Info. 2017/04/18 「アートメントNAGANO 2017」詳細情報を先行でアップ!(公式サイト)

長野市から発信する夏の音楽フェスティバル「アートメントNAGANO 2017」が今年もやってきます!特設ウェブサイトも現在準備中。先行で情報をこちらでアップいたします。

一部の公演を除き、チケット発売は、
4月20日(木)10:00〜 NCACチケットオンライン先行発売
4月22日(土)10:00〜 一般発売

ぜひ、ご覧ください! “Info. 2017/04/18 「アートメントNAGANO 2017」詳細情報を先行でアップ!(公式サイト)” の続きを読む

Blog. 「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」 久石譲 インタビュー内容

Posted on 2017/04/12

「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」に掲載された久石譲インタビューです。

どの時期の話かはすぐにわかると思います。楽曲制作における譜面やデモ音源の工程、指揮者としてピアニストとしてレコーディングするときの難しいところ、かなり深いところまで読みごたえ満点です。またピアノの響きの好みや、影響を受けたピアニストまで。

 

ひとつだけ先に書いてしまいます。

 

久石:
「メロディは記憶回路なんですよ。記憶回路であるということは、シンプルであればあるほど絶対にいいわけです。メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは、自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作る。表面はシンプルで分かりやすいんだけど、水面下は白鳥みたいにバタバタしてるんです。」

 

このお話はTV番組「笑っていいとも!」テレフォンショッキング出演時にも、CM中タモリさんと話していた内容です。時期は異なります。エピソードとしてJOE CLUB会報にあったように記憶しています。

久石譲音楽が久石譲音楽たらしめる、ひとつの核心のような気がします。感覚だけに流されない計算しつくされた緻密な音楽構成、久石譲が言うところの「論理が95%」というところなのでしょうか。凄みで身震いします。

 

それではご紹介します。

 

 

久石譲 Joe Hisaishi  interview

宮崎駿、北野武監督作品などの映画音楽を手掛けたことで幅広く知られる久石譲。彼が映画やCMのために提供した楽曲を中心にオーケストラで再演するという”WORKS”シリーズの第3弾、『WORKS III』がリリースされた。昨年公開された大ヒット映画「ハウルの動く城」のテーマ曲「Merry-go-round(人生のメリーゴーランド)」や、CMでおなじみの「Oriental Wind」、バスター・キートンのサイレント映画に久石が新たに音楽を加えカンヌ映画祭で話題となった「GENERAL」など、久石ワールドを堪能できる1枚だ。ここでは新作について、さらには作曲やピアノについて久石本人に大いに語ってもらった。また、P.134からは「Birthday」のピアノ・スコアも掲載しているので、そちらも併せてチェックしてほしい。

 

メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作るんです

 

映像と対でしか存在しない映画やCM音楽がしっかり作られているのを確認してほしい

-”WORKS”シリーズではCM音楽や映画のために書いた楽曲を中心に取り上げていますが、映画などとは独立した作品としてレコーディングを行ったのでしょうか?

久石:
「そうですね。作られた目的が映画でもCMでも構わないんですけど、それを独立した楽曲として成立させるということは音楽家としてやらなきゃいけないことなんです。どうしても映像と対になってしか存在しないという映画音楽やCM音楽が、実はしっかり作られているというのを確認してもらうには、こういうシリーズが必要なんですね。」

 

-アレンジもオリジナルとは変えていますね。

久石:
「全体的にサウンドを少し厚くゴージャスにしています。映画の場合、音楽にいろいろな要素を入れ過ぎてしまうとセリフとぶつかってしまうんです。オリジナルでは主旋律だけしかない曲に、オブリガートのメロディを足すなどの作業はしていますね。」

 

-今回の『WORKS III』で新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラを選んだ理由を教えてください。

久石:
「もう長い付き合いなんですが、現在はワールド・ドリーム・オーケストラの音楽監督もやっているので、一番表現しやすい最高のオーケストラなんです。」

 

-オーケストラのアレンジは譜面に書いていくのですか?

久石:
「今はコンピューターで打ち込んだものを、譜面作成ソフトのメイク・ミュージック!Finaleなどで譜面に起こしていますね。ここ3年くらいは、やらなきゃいけない量が膨大なので、全部譜面を手書きしている時間がないんですよ。」

 

-ラフに打ち込んでいく感じですか?

久石:
「譜面になるギリギリのところまで緻密にやります。シンセだとやっぱり最終的に人間が演奏したときとは違いますが、それにしてはクオリティはめちゃくちゃ高いですよ。弦もフォルテ、ピアノ、ピチカート、デタシェ、トレモロなど細かいところまで表現しますね。あんまりラフだと次のアイディアが出てこないでしょ? 僕が作ったデモは、だいたい”このままで完成ですよね?”って言われるんですけど、そこから全部生の演奏に差し替えるんです。」

 

-以前のインタビューで、サウンドトラックなどでは生のストリングスにシンセのストリングスを混ぜることもあると話されていましたが、最近でもそうなのでしょうか?

久石:
「最近はフルオーケストラがものすごく好きなので、基本的にはオーケストラだけで成立するようにしていますね。ただ、つい最近やった韓国映画「ウェルカム・トゥ・トンマッコル」の音楽では、リズム・ループやサンプリング音源などを結構使っています。レコーディングは沖縄に行ったんですが、おかげでエスニックなリズムとオーケストラ・サウンドの融合みたいな感じに仕上がっていますね。”何で寒い冬場の戦争シーンで沖縄音階が流れるんだ”っていう(笑)。」

 

-『WORKS III』では久石さんがピアノを弾いているのですか?

