Disc. 近藤浩志 『ARCANTO』

近藤浩志 ARCANTO

2003年12月3日 CD発売 WRCT-1008

 

久石譲プロデュースによる、チェリスト・近藤浩志のデビューアルバム。

 

 

~曲目について~

久石さんから僕のソロアルバムを創ろうよ、とのお話を頂き当初、全曲久石さんの曲でと思っていた僕にとって、選曲はとても困難な作業でした。しかし久石さんの助言のもと、練りに練られたこの選曲は、今、録音を終えてみると、どの曲も最初から決まっていたかの様な愛しい気持ちを持てる物になりました。

久石さんの曲、「風の谷のナウシカ組曲」……。
この曲との出会いは当時学生だった僕と、今のこの時をつなぐかけがえのないものになりました。その20年の軌跡の中で幾度となくこの曲に触れてきましたが、作曲者である久石さんと10年ほど前から一緒に音楽をさせて頂けるようになり、少しずつ本当の歌を教わってきたことが今ここに、僕が出来ること全てを懸けたナウシカ組曲となったことを幸せに思います。共に成長してきたこの組曲は僕の音楽の原点であり続けると思います。光と影。光が強ければ強いほど影は色濃くなり、また、影が深ければ深いほど、僅かな光に優しさや暖かさを感じる。そんなことを感じながらこの曲を弾きました。

静かな湖面に輝く曲線を浮かべてたたずむ「白鳥」。清らかな魂への救いを神に祈るタイスの姿を描いた「タイスの瞑想曲」。2曲とも微細ながらも生命の源を感じる力強さや厳しさがあるような気がします。力強く、厳しく、そして優しく歌うことを教えていただいたのは他でもない久石さんになのです。

歌うと言うことは僕の音楽の原点です。歌のように弾きたい。ずっとそう思ってきました。このアルバムにも原曲が歌の曲が3曲あります。夢にまであらわれる、愛する人への思いを歌った「夢のあとに」。愛してしまったことを悔やみながらも忘れ得ぬ思いをうちあける「花の歌」。そして、張り裂けそうな切ない旋律が終わりなく満ち引きする波のように歌いうねる「ヴォカリーズ」。

もうひとつ、歌曲ではないですが僕の中では歌になった曲。死者への問いかけ。鎮魂。そして思い出。凛とした流れの中に胸が裂ける様な慟哭の溢れている「ノクターン 第20番 嬰ハ短調」。演奏中涙がとまりませんでした。

心の一番深い場所に咲く一輪の花のような曲達です。そしてその場所へはとても一人では行けませんでした。このアルバム制作に関わって下さったスタッフ誰一人欠けてもこの演奏は出来なかったと思います。久石さんの大きな愛情は勿論ですが、是認の優しい気持ちが僕の音楽の道標になりました。

沢山の優しさと思いやりで創られたこのアルバム。
聴いて頂ける全ての方々にその心が伝わればと思っています。

2003年10月 近藤浩志

(CDライナーノーツ より)

 

 

近藤さんとのこと

近藤さんは、僕の文字通りの戦友である。数々の修羅場をふたりでくぐり抜けて来て、今や「あうん」の呼吸で演奏できる数少ない演奏家である。

近藤さんとは、彼が新日本フィルでチェロのトップをやっている頃に知り合った。だからもう10年以上の付き合いになる。その後、久石譲アンサンブルのコンサートにソリストとして参加してもらい、ミニマルミュージック系のやや先鋭な音楽をずっと一緒にやってきた。今年春先の9人のチェリストとピアノのコンサートツアーでは、コンサートマスターとして、僕の音楽を再現するのに最大の力を発揮して頂いた。近藤さん抜きでは、あのコンサートの成功はあり得なかった。そしてその感動の模様をDVDとして世に出す決心までつけさせたのも近藤さんの力だと思っている。

今回ワンダーランドレコード初のオリジナルアルバムアーティストとして近藤さんを迎えられたことは、僕個人としてもワンダーランドレコードとしても最大の喜びである。

ナウシカ組曲は、藤原真理さんによる素晴らしい名演が残されているが、今回、近藤さんの力強い演奏で、新たな「ナウシカ」として蘇った(一部編曲の手直しも行った)。

近藤さんはその大柄の体型から、優しくおおらかな人柄を想像しがちであるが(事実その通りでもあるのだが)、実に神経の細やかな、芸術家としての資質を十二分に持っている人である。そのあたりはこのアルバムにも十分に反映されている。アルバムアーティストは点であってはならない。線として次回作、そのまた次回作と作っていくべきだと僕は思っている。今後とも近藤さんの次回作、そして僕のコンサートと、一緒にやっていけることを心から愉しみにしている。

2003年10月 久石譲

(CDライナーノーツ より)

 

 

 

名曲「風の谷のナウシカ組曲」[改訂版]、2003年4月オペラシティで行われた久石譲コンサートツアーのライブ音源「la pioggia」(久石譲ピアノ)、その他にもフォーレやショパンなどクラシックの名曲を収録。

タイトルの「ARCANTO」(アルカント)とは…Arco(弓)、とCanto(歌う)をかけあわせた造語である。

 

 

近藤浩志 ARCANTO

「風の谷のナウシカ」組曲[改訂版] / 久石譲
1. 風の伝説
2. レクイエム
3. 遠い日々
4. 谷への道
5. はるかな地へ

6. 夢のあとに / フォーレ
7. 白鳥 / サン=サーンス
8. ヴォカリーズ / ラフマニノフ
9. 花の歌~歌劇「カラメン」より~ / ビゼー
10. ノクターン 第20番 嬰ハ短調 / ショパン
11. タイスの瞑想曲 / マスネ
12. La Pioggia / 久石譲 (映画「時雨の記」より)

近藤浩志(チェロ)
吉澤友里絵(ピアノ) except M-12

久石譲(ピアノ) M-12

 

1 ~ 5 are labeled “Nausicaa of the Valley of Wind” Musical Suite (Revised Edition)
12 is a live version of “la pioggia” from “Diary of Early Winter Shower”

