Score. 『久石譲 NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』

1999年2月20日 発行

久石譲監修によるピアノ曲集。編曲は他者によるもの。オリジナルアルバム『NOSTALGIA ~PIANO STORIE III~』のマッチング・ピアノ譜。

 

【補足】

当時は公式スコア[オリジナル・エディション]という位置づけがまだなかった。久石譲監修ではあるが他者の編曲による(当時はそれが主流だった)。ただし、CD作品のマッチングとして同時期に楽譜出版されたもの、また楽譜表紙(装丁)がCDジャケットデザインに準ずるもの、制作協力クレジットされ公式コンサートパンフレットや媒体でも紹介されていたもの、これらを監修・公認(準公式)楽譜として紹介している。

 

 

久石譲 / NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~

Nostalgia (サントリー山崎CF曲)
旅情
Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)
il porco rosso (映画「紅の豚」より)
Cassanova
太陽がいっぱい
HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)
バビロンの丘
la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)
Nocturne

監修:久石譲
協力:株式会社ワンダーシティ/ポリドール株式会社
編曲・採譜・解説:井戸川忠臣
定価:1,300円+税
発行:株式会社ドレミ楽譜出版社

 

Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『ニュー・サウンズ・レア・トラックス』

1999年2月3日 CD発売

 

ニュー・サウンズ初期のCD化されていない貴重な音源が一枚になったお宝CD!

指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ 他

 

久石譲が初期作品で編曲を担当した5楽曲が収録されている。

 

楽曲解説

1.愛情の花咲く樹
世界歌謡祭の73年度入賞曲。今評判の高い”シュキ&アビバ”が歌いヒットしました。どちらかと云えば日本調の歌で親しみやすい。ダイナミックな序奏1コーラスに続いて2度の転調を伴いながらロックのリズムで歌う。金管の歯切れ良いリズム、しっかりしたビートの上で歌はリズムに乗ってたっぷりと歌います。

技術的には難しくないが、思い切り良く明るく演奏することが大切。日本語の歌詞があるので、会場皆で歌わせても面白く使えます。

 

2.愛のテーマ
曲はダイナミックなシネラマ・サウンドに始まり、テーマは(in 2)の早いテンポに乗って全編をゆるやかに流れます。中間部でサックスのアドリブが12小節加わり、いよいよ曲に迫力とスピード感が増える感じです。

演奏に際しては、何よりも正確な細かなリズムをしっかりと固めることが必要で、それに加え、基礎となる4分音符、8分音符のシンコペーションを伴ったリズム形を歯切れよく、この早いリズムに乗せることが決め手となります。えてしてこの機に早いテンポの曲は、ただ景気のよいにぎやかなものになってしまいがちですが、正確なリズムに重ねるゆるやかなメロディーの乗せ方は、充分注意して”味”を出すことが大切です。サックスのソロはフルートにも置き換えが出来ましょう。

 

3.ハッスル
ヴァン・マッコイの作曲と歌で大ヒットの軽快なロック。ディスコ調に巧みにアレンジされている。メロディーは特に特徴のあるものではないが、流れるメロディーラインと歯切れのよいリズムの対照がこの曲のポイントです。

演奏に際しては先ず早くリズムに乗ってしまうことが肝心。楽譜のCとGは特にサックス・セクションの巾一杯のブローが大切。金管も1、2、3番のバランスが均等になる様注意する。それにドラムはアフタービートを効かし、明快にリードすることが決め手となります。コンサートのプログラム中、ハードな曲として位置づけてください。

 

4.夢想花
昨年秋の第9回世界歌謡祭でのグランプリ受賞曲で、”翔んでる”時代と云われる今日を象徴するヒット曲となっていますし、航空会社のコマーシャル・ソングとしても使われているタイムリーなレパートリーです。美しいメロディーがソプラノ・サックスで歌われ、木琴のソロが効果的です。

サラッとアンコール等で使いたいバラードです。

 