久石:
「「人生のメリーゴーランド」のメロディなど、ソロの部分はだいたい僕が弾いてますね。それ以外はオーケストラのピアニストに弾いてもらっています。」

 

-レコーディングで使用したピアノは?

久石:
「すみだトリフォニーホールのスタインウェイです。響きを大事にしたかったので、スタジオではなくホールで録音しました。」

 

-一発録音ですか?

久石:
「指揮しながらピアノを弾いていると、そこが難しいんですよね。まず、オーケストラを録って、リズムがちゃんと感じられる部分はあとでピアノをかぶせようと思うんですが、なかなかニュアンスが一緒にならない。相手が出す音に対してこっちが反応し、こっちが出した音に相手が反応するのが音楽なのに、ダビングするとその双方向のコミュニケーションがなくなってしまう。「DEAD」の第4楽章は最初にオーケストラと録ったときにうまくいかなかったので、”すみません”って言って、翌日もう1回オケと一緒に録り直しました。自分で指揮をしているから分かってるつもりなんですけど、実際に自分が弾いた音にオケが反応するのと、別々で録音するのでは全然違いますね。クリックを使っていないので、オーバーダビングするにしても簡単じゃないですし。本当は同時録音がいいんですが、指揮とピアノを両方やっているとどちらも中途半端になりがちなんです。その辺をいつもレコーディングの直前までどうするか悩んでいるんですよ。」

 

低音がベーゼンドルファーで高音はスタインウェイが理想のピアノ

-小さいころはバイオリンを習っていたそうですね。

久石:
「4歳から12~3歳くらいまで習っていました。」

 

-最初にピアノを弾いたのはいつでしょうか?

久石:
「同じころです。そんなにピアノをメインにやってはいなくて、触ってたくらいですね。」

 

-では、ピアノをメインに演奏するようになったのは?

久石:
「音大を受験するためにピアノをやらなきゃいけなかったので、それからだと思いますね。」

 

-ピアノの響きの好みを教えてください。

久石:
「僕のスタジオにあるスタインウェイがすごく気に入っています。今のスタインウェイってペダルがきつくて、カクンカクンと持ち上がるんですが、今僕が使っているモデルは、どちらかというと昔のタイプなので、ペダルのスプリングがすごく弱いんです。だから自然にペダル操作ができる。あと、音もきらびやかじゃなくて、ホワンとしています。僕がアルバムでピアノを弾くときは、ほとんどそのピアノですね。ただ、楽曲によってもっと派手な音が欲しいときは、別のスタインウェイを用意してもらうこともあります。あと、好きなのはアルバム『ETUDE』などで使ったオペラシティのスタインウェイ。あそこのピアノはすごくいいですよ。最近はベーゼンドルファーを全然弾かなくなっちゃいました。低音鍵盤があるモデルではその分響きが豊かだから、昔は好きだったんですけどね。理想のピアノは真ん中から低い音がベーゼンで、高い音がスタインウェイ(笑)。」

 

-普段からピアノの練習をしていますか?

久石:
「僕は季節労働者ですね(笑)。コンサートがないと練習しない。映画音楽の制作に入ってしまうと、時間がないので全然弾かないこともあります。コンサートと近くなってくると1日8~10時間練習することもあるんですが、今年の夏のコンサートはオーケストラの指揮が大変なので、弾けても1日2時間くらいがやっとですね。」

 

-どういう練習をしているのでしょうか?

久石:
「人には聴かせられないけど、ハノンの鬼って言われるくらいにハノンをやってますね(笑)。」

 

-ピアニストとして影響を受けた人はいますか?

久石:
「大学時代はジャズのマル・ウォルドロンが大好きだったんです。彼は音色のニュアンスに富んだ人じゃないんだけど、しっかりした素朴なタッチがいいでしょ。耳コピで「レフト・アローン」なんかを弾いてましたからね。」

 

-マル・ウォルドロンとは意外ですね。

久石:
「かもしれないですね。『Piano Stories』の直線的にカンと弾くピアノの弾き方ってほとんどマル・ウォルドロン的ですよ。最近ちょっとうまくなったので、もう少し細かいニュアンスも表現できるようになりましたけど、あのころはストレートな演奏が好きだったんです。シンプルであるって強いですよね。最近好きなピアニストはミシェル・カミロ。トマティートというギタリストと共演した『スペイン』という作品を、毎晩聴いていた時期もりました。あとは、キース・ジャレットの『ザ・ケルン・コンサート』もいいですよね。」

 

人間の体で言うとメイン・テーマは顔 その世界観に合わせて手足を作っていくんです

-久石さんの作品は、いずれもメロディはシンプルでありながらオリジナリティを強く感じるのですが、曲作りで意識していることはありますか?

久石:
「メロディは記憶回路なんですよ。記憶回路であるということは、シンプルであればあるほど絶対にいいわけです。メロディはシンプルでもリズムやハーモニーなどのアレンジは、自分が持っている能力や技術を駆使してできるだけ複雑なものを作る。表面はシンプルで分かりやすいんだけど、水面下は白鳥みたいにバタバタしてるんです。」

 

-メロディから曲を作ることが多いのですか?

久石:
「毎回違いますね。ポーンとメロディが浮かぶこともあれば、最初にリズムが出てきたり、ハーモニーからメロディをひっぱり出すこともある。あえてパターン化しないようにしています。」

 

-映画とCMの音楽制作はどこが違うのでしょうか?

久石:
「映画は2時間でストーリーを組み立てるから、全体の構成力が一番重要です。一方、CMは15秒くらいで終わってしまうので、どうやって瞬間的に見ている人の心をつかむかが大事。映画はお金を払って見に行くから、いやが応でもジッと見ていますけど、テレビだとトイレに行ったりビール飲んだり、つまらなければチャンネルを変えられてしまいますからね。」

 

-映画では映像が出来上がってから、曲を合わせるのですか?

