Disc. 久石譲 & 新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ 『パリのアメリカ人』

久石譲 『パリのアメリカ人』

2005年11月30日 CD発売 UPCI-1036

 

新しいポップス・オーケストラとして誕生したニュープロジェクト「久石譲&新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」の第2弾アルバム。

 

 

楽曲解説

001. パリのアメリカ人
1928年に作曲家ジョージ・ガーシュインが初めて手がけた同名のフル・オーケストラ用管弦楽曲をもとに、ミュージカル映画「巴里のアメリカ人」が作られたのは1951年のこと。パリに住む画家志望のアメリカ人青年とキュートなパリジェンヌの恋模様を小粋に描いたこのMGM作品は、主演および振付を務めたジーン・ケリーとレスリー・キャロンのダンス・シーンが話題となり、作品賞はじめ8つの部門でオスカーを受賞している。

002. 男と女
フランシス・レイが手がけた「ダバダバダ」のメイン・テーマがあまりに名高いこの作品は、過去の痛手から立ち直れず、新たな愛へと踏み切れぬ男女の心の機微を描いた、大人のムードあふれる1966年のフランス映画。主演はジャン・ルイ・トランティニャンとアヌーク・エーメ。監督は、フランシス・レイと組んで「パリのめぐり逢い」(1967)、「白い恋人たち」(1968)等の名作を送り出したクロード・ルルーシュ。

003. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
1943年のミュージカル映画「サムシング・トゥ・シャウト・アバウト」のためにコール・ポーターが作詞作曲した曲。ドン・アメチーとジャネット・ブレアが歌い、アカデミー主題歌賞にノミネートされたが、失敗作続きのブロードウェイ・プロデューサーが新作を舞台に乗せようとするまでの悪戦苦闘を描いた映画自体は流行らず、クリフォード・ブラウンと共演した歌手ヘレン・メリルのレコード等によってポピュラーな曲となった。

004. ロシュフォールの恋人たち
監督ジャック・ドゥミ、音楽ミシェル・ルグラン、主演カトリーヌ・ドヌーヴのゴールデン・トリオが生み出した、フランス・ミュージカル映画の傑作の一つ。お祭りにわきたつロシュフォールの街を舞台に、さまざまな恋が展開されてゆく1965年の作品で、ドヌーヴは実の姉フランソワーズ・ドルレアックと、夢に恋に生きる双子の姉妹役で生涯唯一の共演をはたした。ジョージ・チャキリス、ジーン・ケリーと、その他の出演者も豪華。

005. Le Petit Poucet
シャルル・ペローの童話「親指トム」をもとにした、2001年製作のフランス映画。小人の“親指トム”が主人公のファンタジーで、ロマーヌ・ボーランジェ、カトリーヌ・ドヌーヴらが出演している。監督は、ジャン・レノ主演の映画「クリムゾン・リバー2」を手がけたオリヴィエ・ダアン。久石譲が音楽を手がけ、主題歌をヴァネッサ・パラディが歌っている。

006. 夜も昼も
コール・ポーターが作詞作曲を手がけた1932年のブロードウェイ・ミュージカル「陽気な離婚」からのナンバーで、主演スターであるフレッド・アステアのために書かれたもの。海辺のリゾートを舞台に、イギリス人作家と離婚を控えた女性との恋が描かれるこの作品は、名ダンス・コンビ、フレッド・アステア&ジンジャー・ロジャーズの主演で、1934年に「陽気な離婚者」と改題されて映画化された(邦題「コンチネンタル」)。

007. ビギン・ザ・ビギン
1935年に初演されたブロードウェイ・ミュージカル「ジュビリー」からのナンバーで、西インド諸島のマルチニーク島の民俗舞曲である“ビギン”と“始める=ビギン”を掛けて、コール・ポーターが作詞作曲した。身分を隠して城を抜け出し、普段できないことを楽しむロイヤル・ファミリーの姿を描いた「ジュビリー」はさほどヒットしなかったが、後の大スター、モンゴメリー・クリフトが子役として出演していたことで知られる。

008. ラストタンゴ・イン・パリ
パリのアパートでただただセックスに溺れる日々を送る中年男と若い女の姿をとらえた「ラストタンゴ・イン・パリ」は、衝撃的な性描写ゆえに1972年の発表当時世界各国で上映禁止となり、日本でも27年の年月を経てやっと無修正完全版が公開された。「ラスト・エンペラー」(1987)などで名高いベルナルド・ベルトルッチ監督が31歳の若さで発表した問題作で、主演はマーロン・ブランドとマリア・シュナイダー。

009. ソー・イン・ラヴ
シェイクスピアの「じゃじゃ馬ならし」のミュージカル版と、そこに出演している役者たちのラブロマンスが二重写しで描かれるブロードウェイ・ミュージカル「キス・ミー・ケイト」(1948)の、舞台裏の部分で歌われたナンバー。コール・ポーター作品として最大のヒットとなり、第一回トニー賞の栄誉に輝いたこのミュージカルは、1953年にMGMにて映画化されているが、その際コール・ポーターその人も出演をはたした。

010. 太陽がいっぱい
リッチな放蕩息子に憧れ、彼になりかわるべく恐ろしい犯罪に手を染めていく貧しい青年を描いた映画「太陽がいっぱい」(1960)は、主演のアラン・ドロンがスターの地位を不動のものとしたサスペンス・ドラマ。監督はルネ・クレマン、「ゴッドファーザー」シリーズやフェリーニ作品などで名高いニーノ・ロータが音楽を手がけた。後に「リプリー」(1999)のタイトルで、マット・デイモン主演でリメイクもされている。

011. シェルブールの雨傘
「ロシュフォールの恋人たち」に先駆け、監督ジャック・ドゥミ、音楽ミシェル・ルグラン、主演カトリーヌ・ドヌーヴのゴールデン・トリオが生んだ、フランス・ミュージカル映画の最高傑作で、1964年度のカンヌ映画祭グランプリを受賞した。港町シェルブールを舞台に、戦争で引き裂かれる傘屋の娘と自動車修理工の若者との悲恋が、甘い調べに乗ってせつなく描かれるこの作品は、セリフもすべて歌いあげる手法も話題を呼んだ。

012. 白い恋人たち
フランス・グルノーブルにて1968年に開催された第十回冬季オリンピック大会の模様をとらえたドキュメンタリー映画で、「男と女」や「パリのめぐり逢い」と同じく、クロード・ルルーシュが監督を務め、フランシス・レイが音楽を担当している。アテネからの聖火リレーに始まり、華やかな開会式、各競技に挑む選手たちの姿、そして13日間の白熱した日々を経ての閉会式などが、ヴィヴィッドに描き出されている。

文:藤本真由

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

「1920年代、30年代という世界大恐慌前後の時代、アメリカ人が憧れるものっていうのは「文化」だったんですね。成功したらパリに住むというのが、彼らのステイタスになっていた。それでコール・ポーターもフィッツジェラルドもパリに住むようになった。でも今、成功したらここに住みたい、というような場所はないでしょう? わかりやすい憧れの対象や目的がないこの時代に、「パリのアメリカ人」をテーマにすることで、今の時代性が浮き出てくるといいなと考えたんです。」

「コール・ポーターっていうと、やっぱり歌ですからね。スウィング的なものや、ジャジーな感覚を持っているということで、彼女を選んだんです。フランス映画音楽だけをそのままやってしまうのではイージーリスニングになってしまうかも知れない。どこかに異種のもの、アメリカン・テイストを入れたかったんですね。フランス料理にハンバーガーが入ってくるというか(笑)。それがコール・ポーターであり、レディ・キムのヴォーカルなわけです。ミスマッチの要素が入ることで両方が際立てばと。そういうことも含めて「パリのアメリカ人」なんです。」

