Blog. 「週刊アスキー 2010年11月9日号」「メロディフォニー」久石譲インタビュー内容

Posted on 2019/06/01

雑誌「週刊アスキー 2010年11月9日号」に掲載された久石譲インタビュー内容です。『Melodyphony メロディフォニー』(2010)を中心に2号連続インタビューになっています。

 

 

やっとこれでトータルな自分の音楽が完成した

「音楽的にすべてを表現」

久石:
「つくり終わって大変満足しています。やっとこれでトータルな自分の音楽が完成したなと。なぜかと言うと去年『ミニマリズム』という作家性の強い作品をつくって。その制作中から今回のようなエンタテインメントのメロディー中心の曲をオーケストラで録りたいと思っていたんです。だから2年がかりでひとつのコンセプトが完成したという感じ。自分の持っている内生的な部分と外に向かって人を楽しませたいという部分。その両面をこれで表現できたなと思います。やはりどちらかだけではダメなんですよね。」

-映像ありきの楽曲中心の選曲。サントラと今作の違いは?

久石:
「それはですね、映像の仕事の場合、基本的には監督にインスパイアされて、すごく一所懸命曲を書くわけです。ところがやはり映像の制約というものもある。『このシーンは3分です』だとか。だから映像の中のドラマ性に合わせなくてはいけなくて。映像と音楽合わせて100パーセント、もしくは音楽がちょっと足りないくらいがいいときもある。そこから解放されて音楽自体で表現、音楽だけで100に。つまり本来曲がもっている力を音楽的にすべて表現できる。そこが今作なんです。」

 

「意識下の別の自分と出会う」

-収録曲は”旅”や”新しい世界”的な印象もありますが。

久石:
「音楽を聴くこと自体が、その瞬間日常を離れるんですよね。音楽って楽しいし、いいわけでしょう、ふだんとは違ったレベルの体験ができるというか。意識下の別の自分と出会うような、そういう意味では”旅”なのかもしれないですよね。それに音楽が人間に与える力というのも確かにあるから、それを大事にしたいんですよ。」

-聴いていると思い出や映像が脳裏に浮かんできました。

久石:
「聴くことでいろんなことが思い浮かぶってことですね。それはすごく重要。メッセージを伝えるだけではなく、自分の意識下に触れることでイマジネーションが豊かになるから。それって音楽にとっても大切だし、人間にとっても大事ですよね。」

-「音と向き合え!」と言われているような気もしたんです。

久石:
「ははは(笑)。音を聴かせてしまう部分は確かにあるかもしれないです。どうしても自分の性格で細かくつくり込んでしまうので。心地よいBGMというよりはオーケストラでガツンと世界観はきますよね。聴きやすくしようと思いながらも、鳴っているか鳴ってないかの部分までつくっているし。でもそこもある意味聴きどころなのかもしれませんね。」

※次号に続く

(週刊アスキー 2010年11月9日号 より)

 

 

今週のプレイリスト
my favorite!

選曲:久石譲

今いちばん気に入っている曲。ラジオ番組をやっているのですが、そこでもよくかけている曲ですね。

1曲目
MICHEL CAMILO & TOMATITO『SPAIN』(アルバム「SPAIN」収録)
デュエットアルバムなのですが、これがすばらしい。アルバムを一緒につくろうと話してから6年くらい経つんです。未知数のフラメンコギタリストとの共演をいつか実現させたいと考えていて、そのきっかけになった1枚。

2曲目
ベルリン・フィル12人のチェリストたち『SOUTH AMERICAN GET AWAY』(アルバム「SOUTH AMERICAN GET WAY」収録)
ブラジル風バッハやバンドネオン風のピアソラまで全部入ってます。全曲いいですね。このアルバムを聴いてチェロのアンサンブルがいかにすばらしいかを認識し『The End of the World』という僕の曲に結晶させました。

3曲目
STING『ENGLISHMAN IN NEW YORK』(アルバム「FIELDS OF GOLD-THE BEST OF STING(1984-1994)収録)
彼のアルバムは大概いいですよね。映画音楽のエンドロールに流すとしたら彼以上にいい人はいない! 声を出しただけで人生の哀愁や歓びを出せるのは彼しかいない。それくらい好きなミュージシャンです。

(週刊アスキー 2010年11月9日号 より)

 

 

 

久石譲 『ミニマリズム』

久石譲 『メロディフォニー』

 

 

 

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