Disc. 久石譲 『男たちの大和/YAMATO サウンドトラック』

久石譲 『男たちの大和 オリジナル・サウンドトラック』

2005年12月14日 CD発売 FLCF-4088

 

2005年公開 映画「男たちの大和/YAMATO」
監督:佐藤純彌 音楽:久石譲 出演:反町隆史 渡哲也 他

 

“勇敢”と“悲壮”の二つの雰囲気に魅了

 

 

PRODUCTION NOTE

精力的に画と音と対峙し続け、今や日本映画音楽界のみならず国際的にも活躍している巨匠・久石譲。実は彼、若き日に映画音楽の大家である故・佐藤勝の恩恵を受けており、かつて『陸軍残虐物語』や『敦煌』など何本も佐藤勝と共に名作を連打してきた佐藤純彌監督の感慨もひとしおであった。

本作の音楽を作曲するにあたり、久石は「大和」「青春」「戦闘」「レクイエム」「癒し」そして「再生」といった6つの大きなモチーフを構築し、シーンに応じてそれらを巧みに使い分けながら1曲1曲を奏で上げ、作品に多大な成果をもたらしている。それぞれが明確なメロディと繊細な音色に気を配った素晴らしい楽曲ばかり。また悲劇が連鎖していくストーリー性にも関わらず、すべての画と音を堪能した後の印象は、涙を流した後のさわやかさにも似てどこか明るく晴れやかである。それは未来への希望を示唆する作品の意図を十分汲みとった、久石譲の映画音楽作曲家としての卓抜したセンスも当然挙げられるが、同時に彼が生来持ち得ている音楽的純粋性と、劇中の特年兵たちが醸し出す純粋性とが気持ちよく呼応しているからでもあろう。ラストを壮麗に刻印する「再生」のモチーフ曲は、デモテープを聴いた角川春樹プロデューサーから「もうひといき粘ってみないか」との要望に久石が熱く応え、全く新しい発想で作り上げた渾身の仕上がりともなった。録音は2005年10月3、4日、かつしかシンフォニーヒルズにて、演奏は東京フィルハーモニー交響楽団およそ80名に、コーラスの栗友会60名という大編成。そこで、初めてオーケストラで奏でられた新たな「再生」に接した角川プロデューサーは、涙を拭う暇もないまま久石のもとへ駆け寄り、堅い握手を交わしたのであった。それを見守る佐藤監督の表情も実に満足げだ。その後も久石は、佐藤監督と0.1秒レヴェルの音と画の細かい打ち合わせを終始和やかに行いつつ、録音を続けていく。

自ら指揮台に立って棒を振る久石は、演奏が終わるためび自分の曲を具現化してくれるオーケストラの面々に感謝の意を表することを忘れない。「ありがとう」「素晴らしい」「最高!」それらの言葉を発する久石の子供のような笑顔は、音楽に対する純粋性を巧みに物語っている。そしてその純粋性こそは『男たちの大和/YAMATO』にふさわしいものでもあるのだ。

(映画「男たちの大和/YAMATO」劇場用パンフレット より)
(CDライナーノーツ より)

 

以上、ふたつの資料より重複箇所などを再構成している

 

 

 

久石譲 『男たちの大和 オリジナル・サウンドトラック』

1.YAMATO 唄:長渕剛
2.大和の海
3.男たちの大和
4.光る海
5.兵士のエチュード
6.青春の碑(いしぶみ)
7.海の墓標
8.沈みゆく太陽
9.生きる覚悟と死ぬ覚悟
10.英霊たちの旅立ち
11.愛の無常
12.花の降る午後
13.名残りの雪
14.女たちの大和
15.特攻の海
16.惜別の賦
17.男たちの挽歌
18.帰らざる海
19.青春の巡礼
20.明日に生きる
21.大和よ永遠に
22.CLOSE YOUR EYES 唄:長渕剛

 

All Score Composed, Arranged and Conducted by Joe Hisaishi

Performed by The Tokyo Philharmonic Orchestra / Ritsuyukai

Produced by Ko Ishikawa
A&R: Isao Okada (FLME)
Recorded & Mixed by Suminobu Hamada
Assistant Engineers: Hiroyuki Akita, Tomotaka Saka & Akihiro Tabuchi
Co-operatred by Octavia Record, SCI, Psy Corporation & Hibino
Recorded at Katsushika Symphony Hills & Wonder Station
Mastering Engineer: Hiroyuki Hosaka
Jacket Design: Daisuke Suzuki

Special Thanks Toei Company, OFFICE REN, Tatsuya Masutou & Wonder Staff

M1
Lyrics, Composition, Arrangement: Tsuyoshi Nagabuchi

M22
Lyrics, Composition, Arrangement: Tsuyoshi Nagabuchi Strings Arrange: Ichizo Seo

 

Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『パリのアメリカ人』

久石譲 『パリのアメリカ人』

2005年11月30日 CD発売 UPCI-1036

 

新しいポップス・オーケストラとして誕生したニュープロジェクト「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」の第2弾アルバム。

 

 

楽曲解説

001. パリのアメリカ人
1928年に作曲家ジョージ・ガーシュインが初めて手がけた同名のフル・オーケストラ用管弦楽曲をもとに、ミュージカル映画「巴里のアメリカ人」が作られたのは1951年のこと。パリに住む画家志望のアメリカ人青年とキュートなパリジェンヌの恋模様を小粋に描いたこのMGM作品は、主演および振付を務めたジーン・ケリーとレスリー・キャロンのダンス・シーンが話題となり、作品賞はじめ8つの部門でオスカーを受賞している。

002. 男と女
フランシス・レイが手がけた「ダバダバダ」のメイン・テーマがあまりに名高いこの作品は、過去の痛手から立ち直れず、新たな愛へと踏み切れぬ男女の心の機微を描いた、大人のムードあふれる1966年のフランス映画。主演はジャン・ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメ。監督は、フランシス・レイと組んで「パリのめぐり逢い」(1967)、「白い恋人たち」(1968)等の名作を送り出したクロード・ルルーシュ。

003. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
1943年のミュージカル映画「サムシング・トゥ・シャウト・アバウト」のためにコール・ポーターが作詞作曲した曲。ドン・アメチーとジャネット・ブレアが歌い、アカデミー主題歌賞にノミネートされたが、失敗作続きのブロードウェイ・プロデューサーが新作を舞台に乗せようとするまでの悪戦苦闘を描いた映画自体は流行らず、クリフォード・ブラウンと共演した歌手ヘレン・メリルのレコード等によってポピュラーな曲となった。

