Disc. 久石譲 『4MOVEMENT』

久石譲 『4 MOVEMENT』

2003年3月19日 DVD/CD発売 PCBE-50470

 

2001年「うつくしま未来博」ナイトファンタジア上映作品 『4 MOVEMENT』
監督:久石譲 音楽:久石譲

久石譲 第二回監督作品

 

日本映画音楽の第一人者、久石譲が奏でる
音楽と映像のシンフォニー、「QUARTET」に続き、
自ら監督を務めた待望の映像ファンタジー!

人は心の中にいくつもの顔を持っている。
優しさと人には言えない暗い部分を…。
ミオは成長していく中で心の中の闇に生まれた
もう一人の自分とどう向き合っていくか?
音楽の精ポコとともに巨大な怪物、
黒鳥と闘いながら見つけ出していく…

【STAFF】
監督・音楽:久石譲
プロデューサー:石原真
原案:ドリアン助川
脚本:小川智子
撮影:阪本善尚
音響:橋本文雄

【CAST】
Pace Wu、黄川田将也、浅野優梨愛、山本小百合、相ヶ瀬龍史、若林淳

 

 

【ストーリー】

MOVEMENT 1
殺伐とした大都会。雑然とした風景が闇に転じると少しずつ鼓動が聞こえ、閉ざされた空間(CUBE)から一人の少女・ミオが現れる。暗闇の中で戸惑うミオが目にする1台のピアノ。彼女が鍵盤をたたくと光りが現れ、その中から可愛らしい音楽の精・ポコが誕生する。ミオの良心の象徴であるポコは、彼女の奏でるフレーズを歓喜に満ちたメロディーに導き、それはやがて大きな光とともに新たな世界へと広がっていく…

MOVEMENT 2
大自然に包まれた世界。10才になったミオはポコとともに鬱蒼と生い茂る森を進み、そこでアルトという名の少年に出会う。彼がミオ自身の心の闇であるとも知らず、その不思議な魅力に惹かれ後をついていくが、突然豹変したアルトに翻弄され、自然の脅威にもまれながら闇へと流されていく…

MOVEMENT 3
無機質な人々の流れの中にいるミオは、黒衣をまとった男と出会う。彼に導かれるまま進む道は、人間の愚かさを具現化した殺伐と狂気の世界であった。ミオは怯えと哀しみにもまれながら傷つく人々の間をさまよい歩いていく。全てが焼き尽くされた大地に辿り着いたミオは、そこで朽ち果てた1台のピアノを見つける。ピアノを弾くミオ、幼い頃の思い出が蘇る。が…

MOVEMENT 4
アルトと再会するミオ。20才に成長した二人は思い出の森へと向かい、お互いの想いに気付く。一瞬の安らぎを得たミオだったが、ふと気づくと巨大な黒鳥に変貌したアルトが、邪悪な牙でミオに襲いかかる。ポコとの必死の戦いも空しく、湖畔へ追い詰められていくミオ。しかし、そこで意外な真実が明らかにされていくのであった…

 

 

【メッセージ】

この物語は、主人公のミオが5歳、10歳、20歳と成長していく、4つの楽章(MOVEMENT)から成り立っている。ひとりの人間の心の中には様々な顔があり、とてもやさしい部分と、人にはいえない暗い部分とを皆んなが持っている。ひとりひとりの中にあるものは小さくても、世界中の人間の、つまり60億分ものエネルギーとなると、それが戦争や、憎しみといった世の中の様々な問題を起こしているのではないか。ひとりひとりの中にある問題が連鎖拡大されて戦争が起こったりする。それを解決するのは、自分自身であって、問題は自分の外にあるのではなくて、自分の中にある。「心の中の闇に生まれたもうひとりの自分とどう向き合っていくか」がこの作品の大きなテーマである。  -久石譲

 

 

 

「『4 MOVEMENT』というんですけど、これは1本目の反省から、最新テクノロジーを駆使する方法でやってるんですよ。やっぱり100パーセント満足することって、ないじゃないですか。『カルテット』を撮りおえたあとも、あのシーン、なんでもうひとつ顔のアップを撮っておかなかったんだとか、そんなことばかり考えてたら、もう1本撮りたくなっちゃんたんですよね。『4 MOVEMENT』はね、すごくいい映像が何カットか撮れてるんです」

「あっ、そういうこと言っちゃいけないか(笑)。でも、実はこれが映画のピンポイントなんですよ。北野監督もみんなおっしゃるんですけど、このシーンを撮りたくてストーリーを作ったということはあるんです。それが5つか6つ、その監督が命がけで、どうしてもこれを撮りたかったというシーンを持っている映画は、すべていい映画ですよ」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

当時博覧会会場中央の池にて、夜間開催期間中、野外特設ステージとしてウォータースクリーンにて上映された。噴水などの演出とスクリーンによる映像と音楽である。

 

音楽について。

本編でも登場する(登場人物が奏でる)ピアノやフルート、そしてシンセサイザーを基調としたサウンド構成となっている。シンプルで可愛らしい無邪気なアコースティックサウンド、反面ダークな部分を描いたシンセサイザーサウンドなどである。

主人公がピアノの鍵盤に触れるなにげない音は、同博覧会イメージソング「永遠の心」のモティーフにもなっている。その他の場面にも同メロディーの変奏が、バリエーションとして登場している。

「Crossing」にみられるミニマル的音楽要素も盛り込まれている。

同時期公開(および制作期間においても)であった映画『千と千尋の神隠し』(2001)のエッセンスを思わせるような楽曲もあり、そういった久石譲の音楽時代として聴くこともまたおもしろい。

映像音楽とはいえ、監督・音楽の両方を担っていることから、サウンドトラックという枠にはおさまらない、オリジナル・ソロ作品という捉えかたもできる作品である。

自身が監督を務める作品だけあって、映像と音楽がほぼシンクロするような緻密に練られたサウンド構成となっている。それぞれの楽曲は短いが(1-2分程度)、本編30分、サウンドトラック27分ということからも、ほぼ本編全体で音楽が流れているということでもある。

本編エンドロールにて流れる「VIEW OF SILENCE」は、オリジナル・ソロアルバム『PRETENDER』(1989)に収録されていた楽曲である。メロディーメイカーとして久石譲が存分に堪能できる、ピアノとストリングスの美しい旋律と洗練されたアレンジである。なぜこの楽曲がこの作品に取り上げられたかは、メイキングでのインタビューなどでも語られてはいない。

欲をいえば、イメージソング「永遠の心」のインストゥルメンタル・バージョンを、サウンドトラックのボーナス・トラックとしてでも収録してほしかった。DVDメイキング映像の冒頭と最後のエンドクレジットにて、「永遠の心」オーケストラ・インストゥルメンタル・バージョンが流れる。ピアノとシンフォニーによる美しい構成となっている。フェードイン・フェードアウトのため、1曲全体をとおしてこのシンフォニー版を聴くことはできない。

 

メイキング映像は、撮影記録と久石譲インタビューによって構成されている。森の撮影は屋久島で行われていることや、その他撮影場所、特殊撮影などの様子が記録されている。

音楽の精・ポコは、音符をイメージしてキャラクター化されている。

 

 

 

久石譲 『4 MOVEMENT』

【セル収録内容】
DVD ~ 本編30分 / メイキング(映像)42分
CD ~ オリジナル・サウンドトラック

初回封入特典:オリジナルポストカード

4 MOVEMENT
SOUND TRACK CD

1. Nobody
2. Poco Dance
3. Mio’s Forest
4. Alto ~もう1人の私~
5. Escape
6. Crossing
7. Darkness
8. Sand Piano
9. Refrain
10. Crisis
11. You are …
12. VIEW OF SILENCE

