Disc. 久石譲 『PRIVATE プライベート』

久石譲 『PRIVATE プライベート』

2004年1月21日 CD発売 WRCT-1007

 

久石譲はボーカリストだった!~本人セレクトによる初のボーカルベスト~

 

 

寄稿

映画を見ていると、ひとつやふたつ必ずや印象的なシーンがあります。特に一流の映画ともなれば、人間の視覚だけではなく、聴覚をも刺激して、音楽や効果音を含めた、ひとつのシーンを鮮明に心に刻み込むものです。また、逆に映像と音楽がミックスされることで、より印象に残るシーンが生まれます。たとえばホラー映画の代表作『エクソシスト』は、あの名曲「チューブラー・ベルズ」がなければ、怖さも半減してしまうでしょう。

日本映画を見ていて、あの名曲と言えば必ず”久石譲”という名前が浮かぶようになったのは、いつ頃からでしょうか?彼は誰もが知っている『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』などの宮崎駿作品、『ソナチネ』『菊次郎の夏』『BROTHER』などの北野武作品、『ふたり』『はるか、ノスタルジィ』などの大林宣彦作品の音楽を担当し、日本アカデミー賞最優秀音楽賞を5回も受賞している、日本映画音楽の”ヒットメーカー”です。久石譲作品はなぜたくさんの人たちのハートを捕らえて離さないんでしょうか?それは彼の作るメロディーが聴き手の心のひだにまで染み込んできて”心の琴線”を震わせる力があるからだ、と思います。

地震のエネルギーの大きさは”マグニチュード”で表します。だとしたら、名曲のエネルギーの大きさは”曲力”で表せるのではないでしょうか?すなわち、この曲は”曲力10”のすごい名曲である、云々。おそらく久石譲の作る曲は全て”曲力10以上”のすごい”名曲”に違いありません。だからこそ、たくさんの人たちのハートを侵食して、気づかないうちに心を奪ってしまっているのです。

ニューアルバム「プライベート」は、1987年『となりのトトロ・イメージソング集』から1993年のNHKスペシャル『人体II・脳と心』までのカタログから選りすぐられた久石譲本人によるボーカル曲のみで構成されています。今となってはピアニストのイメージが強い彼の作品の中でも、貴重な一枚になる事は間違いないでしょう。

このアルバムを聴いていると、自分の”脳裏のスクリーン”に自然と映像が浮かんできます。そして、いつしか心のひだから素直な感情が溶け出して、心が癒やされます。久石譲の作る曲はまさに”名曲”という”良薬”なのです。

宮澤一誠

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

This album made by selection old following albums
M-3:NHKスペシャル 驚異の小宇宙「人体II 脳と心」サウンドトラック Vol.1 (1993)
M-12:「となりのトトロ」イメージソング集 (1987)
M-11:「ふたり」オリジナルサウンドトラック (1990)
M-4,5,6,9,10:illusion (1988)
M-2,7,8:PRETENDER (1989)

 

 

久石譲 『PRIVATE プライベート』

1.Nightmoves
2.MEET ME TONIGHT
3.Brain & Mind
4.風のHighway
5.Night City
6.冬の旅人
7.MARIA
8.WONDER CITY
9.ブレードランナーの彷徨
10. 少年の日の夕暮れ
11.草の想い
12.小さな写真

All Composed, Arranged, Produced and SUng by Joe Hisaishi

Original Tracks Recorded at Roppongi, Kannonzaki, New York and London

Remixed by Suminobu Hamada (M-7), Teruaki Ise (M-9)
Remixed at WonderStation
Mastering at WonderStation

 

1.Nightmoves
Lyric:Michael Franks
Composition:Michael Lewis Small
Arrangement:久石譲
Volcal:久石譲

2.MEET ME TONIGHT
Lyric:宇多田照實
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

3.Brain & Mind
Lyric:久石譲
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲・Jackie Sheridan

4.風のHighway
Lyric:松本一起
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

5.Night City
Lyric:三浦徳子
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

6.冬の旅人
Lyric:松本一起
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

7.MARIA
Lyric:BANDIT・KYSIA BOSTICK
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