004. ロシュフォールの恋人たち
監督ジャック・ドゥミ、音楽ミシェル・ルグラン、主演カトリーヌ・ドヌーヴのゴールデン・トリオが生み出した、フランス・ミュージカル映画の傑作の一つ。お祭りにわきたつロシュフォールの街を舞台に、さまざまな恋が展開されてゆく1965年の作品で、ドヌーヴは実の姉フランソワーズ・ドルレアックと、夢に恋に生きる双子の姉妹役で生涯唯一の共演をはたした。ジョージ・チャキリス、ジーン・ケリーと、その他の出演者も豪華。

005. Le Petit Poucet
シャルル・ペローの童話「親指トム」をもとにした、2001年製作のフランス映画。小人の“親指トム”が主人公のファンタジーで、ロマーヌ・ボーランジェ、カトリーヌ・ドヌーヴらが出演している。監督は、ジャン・レノ主演の映画「クリムゾン・リバー2」を手がけたオリヴィエ・ダアン。久石譲が音楽を手がけ、主題歌をヴァネッサ・パラディが歌っている。

006. 夜も昼も
コール・ポーターが作詞作曲を手がけた1932年のブロードウェイ・ミュージカル「陽気な離婚」からのナンバーで、主演スターであるフレッド・アステアのために書かれたもの。海辺のリゾートを舞台に、イギリス人作家と離婚を控えた女性との恋が描かれるこの作品は、名ダンス・コンビ、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャーズの主演で、1934年に「陽気な離婚者」と改題されて映画化された(邦題「コンチネンタル」)。

007. ビギン・ザ・ビギン
1935年に初演されたブロードウェイ・ミュージカル「ジュビリー」からのナンバーで、西インド諸島のマルチニーク島の民俗舞曲である“ビギン”と“始める=ビギン”を掛けて、コール・ポーターが作詞作曲した。身分を隠して城を抜け出し、普段できないことを楽しむロイヤル・ファミリーの姿を描いた「ジュビリー」はさほどヒットしなかったが、後の大スター、モンゴメリー・クリフトが子役として出演していたことで知られる。

008. ラストタンゴ・イン・パリ
パリのアパートでただただセックスに溺れる日々を送る中年男と若い女の姿をとらえた「ラストタンゴ・イン・パリ」は、衝撃的な性描写ゆえに1972年の発表当時世界各国で上映禁止となり、日本でも27年の年月を経てやっと無修正完全版が公開された。「ラスト・エンペラー」(1987)などで名高いベルナルド・ベルトルッチ監督が31歳の若さで発表した問題作で、主演はマーロン・ブランドとマリア・シュナイダー。

009. ソー・イン・ラヴ
シェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」のミュージカル版と、そこに出演している役者たちのラブロマンスが二重写しで描かれるブロードウェイ・ミュージカル「キス・ミー・ケイト」(1948)の、舞台裏の部分で歌われたナンバー。コール・ポーター作品として最大のヒットとなり、第一回トニー賞の栄誉に輝いたこのミュージカルは、1953年にMGMにて映画化されているが、その際コール・ポーターその人も出演をはたした。

010. 太陽がいっぱい
リッチな放蕩息子に憧れ、彼になりかわるべく恐ろしい犯罪に手を染めていく貧しい青年を描いた映画「太陽がいっぱい」(1960)は、主演のアラン・ドロンがスターの地位を不動のものとしたサスペンス・ドラマ。監督はルネ・クレマン、「ゴッドファーザー」シリーズやフェリーニ作品などで名高いニーノ・ロータが音楽を手がけた。後に「リプリー」(1999)のタイトルで、マット・デイモン主演でリメイクもされている。

011. シェルブールの雨傘
「ロシュフォールの恋人たち」に先駆け、監督ジャック・ドゥミ、音楽ミシェル・ルグラン、主演カトリーヌ・ドヌーヴのゴールデン・トリオが生んだ、フランス・ミュージカル映画の最高傑作で、1964年度のカンヌ映画祭グランプリを受賞した。港町シェルブールを舞台に、戦争で引き裂かれる傘屋の娘と自動車修理工の若者との悲恋が、甘い調べに乗ってせつなく描かれるこの作品は、セリフもすべて歌いあげる手法も話題を呼んだ。

012. 白い恋人たち
フランス・グルノーブルにて1968年に開催された第十回冬季オリンピック大会の模様をとらえたドキュメンタリー映画で、「男と女」や「パリのめぐり逢い」と同じく、クロード・ルルーシュが監督を務め、フランシス・レイが音楽を担当している。アテネからの聖火リレーに始まり、華やかな開会式、各競技に挑む選手たちの姿、そして13日間の白熱した日々を経ての閉会式などが、ヴィヴィッドに描き出されている。

文:藤本真由

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

「1920年代、30年代という世界大恐慌前後の時代、アメリカ人が憧れるものっていうのは「文化」だったんですね。成功したらパリに住むというのが、彼らのステイタスになっていた。それでコール・ポーターもフィッツジェラルドもパリに住むようになった。でも今、成功したらここに住みたい、というような場所はないでしょう? わかりやすい憧れの対象や目的がないこの時代に、「パリのアメリカ人」をテーマにすることで、今の時代性が浮き出てくるといいなと考えたんです。」

「コール・ポーターっていうと、やっぱり歌ですからね。スウィング的なものや、ジャジーな感覚を持っているということで、彼女を選んだんです。フランス映画音楽だけをそのままやってしまうのではイージーリスニングになってしまうかも知れない。どこかに異種のもの、アメリカン・テイストを入れたかったんですね。フランス料理にハンバーガーが入ってくるというか(笑)。それがコール・ポーターであり、レディ・キムのヴォーカルなわけです。ミスマッチの要素が入ることで両方が際立てばと。そういうことも含めて「パリのアメリカ人」なんです。」

「あと、こうしたテーマを日本人がやるっていう部分も面白いと思うんです。例えば僕はオーケストラをやってますけど、これは西洋音楽がベースでしょ。なんで日本人がやるんだって言われると困っちゃうわけです。結局みんな根無し草状態なんですよね。でも、だからこそ自分のルーツを知りたいという思いがある。そうした部分から出てくる孤独感や叙情っていうのは僕にとって昔からのテーマなんです。」

