Disc. 東京佼成ウインドオーケストラ 『ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション Vol.8』

1990年10月17日 CD発売

 

”ニュー・サウンズ・イン・ブラス”シリーズの中から特別によりすぐった名演奏の数々…。ダイナミックで一味違ったポップな演奏をお楽しみください。

指揮:岩井直溥
演奏:東京佼成ウィンドオーケストラ

ゲスト・ミュージシャン:
Drums 猪俣猛
Bass 荒川康男
Trumpet 数原晋 他

 

 

久石譲が編曲を手がけた「四季より 春」「アダージョ」の2楽曲が収録されている。

 

 

曲目解説

1.シボネー
「マラゲーニア」の作曲者でもあるキューバ生まれのエルネスト・レクオーナの作品。キューバの原住民で、既に絶滅してしまったインディオ、シボネー族の恋を歌った曲で、ラテン音楽「ルンバ」のスタンダード・ナンバーとして古くから演奏されている名曲です。

吹奏楽の特性を見事に活かした編曲で、迫力もあり、ワイドなサウンド、それと対照的なルンバの遊びも楽しめます。

 

2.幻想即興曲
ピアノの詩人ショパンが24歳の時作った華麗なピアノ即興曲「幻想」の中間部、ゆるやかな美しい旋律をテーマにしています。ポピュラー曲としても、「虹を追って」などの別名も付けられ、しばしば演奏され親しまれて来ました。

演奏はピアノ・ソロが中心となり、中間部軽快なディスコ・テンポとなりますが、コンサートに変化を与える好ナンバーです。

 

3.飾りのついた四輪馬車
”1943年3月31日の夜、8時30分すこし過ぎ、セント・ジェイムズ劇場の館内照明が消えていき、興奮した観客のざわめきは、恐ろしいまでに静まり返った。指揮者のジェイ・ブロックトンが、さっと振り上げた指揮棒とともに、オーケストラは、力強くオーヴァチュアを響かせはじめた……”。ミュージカル「オクラホマ」の歴史的なオープニングである。それ以来、続演を重ねる事、実に2,248回、この数字を見てもこのミュージカルがいかに好評で、いかに好意を持って迎えられたかが解るであろう。毎日休みなしの上演でも、6年以上はかかる数字である。

原作~リン・リッグス「リラの花緑に育つ」、脚本・作詞~オスカー・ハマースティン二世、音楽~リチャード・ロジャース、振付~アグネス・デ・ミル。

この作品は、リチャード・ロジャースとオスカー・ハマースティン二世のコンビの最初のミュージカルである。このコンビは以後、「回転木馬」「南太平洋」「王様と私」「サウンド・オブ・ミュージック」と次々とすばらしいヒットを続けるのである。

この「飾りのついた四輪馬車」は、「オクラホマ」の冒頭近くに歌われる、楽しいナンバー。好青年のカーリーが、今夜のパーティーに村一番の美しい娘、ローリーを誘い出そうとしています。乗り物はもちろん、きれいに飾りのつけられた四輪馬車。……ストーリーは進み、やがて2人はめでたく結ばれる訳ですが、ミュージカルの終りの方”The wedding”の部分にもこのメロディーは顔を出します。ほんとうに楽しく、ほんとにハッピーなこの曲、この雰囲気をいやが上にも盛り上げているのは、ブラスの響きをよく活かした、絶妙なアレンジがあるからとも言えましょう。正に吹奏楽の醍醐味ここにあり、といった所です。

 

4.さらばジャマイカ
ジャマイカという言葉の持つ響きに、我々は何を感じているだろうか。ジャマイカの熱い風、強い日差し、吸い込まれそうなどこまでも青い空、そして水平線の向こうでは雲と空とに溶け込んでしまいそうな海、憧憬(あこがれ)と勇気。この言葉からはそんなパワーが、何となく伝わって来そうな気はしないだろうか。

 

5.シエリト・リンド
最近、ラテン楽器の普及については目覚ましいものがあり、どこのバンドでも必ず何種類かの楽器が導入されている。もともと日本人のラテン音楽好きは今に始まったことではないのだが、それにしても、ラテン系の音楽は我々に何か郷愁のようなものさえ感じさせてくれるのです。日本人の起源は……などと考えを拡げ、日本人のルーツを音楽から追求してみたくなるほど、それ等は私達に何かを語りかけてきます。

この曲「シエリト・リンド」は、第2のメキシコ国家ともいわれるほどポピュラーなメキシコ民謡ですが、もとはスペイン民謡から変化したと言われています。曲名のシエリト・リンド(きれいな空、美しい空の意)という言葉は、恋人などへの呼びかけなどに使われる、はやしコトバです。

もともと3拍子で演奏される事が多いようですが、今回は、ラテン・パーカッションをふんだんに取り入れ、サンバのイメージでアレンジしております。イントロや、途中でもパーカッションだけのアンサンブル(バッカーダ)の部分に、いろいろなサウンドの楽器や、リズムソロ等のアイディアが存分に盛り込め、コンサートをより楽しいものにしてくれると思います。

 

6.四季より「春」
ヴィヴァルディの有名な弦楽合奏曲「四季」の中の「春」をポップス化したもの。もともと弦楽系の素材を管だけで演奏することは難しいことだが、この編曲ではエレキ・ベースの効果と高音木管群のからみでヴィヴァルディのサウンドを上手に再現していて面白い。最初のテーマが第1楽章、強弱を3小節ずつ対比させ古典曲らしさの中、低音部はそれにおかまいなく正確なリズムをきざむ処理がポップス的。中間部のソプラノ・サックスのソロ(第2楽章)が美しい。繰り返してブレークして行く方法は、アドリブ入門のお手本となる。第3楽章は8分の12拍子、乾いた太鼓の音が民族舞踏を思わせ、軽快なエンディングとなる。鑑賞教材曲でもある古典を、この様な演奏で聴かせるのもバンドを身近なものにさせてくれる。