5.ライズ
ティファナ・ブラスのトランペット奏者、ハーブ・アルパートが久びさにヒットさせた軽快なディスコ・ナンバー。79年秋には全米ナンバー・ワンと云われるヒット曲となった正にニュー・サウンズ。全編を通じて細かな同じパターンのリズムに乗って、トランペットのユニゾンを柱に哀愁を帯びたゆるやかなメロディーが流れて行く。サックスとブラス・セクションの重厚なハーモニーを作り出すには、各パートの音量バランスを平均化することが大切。おとなのムードを持ったしゃれたアレンジです。

 

6.マスター・ブラスター
スティーヴィー・ワンダーの新曲で、前作の「愛するデューク」などと同様、大変風変わりでモダンな味のある曲です。全編を通じ付点8分音符のリズムが低音で流れるが、これは跳ね過ぎぬ様3連音風に演奏します。又オクターブの飛躍、ユニゾンも多く、トロンボーンのアドリブも含め正に”ニュー・サウンズ”ではあるが、かなり演奏も難しく、テクニックのしっかりした大人のバンド向の曲です。

 

7.ナイス・ショット
日本ジャズ界の鬼才、”ナベサダ”の愛称でおなじみのサキソフォンプレイヤー、渡辺貞夫の作品です。もちろん主役はA・サックスで全編を通じたゆるやかなアドリブは、大変ナウなムードを持つシャレた曲です。曲そのものは単調ですが、ホルン、トロンボーンとドラムがきざむ歯切れのよいリズムが斬新、それにサックスとブラス群のオクターブの響きもよい。大人のバンドに演奏してもらいたい曲です。

 

8.ア・ディープ(海溝)
ヤマハ音楽復興会が主催するジュニア・オリジナル・コンサート(JOC)は、子供たちが自分が創った曲を自ら演奏する独創的な運動で、その楽しさと子供たちの無限の可能性の発見で、世界中の注目を集めています。

この曲は、この運動の中で14歳の少年が作り、エレクトーンで演奏したもので、海溝の深く暗いイメージを、美しいメロディーで表現しています。

 

9.ワッキー・ダスト
ジャズ・シンガーの大御所、エラ・フィッツジェラルドが歌い、最近ではモダン・ヴォーカル・グループの”マンハッタン・トランスファー”が歌っている明るい曲です。

古い素材ながら、大変モダンなスタイルの編曲で、市民バンド、大学バンドのレパートリーに好適です。

 

10.ルート101
メキシコのマリアッチとアメリカ感覚をミックスしたようなティファナ・ブラス。かつてそのリーダーであり、トランペットの名手でもあるハーブ・アルパートのナウイ作品。ラテン系、アメリカン、それに現代感覚をすべて融け合わせたフュージョン。大学、市民バンドの若者なら、誰でも演って見たくなるだろう。トランペット・ソロが素晴らしい。

 

11.ナイト バーズ
イギリス生まれのフュージョン・バンド、”シャカタク”の代表的ヒット曲。軽快なビートとマイナーのメロディーは、現代風大人感覚そのものと言った、シャレたもの。16ビートに乗って、ピアノ、E.ギターのアドリブがあり、演奏にはかなりの道具だてと熟練が必要だが、大学、市民バンドには是非演奏して欲しい曲。若い女性に受けること必至である。レコードも素晴らしく息の合ったサウンド、見事な演奏である。

 

12.今夜はビートイット
今をときめく、アメリカポップス界の第一人者、マイケル・ジャクソンのヒット曲。ソプラノ。サックスがおどけた調子のメロディーを歌い、中低音がユニゾンでディスコ調を作り出す。ニュー・サウンズらしい、最もファッショナブルな曲。皆んなで早いうちに調子よくやろうぜ!!