Blog. 久石譲 「アップル iTunes インタビューズ」 『パリのアメリカ人』発売記念 より抜粋)

 

 

──選曲の基準は。

久石 自分が思い入れのある映画が多いかな。当初は新しい作品も入れようと思ったけど、いざ聴いてみたらぴんとこなかった。最近の映画音楽はメロディーが弱くなっている気がする。「アメリ」(2001年)みたいに面白い曲もあったけど、オーケストラの楽曲として耐えられるメロディーだと感じられなかった。結果的に強いメロディーを持つ昔の曲が残った。

──原因は何だと思いますか。

久石 映画の作り方全般に言えることだけど、「ハリウッド流」が浸透して、ヒットのために作品とは関係のない楽曲が持ち込まれることが多くなった。そのため、映画を象徴するようなメロディーが減ってしまい、サウンドトラックというよりコンピレーションアルバムになってしまっている。昔はもっとあの映画と言えばこのメロディーということがあったのにね。

──名曲のスコアを見て感じたことは。

久石 ガーシュインに代表されるように、クラシックとかポップスとか、ジャンルの垣根を感じさせない曲が多かった。ただ、実際にアレンジし始めたら、編曲というより作曲になってしまった。やっぱり自分は作曲家。素直に編曲すればよかったのに、余計に時間がかかってしまった。

──手ごわかった曲は。

久石 ミシェル・ルグランはどれも大変だった。和音にわざと異音が入っていて、不協和音的に聴かせる構造が多く、こっちがこうしたいのにと思ってもぶつかってしまう。「ルグランは鬼門だ!」ってずっと言っていたよ(笑)。

Info. 2005/11/29 メロディーが強かった往年の映画音楽 久石譲に聞く(読売新聞より) より抜粋)

 

 

 

久石譲 『パリのアメリカ人』

1. パリのアメリカ人 AMERICAN IN PARIS
2. 男と女 UN HOMME ET UNE FEMME
3. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO
4. ロシュフォール恋人たち LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT
5. Le Petit Poucet
6. 夜も昼も NIGHT AND DAY
7. ビギン・ザ・ビギン BEGIN THE BEGUINE
8. ラスト・タンゴ・イン・パリ LAST TANGO IN PARIS
9. ソー・イン・ラブ SO IN LOVE
10. 太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL
11. シェルブールの雨傘 LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
12. 白い恋人たち TREIZE JOURS EN FRANCE

Guest Singer:Lady Kim 3. 6. 7. 9.
Guest Pianist:Alex Nakhimovsky 3. 6. 7. 8. 9. 12

Recorded at Sumida Triphony Hall

except
Arranged by Kousuke Yamashita 3. 4. 7.

初回限定エンハンスト映像
「ワールド・ドリームス」収録

 

Disc. V.A. 『チェコ・フィルプレイズ スタジオジブリ交響曲集』

久石譲 『スタジオジブリ交響曲集』

2005年11月16日 CD発売 TKGA-502

 

スタジオジブリ作品のチェコフィル名演奏を集めたベスト盤
SACD ハイブリッドディスク

「チェコ・フィルプレイズ スタジオジブリ交響曲集」
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団

録音:ドヴォルザーク・ホール/プラハ

 

1998年「交響組曲もののけ姫」以来、プラハ(ドヴォルザークホール)にてチェコ・フィルとのセッションの数々の中からバランスエンジニアとして参加した江崎友淑がセレクト&リマスタリング。スタジオジブリレコーズ初のSACD(ハイブリッド)。チェコ・フィルとは数々セッションを重ねてきた江崎氏によるライナーノーツ解説掲載。

 

 

プロデューサーノート

ここに集められた作品群は、スタジオジブリが制作した一連のサウンド・トラックからの抜粋である。日本の映画や映像を取り巻く環境、こと音楽に関しては決して明るいものとはいえない。というのも、本編と同等とも言えるほど大事な音楽に関して、かけられる予算がどんどん下降の傾向にあるということだ。そんな日本のサウンド・トラックの中にあって、ことスタジオジブリの制作するものは、一流の作曲家、そして世界的なオーケストラの起用といった豪華な内容になっていることは非常にユニークなことだ。ぼくも、そのいくつかの仕事を一緒に出来たことは、自分の録音生活の中でもとても有意義であったといえる。

僕たちが普段行っている録音活動は、あくまでクラシックの再生芸術の分野において、先の巨匠たちが残したが曲を演奏者と我々録音側でその時々の正誤を探って仕上げてゆく。しかも、そのほとんどは欧州においてで、欧州の演奏家達と欧州の作曲家の作品の携わることがその大部分である。すなわち、我々日本人がそこで現場をリードする事は容易なことではないのである。

ジブリ作品の録音を通じては、いつもの逆で日本人の作曲家のものを、作った本人とともに音楽制作していくというのは非常な醍醐味である。欧州においては日本人の感性は非常に高く評価されているのも面白い。

今回はSACDでこれまでのいくつかの作品をバージョン・アップしてリリースできることも非常に嬉しい限りだ。SACDは、これまでとは全く違った音声信号によって、CDでは再生できなかった20kHz以上の音、すなわち人間の耳には聞こえていない気配感などの超広帯域の音が収録されている。それによる音楽表現の幅が更に広がっているということだ。

これはマニアが揃える大型のオーディオでなくても、充分にミニ・コンポでもその違いは歴然とわかる。我々制作側にいると、マスターのクオリティーをどうやってリスナーの皆々により高い次元のサウンドを届けられるか、それがいつも大きな難問であるが、これらの次世代メディアの登場で、一つ大きくマスターに近いサウンドを届けられるようになったのは喜ばしい限りだ。

今回リリースされるこの作品群は、それぞれの作曲家が、特に日本で人気の名門オーケストラ、チェコ・フィルの名手たちとともに作り上げた珠玉のオムニバス盤で、これはサウンド・トラックとして、また独立した音楽作品として是非末永く聴き続けられるアルバムとなることを望むばかりである。

江崎友淑

(CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『スタジオジブリ交響曲集』

「交響組曲 もののけ姫」より
作曲:久石譲 演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ:久石譲
1.第一章 アシタカせっ記
2.第四章 もののけ姫
3.第八章 アシタカとサン
「となりの山田くん クラシックアルバム」より
作曲:矢野顕子 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
4. となりの山田くんのテーマ~オーケストラバージョン~
5.たかしとまつ子のタンゴ・シンフォニコ
「猫の恩返し サウンドトラック」より
作曲:野見祐二 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
6.バロン
7.パストラーレ(牧歌)
8.ハルのおもいで
「イメージ交響組曲 ハウルの動く城」より
作曲:久石譲 演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
9.ミステリアス・ワールド
10.動く城
11.ウォー・ウォー・ウォー(War War War)
12.ケイヴ・オブ・マインド
ボーナストラック〈初収録〉
作曲:木村弓 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
13.いつも何度でも~オーケストラバージョン~