 

7.マイ・フェア・レディ・メドレー
ブロードウェイ・ミュージカルとして大ヒットを飛ばし、ニューヨークのセント・ジェームズ劇場でロングラン興行となった。日本でも上演されたり、劇中曲がしばしば歌われて来ている。この編曲では「運がよければ」、「踊りあかそう」、「忘れられぬ君」、「何んて素晴らしい」それに「君住む街角」の順でメドレーとなっているが、それぞれにマーチ、スイング、ビギン、ボサノヴァなどのリズムでひと捻りしてあり誠に多彩。勿論聴きなれたメロディーの連結だが、それを抜群のアイディアで構成してある優れた編曲。それぞれのリズムにより、奏法上の約束ごとを良く理解した上で演奏する必要がある。譜面上も易しいので、少し練習を繰り返せば中学校バンドえも楽しめるアレンジです。

 

8.パリのあやつり人形
ヨーロッパのユーロビジョン・コンテストの’67年度の入賞曲。何んでもない曲のようですが、全般に「おや!!」と思わせるユーモアとイタズラがかくされていて誠にブラス的、愉快な曲です。もともとポール・モーリアの楽団の演奏でヒットした曲ですが、コンサートの息抜きになる軽い編曲で、素材がブラス向きなだけに効果が期待できるよい作品です。

 

9.フィーリング
すっかりおなじみのフィーリング。バンド用の編曲もかなり出版されてはいますが、この編曲は原曲の感じを忠実に生かし、全般がフリューゲルホルンのソロを中心としています。演奏に際しては最初のギターの分散和音が重要なので、無ければピアノなどに置きかえても音をていねいに拾って欲しいですね。やはり中・低音を厚目にブラスのハーモニーを生かしたいものです。

 

10.ベンジーのテーマ
先頃かわいいお客さんを沢山集めてヒットした映画「ベンジー」のテーマ音楽。このシリーズ中最もイージーでしかも上品にまとめた良い作品のひとつ。何んでもないテーマながら各セクションのバランスがよく、スローロックとビギンのリズムで愛情を歌いあげます。中学校バンドのレパートリーのひとつとしても歓迎される作品です。

 

11.アダージョ
アルビノーニはヴィヴァルディと同時代のイタリアの作曲家です。このアダージョはその一部を映画「審判」のテーマ音楽に使ったことから、ポピュラー界に入り込んだものです。クラシックの持つ奥深い神秘性を感じさせる名曲で、オーボエのソロが美しく歌います。後半はジャズ・ワルツに哀愁のメロディーが乗りますが、演奏の素材としても勉強になる点の多い良い編曲です。

 

12.サウス・ランパート・ストリート・パレード
古い古いデキシーランド・ジャズのスタンダード・ナンバーだけど、実に楽しいスイングに編曲されている。ピッコロ2重奏、クラリネット、トランペットのソロが楽しい。このソロの部分を、チューバなど、他の楽器にも繰り返し吹かして見たら、面白い演奏効果が得られることだろう。

解説:石上禮男

※解説はそれぞれレコード発売当初のものをそのまま転用しました。

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ニュー・サウンズ・イン・ブラス・ベスト・セレクション vol.8

1.シボネー Siboney
2.幻想即興曲 Fantaisie-Impromptu, Op.66
3.飾りのついた四輪馬車 The Surry with the Fringe on Top
4.さらばジャマイカ Jamaica Farewell
5.シエリト・リンド Cielito Lindo
6.四季より「春」 “Spring” from Four Seasons
7.マイ・フェア・レディ・メドレー My Fair Lady (Medley)
8.パリのあやつり人形 Puppet on a String
9.フィーリング Feelings
10.ベンジーのテーマ Benji’s Theme “I Feel Love”
11.アダージョ Adagio en Sol Mineur
12.サウス・ランパート・ストリート・パレード South Rampart Street Parade

編曲:
岩井直溥 1,3,5,7,8,10,12
藤田玄播 2
真島俊夫 4
久石譲 6,11
小野崎孝輔 9

 

Disc. 草尾毅 『Credo-Believe in something-』

1990年9月27日 CD発売 TYCY-5143
1993年7月7日 CD発売 TYCY-5310

 

声優草尾毅のオリジナル・アルバム。

1990年盤にはカラーブックレット24ページのほか、本人のトークを収録した8cmCD付きである。

久石譲が作曲・楽曲提供した「楽しいことばかりあるはずない」「YOU」の2楽曲が収録されている。

 

 

草尾毅 Credo 1990

(1990年盤)

 

 

草尾毅 クレド Credo 1

1.太陽が騒ぐ島
作詞:宝野アリカ 作曲:井上大輔 編曲:KAZZ TOYAMA
2.抱きしめてパラディソ
作詞:SHOW 作曲:埜邑紀見男 編曲:埜邑紀見男
3.Because of You
作詞:KEII 作曲:KAZZ TOYAMA 編曲:KAZZ TOYAMA
4.楽しいことばかりあるはずない
作詞:松本一起 作曲:久石譲 編曲:KAZZ TOYAMA
5.太陽と風の渚
作詞:SHOW 作曲埜邑紀見男 編曲:埜邑紀見男
6.ROCK’N’ROLL MY WAY
作詞:Himi 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:KAZZ TOYAMA
7.セビリアの恋人
作詞:宝野アリカ 作曲井上大輔 編曲:KAZZ TOYAMA
8.君といちばん乗りの夏
作詞:Himi 作曲:タケカワユキヒデ 編曲:KAZZ TOYAMA
9.YOU
作詞:松本一起 作曲:久石譲 編曲:KAZZ TOYAMA
10.LONG WAY FROM HOME
作詞:Himi 作曲:KAZZ TOYAMA 編曲:KAZZ TOYAM