 

13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ
映画主題歌。リマールが歌って大ヒット。大変きれいなメロディーを持つ上品な曲で、アルト・サックスのソロ、アドリブが美しい。

 

14.フェリス
人気楽団フランク・プゥールセルの演奏で知られる軽快なムード音楽。トランペット・ソロを中心とした小品。

 

15.雨にぬれても
1969年に制作されたモダンな西部劇「明日に向かって撃て!」の主題歌で、70年度のアカデミー・オリジナル作曲・歌曲の両賞をうけた曲です。この軽快なたのしいメロディーは、誰もが一度は口ずさんだことがある程有名です。歌詞の内容は”雨が私の頭を打っている ちょうどこれは充たすものがなく、自分のベッドが広すぎると思っている男の気持ちのようなものだ…しかし私は自由で思い悩むことはない”というものです。この編曲はテレビ番組やレコーディングの第一線に活躍している東海林修氏で、ダイナミックなフルバンドのひびきを水槽が来にうまくとり入れて新鮮なサウンドを生み出しています。

 

16.サンホセへの道
1969年に大ヒットして、アメリカのレコード大賞であるグラミー賞を受けた曲です。このレコードでは前記の黒人女性歌手ディオンヌ・ワーウィックが歌いました。”サンホセへの道を知っているかい。長いこと離れていたので道を忘れてしまった。私はサンホセにもどって心の平和をみつけたいものだ。ロスアンゼルスは大都会で一週間でスターを作り、一年もたたぬうちに忘れられてしまうような所だ。早くサンホセにかえりたい”という内容の歌。この大ヒットで、バカラックとデビッドはサンホセの名誉市民になりました。サンホセはサンフランシスコ湾の低部(北)、サンフランシスコとロスアンゼルスの間のずっとサンフランシスコ寄りにあります。この編曲はやはり若手の編曲者として有名な服部克久氏のものです。

※解説は初版当初のものを転用いたしました。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ニュー・サウンズ・レア・トラックス

1.愛情の花咲く樹 LOVE IS LIKE
2.愛のテーマ LOVE’S THEME
3.ハッスル THE HUSTLE
4.夢想花 FLY ON ALL THE WAY
5.ライズ RISE
6.マスター・ブラスター MASTER BLASTER
7.ナイス・ショット NICE SHOT
8.ア・ディープ(海溝) A DEEP
9.ワッキー・ダスト WACKY DUST
10.ルート 101 ROUTE 101
11.ナイトバーズ NIGHT BIRDS
12.今夜はビートイット BEAT IT
13.ネバーエンディング・ストーリーのテーマ THE NEVER ENDING STORY
14.フェリス (ファンキー・ソンブレロ) FELICE
15.雨にぬれても RAINDROPS KEEP FALLIN’ ON MY HEAD
16.サンホセへの道 DO YOU KNOW THE WAY TO SAN JOSE

指揮:岩井直溥

演奏:
東京佼成ウィンドオーケストラ 2.-14.
東京アンサンブルアカデミー 1.
ニュー・サウンズ・ウィンド・アンサンブル 15. 16.

編曲:
岩井直溥 2,3,10,13,14
野波光雄 1
小野崎孝輔 4,5
久石譲 6-9,12
中川賢二 11
東海林修 15
服部克久 16

 

Disc. 久石譲 『(地球のきもち)展示映像音楽』 *Unreleased

1998年11月5日 開館

 

東京ガス環境エネルギー館 展示映像音楽「地球のきもち」

 

Open! のぞいてごらん 地球のちもち。

11月5日に東京ガスの”環境エネルギー館”が横浜にOpenします。『環境・エネルギー・都市』をテーマに、様々な施設やプログラムを繰り広げるパビリオンです。施設内のアミューズメント・シアターでは”地球の営み”をテーマに臨場感あふれる画面が展示されます。このシアターのテーマ音楽を久石さんが担当、雄大なイメージの音楽が生まれました。是非、見学にお出かけください。

「環境エネルギー館」のご案内
開館時間/9:30~17:00 (入館は16:30)まで
休館日/月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入館料/自由見学になりますので、無料です

(久石譲ファンクラブ会報 NEWS WONDER2 No.30 より)