「あと、こうしたテーマを日本人がやるっていう部分も面白いと思うんです。例えば僕はオーケストラをやってますけど、これは西洋音楽がベースでしょ。なんで日本人がやるんだって言われると困っちゃうわけです。結局みんな根無し草状態なんですよね。でも、だからこそ自分のルーツを知りたいという思いがある。そうした部分から出てくる孤独感や叙情っていうのは僕にとって昔からのテーマなんです。」

Blog. 久石譲 「アップル iTunes インタビューズ」 『パリのアメリカ人』発売記念 より抜粋)

 

 

──選曲の基準は。

久石 自分が思い入れのある映画が多いかな。当初は新しい作品も入れようと思ったけど、いざ聴いてみたらぴんとこなかった。最近の映画音楽はメロディーが弱くなっている気がする。「アメリ」(2001年)みたいに面白い曲もあったけど、オーケストラの楽曲として耐えられるメロディーだと感じられなかった。結果的に強いメロディーを持つ昔の曲が残った。

──原因は何だと思いますか。

久石 映画の作り方全般に言えることだけど、「ハリウッド流」が浸透して、ヒットのために作品とは関係のない楽曲が持ち込まれることが多くなった。そのため、映画を象徴するようなメロディーが減ってしまい、サウンドトラックというよりコンピレーションアルバムになってしまっている。昔はもっとあの映画と言えばこのメロディーということがあったのにね。

──名曲のスコアを見て感じたことは。

久石 ガーシュインに代表されるように、クラシックとかポップスとか、ジャンルの垣根を感じさせない曲が多かった。ただ、実際にアレンジし始めたら、編曲というより作曲になってしまった。やっぱり自分は作曲家。素直に編曲すればよかったのに、余計に時間がかかってしまった。

──手ごわかった曲は。

久石 ミシェル・ルグランはどれも大変だった。和音にわざと異音が入っていて、不協和音的に聴かせる構造が多く、こっちがこうしたいのにと思ってもぶつかってしまう。「ルグランは鬼門だ!」ってずっと言っていたよ(笑)。

Info. 2005/11/29 メロディーが強かった往年の映画音楽 久石譲に聞く(読売新聞より) より抜粋)

 

 

 

久石譲 『パリのアメリカ人』

1. パリのアメリカ人 AMERICAN IN PARIS
2. 男と女 UN HOMME ET UNE FEMME
3. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO
4. ロシュフォール恋人たち LES DEMOISELLES DE ROCHEFORT
5. Le Petit Poucet
6. 夜も昼も NIGHT AND DAY
7. ビギン・ザ・ビギン BEGIN THE BEGUINE
8. ラスト・タンゴ・イン・パリ LAST TANGO IN PARIS
9. ソー・イン・ラブ SO IN LOVE
10. 太陽がいっぱい PLEIN SOLEIL
11. シェルブールの雨傘 LES PARAPLUIES DE CHERBOURG
12. 白い恋人たち TREIZE JOURS EN FRANCE

Guest Singer:Lady Kim 3. 6. 7. 9.
Guest Pianist:Alex Nakhimovsky 3. 6. 7. 8. 9. 12

Recorded at Sumida Triphony Hall

except
Arranged by Kousuke Yamashita 3. 4. 7.

初回限定エンハンスト映像
「ワールド・ドリームス」収録

 

Disc. V.A. 『チェコ・フィルプレイズ スタジオジブリ交響曲集』

久石譲 『スタジオジブリ交響曲集』

2005年11月16日 CD発売 TKGA-502

 

スタジオジブリ作品のチェコフィル名演奏を集めたベスト盤
SACD ハイブリッドディスク

「チェコ・フィルプレイズ スタジオジブリ交響曲集」
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団

録音:ドヴォルザーク・ホール/プラハ

 

1998年「交響組曲もののけ姫」以来、プラハ(ドヴォルザークホール)にてチェコ・フィルとのセッションの数々の中からバランスエンジニアとして参加した江崎友淑がセレクト&リマスタリング。スタジオジブリレコーズ初のSACD(ハイブリッド)。チェコ・フィルとは数々セッションを重ねてきた江崎氏によるライナーノーツ解説掲載。

 

 

プロデューサーノート

ここに集められた作品群は、スタジオジブリが制作した一連のサウンド・トラックからの抜粋である。日本の映画や映像を取り巻く環境、こと音楽に関しては決して明るいものとはいえない。というのも、本編と同等とも言えるほど大事な音楽に関して、かけられる予算がどんどん下降の傾向にあるということだ。そんな日本のサウンド・トラックの中にあって、ことスタジオジブリの制作するものは、一流の作曲家、そして世界的なオーケストラの起用といった豪華な内容になっていることは非常にユニークなことだ。ぼくも、そのいくつかの仕事を一緒に出来たことは、自分の録音生活の中でもとても有意義であったといえる。

僕たちが普段行っている録音活動は、あくまでクラシックの再生芸術の分野において、先の巨匠たちが残したが曲を演奏者と我々録音側でその時々の正誤を探って仕上げてゆく。しかも、そのほとんどは欧州においてで、欧州の演奏家達と欧州の作曲家の作品の携わることがその大部分である。すなわち、我々日本人がそこで現場をリードする事は容易なことではないのである。

ジブリ作品の録音を通じては、いつもの逆で日本人の作曲家のものを、作った本人とともに音楽制作していくというのは非常な醍醐味である。欧州においては日本人の感性は非常に高く評価されているのも面白い。

今回はSACDでこれまでのいくつかの作品をバージョン・アップしてリリースできることも非常に嬉しい限りだ。SACDは、これまでとは全く違った音声信号によって、CDでは再生できなかった20kHz以上の音、すなわち人間の耳には聞こえていない気配感などの超広帯域の音が収録されている。それによる音楽表現の幅が更に広がっているということだ。

これはマニアが揃える大型のオーディオでなくても、充分にミニ・コンポでもその違いは歴然とわかる。我々制作側にいると、マスターのクオリティーをどうやってリスナーの皆々により高い次元のサウンドを届けられるか、それがいつも大きな難問であるが、これらの次世代メディアの登場で、一つ大きくマスターに近いサウンドを届けられるようになったのは喜ばしい限りだ。

今回リリースされるこの作品群は、それぞれの作曲家が、特に日本で人気の名門オーケストラ、チェコ・フィルの名手たちとともに作り上げた珠玉のオムニバス盤で、これはサウンド・トラックとして、また独立した音楽作品として是非末永く聴き続けられるアルバムとなることを望むばかりである。

江崎友淑

(CDライナーノーツより)

 

 

久石譲 『スタジオジブリ交響曲集』

「交響組曲 もののけ姫」より
作曲:久石譲 演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 ピアノ:久石譲
1.第一章 アシタカせっ記
2.第四章 もののけ姫
3.第八章 アシタカとサン
「となりの山田くん クラシックアルバム」より
作曲:矢野顕子 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
4. となりの山田くんのテーマ~オーケストラバージョン~
5.たかしとまつ子のタンゴ・シンフォニコ
「猫の恩返し サウンドトラック」より
作曲:野見祐二 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
6.バロン
7.パストラーレ(牧歌)
8.ハルのおもいで
「イメージ交響組曲 ハウルの動く城」より
作曲:久石譲 演奏:チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
9.ミステリアス・ワールド
10.動く城
11.ウォー・ウォー・ウォー(War War War)
12.ケイヴ・オブ・マインド
ボーナストラック〈初収録〉
作曲:木村弓 演奏:チェコ・フィルハーモニー室内管弦楽団
13.いつも何度でも~オーケストラバージョン~