All Music Composed , Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Recording Studios : Wonder Station , Avaco Creative Stuidios

 

Disc. 久石譲 『壬生義士伝 オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『壬生義士伝』

2002年12月26日 CD発売 CPC8-3055

 

2003年公開 映画「壬生義士伝」
監督:滝田洋二郎 音楽:久石譲 出演:中井貴一 佐藤浩市 他

 

 

コメント

久しぶりに”かっこの良い男の仕事ぶり”を見た。音楽録りに立ち会った私は、待ちに待った音楽を聴くより、目の前のオーケストラを率いて、自信に満ち溢れ、自分の曲に浸り、自分だけの至福の瞬間(とき)を求め続ける、圧倒的指揮者久石譲に見惚れてしまった。今、この男を撮ってみたとも思ったくらいだ。

そして、この曲は一生忘れない。

初号の翌日に旅立ってしまったこの映画の編集マン・盟友冨田功の通夜の席、不意にこの曲が流れた時、言葉にならない感動を覚えた。東京国際映画祭のオープニングでも冨田功追悼演奏をしていただき、最高の音楽で彼を送り出すことが出来て、感謝しております。久石さん 本当に「オモサゲナガンス」。

滝田洋二郎

 

コメント

この仕事は僕にとっては久しぶりの時代劇であった。王道を行くこの作品には、奇をてらわない正統派の音作りがふさわしいと考え、オーケストラの起用を決めた。とはいえ、和太鼓、アイルランド民族楽器・ホイッスルなどで独特のサウンドを心がけた。また、家族愛、郷土愛、男女の愛、友情と、多くの愛情がテーマであるため、音楽が情感に流されないよう気を付けた。以前から滝田監督の作品が好きだった僕としては、今回、監督やスタッフのみなさんとの素晴らしいコラボレーションが実現し、とても嬉しく思っている。

久石譲

(コメント ~CDライナーノーツより)

 

 

インタビュー
音楽・久石譲

数々の映画音楽を手がけてきた久石譲だが、本格的な時代劇は初めて。
さらに監督滝田洋二郎とも初顔合わせ。
「王道をいく映画にふさわしい音楽を作りたかった」と語る笑顔の中に、
日本映画の面白さを知る久石ならではの自信がのぞいていた。

 

-本格時代劇にチャレンジしたご感想は?

久石:
滝田監督の映画が以前から好きだったので、これはいい機会だな、と思いましたね。時代劇は『福沢諭吉』(91)でやってはいますが、いわゆる本格的時代劇にチャレンジしてみたかったんです。とはいえ、時代劇だから特に何かが違うというわけではなく、あくまで内容に即するものを作りたい。今回はいい意味でオーソドックスな王道をいく作品なので、それにふさわしい音楽をつけたいという想いがありました。具体的にはオーケストラが一番向いていると思って、そこから入りましたね。

-オーソドックスということで、ご苦労された点は?

久石:
時代劇と言っても、現在作っているんだという点を出さなきゃいけない。そして10年後、20年後に観ても古く感じないようにしなくてはならない。それがオーソドックスということですよね。ですから、オープニング・タイトルが出るときの和太鼓にも、シンセサイザーを入れたりしています。また、この映画には非常にいろんな”情”が出てくるんですね。男と女の情だったり、家族愛や郷土愛、友情。そこにベタベタに音楽をつけてしまうと情緒に流されやすいので、ある意味、音楽はちょっと引いた感じにしました。泣かせるところに泣かす音楽をつけるのではなく、むしろそこは引いて、精神的なものを感じるように音楽をつけていく。そこが一番大変な作業でした。

-メロディの美しさとあわせて、今回はリズムを強く感じました。

久石:
そうですね。アクション・シーンが結構ありますからね。ただ、通常のリズムの音ではつまらないので、非常にエスニックなリズム、たとえば和太鼓とか、アフリカや中近東の太鼓も実は入っています。あくまでこの映画の独特の雰囲気を出すために、使ったんですけれど。

-『壬生義士伝』や北野武監督のような男の世界を描いた映画と、宮崎駿監督のアニメなどを、交互に手がけているのは意識されてのことですか?

久石:
あまり気にしてないですよ。あくまで作品に対して自分がどう思うか、同時に、作品からイマジネーションをどれだけ豊かにできるか、そこが一番大切。宮崎さんのアニメーションであろうと、なんであろうと、僕の中では普通にやっているんです。でも、幅はありますよね。ひとりの人間の中にもいろんな顔がありますから。心温まる作品のときは、必然的にメロディ・ラインが大事になってきますし、突き放したような映画のときには、自分の中にもそういう部分はありますから、極力音楽がでしゃばらないように作る。共通するのは、画面をなぞるような音楽は作らない、ということ。あくまで、もしかしたら絵で表現しきれなかったものを表現する、というようにしています。音楽って非常に怖いんですよ。世界観とかムードを決定してしまうところがありますから。

-ご自身の監督経験は、音楽にも影響がありましたか。

久石:
簡単に言えば、功罪半ばって感じです(笑)。『カルテット』(01)を撮った直後は、監督の気持ちがわかってしまい、「ここはきっと大事にしているな」なんて思うと、音楽をやたら抑えちゃったんですよ。気づいたら、絵に音楽が近づき過ぎている。でも本来、音楽が鳴るなんて異質なんですよ。だって、日常では鳴るわけないんですから。やっぱり距離をとっておいたほうがいい、と反省しました。だから多少、監督が大事にしているシーンだろうがなんだろうが、無視しようと(笑)。お互いの軋轢から、相乗効果が生まれるようにしないといけない。どちらかが寄り添っちゃうと、そのダイナミズムは出ないな、と気づきましたね。今回は、音楽がでしゃばりもせず、けれど主張するところでは主張する、という点はうまくいった気がします。

-最後に観客の方へ一言お願いします。

久石:
メインテーマも含めて、映画音楽の王道をいく音楽をつけたと自分では思っていますので、映像と音楽が一緒になったときのダイナミズム、あるいはサウンドトラックCDで音楽だけを聞いて、両方の楽しさを味わっていただければと思います。

(聞き手・構成 石津文子)

Blog. 映画『壬生義士伝』(2003) 久石譲 インタビュー 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

 

「ハリウッドでいえば『ブレイブハート』や『グラディエーター』ですよね。日本で古典活劇をやるとするなら時代劇ですから、当然、音楽家としてはチャレンジしておきたいジャンルですし、それをきちんとこなせる日本人でいたいと思いましたね。音楽の持つダイナミズムを、映像に乗せてこれだけ表現できるんだぞってね」

「主人公の吉村貫一郎って、とにかく魅力的なんですよ。エンドロールに流れるテーマ曲は、いわばあの時代に生きた人々への鎮魂曲です。でも、映画の音楽って、あまりドラマに共感しても実はダメなんです。僕の場合、あまり共感していない。むしろぐっと対象化しています。この映画でも醒めた意識を持って取り組んだからこそ、全体がしっかり見えたと思うんです。映像では出演者がガンガン泣いていますけど、僕としてはそこから少し距離をとって高潔な感じで包み込むようにしました。本来ならもう少し情緒を盛り込むところを、今回は吹っ切って作ってるんですね。それがやり甲斐であり、大きな課題でもありました」

Blog. 「キネマ旬報 2003年1月下旬号 No.1372」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

