Posted on 2014/09/20
「クラシックプレミアム」第19巻は、チャイコフスキー3です。
第7巻ではチャイコフスキー1として3大バレエ音楽、第11巻ではチャイコフスキー2としてピアノ協奏曲第2番 他、今号第19巻ではチャイコフスキー3として、交響曲 第6番 《悲愴》 幻想序曲 《ロメオとジュリエット》が収録されています。
チャイコフスキーの「後期3大交響曲」(第4番・第5番・第6番)のなかでも第6番《悲愴》はチャイコフスキーの最高傑作とされています。そしてチャイコフスキー生涯最後の交響曲です。
《悲愴》という副題は、ロシア語では”パテティーチェスカヤ”。これは曲が完成・初演されたのちに、チャイコフスキー自身と弟のモデストのふたりが話し合って決めたそうです。
”パテティーチェスカヤ”は、従来から多くのロシア音楽学者やロシア語の専門家が繰り返し指摘しているように、ロシア語では「情熱」「魂を揺さぶる」などを意味する言葉で、「悲しい」の意味は含まれない。その点で英語の「パセティック」や日本語の「悲愴」とはややニュアンスが異なる。
こうしたクラシック音楽の副題における言葉の表現や解釈の問題は、他の作曲家やポピュラーなクラシック音楽にもたくさんあります。
今号に収録されている《悲愴》はカラヤン指揮によるものです。カラヤンは同じ作品であっても何度も録音することでも有名ですが、そんななかでも録音回数が群を抜いているのがこの《悲愴》。チャイコフスキーの《悲愴》交響曲は、その生涯に7回も録音されていて、何か特別なこだわりを感じます。今号に収録されているのは最後の録音でウィーン・フィルとのもの。解説ではこう述べられています。
「こうして録音された《悲愴》の世界は、従来の名演の世界を超えたものであり、カラヤンが自身の信仰の告白をしているかのようですらある。息遣いがまったく異なり、カラヤンがまさに《悲愴》の世界に同化し、一言一句を自身の言葉として歌い上げている。しかもそれは、驚くべき空気感の中で行われており、その完成度の高さは、もはや名演と呼ぶのも似つかわしくない、凄みを感じさせる演奏なのである。」
「それは冒頭の低弦の響き、そこに姿を現すファゴットの旋律の重い表情といったものから容易に感じられる。それは魂の告白とでも言えるものであり、ここにいたってカラヤンは一指揮者から脱皮し、音楽の心と結ばれた本当の表現者になったとも考えられる。」
【収録曲】
交響曲 第6番 ロ短調 作品74 《悲愴》
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1984年
幻想序曲 《ロメオとジュリエット》
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音/1982年
「久石譲の音楽的日乗」第19回は、
ルポルタージュ 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2014を聴く」
今回は久石譲によるエッセイの筆休め。
なんと編集部による「W.D.O2014」コンサートのリハーサルから本番までの取材内容となっています。
3年ぶりに久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団とによる「ワールド・ドリーム・オーケストラ」が復活。8月9日・10日に東京でコンサートが行われ、リハーサルから本番まで編集部が取材した。
という書き出しになっています。
【8月6日 13時30分 会場入り】
リハーサルの初日。
~省略~
13時55分、久石さんが大きな楽譜を抱えて登場。
【14時 リハーサル開始】
本番のプログラム順に練習するのかと思っていると、最初は《水の旅人》。久石さんが、団員たちに丁寧な言葉ながら、てきぱきと指示を与えていく。
~省略~
【19時20分 楽屋へ】
楽屋を訪ねてみる。
「こんなプログラムするって、チャレンジャーでしょ。エンターテインメントとみえるけど、かなり過激なことを試みているよね」
と久石さん。7日も同じ時間にリハーサルがあり、9日にゲネプロ(通し稽古)ののち、その日と翌10日の17時に本番だ。
【8月10日 本番を聴く】
最初の《かぐや姫の物語》では、6人の打楽器奏者が作り出す響きが衝撃的だった。リハーサルで久石さんが「ここはかぐや姫の狂乱の場。ここでかぐや姫が都を飛び出す」と言っていたところだ。
~省略~
こんな感じでぎっしり1ページ分レポートされています。”~省略~”が多いですが、どこを抜粋するか、どこまで書くかで模索中。せっかくの貴重な舞台裏とコンサートレポートということなので、ここから離れて単独でアップしたいと思います。書き起こしに時間がかかるかもしれませんが、これもまた久石譲の大切な記録と足跡になりますので。
⇒ Blog. 「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ 2014」 クラシックプレミアム編集部 ルポルタージュ