録音:
1998/6/6~8 「交響組曲もののけ姫」
1999/2/27~28 「となりの山田くんクラシックアルバム」
2001/12/11~12 「猫の恩返しサウンドトラック」
2003/10/18~20 「イメージ交響組曲ハウルの動く城」
2001/12/11~12 ボーナス・トラック「いつも何度でも」

指揮:マリオ・クレメンス
録音ホール:芸術家の家(ドヴォルザーク・ホール/プラハ)

 

Czech Philharmonic Orchestra Plays Studio Ghibli Symphonies

1.The Legend of Ashitaka
2.Princess Mononoke
3.Ashitaka and San
4.Theme for “My Neighbors the Yamadas”
5.Takashi and Matsuko’s Tango Sinfonico
6.The Baron
7.Pastorale
8.Haru’s Memories
9.Mysterious World
10.Moving Castle
11.War War War
12.Cave of Mind
13.Always with Me

 

Disc. 平原綾香 『晩夏(ひとりの季節) / いのちの名前』

いのちの名前 平原綾香

2005年9月28日 CDS発売 MUCD-5081

 

平原綾香が荒井由実(松任谷由実)の名曲「晩夏」を優しい歌声でカバー。カップリング曲は『千と千尋の神隠し』のテーマ「いのちの名前」を久石譲によるプロデュース/ピアノで録音。『TBSテレビ50年・戦後60年特別企画「ヒロシマ」』のテーマ曲。

 

ミュージック・ビデオも制作されている。

 

 

いのちの名前 平原綾香

1. 晩夏 (ひとりの季節)
2. いのちの名前 平原綾香 with 久石譲

「晩夏(ひとりの季節)」
作詞・作曲:荒井由実 編曲:松任谷正隆

「いのちの名前」
作詞:覚和歌子 作曲・編曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『Welcome to Dongmakgol』

久石譲 『トンマッコルへようこそ オリジナル・サウンドトラック』

2005年9月14日 CD発売 DK0471 ※輸入盤

 

2005年公開 映画「Welcome to Dongmakgol」
(邦題:トンマッコルへようこそ)
監督:PARK Kwang-hyun パク・クァンヒョン 音楽:久石譲

 

日本国内盤サウンドトラック「トンマッコルへようこそ」と一部選曲および曲数が異なる

 

 

確かに、韓国にて発売された『Welcome to Dongmakgol』のサントラよりも、10月4日にユニバーサルより発売される『トンマッコルへようこそ』のサントラの方が3曲少なくなっています。この理由は、映画に使用されているすべての楽曲からサントラにいれるにふさわしい楽曲を厳選した結果です。曲目、曲順等を含め一枚のサントラアルバムとして、よりまとまりのあるものになっていると思います。

韓国にて発売された『Welcome to Dongmakgol』のサウンドトラックは当事務所の許諾無くして韓国側が発売し、音質に問題のあるものでした。しかし、日本で発売する『トンマッコルへようこそ』のサウンドトラックは日本でリマスタリングをし、音質には全く問題ありません。

・韓国映画のサントラの評判について
韓国と日本の技術、文化に対する意識の差や制作過程のシステムの違いなどから、こういった事態に至ってしまいました。もちろんこの件に関しましては、昨年中に韓国と話し合いを行い、韓国国内のサントラを回収することで双方合意しております。ただし、韓国から既に輸入されてしまったものに関しては、回収等の手段をとることが非常に困難な状況で、私どもといたしましても大変遺憾に思っております。秋に映画が公開される際にユニバーサルレコードからサントラが発売されますが、新たにマスタリングを行い、良質の音を必ずお届け致します。

(Wonder City 公式発表)

 

 

 

久石譲 『トンマッコルへようこそ オリジナル・サウンドトラック』

1.a waltz of sleigh
2.welcome to Dongmakgol
3.Opening
4.The battle
5.American Army
6.a wild boar
7.N.Korea
8.no title
9.N.Korea vs S.Korea
10.Love and Grenage
11.Leaving Dongmakgol for the battle
12.falls of the popcorn
13.Dongmakgol Village
14.to the village
15.paradise
16.friendship song
17.after the battle
18.an old lady
19.Death of Yeoil
20.buried past
21.Confrontation
22.Butterfly
23.attack of butterflies
24.Resolution of Hyunchul

 

Disc. 久石譲 『WORKS III』

久石譲 『WORKS3』

2005年7月27日 CD発売 UPCI-1027

 

 

世紀をまたいで終結を迎えたDEAD

今回のコンサートのために書いた組曲「DEAD Suite」は、僕がクラシック、現代音楽の世界から離れて19年ぶりに書き上げた楽曲だ。DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲だ。いささかポップスのフィールドを逸脱したかもしれないが、20代後半にポップスの世界に転向して以来、初めての本格的な現代音楽作品になる。リズムが変わり、不協和音ぎりぎりのところで構成されたこの楽曲は、なぜ今まで自分が音楽をやってきたのか? を問い詰めながら、今世紀末のひとつの区切りとして僕にとって通らなくてはいけない道、なくてはならない楽曲となった。最終的には4曲から成り立つ組曲を考えているが、今回のコンサートで披露できるのはその内2曲までになる。後は、来年書き足そうと思っている。

久石譲 (PIANO STORIES ’99 ツアーパンフレットより)

 

 

夜中に、ふと思う。自分がなぜ今まで音楽をやってきたのか?
20世紀末にも確かにこの疑問にたどり着いた。
「DEAD」。あの未完成な組曲を完成させなくては・・・・
そんな思いに掻き立てられ、一気に書き上げた。
なぜ今DEADなのか・・・・
このツアー中に僕自身が「深淵」を臨くことになるのだろうか。

 

Deadのモティーフは「死」だ。
誰にも訪れる「死」を考えることは「生」を考えることでもある。
「生きる」ことの基本は「愛」だ。
幸福を求めるその先には「愛」がある。
だからこの作品は「愛」を唄った音楽でもある。

久石譲

 

 

「WORKS III」解説より

DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲。初映画監督作品「カルテット」の前に撮る予定だった映画のために書いた曲でもある。第一楽章、第四楽章は、99年「PIANO STORIES ’99」ツアーで、弦楽四重奏Balanescu Quartetと共演し、アルバム「Shoot The Violist~ヴィオリストを撃て~」にも収録されている。今年7月に発売された「WORKS III」にて、第二楽章、第三楽章を書き足し弦楽オーケストラ組曲として完成した。

第一楽章 「D.e.a.d」
普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。

第二楽章 「The Abyss~深淵を臨く者は・・・・~」
ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。

第三楽章 「死の巡礼」
一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。

第四楽章 「復活~愛の歌~」
ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディに至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。

今回第二、第三楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

村岡裕司

(「久石譲 Symphonic Special 2005」コンサート・パンフレット より)

 

 

CD解説

映画音楽家として活動する時の久石譲は、つねに映像と真剣勝負をするストイックなクリエーターとしての姿勢を崩さないが、一人の音楽家としてレコーディングやコンサートに臨む際の氏は、映画をきっかけにした曲にしてもオリジナル曲にしても、アーティストとしての底知れぬ可能性を謳歌するように新しい創造に立ち向かう。きっとその創造の裏側には、生みの苦しみがあるのだろうが、幸運にも彼の作品を聴く側にいる我々は、音楽を聴いて楽しみ笑い泣き、時には勇気付けられたりして、久石ミュージックと旅に出ることが出来る。これまで久石譲が発表してきた数々のソロ作品が支持されてきたのは、マルチなキャリアを積んでいる氏の音楽が、妥協を許さない創作姿勢を貫いているからだろう。

