Disc. V.A. 『うたってたいそう 春・夏・秋・冬』

1990年7月21日 CD発売 COCG-6506

 

幼児たいそうシリーズ うたってたいそう春夏秋冬

監修・解説
聖心女子大学講師 阿部直美

全10曲振りつき

年少児から年長児まで、四季のテーマに応じた、阿部直美・おざわたつゆきコンビによる幼児体操。

 

 

久石譲が編曲を担当した4楽曲「かいぞくたいそう」「七五三サンバ」「にんじゃでござる」「おいでおいでマーチ」が収録されている。CD盤は1990年発売だが、オリジナルはそれぞれ1980年代のEPおよびLPで発売されていたものである。久石譲1980年代初期の仕事である。

 

 

「かいぞくたいそう」 (1982)

1982年6月 EP発売 EK757

かいぞくたいそう EP 1

かいぞくたいそう EP 2

かいぞくたいそう EP 3

(EPジャケット / EP盤)

 

かいぞくたいそう
作詞:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲

 

 

「七五三サンバ/ポンポンたいそう」(1982)

1982年6月 EP発売 EK-758

(EPジャケット / EP盤)

 

1.七五三サンバ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73、ザ・チャープス
2.ポンポンたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ

 

 

「にんじゃでござる」 (1982)

1982年6月 EP発売 EK759

(EPジャケット / EP盤)

にんじゃでござる
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:さとまさのり 伴奏:コロムビア・オーケストラ

 

 

 

うたってたいそう 春夏秋冬 sc

1.チューリップのコップ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ 振付:河内孝子
2.もりもりたいそう
作詩:佐倉智子・浅野ななみ 作曲:おざわたつゆき 編曲:若松正司 歌:真理ヨシコ 振付:中谷真弓
3.かいぞくたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73 振付:阿部直美
4.なつだよ プールだよ
作詩・作曲:佐倉智子 編曲:おざわたつゆき・たかしまあきひこ 歌:ザ・チャープス 振付:中谷真弓
5.七五三サンバ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73、ザ・チャープス 振付:藤田良子
6.ポンポンたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ 振付:浅野ななみ
7.にんじゃでござる
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:さとまさのり 振付:阿部直美
8.ポテトチップスたいそう
作詩・作曲:阿部直美 編曲:若松正司 歌:岡崎裕美 振付:浅野ななみ
9.おひさまにジャンプ
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:松尾篤興 振付:河内孝子
10.おいでおいでマーチ
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:岡崎裕美 振付:藤田良子

 

Disc. 藤原真理 『風のメッセージ』

藤原真理 風のメッセージ

1990年7月21日 CD発売 COCO-6427
2004年3月24日 CD発売 COCO-70705

 

滅びゆく自然への、人間の哀歌

久石譲がプロデュースした「自然との共生」をテーマとする心温まるアルバム
藤原真理のチェロの響きが心地よく胸にしみる

 

 

言葉ふたつ

「風のメッセージ」のトラック・ダウンを終えてすぐ、ライヒャ(レイハ)のフルート・カルテットの録音のためオランダに出かけた。そこで印象に残っているのが、フルートのニコレの言葉。「正直言って録音という作業は決して好きではない。だけれどこれは、お医者に行って診察を受け、レントゲン写真を前にこことあそこが悪いと診断されているようなもので、時々しなくてはいけない。」彼の音楽には、音楽の広範な知識が、現在進行形で息づいており、何よりも現在起こっていることに対する好奇心は六十をこえたいまも旺盛で、青春まっさかりという人である。ニコレほどではないけれど私自身も録音という作業が好きなわけではない。私もまた同意見である。実際、録音してみると演奏する人間の良いところ悪いところが拡大サイズで現れてくる。