8.WONDER CITY
Lyric:宇多田照實
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

9.ブレードランナーの彷徨
Lyric:松本一起
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

10.少年の日の夕暮れ
Lyric:松本一起
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲・藤澤麻衣

11.草の想い
Lyric:大林宣彦
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:大林宣彦・久石譲

12.小さな写真
Lyric:宮崎駿
Composition&Arrangement:久石譲
Vocal:久石譲

 

Disc. 久石譲 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

2003年10月22日 CD発売 UPCH-1299
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4

 

 

~空想美術館紀行~

久石譲さんの演奏には必ず光景が伴う。オーケストラや観客、或いは久石さん本人の向う側に、かつて旅で出会った人々やその時々の風のようなものが立ち上がるのだ。たとえ有名な映画曲であろうと、目をつぶれば私には独自のシーンが浮かんでくる。見事、としか言い様がない魔法である。

 

Musée imaginaire (Orchestra Ver.)
エクアドルの首都キトからバスでアンデス山脈を越えた時、高度四千メートルで突然もやが晴れ、笑顔で手を振るインディオの子供たちが現れた。この曲をあの峠でもう一度聴いてみたい。

Summer
米国オレゴン州のキャノンビーチには日本の風鈴八百個と暮らす老人がいた。彼は東京を空襲したパイロットで、海風に鳴りやまぬ風鈴を聴きながら静かに枯れ枝と化していくのだった。風鈴はまだ揺れているだろうか。

MIBU
展開とともにまったく新しいイメージが湧きあがるこの曲は、アンコールワットの日の出を思い出させた。たとえ大地が戦乱の荒廃にあったとしても、日輪は何万もの色彩をもって新たな一日を祝福しようとしたのだ。

Silence
トルコのエフェス遺跡のイメージ。エーゲ文明の遥か昔に愛しあった男女の吐息が、今もなお朽ちた柱に絡み付いているようだった。風は時の向う側から情念と音楽を運んでくるらしい。

月に憑かれた男
三年間暮らしたニューヨークで、やるせない気持ちになる度にブルックリン橋を歩き、そこから見える窓灯りを数えていた。どの窓にも命があり、苦悩があり、歓喜がある。その痛いような感覚を思い出させる曲。

夢の星空
ベトナムの漁村を夜明けに訪れたら、歩き始めたばかりの漁民の子が丸太の上に乗って用を足し始めた。あっけらかんとした笑い声、世界で一番幸せそうだったあの子の笑顔に、いつまでも美しい星空とこの曲を捧げたい。

Bolero
チェコの田舎街道はひまわり畑に埋もれているため、夏になると地平線までの黄色で覆われる。しかしその横を走る線路はかつてアウシュビッツまで続いていたのだ。無数の魂が風にそよいでいたようなあの夏空。黄色。

a Wish to the Moon
沖縄から台湾までは貨物船の旅がお薦め。島をひとつ経る度に珊瑚礁の色は濃くなり、五線譜から飛び出す音符のようにイルカたちがジャンプを繰り返していた。

KIKI
洞窟ホタルを見るためにオーストラリアのアウトバックを踏破した夜。気がつけば横をカンガルーの群れが並走していた。この曲のように心が舞い続けた夜。

谷への道
ヨルダン砂漠のロレンス砦に行った時、どこまでも続く赤い砂漠の果てに、三千年前の落書きがあることを知った。どうしてこの曲はあの時のジープの荷台を思い出させるのだろう。歴史なんて一瞬で、それよりも大切なのは今生きているこの鼓動なのだと曲が伝えているようである。

Musée imaginaire (9 Cellos Ver.)
バージョンが変われば曲がイメージさせる疾走感も異なる。世界で一番好きな列車、ハンブルグ発ブダペスト行のハムレット号だ。エルベ川沿いの小鹿飛び出す列車の旅を、この曲を聴いたすべての人に体験してもらえたらと思う。

TETSUYA (ex. ドリアン助川)

(空想美術館紀行 ~CDライナーノートより)

 

 