久石ワールドを伝える『WORKS』シリーズの第3弾となるこの新作は、現在の彼の音楽を満喫するには十分すぎるほどの魅力を凝縮させた豪華な内容となった。CMでおなじみの「Oriental Wind」にメガ・ヒット作『ハウルの動く城』から生まれた名曲「人生のメリーゴーランド/Merry-go-round」、久石譲の大きなテーマを包含した組曲「DEAD」、バスター・キートンのハリウッド・クラシックに新たに音楽を加えるというユニークな手法による「THE GENERAL」という、4つの異なるアプローチから生まれた音楽で構成されている。現在の久石譲の多面的な創作を知る上でも非常に興味深いコンセプトだ。

アルバムのハイライトとなるのは、組曲として全貌を明らかにした「DEAD」である。

元々は『Quartet』(2001)に先駆けて氏の監督第一作に予定されていた映画のために、第1楽章と第4楽章は書かれたもので、5年前にバラネスクカルテットと共に弦楽四重奏&ピアノの編成で全国ツアーをまわった。『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』(2000)にも収録されたが、組曲としては未完だった。それが2005年に入って、新たに第1楽章「D.e.a.d」第2楽章「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」と第3楽章「死の巡礼」第4楽章「復活~愛の歌~」という形で組曲として完成したものである。タイトルの「DEAD」は英語の階名”レ、ミ、ラ、レ”を示していて、このユニゾンのフレーズの提示に従って音楽も構成されている。後期ロマン派から近代にかけてのスタイルを取り入れ、ミニマル・ミュージック的な表現を行うなど、久石譲の幅広い音楽的なバックグラウンドが投影された。もちろん、モチーフは”人間の死”であるが、”人間はどこから来てどこにいくのか、いつか死ぬことは決まっているが、生きている間に感ずる人間に対する愛”についても重要なモチーフになっている。

既に発表されている「D.e.a.d」と「復活~愛の歌~」は、今回初の試みとしてストリングス・オーケストラ用にアレンジが行われ、組曲としての一貫性が強調された。「D.e.a.d」は普遍的なテーマへの旅立ちに対する不安や恐怖、期待が入り混じった壮大なオーケストレーションによる刺激的な音楽。続く「The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜」は、ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」に代表される哲学的なバックグラウンドを持つこの組曲にふさわしいタイトルで、官能的な響きが大きなキーワードになった。「死の巡礼」は一貫してミニマル・ミュージックにこだわってきた久石譲ならではのミニマル色が強く打ち出されている。ぎりぎりの不協和音と協和音の間で揺れるメロディによる第4楽章の「復活~愛の歌~」に至っては、心地よい疲労感にも近い感動すら覚えるほどだ。今回第2と第3楽章が加えられたことで、クリエイティヴなテーマがさらにディープに進化しているし、底知れぬイマジネーションの世界は映像的でもある。いつか映画が完成する可能性もあるはずで、この組曲の次のアプローチに注目したい。

他の曲もこのアルバムのコンセプトに欠かせない重要な作品ばかり。オープニングの「Oriental Wind」は記録的なセールスになったサントリー緑茶「伊右衛門」のCMソングとして親しまれているナンバーである。メロディメーカーとしての氏の才能が発揮された。CFの映像やタイトルが示しているように、日本人のテイストを触発するエモーショナルなメロディラインが強烈な印象を与えた。先に発表された『FREEDOM PIANO STORIES 4』では、ピアノによるアコースティック・ヴァージョンが収録されていたが、ここではオーケストラによる重厚なシンフォニーになっている。瑞々しいメロディを基調とした演奏は、何度聴いても感情移入出来る。続く「人生のメリーゴーランド」は宮崎駿監督の『ハウルの動く城』の核をなす名曲である。これも『FREEDOM PIANO STORIES 4』に収録されているが、ここでは、おなじみのメロディを様々なアレンジでリフレインさせて、曲の魅力を堪能させてくれる。様々なプロセスを持つ人生のようでもあるし、四季折々の変化でもあるように、これまたイマジネーションを触発させる作品だ。カーニヴァルやサーカスの世界を彷彿させる音楽は、一連のフェリーニ作品でおなじみのニーノ・ロータや、アカデミー賞の音楽賞に輝いた『リリー』(1953)のプロニスロウ・ケイパーが有名だが、久石譲は彼らとはひと味ちがうカーニヴァルやサーカスの世界を創り上げている。

ラストを飾る組曲「THE GENERAL」は、喜劇王バスター・キートンのサイレント映画の傑作『大列車強盗(キートン将軍)/The General』(1927)に、久石譲が新たに付けたスコアを組曲にしたものだ。昨年カンヌ映画祭で日本人としては初となる氏本人の指揮によって初演された。

サイレント映画に音楽を加える試みは、フランシス・フォード・コッポラの父親のカーマイン・コッポラによる『ナポレオン』(1927)や、ジョルジオ・モロダーによる元祖SF映画『メトロポリス』(1927)など、これまでにもしばしば行われているが、久石譲と「大列車強盗(キートン将軍)」の出会いは、フランスの映画会社のオファーによって実現した。すなわち、アメリカの歴史的な名画が、フランスの会社を介して、日本の音楽家によって音楽を加えられるという、国際的な連係で可能になったプロダクツから生まれた音楽なのだ。

サイレント・エラの喜劇王というと、どうしても警官やビーチの水着美人たちが登場する一連のキーストン社のドタバタ・コメディをイメージしてしまうが、キートンの映画は単純なお笑いではなく、彼の人生観や世界観が投影されたドラマとしても素晴らしく、アーティストや表現者としての彼は、本国よりもフランスで再評価されたという経緯もある。その流れが今回の試みにも継承されているのは言うまでもない。実際作品を観てみると、久石譲のスコアが古典的な名作が包含する永遠のテーマを浮き彫りにしているし、ステレオ・タイプになりがちなサイレント映画のスコアに世界を、久石流に表現することにも成功している。ここでも映像に向き合う氏の姿勢が色濃く投影された組曲に仕上がっている。

なお、このアルバム・リリースと時を同じくして行われるコンサートでは、『ハウルの動く城』や『THE GENERAL』がメイン・プログラムで演奏される他、注目の「DEAD」も演奏される予定だ。それだけにこの作品の発表の意義は大きいと思う。

2005年6月16日 村岡裕司/YUJI MURAOKA

(CD解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

ーやはり『WORKS III』で特筆すべきは、組曲「DEAD」だと思うのですが。これは数年前にご自分がメガホンを取る予定だった映画のために書いた曲だそうですね。

久石:
「そう。4、5年前ですね。でもその映画の内容が、人が死んだりとか、ちょっときついものだったので、時期をみようということになって、先に『カルテット』を撮ったんです。でもテーマ曲はできていて、そのときは2曲だけだったけど、僕の頭の中では4楽章の組曲にしようと思っていまして。今年こそは完成させたくてね。やっと発表できました。今回のアルバムはこの曲のために作った、といっても過言じゃないくらい(笑)」

ーDEADのスペルD,E,A,Dを音名に置き換えた、レ、ミ、ラ、レを主に使った作りになってるんですね、どの楽章も。おもしろい。

久石:
「映画の内容を考えながら、最初に思いついたアイデアだったんだけど、明快でしょう。明快だから音のインパクトも強い。だからどうしても弦楽オーケストラでやりたかったんです。フルだといろんな音色がありすぎちゃって派手になっちゃうから。弦だけの方がきっと深い世界が表現できるなあと思ってね」