久石譲 『壬生義士伝』

1. 雪の降る夜に
2. 壬生の狼
3. 雨の宴(えん)
4. 「おもさげながんす」
5. ふるさと-南部盛岡-
6. 討入
7. 蛍
8. 愛しき人へ
9. 別離(わかれ)
10. 時代の足音
11. 義への道
12. 友よ
13. 旅立ち
14. 故郷へ
15. 壬生義士伝

All songs are written, arranged, produced by JOE HISAIHIS

Performed by TOKYO CITY PHILHARMONIC ORCHESTRA

Additional musicians:
Whistle:TAKASHI YASUI
Guitar:MASAYOSHI FURUKAWA
和太鼓:AUN

Recorded at WONDER STAION, AVACO CREATIVE STUDIOS

 

Disc. 久石譲 『SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001』

久石譲 『SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001』

2002年7月26日 CD発売 WRCT-1005
2002年11月23日 CD発売 WRCT-1005 ※新パッケージ

 

2001年12月7日東京芸術劇場で行われた公演のCD化
指揮:金洪才 演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団

アカデミー賞受賞作品「千と千尋の神隠し」組曲
北野武監督映画「Kids Return」、久石譲監督映画「Quartet」他収録

 

 

解説

本作は2001年10月30日から始まったツアー「久石譲・SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001」の最終日、2001年12月7日の東京芸術劇場におけるコンサートのCD化である。

収録された楽曲は全曲が初演であり、久石自身がコンサートの数ヶ月前から少しずつアイデアを固め、全ての関連スコアをチェックした後、オーケストラ演奏用にリ・アレンジし、演目の最終決定というプロセスをたどっている。これは映画音楽が映像とのマッチングを前提として作曲されているため、コンサートの演目として演奏するためには全く異なるアレンジアプローチが必要となったからである。どの作品にも意欲的に思い切ったアレンジを施しているが、特に「BROTHER」は1度作ったアレンジから徹底して離れて新しく作り直しており、非常に聴き応えのある作品に仕上がっている。また「千と千尋の神隠し」は、映画の中の印象深い楽曲をセレクトして組曲形式で構成し、独立した完成度の高い作品となった。

演奏は「千と千尋の神隠し」「BROTHER」「Quartet」のサウンドトラックのレコーディングを行った新日本フィルハーモニー交響楽団で、レコーディング時のオリジナルに近いメンバーによるコンサート音源であることも興味深い。

録音は、クラシック・レコーディング界における日本屈指のエンジニア、江崎友淑氏による。演奏収録場所は東京芸術劇場。指揮は金洪才氏、ピアノ演奏は久石譲。また今回は1曲だけ「Student Quartet」を久石自身が指揮している。

(宮崎至朗)

(解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

ほとばしる魂の音楽

わたしがアナウンサーを志したのは、NHKのある番組がきっかけだった。

それは大学の頃に偶然見た「胃の粘膜が…」とか、「人の遺伝子とは…」といった科学番組だった。優しく包み込むような音楽とナレーションが心に染み入り、気がつくとポロポロ涙がこぼれていた。衝撃だった。耳から受ける刺激は、これほどまでに人の心を揺さぶるものなのか、と。同時に何かを伝えたい、表現したい、いつかこんな仕事に関わりたい、そう強く望むようになった。これが久石譲さんの音楽との出会いだった。

昨年、雑誌の対談で初めてお目にかかる機会に恵まれた。黒のスーツをさり気なく身にまとい、颯爽と登場された久石さんは、わたしの想像とは全く違っていた。

正直、驚いた。失礼ながら『サンタクロースの様なおじいさん』を思い描いていたからだ。穏やかな語り口にかい間見える鋭さ。「学生時代は尖っていましたからね」と微笑まれたのが印象的だった。

当時、久石さんは前衛的な音楽に傾倒されていたと聞いた。だからこそ、創造力果てしなく、あまたの作品が生み出されてきたのだろうか。

”SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001”。今回もまた心が震え、喚起された。ほとばしる魂を感じさせる久石さんの音楽。これからもわたしたちを新たな世界へ導いて下さることだろう。

進藤晶子 (キャスター)

(CDライナーノーツより)

 

 

【楽曲解説】

「千と千尋の神隠し」組曲
1.あの夏へ 2.竜の少年~底なし穴 3.6番目の駅 4.ふたたび
日本における映画記録をことごとく塗り替えた、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」。宮崎監督とのコンビも「風の谷のナウシカ」以来7作目となるこのファンタジー映画の中で、久石譲の音楽は観客の感情の振幅を見事に広げてみせた。今回、ステージで初めて演奏されたのは、スクリーンで耳に馴染んだ数々のメロディを、コンサートのために4曲からなる組曲として書き下ろしたものである。

「Quartet」より
5.Black Wall 6.Student Quartet 7.Quartet Main Theme
2001年秋、久石譲がはじめて監督・脚本・音楽を手掛けた作品「Quartet」が公開された。音楽学校を卒業した後、社会でそれぞれの挫折を味わった4人の仲間が出会い、再びカルテットを組んでコンテストに挑戦するという物語で、日本では珍しい本格的な音楽映画に仕上がっている。全ての音楽を、久石譲はこの映画のために新たに作曲した。CDではその中から3曲を選んでいるが、「Black Wall」は現代音楽風に、「Student Quartet」はモーツァルト風に、そして「Quartet Main Theme」はフランス印象派風にと、久石譲の音楽的センスの多彩さが溢れでている。

「BROTHER」より
8.Drifter…in LAX 9.Wipe Out 10.Raging Men 11.Ballade
久石譲は「BROTHER」の音楽を、自分自身、非常に気に入っているものの1つだと言う。それを今回、コンサートホールでの演奏用に書き換えた。リ・アレンジというより、ほとんど作り替えてしまったと言ってもいい。そのくらい迫力と存在感のある楽曲となった。哀しみを含んだメロディライン、対比する息も詰まるようなパーカッション・リズムの躍動感が聴く者の心を揺さぶり、否応なくハードボイルドともいえるその世界に引きずり込んでいく。

「Le Petit Poucet」より
12.Le petit Poucet Main Theme
久石譲が、監督オリビエ・ダアンの「プチ・プセ」(原作シャルル・ペロー、日本語原題「親指トム」)でフランス映画に進出した。映画は2001年10月17日に公開されたが、色彩の美しさを際立たせた映像美と緩急自在の語り口、そして特別出演のカトリーヌ・ドヌーブを初めとする豪華なキャスティングが話題となり、公開初日にはパリとその近郊だけで1万3千人を動員した。「久石節」とでもいうべき美しい旋律と和声は映像美と見事に絡み合い、本来「子供向け」にカテゴライズされるこの作品のクオリティを、1ランク引き上げることに成功している。日本での公開が待たれる作品である。

「Kids Return」より
13.Kids Return 2001
メインテーマとなったこの曲は、素晴らしい速力と緊張感をもっている。それは物理的な速力というに止まらず、人間の内面に鋭く切り込んでくるかのような疾走感である。聴くたびに新しい感動を呼ぶこの曲を、久石はフルオーケストラとピアノのためにリ・アレンジした。その驚くべき華やかさの裏に、ある秘めた切なさを感じさせるのは、さすがに久石譲である。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

(新パッケージ ジャケット)

*新パッケージはジャケット表面背面、CD帯、円盤デザイン、ライナーノーツ、すべてのデザインが異なる

 

 

久石譲 『SUPER ORCHESTRA NIGHT 2001』

「千と千尋の神隠し組」組曲
1. あの夏へ
2. 竜の少年〜底なし穴
3. 6番目の駅
4. ふたたび
「Quartet」より
5. Black Wall
6. Student Quartet
7. Quartet Main Theme
「Brother」より
8. Drifter… in LAX
9. Wipe Out
10. Raging Men
11. Ballade
「La Petit Poucet」より
12. La Petit Poucet Main Theme
「Kids Return」より
13. Kids Return 2001