録音:
1998/6/6~8 「交響組曲もののけ姫」
1999/2/27~28 「となりの山田くんクラシックアルバム」
2001/12/11~12 「猫の恩返しサウンドトラック」
2003/10/18~20 「イメージ交響組曲ハウルの動く城」
2001/12/11~12 ボーナス・トラック「いつも何度でも」

指揮:マリオ・クレメンス
録音ホール:芸術家の家(ドヴォルザーク・ホール/プラハ)

 

Czech Philharmonic Orchestra Plays Studio Ghibli Symphonies

1.The Legend of Ashitaka
2.Princess Mononoke
3.Ashitaka and San
4.Theme for “My Neighbors the Yamadas”
5.Takashi and Matsuko’s Tango Sinfonico
6.The Baron
7.Pastorale
8.Haru’s Memories
9.Mysterious World
10.Moving Castle
11.War War War
12.Cave of Mind
13.Always with Me

 

Disc. 平原綾香 『晩夏(ひとりの季節) / いのちの名前』

いのちの名前 平原綾香

2005年9月28日 CDS発売 MUCD-5081

 

平原綾香が荒井由実(松任谷由実)の名曲「晩夏」を優しい歌声でカバー。カップリング曲は『千と千尋の神隠し』のテーマ「いのちの名前」を久石譲によるプロデュース/ピアノで録音。『TBSテレビ50年・戦後60年特別企画「ヒロシマ」』のテーマ曲。

 

ミュージック・ビデオも制作されている。

 

 

いのちの名前 平原綾香

1. 晩夏 (ひとりの季節)
2. いのちの名前 平原綾香 with 久石譲

「晩夏(ひとりの季節)」
作詞・作曲:荒井由実 編曲:松任谷正隆

「いのちの名前」
作詞:覚和歌子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『Welcome to Dongmakgol』

久石譲 『トンマッコルへようこそ オリジナル・サウンドトラック』

2005年9月14日 CD発売 DK0471 ※輸入盤

 

2005年公開 映画「Welcome to Dongmakgol」
(邦題:トンマッコルへようこそ)
監督:PARK Kwang-hyun パク・クァンヒョン 音楽:久石譲

 

日本国内盤サウンドトラック「トンマッコルへようこそ」と一部選曲および曲数が異なる

 

 

確かに、韓国にて発売された『Welcome to Dongmakgol』のサントラよりも、10月4日にユニバーサルより発売される『トンマッコルへようこそ』のサントラの方が3曲少なくなっています。この理由は、映画に使用されているすべての楽曲からサントラにいれるにふさわしい楽曲を厳選した結果です。曲目、曲順等を含め一枚のサントラアルバムとして、よりまとまりのあるものになっていると思います。

韓国にて発売された『Welcome to Dongmakgol』のサウンドトラックは当事務所の許諾無くして韓国側が発売し、音質に問題のあるものでした。しかし、日本で発売する『トンマッコルへようこそ』のサウンドトラックは日本でリマスタリングをし、音質には全く問題ありません。

・韓国映画のサントラの評判について
韓国と日本の技術、文化に対する意識の差や制作過程のシステムの違いなどから、こういった事態に至ってしまいました。もちろんこの件に関しましては、昨年中に韓国と話し合いを行い、韓国国内のサントラを回収することで双方合意しております。ただし、韓国から既に輸入されてしまったものに関しては、回収等の手段をとることが非常に困難な状況で、私どもといたしましても大変遺憾に思っております。秋に映画が公開される際にユニバーサルレコードからサントラが発売されますが、新たにマスタリングを行い、良質の音を必ずお届け致します。

(Wonder City 公式発表)

 

 

 

久石譲 『トンマッコルへようこそ オリジナル・サウンドトラック』

1.a waltz of sleigh
2.welcome to Dongmakgol
3.Opening
4.The battle
5.American Army
6.a wild boar
7.N.Korea
8.no title
9.N.Korea vs S.Korea
10.Love and Grenage
11.Leaving Dongmakgol for the battle
12.falls of the popcorn
13.Dongmakgol Village
14.to the village
15.paradise
16.friendship song
17.after the battle
18.an old lady
19.Death of Yeoil
20.buried past
21.Confrontation
22.Butterfly
23.attack of butterflies
24.Resolution of Hyunchul

 

Disc. 久石譲 『WORKS III』

久石譲 『WORKS3』

2005年7月27日 CD発売 UPCI-1027

 

 

世紀をまたいで終結を迎えたDEAD

今回のコンサートのために書いた組曲「DEAD Suite」は、僕がクラシック、現代音楽の世界から離れて19年ぶりに書き上げた楽曲だ。DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲だ。いささかポップスのフィールドを逸脱したかもしれないが、20代後半にポップスの世界に転向して以来、初めての本格的な現代音楽作品になる。リズムが変わり、不協和音ぎりぎりのところで構成されたこの楽曲は、なぜ今まで自分が音楽をやってきたのか? を問い詰めながら、今世紀末のひとつの区切りとして僕にとって通らなくてはいけない道、なくてはならない楽曲となった。最終的には4曲から成り立つ組曲を考えているが、今回のコンサートで披露できるのはその内2曲までになる。後は、来年書き足そうと思っている。

久石譲 (PIANO STORIES ’99 ツアーパンフレットより)

 

 

夜中に、ふと思う。自分がなぜ今まで音楽をやってきたのか?
20世紀末にも確かにこの疑問にたどり着いた。
「DEAD」。あの未完成な組曲を完成させなくては・・・・
そんな思いに掻き立てられ、一気に書き上げた。
なぜ今DEADなのか・・・・
このツアー中に僕自身が「深淵」を臨くことになるのだろうか。

 

Deadのモティーフは「死」だ。
誰にも訪れる「死」を考えることは「生」を考えることでもある。
「生きる」ことの基本は「愛」だ。
幸福を求めるその先には「愛」がある。
だからこの作品は「愛」を唄った音楽でもある。

久石譲

 

 