久石:
「脚本を読んで監督がどういうものが作りたいのかを把握した上で音楽の方向性を決めて先にテーマを作っていくケースや、全部映像が完成してから一気に作っていくケースなど、これもあまりパターン化しないようにやってますね。」

 

-やはりメイン・テーマの制作には一番力が入るのでしょうか?

久石:
「人間の体で言うとメイン・テーマは顔みたいなもの。これをまずしっかり作って、あとはその楽曲の世界観に合わせて手足を作っていくんです。ある程度メイン・テーマができちゃうと楽ですね。最初にテーマを作るのが理想なんですけど、できないときもあるんですよ。」

 

-CMの場合はいかがでしょうか?

久石:
「CMは頭の7秒ぐらいが勝負。その場合はメロディよりもむしろサウンドが大事だったりすることもあるので、音色選びには時間をかけます。あとは、新鮮なネタみたいなものはすごく意識しています。ピアノ1台でも印象に残るフレーズってありますしね。」

 

(「キーボード・マガジン 2015年10月号 No.329  Keyboard Magazine October 2005」より)

 

 

 

Blog. NIKKEI STYLE「1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん」インタビュー内容

Posted on 2017/04/01

3月31日付、NIKKEI STYLE「あの人が語る 思い出の味」にて、久石譲のインタビューが掲載されました。普段あまり語られることのない音楽以外のお話、私生活の一面をのぞかせる興味深い内容です。

 

 

あの人が語る 思い出の味
1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん
食の履歴書

妥協は絶対に許さない。他人にも厳しいが、自分にはもっと厳しい。常に全力投球。そんなストイックで孤独な音楽活動を支えてきたのが普段、意識していなかった妻の家庭料理。「1日2食」と決めてから43年。「小さな病気一つしない」と健康の原動力になっている。

 

■深夜まで仕事場にこもる夜型人間

音楽の鉄人の朝は遅い。

「深夜まで仕事場にこもってひたすら作曲に取り組む夜型人間」だから、家族と一緒に朝食を取ることはほとんどない。妻が作り置いてくれた朝・昼兼用の手料理を電子レンジで温め直し、自宅のキッチンで独りで黙々と食べる。

食卓にのぼるのは繊維質や海産物が多いメニュー。ワカメやホウレンソウがたっぷり入った味噌汁に七分づき米のご飯、そして焼いたシャケやサバの味噌煮が添えられる。

ゴボウやニンジン、シイタケなどを酢飯に混ぜたちらしずしも大好物。「余計な塩分や油分をなるべく減らした健康食材ばかり。特にこだわりはないので食卓に出されるまま何も考えることなく料理を食べてきた」と振り返る。

1歳下の妻とは国立音大で出会った。生まれ育った環境の違いから価値観が衝突することも多かったが、売れない時代を支えてくれた恩人だ。卒業と同時に結婚。それ以来、「1日2食」というリズムはまったく変えていない。

 

■「食事のことを考えている余裕はない」

「音楽というのはそんなに生易しいものじゃない。正直、食事のことなんて考えている余裕はほとんどないよ」

「しっかり食べれば1日2回で十分。3回も食べていたら過食になってしまう」

84年の「風の谷のナウシカ」から「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などアニメ映画の音楽をずっと任せてくれた宮崎駿監督とも一度も食事をしたことがないそうだ。

自分を究極まで追い込み、絞り出したメロディーを鍛え、全身全霊で1つの作品に磨き上げる。そんな求道者のような音楽活動が続けられるのは「毎日、健康食を食べてきたおかげ」と実感している。

長野県北部で生まれ育った。少年時代を過ごした中野市はリンゴやエノキダケなどの有名な産地。「シャボン玉」「あの町この町」を作曲した中山晋平や「故郷」「朧月夜」を作詞した高野辰之らの出身地としても知られている。

実は筆者も少年期を中野市で送った信州人である。だが故郷の話に触れると即座に不愉快そうな表情を浮かべ、こちらをジロリとにらんだ。

「僕の音楽を信州と結びつけたがる記者が多くてね」

母の料理もやたらに味が濃くて好きではなかったという。野沢菜やたくあん、煮詰めた濃い味噌汁、焼き魚とご飯……。子供心にあまりおいしいとは思えなかったらしい。

 

■小学校時代に見た膨大な映画、音楽活動の原点

だがこの時期に映画やジャズ、バイオリンなど音楽と出合う。高校教師の父に連れられて映画館によく出かけた。

「小学校時代はまさに映画の黄金期。公開される映画はほとんど見ていた。東映のチャンバラ劇も日活のアクション映画も大好きだった」

このころ見た膨大な映画の蓄積が今の音楽活動の原点になっている。4歳から習い始めたバイオリンで楽器に目覚め、ピアノ、吹奏楽、ギターを学び、高校時代には月2回、作曲家を目指して東京の先生のもとへ和声学や対位法などのレッスンに通い続けた。

体力的にはかなりきつかったが、信越線の横川駅で買った駅弁の釜めしの味が何とも懐かしい。列車の旅の中間点でちょうど腹がすく時刻。ウズラの卵、鶏肉、シイタケ、タケノコ、紅ショウガ……。益子焼の容器にしょうゆで味付けした炊き込みご飯に舌鼓を打った。「青春の味。懐かしいから今でも時々、食べている」と顔をほころばす。

2016年に長野市芸術館の芸術監督を引き受けたのは「自分の音楽経験をそろそろ故郷に還元してもいいかな」と感じたから。国内外で活躍している演奏者約40人を集めて「ナガノ・チェンバー・オーケストラ」を立ち上げた。目下、7月15.17日予定の演奏会の準備に余念がない。