All composed, arranged and Produced by Joe Hisaishi

ピアノ:久石譲
演奏:新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:金洪才

2001年12月7日 東京芸術劇場にて収録

 

Disc. LYNX 『Cinema Complex』

LYNX 『CinemaComplex』

2002年7月24日 CD発売 SRCL-5383

 

フルート4本でポップに聴かせる才色兼備のフルーティスト集団「リンクス」
宮崎駿監督、北野武監督、大林宣彦監督から
久石譲の映画音楽の世界がフルートで優しく生まれ変わる

 

 

楽曲解説

1.ふたたび
弦カルテットとフルートカルテットという二つの世界が重なりあって織りなすハーモニーの美しさが秀逸。メロディもフルートから弦へ、弦からフルートへと流れるようにタッチしていき、後半に向かって徐々に盛り上がっていく。

2.あの夏へ
フルートのハーモニーで始まり、だんだんリズムやシンセが重なっていく大作。生のウィンドチャイムやベルなどが夏らしさを演出。また、フルートの技巧も存分に味わえるアレンジの妙で聴きごたえ十分である。

3.海の見える街
跳ねるようなフルートとアルトフルートのかけ合いのスタッカートで始まるテーマからクラシカルな展開部、そして6/8拍子の明るいサブテーマへと流れるようにつながっていき、再びメインテーマを奏でて終わる。

4.KIDS RETURN
コンガ、ボンゴなどのパーカッションが疾走感あふれるオケにマッチし、鼓動をかき立てる。フルートの華やかさと切なさが見事に生かされて青春の危うさやほろ苦さを表現。

5.TANGO X.T.C.
ピアノと弦カルテットを加えた演奏は、激しく切なく心に訴えかける。アルバムのハイライトとも言える大作である。

6.Summer
テレビコマーシャルでもおなじみのこの曲。フルート四重奏の軽快な演奏で夏らしい清涼感にあふれた作品となっている。

7.もののけ姫
米良美一の歌うメインテーマとして大ヒットを記録したこの曲。フルート四重奏で重厚にしっとりと表現されている。

8.Reging Men
「凶暴な男」というタイトル通り不穏で緊張感のある世界を、タムの重いリズムとフルートの無調っぽい響きで表現。エンディングに向かって狂気の世界がジョジョに盛り上がっていく…。

9.BROTHER
男の哀愁、ヤクザの悲しい運命を感じさせる情緒たっぷりのメロディがフルートのもの哀しい音色でつづられていく。パーカッションと打ち込みのオケの中、「息」という生命を感じさせるフルートの存在が光る。

10.ナウシカ・レクイエム~遠い日々
弦カルテットの重厚なレクエイムに続き、おなじみのメロディがフルート四重奏でみずみずしく表現されている。

11.TWO OF US
石田ひかりの初主演となるこの作品の主題曲で、Lynxも初アレンジを披露。演奏者ならではの観点で、フルートの音色や技巧を十分に活かした作品となっているのでじっくりとお楽しみを…。

12.HANA-BI
フルート四重奏とハープの演奏は本当に切なく悲しい本編と見事にオーバーラップ。アルバムの最後を美しい余韻で飾る。

(楽曲解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

LYNX 『CinemaComplex』

1. ふたたび (千と千尋の神隠し)
2. あの夏へ (千と千尋の神隠し)
3. 海の見える街 (魔女の宅急便)
4. KIDS RETURN (キッズ・リターン)
5. TANGO X.T.C. (はるか、ノスタルジィ)
6. Summer (菊次郎の夏)
7. もののけ姫 (もののけ姫)
8. Raging Men (BROTHER)
9. BROTHER (BROTHER)
10. ナウシカ・レクイエム~遠い日々 (風の谷のナウシカ)
11. TWO OF US (ふたり)
12. HANA-BI (HANA-BI)

編曲:
山路敦斗詩 (1-5, 8-9, 12)
篠田昌伸 (6, 10)
上田麻衣子 (7)
Lynx (11)

全作曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『Quartet カルテット』

久石譲 『カルテット DVD』

2002年3月25日 DVD発売 BCBJ-1128

 

2001年公開 映画「Quartet」
監督:久石譲 音楽:久石譲 出演:袴田吉彦 桜井幸子 他

久石譲 第一回監督作品
[モントリオール映画祭ワールドシネマ部門正式招待作品]

 

 

この作品は僕の自伝ではないけれど、ある意味で僕の物語。僕の周りにいた、音楽と共に生きようとして悩み立ち止まる、繊細で、美しい人たちの物語です。

久石譲

 

 

「音楽が主役になっている、ということ。物語に音楽がからんでいるとか、主人公が音楽家というだけでは音楽映画にはなりません。音楽がドラマとからんでクライマックスに向かっていくような映画を、私は音楽映画と呼ぶことにしています」

「整理すると、音楽とストーリーが密接にかかわっていること、音楽が台詞の代わりになりえていること、この2点に集約されます」

「まず演奏トレーナーには役者が楽器を弾けるようにするのではなく、”弾いているように演じる”ことを教えてもらいました。役者たちは彼のもとで最低1ヵ月間のトレーニングを積んで、撮影に挑んでいます」

「たとえば、役者が演奏しているふうの表情をアップで見せ、切り返しでプロの演じている手元だけを見せるというカット割では、観る人誰もが『編集で見せていますね』と興ざめしてしまう。ワンカットで登場人物が演奏するシーンを成立させるためには、まず役者のトレーニング。しかし、それでも追いつかないほどの演奏技術が必要なパートがあることもわかっていましたから、そこは撮影のトリックを入れる計画を立てました。技法は複数。完全な種明かしをしてはつまらないので、たとえば2人羽折り、たとえば合わせ鏡、そんな技法を用いているということだけお伝えしておきます。時間をかけた創意工夫ばかりで、その分できばえも良かったと自負しています。ぜひ、映画館で演奏シーンを堪能していただきたいですね」

Blog. 「ディレクターズマガジン 2001年11月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「撮影は去年に終えていてね。劇中、袴田(吉彦)君扮する主人公の台詞で『音楽ってそれほどのものなんですか?』っていうのがある。この一言を音楽家である僕が言わせるのは、自分では結構強烈な挑戦だった。多分この一言を撮りたくて映画を作ったんだなと、今は思っている。”音楽を作る”ことと”生きる”ことの関係性を何らかの形にしてみたかったのではないかな。音楽は自分では未だ模索の最中だし『Quartet』も、その明確な答えとは成り得ていないけれど、リアリティという点ではなかなかの仕上がりだよ」

Blog. 「SWITCH スイッチ JULY 2001 Vol.19 No.16」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「ストーリーは自分とはそう関係ないんですけども、僕にとってのリアルという面でね。たとえば、大学のシーンをどこで撮ろうかと、いろんな大学を見せてもらったんですけど、結局、自分が出た大学、国立音大しかない、と。キャンパスの真ん中にはやっぱり噴水(笑)。あったほうがいいんじゃなくて、なきゃいけない。庭ではラッパを練習していないと。ピャラララ、ピャラララとかってやっててくれないとダメなんです(笑)。監督というのはみんなどこかで虚構をやってるから、ウソっぽくなることをすごく恐れるんですね。そこでいちばんリアルなのは、自分の体験なんですよ」