 

Disc. 久石譲 『時雨の記 サウンドトラック』

久石譲 『時雨の記』

1998年10月31日 CD発売 COCX-30087

 

1998年公開 映画「時雨の記」
監督:澤井信一郎 音楽:久石譲 出演:吉永小百合 渡哲也 他

 

 

小編成なオーケストラを基調とした音楽。ストリングスの響きがメインとなるが、シンセサイザーもそれを引き立てるエッセンス程度に流れる。古都鎌倉、京都、奈良を舞台にした、大人の晩年の愛を描いた作品、音楽も日本情緒ある哀愁的で叙情的なメロディー。

メインテーマ曲である(22)「la pioggia」は、「雨」という意味のイタリア語。とにかく美しい旋律。ピアノとストリングスが大人の愛の旋律を豊かに美しく奏でる。吉永小百合、渡哲也という往年の日本映画を代表する名俳優の演技に華を添えるにふさわしい上品な音楽。

感情をおしころしたようでもあり、内面からの感情の揺れを表現したような、時には悠々と、時には激しく刻むストリングスと、雨粒のような一粒一粒、一音一音、響き揺れるピアノの旋律。またもうひとつのテーマ曲ともいえる(10)「誓い」や(13)「運命」もよき日本映画音楽の品格を持っている。

 

メインテーマ曲「la pioggia」は他の作品にもその後収録されている。

「NOATALGIA ~Piano Stories III~」では、ピアノとストリングのかけあいがより鮮明に豊かに、「WORKS II ~Orchestra Night~」では、より重厚なフルオーケストラによるライブ音源を、「ENCORE」では、ピアノソロにて緩急あるリズムの揺れと強弱ある鍵盤のタッチが豊かに、聴くことができる。

また久石譲プロデュース作品である「ARCANT / 近藤浩志」では、近藤浩志のチェロと久石譲のピアノによるシンプルながらも奥ゆかしい名演をゆったりとした揺れで聴くことができる。

それぞれの作品詳細も合わせて、聴きくらべると味わい深い名曲である。

 

 

久石譲 『時雨の記』

1. 鼓動
2. 再会
3. 二十年の想い
4. 鼓動II〜告白
5. la pioggia〜鎌倉
6. 絵志野
7. 躍動
8. 驟雨
9. la pioggia〜時雨亭
10. 誓い
11. 家族
12. 二人だけの場所
13. 運命
14. グラナダ
15. スペインの風
16. 鼓動III〜時雨亭跡
17. 静かな愛
18. 残像
19. 命
20. 残されたもの
21. 鼓動IV〜吉野山
22. la pioggia

 

Disc. 久石譲 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』

久石譲 『PIANO STORIES 3』

1998年10月14日 CD発売 POCH-1731

 

1988年から続くピアノ・ストーリーズ・シリーズ第3弾
北イタリアの情景をモチーフに作られた作品

 

 

イタリアには唄がある。
伸びやかなメロディーは人生の哀歓や、ユーモアをおりまぜひらすら唄う。
ふと、幸せという名前の思い出を数えてみた。
そのすきまからこぼれおちる哀しみの時間(とき)。
イタリアっ子は言うだろうな「Quel che sara sara -なるようになるさ」。
そして今日もまた唄っている。たぶん・・・・

久石譲

(CDライナーノーツより)

 

 

久石:
「Nostalgia」は、イタリアで現地のオーケストラとレコーディングしましたけど、オケには機能性よりも『唄』を望みました。多少荒っぽくても、そこには『唄』があるというアルバムを作りたかった。だからイタリアにしたんです。

次に自分のソロアルバムを、と考えたとき、根底に『唄』を表現したいということがありました。それは、去年「HANA-BI」でベネチアへ行って、公式記者会見で外国人記者から「音楽がすごくイタリア的なメロディだ」と指摘されて、「ああ、そうなのかな」と思ったのがきっかけです。確かにベネチアで「HANA-BI」を観たとき、自分でも「この音楽、イタリア的に聴こえるなあ」と思いました。そのあたりですね。イタリア的な『唄』を表現しようと思ったのは。

