Info. 2020/11/16 日本センチュリー交響楽団×久石譲 2021-2022 シーズンプログラム 発表 【9/2 Update!!】

Posted on 2020/11/16

【速報!日本センチュリー交響楽団 新シーズン(2021-2022)プログラム発表!!】

日本センチュリー交響楽団の来シーズンのラインナップが決定いたしました!!

飯森範親首席指揮者、秋山和慶ミュージックアドバイザー、そして2021年4月から就任する久石譲首席客演指揮者とともに、より一層魅力的な楽団として飛躍して参る所存です。 “Info. 2020/11/16 日本センチュリー交響楽団×久石譲 2021-2022 シーズンプログラム 発表 【9/2 Update!!】” の続きを読む

Info. 2021/09/19 「久石譲×日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会」開催決定!! 【9/2 Update!!】

Posted on 2021/03/17

アクリエひめじオープニングシリーズ
久石譲、待望の姫路公演が新ホールで実現!

日本センチュリー交響楽団とともに、クラシック、ジブリの名曲の数々をたずさえ、新文化コンベンションセンター「アクリエひめじ」のオープニングを華やかに飾ります。 “Info. 2021/09/19 「久石譲×日本センチュリー交響楽団 姫路特別演奏会」開催決定!! 【9/2 Update!!】” の続きを読む

Blog. 「LUCi ルーシィ 2007年4月号」久石譲×SHIHO 対談内容

Posted on 2021年8月31日

雑誌「LUCi ルーシィ 2007年4月号」に掲載された久石譲対談です。「SHIHOのドキドキ♥対談」コーナーです。当時発売されたアルバム『Asian X.T.C.』などのエピソードを中心に話は進みます。

 

 

SHIHOのドキドキ♥対談

今回のゲスト
音楽家 久石譲

宮崎駿監督の映画音楽をはじめ、CM音楽、コンサート活動などでも活躍する久石譲さんが今月のゲスト。有名な曲をつくった時の裏話や久石さんの人となりなど、じっくりとうかがってきました。

SHIHO:
はじめまして。今日はよろしくお願いします。

久石:
こちらこそ。もうこの対談はずいぶん長くやっているんですか?

SHIHO:
4年近くになります。

久石:
いいですね。素敵な人ばかりにお会いできて。なぜ僕が呼ばれたのかは、よくわからないけど(笑)。

SHIHO:
何をおっしゃいますか(笑)。私、テレビはほとんど見ないのに、最近テレビをつけると必ず久石さんの音楽が目や耳に入ってくるんです。本屋に行っても久石さんの記事に目がいったり。とにかくすごいです!

久石:
そうかな。そんなに仕事してないと思うけど(苦笑)。

SHIHO:
宮崎駿監督や、北野武監督の映画音楽を手がけていたり。絶対に誰もが耳にしたことのある音楽ですよね。

久石:
ありがとうございます。

SHIHO:
仕事のペースは、あまり変わらないんですか?

久石:
そうですね。1年を通して映画を何本かと、自分のアルバムをつくって、それを持ってツアーを回る。あと、最近は新日本フィルとやっている「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」の音楽監督もやっているから、それでコンサートを回ったり。コンサートの量は確かに増えていますね。

 

完成図が見えていたら、モノづくりは面白くない

SHIHO:
人の心に残る仕事って、簡単にできることじゃないと思うんですが、どうしてできるんですか?

久石:
どうして…って(笑)。たまたま目の前にある仕事を一生懸命やったら、その結果としてついてきたという感じかな。

SHIHO:
今あることを…ですね。

久石:
自分が書いたものをいちばん最初に聴くのは、自分ですよね。だから、まず自分が喜べる、興奮できるものを書こうということはいつも考えていますね。自分が興奮できれば、周りにもその気持ちが伝わるし、ひいては観客にも伝わる。

SHIHO:
何もないところから、どうやってつくり始めるんですか? たとえば、昨年出されたアルバム『Asian X.T.C.』もすごくよかったです。

久石:
自分のアルバムは、ほぼ毎年出しているんだけど、毎回、”自分にとっての次の大事なテーマは何か?”を考えるんです。このアルバムをつくる前は、韓国映画の『トンマッコルへようこそ』や、中国映画、香港映画の依頼が同時に来たんですね。その時に「あれ?」と思って。

SHIHO:
アジアが来てる、と(笑)。

久石:
うん。前にスケジュールが合わなくてお断りしたものもあるけど、今回は3本同時に来ちゃった。じゃ、3本まとめてやろう。アジアの風が吹いたぞと。

SHIHO:
流れに乗ったんですね。

久石:
そう! 僕、「流れ」はすごく大事にするから。次の自分のアルバムはアジアをテーマにするべきだと思ったの。

SHIHO:
そういう流れなんだ、と。

久石:
うん。でも考えたら、僕がやっているピアノとかオーケストラって、ヨーロッパのもので、アジアのことはビックリするぐらい何も知らなかった。そこで、ヨーロッパとアジアとの違いはなんだろうと考えた時に、考え方だと思ったのね。

SHIHO:
はい。

久石:
キリスト教もしかりだと思うけど、ヨーロッパの文化では、善はいいもので悪は悪いもの。排他的な発想なのね。でも日本の仏教は、南無阿弥陀仏と唱えれば、誰でも救われるとされる。バリ島のケチャダンスにいい神と悪い神が出てくるのも、悪いものがなければ世界は成立しないという考え方だからなんですね。

SHIHO:
表があれば裏がある。光があるから陰がある。陰陽ですね。

久石:
そうそう。それはヨーロッパ的ではないから、そこをテーマにしたらつくれるなと思って。で、アルバムの前半は明るい陽サイド。後半は陰サイドとして、明確に分けちゃった。これでアジアの二面性みたいなものが出ればいいなと。

SHIHO:
そう! 後半ちょっと怖い感じになるんですよね(笑)。そういうテーマって、どの作品にもあるんですか?