今回の〈風〉のシリーズ二枚目では、前回に引き続きシンセサイザーが使われ、クラシックの音楽に混じってリズミックなポップ系の曲が増えた。選曲も同じ〈自然〉というテーマでなされている。「風のとおり道」で始まり同じ曲の別の編曲で終わるこのアルバムを聞いていただければわかるように、演奏のよしあしだけではなく、チェロという楽器の性格があからさまに出たように思う。演奏ということから考えてみると、楽器自体が持つ特質を前面に出さないのが良い演奏というもので、それぞれの楽器の音を超えて音楽の語り口、人の声が持つ語り口、さらに言えばその本人の声で語るのが理想であり、またそうなるまで待たなくてはいけない。しかし実際は、作品を生み出す作業に携わる人間が増えればそれだけ制約も増えて、いつも好きなだけ時間をかけて仕事ができるわけではない。また演奏ということをさらに考えてみても、演奏のある水準はもちろん要求されるが、常にヴィルトオーゾの技術で楽に上手に演奏できることだけが目的でもないだろう。

ひとりの人間が生きている時間の中で、そのある時点の瞬間が記録され、その結果から、ものを生み出す作業のプロセスがうかがわれる、そういった作品、そういう演奏家がいてもよいのではないだろうか。そんな試行錯誤の中で、「風のメッセージ」の録音は無事終了し、さらに私は懲りないので録音を続けているのである。

最後に、もうひとつ耳について離れない言葉がある。1年ぶりに一緒に働いたドイツ人のアシスタント・ディレクターの話で、「デュッセルドルフからパリまで汽車で移動している途中、何度も森が死んでいるのを見てショクだった。枯れた木の残骸でしかない森の話は聞いていたがこれほど事体が悪化しているとは夢にも思わなかった。僕達はひとりひとりが日常のなかで実際にできることをすぐに実行していかなくてはならない。」という。私もまず手近にできることから始めて、それを続けたいと思う。

藤原真理

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目についてのメモ

■風のとおり道
宮崎駿監督のアニメーション「となりのトトロ」のテーマ。人間の生活と自然の可能なかぎりの調和をみいだそうとする宮崎駿のいつもの試みは、ここでは1950年代の日本を舞台とする。(この時代は今から考えれば、文明の狂暴性がそれほど深刻でなかった)。トトロは人間と自然の相互がつくりだすやさしい幻想。ここではピアノ伴奏による版が冒頭に、最後にはシンセサイザーとチェロによる異なったヴァージョンがおかれる。

■春の朝
マーラーの初期に属する歌曲。レアンダーの民謡風な詩による。春の朝、部屋いっぱいにさしこむ光は、生命のよみがえりを暗示する。最晩期にかかれた「大地の歌」の汎神論的世界の包芽がみられないだろうか。この光はかれの壮大な交響曲作品のすべてにもつねにみいだすことができる。

■イカルス
ラルフ・タウナーの作品。反捕鯨運動の集会などでさかんに演奏されている。反捕鯨運動がエコロジーにむすびつくかどうかは、疑問なしとはしないが、天空を飛翔するイカルスの幻想は、人間の精神の自由を象徴する。

■ギリシャの海
「日曜はダメよ」の作曲家ハジダキスは、レジスタンスの闘士でもあった。この曲は、ナナ・ムスクーリの歌でヒット。人間のうつりやすいエモーションと、不変な海がうたわれる。

■小熊物語
1988年に大ヒットしたジャン=ジャック・アノー監督の動物映画。動物映画にありがちな、擬人化された動物というパターンから一歩も出ていないが、みるべきは、カナダの自然の美しさである。なお音楽は、フィリップ・サルドとクレジットされているが、チャイコフスキーのピアノ曲集「四季」のなかの「舟歌」そのものである。

■森の静けさ
ピアノ連弾用の組曲「ボヘミアの森から」の第5曲を作曲者自身が編曲したもの。19世紀まで、ボヘミアは、工業化されていく西欧の人々にとって、神秘な国であった。森と川は幻想をはぐくみ、そこにすむ人々はある特別な能力をもっていると信じられていた。ドヴォルザークの作品には、どこでかれがかいたものであっても、森に入っていく人の後姿の残像がやきついている。