Produced by Joe Hisaishi

Violoncello: Hiroshi Kondo
Piano: Yurie Yoshizawa (Except M-12)
Joe Hisaishi (M-12)

Violoncello (M-12): Takashi Kondo, Susumu Miyake, Makoto Osawa
Haruki Matsuba, Yoshihiko Maeda, Masanori Taniguchi
Hiromi Uekusa, Seiko Ishida

Recording & Mixing Engineer: Suminobu Hamada
Assistant Engineer: Toshiyuki Takahashi
Recorded & Mixed at Wonder Station
Mastered at Wonder Station

 

Disc. 久石譲 『空想美術館 ~2003 LIVE BEST~』

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

2003年10月22日 CD発売 UPCH-1299
2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4

 

 

~空想美術館紀行~

久石譲さんの演奏には必ず光景が伴う。オーケストラや観客、或いは久石さん本人の向う側に、かつて旅で出会った人々やその時々の風のようなものが立ち上がるのだ。たとえ有名な映画曲であろうと、目をつぶれば私には独自のシーンが浮かんでくる。見事、としか言い様がない魔法である。

 

Musée imaginaire (Orchestra Ver.)
エクアドルの首都キトからバスでアンデス山脈を越えた時、高度四千メートルで突然もやが晴れ、笑顔で手を振るインディオの子供たちが現れた。この曲をあの峠でもう一度聴いてみたい。

Summer
米国オレゴン州のキャノンビーチには日本の風鈴八百個と暮らす老人がいた。彼は東京を空襲したパイロットで、海風に鳴りやまぬ風鈴を聴きながら静かに枯れ枝と化していくのだった。風鈴はまだ揺れているだろうか。

MIBU
展開とともにまったく新しいイメージが湧きあがるこの曲は、アンコールワットの日の出を思い出させた。たとえ大地が戦乱の荒廃にあったとしても、日輪は何万もの色彩をもって新たな一日を祝福しようとしたのだ。

Silence
トルコのエフェス遺跡のイメージ。エーゲ文明の遥か昔に愛しあった男女の吐息が、今もなお朽ちた柱に絡み付いているようだった。風は時の向う側から情念と音楽を運んでくるらしい。

月に憑かれた男
三年間暮らしたニューヨークで、やるせない気持ちになる度にブルックリン橋を歩き、そこから見える窓灯りを数えていた。どの窓にも命があり、苦悩があり、歓喜がある。その痛いような感覚を思い出させる曲。

夢の星空
ベトナムの漁村を夜明けに訪れたら、歩き始めたばかりの漁民の子が丸太の上に乗って用を足し始めた。あっけらかんとした笑い声、世界で一番幸せそうだったあの子の笑顔に、いつまでも美しい星空とこの曲を捧げたい。

Bolero
チェコの田舎街道はひまわり畑に埋もれているため、夏になると地平線までの黄色で覆われる。しかしその横を走る線路はかつてアウシュビッツまで続いていたのだ。無数の魂が風にそよいでいたようなあの夏空。黄色。

a Wish to the Moon
沖縄から台湾までは貨物船の旅がお薦め。島をひとつ経る度に珊瑚礁の色は濃くなり、五線譜から飛び出す音符のようにイルカたちがジャンプを繰り返していた。

KIKI
洞窟ホタルを見るためにオーストラリアのアウトバックを踏破した夜。気がつけば横をカンガルーの群れが並走していた。この曲のように心が舞い続けた夜。

谷への道
ヨルダン砂漠のロレンス砦に行った時、どこまでも続く赤い砂漠の果てに、三千年前の落書きがあることを知った。どうしてこの曲はあの時のジープの荷台を思い出させるのだろう。歴史なんて一瞬で、それよりも大切なのは今生きているこの鼓動なのだと曲が伝えているようである。

Musée imaginaire (9 Cellos Ver.)
バージョンが変われば曲がイメージさせる疾走感も異なる。世界で一番好きな列車、ハンブルグ発ブダペスト行のハムレット号だ。エルベ川沿いの小鹿飛び出す列車の旅を、この曲を聴いたすべての人に体験してもらえたらと思う。

TETSUYA (ex. ドリアン助川)

(空想美術館紀行 ~CDライナーノートより)

 

 

2003年春のチェリストとのツアーと、同年夏の新日本フィルとのツアー、この2つのツアーからベスト・テイクを選りすぐったライヴ・ベスト盤。ピアノ・ソロアルバム『ETUDE』の名曲たちをシンフォニック・アレンジで聴くことができる。

 

 

2018年4月25日 LP発売 UMJK-9073/4
完全生産限定盤/重量盤レコード/初LP化

 

 

 

久石譲 『空想美術館』 2003 LIVE BEST

1.Musée imaginaire (Orchestra Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)
2.Summer (映画「菊次郎の夏」/トヨタ カローラ CM より)
3.MIBU (映画「壬生義士伝」より)
4.Moonlight Serenade
5.Silence (ダンロップ VEURO CMより)
6.月に憑かれた男
7.夢の星空
8.Bolero
9.a Wish to the Moon (キリン一番搾り生ビール CMより)
10.KIKI (映画「魔女の宅急便」より)
11.谷への道 (映画「風の谷のナウシカ」より)
12.Musée imaginaire (9 Cellos Ver.) (NHK「世界美術館紀行」より)

Recorded at Tokyo Metropolitan Art Space , Tokyo Opera City Concert Hall , Niigata-City Performing Arts Center

Conducted by Kim Hongje (except M10-12) , Joe Hisaishi (M10-12)

Orchestra:New Japan Philharmonic

 

Disc. 上條恒彦 『お母さんの写真』

お母さんの写真 久石譲

2003年7月30日 CD発売 TOCT-25120
2013年6月5日 CD発売 TKCA-73918

 

「おとなが歌える歌」をテーマに、宮崎駿のプロデュースで上條恒彦が歌ったアルバム

 

 