2003年春のチェリストとのツアーと、同年夏の新日本フィルとのツアー、この2つのツアーからベスト・テイクを選りすぐったライヴ・ベスト盤。ピアノ・ソロアルバム『ETUDE』の名曲たちをシンフォニック・アレンジで聴くことができる。

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

1.Musée imaginaire (Orchestra Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)
2.Summer (映画「菊次郎の夏」/トヨタ カローラ CM より)
3.MIBU (映画「壬生義士伝」より)
4.Moonlight Serenade
5.Silence (ダンロップ VEURO CMより)
6.月に憑かれた男
7.夢の星空
8.Bolero
9.a Wish to the Moon (キリン一番搾り生ビール CMより)
10.KIKI (映画「魔女の宅急便」より)
11.谷への道 (映画「風の谷のナウシカ」より)
12.Musée imaginaire (9 Cellos Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)

Recorded at Tokyo Metropolitan Art Space , Tokyo Opera City Concert Hall , Niigata-City Performing Arts Center

Conducted by Kim Hongje (except M10-12) , Joe Hisaishi (M10-12)

Orchestra:New Japan Philharmonic

 

Disc. 久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』

久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』

2003年6月25日 DVD発売 UPBH-1094

 

2003年3月から行われた久石譲のコンサート・ツアーの中から4月16日に東京オペラシティーにて行われたコンサートの模様を収録。オリジナルアルバム「ENCORE」「ETUDE~a Wish to the Moon」からの曲を中心に披露したベストライブ。

 

 

長い音楽活動とコンサート活動のなかで、意外にもコンサートDVDとしては初作品化である。公演プログラムの曲間に、リハーサル風景やピアノ練習風景などが、ドキュメンタリータッチで記録されている。

 

 

 

a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR

– Encore & Others –
KIKI
谷への道
View of Silence
風のとおり道
Asian Dream Song
Friends
Summer
One Summer’s Day
HANA-BI

– Etude –
Moonlight Serenade 〜 Silence
月に憑かれた男
impossible Dream
夢の星空
Bolero
a Wish to the Moon

Musée Imaginaire
la pioggia
Tango X.T.C.

ToToRo
Madness
君だけを見ていた

本編111分

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall on April 16,2003

Composed (except “Moonlight Serenade”),
Arranged and Produced,
Conducted and Piano
by
Joe Hisaishi

Violoncello
1st
Hiroshi Kondo ~Concert Master,Solist
Takashi Kondo
Susumu Miyake
2nd
Makoto Osawa
Haruki Matsuba
3rd
Yoshihiko Maeda
Masanori Taniguchi
4th
Hiromi Uekusa
Seiko Ishida

 

Disc. 久石譲 『風の盆 NHKドラマ「風の盆から」サウンドトラック』

久石譲 『風の盆』

2002年11月23日 CD発売 WRCT-1006

 

NHKドラマ「風の盆から」サウンドトラック

 

 

樂界の魔王

地上では聴くことの叶わない旋律。たまに夢の中で流れることはあっても、目覚めれば記憶の外へ消えてしまっている謎の旋律。そんな天界の音楽を地上にもたらしてくれる天才を私はひとり知っている。その名は久石譲。

彼と私の関わりは1987年の銀座セゾン劇場公演「楽劇・あづち」にまでさかのぼる。信長時代に渡来したイエズス会宣教師(役所広司)の霊操の世界を彷徨うこの劇は、詩と音楽の完璧な調和を必要とした。公演結果は、久石氏が天界から導いてきた、かつて聴いたこともないさまざまな調べによって奇跡のごとき成功をみた。以後、私は彼を「樂界の魔王」として畏れるに至る。仕事も、また組みたいとは願いながら滅多なことでは頼めないと思うようになった。その間にも、彼はますます高みへと昇華していき、私はといえば相も変わらず地上を這いずりまわるだけの凡夫になり果てて、とても再度の邂逅などは有り得ぬものと諦めかけていたところ、今回、ふとした思いつきから、越中おわらの「風の盆」の祭りを背景にしながら、主人公(松本幸四郎)はクラシックの指揮者という、和洋折衷のドラマを書いてしまって、さて、「これは音楽が大変」と、ディレクター。私は思わず、「久石譲なら大丈夫」。ディレクターが「引き受けてもらえますかねェ」と弱気になるのを、「当たって砕けろ」とけしかける。数日後、NHK側から「オーケーでした」の連絡を受けたときは正直なところホッとした。このドラマの成否は音楽で決まると分かっていたからだ。これでまた、ドラマが消えたのちも音楽が残ってくれる。久石氏には感謝の言葉しかない。

