Posted on 2014/06/02
もうすぐ梅雨の季節に入ります。
毎年この時期になると頭のなかで流れてくるメロディーがあります。
「la pioggia」という曲です。
これは1998年公開映画「時雨の記」(監督:澤井信一郎)の久石譲によるメインテーマ曲です。
とにかくきれいな曲です。メインテーマの旋律はピアノ、ストリングスなどが豊かに美しく奏でています。「la pioggia」とはイタリア語で「雨」という意味だそうです。そう、まさに「雨」にちなんだ曲なんです。
すべてはイントロが物語っています。ピアノの2小節たらずの短いイントロですが、まさにその音粒が雨粒のように、しっとりと、一粒一粒、一音一音、美しく響いています。
この導入部だけで、この曲はすでに名曲だな、と思ってしまうほどです。そこからつづくメインテーマ、日本情緒ある哀愁的で叙情的な旋律は、奥深い感情の揺れ幅を感じます。
まさに「雨にちなんだ名曲」=『la pioggia』であり、この曲を聴くと梅雨の時期も悪くない、といいますか、日本ならではの風情すら感じてしまうので不思議です。そこに紫陽花(あじさい)の淡い紫やピンクの花たちが、大きく花広げ、雨水によって水々しくも輝いている風景が想像されます。
そんな景色も、日本のどこに住んでいても、ふと足を止めれば、見つけられそうな世界です。いつも通っている道の脇にも、アジサイを見つけることはできるかもしれません。
名曲「la piggia」は、下記の作品にそれぞれ収録されています。
ほかにも、
「NOSTALGIA ~Piano Stories III~」では、ピアノとストリングのかけあいがより鮮明に豊かに、「WORKS II ~Orchestra Night~」では、より重厚なフルオーケストラによるライブ音源を、「ENCORE」では、ピアノソロにて緩急あるリズムの揺れと強弱ある鍵盤のタッチが豊かに、聴くことができます。
また久石譲プロデュース作品である「ARCANT / 近藤浩志」では近藤浩志のチェロと久石譲のピアノによるシンプルながらも奥ゆかしい名演をゆったりとした揺れで聴くことができます。
それぞれのアレンジと楽器による「la pioggia」の美しさが堪能できます。
個人的には「NOATALGIA ~Piano Stories III~」が一番よく聴きます。楽曲としてサントラ盤よりも構成がうまくまとめられている音楽完全盤なのと、ピアノと小編成のオーケストラという、その響きとひかえめさが品格を感じます。
ちなみに上に紹介した近藤浩志さんとのピアノ&チェロによるデュオ演奏は、CDのみならず、2003年のツアーでも演奏され、そのDVDも発売されています。
a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE&ENCORE TOUR-
いろいろな梅雨の楽しみ方で、ジメジメ感にイライラすることなく、癒やされたいですね。