Blog. 「久石譲 presents ミュージック・フューチャー Vol.6」 コンサート・パンフレットより

Posted on 2019/11/01

10月25日開催「久石譲 presents ミュージック・フューチャー Vol.6」コンサート。2014年に始動したコンサート・シリーズ(年1回)、今年で6回目を迎えます。

今年のテーマはピアノ!滑川真希&デニス・ラッセル・デイヴィス(ピアノデュオ)も参加!“現代の音楽”としてのピアノ曲をフィーチャーし、フィリップ・グラスの新作や久石譲の書き下ろし曲を披露!

コンサート・プログラム(セットリスト)および当日会場にて配布されたコンサート・パンフレットよりご紹介していきます。

 

 

久石譲プレゼンツ ミュージック・フューチャーVol.6

[公演期間]  
2019/10/25

[公演回数]
1公演
東京・紀尾井ホール

[編成]
指揮:久石譲
ピアノ:滑川真希 & デニス・ラッセル・デイヴィス
管弦楽:Future Band
コンサートマスター:西江辰郎

[曲目] 
第3回『Young Composer’s Competition』優秀作品受賞作
審査員講評
足本憲治、デニス・ラッセル・デイヴィス、茂木健一郎、久石譲

摩耶・トーマス:シナプス
———-
ジョン・アダムズ:Son of Chamber Symphony

フィリップ・グラス/久石譲:Les Enfants Terribles -恐るべき子供たち *世界初演
1.Overture
2.The Bedroom
3.Elizabeth chooses a career
4.Finale-Death of the Twins

—-intermission—-

フィリップ・グラス:Piano Sonata *日本初演

久石譲:Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *世界初演

 

 

Profile

久石譲
https://hibikihajime.com/biography/

滑川真希 & デニス・ラッセル・デイヴィス
滑川真希とデニス・ラッセル・デイヴィスは、オーストラリアのリンツで開催されたアルス・エレクトロニカ・フェスティバルでの高い評価を受け、ピアノデュオとして活動を決意。以来、ヨーロッパと北米を中心に、ルール・ピアノ・フェスティバル、ラインガウ音楽祭、リンカーンセンター・フェスティバルなどに参加、2018年には芸術の多目的祭典であるアブダビフェスティバルでもすぐれたパフォーマンスで成功した。

デュオのために書かれた主な作品にはフィリップ・グラスの「Four Movements for Two Pianos」やチェン・イーの「China West Suite」などがある。

2005年、ドイツの「科学と芸術の国際メディア賞」において、スティーヴ・ライヒの「Piano Phase」やフィリップ・グラスの2作品「Les Enfants Terribles」「Visuals」を収録したデュオのDVDがノミネートされた。

アレクサンダー・ツェムリンスキーによる4手のためのアレンジが施されたモーツァルトの「Magic Flute」は各国でリリースされ、大きな成功を収めている。

FutureBand
Conductor:久石譲
Concertmaster:西江辰郎
Violin:ビルマン聡平
Viola:中村洋乃理
Violoncello:矢口里菜子
Contrabass:高橋洋太
Flute:荒川洋
Oboe:浅原由香
Clarinet:マルコス・ペレス・ミランダ
Bass Clarinet:芹澤美帆
Bassoon:向後崇雄
Horn:豊田実加
Trumpet:辻本憲一
Trombone:青木昴
Percussion:大場章裕
Percussion:柴原誠
Piano/Synthesizer:鈴木慎崇

 

 

PROGRAM NOTES

ジョン・アダムズ:Son of Chamber Symphony 約23分
John Adams:Son of Chamber Symphony

『Son of Chamber Symphony』は1992年に作曲した『Chamber Symphony』と深い関わりを持っている。タイトルは『Chamber Symphony No.2』と名付ける代わりに「Son of」にした。この曲の特徴は交響的作品としてだけにとどまらず、マーク・モリスにより振付され、『Joyride』というダンス作品としても評価されたことだ。

この2つの『Chamber Symphony』は楽器編成がほとんど同じで、15人ほどの奏者、いわば大きめの室内楽アンサンブル(または極端に小さいオーケストラ)と言える。全員が交代でソリストになれるのだが、同時にトロンボーン、トランペットなどの金管楽器に対し弦楽器が一人ずつという具合にバランスが問われる組み合わせでもある。でも私はそんな悪条件下でも、奏者たちのソリスト的演奏が好きで、大編成のオーケストラ用に書く考えはなかった。最初は『Chamber Symphony』とは全く異なるだろうと思って書き始めたが、結果よく似た感じになってしまった。『Chamber Symphony』がアニメ音楽から一部インスピレーションを受けたように、例えば新しい『Chamber Symphony』の最終楽章は、ニクソンが飛行機から降りてきて中国共産党員と握手する場面からインスピレーションを受け作曲した。

ジョン・アダムズ(ロンドン・シンフォニエッタのインタビューより)

 

フィリップ・グラス/久石譲:Les Enfants Terribles -恐るべき子供たち *世界初演 約25分
Philip Glass/Joe Hisaishi:Les Enfants Terribles *World Premiere

