」を発売 久石譲さんに聞く(読売新聞より) 抜粋)

 

 

 

久石譲 『JOE HISAISHI CLASSICS 2 』

Brahms Symphony No.1 in C minor Op.68
ブラームス / 交響曲第1番 ハ短調 作品68
1. I. Un poco sostenuto-Allegro
2. II. Andante sostenuto
3. III. Un poco allegretto e grazioso
4. IV. Adagio-Più andante-Allegro non troppo, ma con brio
Mozart Symphony No.40 in G minor K.550
モーツァルト / 交響曲第40番 ト短調 K.550
5. I. Molto allegro
6. II. Andante
7. III. Menuetto:Allegretto
8. IV.Finale:Allegro assai

指揮:久石譲
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
録音:2010年2月16日 東京・サントリーホール