脚本家 市川森一

(CDライナーノーツより)

 

 

参加ミュージシャン
二胡:ジャー・パンファン チェロ:諸岡由美子

 

 

久石譲 『風の盆』

1. 風の盆
2. 彷徨(ほうこう)
3. 邂逅(かいこう)
4. 風の盆・弐
5. 彷徨・弐
6. 追憶
7. 風の盆・参

All songs are written, arranged, produced by JOE HISAISHI

additional musicians
Erhu : JIA PENG FANG appears by the courtesy of PACIFIC MOON
Violoncello : YUMIKO MOROOKA

Recording & Mixing Engineer : SUMINOBU HAMADA (Wonder Station Inc.)
Assistant engineer : HIROYUKI AKITA (Wonder Station Inc.)
Mastering engineer : SHIGEKI FUJINO (Universal Music)
Recording & Mixing at WONDER STATION
Mastering at UNIVERSAL MUSIC

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection』

久石譲 JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection

2001年12月12日 CD発売 PICL-1235
2006年3月22日 CD発売 GNCL-1054

 

このベスト盤は、『地上の楽園』『MELODY Blvd.』といったソロ・アルバムのナンバーから、映画『青春デンデケデケデケ』『魔女の宅急便』『紅の豚』『ふたり』やNHK朝の連続テレビ小説『ぴあの』のメイン・テーマまでを幅広く収録した決定版。ピアノを主体にした流麗で美しい音世界に心ゆくまで浸ることができる。

 

 

オリジナル収録アルバム

『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 1』 (1,5,15)
『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 2』 (16)
『MELODY Blvd.』 (2,3,6,8,11)
『地上の楽園』 (4,7,9,10,12,13,14)

 

 

久石譲 JOE HISAISHI COMPLETE Best Selection

1. Forenoon ~夜明け
2. Here We Are ~青春のモニュメント (映画「青春デンデケデケデケ」)
3. I Believe In You ~あなたになら (映画「水の旅人」)
4. さくらが咲いたよ
5. Path to the Lights ~希望への道
6. Hush ~木洩れ陽の路地 (映画「魔女の宅急便」)
7. HOPE
8. Two Of Us ~草の想い (映画「ふたり」)
9. Lost Paradise
10. Lonely Dreamer ~鳥のように (映画「この愛の物語」)
11. Rosso Adriatico ~真紅の翼 (映画「紅の豚」)
12. Piano (Re-Mix) ~ぴあの 「NHK朝の連続テレビ小説「ぴあの」)
13. 季節風 (Mistral)
14. The Dawn
15. Closed Fist ~閉じられた手
16. Broken Whistle ~拾いもの

All composed and arranged by Joe Hisaishi

 

Disc. 久石譲 『ADZIDA』 *Unreleased

2000年12月2日 TV放送

 

TBS・BS-i
ドキュメンタリー番組「大アフリカ」(各話2時間)
語り:緒形拳
音楽:久石譲「ADZIDA」

12月2日 第1回「大地」出演:養老孟司
12月3日 第2回「生命(いのち)」出演:養老孟司
12月4日 第3回「ヒト」出演:小林薫
12月5日 第4回「王国」出演:久石譲
12月6日 第5回「力(パワー)」出演:山田詠美

 

 

大アフリカ 4 王国

本格ドキュメンタリー。久石譲が西アフリカへ。目指すのは、久石音楽の原点アフリカ音楽。近代以前に繁栄した文化の足跡をたどる調査行です。

番組のみどころ

久石音楽の原点を目指して、西アフリカへ。そこにはかつて、黄金とサハラ砂漠の塩の交易で栄えた王国がありました。土で作られた巨大なモスクが建つ賑やかな都市、過酷なラクダのキャラバン。アフリカの広大な地に繁栄した知られざる王国文化の足跡を辿ります。アフリカの突出した文化と現代音楽の源流となるリズムを訪ねる旅です。