■バイレロ
中部フランス山岳地方の古い歌は、どういうわけか、フランスのワグネリアンたちを魅了しつづけた。ダンディがそうえあり、この「オーヴェルニュの歌」のカントルーブがそうである。メリスマ的な動きをもつメロディーは、しばしば古典的な秩序のワクをこえる。おそらくキリスト教の伝来以前から伝わる歌であろう。この信仰によって文明の発展はなされ、そしていま滅びようとしている。

■フラジャイル
スティングは、最近とみにエコロジー運動にコミットするようになった。この曲は政治運動にまきこまれペンダゴンに殺された一アメリカ人をうたう。「雨は教えてくれるだろう、人がどれほどはかない存在か」という詞からは生命の根源をみすえるものの視線が感じられる。

■モア
1961年グァティエロ・ヤコペッティによる映画「世界残酷物語」は大きな衝撃をあたえた。文明化されていない民族のさまざまな、グロテスクな習慣。残酷という感性もが、相対的なものであることを知らされる。ちょうど文化人類学で「野性の思考」ということばがつかわれだすころである。この歌はウミガメが放射能で方向感覚を失い死んでいくシーンでつかわれる。いまもチェルノブイリではウミガメのように死んでいく人たちが大勢いる。

■イマジン
ジョン・レノンが1971年に発表した曲。物質主義から精神の自由を回復するためには多くのものをすてなければならない。天国すらも。殺しあいも、宗教もなく、あるのは頭上の空だけ。この透徹したニヒリズムは、あらゆる行動の規範になるべきであろう。ここから自然との、社会との、人間との調和はあらたにつくりだされなければならないであろう。

川口義晴 (制作ディレクター)

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

藤原真理 風のメッセージ

1. 風のとおり道 (「となりのトトロ」より) (久石譲)
2. 春の朝 (マーラー)
3. イカルス (ラルフ・タウナー)
4. ギリシャの海 (マノス・ハジダキス)
5. 小熊物語 (映画「小熊物語」より) (原曲:チャイコフスキー「舟歌」~「四季」)
6. 森の静けさ (ドヴォルザーク)
7. バイレロ (「オーヴェルニュの歌」より) (カントルーブ)
8. フラジャイル (スティング)
9. モア (映画「世界残酷物語」より) (リズ・オルトラーニ,ニーノ・オリヴィエロ)
10. イマジン (ジョン・レノン)
11. 風のとおり道 〈Version II〉 (久石譲)

藤原真理(チェロ)
山洞智(ピアノ)
羽田健太郎(ピアノ) 〈特別友情出演〉 1.

久石譲(プロデュース、編曲、シンセサイザー)

録音:1989年12月~1990年5月 日本コロムビア 第1スタジオ/ワンダー・ステーション

 

Disc. V.A. 『魔女の宅急便 ヴォーカル編 カラオケ』

1990年6月25日 CD発売 TKCA-30099
1990年6月25日 CT発売 TKTA-20045

 

親子で歌えるヴォーカル・レッスン・カラオケ

 

映画『魔女の宅急便』の映画音楽に詩と歌をつけて収録したCD作品「魔女の宅急便 ヴォーカル・アルバム」の全9曲、そのカラオケ・バージョンである。

また同映画主題歌・挿入歌の「やさしさに包まれたなら」「ルージュの伝言」のカラオケ盤のみ本作品に追加収録されている。

 

 

 

 

魔女の宅急便 ヴォーカル編 カラオケ

1.ルージュの伝言
2.めぐる季節
3.何かをさがして
4.想い出がかけぬけてゆく
5.わたしのこころ
6.黄昏の迷い子たち
7.鳥になった私
8.好きなのに!
9.あこがれのまち
10.魔法のぬくもり
11.やさしさに包まれたなら

 

Disc. 久石譲 『ネットワーク・ベイビー』 *Unreleased

1990年5月1日 TV放送

 

NHKドラマ「ネットワーク・ベイビー」 (60分)

第17回放送文化基金賞奨励賞受賞作品。「純愛が時代のトレンドになる昨今、現代人は純な心に飢えている。金銭がらみのホンネとは異なり、もっと人間的に生きるための「純粋なもの」が、これほど必要とされている時代はない。このドラマは、純な心を取り戻すために、そして純な心を忘れないために、コンピューターを使った1人の母親の物語である。【この項、NHK広報資料より引用】」「ドラマに最先端のコンピュータ・テクノロジーを導入した新しいスタイルのドラマで新世代のファンタジーを鮮やかに描いている」(放送文化基金賞受賞理由より)。

