久石譲が5月に再度来台、「風立ちぬ」の管弦楽組曲ニューバージョンのほか、「Orbis」、ベートーベンの「第九」などが披露される。
台湾でも公開され好評を博した宮崎駿さん監督のアニメ大作「風立ちぬ」は、「千と千尋の神隠し」、「ハウルの動く城」、「崖の上のポニョ」など他の宮崎作品と同様、久石さんが音楽を担当。優美な楽曲のゆったりとした旋律は壮大な画面とマッチし一層観衆の心に残るものとなっている。
一曲一曲の創作に全力を尽くし、自分を極限まで追い込んで全ての感覚を働かせ納得の行く作品を作り上げるという久石さん。5月の台湾公演では本来の計画を変更し、書き下ろしの「風立ちぬ」管弦楽バージョンを世界に先駆けて台湾のファンに届ける。この新バージョンはサントラ版を基軸にしながらもストーリーに合わせて曲を再構成したもので、人はどんな時もどんなことがあっても「生きねば」、とする作品のテーマを表現する。
“環”や“連係”を意味する「Orbis」(オルビス)は久石さんが「第九」に捧げる序曲として2007年に書いた自作曲。華麗な曲風で水面にしたたる水滴がもたらすさざ波、“環”をイメージしており、久石さん自ら難度の高い作品だとしている。
公演はベートーベンの交響曲第9番「合唱付き」(歓喜の歌)で締めくくられる。久石さんはこの曲は最小限の素材で作られ、情に流されることなく音楽の形式を重んじるベートーベンの姿勢がにじみ出ており、4つの楽章を通して「生きる勇気」を観客に感じてほしいとしている。
(台北 12日 中央社)