「WORKS III」解説より

DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲。初映画監督作品「カルテット」の前に撮る予定だった映画のために書いた曲でもある。第一楽章、第四楽章は、99年「PIANO STORIES ’99」ツアーで、弦楽四重奏Balanescu Quartetと共演し、アルバム「Shoot The Violist~ヴィオリストを撃て~」にも収録されている。今年7月に発売された「WORKS III」にて、第二楽章、第三楽章を書き足し弦楽オーケストラ組曲として完成した。

第一楽章 「D.e.a.d」
普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。

第二楽章 「The Abyss~深淵を臨く者は・・・・~」
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。

第三楽章 「死の巡礼」
一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。

第四楽章 「復活~愛の歌~」
ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディに至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。

今回第二、第三楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

村岡裕司

(「久石譲 Symphonic Special 2005」コンサート・パンフレット より)

 

 

CD解説

映画音楽家として活動する時の久石譲は、つねに映像と真剣勝負をするストイックなクリエーターとしての姿勢を崩さないが、一人の音楽家としてレコーディングやコンサートに臨む際の氏は、映画をきっかけにした曲にしてもオリジナル曲にしても、アーティストとしての底知れぬ可能性を謳歌するように新しい創造に立ち向かう。きっとその創造の裏側には、生みの苦しみがあるのだろうが、幸運にも彼の作品を聴く側にいる我々は、音楽を聴いて楽しみ笑い泣き、時には勇気付けられたりして、久石ミュージックと旅に出ることが出来る。これまで久石譲が発表してきた数々のソロ作品が支持されてきたのは、マルチなキャリアを積んでいる氏の音楽が、妥協を許さない創作姿勢を貫いているからだろう。

久石ワールドを伝える『WORKS』シリーズの第3弾となるこの新作は、現在の彼の音楽を満喫するには十分すぎるほどの魅力を凝縮させた豪華な内容となった。CMでおなじみの「Oriental Wind」にメガ・ヒット作『ハウルの動く城』から生まれた名曲「人生のメリーゴーランド/Merry-go-round」、久石譲の大きなテーマを包含した組曲「DEAD」、バスター・キートンのハリウッド・クラシックに新たに音楽を加えるというユニークな手法による「THE GENERAL」という、4つの異なるアプローチから生まれた音楽で構成されている。現在の久石譲の多面的な創作を知る上でも非常に興味深いコンセプトだ。

アルバムのハイライトとなるのは、組曲として全貌を明らかにした「DEAD」である。

元々は『Quartet』(2001)に先駆けて氏の監督第一作に予定されていた映画のために、第1楽章と第4楽章は書かれたもので、5年前にバラネスクカルテットと共に弦楽四重奏&ピアノの編成で全国ツアーをまわった。『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)にも収録されたが、組曲としては未完だった。それが2005年に入って、新たに第1楽章「D.e.a.d」第2楽章「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」と第3楽章「死の巡礼」第4楽章「復活~愛の歌~」という形で組曲として完成したものである。タイトルの「DEAD」は英語の階名”レ、ミ、ラ、レ”を示していて、このユニゾンのフレーズの提示に従って音楽も構成されている。後期ロマン派から近代にかけてのスタイルを取り入れ、ミニマル・ミュージック的な表現を行うなど、久石譲の幅広い音楽的なバックグラウンドが投影された。もちろん、モチーフは”人間の死”であるが、”人間はどこから来てどこにいくのか、いつか死ぬことは決まっているが、生きている間に感ずる人間に対する愛”についても重要なモチーフになっている。

既に発表されている「D.e.a.d」と「復活~愛の歌~」は、今回初の試みとしてストリングス・オーケストラ用にアレンジが行われ、組曲としての一貫性が強調された。「D.e.a.d」は普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。続く「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」は、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。「死の巡礼」は一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディによる第4楽章の「復活~愛の歌~」に至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。今回第2と第3楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

他の曲もこのアルバムのコンセプトに欠かせない重要な作品ばかり。オープニングの「Oriental Wind」は記録的なセールスになったサントリー緑茶「伊右衛門」のCMソングとして親しまれているナンバーである。メロディメーカーとしての氏の才能が発揮された。CFの映像やタイトルが示しているように、日本人のテイストを触発するエモーショナルなメロディラインが強烈な印象を与えた。先に発表された『FREEDOM PIANO STORIES 4』では、ピアノによるアコースティック・ヴァージョンが収録されていたが、ここではオーケストラによる重厚なシンフォニーになっている。瑞々しいメロディを基調とした演奏は、何度聴いても感情移入出来る。続く「人生のメリーゴーランド」は宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の核をなす名曲である。これも『FREEDOM PIANO STORIES 4』に収録されているが、ここでは、おなじみのメロディを様々なアレンジでリフレインさせて、曲の魅力を堪能させてくれる。様々なプロセスを持つ人生のようでもあるし、四季折々の変化でもあるように、これまたイマジネーションを触発させる作品だ。カーニヴァルやサーカスの世界を彷彿させる音楽は、一連のフェリーニ作品でおなじみのニーノ・ロータや、アカデミー賞の音楽賞に輝いた『リリー』(1953)のプロニスロウ・ケイパーが有名だが、久石譲は彼らとはひと味ちがうカーニヴァルやサーカスの世界を創り上げている。

ラストを飾る組曲「THE GENERAL」は、喜劇王バスター・キートンのサイレント映画の傑作『大列車強盗(キートン将軍)/The General』(1927)に、久石譲が新たに付けたスコアを組曲にしたものだ。昨年カンヌ映画祭で日本人としては初となる氏本人の指揮によって初演された。

サイレント映画に音楽を加える試みは、フランシス・フォード・コッポラの父親のカーマイン・コッポラによる『ナポレオン』(1927)や、ジョルジオ・モロダーによる元祖SF映画『メトロポリス』(1927)など、これまでにもしばしば行われているが、久石譲と「大列車強盗(キートン将軍)」の出会いは、フランスの映画会社のオファーによって実現した。すなわち、アメリカの歴史的な名画が、フランスの会社を介して、日本の音楽家によって音楽を加えられるという、国際的な連係で可能になったプロダクツから生まれた音楽なのだ。