「主人公が、お父さんが家を崩壊させてまでカルテットに打ち込んだことに対して、「音楽ってそれほどのもんですか」っていうシーンがあるんですよ。観ていると、すっと流れちゃう場面かもしれないけど、音楽家である僕が監督しながら、この台詞をいわせるっていうのは、すごく重いんですよね」

「あります、正直いえば。こんなに全部を犠牲にして…。たとえば、この2日間すさまじい指揮をしました。その前は籠もりきりで一日10数時間、譜面を書いてます。そのまた前は、2ヵ月間籠もってレコーディング。1年間、ピアノにさわってないのに、ピアノをダビングするなんてことまで起きてくる。まったくよくやってますよね。何のためにやってるんだろうって、ふと思うことがあるんです。「音楽ってそれほどのもんですか」。この台詞をいわせるために、僕はこの映画を撮ったんじゃないかという気がしてます」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」

「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」

Blog. 「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」 映画『Quartet』久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「まず音楽映画とはどういうものか、明確な定期をしておかなければいけないと思いました。ドンパチがあればギャング映画、音楽があれば音楽映画というふうに考えれば、実際どのジャンルを見ても明確な定義など存在しないんです。そこで自分が考える音楽映画とは、まず第1に音楽自体がストーリーの展開と強く絡んでいなくてはいけない。第2に、せりふの代わりに音楽で半分ぐらいは表現してしまう。つまり、(音楽で)見る側にイマジネーションを広げてもらう。この2点を明確にして自分のスタンスをとろうというのが演出の根底にあったんです」

「そりゃ大混乱ですよ(笑)。譜面を渡されて、『3小節目のジャン!で、左からカメラ寄る』なんて書いてあるわけです。結局、学生さんのアルバイトを雇い、たとえば阪本善尚カメラマンの後ろに1人付けて、「1、2、3、ポーン」という感じで背中を叩いてもらって撮ってもらいましたから(笑)。通常、オケを撮る場合もオケを恐れちゃって遠くから撮るだけっていうケースが圧倒的に多いんですよね。自分はオケの連中との仕事も長いんで、『はいっ!弦、全部どけ~!』ってガンガンなかに入って撮る」

「袴田君たちは(プロの)ヴァイオリン奏者じゃないから、みんな(実際に)弾いていないってわかっているわけです。だから見る側が『あっ、本当に弾いている』と思えるところまでもっていくのが鍵でした。楽曲の小節ごとに顔のアップ、手のアップ……と決め、『その小節だけは何が何でも手とかは写るからね』と指示して、さらってもらったんです」

Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

映像特典「プロローグ・オブ・カルテット」にて久石譲インタビューが収録されている。

配役中、唯一楽器奏者である久木田薫(チェロ)は、本編でも実際に自身が演奏している箇所が多い。またこの映画での出会いがきっかけとなり、 『ジブリ・ザ・クラシックス』というジブリ作品カバーCDを発売している。スタジオジブリ映画の主題歌、挿入曲を、チェロの演奏をメインにクラシック風、タンゴ風などにアレンジ。ギター、バンドネオン、ハーモニカなど多種多彩な楽器によるアコースティック・カバー作品である。

本編中盤に登場する金管アンサンブルは「上野の森ブラス」メンバーだと思われる。本編にて演奏していた楽曲は「ハトと少年」(映画『天空の城ラピュタ』より)である。また同楽曲・同アレンジで収録されているのが、彼らの『ブラス ファンタジア I ~宮崎アニメ作品集~』である。原曲の持ち味をそのままに、上質でハイセンスな金管アンサンブルを堪能することができる作品である。

映画エンドクレジットにて流れる「Main Theme」は、サントラ盤とは異なるヴァージョンとなっている。プログラミングされたパーカッション(リズム系)の音および種類が異なっている。聴き比べてみるのもおもしろい。

 

 

 

 

 

久石譲 『カルテット DVD』

キャスト:袴田吉彦/桜井幸子/大森南朋/久木田薫/藤村俊二/三浦友和

監督・音楽:久石譲
脚本:長谷川康夫/久石譲

本編113分
(シーン・チャプター/ミュージック・チャプター)

映像特典25分
・「プロローグ・オブ・カルテット」(メイキング映像)
・劇場用予告編
・ラジオスポット
・キャスト&スタッフ プロフィール

 

Disc. 久石譲 『ENCORE』

久石譲 『ENCORE』

2002年3月6日 CD発売 UPCH-1142
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9071

 

自身が手がけた映画音楽やCM音楽をセルフカバーしたアルバム。
スタジオジブリ 宮崎駿監督作品や北野武監督作品など
オーケストラ映画音楽をシンプルかつ透明感あるピアノソロアルバムに。
名曲たちに新しい輝きを与えたベスト盤とも言える内容。

高音質・ダイレクトカッティング盤

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9071
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

久石譲 『ENCORE』

1. Summer (映画「菊次郎の夏」より)
2. Hatsukoi (映画「はつ恋」より)
3. One Summer’s Day (映画「千と千尋の神隠し」より / あの夏へ)
4. The Sixth Station (映画「千と千尋の神隠し」 / 6番目の駅)
5. Labyrinth Of Eden (アルバム「地上の楽園」より)
6. Ballade (映画「BROTHER」より)
7. Silencio de Parc Güell (アルバム「I Am」より)
8. HANA-BI (映画「HANA-BI」より)
9. Ashitaka and San (映画 「もののけ姫」より)
10. la pioggia (映画「時雨の記」より)
11. Friends (アルバム「Piano Stories II」より)

封入特典:「Summer」譜面

Recorded at Tokyo Opera City (Oct 12 , Dec 27・28 2001 and Jan 8 2002)

Piano:YAMAHA CF III S

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection』

久石譲 JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection

2001年12月12日 CD発売 PICL-1235
2006年3月22日 CD発売 GNCL-1054

 

このベスト盤は、『地上の楽園』『MELODY Blvd.』といったソロ・アルバムのナンバーから、映画『青春デンデケデケデケ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『ふたり』やNHK朝の連続テレビ小説『ぴあの』のメイン・テーマまでを幅広く収録した決定版。ピアノを主体にした流麗で美しい音世界に心ゆくまで浸ることができる。

 

 

オリジナル収録アルバム

『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 1』 (1,5,15)
『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 2』 (16)
『MELODY Blvd.』 (2,3,6,8,11)
『地上の楽園』 (4,7,9,10,12,13,14)

 

 

久石譲 JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection

1. Forenoon ~夜明け
2. Here We Are ~青春のモニュメント (映画「青春デンデケデケデケ」)
3. I Believe In You ~あなたになら (映画「水の旅人」)
4. さくらが咲いたよ
5. Path to the Lights ~希望への道
6. Hush ~木洩れ陽の路地 (映画「魔女の宅急便」)
7. HOPE
8. Two Of Us ~草の想い (映画「ふたり」)
9. Lost Paradise
10. Lonely Dreamer ~鳥のように (映画「この愛の物語」)
11. Rosso Adriatico ~真紅の翼 (映画「紅の豚」)
12. Piano (Re-Mix) ~ぴあの 「NHK朝の連続テレビ小説「ぴあの」)
13. 季節風 (Mistral)
14. The Dawn
15. Closed Fist ~閉じられた手
16. Broken Whistle ~拾いもの

All composed and arranged by Joe Hisaishi

 

Disc. 久石譲 『LE PETIT POUCET』

Le Petit Poucet (プセの冒険 真紅の魔法靴) オリジナル・サウンドトラック

2001年10月9日 CD発売 014 934-2 ※輸入盤のみ

 

2001年仏公開 映画「Le Petit Poucet」(邦題:プセの冒険 真紅の魔法靴)
監督:Olivier Dahan(オリヴィエ・ダアン) 音楽:久石譲 joe hisaishi