 

演出:片岡敬司
原作:一色伸幸
脚本:一色伸幸
音楽:久石譲 (編曲: 片倉三起也)
制作:澁谷康生
主演:富田靖子

 

 

メインテーマふくめ、久石譲らしいメロディが聴かれるわけではない。どちらかというと実験的・前衛的な要素をくみとることができる。またこれは編曲が他者によるものからかもしれない。

本作品はVHS化され発売された(1991/2/21)が、サウンドトラック盤などは発売されておらず、また久石譲のどのCD作品にもリアレンジ含め収録されていない。

 

 

(VHS)

 

Disc. 久石譲 『となりのトトロ ハイテックシリーズ』

1990年1月25日 CD発売 TKCA-30014
1990年1月25日 CT発売 TKTA-20008
1996年11月21日 CD発売 TKCA-71029
2004年8月25日 CD発売 TKCA-72727

 

1988年公開 スタジオジブリ作品 映画「となりのトトロ」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

名サントラ音楽を新たな音楽アプローチで表現して来たアニメージュ・ハイテック。宮崎駿アニメ作品第4弾「となりのトトロ」。「ナウシカ」「ラピュタ」「魔女宅」と続いたシリーズの最終盤。

 

 

解説

アニメージュレーベル ハイテックシリーズ、宮崎駿監督作品第4作。「となりのトトロ」’88年春、劇場公開され、その年の日本映画賞を総ナメにした作品。これまでの作品とは違って日本を舞台とし、心暖まるふれあいを描いた田園ファンタジー。音楽の久石譲氏のサウンドものどかに暖かい仕上りとなっていた。

そのサントラの名曲を今、ワールドミュージックの発信地となっている、ヨーロッパエスノ、また、中近東、アジア、南米等の民族色を取り入れた(大きな意味でのエスノポップ)アプローチで試みたのが、このハイテックシリーズである。

この宮崎作品最終盤の「となりのトトロ」も、新たな響きで興味深く楽しめるものとなっている。

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『となりのトトロ ハイテックシリーズ』

1. となりのトトロ
2. さんぽ
3. まいご
4. すすわたり
5. ネコバス
6. 風のとおり道
7. 五月の村
8. おかあさん
9. 小さな写真

Produced by HIROYUKI KAMII
Arranged by KAZUO NOBUTA
Engineered by SHOICHI HARA, SATOSHI IKEDA
Designed by HIKARU KEBUKAWA
Production Co-ordinat by KAZUO SUDO, TADASHI YOSHIDA
Superviser by TOSHIO SUZUKI, TAKASHI WATANABE
All Songs Comporsed by JOE HISAISHI
Special Thanks TOSHIHIRO NAKANISHI Violin, HIROSHI NARUMI Guitar

 

Disc. 久石譲 『Sunny Shore』 *Unreleased

1990年 CM放送

 

日産 サニー CM音楽を久石譲が担当している。

音楽:久石譲「Sunny Shore」

 

1990年1月13日~
日産サニー B13サニー
「サニーの夢は、ひとつじゃない。」篇
「スモールの革命が、はじまった。」篇

Version.1
陣内孝則(出演)のアカペラではじまり、途中から小編成オーケストラによる伴奏が入る。前半は英語歌詞、後半はハミングである。

Version.2
陣内孝則(出演)ナレーションのバッグに、流れるようなしっとりとしたオーケストラバージョンとなっている。

Version.3
躍動的なオーケストラパーカッションに刻む弦楽、リズミカルに駆け抜けるなか、後半に壮大なメロディを奏でる。

 

全バージョンともに、ベースはシンセサイザー音源で作られている。

ちなみに、オリジナルアルバム『I am』に収録されている「Sunny Shore」と同一楽曲であるが、アレンジはすべてCMオリジナルバージョンになっている。

 

 

(CM映像より)