2月の演奏会では本番直前に転倒して左手を骨折するアクシデントに見舞われた。「結構痛かった」が、2時間も指揮棒を振り続け「気がついたら左手がパンパンに腫れ上がっていた」と豪快に笑う。

頑固でコワモテ。理屈屋で負けず嫌いのへそ曲がり。だが決して冷たくはない。この記事を読んだら本人は怒るかもしれないが、音楽の鉄人にはやはり典型的な信州人の血が流れている気がする。

 

■焼き鳥で仲間と乾杯

30年近く通っているのが東京・西麻布の交差点に近い焼鳥屋「鳥とも」(電話03・3409・9808)。22席のこぢんまりとした店だが「気取らない雰囲気が気に入っている」。

ねぎま・ぼんちり・つくね・ぎんなん・手羽先・かわ・砂肝の7本の「焼き鳥コース」(1750円税抜き)、錦サラダ(1050円)、煮込み(700円)が必ず頼む定番メニュー。

キュルキュルした食感のかわや焦げ目が香ばしいぼんちりなどが美味。紀州備長炭を使い「1981年の開店以来、メニューはほぼ変えていない」と店長。

カウンターの一番奥が久石さんの指定席で仕事仲間や友人らと愉快に酒杯を傾け、最後は鳥スープめん(500円)で締める。店内にはビルの所有者だった写真家、故・秋山庄太郎さん直筆の看板も飾られている。

 

久石さんお気に入りの錦サラダ、焼き鳥(東京都港区の鳥とも)

 

■最後の晩餐

もちろん洋食も嫌いじゃないけど、日本人だからやはり最後は和食がいいかな。頭に浮かぶのは、いつも食べ慣れている女房の手料理。豆腐と薄味の味噌汁に温かい白米か炊き込みご飯、そこにお新香や焼き魚、煮魚が付いているような普通の朝食が落ち着きます。

(編集委員 小林明)

(NIKKEI STYLE より)

 

Info. 2017/03/31 ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO) 公式ウェブサイト オープン

ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO)の公式ウェブサイトがオープンしました。公演情報・ニュース・NCOやメンバーの紹介など、今後随時アップしていくとのことです。 “Info. 2017/03/31 ナガノ・チェンバー・オーケストラ(NCO) 公式ウェブサイト オープン” の続きを読む

Info. 2017/04/23 「プラハ映画音楽フェスティバル2017」久石譲スペシャルコンサート決定!! 【3/31 Update!!】

2017年4月21日から23日までチェコの首都プラハで開催される「プラハ映画音楽フェスティバル2017(原題:Film Music Prague festival 2017)」。今回のフェスティバルに久石譲がゲストとして招かれ、23日(日)プラハのフォーラム・カルリーンでシンフォニックコンサートが開催されることが決定しました。久石譲指揮によるプラハでの初コンサートです。ガラコンサート「THE WORLD OF JOE HISAISHI」と題しジブリ作品から北野武作品まで、まさにスペシャルなプログラムとなっています。 “Info. 2017/04/23 「プラハ映画音楽フェスティバル2017」久石譲スペシャルコンサート決定!! 【3/31 Update!!】” の続きを読む

Info. 2017/05/18,19 「久石譲 & ミッシャ・マイスキー コンサート」(台北)開催決定! 【3/31 Update!!】

Posted on 2017/01/21

久石譲の海外公演が決定しました。今年の台北公演は、世界的チェリスト:ミッシャ・マイスキーとのコラボレーション・コンサートです!

 

【2017/03/31 追記】
予定プログラムが一部変更になりました。 “Info. 2017/05/18,19 「久石譲 & ミッシャ・マイスキー コンサート」(台北)開催決定! 【3/31 Update!!】” の続きを読む

Info. 2017/03/31 NIKKEI STYLE 「1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん」 掲載

NIKKEI STYLE「あの人が語る 思い出の味」にて、久石譲のインタビューが掲載されています。普段あまり語られることのない音楽以外のお話、私生活の一面をのぞかせる興味深い内容です。ぜひご覧ください。 “Info. 2017/03/31 NIKKEI STYLE 「1日2食、鉄人の流儀 久石譲さん」 掲載” の続きを読む

Blog. 「久石譲 オーケストラ・コンサート with 九州交響楽団」コンサート・レポート

Posted on 2017/03/25

3月20日開催「久石譲 オーケストラ・コンサート with 九州交響楽団」コンサート・レポートです。久石譲が初めて訪れる地、本公演前にはロビーコンサートが開催されるなど、開演前から並々ならぬ熱気と期待感に包まれたコンサート会場でした。

 

まずは演奏プログラムのセットリスト・アンコールから。

 

久石譲 オーケストラ・コンサート with 九州交響楽団

[公演期間]  
2017/03/20

[公演回数]
1公演
宮崎・都城市総合文化ホール 大ホール きりしま

[編成]
指揮:久石譲
管弦楽:九州交響楽団

[曲目]
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
チェロ/長谷川彰子(九州交響楽団 首席奏者)

—-intermission—-

久石譲:TRI-AD ~for Large Orchestra~
久石譲:Symphonic Poem NAUSICAÄ (交響詩「風の谷のナウシカ」2015)

—-encore—-
久石譲:Kiki’s Delivery Service for Orchestra

 

 

さて、個人的な感想やレビューはあとまわし、当日会場で配られたコンサート・パンフレットから、本公演を紐解いていきます。

 

 

都城の皆さん、こんにちは。
都城は初めて訪れますが、ここで演奏することを心より楽しみにしています。本日は自作曲を2曲と、ドヴォルザークを演奏します。まず私から、自作曲の解説をさせていただきます。