ー元々久石さんがやってらっしゃった、現代音楽的なアプローチの作品ですよね。特に3楽章なんか、バリバリ、ミニマルですね。

久石:
「やっぱりそれは僕の本籍地みたいなものだから。すごく真剣になるとスタンスがそこに戻っちゃうんだよね、どうしても。でもね、もう一歩踏み込んじゃうと、ほんとうに現代音楽の作品になっちゃうんだけど、僕がいまやってるフィールドで考えると、それをポップスという世界の中に留める、ということが大事になってくるんです。僕は特別な人たち相手に音楽を作る芸術家じゃないからね。宮崎映画とか北野映画から僕の音楽を知ってくれたような多くの人たちと、コミュニケーションできる音楽でなくちゃいけないんです。今回はそのギリギリ(笑)。だいぶ挑戦的なことはしたなと思いますけどね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年9月号」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「そうですね。作られた目的が映画でもCMでも構わないんですけど、それを独立した楽曲として成立させるということは音楽家としてやらなきゃいけないことなんです。どうしても映像と対になってしか存在しないという映画音楽やCM音楽が、実はしっかり作られているというのを確認してもらうには、こういうシリーズが必要なんですね。」

「全体的にサウンドを少し厚くゴージャスにしています。映画の場合、音楽にいろいろな要素を入れ過ぎてしまうとセリフとぶつかってしまうんです。オリジナルでは主旋律だけしかない曲に、オブリガートのメロディを足すなどの作業はしていますね。」

「「人生のメリーゴーランド」のメロディなど、ソロの部分はだいたい僕が弾いてますね。それ以外はオーケストラのピアニストに弾いてもらっています。」

「すみだトリフォニーホールのスタインウェイです。響きを大事にしたかったので、スタジオではなくホールで録音しました。」

「指揮しながらピアノを弾いていると、そこが難しいんですよね。まず、オーケストラを録って、リズムがちゃんと感じられる部分はあとでピアノをかぶせようと思うんですが、なかなかニュアンスが一緒にならない。相手が出す音に対してこっちが反応し、こっちが出した音に相手が反応するのが音楽なのに、ダビングするとその双方向のコミュニケーションがなくなってしまう。「DEAD」の第4楽章は最初にオーケストラと録ったときにうまくいかなかったので、”すみません”って言って、翌日もう1回オケと一緒に録り直しました。自分で指揮をしているから分かってるつもりなんですけど、実際に自分が弾いた音にオケが反応するのと、別々で録音するのでは全然違いますね。クリックを使っていないので、オーバーダビングするにしても簡単じゃないですし。本当は同時録音がいいんですが、指揮とピアノを両方やっているとどちらも中途半端になりがちなんです。その辺をいつもレコーディングの直前までどうするか悩んでいるんですよ。」

Blog. 「キーボード・マガジン 2005年10月号 No.329」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

久石譲 『WORKS3』

1. Oriental Wind 〜for Orchestra〜
2. Symphonic Variation 「Merry-go-round」 (映画「ハウルの動く城」より)

DEAD for Strings,Perc.,Harpe and Piano
3. 01. D.e.a.d
4. 02. The Abyss 〜深淵を臨く者は・・・・〜
5. 03. 死の巡礼
6. 04. 復活 〜愛の歌〜

Keaton’s 「THE GENERAL」
7. Movement 1
8. Movement 2
9. Movement 3
10. Movement 4
11. Movement 5

初回限定:「Oriental Wind」
(サントリー緑茶 伊右衛門CM曲)ピアノ譜封入

All Composed , Arranged , Conducted and Produced by Joe Hisaishi
Piano:Joe Hisaishi (excep Keaton’s “THE GENERAL”)

演奏:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
録音:すみだトリフォニーホール

 

Co-produced by Eiichi Fujimoto
Directed by Akira Watanabe (FujiPacific Music Inc.)
Recorded by Suminobu Hamada, Hiroyuki Akita (Wonder Station)
Mixed by Suminobu Hamada (Wonder Station)
Mastered by Hiroyuki Hosaka (Hitokuchizaka Studios)
Piano Technician: Masanori Hanaoka (YAMAHA Corporation)
Music Sheet Preparation: Kenji Ashimoto
Technical Support: Ken Muramatsu (Octavia Records)

Recorded at Sumida Triphony Hall
Edited & Mixed at Wonder Station

 

WORKS III

1.Oriental Wind (For Orchestra)
2.Symphonic Variation “Merry-Go-Round”
3.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 1. D.e.a.d
4.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 2. The Abyss
5.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 3. Death Pilgrimage
6.DEAD for Strings, Percussion, Harp and Piano: 4. Rebirth – Love Song
7.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 1
8.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 2
9.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 3
10.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 4
11.Keaton’s “THE GENERAL”: Movement 5

 

Disc. 久石譲 『神奈川県立厚木清南高等学校 校歌 SEINAN』 *Unreleased

2005年4月1日 開校

 

神奈川県立厚木清南高等学校の開校にあわせて校歌を久石譲が作曲している。

 

校歌制作経緯

歌詞は、公募に応じてくださった大阪市の方の作品を土台として、生徒やPTAの方も入った会議で決まったものです。曲は久石譲氏によるもので、初代校長が久石氏のファンクラブにメールで歌詞を送ったところ、作曲を快諾してくださり、お願いしたものです。

出典:神奈川県ホームページ|厚木清南高等学校 より抜粋

 

 

なお、神奈川県立厚木清南高等学校ホームページにて、メロディ譜と歌唱(ピアノ伴奏付き)が閲覧・試聴・ダウンロードできる。

*2019年3月現在

公式サイト:神奈川県立厚木清南高等学校
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/index.html

 

「SEINAN」
作詞:光源弘、佐竹久典
作曲:久石譲

 

上記URLページ内
校歌「SEINAN」PDF (メロディ譜)
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/kouka_seinan.pdf
歌唱(ピアノ伴奏)mp3
https://www.pen-kanagawa.ed.jp/atsugiseinan-h/gaiyou/documents/seinan_vocal.mp3

 

 

 

Disc. 久木田薫 『ジブリ・ザ・クラシックス』

久木田薫 ジブリ・ザ・クラシックス

2005年3月24日 CD発売 SVWC-7241

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「ハウルの動く城」まで
監督:宮崎駿 他 音楽:久石譲 他

チェリスト久木田薫による上品なアコースティックカバー。
夢と希望と感動がいっぱいのライトクラシック・アルバム。

 

 

コメント

皆さん初めまして。久木田薫です。私はスタジオジブリの映画が大好きで、小さい頃から、何度も何度も観てきました。皆さんの心の中にも、きっと想い出深いシーンやメロディがある事と思います。そのスタジオジブリ映画の主題歌、挿入曲を、チェロの演奏をメインにクラシック風、タンゴ風などにアレンジして出来上がったのが、このアルバム「GHIBLI the Classics」です。スタジオジブリの作品は、女の子が主人公の作品が多く、映画を観るたびに彼女たちを応援していました。そして、冒険し、成長する彼女たちから勇気をもらってきた気がします。ナウシカやシータ、さつきとめいちゃん…。今回、映画を優しく包んでいた音楽を、幅広いジャンルのミュージシャンの方々と共演させて頂きました。ギター、バンドネオン、ハーモニカ…。刺激的で楽しかったです!!たくさんの方々と一緒に作ったこのアルバムに、私の愛するクラシック音楽、そして、ジャンルを問わない音楽そのものの楽しさをこめられたと思います。スタジオジブリ映画のように、あらゆる世代の方に、チェロという楽器の奥深い音色を聴いて頂き、喜んで頂けたらと思います。