 

Disc. V.A. 『アニメージュ・ヴォーカル・コレクション』

1990年9月25日 CD発売 TKCA-30147
1990年9月25日 CT発売 TKTA-20069

 

宮崎駿作品のヴォーカル集。テーマ曲や挿入歌、イメージ・ソングで構成されたアルバム。

セレクトされている作品は「名探偵ホームズ」「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」の、スタジオジブリ作品を多数収録した全5作品より。映画のイメージソングとして制作され、本編未使用かつ久石譲作品ではないものも含まれている。

 

 

アニメージュ・ヴォーカル・コレクション 1

アニメージュ・ヴォーカル・コレクション 2

1. 君をのせて 歌:井上あずみ
2. 風の谷のナウシカ 歌:安田成美
3. となりのトトロ 歌:井上あずみ
4. おかあさん 歌:井上あずみ
5. まいご 歌:井上あずみ
6. もしも空を飛べたら 歌:小幡洋子
7. 風の妖精 歌:安田成美
8. 空からこぼれたStory 歌:ダ・カーポ
9. 想い出がかけぬけてゆく 歌:井上あずみ
10. 鳥になった私 歌:宝野ありか
11. 好きなのに! 歌:宝野ありか
12. あこがれのまち 歌:MAI & YUMIKO-Chan
13. 合唱 君をのせて 歌:杉並児童合唱団
14. めぐる季節 歌:井上あずみ

 

Disc. V.A. 『ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(2)』

1990年8月1日 CD発売

 

文部省学習指導要領準拠
ダンス学習法・エチュード

●創案・構成・監修●
松本千代栄
(お茶の水女子大学名誉教授・社団法人日本女子体育連盟理事長)

●実践研究●
日本女子体育連盟 提案グループ

 

 

解説

III 運動の要素

1. 課題1 伸―縮―回 ~透明な空の下~ 作曲:越部信義
〈伸びる──縮む──まわる〉の板書によって、先ず運動の性質と連続を視覚的にもつかませましょう。人間の運動の中の基本的な曲直の運動の質感をとりだし、舞踊運動──イメージを含んだ運動にむかわせる練習です。
①曲──遅、直──速にじゅうぶんに伸縮し、自転、円、螺旋など、さまざまにまわる。
②方向をかえて伸縮し、遅速をかえてつづける。2人や群であわせあって行う。
③運動から得たイメージをもって新しく動く。植物の成長、山彦(花火など直──速は課題2の音楽で)

 

2. 課題2 走―跳―転 ~パニック~ 作曲:越部信義
〈走──跳──転〉板書。ダイナミックな性質をもった運動の質の練習。〈走──止〉の練習も加え、スピードのある走、大きい跳躍と廻転転回をクレッシエンドにつづけましょう。
①軽いスキップと停止、あちこちを見る。
②こまかいバランスと各方向への移動。
③走──跳の連続、あるいは、跳──跳──まわって跳ぶの連続、いろいろな空間姿勢で。
④ひとながれの長さでクレッシエンドをくりかえす。パニック、ポップコーン、火山、追跡などイメージをもって動きのフレーズづくり。

 

3. 課題3 捻―回―見 ~美しい流れ~ 作曲:玉木宏樹
〈ねじれる──まわる──見る〉板書。流動的なスパイラルな動きの練習。8の字が永遠の継続であるように、全身の波動やスクリューのようにねじれる動きは、心をさそいいれる表現的な性質をもたらします。
①上半身のリードするらせん状の動き。
②低い動きから高い螺旋への動き。
③ゆっくりのねじりから、おいあげる旋回へ。
④最後の「見」は、視線をきめることでフレーズをまとめる働きを感じとりましょう。
⑤さわやかな、ブリリアントな音色もいかしましょう。

 

4. 課題4 運動―変化―連続 ~風紋~ 作曲:佐藤允彦
〈運動──変化──連続〉は、すでにいままでの練習の中にもふくまれていました。ここでは特に、大きなうねりの中に、小さいうねりがいくつも含まれて、全体として大きい流れをつくる舞踏の構造の性質を強調し、感じとれるように設定しています。(動きの展開の練習)
①一連の動きが呼吸するように自由につづける。
②1人の動きに唱和させて、群のユニゾンを反復する。
③集合──分散をいかし、クレッシエンドの反復。
④課題1.2.3の動きをいかし、旋回の軌跡を美しくつくる。
⑤音の深さと知性をいかし、イメージをもって連続して踊る。
(例—宇宙、中央アジア、流砂、原始の顔、心像、等)

 

IV 群の要素

5. 課題1 群のリズム ~空間の呼応~ 作曲:久石譲
グループのメンバーが空間のどのポジションをしめるかによって人間と空間のつくりだす表現性はかわります。空間に描くリズムを感じて、メンバーの凝集度をかえてみましょう。先ず2人の練習から。
①2人のかたまり、前・後向、並列、高低、遠近をかえて、2人でつくる表現の相互関係を感受しましょう。
②空間の中の距離関係──どこまで離れても関係は密に保てるか。序破急のリズムで追いかけてみましょう。
③2人でつくる空間の経路。(軌跡)
④動く1人と動かすサポートする1人との対応。
⑤2人でイメージをきめて。
(例—鳴動、序破急、遠近感、点描)

 

6. 課題2 個と群 ~原始林~ 作曲:玉木宏樹
〈動く──止る〉が運動の原素であるように、〈移動──移動しない〉は運動を変化する根源的な働きです。また、群の中では、これらの動──静、移動──移動しない性質が、群の流動性を変化させる源になります。すでに練習した運動の要素の種々な性質をいかして、個と群の対応の練習をしましょう。
①全員での各方向への走──止、壁まで走り、もどって一群等。
②2群にわかれてフーガのように追いかけて走──止。
③ジグザグの方向に走──止。止るポーズは伏せる転がるなど身体の各部位を床につけて止る。
④2群にわかれ、ゆっくり伸—縮をその場で行う密集群と個々に自由に跳び、浮遊する分散群にわかれてハーモニィをつくる。
⑤イメージをもって。