それと、今回のアルバムでは、イタリアというテーマの中でカヴァーをやってみたいと思って、サン=サーンスのオペラ「サムソンとデリラ」の有名なアリア(アルバムでは「バビロンの丘」)とニノ・ロータの「太陽がいっぱい」を、最もイタリア的な香りのするメロディということで選びました。アレンジという部分も自分の中の大事な要素ですから、人のメロディを借りてきても自分の世界が作れるというところにチャレンジしてみたかったのです。

技術的な面でも現時点で可能な限りの最先端の技術で録るという、徹底的にハードディスク・レコーディングを行いました。ここが大事なところなんだけど、古臭いやりかたでノスタルジックな音を録ったら、本当に古臭くなってしまう。それは僕の欲してる音ではないんですよ。それで、オケがそのレコーディング方式に不慣れだったってこともあって、レコーディングの2日目からは予定外に僕がピアノを弾いて、オケをひっぱるという、同時録音に切り替えざる得なかったんです。でも、そのうちに現場の雰囲気が一変して、オケがピタッとついてくるのがわかりました。そういう意味では柔軟性のある若いオーケストラでよかったですね。

イタリアにはやっぱり、日本のオーケストラにも、またイギリスのオーケストラにもない、独特のおおらかなメロディーの唄い方がありました。結果をみても、これはイタリアに行かなかったら成立しないアルバムだったと、今、改めて思っています。

(久石譲インタビュー ~「久石譲 PIANO STORIES ’98 Orchestra Night」 コンサートパンフレット より)

 

 

「サウンドはガッチリと構築するスタイルなのですが、このスタイルを一回壊してみたい。メロディに集約し直してみたい。僕の場合、作曲もアレンジも演奏も自分でやってしまいますから、少し荒っぽくてもいいから原質が出るような、そういうアルバムを作ってみたいなというのが一番根底にありました。で、北野武監督『HANA-BI』ベネチア映画祭出品の間などでイタリアへ行って、イタリア的ニュアンスなんだというのが自分なりに分かりましてね。イタリアというとカンツォーネだとかオペラだとか、歌という感じがありますね。何かそういうところのアプローチをしたいなという……。

タイトルが『ノスタルジア』だからといって、郷愁といったニュアンスでは作っていないんです。われわれふだんレコーディングしていると、どうしてもドンカマで作っていく傾向がすごく多い。そればっかりだと、揺らぎのある音楽から遠ざかっちゃうんですね。歌のエスプリみたいなものが最近の音楽では、ほとんど聴くことが出来ませんよね。今、忘れがちになっているそういう重要な要素に、もう1回スポットを当ててみたい。それが最も新鮮なんじゃないか。そういうのが大まかなコンセプトです」

Blog. 「FM fan 1998 No.25 11.16-11.29」 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

サウンドもアコーディオンやハーモニカがフィーチャーされイタリアンテイストたっぷりに仕上がっている。イタリア的な「唄」をコンセプトに、自身の作曲作品のみならず、イタリア名作映画からの映画音楽も選曲。

1998年、イタリアの古都モデナにて。「時代の波に流されずにひたむきに生き、個々それぞれの世界を築き上げた人々を描きたい」という久石譲はアルバムのイメージとしてこう語っている。

時代設定は「1930年台のイタリアを中心とするヨーロッパ」。そこでレコーディングはイタリアで行われることになった。「音楽の原点の”歌”に戻って」制作したというこのアルバムでは、ピアノが1930年イタリアという時空で交錯する人々の思いを、雄弁に語っている。

 

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 3』

1. Nostalgia (サントリー山崎CF曲)
2. 旅情
3. Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)
4. il porco rosso (映画「紅の豚」より)
5. Cassanova
6. 太陽がいっぱい
7. HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)
8. Nocturne
9. バビロンの丘
10. la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)

指揮:レナート・セリオ 演奏:フェラーラ管弦楽団

Composed by JOE HISAISHI , except 6. 9.