 

久石譲 TRI-AD ~for Large Orchestra~
作曲にあたって、最初に決めていたことは3つです。まず祝典序曲のような明るく元気な曲であること、2つめはトランペットなどの金管楽器でファンファーレ的な要素を盛り込むこと。これは祝祭感を出す意味では1つめと共通することでもあります。3つめは6~7分くらいの尺におさめたいと考えました。

そして作曲に取りかかったのですがやはり旨くいきません。コンセプトが曖昧だったからです。明るく元気と言ったって漠然としているし、金管をフィーチャーするとしてもどういうことをするのかが問題です。ましてや曲の長さは素材の性格によって変わります。

そんなときに思いついたのが3和音を使うことでした。つまりドミソに象徴されるようなシンプルな和音です。それを複合的に使用すると結果的に不協和音になったりするのですが、どこか明るい響きは失われない。ファンファーレ的な扱いも3和音なら問題ない。書き出すと思ったより順調に曲が形になっていきました。そこで総てのコンセプトを3和音に置きました。それを統一する要素の核にし、約2週間で3管編成にオーケストレーションしました。

「TRI-AD」とは3和音の意味です。曲は11分くらいの規模になりましたが、明るく元気です。この曲は2016年5月8日に長野市芸術館のグランドオープニング・コンサートで世界初演されましたが、その後関西フィルハーモニー管弦楽団などで演奏されています。今回、九州交響楽団のみなさんと演奏する事をとても楽しみにしています。

 

久石譲 Symphonic Poem NAUSICAÄ (交響詩「風の谷のナウシカ」2015)
1984年に公開された『風の谷のナウシカ』は宮崎さんのために最初に書いた音楽です。ですから人一倍思い入れがあります。1997年アルバム「WORKS・I」として初めて交響組曲にまとめ、ロンドン・フィルハーモニック管弦楽団でレコーディングしました。2015年に宮崎作品を全曲組曲化するプロジェクトをW.D.O.(ワールド・ドリーム・オーケストラ)と開始してこれがその第2弾となりました。以下は今回の音楽ディレクターK氏の書いたコメントですがおもしろいので以下に掲載します。

「2015年夏に久石が音楽監督をつとめるワールド・ドリーム・オーケストラのため、自身の手で交響詩として生まれ変わらせた。地雷のごとく叩かれる冒頭のティンパニ。ピッコロの悲痛な叫びは大地を焦がす大爆発を導く。その後におとずれる後悔と悲しみは弦楽器に引き継がれ大地の嘆きを奏でる。トランペットのファンファーレに続き、バロック風モチーフが木管楽器と低音楽器群で奏でられる。まさにナウシカへのレクイエムである。最後はナウシカの再生を喜び合う人々が「生きている」ことを実感する壮大な音楽で結ばれる」

なるほど、人それぞれの感じ方があります。聞いていただいた人の中で新たなストーリーができたら幸いです。

久石譲

 

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
チェロ協奏曲としてはもっとも多く演奏され、もっとも愛されている曲である。作曲技術においても内容面においても非常にすぐれており、ブラームスをして「こんなチェロ協奏曲が人間の手で書けるということを、私はどうして気がつかなかったのだろう」と嘆息せしめた。

ニューヨーク・ナショナル音楽院校長としてのアメリカ滞在中(1982-95)の作品である。アメリカの黒人音楽やネイティヴ・アメリカンの音楽から想を得た親しみやすい旋律が多く、それらは主題としてだけでなく、主題間のつなぎのためのパッセージなどにおいても現れる。このことは同じアメリカ時代の作品《交響曲第9番「新世界より」》においても同じである。

第1楽章はロ短調、アレグロ、協奏的ソナタ形式(提示部が管弦楽のみとそれに独奏が加わった2つの部分から成る)。冒頭、クラリネットで演奏される第1主題は、多様な変奏に耐え得る明確な特徴を持つきわめて魅力的なものである。第2楽章はト長調、アダージョ、三部形式。冒頭の木管合奏による主旋律が美しい。その対比で中間部での管弦楽総奏による短調の主題が情熱的に迫ってくる。第3楽章はロ短調、アレグロ・モデラート。独奏チェロによって提示される主要主題が何回か循環的に現れる点でロンド形式と見なすことができる。が、そうした形式把握よりもこの主題を含むいくつかの主題の多様で魅力的な音楽に耳を傾けたい。

[解説] 中村滋延(作曲家・九州大学名誉教授)

(「久石譲 オーケストラ・コンサート with 九州交響楽団」コンサート・パンフレット より)

 

 

さて、冒頭でもお話したように本公演前のロビーコンサートの様子からお伝えします。

本公演に入場できない小さなお子さん向けに企画された無料ロビーコンサートにしてオール・ジブリ・プログラム。もちろん誰でも聴くことができ、たくさんの方が早くから来場しにぎやかな空間となっていました。

 

特別企画 九響の弦楽アンサンブルによるロビーコンサート

14:00~14:30 1Fマルチギャラリー

久石譲 となりのトトロ (「となりのトトロ」より)
久石譲 風のとおり道 (「となりのトトロ」より)
久石譲 もののけ姫 (「もののけ姫」より)
木村弓 いつも何度でも (「千と千尋の神隠し」より)
久石譲 いのちの名前 (「千と千尋の神隠し」より)
久石譲 君をのせて (「天空の城ラピュタ」より)
木村弓、久石譲 世界の約束~人生のメリーゴーランド (「ハウルの動く城」より)

第1ヴァイオリン/扇谷泰朋、齋藤羽奈子
第2ヴァイオリン/佐藤仁美、荒川友美子
ヴィオラ/猿渡友美恵、田邉元和
チェロ/石原まり、重松恵子
コントラバス/井上貴裕