 

7. 課題3 集合と分散 ~生きてる自然~ 作曲:久石譲
7~8人の小グループが密集している、又は1人1人登場する、又は、2つのサブ・グループに別れるかによって、同じ空間の中での表現性は異なります。個人を超えた群と空間の対応の表現力を感知する練習をしましょう。
①1人ずつゆっくり遠くから近くから集まって群をつくる。
②群のまま、高低、前後、側面の性質を変える。
③群のまま、乱舞したり静止したりリズムを変える。
④1人ずつ去っていく。残る群の動きとの対応。
⑤イメージをきめて各グループで即興的に踊る。
(例—生命の神秘、祭式、神々の集い、永雪、樹氷など)

 

8. 課題4 個―群の展開 ~挑戦~ 作曲:佐藤允彦
群舞作品の骨組となっている個(ソロパート)対人(デュオ)群(コーラス)などの構成と展開を練習しましょう。
①全員が分散し、床に伏せ、個々に動くオープニング。(予感)
②1~2名が、スピードをあげて人々の間を縫う。
③おいこまれて群が挑むように動く。(試み)
④クレッシエンドで反復。
⑤動かない”間”をつくる。あるいは1人が動く。
⑥群の最大のクレッシエンドとそのくりかえし、テンポアップ。(挑戦)
⑦クライマックスからエンディングへ。
⑧グループでイメージを定め即興的に全体をはこぶ。
(例—森のめざめ、暗黒、葛藤、暗夜を越えて)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(2) sc 2

(CDライナーノーツより)

 

 

ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(2) sc 1

I ダンス学習法(2)
《運動の要素》
1. 課題1 伸―縮―回 ~透明な空の下~ 作曲:越部信義
2. 課題2 走―跳―転 ~パニック~ 作曲:越部信義
3. 課題3 捻―回―見 ~美しい流れ~ 作曲:玉木宏樹
4. 課題4 運動―変化―連続 ~風紋~ 作曲:佐藤允彦
《Ⅳ群の要素》
5. 課題1 群のリズム ~空間の呼応~ 作曲:久石譲
6. 課題2 個と群 ~原始林~ 作曲:玉木宏樹
7. 課題3 集合と分散 ~生きてる自然~ 作曲:久石譲
8. 課題4 個―群の展開 ~挑戦~ 作曲:佐藤允彦

演奏/コロムビア・オーケストラ

 

Disc. V.A. 『ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(1)』

1990年8月1日 CD発売

 

文部省学習指導要領準拠
ダンス学習法・エチュード

●創案・構成・監修●
松本千代栄
(お茶の水女子大学名誉教授・社団法人日本女子体育連盟理事長)

●実践研究●
日本女子体育連盟 提案グループ

 

 

解説

I みんなでおどろう

1. レッスン1 みんなでおどろう1、2、3 -マイムをいかして- ~マーチング・アニメーション~ 作曲:玉木宏樹
マーチング・アニメーションとサブ・タイトルにしるされたように、動画風の音が、さまざまな空想をかきたて、動きを誘うでしょう。何がやってきたと思いますか?いろいろなイメージをもって楽しくリズムにのりましょう。リズムにのって踊ることはたのしさの原点です。
①お祭広場の交通巡査、ピーピーと交通整理。つづく行進は、動物パレード、サーカス団、童話の王様、ライオンが逃げて大さわぎ……。
②全身から部分の動きまで湧かせましょう。

 

2.レッスン2 みんなでおどろう4、5、6 -全身のほぐし- ~ジャンピング・スターダスト2~ 作曲:越部信義
ジャンピング・スターダスト2──流れる軽快な、シャレた音楽にのって、先生といっしょに、友だちといっしょに踊りを楽しみましょう。
①足をふりあげたり、身体をツイストしたり、リズムを楽しむ中で自然に全身から部分まで身体の意識に目覚めるように試みましょう。
②2人の対話のように、動きのかけあいを行ったり、みんなでユニゾンに同じ動きをあわせあう踊りの自由さをいかしてすすめましょう。

 

3.レッスン3 みんなでおどろう7、8、9 -踊りのキャラクターをひらく- ~フォークロリック・ムーブメント~ 作曲:越部信義
フォークロリックなメロディと、うきうきしたビートにのって賑々しく踊りましょう。
①1人で自由にステップを踏んで踊る。
②2人で相手に呼応して踊る。
③みんなで次々に拍手をおくり渡しながら踊る。
④1つのパートは踊り方をきめておいて、みんなでいっしょに踊り、他は個々に自由に踊るなど、感じあって踊る楽しみを味わう。
⑤自分の身体の全身・部分がほぐれるように新しい動きを試みチャレンジする。

 

4.レッスン4 みんなでおどろうA、B、C -ひとながれの踊りを気持よく- ~スペース・ファンタジア~ 作曲:久石譲
遠い空に幻想を繰り展げるような音の響きにのって、美しく踊りましょう。
①ビートのきいたマルカートはメリハリをつけた動きで、明るくうきうきとリズミカルに。
②流れるレガートなリズムは、動きも清らかに、広い空間に美しく軌跡をつくりましょう。
③ボンゴのように早口で、ヴァイオリンのように胸いっぱい歌いあげて、動きの風あいを変えてみましょう。
④いろいろなフォーメーションも工夫しましょう。

 

