1998年2月25日 CD発売 TKCA-71348
HOPE NAGANO PARALYMPICS 1998 TRIBUTE
”HOPE” Note 久石譲
98年3月、長野パラリンピック冬季競技大会が行われる。身体障害者のためのもう一つのオリンピックである。選手がそれぞれの肉体の限界の挑戦するこの大会は多くの人々に感動と希望を与えてくれる。
文化イヴェント総合プロデューサーとして3年間参加してきた私は、一音楽家として何ができるかを考えた末、このアルバムの制作に取りかかった。
多くのアーティストが参加して(それは容易なことではないのだが)それぞれの個性的な楽曲で応援のメッセージを伝えてくれた。
その他、各レコード会社、スタジオ協会など、数えきれないほど多くの人々の善意によってこのアルバムが完成した。
売り上げは障害者のスポーツ振興のために役立てられる。それが、たとえひとひらの雪のように小さなものであっても、積もれば世界を変えてゆくことができると私は考える。
より多くの人々に聞いてほしい。
(CDライナーノーツより)
「HOPE」
長野パラリンピックは、アジアで初めて開催される冬季競技大会であり、20世紀最後の大会となります。大きな時代の変わり目の時、開会式は希望「HOPE」をテーマにしました。
そして、このテーマの出発点となったのが、フレデリック・ワッツの描いた一枚の絵「HOPE」です。今回このアルバムに参加して頂いたアーティストには、この絵を見てもらったイメージから新曲を作って頂いたり、演奏して頂いたりしています。
GEORGE FREDERIC WATTS with assistants
Hope 1886
Oil on canvas 142.2 x 111.8 cm
Tate Gallery (NO1640)
Presented by the artist 1897
(CDライナーノーツより)
「パラリンピックの文化イベントの総合プロデューサーをやっていて、それなりに自分では十分やってたと思っていたんですけど、10月に、たまたまテレビでドキュメンタリーで清水さんという、パラリンピックの選手を20年間ボランティアで追い続けている人のドキュメンタリーを見て、感動しましてね。オレはまだ音楽家として、ちゃんとやることをやっていないかもしれないと、急に思い立って。それが去年の暮れ。でもどう見ても時間がないわけですよ。仕事っぽくなるのも嫌だったから、事務所を通さずに一人一人電話して、こういう趣旨でというのを説明して口説いて、それで始まったんですけどね」
「そのテーマ曲『旅立ちの時』を彼が朗読して、僕がピアノを弾く予定だったんですよ。そのつもりでスタジオに入ったら『旅立ちの時』のイントロともいえる、まったく新しい詩を書いた詞で臨んできたんです。気合が入ってるなーと思って、ドリアンさんの朗読と僕のピアノだけの、ほかは一切使わない一騎打ち勝負の『鮮やか』という新曲を2人で録りました」
「これがうまかった。猿岩石の『上を向いて歩こう』がすごくいい。4PMとか長渕さんとか、いろんな『上を向いて歩こう』があるけど、それとはまったく違う素朴さがあって、ストレートな青春ソングというか、すごくいい上がりでしたね。今まで聞いた『上を向いて歩こう』の中では一番好きですね」
(Blog. 「ダカーポ 1998年2月18日号 NO.391」久石譲インタビュー内容 より一部抜粋)
「今回、長野パラリンピックのトリビュート・アルバム『HOPE』を作ったときに、ポップスの人から、ジャズ、クラシック、いろんなジャンルから参加していただきました。クラシックでは藤原真理さんと、オーボエの茂木大輔さん、カウンターテノールの米良美一さん、和太鼓の林英哲さんです。
で、どの曲をやろうかという段階で、チェロとピアノでは不可能かなと思いつつ、アダージェットをやってみたいという提案をしたんですね。真理さんと改めてもう1回聴いてみて、はたしてこれはチェロとピアノになるんだろうか、どうなるかわからないけれども、とにかく置き換えてみます、と編曲を始めたんです。
ところが、弦のスタティックな曲だから、音符がのびないとサマにならないんですね。弦は音を延ばすことは可能だけれども、ピアノはどうしても音が減衰していっちゃいますからね。原曲の響きや世界観をいかに変えずにピアノに置き換えるかで、ずいぶん苦しんだんですよ(笑)。そのレコーディングは相当うまくいって、これからきっとチェロの人のレパートリーに入るんじゃないか、それくらいのアレンジはできたし、自分も納得してるんです。もちろん原点にあったのは、あのアダージェットという楽曲の持っているすばらしさです。」
(Blog. 「音楽の友 1998年4月 特大号」久石譲インタビュー内容 より抜粋)
1. 旅立ちの時 ~Asian Dream Song~ / 宮沢和史 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲
2. 上を向いて歩こう / 猿岩石
作詞:永六輔 作曲:中村八大 編曲:久石譲
3. waltz / 池田聡
作詞:井上睦都実, 池田聡 作曲:池田聡 編曲:久石譲
4. 愛の木 / 加藤登紀子
作詞・作曲:加藤登紀子 編曲:久石譲
5. 悲しくてやりきれない / 加藤和彦, ムッシュかまやつ
作詞:サトウハチロー 作曲・編曲:加藤和彦
6. 君のさがしもの/ EPO, 桜井鉄太郎
作詞・作曲:EPO 編曲:桜井鉄太郎
7. 言い出せずにいるけど -LET IT SHINE ON YOU / 上田正樹
作詞・作曲:上田正樹 編曲:朝本千可
8. Bolero / 林英哲,茂木大輔
作曲:M.ラヴェル 編曲:久石譲
9. PRIMITIVE / 近藤等則
作曲・編曲:近藤等則
10. Ave Maria / 米良美一
作曲:G.カッチーニ 編曲:長生淳
11. Adagietto ”マーラー交響曲第五番第四楽章” / 藤原真理, 山洞智
作曲:G.マーラー 編曲:久石譲
12. 鮮やか ~Asian Dream Song~ / ドリアン助川 with 久石譲
作詞:ドリアン助川 作曲・編曲:久石譲
Produced by 久石譲
Except (M-5) by 加藤和彦
最高!