Piano:JOE HISAISHI
Orchestra:ORCHESTRA CITTA DI FERRARA
Conductor:RENATO SERIO

Piano,Rhodes:MASAHIRO SAYAMA 4.

(アコーディオン 2. / バンドネオン 6.)

Musicians
ORCHESTRA CITTA DI FERRARA
RENATO SERIO(Conductor)
Nobuo Yagi(Harmonica)
Fumihiko Kazama(Accordion)
Chuei Yoshikawa(Guitar)
Hideo Yamaki(Drum)
Kunimitsu Inaba(W.Bass)
Masahiro Sayama(Piano Rhodes)
Tomonao Hara(Flugel Horn)
Ryota Komatsu(Bandoneon)
etc.

Recorded at:
TEATRO STORCHI DI MODENA,KIOI HALL,Wonder Station
August-September, 1998

 

NOSTALGIA – PIANO STORIES III

1.Nostalgia
2.Sentimenti di Viaggio
3.Cinema Nostalgia
4.il porco rosso
5.Casanova
6.Plein Soleil
7.HANA-BI
8.Nocturne
9.A Hill of Babylon
10.la pioggia

 

Disc. 西田ひかる 『幸せのかたち』

西田ひかる 幸せのかたち

1998年9月2日 CD発売 PCCA-1225

 

久石譲プロデュース作品

 

 

タイアップ曲(2曲)がアルバムに先がけシングル発売されている。

1998年4月29日 CDS発売 PCDA-01054

西田ひかる pure

1. pure (ハウス食品 PURE-IN CFソング)
2. 私は私 (NHK総合テレビ「あした天気に」主題歌)
3. pure(オリジナル・カラオケ)
4. 私は私(オリジナル・カラオケ)

 

 

西田ひかる 幸せのかたち

1. pure 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲
2. ねぇ,歩きましょ? 作詞:蓮水香 作曲:高野寛 編曲:森俊之
3. 人魚になりたい 作詞・作曲:大江千里 編曲:西脇辰弥
4. 幸せが胸にある (Duet with 高橋克典) 作詞:及川眠子 作曲:松本俊明 編曲:西脇辰弥
5. ひとり 作詞:伊藤裕子 作曲:上田知華 編曲:久石譲
6. 愛されたこと。 作詞:和田琢磨 作曲・編曲:久石譲
7. 生きる! 作詞・作曲:大江千里 編曲:窪田晴男
8. 午後の浜辺で 作詞:及川眠子 作曲:山口美央子 編曲:山川恵津子
9. 二人だけの時間 作詞:西田ひかる 作曲:上田知華 編曲:山川恵津子
10. 私は私 作詞:秋元康 作曲・編曲:久石譲

Produced by 久石譲

Piano , Keyborad:久石譲 1. 5. 6. 10.

 

Disc. 久石譲 『(和歌山マリンファンタジー)テーマ曲』 *Unreleased

1998年8月7日 イベント開催

 

和歌山マリーナシティにて夏開催イベント「和歌山マリンファンタジー」。様々なイベントのなか、”音と光の協奏曲 マリンファンタジーショー”は久石譲の音楽による”光のファンタジックワールド”。光のシンボルオブジェが海上に浮かび、輝くイルミネーションが音楽と連動し様々な演出を繰り広げるというもの。

開催期間:1998年8月7日~8月16日 入場無料
開場:午後5時~午後11時/点灯時刻:午後7時15分頃

マリンファンタジー 上演スケジュール
8月7日オープニング 午後7:30/9:00/10:00
8月8日~13日・15日 午後7:15/7:45/9:00/10:00
8月14日・16日 午後7:15/9:00/10:00

 

Disc. 久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

1998年7月8日 CD発売 TKCA-71395
2020年7月22日 LP発売 TJJA-10026

 