作家陣にはジブリ映画でおなじみの宮崎駿(作詞)、覚和歌子(作詞)、糸井重里(作詞)、久石譲(作曲)、矢野顕子(作曲)に加えて、上條恒彦本人、クニ河内、井上鑑などが参加。

年輪を重ねてきた者でなければ出せない、大地に根を下ろした大樹のような、野太くどっしりとした力強い歌声。演奏の方も、ストリングスやアコースティック・ギターを多用したやわらかく重厚なアレンジが、彼の歌を盛り立てている。

ハウス食品「おうちで食べようシリーズ」CMソングの「お母さんの写真」は、『となりのトトロ イメージ・ソング集』に収録されていた楽曲である。オリジナル版は久石譲本人による歌唱である(曲名「小さな写真」)。

また本作品のドキュメンタリーDVD『宮崎駿プロデュースの1枚のCDは、こうして生まれた。』も発売されている。企画から制作、久石譲参加のレコーディング風景も記録されている。

 

 

お母さんの写真 久石譲

1. お母さんの写真(ハウス食品『おうちで食べよう。』CMソング)
作詞/宮崎駿 作曲・編曲/久石譲 
2. オルガンの丘
作詞/覚和歌子 作曲/丸尾めぐみ 編曲:斎藤ネコ
3. 中央線
作詞・作曲/宮沢和史 編曲/高野寛
4. 牧場の朝
文部省唱歌 作曲/船橋栄吉 編曲/美野春樹
5. 鞦韆(ぶらんこ)
作詞/覚和歌子 作曲/上野洋子 編曲/斎藤ネコ
6. 真夏の振り子
作詞/覚和歌子 作曲/丸尾めぐみ 編曲/斎藤ネコ
7. 油屋
作詞/宮崎駿 作曲・編曲/久石譲
8. 豚の丸焼き背中にかついで
作詞/糸井重里 作曲/クニ河内 編曲/井上鑑
9. ひとつ やくそく
作詞/糸井重里 作曲/クニ河内 編曲/井上鑑
10. 椅子
作詞/伊藤アキラ 作曲・編曲/井上鑑
11. 秋
作詞/矢川澄子 作曲/矢野顕子 編曲/井上鑑
12. 花あかり
作詞・作曲/上條恒彦 編曲/井上鑑
13. 冬の星座
日本語詞/堀内敬三 作曲/William Shakespeare Hays 編曲/美野春樹
14. 何もいらない
作詞・作曲/宮沢和史 編曲/高野寛
15. 祝祭
作詞/覚和歌子 作曲/上野洋子 編曲/井上鑑
16. 見果てぬ夢 (ライブ・レコーディング)
日本語詞/福井峻 作曲/Mitch Leigh

 

Disc. V.A. 『栄冠は君に輝く』

栄冠は君に輝く

2003年7月23日 CDS発売 COCG-15542

 

1948年発表全国高校野球のテーマ曲「栄冠は君に輝く」
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而

 

 

誰もが聴いたことのある夏の風物詩高校野球のテーマソング。その合唱ヴァージョン、行進曲のマーチ・ヴァージョン、学校紹介用のエレクトリックピアノ・バージョンなどが収録された作品。

実はこの(2)行進曲 の編曲を担当しているのが久石譲。この仕事を担当したのは下記EP情報からも、1980年代の仕事であることがわかる。原曲に忠実なオーソドックスなブラスバンド・吹奏楽アレンジとなっている。

 

 

1985年4月 EP発売 EH-1013

(EPジャケット / EP盤)

 

 

 

栄光は君に輝く sc

全国高等学校野球選手権大会の歌

1. 栄冠は君に輝く (合唱バージョン)
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而 演奏:コロムビア合唱団、コロムビア・オーケストラ
2. 栄冠は君に輝く (行進曲)
作曲:古関裕而 編曲:久石譲 演奏:コロムビア・オーケストラ
3. 栄冠は君に輝く (NHK学校紹介用BGM)
作曲:古関裕而 編曲:龍野順義 演奏:龍野順義
4. 栄冠は君に輝く (オリジナル復刻盤)
作詞:加賀大介 作曲:古関裕而 編曲:古関裕而
演奏:伊藤久男、コロムビア合唱団、コロムビア・オーケストラ

※オリジナル復刻盤は、当時の録音のままを収録しております。一部、歌詞が異っておりますが、ご了承ください。

音源提供:NHK/NHKサービスセンター (Track.3)

 

Disc. 久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos 2003 ETUDE & ENCORE TOUR-』

久石譲 『a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR-』

2003年6月25日 DVD発売 UPBH-1094

 

2003年3月から行われた久石譲のコンサート・ツアーの中から4月16日に東京オペラシティーにて行われたコンサートの模様を収録。オリジナルアルバム「ENCORE」「ETUDE~a Wish to the Moon」からの曲を中心に披露したベストライブ。

 

 

長い音楽活動とコンサート活動のなかで、意外にもコンサートDVDとしては初作品化である。公演プログラムの曲間に、リハーサル風景やピアノ練習風景などが、ドキュメンタリータッチで記録されている。

 

 

 

a Wish to the Moon -Joe Hisaishi & 9 cellos  2003 ETUDE&ENCORE TOUR

– Encore & Others –
KIKI
谷への道
View of Silence
風のとおり道
Asian Dream Song
Friends
Summer
One Summer’s Day
HANA-BI

– Etude –
Moonlight Serenade 〜 Silence
月に憑かれた男
impossible Dream
夢の星空
Bolero
a Wish to the Moon

Musée Imaginaire
la pioggia
Tango X.T.C.