 

 

「全体のサウンドの設計からいうと、〈日本〉をすごく出しました。和太鼓だったり尺八だったり……宮崎監督をはじめ、日本の監督は尺八を使うとすごく嫌がるんですよね。『尺八の音』とイメージを限定してしまうから、と。でも、フランス人には全然関係ないことなので、逆に前面に出したんですよ。そのほうが自分にとってリアリティがあるということもありますが、もうひとつはドメスティックなほうがかえってインターナショナルに通用する。要するに日本やアジアの風土に根ざした音楽を掘り下げた状態で提示すれば、それは世界中で通用するはずなんです」

Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

Le Petit Poucet (プセの冒険 真紅の魔法靴) オリジナル・サウンドトラック

1. La lunan brille pour toi (Version Edit) (vocal:Vanessa Paradis)
2. Le Petit Poucet (Main theme)
3. La forȇt de Rose
4. L’attaque des pillards
5. Sur le chemin de cailloux blancs
6. Perdus
7. Les pièccs d’or
8. Aux loups!
9. La maison rouge
10. A la table de l’Ogre
11. Le jardin secret
12. L’Ogre
13. La forȇt rouge
14. Entre l’Ogre et la falaise
15. Le duel
16. Le messager de la Reine
17. “La lune brille pour toi” (Générique de fin) (vocal:Vanessa Paradis)

「La lune brille pour toi」
作詞:Olivier Dahan 作曲:Joe Hisaishi

Musique Originale Composée et Arrangée par Joe Hisaishi

Musiciens
Piano:Joe Hisaishi
Orchestre:Paris Philharmonic Otchestra

and Shakuhachi , Flute et Kena , Latin Percussion , Luth

Orchestrations:
Joe Hisaishi
Kazunori Miyake
Jun Nagao

Enregistrements:Studios Guillaume Tell
Mixage:Roland Guillotel

 

Little Tom Thumb
(United States, 2001) 016 968-2

1.Close Your Eyes
2.Little Tom Thumb (Main Theme)
3.Rose’s Forest 
4.The Pillagers Attack 
5.On The Road Of White Stones
6.Lost 
7.The Golden Coins 
8.Wolves! 
9.The Red House 
10.At The Ogre’s Dinner
11.The Private Secrets
12.The Ogre
13.The Red Forest 
14.Between The Ogre And The Cliff 
15.The duel
16.The Queen messenger
17.Close Your Eyes (Ending Theme Song) 
18.”La Lune Brille pour Toi” (Bonus track)

 

Disc. 久石譲 『Quartet カルテット オリジナル・サウンドトラック』

QUARTET カルテット

2001年9月27日 CD発売 UPCH-1105
2005年10月5日 CD発売 UPCY-9009

 

2001年公開 映画「Quartet」
監督:久石譲 音楽:久石譲 出演:袴田吉彦 桜井幸子 他

 

久石譲 第1回監督作品
日本初の本格的音楽映画、劇中使用曲フル・バージョン収録
ボーナス・トラックにリミックス・バージョン収録

 

 

曲目解説 by JOE HISAISHI

1.Main Theme
メイン・テーマに、プログラミングによるリズムを加えた楽曲です。エンディングのアイディアとしては、幾つかの方法が考えられましたが、青春映画の希望的要素を込めたアレンジにしました。

2.Student Quartet
この映画の音楽に関しては、当初メイン・テーマ以外は既存のクラシック曲を使って完成させる予定でした。しかし、制作を進めていくうちに、自分の映画の中で、僕以外の人が作った曲が鳴ることに違和感を覚え始めて…。聞いてもらえばわかるように、この曲は本当ならモーツァルトの「ディヴェルティメント」をイメージしていましたので、それに近い雰囲気で書き上げました。途中、主人公の苦悩を音楽で語る意味で、イタリア映画の音楽っぽい、メロディアスで泣かせるフレーズを封入しています。そうしたところに、単なるモーツァルト風楽曲にはしないぞというこだわりを感じてもらえたら嬉しいですね。

3.パッサカリア
劇中、明夫(袴田)がオーディションで弾くソロの曲です。「Student Quartet」の場合と同様に、本当なら「カプリース24」という、パガニーニのバイオリン・ソロの曲を使いたかった箇所なので、この作風を下敷きにしてそのフォーマットにのっとって、新たに自分で作ってみました。なぜ「カプリース24」をイメージしたかといえば、メロディもよくポピュラリティがありつつ、激しさも備えている。バイオリニストとしてのビルティオーゾといいますか、テクニカルな部分も相当に要求する楽曲ですから。いうなれば、パガニーニに捧げるオマージュのようなものです。

4.Black Wall (Strings Quartet)
マレーヴィッチ・ウォルハイムという著名作曲家が作った有名なクラシック作品で、なおかつ弦楽四重奏であり、オーケストラの定番曲でもあるという設定です。これはよくあることで、「展覧会の絵」も元々はピアノ曲だったものが、オーケストラにもなっているのと似たスタイルです。本来、青春映画では、こういう現代音楽調の不協和音の楽曲を使うのは、楽曲がやたらと小難しくなりがちなので、かなりの冒険ではあります。ある意味これが、(映画の)最初から最後までを引っ張っているといってもいいくらい。そういう音楽家としての勝負曲として書いた作品です。ちなみに作曲家名は、絵画界のミニマル・アーティストの”~・マレーヴィッチ”という人と”~・ウォルハイム”という人の名前を組み合わせて作った架空の作曲家名です。

5.浜辺のカルテット
これはメイン・テーマをさらに極力シンプルに、緩やかなテンポでアレンジしたものです。主人公の明夫(袴田吉彦)と智子(桜井幸子)の恋愛感情も音楽だけで表現できるんじゃないかと思って、映画では全般的にラブ・シーンを排除してきました。だけど、二人の気持ちが徐々に接近していく様子や、バラバラだった4人が少しずつ心を通わせていくニュアンスはどうしても必要でしたので、この音楽に託してみました。

6.Melody Road (My Neighbor TOTORO~HANA-BI~KIDS RETURN)
「となりのトトロ」「HANA-BI」「キッズ・リターン」のメドレーです。僕が映画をやるということのサービス・カットでしょうか(笑)。ある程度僕の音楽が好きな人ならば、たぶん馴染みがある楽曲だろうという観点で選んだ楽曲群ですね。技術にこだわる人間が目指す音楽から、気持ちの音楽へと切り替わっていく過程や様子を感じ取ってもらえるといいんですが。

7.DA・MA・SHI・絵 (Sax Quartet)
ストーリーの中では、主人公たちがコンクールを受けている際に別のアンサンブルが演奏しているシーンの楽曲です。これもコンクール曲であるという前提ですから、構成が複雑であることと、なおかつミニマル音楽をずっとやり続けてきた自分の個人的な思い入れも込めて選曲しました。そういう意味では、僕にとって重要な曲の一つといえます。イギリスの弦楽四重奏団”バラネスク・カルテット”を迎えて昨年リリースした『Shoot The Violist』というアルバムにも入っている曲です。

8.Lover’s Rain
この映画では唯一のBGMです。つまり、ほかの楽曲はすべて、絵(映画)の中で誰かが演奏したり、周りで誰かが弾いているという状況下で奏でられていますから、いわゆる映画音楽というのがこの映画にはほとんど存在しない。唯一書いたのがこの曲。自分としては相当画期的なことをやっているつもりではあります。