II 身体の要素

5.課題1 全身の動き ~仔猫のウォーム・アップ~ 作曲:冬木透
仔猫のように背をまるめたり、大きなのびをしたりできますか。爪をすばやくといだり、じゃれあったり、とびついたり、高い屋根からとび下りたり、走ったり、仔猫は全身を全く自由につかいこなします。(曲──流動──連続)
床に長くねそべったり、小さくまるまったり、這ったり、ころがったり、全身を粘土をこねるようにいろいろに使いこなしながら、身体でつくるさまざまな形や動きをくふうしましょう。身体の意識に目覚めるように。

 

6.課題2 全身と部分の動き ~窓をつくろう~ 作曲:越部信義
身体でどんな窓がつくれるでしょう。うで立て伏せをすると細長い窓、足を開いて立つと三角形の窓、その上に身体をまげて両手を床につけるとたくさんの窓ができます。
①動く(スキップなど)──止る(窓をつくる)のくりかえしで、リズムにのって”形──ステップ”の動きのパターンを楽しみましょう。
②自由にスキップをし、小グループでかたまって窓(鳥籠やお城など)をつくることもできます。相手と組んで足を高くあげるなど、むずかしい窓も試みましょう。

 

7.課題3 部分の動き ~ロボット組立て~ 作曲:小久保隆
ロボットのように、コキコキと身体の部分を動かしてみましょう。肩、首、腕、膝等。両腕をいっしょに上げ下ろし、左向右向などメカニックな動きで、部分の動きを楽しみましょう。(”直──断続──短い単位”の動き)
①2人組でむきあってまねる。走る──止って動くなどの動きのパターンの中で、屈折的な動きを試みる。
②人形ぶりの歩き方で、前後、左右の空間を移動する。
③時には、ロボット組立て──空中分解などイメージをもって。

 

8.課題4 ムーブメント・デザイン ~鏡のコンチェルト~ 作曲:冬木透
はじめは、相手の動きをよみとる力を、次には、相手の動きの中に自分のもたない動きの質や味わいのあることを感受できるようにしましょう。(協和──不協和、連続──対立の発見)
①フーガやカノンのように動きを追いかけたり、
②同時に動くユニゾンやシメトリーの動きを試みましょう。
③”その場の動き──移動の動き”によって、空間を円に、8の字に、らせん状にデザインしましょう。
④イメージをもって、描写的な動きも加えましょう。
(例—しごと、対話など)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(1) sc 2

ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(1) sc 3

(CDライナーノーツより 抜粋)

 

 

ダンス学習法・エチュード I ダンス学習法(1) sc 1

I ダンス学習法 (1)

《みんなでおどろう》
1.レッスン1 みんなでおどろう1、2、3 ~マーチング・アニメーション~ 作曲:玉木宏樹
2.レッスン2 みんなでおどろう4、5、6 ~ジャンピング・スター・ダスト2~ 作曲:越部信義
3.レッスン3 みんなでおどろう7、8、9 ~フォークロリック・ムーブメント~ 作曲:越部信義
4.レッスン4 みんなでおどろうA、B、C ~スペース・ファンタジア~ 作曲:久石譲
《身体の要素》
5.課題1 全身の動き ~仔猫のウォーム・アップ~ 作曲:冬木透
6.課題2 全身と部分の動き ~窓をつくろう~ 作曲:越部信義
7.課題3 部分の動き ~ロボット組立て~ 作曲:小久保隆
8.課題4 ムーブメント・デザイン ~鏡のコンチェルト~ 作曲:冬木透

演奏/コロムビア・オーケストラ

 

Disc. 久石譲 『アニメージュ・ベストコレクション』

アニメージュ・ベストコレクション

1990年7月25日 CD発売 TKCA-30115
1990年7月25日 CT発売 TKTA-20053

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「魔女の宅急便」まで
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

主題歌やイメージソングを集めたソング・コレクション

 

 

アニメージュ・ベストコレクション

1. 晴れた日に
2. めぐる季節 (井上あずみ)
3. 魔法のぬくもり (井上あずみ)
4. はるかな地へ…
5. 風の谷のナウシカ (安田成美)
6. 遠い日々
7. 鳥の人
8. となりのトトロ (井上あずみ)
9. ねこバス (北原拓)
10. さんぽ (井上あずみ)
11. まいご (井上あずみ)
12. 空から降ってきた少女
13. 君をのせて (井上あずみ)

 

Disc. 中島啓江 『KEIKO NAKAJIMA』

1990年7月25日 CD発売 ALCA-57

 

オペラ歌手中島啓江のオリジナルアルバム。久石譲が作曲・編曲を手がけた楽曲が収録されている。

同日発売で「昼下がりのパーク・アベニュー/Walkin’」もシングルCDとして発売されている。

 

 

中島啓江 KEIKO NAKAJIMA

01. Walkin’
作詞:松本一起 作曲:羽田一郎 編曲:国本佳宏
02. Shining Day
作詞:松本一起 作曲:佐藤健 編曲:小林信吾
03. 昼下がりのパーク・アベニュー
作詞:松本一起 作曲・編曲:久石譲
04. 愛さずにはいられない
作詞:松本一起 作曲:佐藤健 編曲:山本光男
05. Blue Sailing
作詞:雄鹿美子 作曲:小野香代子 編曲:久石譲
06. Kの夢 たそがれからの序章
作詞:榎雄一郎 作曲・編曲:菅野よう子
07. Kの夢 ゆめのはじまりの第2章
作詞:榎雄一郎 作曲・編曲:菅野よう子
08. Kの夢 つらいさみしいの第3章
作詞:榎雄一郎 作曲・編曲:菅野よう子
09. Kの夢 おわりとはじまりの終章
作詞:榎雄一郎 作曲・編曲:菅野よう子
10. Tinkle A Bell -深い愛に包まれて-
作詞:霜月智恵子 作曲:アレキス C.ダミゴス 編曲:山本光男
11. マリア (ベニス協会録音)
作詞:不詳 作曲:ヤコブ・アルカデルト