久石:
やりながら…。

SHIHO:
できていく…?

久石:
そう。地図が全部見えていたら、ものってつくれないと思うんです。つまり、すべてが見えていたら面白くない。こっちに行ったら何かあるんじゃないかなと思って進むうちにだんんだん見えてきて、「そういうことだったんだ!」と、最後にやっと到達するというのかな。

SHIHO:
絵描きがキャンバスに向かって絵を描きながら方向を定めていくような感じなんですね。

久石:
そう。で、終わったあとにたくさんインタビューを受けると、最初からそう考えていたような気持ちになると(笑)。話をするうちに、自分のなかの考えがまとまっていくことは多いですから。だから、よどみなく話している時は、なんだかインチキ臭いぞ、答えが定型化されているなと思ってください(笑)。

SHIHO:
アハハハ。じゃ、実際の「つくり始め」は、ピアノに向かってとにかく弾いてみることから始めるんですか?

久石:
そうですね。弾きながら、こういうフレーズがいいなと思う時もあるし…。コマーシャルの時などは、イメージがあるだけでもいいです。「ほんわかしているけど、尖った感じのアプローチ」とか、輪郭だけでも見えるともう大丈夫。

SHIHO:
へえ。本木雅弘さんと宮沢りえさんが出ているサントリーの有名な「伊右衛門」のCM音楽の時は?

久石:
あれは、中国で言えば黄河のような、すごく大きな河がとうとうと流れているような音楽をつくろうと。商品と絵コンテだけだったけど、それを見ていたら、たっぷり水があって、ゆったりと流れる大河のような浪浪としたメロディーを、大人数のストリングオーケストラが全員で演奏するというアイディアがひらめいて。そこに、画面に寄り添うような静かなピアノの旋律を乗せようと考えたのね。

SHIHO:
あぁ、今すぐあのCMを見て、大河の流れを感じたい!(笑)

久石:
アハハハ。

SHIHO:
でも、すごく漠然としたイメージからつくり始めるんですね。

久石:
刺しゅうをやる時って、最初に柄の中心から針を入れていくんだって。それを仕事に置き換えると、映画を1本やる場合、30曲とかすごい量の曲を作るんですね。でも、ただ雑多に書いていってはダメで、中心となる顔の部分をきちんと決めないと、全体がよくならない。映画で言うなら、メインテーマですよね。

SHIHO:
あ! いちばん表現したいことは何か?ということですね。

久石:
うん。「この映画なら、これ」みたいなもの。アルバムでも、中心になる曲があるわけです。でも、その曲がアルバムのメインの曲だとは限らないのね。『Asian X.T.C.』で言うと…。

SHIHO:
ど、ど、どれですかっ?

久石:
(笑)最後に入っている「Dawn of Asia」ができた時に、「このアルバムがつくれるぞ」という確信がもてたんですね。で、結果的にこのアルバムのなかでいちばん実験して、最も大切にしているのが「Monkey Forest」という曲かな。

SHIHO:
いつ頃できたんですか?

久石:
「Dawn of Asia」が最初にできて、「Monkey Forest」が…最後のほうかな。

SHIHO:
へえ…。曲順は「Monkey Forest」のほうが先だけど、このアルバムは「Dawn of Asia」に始まり、「Monkey Forest」に終わるんですね(笑)。

久石:
そう。

SHIHO:
よく聞かれることかもしれませんが、創作のアイディアがなくなるかもしれない不安って、久石さんんいも浮かんだりしますか?

久石:
しょっちゅう(笑)。あ、もう今日これで終わりかなって。1時間に1回は考えますよ。もうダメだぁって(笑)。

SHIHO:
い、1時間に1回? 1日に何度も感じるっていうことですか?

久石:
そういうこともありますね。曲をつくっている時じゃなくても。でも、ちょっといいのが浮かんで、バッと書けるじゃない。そうすると「すごい…。やっぱりおれって天才」って(笑)。

SHIHO:
極端ですね。そんなものなんですかね(笑)。

久石:
そんなものだと思います(笑)。最近、インプットする時間があまり多くないんですよ。アウトプット、つまり出しっぱなしだから(笑)。少し気になるよね。

SHIHO:
久石さんにとっての、ベストなインプットの方法って?

久石:
暇なこと(笑)。年に1か月とか2か月とか、暇な時間があったほうがいい。

SHIHO:
へえ。

久石:
仕事がないと焦るじゃない。おれはこのまま終わっちゃうんじゃないかって。それで2か月ぐらい暮らしてごらん。人生変わりますよ。真剣になる。

 

「久石譲」の名前をもらったのは…!?

SHIHO:
でも…ここ最近、暇な時なんてありました?

久石:
去年の1、2月は入っていた映画が飛んだので、2か月間、毎日CD聴いて、本読んで、映画見て…。仕事ばかりで切れてしまっていた友達を片っ端から誘って、飲んで、友達活動にいそしむと(笑)。そうしているうちに、やらないといけないことが見えてくるの。だから、何もしない1か月ってあったほうがいいと思う。ヨーロッパの人たちが…。

SHIHO:
あ、休暇に1か月ぐらい行きますよね。

久石:
ね。あれってすごく大事だと思う。休みなんて、取ることないでしょ?