サイレント・エラの喜劇王というと、どうしても警官やビーチの水着美人たちが登場する一連のキーストン社のドタバタ・コメディをイメージしてしまうが、キートンの映画は単純なお笑いではなく、彼の人生観や世界観が投影されたドラマとしても素晴らしく、アーティストや表現者としての彼は、本国よりもフランスで再評価されたという経緯もある。その流れが今回の試みにも継承されているのは言うまでもない。実際作品を観てみると、久石譲のスコアが古典的な名作が包含する永遠のテーマを浮き彫りにしているし、ステレオ・タイプになりがちなサイレント映画のスコアに世界を、久石流に表現することにも成功している。ここでも映像に向き合う氏の姿勢が色濃く投影された組曲に仕上がっている。

なお、このアルバム・リリースと時を同じくして行われるコンサートでは、『ハウルの動く城』や『THE GENERAL』がメイン・プログラムで演奏される他、注目の「DEAD」も演奏される予定だ。それだけにこの作品の発表の意義は大きいと思う。

2005年6月16日 村岡裕司/YUJI MURAOKA

(CD解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

ーやはり『WORKS III』で特筆すべきは、組曲「DEAD」だと思うのですが。これは数年前にご自分がメガホンを取る予定だった映画のために書いた曲だそうですね。

久石:
「そう。4、5年前ですね。でもその映画の内容が、人が死んだりとか、ちょっときついものだったので、時期をみようということになって、先に『カルテット』を撮ったんです。でもテーマ曲はできていて、そのときは2曲だけだったけど、僕の頭の中では4楽章の組曲にしようと思っていまして。今年こそは完成させたくてね。やっと発表できました。今回のアルバムはこの曲のために作った、といっても過言じゃないくらい(笑)」

ーDEADのスペルD,E,A,Dを音名に置き換えた、レ、ミ、ラ、レを主に使った作りになってるんですね、どの楽章も。おもしろい。

久石:
「映画の内容を考えながら、最初に思いついたアイデアだったんだけど、明快でしょう。明快だから音のインパクトも強い。だからどうしても弦楽オーケストラでやりたかったんです。フルだといろんな音色がありすぎちゃって派手になっちゃうから。弦だけの方がきっと深い世界が表現できるなあと思ってね」

ー元々久石さんがやってらっしゃった、現代音楽的なアプローチの作品ですよね。特に3楽章なんか、バリバリ、ミニマルですね。

久石:
「やっぱりそれは僕の本籍地みたいなものだから。すごく真剣になるとスタンスがそこに戻っちゃうんだよね、どうしても。でもね、もう一歩踏み込んじゃうと、ほんとうに現代音楽の作品になっちゃうんだけど、僕がいまやってるフィールドで考えると、それをポップスという世界の中に留める、ということが大事になってくるんです。僕は特別な人たち相手に音楽を作る芸術家じゃないからね。宮崎映画とか北野映画から僕の音楽を知ってくれたような多くの人たちと、コミュニケーションできる音楽でなくちゃいけないんです。今回はそのギリギリ(笑)。だいぶ挑戦的なことはしたなと思いますけどね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年9月号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「そうですね。作られた目的が映画でもCMでも構わないんですけど、それを独立した楽曲として成立させるということは音楽家としてやらなきゃいけないことなんです。どうしても映像と対になってしか存在しないという映画音楽やCM音楽が、実はしっかり作られているというのを確認してもらうには、こういうシリーズが必要なんですね。」

「全体的にサウンドを少し厚くゴージャスにしています。映画の場合、音楽にいろいろな要素を入れ過ぎてしまうとセリフとぶつかってしまうんです。オリジナルでは主旋律だけしかない曲に、オブリガートのメロディを足すなどの作業はしていますね。」

「「人生のメリーゴーランド」のメロディなど、ソロの部分はだいたい僕が弾いてますね。それ以外はオーケストラのピアニストに弾いてもらっています。」

「すみだトリフォニーホールのスタインウェイです。響きを大事にしたかったので、スタジオではなくホールで録音しました。」

「指揮しながらピアノを弾いていると、そこが難しいんですよね。まず、オーケストラを録って、リズムがちゃんと感じられる部分はあとでピアノをかぶせようと思うんですが、なかなかニュアンスが一緒にならない。相手が出す音に対してこっちが反応し、こっちが出した音に相手が反応するのが音楽なのに、ダビングするとその双方向のコミュニケーションがなくなってしまう。「DEAD」の第4楽章は最初にオーケストラと録ったときにうまくいかなかったので、”すみません”って言って、翌日もう1回オケと一緒に録り直しました。自分で指揮をしているから分かってるつもりなんですけど、実際に自分が弾いた音にオケが反応するのと、別々で録音するのでは全然違いますね。クリックを使っていないので、オーバーダビングするにしても簡単じゃないですし。本当は同時録音がいいんですが、指揮とピアノを両方やっているとどちらも中途半端になりがちなんです。その辺をいつもレコーディングの直前までどうするか悩んでいるんですよ。」

Blog. 「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

久石譲 『WORKS3』

1. Oriental Wind 〜for Orchestra〜
2. Symphonic Variation 「Merry-go-round」 (映画「ハウルの動く城」より)

DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano
3. 01. D.e.a.d
4. 02. The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜
5. 03. 死の巡礼
6. 04. 復活 〜愛の歌〜

Keaton’s 「THE GENERAL」
7. Movement 1
8. Movement 2
9. Movement 3
10. Movement 4
11. Movement 5

初回限定:「Oriental Wind」
(サントリー緑茶 伊右衛門CM曲)ピアノ譜封入

All Composed , Arranged , Conducted and Produced by Joe Hisaishi
Piano:Joe Hisaishi (excep Keaton’s “THE GENERAL”)

演奏:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
録音:すみだトリフォニーホール

 

Co-produced by Eiichi Fujimoto
Directed by Akira Watanabe (FujiPacific Music Inc.)
Recorded by Suminobu Hamada, Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Mixed by Suminobu Hamada (Wonder Station)
Mastered by Hiroyuki Hosaka (Hitokuchizaka Studios)
Piano Technician: Masanori Hanaoka (YAMAHA Corporation)
Music Sheet Preparation: Kenji Ashimoto
Technical Support: Ken Muramatsu (Octavia Records)

Recorded at Sumida Triphony Hall
Edited & Mixed at Wonder Station

 

WORKS III

1.Oriental Wind (For Orchestra)
2.Symphonic Variation “Merry-Go-Round”
3.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 1. D.e.a.d
4.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 2. The Abyss
5.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 3. Death Pilgrimage
6.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 4. Rebirth – Love Song
7.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 1
8.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 2
9.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 3
10.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 4
11.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 5

 

Disc. V.A.『愛してナイト ヒット曲集 ~Yakko, I Love You~』

2005年4月27日 CD発売 COCX-33169

 

「愛してナイト ヒット曲集」
完全限定生産 デジタルリマスタリング 初CD化

 

ロック・グループ”ビーハイブ”のヴォーカル・剛とお好み焼き屋の看板娘やっこのハートときめくラヴ・ストーリー

80’sアイドル・ポップのヒット・メーカー小田裕一郎をメインに、全曲のアレンジ(2曲提供)に久石譲という豪華スタッフ!主演の堀江美都子を中心とした歌手陣による全10曲、単独盤初CD化!