撮影地 : ニジェール マリ ガーナ ほか

(BS-TBS公式サイトより)

 

2001年3月、2010年10月に再放送されている。

 

大型ドキュメンタリー「大アフリカ」シリーズの第4弾。

かつてアフリカの地には、いくつかの王国があった。その繁栄を支えていたのが「塩と金」。16世紀に大航海時代を迎えると、ヨーロッパ人がアフリカに進出し、アフリカの地に銃を持ち込み、奴隷貿易へと繋がり、王国は消えた。アフリカの民は、世界中に散らばり、彼らの音楽もまた、ともに広がった。

西アフリカ・ガーナの音楽のカギを握るのが「12/8・3/16」。ガーナの人びとは、この2つのリズムを組み合わせて演奏するという。そして、作曲家・久石譲は、そこにジャズの源があるのではないかと考え、西アフリカ・ガーナを訪れる。

(2010年再放送時 番組紹介内容より)

 

 

西アフリカに向かう久石さんが目指すものは、長年求めてきた”アフリカ音楽”の源流。学生時代に出会った1枚の楽譜「ADZIDA DANCE(アジダ・ダンス)」を見てみたい、という思いから、この番組出演の話が現実のものとなりました。久石さんがアフリカで訪れるマリ王国やガーナでは、”黄金”と”サハラの塩”を巡る塩金交易によって華やかな黒人王国が形成されていました。それらの人々の生活に密着してきた音楽の存在を、実際に訪れ触れることで、久石さんにとっての『音楽の源』に迫ります。ふだん見ることができない久石さんの素顔が覗けそうです。

出来上がったテーマ曲がまたすばらしい…!「ADZIDA DANCE」をベースに作曲されたこのテーマ曲、とても聴きやすく、つい口ずさんでしまいそうなメロディ。雄大なアフリカの大地を想像させます。

(久石譲ファンクラブ会報 NEWS WONDER2 No.37 より抜粋)

 

 

メインテーマは様々なパーカッションで始まり、民族音楽をベースとしたメロディが民族音楽的女性の声で歌われる。ミニマルではなく盛り上がりふくめてしっかりとしたメロディと展開をもった躍動感のある楽曲。シンセサイザー音源によって活き活きと鼓動する。番組オープニングとエンディングでフルサイズ流れ、本編中には少しアレンジを変えた(おそらくリズムだけを外すなど)いくつかのバリエーションも流れる。

本編音楽も、ミニマルと民族音楽をうまくミックスさせたような音楽が多い。リズム系はっきりとしたものから、幻想的な緩やかなものまで。すべてシンセサイザーによるもので、マリンバ系、オルガン系、シンセストリングス系、シンセヴォイス系、ラテンパーカッション系など、久石譲の得意とする音作りによるもの。1~2分尺の楽曲が多い。『人体』シリーズや『RAKUEN』のような世界観や音作りをイメージする。

ただし、JASRACデータベースではBGMとして他作曲家も登録されており(吉野裕司、三宅一徳)、番組のための音楽すべてが久石譲によるものではないかもしれない。「ADZIDA」と名付けらたメインテーマは間違いなく久石譲によるものであり、本編音楽の多くは久石譲を思わせる楽曲を聴くことができる。

 

 

 

Disc. 久石譲 『小さな駅で降りる』 *Unreleased

2000年4月12日 TV放送

 

テレビ東京開局記念番組 山田太一ドラマスペシャル「小さな駅で降りる」
音楽:久石譲 上田聡 出演:中村雅俊 樋口可南子 堤真一 他

 

 

単発放送ドラマで、その後TV再放送された機会はあったが、DVD化およびサウンドトラック盤などは発売されていない。また久石譲作品においても、どのアルバムにもオリジナル版およびリアレンジ版含め収録されていない幻の作品となっている。

 