SHIHO:
私、結構取りますよ。週に1日半と、2か月に1回は1週間休むようにしているんです。

久石:
あ、いいなぁ(笑)。

SHIHO:
でも…その時間をボーッと過ごすのか、目的をもって過ごすかで違ってきませんか?

久石:
いや…。ボーッと…。

SHIHO:
するのもいいのかなぁ。私あんまりボーッとできない性分なんです。

久石:
あ、そういうタイプ?(笑)

SHIHO:
ハイ、まさに(笑)。オフの日でもスケジュールはすごいですよ。午前中は何をして、お昼は何をして、午後は誰に会って何をする、みたいな。1分1秒も無駄にしない(笑)。

久石:
アハハハ。それじゃ全然オフにならないじゃない(笑)。

SHIHO:
それを最近やっと変えたんです。1日中家にいることが、やっとできるようになって、悪くはないな、と(笑)。本を読んだり、料理をしてみたり。

久石:
料理はいいですよね。僕はあまりやらないけど、曲ってああいう瞬間に浮かびやすいんです。

SHIHO:
料理をやらない久石さんは、どういう時に曲が浮かぶんですか?

久石:
トイレ、風呂場、ベッドの上(笑)。起き抜けや、夜寝ようとしている時とか。「つくろう、つくろう」としている時っよりも、フッとした時に浮かぶんです。いちばん多いのは、仕事場に行くまでの車の中ですね。そのへんの紙やメモ帳にバッと五線を引いて、頭の中に浮かんだ2小節とかを音符で残す。これがいちばん曲になりやすいんだよね。

SHIHO:
そういえば…久石さんのお茶目な話を聞きました。音楽で表舞台に立つなら、名前をそれなりのものにしないといけないって…。クインシー・ジョーンズをもじったんですって?

久石:
くいし・じょー、久石譲(笑)。スタジオのバイトをしている時に、尺八吹いてる友人と名前を変えようかなぁって飲み屋で話してて(笑)。そいつが「映画音楽とかやってる好きな作曲家、いない?」って言うから、『スパイ大作戦』の音楽をやってたラロ・シフリンって言ったの。それを漢字に当てはめたら、「裸」に風呂の「呂」…。語呂が悪いからこれはやめよう!って(笑)。

SHIHO:
アハハハ。

久石:
で、結局さほど心酔していたわけではないけれど、ブラックコンテンポラリーでは気に入っていたクインシー・ジョーンズになって。で、久石譲。「いいんじゃない? これで!」って(笑)。音大3年生の時に、友達と飲みながらいい名前はないかあなとノリで決めたんです(笑)。

SHIHO:
カンタ~ン(笑)。

久石:
ね(笑)。

SHIHO:
子供の頃からクラシック音楽を聴いていたんですか?

久石:
子供の頃は、なんでも聴きました。絶えず歌っているか、楽器を弾いている子供だったので、「職業」として音楽を選んだつもりはなく、やるのが当たり前だと思っていましたね。それ以外のことは考えたことがないぐらい。

SHIHO:
親の職業とは関係なく?

久石:
まったく。父親は高校の化学の教師でしたから。

SHIHO:
やっぱり好きなことを伸ばしてあげたほうがいいんですね。

久石:
大学を卒業してからは、24歳から33歳ぐらいまで、仕事はなんでもやりましたよ。テレビや記録映画の音楽、レコーディングのアレンジ…。アレンジはすごい量をやりましたね。あまり知られていないけど、「ダンスはうまく踊れない」「飾りじゃないのよ涙は」が入ってる井上陽水さんのアルバム『9.5カラット』は、僕がアレンジしているんです。

SHIHO:
でも、その後、幅広いお仕事のオファーが来るようになって…。それがすごいですよね。すべて自分からアプローチして勝ち取ったんですか?

久石:
いや。この仕事は絶対に取るぞと決めると、来るの。なんの根拠もないのに、友人とかんいは次はこれをやる!とは言いますよね。だから、自分で「こうなりたい」と思ったら、口に出して言ったほうがいいって。

SHIHO:
ホントですね。そういえば、また映画音楽をやられているとか…?

久石:
中国の有名な役者さんで、監督もやってるチャン・ウェンという人の映画音楽を手がけています。あと、ペ・ヨンジュさんが出る韓国ドラマの音楽をやるので、韓国に打ち合わせに行ったり。

SHIHO:
「アジアの風が吹いてる」って予測したとおり、ビュービューに吹いてますねぇ(笑)。

久石:
映画でもなんでも、いい作品に出合うには自分のテリトリーを広げないと。

SHIHO:
そっか…。私も頑張ります。今日はどうもありがとうございました!