2005年1月5日 久木田薫

(CDライナーノーツより)

 

 

 

久木田薫 ジブリ・ザ・クラシックス

1.さくらんぼの実る頃 (「紅の豚」より)
2. 君をのせて (「天空の城ラピュタ」より)
3. アドリアの海へ~マルコとジーナのテーマ~ (「紅の豚」より)
4. 風の谷のナウシカ (「風の谷のナウシカ」より)
5. ナウシカ・メドレー (ナウシカ・レクイエム~鳥の人~風の谷のナウシカ・オープニング)
6. 天空の城ラピュタ (「天空の城ラピュタ」より)
7. もののけ姫 (「もののけ姫」より)
8. やさしさに包まれたなら (「魔女の宅急便」より)
9. 風のとおり道 (「となりのトトロ」より)
10. となりのトトロ (「となりのトトロ」より)
11. いつも何度でも (「千と千尋の神隠し」より)
12. 千と千尋の神隠し・メドレー (あの夏へ~湯屋の朝~ふたたび)
13. はにゅうの宿 (「火垂るの墓」より)
14. 世界の約束 (「ハウルの動く城」より)

 

Disc. 久石譲 『FREEDOM PIANO STORIES 4』

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

2005年1月26日 CD発売 UPCI-1014

 

日常に追われ、がんじがらめの生活。
息苦しい、閉塞感。
人は少なからずそんな思いを心に宿しているのでは?

いつの日だったろう? 夢をあきらめ自分の手の届く範囲で納得しようと言い聞かせてしまったのは。
その大きな壁を作っているのは自分なのでは?
でも、それも自分自身の人生。

それを受け入れた上で、自由に、そして心を解き放てたら。
自分の中で自由な気持ちを取り戻せたら、きっと楽になれるのでは。

Freedom

久石譲

(「Joe Hisaishi Freedom Piano Stories 2004」コンサート・パンフレット より)

 

 

「実は、サブタイトルに”心の自由を求めて”ってつけようかなって思ってたくらい、最近、なんとなく世の中に閉塞感があって生きづらくなってると思うんです。たとえば”なにかやろう”って思っても、結果がなんとなくわかっちゃうんですよね。そうすると”これやっても仕方がない””これもやっても先が見えてる”みたいな感じで自分のほうで壁を作っちゃってなにもやらなくなってきてる気がしてて。僕自身もそうだし、周りの人たちなんかを見ててもすごくそういうのを感じていて。だから、自分の中のそういうバリアをはずしてやったらもっと生きやすくなるんじゃないかなぁって。そんな思いからこういうコンセプトになったんです」

「そうですね。僕にとってこの”FREEDOM”は過渡期だったと思うんですよ。いまの世の中みたいに価値観がボロボロに崩れだした時代は、作家ってどうしても発言をきちっとしたいんですよ。自分が感じる世の中だったりとか、僕もそうしたくなってたんですけど、でもなんかそれは違うなっていう予感だけがあって。それで悩んだんです。でも、結果的に宮崎さんの『ハウルの動く城』も、たとえば『もののけ姫』のときのような壮大な、”人間とは?”っていう問いかけはしていないですよね。決して重い作品ではないし。きっとこの時代に、シリアスな発言しても疲れきってる人間にそれ言ってなんになる? っていうことなんです。それだったら、隣の人とつながってるんだとか、一日一日の思いを大切にするんだとか、もっと身近なことを言うくらいがせいぜいかなって。だから僕にとっても、宮崎さんにとっても次のための準備期間でありオアシス的作品になったんじゃないかな」

「あのね、僕にとって2004年はワルツの年だったんですよ。実は『ハウル~』だけじゃなくて、バスター・キートンもテーマがワルツだったし、ワールド・ドリーム・オーケストラでもショスタコーヴィチのワルツを演奏したし。すごくワルツに凝った1年だったなぁって。なんかね、ワルツのあのリズムっていうのが、前作の『ETUDE』なんかでちょっと行き過ぎちゃった自分をもう一回戻してくれたんだよね。それが『ハウル~』の映像にも不思議とハマったんだよね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年2月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

2003年9月6日CM放送開始「東ハト キャラメルコーン」では、本作収録曲「Ikaros」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは伴奏にアコスティックギターも使われ、メロディーから最後のサウンドロゴまでの流れを手がけている。

2003年11月25日CM放送開始「ベネッセコーポレーション 進研ゼミ」では、本作収録曲「Spring」が使用されているが、CM original versionとは少し異なる。CMでは、伴奏のピアノに加えてアコースティックギターも重なり16分音符粒が細かく、より爽快で軽快な印象になっている。

2004年3月6日CM放送開始「サントリー 京都福寿園 伊右衛門」では、本作収録曲「Oriental Wind」がしようされているが、CM original versionとは異なる。

 

 

久石譲 『PIANO STORIES 4 FREEDOM』

1.人生のメリーゴーランド (映画「ハウルの動く城」メインテーマ リアレンジヴァージョン)
2.Ikaros (Tohato「キャラメルコーン」CFソング)
3.Spring (Benesse「進研ゼミ」CFソング)
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind (サントリー緑茶「伊右衛門」CFソング)
6.Legend (MBS「美の京都遺産」テーマソング)
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday

初回盤:「人生のメリーゴーランド」ピアノ譜 封入

All Music Composed, Arranged and Produced by Joe Hisaishi

Piano:Joe Hisaishi

Strings:Angèle Dubeau & La Pietà (except Track-9)
Solo Violin:Angèle Dubeau
Percussion:Sawako Yasue
Bandoneon:Koji Kyotani
Guitar:Masayoshi Furukawa
Pianica:Joe Hisaishi
Strings:Koike Hiroyuki Strings (Track-9)
Interpreter:Iris Germain

Recorded at
Wonder Station
Victor Studio
HAKUJU HALL

 

FREEDOM PIANO STORIES 4

1.Merry-Go-Round of Life (from ‘Howl’s Moving Castle’)
2.Ikaros
3.Spring
4.Fragile Dream
5.Oriental Wind
6.Legend
7.Lost Sheep on the bed
8.Constriction
9.Birthday

 

Disc. 久石譲 『ハウルの動く城 サウンドトラック』

ハウルの動く城 サウンドトラック

2004年11月19日 CD発売 TKCA-72775
2020年11月3日 LP発売 TJJA-10030

 

2004年公開 スタジオジブリ作品 映画「ハウルの動く城」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

新たに作曲されたテーマ「人生のメリーゴーランド」を中心に構成された映画本編の楽曲を収録。新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏で今回もホールで生収録された。指揮・ピアノも久石が担当。録音は2004年6月。倍賞千恵子の主題歌も収録。

 

 

制作ノート

1曲のテーマ曲が決め手となった音楽

今回の音楽制作はヨーロッパへの音楽ロケハンからはじまった。久石譲さんはアルザス地方を訪問、そこで掴んだ映画の世界観を宮崎監督からの音楽メモと照らし合わせながら創作し、東欧の名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏で、非常に完成度の高いイメージ交響組曲をまず作った。その中にはミロスラフ・ケルマン(63歳にしてチェコ・フィル現役のトランペット奏者)によるソロ演奏が印象的な「ケイヴ・オブ・マインド」という曲もあった。完成したアルバムを聴いた宮崎監督はこの曲を気に入り、劇中でも使用することにしたが、監督はここで久石さんに対しひとつの注文を出した。テーマ曲を1曲作ってほしい、というものだ。実は宮崎監督、これまでの作品では各キャラクターの感情や動き等場面に合わせた音楽をつけるという方向性で久石さんとやってきたのだが、今回は映画全体を通して常に流れる印象的なテーマを1曲欲しいと要望したのだ。久石さんの1曲のテーマ曲作りがはじまった。そうして誕生したのがあるワルツ曲。その曲を聞いた宮崎監督は大喜びし、「人生のメリーゴーランド」と命名した。その後、このテーマ曲を中心に本作の映画音楽は構成されていった。