以下は、音楽制作当時の久石譲オフィシャルサイト日記より、参照することができる貴重な情報である。

 

 

  • メインテーマはアコースティックピアノのシンプルなメロディが基本になり、オーボエやリズムが入ることによりバリエーションが創られる。
  • 「小さな駅で降りる」制作2日目。今日はサスペンス風のテーマとそのバリエーションが創られる。
  • 「小さな駅で降りる」トラックダウン。テレビ東京のスタッフも駆けつけ、26曲に及ぶトラックダウンが行われる。基本的にはテーマとバリエーションなので、テーマのバランスがとれれば後はスムーズにいくはずだったのだが…。気が付けば夜中の2時になっていた。

(2000.3月)

 

 

山田太一 小さな駅で降りる

 

Disc. 久石譲 『JOE HISAISHI Best Selection』

久石譲 JOE HISAISHI Best Selection

1999年12月22日 CD発売 PICL-1194
2006年3月22日 CD発売 GNCL-1053

 

久石譲がパイオニア在籍時に発表したアルバム4枚からのベスト・セレクション

 

 

オリジナル収録アルバム

『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 1』 ()
『ぴあの オリジナル・サウンドトラック Volume 2』 (1)
『MELODY Blvd.』 (2,3,5,6,7,10,12)
『地上の楽園』 (4,8,9,11,13,14)

 

 

久石譲 JOE HISAISHI Best Selection

1. Piano
2. 「魔女の宅急便」~Hush~木洩れ陽の路地
3. 「紅の豚」~Rosso Adriatico~真紅の翼
4. MIRAGE~1994 Paradise
5. 「はるか、ノスタルジィ」~I Stand Alone~追憶のX.T.C.
6. 「水の旅人」~I Believe In You~あなたになら
7. Girl (時をかける少女・メインテーマ)
8. GRANADA
9. ぴあの (English Version)
10. 「ふたり」~Two Of Us~草の想い
11. 「女ざかり」~THE WALTZ~For World’s End (メインテーマ)
12. 「青春デンデケデケデケ」~Here We Are~青春のモニュメント
13. Labyrinth of Eden
14. 「ぴあの」~ぴあの (純名里沙&JOE’S PROJECT)

 

Disc. 久石譲 『WORKS II Orchestra Nights』

久石譲 『WORKS2』

1999年9月22日 CD発売 POCH-1830

 

コンサートツアー「Piano Stories ’98 Orchestra Night」での名演を収録した7年振りの貴重なオーケストラ・ライブ録音

24bitデジタル・レコーディングによるナチュラルなサウンドで臨場感を余さず収録

 

 

寄稿

いい音楽には永遠の生命力がある。

時代とか流行、様式とか国籍…そうしたものすべてを超えて存在する音楽。「WORKS」と名づけられたシリーズは久石譲という稀有な才能を持った音楽家の”仕事”を数々の映画音楽の曲を中心にオーケストラとの共演という形で再構築していくものだが、新たに録音された曲を聞くと、改めてその音楽性の高さとオリジンルな魅力を実感することができる。一度聞いただけで記憶の奥底に刻みつけられてしまう美しいメロディと卓抜したアレンジ、それにピアニストとしての力量。今回の「WORKS II」は7年ぶりのオーケストラ・コンサートのライブ録音という形になっているが、ひとつひとつの音符の鳴り方、そこから紡ぎ出されたハーモニーの美しさは、驚くほどに完成度が高い。

だから、僕は出来ることなら可能な限りの音量でこのアルバムを聞いて欲しいと思う。収録された13曲は、インストゥルメンタルでありながら大量生産、大量遺棄されるヒット曲とは一線を画す本物の”唄”というのはどんなものかを教えてくれるし、ロマンティシズムとダイナミズムが完璧な形で同居し、輝ける結晶体になっていることがわかる。

そして、次にはそこに自分自身の記憶や思いを重ね合わせていくといい。映像は形になって残っているが、いい音楽というのはそこから離れて空間の中で旋回し始めるのである。「WORKS」はいい仕事の理屈抜きの証拠品である。

立川直樹

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

 