久石:
こちらこそ、楽しかったです。

(「LUCi ルーシィ 2007年4月号」より)

 

 

 

Disc. クミコ 『十年/人生のメリーゴーランド』

2021年8月25日 CDS発売 COCA-17909

 

中島みゆき書き下ろし楽曲『十年』、映画『ハウルの動く城』テーマ曲に詞をのせた『人生のメリーゴーランド』、クミコが歌う大人のポップス2曲収録

 

 

2007年のアルバム『十年~70年代の歌たち~』の収録曲として発表した中島みゆきの書下ろしによる『十年』と、2006年のアルバム『わが麗しき恋物語』の収録曲として発表したジブリ映画『ハウルの動く城』のテーマ曲『人生のメリーゴーランド』。

「『十年』は、中島みゆきさんが書き下ろしてくださったのに、シングルにしないままおいてしまっていたし、『人生のメリーゴーランド』はせっかく宮崎駿監督にお許しをいただいて詞をつけたのに、ボーナストラックのようにアルバムに収録してしまっていたので、どちらも申し訳ないなと(笑)。今までもったいない扱いをしてしまっていた2曲を新録でリリースしました」

~(中略)~

一方『人生のメリーゴーランド』は、ジブリ映画『ハウルの動く城』の主題歌。宮崎駿監督がクミコの歌声のファンだったことから、映画のパンフレットにコメントを提供することになり、映画を鑑賞したところ、スクリーンに響く楽曲に大感動。自ら監督に日本語詞をつけて歌わせてほしいと依頼し、快諾のもと実現した一曲だ。

アルバム収録時は、アレンジはバンド的なカルテットだったが、今回は、『思い出のマーニー』や『メアリと魔女の花』などジブリ作品の楽曲を手がけ、映画『64-ロクヨン-前編』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を2年連続受賞した村松崇継がリアレンジ。詩人で作詞家の覚和歌子の詞の世界観と、村松らしいシンフォニックなアレンジが一体となり、スケール感のある作品に仕上がっている。

「村松さんには、映画を観て私が感動した、どこの国かわからないけれど、ヨーロッパの匂いのするワルツを再現するようなアレンジにしてほしいとお願いしました。レコーディングでは難しい命題がいろいろあって、『村松、歌いにくいぞーーー!』って(笑)苦労したんですけど、でも苦労がないとつまらないし、苦労した分、愛着も湧いています」

出典:うたびと より一部抜粋
https://www.utabito.jp/interview/8744/

 

 

 

歌手のクミコが、2007年のアルバム『十年~70年代の歌たち~』の収録曲として発表した「十年」と、06年のアルバム『わが麗しき恋物語』の収録曲として発表した「人生のメリーゴーランド」の2曲を新たに録音し、シングルとして8月25日に発売。

2曲ともクミコファンからシングル化を待ち望む声が多かった楽曲。10年間片想いし続ける女性の気持ちをつづった「十年」は、日本在住のブラジル人プロデューサーRenato Iwai氏を起用し、ブラジルの一流ミュージシャンが集結。ブラジルと日本をリモートで結んでのレコーディングが実現した。

「十年は長い月日か 十年は短い日々か」と歌詞にあるように、クミコは2011年3月11日に石巻で被災し、その後、両親の介護、そしてコロナ禍での音楽生活と、人生は順風満帆にはいかず、さまざまな出来事に苛まれた。そんな思い通りにならない人生の悲哀をラブソングに込めた1曲として仕上がっている。

クミコは「思えばこの十年は東日本大震災からの十年でもあり、その時『石巻』という甚大な被害を受けた街に、私はコンサートのために伺っていました。音楽は、歌は、いったい何の役にたつのだろうか。この問いは2021年の今も、コロナ禍の中で繰り返される問いになりました。『十年』は片恋の歌です。思いどおりにならない片思いの歌です。でも最後に主人公は『明日』への希望を持ちます」と楽曲について語っている。

一方「人生のメリーゴーランド」は、ジブリ映画『ハウルの動く城』のテーマ曲として制作された楽曲。宮崎駿監督がクミコの歌声のファンだったことから、映画のパンフレットにコメント提供することとなり、映画を鑑賞したクミコが楽曲に惚れ込み、宮崎監督に日本語詞をつけて歌わせて欲しいと依頼した。監督の快諾のもと、詩人で作詞家の覚和歌子によって詞がつけられ、2006年に「人生のメリーゴーランド」として発表された。今回、村松崇継氏がリアレンジを担当している。

この曲を歌いたいと宮崎監督に願い出ると、監督は「クミコさんの『人生のメリーゴーランド』にしてください」は快諾してくれたと振り返るクミコ。「監督とのご縁をつないでくれた覚和歌子さん(「いつも何度でも」の作詞者)の言葉で2006年に出来上がったこの歌は、その年に発表したベストアルバムの中に入りました。この歌の主人公もまた思い通りにならない人生を生きていて、やはり最後に『明日』を見ます」と、「十年」と共通のテーマがあるようだ。

(WEBニュースより)

 

 

2006年ベストアルバムに収録されたものはアレンジが異なる。

 

 

 

1.十年
作詞・作曲:中島みゆき 編曲:Renato Iwai
2.人生のメリーゴーランド
作詞:覚和歌子 作曲:久石譲 編曲:村松崇継
3.十年 (Instrumental)
4.人生のメリーゴーランド (Instrumental)

 

【お知らせ】久石譲ベストアルバム『Songs of Hope』記念企画 一口コメント大募集! #久石譲ベスト2

Posted on 2021/08/24

久石譲世界リリースベストアルバム第2弾『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi』記念企画!一口コメント大募集! #久石譲ベスト2 “【お知らせ】久石譲ベストアルバム『Songs of Hope』記念企画 一口コメント大募集! #久石譲ベスト2” の続きを読む

Info. 2021/08/20 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」リハーサル映像 近日公開予定

Posted on 2021/08/20

「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」のリハーサル映像が近日公開予定となっています。公式YouTbeチャンネルにてスライドショーが公開されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2021/08/20 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2021」リハーサル映像 近日公開予定” の続きを読む

Disc. 久石譲 『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol. 2』(Domestic / International)

2021年8月20日 CD発売 UMCK-1683/4

 

NYに拠点を置くクラシック・レーベル DECCA GOLD世界同日リリースのベストアルバム第二弾!
映画・CM音楽、そしてライフワークのミニマル・ミュージックから構成された久石譲の多彩な世界に触れる一枚。

(CD帯より)

 

 

日本の巨匠・久石譲が本格的に世界リリース!