「昼下がりのパーク・アベニュー」
「Blue Sailing」
Computer Programming, Synthesizer:Joe Hisaishi

 

Disc. 久石譲 『タスマニア物語 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『タスマニア物語 オリジナル・サウンドトラック』

1990年7月21日 CD発売 PCCA-00095
1990年7月21日 CT発売 PCTA-00057

 

1990年公開 映画「タスマニア物語」
監督:降旗康男 音楽:久石譲 出演:田中邦衛 薬師丸ひろ子 他

 

 

これぞ、正統的な映画音楽の王道です。

いろいろと調べてみましたが、バリ島だったらガムラン、インドだったらシタールのように地域差を出すためのエスニックな楽器というものが、オーストラリアにも、タスマニアにもない。オーストラリア民謡ってないんですよ。この音を聞いたら、それだけで、オーストラリアのイメージがパッと浮かんでくるような音がなかったので、ひたすら広大な大陸を連想させる、スケールの大きなシンフォニー・サウンドに徹した方がいいと思いました。

今回の音楽は、とんでもなく手間暇をかけているんですよ。1曲が4分近くあって、長い。本当に画面と、どこまで密接して作るか考えて、洋画に近い作り方をしたなあという気がします。例えばセリフが一言あるとすると、そのセリフによって、音楽が反応する。コンピュータを駆使して、5秒間に14フレーム、ピシッと入れて、4分間連続して音楽が入る。それが全部で20数曲あるという。これ以上はないほど、正統的な映画音楽の王道をゆくものになったと思いますよ。今まで僕が手がけた映画音楽の中では最大規模でやらせてもらいました。

基本的には、メインのワンテーマだけは前面に押し出して作りました。いい映画って、1曲だけで充分なんですよ。だって「ティファニーで朝食を」で、”ムーン・リバー”以外覚えていますか? 「E.T」で、あのメインテーマ以外に覚えてますか? この映画の参考のために、昔の映画を何本か見てみたんですが、みんな緻密に作ってあるんですよ。やはり、お金と時間をかけてキッチリと作っている。「E.T」にしても、あのメインテーマは、映画の3分の1以上進行しないと、出てこないんです。本当に少ない。最初に出てくるのは、自転車が空を飛ぶ場面ですからね。あのテーマは、あれだけみんな覚えているけど、そんなにひんぱんには出てこない。それほど大事に使っている。インパクトのある場面だけに、ちゃんと流すんですよ。メロディが一寸だけずつ流れる。メロディを全部キチンと流しているのは、そんなに多くない。ああいう音楽の設計の仕方、緻密さは最も大事なことです。あそこまでやらないと、映画音楽とはいえない。この映画でも、メインテーマは最初から出てこないんですよ。随所にモチーフが表れるんですが、メロディが有機的にだんだんと展開していく。それを初めて試みることができました。だから、ワンテーマで十分なんです。現在の日本の映画音楽は、みんなそうですが、メロディを4つか5つ用意すれば、3日か4日で映画音楽を作ることはできる。ワンテーマだと、よほど緻密に設計しないと飽きられちゃうんです。

画面を見ていると、これは非常に正統的な映画だと思います。田中邦衛さんの演技は、見ていても泣かせるし、全体的にも決して奇をてらっていない。特にそういう場面を用意することもなく、降旗監督は本当に大人の眼差しで、手堅く作られたという感じで、僕はすごく好きです。音楽も、それに合わせて正統的に、堂々とやりたかった。時間がなくて徹夜続きでしたが。

ただ僕自身のスタイルは全然変わらないし、監督が映画の中で何をやろうとしているのか、それに対して自分の考えを述べるのが、映画音楽のあり方でしょ。この映画の前に「ペエスケ・ガタピシ物語」をやったんですけど、あれは、わらべうたのような単純なメロディに、超アヴァンギャルド・サウンドを乗せました。それはそれで、映画へのひとつのメリハリのつけ方なんです。そういう意味では、今度はジャズ風にとか、ロック風にとか、クラシック風に作ろうとか、あんまり思わないんですよ。自分のスタイルを守りつつ、その中で、この映画だと、今回はベースドラムを入れて、ポップスっぽい扱いを全くするべきじゃない、スタイルとしては完全にフル・オーケストラで、最先端のサンプリング楽器を使って、どっちがどっちか分からないくらいに作るんです。その混ぜ具合が、作品ごとに違う。いいメロディさえ書けば、それで全て用が足りるかというと、それはそうなんですが、やっぱり同時に表現方法として、時代のテクノロジーがあるわけです。それに対して、新しい表現はどんどん出てくるわけですから、ただミュージシャンを大勢集めて、一斉に演奏してもらって、映画音楽を作るやり方には、あまり興味がありません。

Blog. 映画『タスマニア物語』(1990) 久石譲インタビュー 劇場用パンフレットより

 

 

「去年『タスマニア物語』をやった時に、一本の映画にはひとつのメロディしかないというのが正しいということにしたんです。たとえば、『ティファニーで朝食を』という映画には、当然いくつもの音楽が使われていたわけですけど、結局『ムーンリバー』しかないですよね。だったら、メインテーマですべてを押さえなければいけないということにして、それに徹したんです。実は、メロディをいくつか作っておいた方が楽なんです。メロディが一個だと、ものすごく、緻密に作らないと持たないし、本格的にそういう作り方をしようと思ったら、時間とお金が膨大に必要なんですよ。『タスマニア』ではじめてそれが出来たんです」

「だからプレッシャーもすごくあります。そこまで言いきって、予算も用意させて”なに、このくらいの音楽?”って言われたら、その瞬間が自分の終わりですから、そのためにはこちらも命をかけなきゃいけない」