ToToRo
Madness
君だけを見ていた

本編111分

Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall on April 16,2003

Composed (except “Moonlight Serenade”),
Arranged and Produced,
Conducted and Piano
by
Joe Hisaishi

Violoncello
1st
Hiroshi Kondo ~Concert Master,Solist
Takashi Kondo
Susumu Miyake
2nd
Makoto Osawa
Haruki Matsuba
3rd
Yoshihiko Maeda
Masanori Taniguchi
4th
Hiromi Uekusa
Seiko Ishida

 

Disc. 『千と千尋の神隠し/ SPIRITED AWAY』(北米版DVD)

2003年4月15日 DVD発売

 

2001年公開映画『千と千尋の神隠し』の北米版DVD『SPIRITED AWAY』。本編DVD+映像特典DVDの2枚組となっている。映像特典内容については、日本版と大きく異なっている。

 

【日本版:映像特典(Disc-2)】
・絵コンテ 約124分
 絵コンテを本編とリンクしてマルチアングルで全編収録
 マルチアングル:2/スクイーズ収録
・劇場予告編集 約30分
 劇場公開時の予告編を22種類収録
・「猫の恩返し」作品紹介 約1分

 

【北米版:特典映像(Disc-1)】
・Spirited Away
 映画本編
・Spirited Away Introduction by John Lasseter (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 ジョン・ラセターによる作品紹介 約1分
・The Art of Spirited Away (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 アメリカ版声優・スタッフ・宮崎駿監督などによるドキュメンタリー 約15分
・”Sneak Peeks”: Finding Nemo, Atlantis: Milo’s Return, Stitch! The Movie, Bionicle: Mask of Light, The Lion King Special Edition, New From Disney Interactive trailers
 ディズニー作品予告編
・Castle in the Sky, Kiki’s Delivery Service US DVD trailers
 「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」予告編

 

【北米版:特典映像(Disc-2)】
・Behind The Microphone With Suzanne Pleshette And Jason Marsden (English DD 2.0, 4:3, with no subtitles)
 アメリカ版声優紹介・英語版吹き替えメイキング 約5分
・Select Storyboard-To-Scene Comparison (Japanese or English 2.0 audio, 16:9, with no subtitles)
 絵コンテを本編とリンクしてマルチアングル *全編ではない 約10分
・Nippon Television Special – The Making Of The Film (Japanese DD 2.0, 4:3, with English subtitles)
 日本テレビ「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」(2001年7月TV放送) 約42分
・Original Japanese Trailers (Japanese DD 2.0, 4:3, with English subtitles)
 劇場予告編集 約30分

 

 

 

久石譲にフォーカスすると、日本版/北米版DVDに同じく収録された「劇場予告編集 / Original Japanese Trailers」で聴かれる音楽について。イメージアルバムにもサウンドトラックにも収録されていない宣伝用BGMとなっている。映画公開前の制作期間中であったこと、本編音楽が完成する前に予告編用BGMが必要であったからと思われる。映画冒頭の不思議の町に迷い込んだ時や湯婆婆のモチーフを連想させる音楽で、ピアノ、シンセサイザー、サンプリングボイスによるマイナー調の楽曲となっている。

 

 

北米版DVDのみに収録された「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」(日本テレビ:2001年7月TV放送)は、その後Bue-ray化されたときにも日本版Discには収録されていない。

北米版Blu-ray + DVD combo(2015年6月16日発売)には、Blu-ray本編・特典映像+DVD特典映像 となっており、DVDのほうに「千と千尋の神隠し 公開直前スペシャル!」が収録されるなど、北米版DVD2枚組(2003年)を引き継いだ内容となっている。

このTV番組でも劇場予告編集と同じ宣伝用BGMを聴くことができる。また制作ドキュメンタリーとして久石譲による音楽レコーディング風景も紹介されている。宮崎駿監督も同席のもとすみだトリフォニーホールでのフルオーケストラ録音である(約3分)。

 

 

↓こちらはBlu-ray Discの特典映像

Original Japanese storyboards
Original Japanese trailers
Original English theatrical trailer
Original TV Spots
Princess Mononoke in the USA – In September of 1999, Princess Mononoke’s director, Hayao Miyazaki traveled to the US and Canada to promote the film’s release. This feature is a record of those events.
Featurette – Jada Pinkett Smith, Claire Danes, Billy Bob Thornton, Gillian Anderson, Billy Crudup talk about acting in the English voice cast in Princess Mononoke.

 

 

この北米版BD+DVDコンボは2017年10月17日再発売されたおり、新たにブックレット12ページ(Invluding New 12-Page Booklet featuring Filmmaker Statements and Artwork)も封入されている。

北米版以外は比較していない。

 

 

Disc. 井上あずみ 『スタジオジブリ作品名曲集 君をのせて ~はるか~』

井上あずみ 君をのせて

2003年3月26日 CD発売 KICS-997

 

『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』など
ジブリ・アニメの主題歌・挿入歌を数多く歌ってきた井上あずみ
彼女のデビュー20周年を記念したオリジナル・セルフカヴァー・アルバム

 

 

コメント

私がデビューしたのは1983年。以来、「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などスタジオジブリ作品の主題歌・挿入歌を中心に、数多くの素敵な曲を歌い続けることができました。おかげさまで私を支持してくださるファンの方は、20代後半~30代前半のお父さんやお母さん、そして、その子どもたちまで幅広い世代にわたっています。この「君をのせて ~はるか~」というCDは、そんな私がデビュー20周年を記念し、ファンの皆さんにこれまでの感謝を込めてお届けするベストアルバム。そして、同時にアーティスト井上あずみの新たな旅立ちの序曲でもあります。私がこれからどこへ行こうとしているのか。どんな音楽を目指していくのか。期待を込めて聴いていただけたらうれしいです。

井上あずみ

(CDライナーノーツより)

 

 

 

井上あずみ 君をのせて

1. さんぽ(となりのトトロより)
2. めぐる季節(魔女の宅急便より)
3. わたしのこころ(魔女の宅急便より)
4. 想い出がかけぬけてゆく(魔女の宅急便より)
5. 何かをさがして(魔女の宅急便より)
6. 魔法のぬくもり(魔女の宅急便より)
7. 風のとおり道/Instrumental(となりのトトロより)
8. まいご(となりのトトロより)
9. おかあさん(となりのトトロより)
10. ドンドコまつり(となりのトトロより)
11. となりのトトロ(となりのトトロより)
12. 君をのせて(天空の城ラピュタより)
13. 風のとおり道/Voice Edit

Musicians:
古寺ななえ(Pf)
内田みつる(Gui)
大貫聖子(Vn)
星野敦(Vc)

Recorded at:
栃木県総合文化センター (Jan.10 to Jan.11.2003)
SOUND CREW STUDIO (Jan.27 to Jan.30.2003)
GATEWAY STUDIO (Feb.3 to Feb.4.2003)

全作曲:久石譲

 

Disc. 久石譲 『4MOVEMENT』

久石譲 『4 MOVEMENT』

2003年3月19日 DVD/CD発売 PCBE-50470

 

2001年「うつくしま未来博」ナイトファンタジア上映作品 『4 MOVEMENT』
監督:久石譲 音楽:久石譲

久石譲 第二回監督作品

 

日本映画音楽の第一人者、久石譲が奏でる
音楽と映像のシンフォニー、「QUARTET」に続き、
自ら監督を務めた待望の映像ファンタジー!