Deccaリリース第2弾となるベスト作品。

海外での認知度も高い映画音楽を中心に、彼の音楽人生を代表する名曲ばかり。北野武映画曲 “Kids Return” “HANA-BI” の新規録音を含む、全28曲。2枚組みアルバム。

(メーカーインフォメーションより)

 

 

ミニマルミュージックから広告音楽まで、現代日本を代表する世界的作曲家、久石譲の多面的な才能と豊かな音楽性を凝縮した、DECCA GOLDからのベストアルバム第2弾。東アフリカの伝統音楽にインスパイアされた「MKWAJU 1981-2009」は、久石の音楽の中核を成すミニマルミュイルージックのスタイルによる重要曲で、ここでは2009年にロンドン交響楽団の演奏で録音されたバージョンで聴くことができる。また、映画音楽の巨匠としての魅力も満載で、宮崎駿、北野武、大林宣彦、山田洋次、澤井信一郎、滝田洋二郎といった名監督の作品に寄せた楽曲も多く収録されている。北野監督の映画のためのテーマ曲「Kids Return」と「HANA-BI」の新たに録音されたライブ音源も聴きどころだ。さらに、自ら奏でるソロピアノ曲やコマーシャルフィルムのための楽曲などもセレクトされており、Vol.1に当たる『Dream Songs: The Essential Joe Hisaishi』と併せて入門編としても最適で、長年のファンも楽しめる充実のコンピレーションとなっている。

(iTunes レビューより)

 

 

 

The Essence of the Music of Joe Hisaishi

 『Dream Song: The Essential Joe Hisaishi』に続き、この『Songs of Hope: The Essential Joe Hisaishi Vol.2』を手にしておられるリスナーならば、おそらく久石譲というアーティストについて、すでにさまざまなイメージをお持ちではないかと思う。世界的な映画音楽作曲家、現代屈指のメロディメーカー、叙情的なピアノの詩人……などなど。それらの形容はすべて正しいが、これまで40年にわたり作曲家として活動してきた彼の足跡を、このアルバムに即して注意深くたどってみると、久石という人がつねにふたつの主軸に沿って音楽を生み出し続けてきたことがわかる。芸術音楽、すなわちミニマル・ミュージックの作曲と、久石がエンターテインメントと定義するところの商業音楽の作曲だ。どちらの作曲領域も、彼にとって欠くことが出来ない本質的な活動であるばかりか、ふたつの領域は時に重なり、影響し合うことで、彼独自のユニークな音楽を生み出してきた。本盤の収録楽曲は、これらミニマル・ミュージックとエンターテインメントというふたつの作曲領域が俯瞰できるように、バランスよく選曲されている。まさに、久石譲の音楽のエッセンス(the essence of the music of Joe Hisaishi)が収められていると言っても過言ではない。

 国立音楽大学で作曲を学んでいた久石は、アメリカン・ミニマル・ミュージック(作曲家にラ・モンテ・ヤング、テリー・ライリー、スティーヴ・ライヒ、フィリップ・グラスなど)やドイツのテクノバンド、クラフトワークの音楽に出会って衝撃を受け、理論偏重のアカデミックな現代音楽の作曲に見切りをつけると、自らもミニマル・ミュージックの作曲家を志すようになった。スワヒリ語でタマリンドの木を意味する《MKWAJU》(1981/2009)は、曲名が示唆するように東アフリカの伝統音楽にインスパイアされた、久石最初期のミニマル・ミュージックのひとつとみなすべき重要作(本盤には2009年にロンドン交響楽団の演奏で録音された管弦楽版が収録されている)。シンプルなリズムパターンを繰り返しながら、拍をずらしていくことによってパルス(=拍動、脈動)の存在を聴き手に強く意識させていく手法は、現在に至るまでの彼の音楽の原点となっていると言っても過言ではない。その4年後に作曲された《DA-MA-SHI-E》(1985/1996)の曲名は、オランダの抽象画家マウリッツ・エッシャーの錯視画(だまし絵)に由来する。現実の世界に存在し得ない図形や模様があたかも存在しているように見る者を「だます」トリック的な効果を、久石はミニマル・ミュージックの作曲の方法論に応用し、同じフレーズや音型を繰り返すうちに音楽が新たな側面を見せていく面白さを生み出している。2007年作曲の《Links》はそうした方法論をさらに深化させ、ミニマル・ミュージック特有の力強い推進力は維持しながらも、変拍子のリズムの使用とシンフォニックな展開によって、シンプルにして複雑という二律背反を克服することに成功している。これら3曲に共通するのは、久石のミニマル・ミュージックが非常に知的かつ論理的な作曲に基づきながらも、つねにユーモアを忘れていないという点だ。決して、現代音楽の限られたリスナーに向けて書かれた、抽象的で深刻な音楽ではない。とてもヒューマンで、愉楽に満ちあふれた音楽なのである。しかしながら、久石はミニマル・ミュージック以外の現代音楽をすべて否定しているわけではなく、一例を挙げれば、新ウィーン楽派をはじめとする無調音楽を敬愛し、その影響も少なからず受けている。1999年に作曲された《D.e.a.d》(曲名が示す通り、D=レ、E=ミ、A=ラ、D=1オクターヴ高いレの4音をモティーフに用いている。弦楽合奏、打楽器、ハープ、ピアノのための4楽章からなる組曲「DEAD」として2000年に完成)は、そうした彼の側面が色濃く表れた作品のひとつである。