Blog. 「CDジャーナル 1991年4月号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

久石譲 『タスマニア物語 オリジナル・サウンドトラック』

1.タスマニア物語 -オープニング-
2.直子との出会い
3.タスマニア島へ出発 ~メインテーマ~
4.父と子の再会
5.正一と実の友情
6.タスマニアの動物達
7.森の銃声~栄二の決断
8.草原の子供達
9.正一と実、森の奥へ
10.闇の中のタスマニアデビル
11.正一と実の別れ
12.タスマニアの虹
13.栄二の告白
14.直子の草笛
15.父と子のふれあい
16.旅立ち -タスマニアタイガーを求めて-
17.「僕は見たんだよ、父さんのタスマニアタイガー」
18.正一と栄二、それぞれの思い
19.エピローグ
20.タスマニア物語 ~メインテーマ~

 

Disc. V.A. 『うたってたいそう 春・夏・秋・冬』

1990年7月21日 CD発売 COCG-6506

 

幼児たいそうシリーズ うたってたいそう春夏秋冬

監修・解説
聖心女子大学講師 阿部直美

全10曲振りつき

年少児から年長児まで、四季のテーマに応じた、阿部直美・おざわたつゆきコンビによる幼児体操。

 

 

久石譲が編曲を担当した4楽曲「かいぞくたいそう」「七五三サンバ」「にんじゃでござる」「おいでおいでマーチ」が収録されている。CD盤は1990年発売だが、オリジナルはそれぞれ1980年代のEPおよびLPで発売されていたものである。久石譲1980年代初期の仕事である。

 

 

「かいぞくたいそう」 (1982)

1982年6月 EP発売 EK757

かいぞくたいそう EP 1

かいぞくたいそう EP 2

かいぞくたいそう EP 3

(EPジャケット / EP盤)

 

かいぞくたいそう
作詞:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲

 

 

「七五三サンバ/ポンポンたいそう」(1982)

1982年6月 EP発売 EK-758

(EPジャケット / EP盤)

 

1.七五三サンバ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73、ザ・チャープス
2.ポンポンたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ

 

 

 

うたってたいそう 春夏秋冬 sc

1.チューリップのコップ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ 振付:河内孝子
2.もりもりたいそう
作詩:佐倉智子・浅野ななみ 作曲:おざわたつゆき 編曲:若松正司 歌:真理ヨシコ 振付:中谷真弓
3.かいぞくたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73 振付:阿部直美
4.なつだよ プールだよ
作詩・作曲:佐倉智子 編曲:おざわたつゆき・たかしまあきひこ 歌:ザ・チャープス 振付:中谷真弓
5.七五三サンバ
作詩・作曲:阿部直美 編曲:久石譲 歌:こおろぎ’73、ザ・チャープス 振付:藤田良子
6.ポンポンたいそう
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:真理ヨシコ 振付:浅野ななみ
7.にんじゃでござる
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:さとまさのり 振付:阿部直美
8.ポテトチップスたいそう
作詩・作曲:阿部直美 編曲:若松正司 歌:岡崎裕美 振付:浅野ななみ
9.おひさまにジャンプ
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:たかしまあきひこ 歌:松尾篤興 振付:河内孝子
10.おいでおいでマーチ
作詩:佐倉智子 作曲:おざわたつゆき 編曲:久石譲 歌:岡崎裕美 振付:藤田良子

 

Disc. 藤原真理 『風のメッセージ』

藤原真理 風のメッセージ

1990年7月21日 CD発売 COCO-6427
2004年3月24日 CD発売 COCO-70705

 

滅びゆく自然への、人間の哀歌

久石譲がプロデュースした「自然との共生」をテーマとする心温まるアルバム
藤原真理のチェロの響きが心地よく胸にしみる

 

 

言葉ふたつ

「風のメッセージ」のトラック・ダウンを終えてすぐ、ライヒャ(レイハ)のフルート・カルテットの録音のためオランダに出かけた。そこで印象に残っているのが、フルートのニコレの言葉。「正直言って録音という作業は決して好きではない。だけれどこれは、お医者に行って診察を受け、レントゲン写真を前にこことあそこが悪いと診断されているようなもので、時々しなくてはいけない。」彼の音楽には、音楽の広範な知識が、現在進行形で息づいており、何よりも現在起こっていることに対する好奇心は六十をこえたいまも旺盛で、青春まっさかりという人である。ニコレほどではないけれど私自身も録音という作業が好きなわけではない。私もまた同意見である。実際、録音してみると演奏する人間の良いところ悪いところが拡大サイズで現れてくる。

今回の〈風〉のシリーズ二枚目では、前回に引き続きシンセサイザーが使われ、クラシックの音楽に混じってリズミックなポップ系の曲が増えた。選曲も同じ〈自然〉というテーマでなされている。「風のとおり道」で始まり同じ曲の別の編曲で終わるこのアルバムを聞いていただければわかるように、演奏のよしあしだけではなく、チェロという楽器の性格があからさまに出たように思う。演奏ということから考えてみると、楽器自体が持つ特質を前面に出さないのが良い演奏というもので、それぞれの楽器の音を超えて音楽の語り口、人の声が持つ語り口、さらに言えばその本人の声で語るのが理想であり、またそうなるまで待たなくてはいけない。しかし実際は、作品を生み出す作業に携わる人間が増えればそれだけ制約も増えて、いつも好きなだけ時間をかけて仕事ができるわけではない。また演奏ということをさらに考えてみても、演奏のある水準はもちろん要求されるが、常にヴィルトオーゾの技術で楽に上手に演奏できることだけが目的でもないだろう。