原題の「Les Enfants Terribles」はジャン・コクトーの1929年に出版された小説と1950年のジャン=ピエール・メルビル監督の映画を元に振付師スーザン・マーシャルとコラボして1996年に作曲された。4人の歌手と3台のピアノのためのダンス付きの室内オペラになっている。4人の子供たちの儚くも美しい無軌道な共同生活が破局を迎えるまでの悲劇的ないきさつを描いたオペラで、世界初演は1996年5月18日にツーク(スイス)で行われた。

その後グラス氏の盟友である滑川真希、デニス・ラッセル・デイヴィス夫妻によってピアノの連弾による6曲の組曲になった。

今回MUSIC FUTURE Vol.6としてご夫妻を迎えるにあたって、久石譲が新たに2台のピアノと室内オーケストラ作品としてアレンジした。曲数も4曲に絞られた。久石は「デニスさんは指揮者、ピアニストとしてグラスさんの最高の理解者、交響曲全集もCD化している。だから彼と真希さんの演奏を尊重し、かつ想定してアレンジした」と語っている。

 

フィリップ・グラス:Piano Sonata *日本初演 約35分
Philip Glass:Piano Sonata *Japan Premiere

今年4月、滞在中のウィーン楽友協会近くのホテルで1通のメールが目に留まりました。ずっと待ち続けていたフィリップ・グラス氏の新作ピアノソナタの楽譜が届いたのです。ウィーン楽友協会でのゲネプロ後、新作ピアノソナタの譜読みを始めました。それはグラス氏の作品の中で未だ見た事が無いような斬新で新鮮な大作でピアニスティックなものでした。譜読みの後、気の引き締まる思いを改めて感じたのを今でも鮮明に思い出します。

約30分にわたるこのピアノソナタは、ドイツのルール・ピアノ・フェスティバルにて今年7月4日に世界初演した新作で日本初演となります。「あらゆるフレーズは自分の目の前でまさに真希が演奏しているようにはっきり浮かんでくるんだ!」と3月頃にグラス氏から電話をもらいました。

初のピアノソナタについてグラス氏はこう語っています。「私が最近特に興味を持って創作に取り組んでいる全く新しい作品の在り方、これがピアノという楽器に於いて一番洗練された表現ができるのだという事、まるで縺れた糸がときほぐされていく様に姿を現す事が可能だということに気が付いたのです」。

亡き岡本太郎氏は「芸術は爆発だ」と語っていました。グラス氏のピアノソナタはアイデアの爆発です。それと同時にアルバン・ベルクのピアノソナタに見られる様に3つの異なるキャラクターを持つ楽章がなんとも美しく大きく優雅な一つの弓で纏められています。揺るぎの無いストラクチャー、その上に漂う和製の絹のような繊細なハーモニーの数々…こんなグラス氏の持つ魔術、彼の作品の比類の無い美しさに常に感銘を受け生きる勇気を貰っています。

82歳のグラス氏の人生哲学を垣間見る様なこの作品を、このミュージック・フューチャーでお届けできる事に感謝いたします。

滑川真希

 

久石譲:Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *世界初演 約17分
Joe Hisaishi:Variation 57 for Two Pianos and Chamber Orchestra *World Premiere

MUSIC FUTURE Vol.6のために書き下ろした新作は、2台のピアノと室内オーケストラで演奏される。3楽章形式だが、第2曲は2分弱の短い曲で第1曲と第3曲のブリッジのような役割を果たしている。作曲のスタイルは久石が提唱しているSingle Track Musicという手法でできている。ここでは和音がなく、ただ単旋律が変容しながら続いていく。だが、ある音が高音に配置され、またある音が低音に配置されると3声のフーガの様に聞こえ、また発音時は同じ音でもそれがエコーのように弾き伸ばされると和音的効果も生まれる。

今回も概ねその手法でできているが、第2曲はより自由な形式で和音もあり、奏者の即興性に委ねられている。それは滑川真希、デニス・ラッセル・デイヴィス夫妻への信頼の証であろう。

Variation 57は文字通り各楽章の3つのモチーフのほか57のヴァリエーション、変奏でできている。久石は「ニューヨークの57thストリートに滞在していた時に着想し、スケッチも書いた」と語っている。また第3曲は現代の音楽では珍しく、2016年のダンロップのCM(福山雅治が出演)とした書いた曲をベースに作られている。

(「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.6」コンサート・パンフレットより)

 

 

コンサート開催にあわせるタイミングでCD化される「MUSIC FUTURE」ライヴ音源。今年は2018年開催「久石譲 presents MUSIC FUTURE Vol.5」プログラムより音源化された『久石譲 presents MUSIC FUTURE IV』(2019/11/20発売)が、先駆けてコンサート会場限定先行販売されました。先着サイン会抽選券付きです!

 

コンサート・パンフレットには、2020年秋開催予定の「MUSIC FUTURE Vol.7」および「Young Composer’s Competition」第4回の開催も告知されていました。来年もどんな最先端の”現代の音楽”を魅せてくれるのか楽しみです。

 

リハーサル風景 (公式SNSより)

 

 

コンサート風景 (公式SNSより)

 

フィリップ・グラス氏、滑川真希さんのインタビューも公開されています。また第3回『Young Composer’s Competition』優秀作品受賞作の審査員評も公開されています。

 

 

カテゴリーBlog

コメントする/To Comment