1997年公開 スタジオジブリ作品 映画「もののけ姫」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

久石が「もののけ姫」の楽曲を8章からなる交響組曲に構成し、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と共に新録音。収録は1998年6月に、プラハのドヴォルザーク・ホール~芸術家の家で行われた。「もののけ姫」の感動が再び蘇るメモリアルアルバム。

 

 

コメント

「アシタカせっ記」を、スラブ色の強い一流のオーケストラで聴いてみたい。それが、チェコ・フィルにお願いした最大の理由だ。宮崎さんの持っている空気感のようなものと東欧のそれは、相通じるのではないか。一番聴いてほしい人は宮崎さん、そして、「もののけ姫」を大好きなすべての人々、ゆっくり楽しんで下さい。

久石譲

 

「もののけ姫」の音楽ダビングをしながら、やっぱり 久石さんにお願いしてよかったと思った。バンダナをとった久石さんが、ぼくは とても 好きだ。

宮崎駿

(コメント ~CDライナーノーツより)

 

 

 

 

 

久石譲 『交響組曲 もののけ姫』

第一章 アシタカせっ記
第二章 TA・TA・RI・GAMI
第三章 旅立ち 〜西へ〜
第四章 もののけ姫
第五章 シシ神の森
第六章 レクイエム 〜呪われた力〜
第七章 黄泉の世界 〜生と死のアダージョ〜
第八章 アシタカとサン

作曲・編曲・演奏・プロデュース:久石譲

ピアノ:久石譲 (M-4,8)
指揮:マリオ・クレメンス
演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団

収録ホール:芸術家の家 (ドヴォルザーク・ホール/プラハ1998年6月6~8日)

 

Symphonic Suite Princess Mononoke

1.1st movement The Legend of Ashitaka
2.2nd movement TA TA RI GAMI (The Demon God)
3.3rd movement The Journey to the West
4.4th movement Mononoke Hime
5.5th movement The Forest of the Deer God
6.6th movement Requiem – The Demon Power
7.7th movement The World of the Dead – Adagio of Life and Death
8.8th movement Ashitaka and San

 

Disc. 『「もののけ姫」はこうして生まれた。』

1998年6月26日 VHS発売 VWSZ-8016
2001年11月21日 DVD発売 VWDZ8016

 

宮崎駿監督が渾身の力をこめて制作し、公開されるや大ヒットとなった1997年スタジオジブリ作品『もののけ姫』。本作はそのアニメーション制作現場から、宣伝戦略、アテレコにおける声優と宮崎監督のやりとり、さらに公開後の大ヒットの様子までを約2年にわたり克明に記録したドキュメント映像である。さらには、北米公開時に宮崎監督がトロント、ロスアンゼルス、ニューヨークの3都市をキャンペーンで回った際の映像も特典として収録している。

 

 

1997年、日本映画界を席巻、話題を独占した「もののけ姫」。数々の記録を破り、映画史に残る金字塔を打ち立てたこの映画は、いかにして生まれたのか?

激しい思いを叩きつけていく宮崎駿監督とそれを支えるスタジオジブリ・スタッフの未知なる挑戦。常識破りの戦いに挑んだ鈴木プロデューサーの戦略とは…。そして久石譲、米良美一による華麗なる音声作りの舞台裏。さらに映画に登場する強烈なキャラクターにのりうつっていった豪華声優陣たち。全ての力が結集した時、「もののけ姫」は、社会現象と化していった。

未だかつてないスケールで作られた「もののけ姫」。多くの謎を秘めた表現と映画に情熱を捧げた人間たちを2年間にわたって熱く、そして静かに見つけ続けた完全ドキュメント。これを見れば「もののけ姫」の全てがわかる!

