Posted on 2015/11/14
クラシック音楽誌「MOSTLY CLASSIC モーストリー・クラシック 2015年12月号 vol.223 」(10月20日発売)に久石譲のインタビューが掲載されています。今年2015年に発表した待望の最新ソロアルバム「ミニマリズム2」のことから、8月、9月、10月、そして12月へとコンサート活動もふまえて語られています。
多忙な活動の中、CD「ミニマリズム 2」をリリース
「自分の原点のミニマルをベースに、小さい編成でコンセプトが明快なら楽しいと思って作りました」
8月には自らが立ち上げた「ワールド・ドリーム・オーケストラ(W.D.O.)2015」の全国6回のツアー、9月には現代作品だけで構成される演奏会「Music Future」両プロジェクトを指揮。10月に初演する新作コントラバス協奏曲の作曲、「題名のない音楽会」の新テーマ曲やCM楽曲などの作曲と、多忙を極める中で、8月にソロアルバム「ミニマリズム 2」を発表した。
久石:
「前作の『ミニマリズム』は、それまで作ってきたミニマル的な作品や『ジ・エンド・オブ・ザ・ワールド』や『シンフォニア』などをロンドン交響楽団とレコーディングしたものです。ただ、全体的にポップスの枠内でやろうとしている部分がちょっとありましたが、今回は自分が”作品”として作ったものを集めました」
今回は、室内楽中心の編成で、2009年に宮崎駿監督に贈り、特別な機会にしか演奏されずに”幻のピアノ曲”と呼ばれた「WAVE」、戦後70周年に書かれた「祈りのうた」、マリンバ2台の「Shaking Anxiety and Dreamy Globe」、4本のサクソフォンと打楽器の「Single Track Music 1」、「弦楽四重奏曲第1番」などが収録されている。
久石:
「今回はできるだけ小さい室内楽、マリンバ2人とか、サクソフォン4人とか。コンセプトが明快だったら、楽しく聴きやすいと思って作った曲が多いです。ただ、2台マリンバの曲は、2本のギターのために書いた作品を、マリンバ用に書き直したもので、変拍子が多くとても難しい。『シングル・トラック』は、線路の単線という意味で、それぞれが単旋律のユニゾンを演奏しますが、音域やズレが様々な音風景を生んでいます」
アルバムは、ミニマル・ミュージック(最小限に抑えられた音階とパターン化された音型を反復させる音楽)のソリッドなサウンドに貫かれている。
久石:
「僕の作曲の原点がミニマル・ミュージックで、若い頃はそれをベースに作曲していましたが、長い間、エンターテインメントの方で活動して封印状態だったんです。それが、2004年にW.D.O.を始めて、もう一度クラシック音楽をやり出したとき、ベースのミニマル・ミュージックに戻ろうと」
久石:
「世間で『ミニマルは古いよ』と言われていたのが、実情は違っていて、オペラをMETで上演したニコ・ミューリーやロックバンドとクラシックの両方で活躍するブライス・デスナー(いずれの作品も『Music Future』で紹介されている)といった作曲家や、テクノ系やクラブ・ミュージックまでに影響を及ぼし、『ポスト・クラシカル』と呼ばれているけれど、元々僕がずっとやってきたようなものだから、今の活動をやる意義が自分でも明快になりましたね」
10月には読売日響で自作のコントラバス協奏曲とオルフ「カルミナ・ブラーナ」を指揮、その模様は、日本テレビで収録され、「読響シンフォニックライブ」(日テレ、BS日テレ)の枠で放送される。(放送日:「カルミナ・ブラーナは12月予定、「コントラバス協奏曲」は16年1月予定)
(雑誌「モーストリー・クラシック 2015年12月号」より)