9.冬の夢
僕の『My Lost City』というソロ・アルバムの中に収録されている作品です。ここでは映画にも出演している久木田薫さん自身が弾いてます。主人公の一人・愛ちゃん(久木田)が音楽の深さを知るきっかけとなる曲ですね。これまで随分いろいろな曲をチェロのために書いてきましたが、これが最も好きな曲のひとつです。

10.・・・・for Piano
映画の中では使っていない、メイン・テーマのピアノ・ソロ・バージョンで、このCDに収録するために急遽演奏した曲です。映画「Quartet」のサントラ盤でありつつも、僕のソロ・アルバムとしての側面もあるCDですから、どうしてもピアノのソロでテーマを弾いてほしいというリクエストがありまして…。実際、僕はこういう感じの楽曲を、過去に出したソロ・アルバムを含めてもほとんど弾いていませんので、今までの自分のピアノ・スタイルとは違った世界にチャレンジしてみたいという感覚が強かったですね。

11.Black Wall (Orchestra)
track 4のオーケストラ・バージョン。映画では、オーケストラのコンサート・マスターとしてバイオリンを弾く明夫(袴田)と、その一方で明夫の到着を待つカルテットのメンバーという、クライマックスにつながる重要なシーンでずっと流れる曲です。同じ曲ですが、カルテットでは繊細さが強調され、オーケストラでの演奏ではダイナミックさが増し、荘厳な感じに響いています。

12.Quartet g-moll
本来映画音楽としては、見てくれた人が映画館を出た後にも口ずさめるようなメロディがベストな形といえます。音楽とともに映画のシーンが浮かんでくるような…。その場合のメロディは極力シンプルなほうがいいわけです。ただこれは、映画の中ではコンクールで演奏する曲でもあり、コンクールを受ける楽曲であるからには、テクニック的にもカルテットとしての機能を存分に引き出している作品でなければならない。すると必然的に、映画音楽としてのシンプルさと、アンサンブルの奥行きや音楽的な内容の深さ、難しさの両方を兼ね備えた、非常に高度な音楽にならざるを得ない。そうした大きな矛盾といいますか、相反する要素を融合させる取り組みをしました。

13.Main Theme -Remix
※ボーナス・トラックとして収録

(曲目解説 ~CDライナーノーツより)

 

 

そもそも”カルテット”とは?

カルテット(英語表記で quartet)とは、広義で四重奏(唱)のこと。四重奏曲を指すこともある。『新音楽辞典』(音楽之友社刊)には「4個の独奏楽器による室内楽重奏。弦楽四重奏が基本的で、(中略)ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロにピアノ四重奏、木管をひとつ加えたフルート四重奏、オーボエ四重奏、木管、金管、ホルン、サクソフォーン四重奏その他各種の編成がある」と記されている。今日まで続く弦楽四重奏曲の基本様式を確立したのはフランツ・ジョゼフ・ハイドン(1732~1809)という説がもっぱらである。その醍醐味は様々だが、劇中で三浦友和扮する青山助教授わいく「アンサンブルの中でも弦楽四重奏ってのは、余分なものをすべて削ぎ落とした究極の形態だ。演奏家としての力量がこれほどはっきり表れるものはない」とのこと。幼少の頃バイオリンをたしなんでいた久石自身の弦楽四重奏に対する考え方としてとらえてもいいだろう。

Blog. 映画『Quartet カルテット』(2001)監督・音楽:久石譲 劇場用パンフレットより 抜粋)

 

 

「撮影は去年に終えていてね。劇中、袴田(吉彦)君扮する主人公の台詞で『音楽ってそれほどのものなんですか?』っていうのがある。この一言を音楽家である僕が言わせるのは、自分では結構強烈な挑戦だった。多分この一言を撮りたくて映画を作ったんだなと、今は思っている。”音楽を作る”ことと”生きる”ことの関係性を何らかの形にしてみたかったのではないかな。音楽は自分では未だ模索の最中だし『Quartet』も、その明確な答えとは成り得ていないけれど、リアリティという点ではなかなかの仕上がりだよ」

Blog. 「SWITCH スイッチ JULY 2001 Vol.19 No.16」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「まず音楽映画とはどういうものか、明確な定期をしておかなければいけないと思いました。ドンパチがあればギャング映画、音楽があれば音楽映画というふうに考えれば、実際どのジャンルを見ても明確な定義など存在しないんです。そこで自分が考える音楽映画とは、まず第1に音楽自体がストーリーの展開と強く絡んでいなくてはいけない。第2に、せりふの代わりに音楽で半分ぐらいは表現してしまう。つまり、(音楽で)見る側にイマジネーションを広げてもらう。この2点を明確にして自分のスタンスをとろうというのが演出の根底にあったんです」

Blog. 「PREMIERE プレミア 日本版 October 2001 No.42」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「音楽が主役になっている、ということ。物語に音楽がからんでいるとか、主人公が音楽家というだけでは音楽映画にはなりません。音楽がドラマとからんでクライマックスに向かっていくような映画を、私は音楽映画と呼ぶことにしています」

「整理すると、音楽とストーリーが密接にかかわっていること、音楽が台詞の代わりになりえていること、この2点に集約されます」

Blog. 「ディレクターズマガジン 2001年11月号」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「主人公が、お父さんが家を崩壊させてまでカルテットに打ち込んだことに対して、「音楽ってそれほどのもんですか」っていうシーンがあるんですよ。観ていると、すっと流れちゃう場面かもしれないけど、音楽家である僕が監督しながら、この台詞をいわせるっていうのは、すごく重いんですよね」

「あります、正直いえば。こんなに全部を犠牲にして…。たとえば、この2日間すさまじい指揮をしました。その前は籠もりきりで一日10数時間、譜面を書いてます。そのまた前は、2ヵ月間籠もってレコーディング。1年間、ピアノにさわってないのに、ピアノをダビングするなんてことまで起きてくる。まったくよくやってますよね。何のためにやってるんだろうって、ふと思うことがあるんです。「音楽ってそれほどのもんですか」。この台詞をいわせるために、僕はこの映画を撮ったんじゃないかという気がしてます」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

「全体の半分弱くらいが音楽シーンで、時間軸に固定されますから、構成自体は難しくなかったんです。でも、セリフの投げ合いで感情を引っ張りすぎると音楽シーンのパワーがなくなっちゃうから、芝居は極力抑える、カメラは引くって決めてましたね。そういう意味では、北野監督的なやり方だったんですよ。過剰に説明をせずに、どこまで引いて見せるかという意味ではね。武さんは僕が映画を撮るというのを知っていたんです。あるとき一緒にご飯を食べていて、武さんが大杉漣さんに話をしていたんですよ。”ラーメンをおいしく撮る方法って、いかに本当においしいかと見えるようなカットを撮らなくちゃいけないんだよ。たいがいの監督がしくじるのは、いかにうまいかという内容を説明しちゃうから。トンコツ味でとか昆布のダシでとかさ、そうするとトンコツが嫌いな人はそれを聞いた瞬間、半分引いちゃうんだよな”って。大杉さんに話をするフリをして、たぶん僕に言ってくれたんだと思う。それがすごく残っていて、大変なヒントをいただきましたよね」

「この映画、2回観た人の反応がいいんですよ。芝居や何かを全部言葉でやっていると2回観たいとはあまり思わないですよね。でも、音楽は2度聴いても嫌にならない。その音楽が今回、セリフ代わりになってますね。リピートに耐える映画になったかと思うと、とてもうれしいですね」

Blog. 「DVDビデオ・ぴあ 2001年10月号」 映画『Quartet』久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

 

 

 