 

広い1Fロビー空間の奥にステージが準備されていました。

 

 

何がすごかったか。通常ロビーコンサートは本公演前のウェルカムコンサート、来場した観客をお出迎えといった感じの雰囲気なのですが、今回の特別企画はもうひとつのコンサートと言ってもいいくらい熱気と拍手に包まれた空間でした。

また、個人的にびっくりしたのは、その弦楽アンサンブルにコンサートマスターも参加されていたことです。通常ロビーコンサートは四重奏や五重奏などのアンサンブルが多いなか、9名で奏でる弦楽合奏なうえに第1ヴァイオリンにコンサートマスターというなんとも贅沢なもの。たくさんの人に音楽を楽しんでもらいたい、子供から大人まで本物の音を届けたい、そして本公演へのムードづくり。久石譲にとっても観客にとっても”お出迎え”となった、素晴らしい主催者企画ですね。

 

200人?300人?多くの説明を必要としない光景です。

 

 

 

ドヴォルザーク チェロ協奏曲 ロ短調 op.104
交響曲ばりの迫力ある作品です。紅いドレスに包まれたソリスト、小柄な可愛らしい印象とは対照的な重厚で流麗なチェロの響きでした。張りつめた緊張感と放たれたオーラで、一瞬にして観客を別世界へと誘ってくれました。

第1楽章後に観客からの拍手が起こるというハプニングもありましたが、それほどに拍手せざるを得ない空気があったのだと思います。地響きがするほどの臨場感で圧倒されてしまった。もちろん開演前のお決まりのアナウンス(楽章間の拍手はご遠慮ください)はありましたけれど、それを作法ととるのかルールとしてしまうのか。指揮者もオーケストラも楽章間の呼吸を整えるのに大変だったとは思いますが、何が起こるかわからない一期一会な演奏。お互いに空気を感じとりながらみんなで最高のコンサート空間をつくりあげていく、そんなことを感じた心あたたまる瞬間でした。

 

久石譲 TRI-AD ~for Large Orchestra~
よく響くホールに元気なオーケストラ。どの楽器セクションも浮き出るほどの大迫力な演奏。何度聴いても新しい発見のある作品です。オーケストラも変われば、座席も変わります。今回も目に耳に忙しく集中しながら、「あっ、ここでこの楽器たちはこんなことやってたんだ」と目に入ってこないと耳にも聴こえてこない音もたくさんあります。最後までワクワク感の止まらない万華鏡のようです。

 

久石譲 Symphonic Poem NAUSICAÄ (交響詩「風の谷のナウシカ」2015)
本公演では合唱なし編成、アルバム「The End of The World」でも聴くことができない貴重なヴァージョンです。たとえば「蘇る巨神兵」パート、管弦楽だけの迫りくるグリッサンドから醸される不協和音と鼓動も迫力満点でしたし、「遠い日々」のコーラスとはまた違った弦楽ピッチカートやグロッケンシュピールの響き。そこから金管楽器などに流れ発展していく様は、まるでバロック音楽のような一層の厳かささえ感じ、とても得した気分です。オーケストレーションは同じ、合唱なしでも成立してしまう音楽構成になっているというすごさです。久石譲と九州交響楽団による壮大なシンフォニー。大きな動きで演奏する管弦楽を見て、ナウシカを演奏することを心から楽しんでいる、そんな想いが十二分に伝わってきました。

 

—-encore—-
久石譲 Kiki’s Delivery Service for Orchestra
ナウシカの余韻で拍手喝采のなか、「もう1曲やる?」とジェスチャーで観客に合図を送り、笑顔で指揮台にあがる久石譲。コンサートプログラムとしてもアンコールとしても人気の「魔女の宅急便」です。弾むような躍るようなシンフォニー。今日というこの日の特別なお届けもの。会場全体がぱっと明るくなる響きに、指揮者もオーケストラも観客も笑顔のたえない至福の音楽でカーテンコールとなりました。

 

 

 

今年は海外公演も多く予定されている久石譲です。日本各地で久石譲音楽を久石譲コンサートを待ちわびている人がたくさんいる、改めてそんなことを感じた1日でした。学生服姿から普段着まで「うちの街に来るなら、そりゃー行くでしょ!せっかくなら聴きたい!よし行こうか!」と聞こえてきそうな日常生活の装い。音楽が身近にある風景、しかもそこで体感できるのは極上の音楽。これから今年一年、どんな土地でどんなプログラムを演奏してくれるのか、楽しみです。

 

コンサートに行かれた方!行けなかった方!次こそはと誓った方!どしどしコメントやメッセージお待ちしています♪ 響きはじめの部屋 コンタクトフォーム または 下の”コメントする” からどうぞ♪

 

 

Overtone.第7回 「春・夏・秋・冬」四季:久石譲

Posted on 2017/03/21

ふらいすとーんです。

久石さんの夏をイメージする楽曲といえば「Summer」、春は「Spring」、秋と冬は真っ先に思い浮かぶ曲は人それぞれでしょうか。

久石さんは作曲をするときに何かをイメージして曲を書くことはない、とはっきり言っていますね。こんなふうに語っています。

 

95%は論理的、残りの5%が感覚
「夕日をイメージして作曲したんですか?」みたいなまねは死んでもしない。冗談じゃないよと。こっちが書いたものがよければ、それがちゃんと構成されていれば、そこから朝焼けを感じる人も夕焼けを感じる人もいる。こっちがイメージを押し付けるのは一番よくない。極力フラットに書く。感覚(的)だと思っていることの95%は論理的に解明できる。ただ残り5%ができない。その残りの5%を指して感覚と言いたい。」