人は心の中にいくつもの顔を持っている。
優しさと人には言えない暗い部分を…。
ミオは成長していく中で心の中の闇に生まれた
もう一人の自分とどう向き合っていくか?
音楽の精ポコとともに巨大な怪物、
黒鳥と闘いながら見つけ出していく…

【STAFF】
監督・音楽:久石譲
プロデューサー:石原真
原案:ドリアン助川
脚本:小川智子
撮影:阪本善尚
音響:橋本文雄

【CAST】
Pace Wu、黄川田将也、浅野優梨愛、山本小百合、相ヶ瀬龍史、若林淳

 

 

【ストーリー】

MOVEMENT 1
殺伐とした大都会。雑然とした風景が闇に転じると少しずつ鼓動が聞こえ、閉ざされた空間(CUBE)から一人の少女・ミオが現れる。暗闇の中で戸惑うミオが目にする1台のピアノ。彼女が鍵盤をたたくと光りが現れ、その中から可愛らしい音楽の精・ポコが誕生する。ミオの良心の象徴であるポコは、彼女の奏でるフレーズを歓喜に満ちたメロディーに導き、それはやがて大きな光とともに新たな世界へと広がっていく…

MOVEMENT 2
大自然に包まれた世界。10才になったミオはポコとともに鬱蒼と生い茂る森を進み、そこでアルトという名の少年に出会う。彼がミオ自身の心の闇であるとも知らず、その不思議な魅力に惹かれ後をついていくが、突然豹変したアルトに翻弄され、自然の脅威にもまれながら闇へと流されていく…

MOVEMENT 3
無機質な人々の流れの中にいるミオは、黒衣をまとった男と出会う。彼に導かれるまま進む道は、人間の愚かさを具現化した殺伐と狂気の世界であった。ミオは怯えと哀しみにもまれながら傷つく人々の間をさまよい歩いていく。全てが焼き尽くされた大地に辿り着いたミオは、そこで朽ち果てた1台のピアノを見つける。ピアノを弾くミオ、幼い頃の思い出が蘇る。が…

MOVEMENT 4
アルトと再会するミオ。20才に成長した二人は思い出の森へと向かい、お互いの想いに気付く。一瞬の安らぎを得たミオだったが、ふと気づくと巨大な黒鳥に変貌したアルトが、邪悪な牙でミオに襲いかかる。ポコとの必死の戦いも空しく、湖畔へ追い詰められていくミオ。しかし、そこで意外な真実が明らかにされていくのであった…

 

 

【メッセージ】

この物語は、主人公のミオが5歳、10歳、20歳と成長していく、4つの楽章(MOVEMENT)から成り立っている。ひとりの人間の心の中には様々な顔があり、とてもやさしい部分と、人にはいえない暗い部分とを皆んなが持っている。ひとりひとりの中にあるものは小さくても、世界中の人間の、つまり60億分ものエネルギーとなると、それが戦争や、憎しみといった世の中の様々な問題を起こしているのではないか。ひとりひとりの中にある問題が連鎖拡大されて戦争が起こったりする。それを解決するのは、自分自身であって、問題は自分の外にあるのではなくて、自分の中にある。「心の中の闇に生まれたもうひとりの自分とどう向き合っていくか」がこの作品の大きなテーマである。  -久石譲

 

 

 

「『4 MOVEMENT』というんですけど、これは1本目の反省から、最新テクノロジーを駆使する方法でやってるんですよ。やっぱり100パーセント満足することって、ないじゃないですか。『カルテット』を撮りおえたあとも、あのシーン、なんでもうひとつ顔のアップを撮っておかなかったんだとか、そんなことばかり考えてたら、もう1本撮りたくなっちゃんたんですよね。『4 MOVEMENT』はね、すごくいい映像が何カットか撮れてるんです」

「あっ、そういうこと言っちゃいけないか(笑)。でも、実はこれが映画のピンポイントなんですよ。北野監督もみんなおっしゃるんですけど、このシーンを撮りたくてストーリーを作ったということはあるんです。それが5つか6つ、その監督が命がけで、どうしてもこれを撮りたかったというシーンを持っている映画は、すべていい映画ですよ」

Blog. 「月刊ピアノ 2001年7月号」映画『Quartet』 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

 

当時博覧会会場中央の池にて、夜間開催期間中、野外特設ステージとしてウォータースクリーンにて上映された。噴水などの演出とスクリーンによる映像と音楽である。

 

音楽について。

本編でも登場する(登場人物が奏でる)ピアノやフルート、そしてシンセサイザーを基調としたサウンド構成となっている。シンプルで可愛らしい無邪気なアコースティックサウンド、反面ダークな部分を描いたシンセサイザーサウンドなどである。

主人公がピアノの鍵盤に触れるなにげない音は、同博覧会イメージソング「永遠の心」のモティーフにもなっている。その他の場面にも同メロディーの変奏が、バリエーションとして登場している。

「Crossing」にみられるミニマル的音楽要素も盛り込まれている。

同時期公開(および制作期間においても)であった映画『千と千尋の神隠し』(2001)のエッセンスを思わせるような楽曲もあり、そういった久石譲の音楽時代として聴くこともまたおもしろい。

