2014年9月公開予定 映画「柘榴坂の仇討」
原作:浅田次郎 監督:若松節朗 音楽:久石譲 出演:中井貴一 阿部寛 広末涼子 他
人気作家・浅田次郎の『柘榴坂(ざくろざか)の仇討(あだうち)』が9月に映画化される。主演の中井貴一ほか、阿部寛、広末涼子、中村吉右衛門ら豪華俳優陣が共演する。さらに音楽を久石譲が務めることが明らかになった。
『柘榴坂の仇討』は、2004年に発表された浅田次郎の短編集『五郎治殿御始末』の中でも名作と言われている一編。今回の映画化では、ドラマ『やまとなでしこ』『救命病棟24時』や映画『沈まぬ太陽』などで知られる若松節朗監督が指揮を執る。
時は、安政7年。彦根藩士・志村金吾(中井貴一)は、時の大老・井伊直弼(中村吉右衛門)の“御駕籠回り近習役”として仕えていたが、雪の降る桜田門外において水戸浪士たちに登城行列が襲われ、眼の前で主君を失ってしまう。両親は自害し、妻・セツは酌婦に身をやつすも、金吾は切腹も許されず、仇を追い続ける。
そして13年が経った明治6年――逃亡した浪士たちが次々と命を絶ち、仇討が政府に禁じられるなか、ついに金吾は最後の仇のひとり・佐橋十兵衛(阿部寛)を探し出す。十兵衛は“俥(くるま)引きの直吉”として名を変え生き永らえていた。金吾を乗せた直吉の俥は、雪の降り積もる柘榴坂に向かうのだが…。
主人公の志村金吾役は、浅田作品『壬生義士伝』にも出演した中井貴一。大きな時代のうねりの中、不器用ながらも武士としての“矜持”…誇りと覚悟を持ち続ける“最後のサムライ”を演じることとなる。金吾の仇である佐橋十兵衛(直吉)を俳優の阿部寛、金吾の妻・セツを女優の広末涼子、大老・井伊直弼を歌舞伎役者の中村吉右衛門が演じる。中村は『鬼平犯科帳』以来19年ぶりの映画出演となる。
主演の中井貴一は自身の役について「江戸から明治へと日本が大きく変わろうとした激動の時代。武士道の根幹である武士の“忠義”を貫き、不器用にも自らの誇りをかけて生き抜いた金吾。彼は家族と妻の大きな愛情に包まれ、その時代と向き合うべく必死に生き、そして、己の結末をつけます」と説明し、「時代劇離れと言われる昨今、日本人が本来持っている本当の“こころ”の文化のようなものを力一杯注ぎ込んで、お客様に何かを感じていただけるような映画にできたら良いなと思っています」と語る。
一方、井伊を手にかけた後、負い目を感じながら俥引きとして生きる孤独な男・十兵衛役の阿部寛も「久しぶりの時代劇で身が引き締まる思いがしています」とコメント。演じる直吉についても「侍のなりをしていない侍であり、人間の弱さを併せ持つ男」と説明し、「深い人間像をどこまで出せるか、難しい役ですがとても演じがいを感じています」と意気込んでいる。
金吾の妻セツ役の広末涼子は「本当に素晴らしい脚本、監督、出演者の方々に囲まれ、女優として最高な現場を経験させていただいています」と喜びのコメント。「脚本と、自分の気持ちに正直に演じきることができたら、間違いなく歴史に残る日本映画になる気持ちがしています。一生懸命頑張ります」と誓った。
若松監督は「一生懸命生きる人が、この映画の主人公です。テーマになる言葉を探せば、たぶんそれは”矜持(きょうじ)”。つまり、人としての誇りと覚悟ということになるでしょうか」と作品について説明。「自らの誇りを貫いた侍たちに、思いっきり心を洗われました。圧倒する雪景色の中で、激しさと熱さ、そして抑制された俳優たちの静謐(せいひつ)な芝居を、しっかり、とらえていこうと思います」と話している。
なお、1月5日にクランクインし、クランクアップは2月を予定。撮影は京都や滋賀で行われている。
9月に松竹の配給で全国公開される。
公式サイト:映画「柘榴坂の仇討」