ひとりの人間が生きている時間の中で、そのある時点の瞬間が記録され、その結果から、ものを生み出す作業のプロセスがうかがわれる、そういった作品、そういう演奏家がいてもよいのではないだろうか。そんな試行錯誤の中で、「風のメッセージ」の録音は無事終了し、さらに私は懲りないので録音を続けているのである。

最後に、もうひとつ耳について離れない言葉がある。1年ぶりに一緒に働いたドイツ人のアシスタント・ディレクターの話で、「デュッセルドルフからパリまで汽車で移動している途中、何度も森が死んでいるのを見てショクだった。枯れた木の残骸でしかない森の話は聞いていたがこれほど事体が悪化しているとは夢にも思わなかった。僕達はひとりひとりが日常のなかで実際にできることをすぐに実行していかなくてはならない。」という。私もまず手近にできることから始めて、それを続けたいと思う。

藤原真理

(CDライナーノーツより)

 

 

曲目についてのメモ

■風のとおり道
宮崎駿監督のアニメーション「となりのトトロ」のテーマ。人間の生活と自然の可能なかぎりの調和をみいだそうとする宮崎駿のいつもの試みは、ここでは1950年代の日本を舞台とする。(この時代は今から考えれば、文明の狂暴性がそれほど深刻でなかった)。トトロは人間と自然の相互がつくりだすやさしい幻想。ここではピアノ伴奏による版が冒頭に、最後にはシンセサイザーとチェロによる異なったヴァージョンがおかれる。

■春の朝
マーラーの初期に属する歌曲。レアンダーの民謡風な詩による。春の朝、部屋いっぱいにさしこむ光は、生命のよみがえりを暗示する。最晩期にかかれた「大地の歌」の汎神論的世界の包芽がみられないだろうか。この光はかれの壮大な交響曲作品のすべてにもつねにみいだすことができる。

■イカルス
ラルフ・タウナーの作品。反捕鯨運動の集会などでさかんに演奏されている。反捕鯨運動がエコロジーにむすびつくかどうかは、疑問なしとはしないが、天空を飛翔するイカルスの幻想は、人間の精神の自由を象徴する。

■ギリシャの海
「日曜はダメよ」の作曲家ハジダキスは、レジスタンスの闘士でもあった。この曲は、ナナ・ムスクーリの歌でヒット。人間のうつりやすいエモーションと、不変な海がうたわれる。

■小熊物語
1988年に大ヒットしたジャン=ジャック・アノー監督の動物映画。動物映画にありがちな、擬人化された動物というパターンから一歩も出ていないが、みるべきは、カナダの自然の美しさである。なお音楽は、フィリップ・サルドとクレジットされているが、チャイコフスキーのピアノ曲集「四季」のなかの「舟歌」そのものである。

■森の静けさ
ピアノ連弾用の組曲「ボヘミアの森から」の第5曲を作曲者自身が編曲したもの。19世紀まで、ボヘミアは、工業化されていく西欧の人々にとって、神秘な国であった。森と川は幻想をはぐくみ、そこにすむ人々はある特別な能力をもっていると信じられていた。ドヴォルザークの作品には、どこでかれがかいたものであっても、森に入っていく人の後姿の残像がやきついている。

■バイレロ
中部フランス山岳地方の古い歌は、どういうわけか、フランスのワグネリアンたちを魅了しつづけた。ダンディがそうえあり、この「オーヴェルニュの歌」のカントルーブがそうである。メリスマ的な動きをもつメロディーは、しばしば古典的な秩序のワクをこえる。おそらくキリスト教の伝来以前から伝わる歌であろう。この信仰によって文明の発展はなされ、そしていま滅びようとしている。

■フラジャイル
スティングは、最近とみにエコロジー運動にコミットするようになった。この曲は政治運動にまきこまれペンダゴンに殺された一アメリカ人をうたう。「雨は教えてくれるだろう、人がどれほどはかない存在か」という詞からは生命の根源をみすえるものの視線が感じられる。

■モア
1961年グァティエロ・ヤコペッティによる映画「世界残酷物語」は大きな衝撃をあたえた。文明化されていない民族のさまざまな、グロテスクな習慣。残酷という感性もが、相対的なものであることを知らされる。ちょうど文化人類学で「野性の思考」ということばがつかわれだすころである。この歌はウミガメが放射能で方向感覚を失い死んでいくシーンでつかわれる。いまもチェルノブイリではウミガメのように死んでいく人たちが大勢いる。

■イマジン
ジョン・レノンが1971年に発表した曲。物質主義から精神の自由を回復するためには多くのものをすてなければならない。天国すらも。殺しあいも、宗教もなく、あるのは頭上の空だけ。この透徹したニヒリズムは、あらゆる行動の規範になるべきであろう。ここから自然との、社会との、人間との調和はあらたにつくりだされなければならないであろう。

川口義晴 (制作ディレクター)

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

藤原真理 風のメッセージ

1. 風のとおり道 (「となりのトトロ」より) (久石譲)
2. 春の朝 (マーラー)
3. イカルス (ラルフ・タウナー)
4. ギリシャの海 (マノス・ハジダキス)
5. 小熊物語 (映画「小熊物語」より) (原曲:チャイコフスキー「舟歌」~「四季」)
6. 森の静けさ (ドヴォルザーク)
7. バイレロ (「オーヴェルニュの歌」より) (カントルーブ)
8. フラジャイル (スティング)
9. モア (映画「世界残酷物語」より) (リズ・オルトラーニ,ニーノ・オリヴィエロ)
10. イマジン (ジョン・レノン)
11. 風のとおり道 〈Version II〉 (久石譲)

藤原真理(チェロ)
山洞智(ピアノ)
羽田健太郎(ピアノ) 〈特別友情出演〉 1.

久石譲(プロデュース、編曲、シンセサイザー)

録音:1989年12月~1990年5月 日本コロムビア 第1スタジオ/ワンダー・ステーション