 次に、久石のもうひとつの重要なエッセンスである、エンターテインメントのための音楽について。

 久石の名を世界的に高めたきっかけのひとつが、宮崎駿監督のために作曲したフィルム・スコアであることは、改めて説明の必要もあるまい(そのテーマ曲のほとんどは『Dream Song: The Essential Joe Hisaishi』で聴くことが出来る)。その中から、本盤には『もののけ姫』(1997)のラストで流れる《Ashitaka and San》と、『紅の豚』(1992)のテーマ曲《il porco rosso》が収録されている。

 宮崎監督のための音楽と並んで世界的に有名なのは、北野武監督のために書いたフィルム・スコアであろう。ふたりがこれまでにタッグを組んだ計7本の長編映画は、初期北野作品の演出を特徴づけるミニマリズムと、久石自身の音楽のミニマリズムの美学が見事に合致した成功例として広く知られている。青春の躍動感と強靭な生命力を、ミニマル的なリズムに託した『キッズ・リターン』(1996)のメインテーマ《Kids Return》。言葉では表現できない夫婦愛を、表情豊かなストリングスで表現した『HANA-BI』(1998)のメインテーマ《HANA-BI》。シンプルで明快なピアノのテーマが、夏の日射しのように輝く『菊次郎の夏』(1999)のメインテーマ《Summer》。さらに久石は、単に映画の物語にふさわしいテーマ曲を作曲するだけでなく、映画音楽作曲の常識にとらわれないユニークな実験をも試みている。哀愁漂う《The Rain》が流れる『菊次郎の夏』のコミカルなシーンは、北野と久石が共に敬愛する黒澤明監督の『音と画の対位法』──コミカルなシーンに悲しい音楽を流したり、あるいはその逆となるような音楽の付け方をすることで、映像の奥に隠れた潜在的意味を強調する──を、彼らなりに応用した実験と言えるだろう。

 昨2020年に82歳で亡くなった大林宣彦監督のために久石が作曲したフィルム・スコアの数々は、宮崎作品や北野作品とは違った意味で、映画監督と作曲家が優れたコラボレーションを展開した例である。『ふたり』(1991)の物語の中で妹と死んだ姉が主題歌《草の想い》すなわち《TWO OF US》を口ずさむシーン、あるいは『はるか、ノスタルジィ』(1993)で過去の記憶を呼び覚ますように流れてくるメインテーマ《Tango X.T.C.》など、大林作品における久石の音楽は、物語の展開上、なくてはならない重要な仕掛けのひとつとなっている。また、『水の旅人 侍KIDS』(1993)の本編をたとえリスナーがご覧になっていなくても、主題歌《あなたになら…》すなわち《FOR YOU》の美しいメロディを聴けば、この作品が夢と希望にあふれたファンタジー映画だということがたちどころに伝わってくるであろう。

 これら宮崎、北野、大林監督のための音楽に加え、本盤には久石の映画音楽を語る上で欠かせない、3人の重要な日本人監督の映画のために書いたテーマ曲が収録されている。

 今年2021年に90歳を迎える日本映画界の巨匠・山田洋次監督と久石がタッグを組んだ第2作『小さいおうち』(2014)の《The Little House》は、主人公が生きる激動の昭和の時代への憧れを表現したノスタルジックなワルツ。久石に初めて長編実写映画の作曲を依頼し、これまでに計6本の作品で久石を起用している澤井信一郎監督の『時雨の記』(1998)の《la pioggia》は、定年を控える妻子持ちの重役と未亡人の純愛をマーラー風の後期ロマン派スタイルで表現したテーマ曲。そして、滝田洋二郎監督と久石が組んだ2本目の作品にして、アカデミー外国語映画賞を受賞した『おくりびと』(2008)の《Departures -memory-》は、物語の中で主人公がチェロを演奏する設定を踏まえ、久石が撮影前に書き下ろした美しいメインテーマである。

 前述の映画音楽に加え、本盤にはエンターテインメントの音楽として、コマーシャル・フィルムに使われた《Friends》(TOYOTA「クラウン マジェスタ」)と《Silence》(住友ゴム工業「デジタイヤ プレミアム VEURO」)も収録されている(後者は久石のピアノ演奏映像がCMで使用された)。いっさいの予備知識がなく、これらの楽曲に耳を傾けてみれば、短いCMで流れた作品とはとても思えないだろう。もちろん、久石は商品コンセプトを充分踏まえた上で作曲しているのであるが、楽曲に聴かれる格調高いメロディは、紛れもなく彼自身の音楽そのものだ。つまり久石は、商業音楽だからと言って、決して安易な作曲姿勢に臨んでいない。ミニマル・ミュージックの作曲と同じく、真剣勝負で取り組んでいるのである。