 

 

AMIMEX1300 Song Collection シリーズ
コロムビア発売のキャラクター・アルバムのトレード・マーク[ANIMEX]から産まれた名盤の数々を、限定でリーズナブルな価格によってお届けする[ANIMEX1300シリーズ]。LPレコードとして発売された収録内容と同一での初CD化作品も、多数ラインナップしていきます。
※解説は当時の内容とは異なります。

 

 

■番組データ■
放送期間:1983年3月1日~1984年1月24日 全42話
キー局・放送時間帯:テレビ朝日系 毎週火曜日夜7時
制作:東映動画(現・東映アニメーション)
原作:多田かおる

■オリジナル・レコード・データ■
発売日:1983年7月1日 LP番号:CQ-7080

 

 

解説

『別冊マーガレット』(集英社)にて連載された故多田かおるのコミックをアニメ化。お好み焼き屋の娘・八重子(通称やっこ)と、”ビーハイブ”というロック・バンドのヴォーカルである大学生の剛とのラヴ・ストーリー。剛の声は佐々木功(ささきいさお)が演じたが、”ビーハイブ”の歌唱シーンは、GSグループ”カーナ・ビーツ”でデビュー、”ゴールデン・カップス”、そして”クリエーション”とグループを変遷したアイ高野が歌った。この楽曲は『愛してナイト デビュー☆ビーハイブ』と『ROCK TRIP ビーハイブ・パーティ』という2枚のアルバムで発売。このヒット曲集は、正副主題歌「恋は突然」「ぼくのジュリアーノ」を含む、やっこ役の堀江美都子がメイン。当時は自身のアルバムやライヴが中心の活動だった堀江美都子のオリジナルとしても聴ける楽曲がラインナップされている。「裸足の季節」「青い珊瑚礁」「風は秋色」といった松田聖子の初期ヒット曲などのアイドル・ポップや、堀江美都子のオリジナル・アルバム第一弾『EMOTION』(1980)の作曲も手がけた小田裕一郎が参加。全ての楽曲を、後にスタジオジブリ・アニメや「あの夏、いちばん静かな海」(1991)以降、北野武監督作品の殆どの音楽を手がける久石譲がアレンジャーをつとめた豪華アルバム。

高島幹雄

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

 

 

愛してナイト ヒット曲集

1.恋は突然
作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎 編曲:久石譲 歌:堀江美都子
2.なぜなぜナゾナゾ
作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎 編曲:久石譲 歌:平塚たかあき(森の木児童合唱団)、こおろぎ’73
3.あなたの似顔絵
作詞:藤公之介 作曲:久石譲 編曲:久石譲 歌:堀江美都子
4.ドーベルマンのように
作詞:藤公之介 作曲:久石譲 編曲:久石譲 歌:堀江美都子、こおろぎ’73
5.愛は光の中で
作詞:藤公之介 作曲:久石譲 編曲:久石譲 歌:堀江美都子、Woo
6.Oh!Yeah!ジュリアーノ
作詞:竹内真樹 補作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎 編曲:久石 譲 歌:Woo
7.あなたが消えない
作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎 編曲:久石譲 歌:堀江美都子
8.雨のララバイ
作詞:藤公之介 作曲:久石譲 編曲:久石譲 歌:堀江美都子、平塚たかあき(森の木児童合唱団)
9.純白のジューン・ブライド
作詞:藤公之介 作曲:田中公平 編曲:田中公平 歌:堀江美都子
10.ぼくのジュリアーノ
作詞:藤公之介 作曲:小田裕一郎 編曲:久石 譲 歌:平塚たかあき(森の木児童合唱団)

 

Disc. 久石譲 『神奈川県立厚木清南高等学校 校歌 SEINAN』 *Unreleased

2005年4月1日 開校

 

神奈川県立厚木清南高等学校の開校にあわせて校歌を久石譲が作曲している。

 

校歌制作経緯

歌詞は、公募に応じてくださった大阪市の方の作品を土台として、生徒やPTAの方も入った会議で決まったものです。曲は久石譲氏によるもので、初代校長が久石氏のファンクラブにメールで歌詞を送ったところ、作曲を快諾してくださり、お願いしたものです。

出典:神奈川県ホームページ|厚木清南高等学校 より抜粋

 

 

なお、神奈川県立厚木清南高等学校ホームページにて、メロディ譜と歌唱(ピアノ伴奏付き)が閲覧・試聴・ダウンロードできる。

*2019年3月現在

公式サイト:神奈川県立厚木清南高等学校
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/index.html

 

「SEINAN」
作詞:光源弘、佐竹久典
作曲:久石譲

 

上記URLページ内
校歌「SEINAN」PDF (メロディ譜)
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/kouka_seinan.pdf
歌唱(ピアノ伴奏)mp3
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/seinan_vocal.mp3

 

 

 

Disc. 久木田薫 『ジブリ・ザ・クラシックス』

久木田薫 ジブリ・ザ・クラシックス

2005年3月24日 CD発売 SVWC-7241

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「ハウルの動く城」まで
監督:宮崎駿 他 音楽:久石譲 他

チェリスト久木田薫による上品なアコースティックカバー。
夢と希望と感動がいっぱいのライトクラシック・アルバム。

 

 