(映画「ハウルの動く城」劇場用パンフレット より)

 

 

一つのテーマ曲で貫いた『ハウルの動く城』

で、まずは一曲め。弾き終わると宮崎さんは大きく頷いて微笑んだ。鈴木さんもまあまあの様子。ほっと胸を撫で下ろす。ちょっと勢いのついた僕は三番目に弾く予定だった曲の順番を繰り上げた。

「あのー、ちょっと違うかもしれませんが、こういう曲もあります」

宮崎さんたちの目を見ることもできず、ピアノの鍵盤に向かって弾き出した。

そのワルツは、そんなに難しくはないのだが、僕は途中でつっかえて止まってしまった。まるで受験生気分なのである。最高の緊張状態で弾き終えたとき、鈴木敏夫プロデューサーがすごい勢いで乗り出した。眼はらんらんと輝いている。「久石さん、面白い!ねえ、宮さん、面白くないですか?」宮崎さんも戸惑われた様子で「いやー」と笑うのだが、次の瞬間、「もう一度演奏してもらえますか?」と僕に言った。が、眼はもう笑ってはいなかった。

再び演奏を終えたとき、お二人から同時に、「いい、これいいよー!」「かつてないよ、こういうの!」との声をいただいた。

その後、何回かこのテーマを弾かされたが、この数か月本当に苦しんできたことが、ハッピーエンドに変わる瞬間だったので、ちっとも苦ではなかった。

Blog. 一つのテーマ曲で貫いた『ハウルの動く城』「人生のメリーゴーランド」誕生秘話 (久石譲著書より) 抜粋)

 

 

 

-それらはどんな曲だったんですか?

久石 「1曲目は、わりと誰が聴いても「いいね」と思えるオーソドックスなテーマでした。2曲目は、自分としては隠し球として用意していったワルツで。これは採用されないだろうと思って演奏したんですけど、途端に宮崎さんと鈴木さんの表情が変わって、すごく気に入ってくれたんです。それが『人生のメリーゴーランド』で、結局3曲目は演奏せずに終わりました。」

-なぜ、ワルツにしてみようと思ったんですか?

久石 「その理由はちょっと難しいんだけど、最近、個人的に音楽への要求度が高くなってきていて、映像に付けるには、自分のやっている音楽は強すぎるんですよ。でも、今自分が最も求めていることをやるのが作曲家としては正しいのだから、その落としどころをどうしようかと考えていて出てきたのが、ワルツだったんです。ワルツなら、自分がやりたい音楽と『ハウル』の映像の接点になってくれると。だから、宮崎さんに気に入ってもらえたのは、すごく嬉しかったです。」

 

-サントラのレコーディングでは、チェコフィルから一人だけトランペット奏者の方を招いたということですが?

久石 「ええ。交響組曲の中の「ケイブ・オブ・マインド」という曲のソロを吹いてくれたミロスラフ・ケイマルさんという方です。この曲は、サウンドトラックの打ち合わせの時に、試しにある重要なシーンに流してみたら、あまりにもぴたっりハマってしまったのでそのまま使おうということになったんです。でも、サウンドトラックの中に、チェコフィルの演奏を入れるわけにはいかないので、ケイマルさんをこの1曲のために呼ぼうということになりました。」

-他の方ではダメだったんですか?

久石 「ケイマルさんはこの曲を完全に自分のものにして吹いていたし、宮崎さんの心の中にも、ケイマルさんのトランペットの音が染みついていました。この曲を使うなら、ケイマルさん以外に考えられない、と。楽器というものは、他の奏者が演奏すると、全く音の表情が違ってしまうものなのですが、特にトランペットはそれが顕著なんです。」

 

-交響組曲もサウンドトラックも、完成度が高く、それぞれ違った魅力を持つ作品になったんじゃないでしょうか?

久石 「サウンドトラックは「人生のメリーゴーランド」を、これが同じ曲なのかと思えるくらい、いろいろ変奏しているので、そこを中心に楽しんでいただければ、と。交響組曲は、三管編成のフルオーケストラ作品としてかなり完成度が高いので、ぜひ聴いていただきたい。僕も、いつかコンサートで全曲まとめて演奏してみたいと思っているんです。」

Blog. 久石譲 「ハウルの動く城」 インタビュー ロマンアルバムより 抜粋)

 

 

「サウンドトラックを録っている時に宮崎さんが、ある曲を僕がつけようと思っていた場面と違う所につけたいと思ったんです。宮崎さんは作業をしながらどんどん考えていく方ですから。その時、宮崎さんは悩まれたらしいですね。思っている所と別のシーンに曲を使ったら、僕が怒り狂うということを宮崎さんは知っていますから(笑)。オーケストラの音録りをしている間中、『ウ~ン』と唸っていたと聞きました。僕は離れた場所にいますから、そんなことは知らなかったんですが。それでとりあえず、宮崎さんが使いたいという場面にその曲をあててみたんです。これがキッカケの部分が音楽的にズレることも全然なくて、いいんですよ。ものを作る人間同士ですから、ぶつかり合うことや毎回いろんなことがありましたけれども、20年やれてこれて良かったと思いますね。画と音が生理的にシンクロすることも含めて、いい意味でここまで来れたんだなあと実感しました。どんな作品でも苦しみますから、最後は早く終わればいいと思うんです。でも『ハウルの動く城』に関しては、もう半年この仕事をやっていたいと思いました。」

「元々音自体に関しては、シンセサイザーとかいろんなものを使って、枠にはめない作り方をしてきたんです。『千と千尋の神隠し』ではバリ島や沖縄、アフリカのリズムを、現地の人が叩いたリズムをサンプリングしてオーケストラと融合させた。そういう音がアバンギャルドであるのは、僕にとっていいことなんです。ただ音の入れ方に関しては、これまでクリックを作ってかっちりと画にはめ込んでいたんです。ただ今はもっとファジーにやってもいいかなと。つまり多少音は伸びたとしても、そこに心がこもっていれば微妙なニュアンスが伝わるほうを選ぶ。これは自分がオーケストラの指揮をするようになって、変わったんだなと思うんです。音やリズムの正確さだけではなく、そこでもう一歩踏み込んだ表現をして次にいく。『ハウルの動く城』のレコーディングでは、そのニュアンスを大事にしました。とは言えちゃんとしたクリックも用意したんです。ただアクシデントでレコーディングの時に機械が故障して、曲の終わりを示すマーカーも無しに勘だけで3分ぐらいの曲をお尻がピッタリ合うようにしなくてはいけなくなって。それでも大体は合うものなんですよ。ちょっとしたズレが音楽的なニュアンスになって、映画の余韻にもなっている。作曲者の意図としては、画面が変わった瞬間に音がガンと入るとか、設計図を書いて組み立てていく。それでしっかりした演奏さえすれば、レコーディングはOKなんです。でも今回のように生の演奏をしていくと、自分が思ったテンポと実際にいい音楽になるテンポは違うんです。演奏者がいい気持ちになって朗々と演奏をすると長くなりますね。その長くなったことで成立するニュアンスの方を大事にして、その分をどこかで調整しようと努力する。こういうやり方をしていくと、映像が呼吸するように音楽も呼吸をしだすんです。がっちりしたものを作るよりも、音のニュアンスを活かす。これは僕にとって大きな方向転換なんです。ただ、最初からファジーでいいというのではない。きっちりと作り上げておいて、レコーディング本番で崩す。今回はそれが、いい効果を上げていると思います。僕にとっては新鮮で、凄く興奮するレコーディングでしたよ。」