SWITCH 達人達 久石譲 4

Blog. 「NHK SWITCH インタビュー 達人達 久石譲 x 吉岡徳仁」 番組内容紹介 より抜粋)

 

 

そうは言っても、なぜか聴くと心揺さぶられるものがある、記憶と直結するものがある、イメージをかきたてるものがある。それが久石譲の音楽です。

さて、数年前の話でしょうか。コンタクトいただいたファンの方からこんなことを言われました。「春に聴きたいとか、夏に聴きたいとか、久石さんの曲を特集しているのを見て、この人はヤバイなと思いました。」…”ヤバイな”は”スゴイな”だったかもしれません。でも、ここには”この人キてるな、イッちゃってるな”というニュアンスが含まれますね、はい。相当印象が強かったのかそれ以降もお話をするとき、たびたびこのことを言われます。同じようなニュアンスで、はい。今も楽しく交流させてもらっている大切なファン仲間です。

《久石譲 夏に聴きたい曲 2013》からはじめて《久石譲 秋に聴きたい曲 2014》まで春夏秋冬6回にわたり特集しています。そこで一旦止まっています。季節の変わり目にぴょこっとアクセスが増えます。チラ見でのぞいてみてください♪

 

なんて久石さんの音楽溢れるファンなんだ! なんて思ってもらえますか?実は、そんな万が一の共感をへし折ってしまうかもしれないことを告白します。

 

 

久石さんは200枚くらい、関連作品も入れると300枚を超えるCDを出していると思います(数えてないですけれど)。曲数に換算するとおそらく3000曲をゆうに超えると思います(数えられないですけれど)。これをCDとして保管するのも大変ですが、さて今日はどれ聴こうかな~♪ 1枚1枚引っぱりだすのも大変です。すると便利な昨今、パソコンやスマホに一挙大取込いつでもお手軽にPLAYボタンを押すだけOKです。いろいろ聴きたいからシャッフル・シャッフル~♪ …とてもすぐには思い出せない短い曲が流れてくる。…一向に期待している聴きたい曲にまわってこない。

そんな経験ないですか?

僕は春夏秋冬でそれぞれ4つのプレイリストを作っています。久石さんの音楽でもっと豊かに四季折々を感じたい。もちろんそれも!あります。でも、そんな感受性豊かなピュアな人という想像を覆す、現実的なことがもうひとつあります。久石さんの音楽を時代・ジャンルまんべんなく聴きたいからです。

CD作品ごとにメインテーマ曲やずっと聴きたいお気に入り曲ってありますよね。それを「これは春かなあ?これは秋かなあ?」とインスピレーションでプレイリストに振り分けているんです。200~300枚近くあるCDからピックアップした曲たち、それは曲を聴いただけでどのCDに入っているか連想できる主要曲でもあります。

するとどうでしょう。春夏秋冬一年をとおして”もれなくダブりなく”、四季折々を楽しみながらまんべんなく久石譲音楽に包まれることができます。つまりなかば規則正しく?! いや違いますね、自然な季節の移ろいと同じように、最低でも1年に1回は懐かしいあの名曲に耳を傾けることができる。埋もれずに忘れずに末永く愛聴する。季節はまた巡ってくるように久石さんの音楽たちも。流れてきた曲から「あのアルバムか。久しぶりに一枚通して聴いてみよう。」なんていうきっかけにもなってきますね。

なんとも論理的な理由からだったんです、という告白でした。現に《春に聴きたい曲 2014》には『東京家族 オリジナル・サウンドトラック』からメインテーマ「東京家族」がラインナップしています。2013年にリリースされて、サントラ盤をずっと聴いていた時期から落ち着いたときに、「うん、君は春ね。」と名札を渡されたわけです。そして2014年以降も毎年春には聴くことができる清らかな曲です。

 

ここで困ったことがひとつあります。どこにも落ち着く場所のない曲たちです。たとえば「Sinfonia for Chamber Orchestra」「DA・MA・SHI・絵」「The End of the World for Vocalists and Orchestra」「Links」など、ちょっと季節の名札を渡しにくい名曲たちです。そう、久石さんのなかでもエンターテインメントではない、オリジナル作品たちに多い。結局のところ、【春・夏・秋・冬+1】となっている僕のプレイリストです。ファンサイトで特集するときには、プレイリストのなかからマニアックな曲(サントラの小品にして逸品など)をあえて除外した主要曲でラインナップしたものを公開しています。

人によってはアップテンポ/スローテンポで振り分けていたり、メロディ/ミニマルで振り分けていたりするかもしれませんね。一度ファンのみなさんのプレイリストをチラ見してみたい気分です。もちろん四季:久石譲とは別に、普段からガンガン聴く旬な久石譲プレイリストもあります。なにはともあれ、もしオールタイムベストアルバムが発売されるとしたら、何枚組になるんだろう?CD-BOXかな?というくらい盛りだくさんな久石さんの名曲の数々です。

 

 

さて、《春に聴きたい曲 2017》特集の予定はありません。プレイリストには新たに追加されている曲に「Wave」があります。2009年宮崎駿監督に贈られた曲で三鷹の森ジブリ美術館のBGMでもあります。TVやコンサートなど数少ない特別な機会でしか演奏されてこなかった幻の名曲です。2015年ついに待望のアルバム収録が叶いました。

 

 

一度聴いたら忘れられない印象的な曲です。タイトルとおり寄せては返す波のように絶え間ない16分音符の流れとシンプルな旋律。波という形容よりも”揺らぎ”という表現をしたいです。感情の揺らぎ、時間の揺らぎ、呼吸の揺らぎ、記憶の揺らぎ。