映画公開当時、ファンクラブ限定で映画前売券販売企画があった。その特典として『CD付 Quartet プロモーションツール』が前売券と一緒に届けられている。また一般劇場前売券でも、”プレミアムCD付前売券”発売があった。数量限定、東京・大阪・名古屋・福岡・札幌の指定された複数映画館が対象。

(ファンクラブ会報 NEWS WONDER2 No.39 より要約)

 

 

 

 

 

 

QUARTET カルテット

1. Main Theme
2. Student Quartet
3. パッサカリア
4. Black Wall (Strings Quartet)
5. 浜辺のカルテット
6. Melody Road
(My Neighbor TOTORO〜HANA-BI〜KIDS RETURN)
7. DA・MA・SHI・絵 (Sax Quartet)
8. Lover’s Rain
9. 冬の夢
10. ・・・・for Piano
11. Black Wall (Orchestra)
12. Quartet g-moll
13. Main Theme -Remix

all composed, arranged and produced by joe hisaishi

Piano:JOE HISAISHI

Conductor:KIM HONG JE

Musicians
Balanescu Quartet:
ALEXSANDER BALANESCU:1st Violin
FENELLA BERTON:2nd Violin
CHRIS PITSILLIDES:Viola
NICK HOLLAND:Violin Cello (M-2,3,4,5,6,12)

YUICHIRO GOTO GROUP (M-1,8,9)
IKUO KAKEHASHI (M-1)
NEW JAPAN PHILHARMONIC (M-11)
kAORU KUKITA (M-9)
Vivi SAXPHONE ENSAMBLE (M-7)

Orchestration:KAZUNORI MIYAKE

Recording Studios:
WONDER STATION
AVACO CREATIVE STUDIOS
ANGEL STUDIO (LONDON)

 

Disc. 久石譲 『Shoot The Violist ~ヴィオリストを撃て~』

久石譲 『Shot The Violist〜ヴィオリストを撃て〜』

2000年5月17日 CD発売 POCH-1928

 

久石譲アンサンブルにイギリスの弦楽四重奏団 バラネスク・カルテットを迎え、それぞれの音の融合が生み出すミニマル・ミュージックをベースにした、スピード感リズム感溢れる演奏。世紀末に向けて書き下ろした新曲を含むファースト・アルバム。※

(メーカーインフォメーションより)

 

※本作品は発表時”久石譲アンサンブル”名義となっていたためファースト・アルバムと記されている

 

 

DEAD Suite

今回このコンサートのために書いた新曲「DEAD Suite」は、僕がクラシック、現代音楽の世界から離れて19年ぶりに書き上げた楽曲だ。DEAD-英語音名で言う「レ・ミ・ラ・レ」をモティーフにして作曲された楽曲だ。いささかポップスのフィールドを逸脱したかもしれないが、20代後半にポップスの世界に転向して以来初めての本格的な現代音楽作品になる。リズムが移り変わり、不協和音ぎりぎりのところで構成されたこの楽曲は、音楽家として生きてきた、自分のアイデンティティーのための曲である。

なぜ今まで音楽をやってきたのか? を問いつめながら、今世紀末のひとつの区切りとして僕にとって通らなくてはいけない道、なくてはならない楽曲となった。最終的には4曲から成り立つ組曲を考えているが、今回のコンサートえ披露できるのはその内の2曲までになる。後は来年書き足そうと思っている。

(「久石譲 PIANO STORIES ’99 Ensemble Night with Balanescu Quartet」 コンサート・パンフレットより)

 

 

「今年に入って、イギリスのバラネスク・カルテットという弦楽四重奏団を呼んで『Shoot The Violist』というソロアルバムを出したんです。これで非常に吹っ切れましてね。ああ、自分の代表作ができたなって。20代とか大学を出るところでね、こういう作曲家になりたいって思っていたことを20年かけて完成させたっていう感じかな。「ピアニストを撃て」という映画に掛けたタイトルなんだけれど、カルテットというのはヴァイオリンやチェロと違って、ヴィオラっていちばん埋もれがちになるんですね。カルテットの中では、弱者なんです。その弱者を撃てっていう反意語で使っていたものが、現実では17歳の子供がキレて弱者をねらってる。時代の最も悪い雰囲気を警鐘のように捉えられたアルバムになったなあって。これを作ったことで、自分の中で何かが吹っ切れましたよね。去年辺りまでクラシックなアプローチを極めてたりしたんですけれど、このままこの道を走るのかどうかすごく悩んだんですね。で、結果はそうじゃない道を選んだ。つまり巨匠じゃない道を歩んでいると(笑)。それがすごくよかったな、と。」

「僕がいまいるポジションというのは、クラシックの前衛芸術家という立場ではないですね。あくまで町中の音楽、つまりポップス。自分のソロアルバムを買ってもらう、一般に映画で見てもらうというのが自分の原点だから、自分が完成されていくっていうことよりも、自分と社会の関係の方が大切なんですね。今みんなが生きていて苦しんでいることを反映できないような曲を書き出したときには終わりだなって、いつも思っているから。そういう自分の生き方を踏まえたINGで動いてるっていう自分が確認できたことがうれしいってことかな。それにスタンスに余裕ができましたよね。音楽を作る上で、あるいは映画の音楽を作る上で何が必要で、自分に何が欠けているのか、それがすごく分かるようになってきたということですね。」

Blog. 「キネマ旬報 2000年7月上旬 夏の特別号 No.1311」 久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

アルバムタイトルは、映画「ピアニストを撃て」からきている。今回のアルバムのジャケットに『あなたは今、ピストルを持っている。そのピストルには2発の銃弾が込められていて、あなたは撃つことができる。目の前に3人の男がいる。サダム・フセイン、アドルフ・ヒットラー、ヴィオラ奏者…。さてあなたは誰を撃てば良いでしょうか?』というメッセージがある。

なぜヴィオラなのか。アンサンブルでもオーケストラでもなかなか目立たない存在だが、とても重要な楽器で、ヴィオラがしっかりしているオーケストラは素晴らしいものになる。そんなヴィオラにも目を向けてもらいたいと”ヴィオリストを撃て”というタイトルにした、と久石譲は当時語っている。

 

 

 

久石譲 『Shoot The Violist〜ヴィオリストを撃て〜』

1. 794BDH
2. KIDS RETURN (映画「キッズ・リターン」より)
3. DA・MA・SHI・絵
4. DEAD Suite [d.e.a.d.]
5. DEAD Suite [愛の歌]
6. TWO OF US (映画「ふたり」より)
7. MKWAJU
8. LEMORE
9. TIRA-RIN
10. Summer (映画「菊次郎の夏」より)

Produced by JOE HISAISHI

All Composed and arranged by JOE HISAISHI

Joe Hisaishi Ensemble members:
Joe Hisaishi:Piano
Balanescu Quartet
Jun Sato:Bass
Hirofumi Kinjo:Woodwind
Masamiki Takano:Woodwind
Momoko Kamiya:Marimba
Marie Ohishi:Marimba & Percussion

Recorded at Sound City , Wonder Station

Recording & Mixing engineer: Masayoshi Okawa
Assistant engineers: Nobushige Mashiko (Sound City)
Hiroyuki Akita (Wonder Station Inc.)
Technical engineer: Suminobu Hamada (Wonder Station Inc.)
Editor: Hiroya Ishihara (Wonder Station Inc.)
Mastering engineer: Shigeki Fujino (Universal Music K.K.)

 

Shoot the Violist

1.794BDH
2.KIDS RETURN
3.DA-MA-SHI-E
4.DEAD Suite (d.e.a.d.)
5.DEAD Suite (Love Song)
6.TWO OF US
7.MKWAJU
8.LEMORE
9.TIRA-RIN
10.Summer