Blog. 「月刊アピーリング 2004年10月号」久石譲スペシャルインタビュー “ハウルの動く城” 内容 より抜粋)

 

 

「あれは、実は宮崎さんの意図なんです。今回はソフィーというヒロインが90歳から18歳の間でどんどん表情が変わっていく。そこで一貫してこれはソフィーであるということを印象づけるために、そのときに必ず流れる音楽がほしいって要望があって。それは、宮崎さんの中でとっても重要だったんです。それで、実は劇中の全30曲中18曲がこのテーマのヴァリエーションなんです。これは作曲家にとっては、非常につらいんですよ。だって作曲の技術を駆使しなくちゃならないから(笑)。あるときは、ラブロマンス的なもの、あるときは勇壮で、あるときはユーモラスで。でも、大変ではあったけど仕上がりを観て、こういう意図を要求された宮崎さんはあらためてスゴイと思いましたね」

Blog. 「月刊ピアノ 2005年2月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「舞台が西洋で、フルオーケストラでやろうと決めていました。個人的には音楽的な主張が強くなって、複雑な方向にいきそうな時期でしたから、映像との調和を考え、シンプルなワルツの力を借りました。」

「僕らはそんなこと言い合いません。「最高!」と僕はいい、テレもあるのか「とんでもないものを作っちゃいましたね」と宮崎さんは毎回いわれる。僕が『ハウル』で「やったな!」と思うのは、これまでは1秒の30分の1まで計算して、映像と音楽を合わせてきました。今回はアバウトにしています。映像を見ながらオーケストラを指揮して、音楽をつけたのですから。」

「デジタルだとテンポが一定になるじゃない。そうした計算づくではなく、たとえシーンの合わせ目が微妙にズレたとしても、気分の充実を大事にしたかった。この方法は『風の谷のナウシカ』や『となりのトトロ』以来。20年ぶりですが、後退ではなく、前進だと思っています。」

Blog. 「kamzin カムジン FEB. 2005 No.3」”ハウルの動く城” 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

「ハウルの動く城」

しばらく悩んだ後、「ハウル」のメインテーマはワツルがいいと考えた。アルバム「ETUDE」の影響もあり、自分の音楽が映像とマッチングするよりも強い主張を持ち始めていることをボクは自覚していた。この問題を解消するための方法がワルツのど導入だった。

どんなに複雑なテクスチュアを導入しても、ワルツという3拍子のリズムは行き過ぎた音楽表現を抑制してくれる。

ワールド・ドリーム・オーケストラでも演奏したショスタコーヴィチのワルツ(キューブリックの「アイズワイドシャット」のなかにも使われている)が頭のなかに残っていたこともあって、もともと4拍子で書いたものを3拍子に切り替えた。

優れたクリエイターは、自分の予想の範囲内の出来事に興味を示さない。予定調和はおもしろくない。

宮崎監督、鈴木プロデューサーの想定を裏切るのは大変だが、自分のためにも、そして映像と作品のためにも、「ハウル」のテーマをワルツにしたのは正解だった。

余談になるけれど、このとき別案として書いた曲も、完全に捨ててしまったわけではなくて、実は「ハウル」の中で使っている。どこの部分かは、読者の皆様のご想像にお任せしたい。

(「久石譲 35mm日記」(2006年刊)~「ハウルの動く城」項より 一部抜粋)

 

 

参考資料:
連載 久石譲が挑む「ハウル」の動く音 (読売新聞)

 

 

 

 

2020.11 Update

2020年発売LP盤には、新しく書き下ろされたライナーノーツが封入された。時間を経てとても具体的で貴重な解説になっている。

 

 

 

 

ハウルの動く城 サウンドトラック

1.-オープニング- 人生のメリーゴーランド
2.陽気な軽騎兵
3.空中散歩
4.ときめき
5.荒地の魔女
6.さすらいのソフィー
7.魔法の扉
8.消えない呪い
9.大掃除
10.星の湖 (うみ) へ
11.静かな想い
12.雨の中で
13.虚栄と友情
14.90歳の少女
15.サリマンの魔法陣~城への帰還
16.秘密の洞穴
17.引越し
18.花園
19.走れ!
20.恋だね
21.ファミリー
22.戦火の恋
23.脱出
24.ソフィーの城
25.星をのんだ少年
26. -エンディング- 世界の約束~人生のメリーゴーランド

M26.「世界の約束」 歌:倍賞千恵子
作詞:谷川俊太郎 作曲:木村弓 編曲:久石譲

作曲・編曲・指揮:久石譲
プロデュース:久石譲

演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
ピアノ:久石譲
トランペット:ミロスラフ・ケイマル (チェコ・フィルハーモニー管弦楽団)

音楽収録:ワンダーシティ, すみだトリフォニーホール

 

Howl’ Moving Castle (Original Soundtrack)

1.Opening Song – Merry-Go-Round of Life
2.The Merry Light Cavalrymen
3.A Walk in the Skies
4.Heartbeat
5.Witch of the Waste
6.Sophie in Exile
7.The Magic Door
8.Irremovable Spell
9.Cleaning House
10.To Star Lake
11.Unspoken Love
12.In the Rain
13.Vanity and Friendship
14.A Ninety-Year-Old Girl
15.Saliman’s Spell – Return to the Castle
16.The Secret Cave
17.Moving to a New House
18.The Flower Garden
19.Run!
20.You’re in Love
21.Family
22.Love Under Fire
23.Escape
24.Sophie’s Castle
25.The Boy Who Swallowed a Star
26.Ending Song – Merry-Go-Round of Life

 

하울의 움직이는 성 Original Soundtrack
(South Korea, 2004) PCKD-20167

1.오프닝- 인생의 회전 목마
2.명랑한 경기병
3.공중 산책
4.고동
5.황무지의 마녀
6.방랑하는 소피
7.마법의 문
8.풀리지 않는 저주
9.대청소
10.별의 호수로
11조용한 상념
12빗속에서
13.허영과 우정
14.90세의 소녀
15.설리먼의 마법진~성으로의 귀환
16.비밀의 동굴
17.이사
18.꽃의 정원
19.뛰어!
20.사랑이야
21.패밀리
22.전쟁의 사랑
23.탈출
24.소피의 성
25.별을 삼킨 소년
26.엔딩- 세계의 약속 ~인생의 회전 목마

 

Disc. 久石譲 『世界の約束 / 人生のメリーゴーランド』

久石譲 『ハウルの動く城 主題歌 世界の約束』

2004年10月27日 CDS発売 TKCA-72774

 

2004年公開 スタジオジブリ作品 映画「ハウルの動く城」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲 主題歌:倍賞千恵子

 

 

本作品に収録されている「人生のメリーゴーランド」は、「ハウルの動く城 サウンドトラック」に収録のものと、尺(パート構成/繰り返し)などが異なる。サウンドトラック未収録versionとなる。

 

 

久石譲 『ハウルの動く城 主題歌 世界の約束』

1. 主題歌:世界の約束 歌:倍賞千恵子
2. テーマ:人生のメリーゴーランド (インストゥルメンタル)
3. 世界の約束 (オリジナルカラオケ)

「世界の約束」
作詞:谷川俊太郎 作曲:木村弓 編曲:久石譲

プロデュース:久石譲

ジャケット監修:宮崎駿