 この他、本盤には久石がソロ・アルバム(主として『ピアノ・ストーリーズ』を銘打たれたソロ・アルバム・シリーズ)などで発表してきた、珠玉の小品の数々が含まれている。《Lost Sheep on the bed》《Rain Garden》、あるいは《Nocturne》などのように、彼が敬愛するサティやショパンのような大作曲家たちにオマージュを捧げた作品もあれば、久石流のクリスマス・ソングというべき《White Night》のような作品もあるし、《WAVE》(ジブリ美術館の館内音楽として発表された)や《VIEW OF SILENCE》のように、ミニマリストとメロディメーカーのふたつの側面を併せ持つ作品もあれば、《Silencio de Parc Güell》のように、音数を極力絞り込むことで”久石メロディ”を純化させた作品、あるいは《Les Aventuriers》のように、アクロバティックな5拍子でリスナーを興奮させる作品もある。これらの楽曲だけでなく、本盤一曲目の『キッズ・リターン』~《ANGEL DOLL》から、最終曲《World Dreams》(久石が音楽監督を務めるワールド・ドリーム・オーケストラW.D.O.のテーマ曲)まで、すべての収録曲について言えるのは、久石が人間という存在を信じ、肯定しながら、希望の歌を奏でているという点だ。つまるところ、それがミニマル・ミュージックとエンターテインメントの作曲における、久石の音楽の本質なのである。

 つい2ヶ月ほど前、幸いにも僕は、久石自身の指揮によるW.D.O.のコンサートで《Ashitaka and San》と《World Dreams》を聴くことが出来た。『もののけ姫』の物語さながらに世界が不条理な状況に陥り、破壊的な悲劇を体験したいま、ピアノが確固たる信念を奏でる《Ashitaka and San》を耳にした時、『もののけ姫』のラストシーンで「破壊の後の再生」を描いたこの楽曲が、実は我々自身が生きるいまの世界をも表現しているのだと気付かずにはいられなかった。人間は、夢を捨てず、希望を持って前に進まなければいけない。それこそが久石譲の音楽のエッセンス、すなわち「Songs of Hope」なのだと。

前島秀国 Hidekuni Maejima
サウンド&ヴィジュアル・ライター
2021年6月

(CDライナーノーツより)

 

 

CDライナーノーツは英文で構成されている。日本国内盤には日本語ブックレット付き(同内容)封入されるかたちとなっている。おそらくはアジア・欧米諸国ふくめ、各国語対応ライナーノーツも同じかたちで封入されていると思われる。

 

ベストアルバム収録曲のオリジナル音源は下記にまとめている。ライナーノーツには、各楽曲の演奏者(編成)とリリース年はクレジットされているが収録アルバムは記載されていない。

また本盤は、いかなるリリース形態(CD・デジタル・ストリーミング)においても音質は向上している。もし、これまでにいくつかのオリジナル収録アルバムを愛聴していたファンであっても、本盤は一聴の価値はある。そして、これから新しく聴き継がれる愛聴盤になる。

 

 

 

 

NYに拠点を置くクラシック・レーベル DECCA GOLD世界同日リリースのベストアルバム第一弾!久石作品の中でも映画のために作られた珠玉のメロディが際立つ代表曲を中心に構成された愛蔵版。

 

 

 

 

 

 

オリジナルリリース

【Disc 1】
01. ANGEL DOLL
久石譲 『Kids Return』(1996)
02. la pioggia
03. il porco rosso
久石譲 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』(1998)
04. Lost Sheep on the bed
久石譲 『FREEDOM PIANO STORIES 4』(2005)
05. FOR YOU
久石譲 『WORKS・I』(1997)
06. White Night
10. Rain Garden
久石譲 『PIANO STORIES II ~The Wind of Life』(1996)
07. DA-MA-SHI-E
久石譲 『Minima_Rhythm ミニマリズム』(2009)
08. Departures -memory-
久石譲 『おくりびと オリジナル・サウンドトラック』(2008)
09. TWO OF US
12. Summer
久石譲 『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)
11. Friends
久石譲 『WORKS II Orchestra Nights』(1999)
13. Les Aventuriers
久石譲 『Another Piano Stories ~The End of the World~』(2009)
14. Kids Return
※初収録  (Live recorded at Tokyo International Forum, August 16, 2017)

 

【Disc 2】
01.Links
05. MKWAJU 1981-2009
久石譲 『Minima_Rhythm ミニマリズム』(2009)
02. VIEW OF SILENCE
久石譲 『PRETENDER』(1989)
03. Nocturne
久石譲 『NOSTALGIA ~PIANO STORIES III~』(1998)
04. Silence
久石譲 『ETUDE ~a Wish to the Moon~』(2003)
06. Ashitaka and San
09. Tango X.T.C.
久石譲 『WORKS II Orchestra Nights』(1999)
07. The Rain
久石譲 『菊次郎の夏 サウンドトラック』(1999)
08. DEAD for Strings, Perc., Harpe and Piano: 1. D.e.a.d
久石譲 『WORKS III』(2005)
10. The Little House
久石譲 『WORKS IV -Dream of W.D.O.-』(2014)
11. HANA-BI
※初収録  (Live recorded at Tokyo International Forum, August 16, 2017)
12. Silencio de Parc Güell
久石譲 『ENCORE』(2002)
13. WAVE
久石譲 『Minima_Rhythm II ミニマリズム 2』(2015)
14. World Dreams
久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『WORLD DREAMS』(2004)

 

 

 

 

【mládí】for Piano and Strings 【A】
Summer / HANA-BI / Kids Return
久石譲弾き振り(ピアノを弾きながら指揮もする)コーナーです。Aプログラムでは北野武監督作品からおなじみのメインテーマをセレクトし久石譲ピアノと弦楽オーケストラによる演奏です。おなじみでありながらここ数年のコンサートでは聴く機会のなかった「HANA-BI」「Kids Return」というプログラムには多くのファンが歓喜したはずです。