(DVDジャケットより)

 

 

音楽を担当した久石譲も本作品には登場している。

ひとつは、主題歌「もののけ姫」のレコーディング風景。米良美一とのやりとりや監督もふくめたスタジオでのやりとり、OKテイクまでの道のりが収められている。「アシタカの心の声。この歌はアシタカからサンへの想いである」という宮崎監督のひと言で、ヴォーカルの表現が大きく変化した様子、またそれをうけて歌詞が一部変更になった瞬間など貴重な場面が収められている。

イメージアルバムでの同歌詞と本主題歌の「おまえ」「そなた」という言葉の順番が逆になった瞬間が記録されている。

 

 

もうひとつは、映画冒頭の「旅立ち」の音楽について。ここには当初宮崎監督の構想とは違う勇壮な楽曲が使われている。これは鈴木プロデューサーの提案からである。その経緯については下記ご参照。

Blog. 映画「もののけ姫」 アシタカ旅立ちの音楽 制作秘話

 

そしてこのドキュメントに収録されているのはまさに「旅立ち -西へ-」のフルオーケストラによるレコーディング風景。しかも、レコーディング当日奏でられた同曲は、盛り上がる箇所にシンバルとティンパニが鳴っていない。スタジオで同席していた鈴木プロデューサーからのさらなる提案で、シンバルとティンパニを加えたヴァージョンをその場で演奏してみるというやりとりが全て収められている。打楽器による高揚感なし・ありを聴くことができる貴重な記録である。

なぜそういった提案がされたのか?久石譲と鈴木プロデューサーのこのシーンの解釈の違いからである。久石譲はあくまでも「村を追われたアシタカ・これからの試練」を思っておさえた。一方の鈴木プロデューサーは、「悲壮感を出すよりは、これは新たな旅立ちという祝福」という解釈をしていた。だからもっと勇壮にしたいと。

結果、宮崎駿監督がどちらを採用したかは、周知のとおりである。満面の笑みで「こっちがいいね!」と言って鈴木プロデューサーや久石譲が合いの手を入れる和気あいあいとしたシーンが映像として記録されている。

 

 

VHS:3本組/360分

 

DVD:3枚組/400分

本編ディスク3枚組
<ディスク1> 第1章 紙の上のドラマ 約132分
<ディスク2> 第2章 生命が吹きこまれた! 約137分
<ディスク3> 記録を超えた日 約130分 / 映像特典 約20分

ピクチャーディスク仕様

 

Disc. V.A. 『STUDIO GHIBLI SONGS』

STUDIO GHIBLI SONGS 2

1998年5月21日 CD発売 TKCA-71381

 

『風の谷のナウシカ』から『もののけ姫』まで、スタジオジブリ全作品の主題歌&挿入歌を収録したベスト企画アルバム。

 

 

STUDIO GHIBLI SONGS

STUDIO GHIBLI SONGS 2

1. 「風の谷のナウシカ」~風の谷のナウシカ (安田成美)
2. 「天空の城ラピュタ」~君をのせて (井上あずみ)
3. 「となりのトトロ」~さんぽ (井上あずみ)
4. 「となりのトトロ」~となりのトトロ (井上あずみ)
5. 「火垂るの墓」~はにゅうの宿 (アメリーダ・ガル=クリチ)
6. 「魔女の宅急便」~ルージュの伝言 (荒井由実)
7. 「魔女の宅急便」~やさしさに包まれたなら (荒井由実)
8. 「おもひでぽろぽろ」~愛は花,君のその種子 (都はるみ)
9. 「紅の豚」~さくらんぼの実る頃 (加藤登紀子)
10. 「紅の豚」~時には昔の話を (加藤登紀子)
11. 「海がきこえる」~海になれたら (坂本洋子)
12. 「平成狸合戦ぽんぽこ」~アジアのこの街で (上々颱風)
13. 「平成狸合戦ぽんぽこ」~いつでも誰かが (上々颱風)
14. 「耳をすませば」~カントリーロード (本名陽子)
15. 「On Your Mark」~ON YOUR MARK (CHAGE&ASKA)
16. 「もののけ姫」~もののけ姫 (米良美一)