卒業式・入学式をはじめとした門出の季節、新しい生活や新しい環境、新緑や木漏れ日の香り。自然においても人においても新しい芽吹きを感じるエネルギー。思い出のアルバムをめくるような気持ちにもなります。でもそこにはノスタルジーだけではない新しい決意、心穏やかに前向きな気持ちにさせてくれるピアノの響きです。

……

いや物申すっ!「私は夏の満天な星空をイメージしています。私は秋月や紅葉です。私は雪景色です。」そんな人もいますよね。もちろん季節や景色ではないプライベートな想いや世界観で、この曲に身も心もゆだねているという聴き方も。十人十色、そのくらい何色にも染まらない、色彩豊かに聴く人色に染まってくれる名曲です。

 

 

CDライナーノーツのクレジットを見るとこう記されています。

Recorded at
Bunkamura Studio [Track-1]
Victor Studio [Track-2,3,5-8]
Wonder Station [Track-4]

Mixed at
Bunkamura Studio [except Track-4]
Wonder Station [Track-4]

 

Track-1は「祈りのうた for Piano」、Track-4は「WAVE」です。これを見たときに、うるっと勝手に感動していました。アルバム楽曲は2013年から2015年にかけての新作です。「WAVE」だけは2009年作品です。アルバム収録に際して選ばれたのは、その2009年当時Piano:Joe Hisaishiによって録音された唯一存在するヴァージョンということが想像できたからです。新録していないのでは?ということです。

ちょっと久石さんのインタビューから補足させてもらいますね。

 

 

毎年、正月に宮崎駿監督に曲を届けています

-今回のアルバムの中の「WAVE」という曲は三鷹の森ジブリ美術館でも流れていますし、「祈りの歌 for Piano」はだれもが聴きやすい、美しい曲です。ミニマル・ミュージックだという意識は特別必要なく、だれもが楽しめる曲が多い印象を受けました。

久石:
「宮崎駿監督とはもう長い付き合いですからね。年に一回、宮崎さんのために正月に曲を書いて持って行くんです。持って行かない年は1年を通して調子が悪くて(笑)。ゲン担ぎみたいなものですね。「祈りの歌 for Piano」は今年の正月に持って行った曲です。正月の3日に作って、4日にレコーディングしてその日に持って行って。なんだか出前みたいですけど(笑)。この年頭の習慣が、意外と大事なんですよ。お正月だから、暗い曲を持って行くことはしないし(笑)、新年最初に心休まる曲を一曲作る、というのは、すごくいいなと思っていて。ジブリ美術館では、僕の曲を今でも使ってくれているみたいですね。」

Blog. 「月刊ぴあの 2015年12月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

もしかして!?

2009年の正月に作ってすぐにスタジオでレコーディングした「WAVE」、宮崎駿監督の誕生日に手渡した「WAVE」、三鷹の森ジブリ美術館BGMとして流れている「WAVE」。まったく同じものにあたるそれが、アルバムに収録されたことになるんじゃないですかっ?! という、うるっと感動です。残念ながら録音スケジュールはクレジットされていませんので、あくまでも想像の域です。こういうところを空想できる楽しみもCDというパッケージにはあります。音楽としての記録はもちろん、文字や文章による大切な制作記録です。

 

 

さあ、「春の1曲」を選びましょう♪ たとえば桜というキーワードでも《お花見、桜吹雪、夜桜》シチュエーションや風景で、いろんな候補曲がありそうです。

 

ソロアルバムやサウンドトラックなどの主要作品リストから、選んでみるのもいいですね。また「Works -Official ver.」公開にあわせて整理しなおしたカテゴリーページでは、ジブリ作品/北野武映画/オーケストラ/ピアノ/ベストなど、もう少し細かいグルーピングで紹介しています。ジャケットから気になるCD作品を選んでクリックすると作品詳細ご覧いただけます。

 

スマホだと

下にどんどん流れていきます。

 

パソコンだと

 

 

 

もし久石さんの音楽をたくさん持っている人で「そっかあ、そんな方法もあるか」と思ってもらえたら、ぜひ心弾ませながらあなたの「春・夏・秋・冬」四季:久石譲 プレイリストを作成してみてください。まるっと1年間とおして溢れる久石譲音楽、もっと豊かに季節を楽しめると思いますよ。

……

結びに近づき、今初めて気づいたんですけれど。「聴きたいアルバム」じゃなくて「聴きたい曲」って、マニアックすぎるというか不親切ですね、反省。それなら春に聴きたいアルバムは? と眺めてみたけど選べませんでした。そんなときはベストアルバム(ベストセレクト含む)をとっかかりにしてはいかがでしょう♪

 

 

《久石譲ファン presents 春に聴きたい曲 2017》なんて特集ができるくらい反響があったらうれしいですね。コンメト欄に曲名だけポーンと書いてもらってもOKです。久しぶりに「ぴあの / JOE’S PROJECT」シングル盤を聴いてたんですけれど、これなんかも爽やかで心躍っていいですね~。「ミステリアス・ワールド」「心靈深處」とかも…ダメだ止まらない♪

 

あなたはこの春、どんな久石譲音楽で季節を楽しみますか?

それではまた。

 

reverb.
春夏秋冬プレイリスト1曲目はすべて「INTRO:OFFICEKITANO SOUND LOGO」です。16秒間あのサウンドロゴを聴いてはじまります。プレイリストのはじまりであり、新しいストーリーのはじまりのようで、新しい何かを予感させて、いいでしょ♪(この人キてます)

 

*「Overtone」は直接的には久石譲情報ではないけれど、《関連する・つながる》かもしれない、もっと広い範囲のお話をしたいと、別部屋で掲載しています。Overtone [back number] 

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Info. 2017/03/17 映画『花戦さ』 予告編公開

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