「Summer」はピアノとヴァイオリン・ソロの掛け合いがみずみずしく爽やかで、弦楽もピチカートではじけています。きゅっと胸をしめつけられるような思い出の夏、日本の夏の代名詞といえる名曲です。この曲が生演奏で聴けただけで、今年の夏はいいことあった!と夏休みの絵日記に大きなはなまるひとつもらえた、観客へのインパクトと感動は超特大花火級です。

「HANA-BI」は一転して哀愁たっぷりでしっとりななかに内なるパッションを感じる演奏。特に後半はピアノで旋律を弾きながら、低音(左手)で重厚に力強くかけおりる箇所があるのですが、今回それを弦楽低音に委ねることでより一層の奥深さが際立っていたように思います。ピアノも同フレーズ弾いていましたけれど、従来のようなメロディを覆ってしまうほどの激しい低音パッションというよりも、ぐっとこらえたところにある大人の情熱・大人の覚悟のようなものを感じるヴァージョンでした。渋い、貫禄の極み、やられちゃいます。

「Kids Return」は疾走感で一気に駆け抜けます。弦のリズムの刻み方が変わってる、と気づきかっこいいと思っているあっという間に終わってしまいました。そして今回注目したのが中音楽器ヴィオラです。相当がんばってる!このヴァージョンの要だな、なんて思った次第です。ヴァイオリンが高音でリズムを刻んでいるときの重厚で力強い旋律、一転ヴァイオリンが歌っているときの躍動感ある動き、かなり前面に出ていたような印象をうけます。管弦楽版にひけをとらない弦楽版、フルオーケストラ版では主に金管楽器の担っている重厚で高揚感あるパートをストリングス版ではヴィオラが芯を支える柱として君臨していたような、そんな気がします。これはスカパー!放送でじっくり確認してみたいところです。

ピアノとストリングスで3曲コーナーか、なんて安直なこと思ったらいけません。こんなにも楽曲ごとに色彩豊かに表情豊かにそれぞれ異なる世界観を演出してくれる久石譲音楽。メロディは違っても楽器編成が同じだからみんな同じように聴こえる、そんなことの決してない三者三様の巧みな弦楽構成。清く爽やかで、憂い愛のかたち、ひたむき疾走感。それは誰もが歩んできた「mládí」(青春)のフラッシュバックであり、少年期・円熟期・青年期いつまでも青春そのもののようです。

Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2017」 コンサート・レポート より抜粋)

 

 

 

2021.10 追記

第2弾ベストアルバムでは、一口コメント大募集企画として、全28曲から好きな1曲1ツイート「この曲好き!」その魅力・思い出を140文字で。よせがきのように集まったらいいなとTwitterで募集しました。

 

 

 

 

【Disc1】
01. ANGEL DOLL  (映画『キッズ・リターン』より)
02. la pioggia  (映画『時雨の記』より)
03. il porco rosso  (映画『紅の豚』より)
04. Lost Sheep on the bed
05. FOR YOU  (映画『水の旅人 侍KIDS』より)
06. White Night
07. DA-MA-SHI-E
08. Departures -memory-  (映画『おくりびと』より)
09. TWO OF US  (映画『ふたり』より)
10. Rain Garden
11. Friends  (TOYOTA「クラウン マジェスタ」CMソング)
12. Summer  (映画『菊次郎の夏』より)
13. Les Aventuriers
14. Kids Return  (映画『キッズ・リターン』より)  ※初収録

【Disc2】
01. Links
02. VIEW OF SILENCE
03. Nocturne
04. Silence  (住友ゴム工業「デジタイヤ プレミアム VEURO」CMソング)
05. MKWAJU 1981-2009
06. Ashitaka and San  (映画『もののけ姫』より)
07. The Rain  (映画『菊次郎の夏』より)
08. DEAD for Strings, Perc., Harpe and Piano: 1. D.e.a.d
09. Tango X.T.C.  (映画『はるか、ノスタルジィ』より)
10. The Little House  (映画『小さいおうち』より)
11. HANA-BI  (映画『HANA-BI』より)  ※初収録
12. Silencio de Parc Güell
13. WAVE
14. World Dreams

 

All music composed by Joe Hisaishi

All music arranged by Joe Hisaishi
except
“For You” arranged by Nick lngman

All music produced by Joe Hisaishi
except
“la pioggia”,”il porco rosso”,”White Night”,”Rain Garden”,”Friends”,”Nocturne”,”Ashitaka and San”,”Tango X.T.C.” produced by Joe Hisaishi and Eiichiro Fujimoto
“Silence”,”Silencio de Parc Güell” produced by Joe Hisaishi and Masayoshi Okawa

Mastering Engineer: Christian Wright (Abbey Road Studios)

Mastered at Abbye Road Studios, UK

Art Direction & Design: Kristen Sorace

Photography: Omar Cruz

and more

 

Info. 2021/08/18 久石譲 現代曲同様のアプローチでクラシックを活性化したい (ぶらあぼ より)

Posted on 2021/08/18

クラシック音楽情報誌「ぶらあぼ 2021年9月号」およびWeb版「eぶらあぼ」に久石譲インタビューが掲載されました。ぜひご覧ください。 “Info. 2021/08/18 久石譲 現代曲同様のアプローチでクラシックを活性化したい (ぶらあぼ より)” の続きを読む