映像音楽とはいえ、監督・音楽の両方を担っていることから、サウンドトラックという枠にはおさまらない、オリジナル・ソロ作品という捉えかたもできる作品である。

自身が監督を務める作品だけあって、映像と音楽がほぼシンクロするような緻密に練られたサウンド構成となっている。それぞれの楽曲は短いが(1-2分程度)、本編30分、サウンドトラック27分ということからも、ほぼ本編全体で音楽が流れているということでもある。

本編エンドロールにて流れる「VIEW OF SILENCE」は、オリジナル・ソロアルバム『PRETENDER』(1989)に収録されていた楽曲である。メロディーメイカーとして久石譲が存分に堪能できる、ピアノとストリングスの美しい旋律と洗練されたアレンジである。なぜこの楽曲がこの作品に取り上げられたかは、メイキングでのインタビューなどでも語られてはいない。

欲をいえば、イメージソング「永遠の心」のインストゥルメンタル・バージョンを、サウンドトラックのボーナス・トラックとしてでも収録してほしかった。DVDメイキング映像の冒頭と最後のエンドクレジットにて、「永遠の心」オーケストラ・インストゥルメンタル・バージョンが流れる。ピアノとシンフォニーによる美しい構成となっている。フェードイン・フェードアウトのため、1曲全体をとおしてこのシンフォニー版を聴くことはできない。

 

メイキング映像は、撮影記録と久石譲インタビューによって構成されている。森の撮影は屋久島で行われていることや、その他撮影場所、特殊撮影などの様子が記録されている。

音楽の精・ポコは、音符をイメージしてキャラクター化されている。

 

 

 

久石譲 『4 MOVEMENT』

【セル収録内容】
DVD ~ 本編30分 / メイキング(映像)42分
CD ~ オリジナル・サウンドトラック

初回封入特典:オリジナルポストカード

4 MOVEMENT
SOUND TRACK CD

1. Nobody
2. Poco Dance
3. Mio’s Forest
4. Alto ~もう1人の私~
5. Escape
6. Crossing
7. Darkness
8. Sand Piano
9. Refrain
10. Crisis
11. You are …
12. VIEW OF SILENCE

All Music Composed , Arranged and Produced by Joe Hisaishi
Recording Studios : Wonder Station , Avaco Creative Stuidios

 

Disc. 久石譲 『ETUDE ~a Wish to the Moon~』

久石譲 『ETUDE』

2003年3月12日 CD発売 UPCH-1221

 

 

ETUDE ~a Wish to the Moon~

このアルバムは、映画音楽のように大勢の人に向けて発信するというよりは、聴いてくれる皆さんひとりひとりに語りかけたいと久石は語る。コンセプトは「月」。ルナティックという言葉があるように月は人を変えてしまうと言われている。しかし彼はこう考える。人間の奥底にあるものを引き出してしまうものだと。狂気というものは誰もが潜在的にもっているもの。普段はそれを出さずにいるだけ…だと。人はみな自分を納得させながら、ある意味、偽りながら生きているもの。自分の脳を裏切りながら生きている。しかし、そんな自分に納得できないもうひとりの自分が存在する。そのもうひとりの自分に「月」が持っている力を借りて訴えかけるようなアルバムを作りたいと。

「月」に向かって願い事をする…
それは、たぶん叶い難い夢。密やかに願う願い事。
人はそんな夢、願い事を叶うと信じ続ける事で生きてゆける。

このアルバムの制作にあたっては構想から2年、たいへん贅沢な過程をたどる事になった。東京・初台にある東京オペラシティ・コンサートホール:タケミツメモリアルを何度も借り切ってのレコーディング。このホールは昨年3月に発売された久石のアルバム「ENCORE」のレコーディング現場でもあり、今回のツアー最終日もここである。最近の彼にとってはホームグラウンド的なものとなった。誰もいない1632席の客席のステージにたった1人、久石だけの世界。「もったいない…」とも思ったという。そして、同時にプレッシャーも感じたと。

昨年、ベストメロディー集「ENCORE」の制作が完了したとき、彼には少しの不満が残った。それは、このアルバムのために1曲も作曲をしていないという事。これは作曲家・久石譲にとって少なからず欲求不満であった。そんな思いもあり、今回のアルバム「ETUDE ~a Wish to the Moon~」は特別力を注いだ作品になった。

(「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ ETUDE &ENCORE PIANO STORIES 2003」コンサート・パンフレット より)

 

 

万を期して発表されたオリジナル・アルバム”ETUDE ~a Wish to the Moon~”は、聴けば聴きこむほど、ピアノの醍醐味をじっくりと味わうことができる。度重ねられたレコーディングでは、音色を追及すると同時に、”いつか夢は叶う・・・”、このコンセプトのもと1曲1曲に対してさまざまなアプローチが試みられた。

ピアノ・ソロの世界は、シンプル、孤独感・・・それでいて、たった1台のピアノでオーケストラの響きを醸し出せるようなダイナミックな主張を持つ楽器。そんな楽器で語られた世界は、ポップスとクラシックのフィールドの中で見事に融合しつつ、ひとつひとつ丁寧に作られた作品は、高いストーリー性を持ったアルバムに仕上がった。

(「Joe Hisaishi Concert ~a Wish to the Moon~ ETUDE &ENCORE PIANO STORIES 2003」コンサート・パンフレット より)

 

 

 

ETUDE ~a Wish to the Moon~  SHORT STORIES

Silence ~内声和音とオクターブのエチュード~
今、君は沈黙の中にいる。音の重さと等しい無音の中にいる。
辺りは闇だ。心の中……闇と言う字は門の中で音が閉ざされたと書く。
視覚の問題ではない。
人の言葉を、あるいは音楽を拒絶する君には、鏡のような水面に落ちる
水滴の音は聞こえないのだろうか……。

Bolero ~同音連打、右手と左手の交差のエチュード~
(Dedicated to Issac Abléniz)
心踊る一時、でもアルベニーは言った。心とリズムはシンクロしない。
激しいリズムの果てに見えるのは廃墟の世界……。
例え地球が滅びようとも、僕は世界の果てまで君を探しに行く。

Choral ~美しく和音を響かせるためのエチュード~
優しさは誰にもある。でも同じくらいの残酷さが誰の心にも潜んでいる。
Pretender~自分に忠実であることは難しい。
だから、と僕は呟く。「心の声を聞け」と……。

Moon Light ~アルペジョのエチュード~
人は月に密かな願いをするんです。
月に願うことは悲しい。実現不可能な夢をこっそり呟く、その時の君は美しい。
そして、いつか夢は叶う……。

MONOCHROMATIC ~半音階のエチュード~
グールドは白鍵と黒鍵の交差の中に何を見たのだろうか?
日々向かい合うモノクロームの世界、徐々に言葉は失われていく。
でも、意外に居心地は悪くない。
不安定な心の揺れは、意識も揺れると安定になる。

月に憑かれた男 ~スタッカートのエチュード~
ルナチック、狼男は月を見て変身する。
現実をこえた強い願望は人を狂気の世界に誘う。狂おしい激情が君らにわかるか?
でも、そんなメロドラマは俯瞰で見るととても滑稽だ。
街路灯に涙する君のヒロイズムは、最高のコメディーだ。

impossible Dream ~6度のエチュード~
叶わぬ夢……でも、僕は信じる。

夢の星空 ~3度のエチュード~
キラキラ光る夜空の星。大きな月に照らされて僕は砂漠を歩いている。
乾いた砂が頬を過ると、もう何も感じなくなった。
月齢26歳、後2日で僕は消え、また復活する……。
ふと小さな自分の存在が愛おしくなる。
そう、希望はある。

Dawn Flight ~5/4拍子の激しいリズム、及び和音連打のエチュード~
そろそろ僕は行かなくちゃ……。
君を思う気持ちは変わらないが、何時までもこだわってはいられない。
世界は動いている、夜明け前に旅立たなくては……。

a Wish to the Moon ~同音連打の指替えとラグタイムビートのエチュード~
「神様、お月さま、私をもっと美しくして下さい」
「お月さま、お願い、私の彼氏を返して」
「お月さま、お金はそんなに欲しくないんだけど、エルメスのバッグだけ買えるお金がほしい」
「お月さま、テレビ局に入りたいんだけど……」
「お月さま、……心の安らぎが欲しいのですが……」
……あるか、そんなモン!
でも願い事(夢)がある限り、君は生きていける。
月のクレーターだってウサギのダンスに見えるじゃないですか。

久石譲

 

Etude circle

 

 

「ETUDE」

02年の4月から、およそ1年間かけて完成させたのが「ETUDE」というアルバムだ。

13曲書いたが、最終的に3曲をボツにして10曲。それを週に1回、2曲ずつ東京オペラシティに通ってレコーディングした。これはボクにとって特別な作品で、ソロアルバムとしては、「My Lost City」と並んで自分の代表作だと思っている。その後に手がける「ハウルの動く城」や「ワールド・ドリーム・オーケストラ」(WDO)などにも影響を及ぼすことになったわけで、音楽的な面でも意味の大きいアルバムだ。

「ETUDE」は、それまでのいわゆる「久石メロディ(?)」とは異なり、ポップスフィールドに入るかどうかという意味ですら、ギリギリに位置する音楽と言える。

このアルバムを完成させたとき、はっきり自覚したことは、作曲家として「作品として形を残そう」という意識が自分の中で強くなってきている、ということだった。作家性を意識しながらも商業音楽のベースを外さず仕事をしていた作曲家が、「作品を残したい」という意識を強く持つことは、ある意味レールの外にはずれてしまうのかもしれない。

しかしボクは、またもとの道へ戻ることを拒否することで、新しい音楽的境地へ向かった。そうして誕生したのが後に続く「WORKS III」の「組曲DEAD」や「ハウルの動く城」だった。

Blog. 久石譲ソロアルバム『ETUDE』 音楽制作秘話 (久石譲著書より) 抜粋)

 

 

 

2003年「キリン一番搾り生ビール」CM音楽「a wish to the moon」

制作エピソード(久石譲)

「音楽ってね、すごく悲しいとか、すごくハッピーだとか、ものすごく強いものだと書きやすいんですが、こういうほのぼのとして、身近な感じの雰囲気を作るというのは、すごく難しいんですよ。原色をガンガン使うのではなく、淡い色合いの世界観で、しかもオリジナリティのあるものを書くっていうのは意外と難しいんです。今回、候補として3曲書いたんですけど、その中でもCM曲に決まった曲というのは、もっともシンプルなものなんです。クリスマスソングにも感じれば、子守唄にも感じるようなメロディラインで、歌詞をつけて歌になるとちょうどいい…そういう曲なんです。実は、あまりにシンプルすぎるので、採用されるかな?という危惧もあったんですよ。でもこの曲に決まれば、後々ボーカルでもいけるし、いろんなアレンジも可能になるから、そういう意味では、これに決まって欲しいなと、望んでいた曲だったんです。ですから、この曲に決まって、すごく嬉しかったですよ。」

「映画は、2時間なら2時間で構成するので、論理的な構造や構成が大事なんです。だけどCMは、15秒が基本なんですよね。その中で勝負しなければならないわけですから、論理的なものよりも瞬間で感じるものに焦点を当てた書き方に変えるので、アプローチがすっかり変わりますよね。15秒書けばいいっていうと、短いように思うけど、実はその中に、多くの人を引きつけなければいけない、そういう部分が必要なわけだから、とても難しいんですよ。」

 

 

 

技術的にも曲の難易度が高いが、かといってエチュード(練習曲)の枠を超えた1曲1曲として完成された世界、凛としたメロディーたち。映像音楽ではない音楽世界ゆえに、聴く人にイメージや想像力をふくらませる。ピアノのみで表現したとは思えないドラマチックな展開。

(1)「Silence」は水を打ったような幻想的で神秘的な世界。心地よい静寂がその時間を空気を風景を満たしてくれる。

(2)「Bolero」や(6)「月に憑かれた男」などは、あたかもショートフィルムを見ているようなドラマチックな臨場感。

(8)「夢の星空」はピアノとメロディーの美しさが素晴らしい。澄んだ空に星たちが輝く、月が揺れる。満天の夜空。透明の清らかな空気たちが空から降りてきそう。

(10)「a Wish to the Moon」は月でウサギがダンスを踊っているような、軽快なメロディーとジャジーでもありモダンでもあり、良き時代に想いをはせるようでもあり、新しい時代への願いでもあり。本作のハイライトでありクライマックスである。

 

本作ライナーノーツには、久石譲自身が書き下ろした曲ごとのショートストーリーも記されている。

また曲ごとに副題が示され、◯◯のエチュード(練習)と書かれている。内声和音とオクターブ、半音階、スタッカート、3度など。技術練習や音階という音楽形式や楽典になぞらえたうえで、その縛りにとらわれない創造的世界が見事に展開している。

一連の「ピアノ・ストーリーズ」シリーズがその時代ごとの映画・CMなどの映像作品も盛り込みながら、ピアノを軸にアコースティックサウンドで音楽単体として成立させたものとすれば、この本作『ETUDE』はそれとも一線を画した、まさに独創的な音楽世界。ピアニスト久石譲と作曲家久石譲だけで追求され完成した、まさに代表作の1枚。ショパンのエチュードは24曲で構成されていて、すべての調(全24調)で書かれているためこの作品は10曲であり、まだ未完成、いずれ発表したいと当時語っている。

また久石譲本人は、この作品を「My Lost City」と並ぶ自身の代表作だとしていて、「自分の作品を残したい」という強い思いから約1年をかけて制作、それ以降の「ハウルの動く城」や「W.D.O」にも影響を与えることになった、大きな転機となったアルバムであると語っている。

『空想美術館 2003 LIVE BEST』では、本作のオーケストラ・アレンジ、LIVE音源を聴くことができる。(1) (2) (6) (8) (10) などである。ピアノの美しい調べがオーケストラにより表情豊かに彩られ、楽器や編曲による音楽的発展、無限な可能性を感じることができる。

 

 

 

久石譲 『ETUDE』

1. Silence (ダンロップVEURO CM曲)
2. Bolero
3. Choral
4. MoonLight
5. MONOCHROMATIC
6. 月に憑かれた男
7. Impossible Dream
8. 夢の星空
9. Dawn Flight
10. a Wish to the Moon (キリン一番搾り CM曲)

Recording Term:Jul. 2002 – Feb. 2003
Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall

All Music Composed, Arranged and Performed by Joe Hisaishi

Produced by Masayoshi Okawa, Joe Hisaishi
Recording Engineer: Tomoyoshi Ezaki (Octavia Records Inc.)
Technical Engineer: Suminobu Hamada (Wonder Station Inc.)
Assistant Engineers: Takeshi Muramatsu (Octavia Records Inc.), Hiroyuki Akita (Wonder Station Inc.)
Piano Technician: Masanori Hanaoka, Toshiro Suzuki (YAMAHA Corporation)
Mastering Engineer: Shigeki Fujino (Universal Music K.K.)
Recording Term: Jul.2002 – Feb.2003
Recorded at Tokyo Opera City Concert Hall
Instrument: Steinway D type, YAMAHA CF III S
Edited at Wonder Station
Mastered at Universal Music Studio

 

ETUDE – A Wish to the Moon

1.Silence
2.Bolero
3.Choral
4.MoonLight
5.MONOCHROMATIC
6.Homme lunaire
7.Impossible Dream
8.Stars in a Dream
9. Dawn Flight
10.A Wish to the Moon

 

Disc. 久石譲 『CURVED MUSIC II CM Tracks of JOE HISAISHI』

久石譲 『CURVED MUSIC 2』

2003年1月29日 CD発売 UPCH-1216

 

CM音楽だけを集めた「CURVED MUSIC」第2弾

久石譲がTVより発信する数々のメロディ!最新CM集を一枚に凝縮!

本作収録の「Summer」は「菊次郎の夏 オリジナル・サウンドトラック」音源

 

 

「Happin’ Hoppin’」制作エピソード(久石譲)

「アレンジしているときに、ピアノを主体に、弦とか木管を入れたんですけど、どうしても何か足りなくてね。ドラムとかではなくて、なにかありきたりではない方法で、もう少しリズム感を前に出せる方法はないかなぁとずっと考えていて。それで、映像を繰り返し見ていたら、あったんですよ。ザッザザッザっていういい刻み音を出せる楽器が。それがウクレレ!ギターだと当たり前で、あの雰囲気は出ないんです。どちらかというと、僕はミスマッチが好きな人間ですから、「冬の温泉場とウクレレ」…これがピッタリだ!とか思って(笑)。それを見つけた瞬間にね、頭の中で全部がこう、いきいきとリズミックになって、「絶対これは勝ち!」って思いましたね(笑)。」

 

 

 

久石譲 『CURVED MUSIC 2』

1. Asian Dream Song (TOYOTAカローラ CM曲)
2. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り おんたまくんたま編 CM曲)
3. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 春だこ編 CM曲)
4. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 樽生編 CM曲)
5. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り ゴーヤー編 CM曲)
6. Happin’ Hoppin’ (キリンビール一番搾り 毬花編 CM曲)
7. Ballet au lait (バレトレ) (全国牛乳普及協会 CM曲)
8. Summer (Guitar Version) (TOYOTAカローラスパシオ CM曲)
9. Summer 映画『菊次郎の夏』より (TOYOTAカローラ CM曲)
10. Silence (short Version) (ダンロップ VEURO CM曲)

all music composed, arranged, produced and performed by JOE HISAISHI

recording engineers : SUMINOBU HAMADA, HIROYUKI AKITA, TOSHIYUKI TAKAHASHI (wonder station inc.), TORU OKITSU
recording studio : WONDER STATION
mastering engineer : SHIGEKI FUJINO (universal music)