久石譲 『WORKS2』

交響組曲「もののけ姫」より
1. アシタカせっ記
2. もののけ姫
3. TA・TA・RI・GAMI
4. アシタカとサン
5. Nostalgia (サントリー山崎CF曲)
6. Cinema Nostalgia (日本テレビ系列「金曜ロードショー」オープニングテーマ)
7. la pioggia (映画「時雨の記」メインテーマ)
8. HANA-BI (映画「HANA-BI」メインテーマ)
9. Sonatine (映画「Sonatine」より)
10. Tango X.T.C (映画「はるか、ノスタルジィ」より)
11. Madness (映画「紅の豚」より)
12. Friends
13. Asian Dream Song (長野パラリンピック冬季競技大会テーマ曲)

ピアノ:久石譲
指揮:曽我大介
管弦楽:東京シティ・フィルハーモニー管弦楽団 (東京)
管弦楽:関西フィルハーモニー管弦楽団 (大阪)
録音:1998年10月19日 東京芸術劇場
録音:1998年10月27日 ザ・シンフォニーホール

 

WORKS II Orchestra Nights

1.The Legend of Ashitaka (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
2.Princess Mononoke (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
3.TA-TA-RI-GAMI (The Demon God) (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
4.Ashitaka and San (Symphonic Suite “Princess Mononoke”)
5.Nostalgia
6.Cinema Nostalgia
7.la pioggia
8.HANA-BI
9.Sonatine
10.Tango X.T.C.
11.Madness
12.Friends
13.Asian Dream Song

 

Disc. 久石譲 『NHKスペシャル 驚異の小宇宙・人体III~遺伝子・DNA サウンドトラック Vol.2 Gene-遺伝子-』

1999年8月4日 CD発売 PCCR-00308

 

1999年放送 NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体III 遺伝子DNA」
音楽:久石譲

 

 

コメント

3シリーズ目になる驚異の小宇宙・人体「遺伝子」はミクロの世界に入りこんでいった。遺伝子はこれからの我々の日常にはとても大事なものになると思うが、遺伝子というのは実態が非常につかみづらい。それがこの作品を作曲するときにたいへん苦しんだところだ。

ある時、遺伝子に関するいろいろな本を読んでいて「Selfsih Gene(利己的な遺伝子)」という言葉を見つけた。それから遺伝子に関してとても強い興味を持つようになった。

この本では、”人間は遺伝子の乗り物でしかない。”という大胆な発想をもとに書かれたものだったが僕にはそれが非常に新鮮に映った。

例えば神が人間を創造するとき、実はあらかじめなにかがプログラムされていたとすると、それが遺伝子だったのえはないかと。そのあたりからイメージを広げて曲を書いた。この考えでは太古からそして未来へ永遠と続くであろう、そのすべてをじっと見つめているのが遺伝子であると。

そんな観点から遺伝子を見たときにたいへんロマンを感じ、それを表現したいと強く思った。

久石譲

(CDライナーノーツ より)

 

 

 

NHKスペシャル 驚異の小宇宙 人体III ~遺伝子・DNA サウンドトラック Vol.2 Gene 2

1. History (Remix)
2. Gene
3. Eternal Mind
4. Desire
5. Gene (Wood Winds)
6. Choral For Gene (Another Version)
7. Pandora’s Box
8. Ophelia
9. Gene (Piano)
10. Telomere
11. 遥かなる時を超えて (Another Version)
12. Gene (Violin+Cello)
13. A Gift From Parents (Remix)

Producer:Joe Hisaishi
Compose & Arrangement:Joe Hisaishi

Recording Studio:Wonder Station, AVACO CREATIVE STUDIO

 

Gene – Idenshi, Vol.2

1.History (Remix)
2.Gene
3.Eternal Mind
4.Desire
5.Gene (Wood Winds)
6.Choral For Gene (Another Version)
7.Pandora’s Box
8.Ophelia
9.Gene (Piano Ver.)
10.Telomere
11.Harukanaru Toki wo Koete (Another Version)
12. Gene (Violin + Cello Ver.)
13. A Gift From Parents (Remix)