コメント

皆さん初めまして。久木田薫です。私はスタジオジブリの映画が大好きで、小さい頃から、何度も何度も観てきました。皆さんの心の中にも、きっと想い出深いシーンやメロディがある事と思います。そのスタジオジブリ映画の主題歌、挿入曲を、チェロの演奏をメインにクラシック風、タンゴ風などにアレンジして出来上がったのが、このアルバム「GHIBLI the Classics」です。スタジオジブリの作品は、女の子が主人公の作品が多く、映画を観るたびに彼女たちを応援していました。そして、冒険し、成長する彼女たちから勇気をもらってきた気がします。ナウシカやシータ、さつきとめいちゃん…。今回、映画を優しく包んでいた音楽を、幅広いジャンルのミュージシャンの方々と共演させて頂きました。ギター、バンドネオン、ハーモニカ…。刺激的で楽しかったです!!たくさんの方々と一緒に作ったこのアルバムに、私の愛するクラシック音楽、そして、ジャンルを問わない音楽そのものの楽しさをこめられたと思います。スタジオジブリ映画のように、あらゆる世代の方に、チェロという楽器の奥深い音色を聴いて頂き、喜んで頂けたらと思います。

2005年1月5日 久木田薫

(CDライナーノーツより)

 

 

 

久木田薫 ジブリ・ザ・クラシックス

1.さくらんぼの実る頃 (「紅の豚」より)
2. 君をのせて (「天空の城ラピュタ」より)
3. アドリアの海へ~マルコとジーナのテーマ~ (「紅の豚」より)
4. 風の谷のナウシカ (「風の谷のナウシカ」より)
5. ナウシカ・メドレー (ナウシカ・レクイエム~鳥の人~風の谷のナウシカ・オープニング)
6. 天空の城ラピュタ (「天空の城ラピュタ」より)
7. もののけ姫 (「もののけ姫」より)
8. やさしさに包まれたなら (「魔女の宅急便」より)
9. 風のとおり道 (「となりのトトロ」より)
10. となりのトトロ (「となりのトトロ」より)
11. いつも何度でも (「千と千尋の神隠し」より)
12. 千と千尋の神隠し・メドレー (あの夏へ~湯屋の朝~ふたたび)
13. はにゅうの宿 (「火垂るの墓」より)
14. 世界の約束 (「ハウルの動く城」より)

 

Disc. 久石譲 『FREEDOM PIANO STORIES 4』

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

2005年1月26日 CD発売 UPCI-1014

 

日常に追われ、がんじがらめの生活。
息苦しい、閉塞感。
人は少なからずそんな思いを心に宿しているのでは?

いつの日だったろう? 夢をあきらめ自分の手の届く範囲で納得しようと言い聞かせてしまったのは。
その大きな壁を作っているのは自分なのでは?
でも、それも自分自身の人生。

それを受け入れた上で、自由に、そして心を解き放てたら。
自分の中で自由な気持ちを取り戻せたら、きっと楽になれるのでは。

Freedom

久石譲

(「Joe Hisaishi Freedom Piano Stories 2004」コンサート・パンフレット より)

 

 

「実は、サブタイトルに”心の自由を求めて”ってつけようかなって思ってたくらい、最近、なんとなく世の中に閉塞感があって生きづらくなってると思うんです。たとえば”なにかやろう”って思っても、結果がなんとなくわかっちゃうんですよね。そうすると”これやっても仕方がない””これもやっても先が見えてる”みたいな感じで自分のほうで壁を作っちゃってなにもやらなくなってきてる気がしてて。僕自身もそうだし、周りの人たちなんかを見ててもすごくそういうのを感じていて。だから、自分の中のそういうバリアをはずしてやったらもっと生きやすくなるんじゃないかなぁって。そんな思いからこういうコンセプトになったんです」

「そうですね。僕にとってこの”FREEDOM”は過渡期だったと思うんですよ。いまの世の中みたいに価値観がボロボロに崩れだした時代は、作家ってどうしても発言をきちっとしたいんですよ。自分が感じる世の中だったりとか、僕もそうしたくなってたんですけど、でもなんかそれは違うなっていう予感だけがあって。それで悩んだんです。でも、結果的に宮崎さんの『ハウルの動く城』も、たとえば『もののけ姫』のときのような壮大な、”人間とは?”っていう問いかけはしていないですよね。決して重い作品ではないし。きっとこの時代に、シリアスな発言しても疲れきってる人間にそれ言ってなんになる? っていうことなんです。それだったら、隣の人とつながってるんだとか、一日一日の思いを大切にするんだとか、もっと身近なことを言うくらいがせいぜいかなって。だから僕にとっても、宮崎さんにとっても次のための準備期間でありオアシス的作品になったんじゃないかな」

「あのね、僕にとって2004年はワルツの年だったんですよ。実は『ハウル~』だけじゃなくて、バスター・キートンもテーマがワルツだったし、ワールド・ドリーム・オーケストラでもショスタコーヴィチのワルツを演奏したし。すごくワルツに凝った1年だったなぁって。なんかね、ワルツのあのリズムっていうのが、前作の『ETUDE』なんかでちょっと行き過ぎちゃった自分をもう一回戻してくれたんだよね。それが『ハウル~』の映像にも不思議とハマったんだよね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年2月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

2003年9月6日CM放送開始「東ハト キャラメルコーン」では、本作収録曲「Ikaros」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは伴奏にアコスティックギターも使われ、メロディーから最後のサウンドロゴまでの流れを手がけている。

2003年11月25日CM放送開始「ベネッセコーポレーション 進研ゼミ」では、本作収録曲「Spring」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは、伴奏のピアノに加えてアコースティックギターも重なり16分音符粒が細かく、より爽快で軽快な印象になっている。

2004年3月6日CM放送開始「サントリー 京都福寿園 伊右衛門」では、本作収録曲「Oriental Wind」がしようされているが、CM original versionとは異なる。

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

1.人生のメリーゴーランド (映画「ハウルの動く城」メインテーマ リアレンジヴァージョン)
2.Ikaros (Tohato「キャラメルコーン」CFソング)
3.Spring (Benesse「進研ゼミ」CFソング)
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CFソング)
6.Legend (MBS「美の京都遺産」テーマソング)
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday

初回盤:「人生のメリーゴーランド」ピアノ譜 封入

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano:Joe Hisaishi

Strings:Angèle Dubeau & La Pietà (except Track-9)
Solo Violin:Angèle Dubeau
Percussion:Sawako Yasue
Bandoneon:Koji Kyotani
Guitar:Masayoshi Furukawa
Pianica:Joe Hisaishi
Strings:Koike Hiroyuki Strings (Track-9)
Interpreter:Iris Germain

Recorded at
Wonder Station
Victor Studio
HAKUJU HALL

 

FREEDOM PIANO STORIES 4

1.Merry-Go-Round of Life (from ‘Howl’s Moving Castle’)
2.Ikaros
3.Spring
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind
6.Legend
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday