Disc. 今井美樹 『flow into space』

今井美樹 flow into space

1992年12月23日 CD発売 FLCF-30196

 

久石譲プロデュース作品

久石譲が作曲・編曲を担当した楽曲も多数収録されている。

 

 

1992年11月6日 CDS発売 FLDF-10228

(CDジャケット)

 

フジテレビ、松竹提携作品「パテオ」エンディングテーマ

1.Blue Moon Blue
2.かげろう
3.Blue Moon Blue(Instrumental)

 

 

 

 

 

 

今井美樹 flow into space

1. Blue Moon Blue(Re-mix)
作詞:岩里祐穂 作曲:上田知華 編曲:久石譲
2. amour au chocolat
作詞:今井美樹 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
3. 素敵なうわさ
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:浦田恵司
4. The Days I Spent With You
作詞:岩里祐穂 作曲:布袋寅泰 編曲:久石譲
5. かげろう(Re-mix)
作詞:今井美樹 作曲:MAYUMI 編曲:久石譲
6. 永遠が終わるとき
作詞:川村真澄 作曲・編曲:久石譲
7. 雪の週末
作詞:岩里祐穂 作曲:柿原朱美 編曲:久石譲
8. flow into space
作詞:今井美樹 作曲:上田知華 編曲:浦田恵司
9. 遠い街から
作詞:今井美樹 作曲・編曲:久石譲

Produced
MIKI IMAI
JOE HISAISHI
NAO MATSUDA (For Life Records, Inc.)

All Songs Arranged
JOE HISAISHI
(Except 3. 8.)

All Acoustic Piano:JOE HISAISHI

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 BOX ベスト・セレクション』

1992年12月21日 CD発売 TKCA-30732

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は、『紅の豚 イメージアルバム』と『紅の豚 サウンドトラック』から選曲された全14曲と、紅の豚オリジナル・グッズ「懐中時計」をセットにしたBOX作品。

 

紅の豚BOX 懐中時計

(オリジナルグッズ:懐中時計)

 

収録内容

『紅の豚 イメージアルバム カッコイイとは、こういうことさ。』より
Track 1,3,6,10,11

『紅の豚 サウンドトラック 飛ばねぇ豚は、ただのブタだ!』より
Track 2,4,5,7,8,9,12,13,14

 

 

 

紅の豚 BOX ベストセレクション sc

1. アドリア海の青い空
2. 時代の風 -人が人でいられた時-
3. ダボハゼ
4. 帰らざる日々
5. セリビア行進曲(マーチ)
6. 雲海のサボイア
7. Doom -雲の罠-
8. Fio Seventeen
9. ピッコロの女たち
10. 冒険飛行家の時代
11. アドリアーノの窓
12. 失われた魂 -LOST SPIRIT-
13. Porco e Bella -Ending-
14. 時には昔の話を 歌:加藤登紀子

プロデュース、コンポーズ&アレンジ:久石譲

 

Disc. V.A. 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

久石譲 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

1992年11月25日 CD発売 TOCP-7156

 

1992年公開 映画「青春デンデケデケデケ」
監督:大林宣彦 音楽:久石譲

 

本作品に収録されている楽曲でアーティスト名”ロッキング・ホースメン”とは、映画本編にて登場人物たちが結成したバンドであり、その劇中でも演奏された音源が収録されている。

 

映画ラスト10分間の音楽を依頼された久石譲は、4ビートで昔なつかしいハリウッド調の音楽を書き下ろす。これを非常に気に入った大林監督は、オープニングや中盤でも流し映画全体を有機的につなげるように使っている。これは久石譲が書き下ろした楽曲の、そのバリエーションを書いていたものを使ったもので、久石譲は当時を振り返り「新しい音楽の付け方を知った映画となった」と語っている。

 

 

久石譲 『青春デンデケデケデケ オリジナル・サウンドトラック』

1. 青春のモニュメント(オープニング)/久石譲
2. パイプライン/ベンチャーズ
3. ロック・アラウンド・ザ・クロック/ビル・ヘイリー&ヒズ・コメッツ
4. 青春のモニュメント(ピアノ)/久石譲
5. 慕情/レターメン
6. パサディナのおばあちゃん/ジャン&ディーン
7. ウォーク・ドント・ラン/ベンチャーズ
8. ダイアモンド・ヘッド/ベンチャーズ
9. モナ・リザ/ナット・キング・コール
10. いとしのパオラ/アダモ
11. のっぽのサリー/ロッキング・ホースメン
12. 悲しき願い/アニマルズ
13. ジングル・ベル/ロッキング・ホースメン
14. プリティ・ウーマン/ロッキング・ホースメン
15. 渚のデート/コニー・フランシス
16. ボーイハント(日本語)/コニー・フランシス
17. 青春のモニュメント(トランペット)/久石譲
18. 太陽のかなたに/ロッキング・ホースメン
19. アイ・フィール・ファイン/ロッキング・ホースメン
20. 青春のモニュメント(フルサイズ)/久石譲
21. ジョニー・B・グッド/ロッキング・ホースメン
22. 青春のモニュメント/久石譲

 

Disc. 久石譲 『アニメージュ・コンプリート・コレクション』

アニメージュ・コンプリート・コレクション

1992年11月25日 CD発売 TKCA-30706
1992年11月25日 CT発売 TKTA-20266

 

スタジオジブリ作品 「風の谷のナウシカ」から「紅の豚」まで
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「紅の豚」各イメージアルバム、サウンドトラックより、メインテーマや主題歌など主要楽曲を収録したベスト盤。

オリジナル楽曲収録アルバムは曲名右に記載している。

 

 

アニメージュ・コンプリート・コレクション

1. 時代の風 ~人が人でいられた時~ (紅の豚 サントラより)
2. 空飛ぶ宅急便 (魔女の宅急便 サントラより)
3. 風のとおり道 歌:杉並児童合唱団 (となりのトトロイメージソング集より)
4. さんぽ (合唱つき) 歌:井上あずみ・杉並児童合唱団 (となりのトトロ サントラより)
5. Porco e Bella (紅の豚 サントラより)
6. 空から降ってきた少女 (天空の城ラピュタ サントラよりより)
7. 風の谷のナウシカ~オープニング (風の谷のナウシカ サントラより)
8. 遠き時代を求めて (紅の豚 サントラより)
9. となりのトトロ 歌:井上あずみ (となりのトトロ サントラより)
10. すすわたり 歌:杉並児童合唱団 (となりのトトロ イメージソング集より)
11. おかあさん 歌:井上あずみ (となりのトトロ イメージソング集より)
12. ねこバス 歌:北原拓 (となりのトトロ イメージソング集より)
13. 小さな写真 歌:久石譲 (となりのトトロ イメージソング集より)
14. マルコとジーナのテーマ (紅の豚 イメージアルバムより)
15. 世界って広いわ (魔女の宅急便 イメージアルバムより)
16. 君をのせて 歌:井上あずみ (天空の城ラピュタ サントラより)
17. アドリアの海へ (紅の豚 サントラより)
18. 旅立ち (魔女の宅急便 サントラより)
19. 天空の城ラピュタ (天空の城ラピュタ サントラより)
20. 鳥の人~ナウシカのテーマ (風の谷のナウシカ イメージアルバムより)

音楽/久石譲

 

Disc. 久石譲 『B+1 Original Movie’s Sound Track Themes』

久石譲 『B+1 映画音楽集』

1992年10月21日 CD発売 NACL-1079

 

久石譲の未発表映画音楽を収録

 

 

映画『福沢諭吉』 プロダクション・ノート

長調で奏でる哀愁のサウンド

作曲家・久石譲氏の映画音楽は現代感あふれるシンフォニックなサウンドに定評がある。「魔女の宅急便」などの宮崎駿監督のアニメ映画では快く流れるメロディーラインが魅力的。「Wの悲劇」以来5本目の澤井監督とのコンビ作「福沢諭吉」で初めて時代劇に挑戦し、その独特のサウンドは諭吉を軸とした若者たちの”青春の光と影”を瑞々しく響かせた。

久石流の映画音楽作曲法は、シナリオを読んだ段階で70%が終わる。映像になる前にサウンドをイメージし、演奏される楽器もこの時点で同時に決定するという。今回も、東映京都撮影所でオールラッシュ(編集前のスタッフ用試写)を見た帰りの新幹線の中で『諭吉のテーマ』が頭の中で鳴り響き、これを中心に『篠原・ノブの愛のテーマ』など全28曲を約2週間で一気に書き上げた。

そのサウンドは、これまでの時代劇にあった古めかしい伴奏とは違い、フルオーケストラとシンセサイザーの音を融合させたダイナミックなスタイル。そこには井上陽水らのヒット曲のアレンジやCM音楽で培った”エンターテイメント志向”がアピールされ、久石氏自身が弾くピアノ旋律はメジャー(長調)で書かれながら、心に訴えかける哀愁を感じさせて、心地よい。

久石サウンドにはクラシック音楽のテクニックに裏打ちされた、ハリウッド映画音楽のような”上品で豪華な香り”が漂う。

(映画「福沢諭吉」劇場用パンフレット より)

 

 

【楽曲コメント】

熱海殺人事件
「エスニックというのが僕の一つの顔であるなら、もう一つの顔が”ミニマル”だ。これまでのアニメーション映画のなかでもいろいろ使ってみたんだけど、全編にわたってミニマルをメインにしてやったのが、この『熱海殺人事件』。だからいわゆるきれいなメロディというのではなく、よりサウンドっぽく映画的処理なのではないかと思う。映画としては久石流B級作品といえるものに、これが登場してくる。B級というのは悪い意味ではなく、やりたいことをやっているという意味でB級なのである。」

極道渡世の素敵な面々
「友人である甲斐よしひろさんから”ぜひやってくれ”と頼まれたものだ。僕とやくざ映画というと、どうも結び付かないと思うけれど、そういう事情だったのだ。音楽としては、リズムを前面に押し出して、そのなかから短いフレーズを繰り返してメロディを作っていくやり方をしていて、映画にマッチしていたと思う。」

福沢諭吉
「僕は、この作品を時代劇とは思わなかった。諭吉を軸とした若者達の青春群像を描いたドラマだと捉え、青春の光と影を音楽で描いてみたかったんです。古めかしい時代劇の劇伴は避けたかったので、フルオーケストラのシンフォニックなサウンドとシンセサイザーの音を融合させた音楽をイメージして作り上げたのです。映画音楽はクラシック音楽の技術の上に立ったポップス性、エンターテインメントの要素が必要です。ハリウッド映画のように、日本映画にも上品で豪華なサウンドを鳴らしたいですね」(プレシシートより抜粋)

ペエスケ・ガタピシ物語
「童謡ともフォークソングともいえるようなメロディを書いて、そのバックでミニマルをぶつけて融合させることを試みてみた。結果については、試写会における主演の所ジョージさんの一言で分かってもらえると思う。”イヤー、よかったですよ、最高ですよ、音楽が…”」

(【楽曲コメント】 ~CDライナーノーツより ※書籍「I am~遙かなる音楽への道~」より)

 

 

久石譲 『B+1 映画音楽集』

1. Murder case A(Remix)
〜「熱海殺人事件」〜
2. As time passes(Original Soundtrack)
〜「NASA-未来から落ちてきた男-」〜
3. Next Win(Remix)
〜「カンバック」〜
4. Edge of Ice(Original Soundtrack)
〜「極楽渡世の素敵な面々」〜
5. Against Love(Original Soundtrack)
〜「極楽渡世の素敵な面々」〜
6. Dear Friends(Original Soundtrack)
〜「福沢諭吉」〜
7. The Fatal day(Original Soundtrack)
〜「福沢諭吉」〜
8. Spring Powder(Original Soundtrack)
〜「春の鐘」〜
9. Remorse Wind(Original Soundtrack)
〜「春の鐘」〜
10. Fairy Dance(Original Soundtrack)
〜「ペエスケ ガタピシ物語」〜
11. Dairy(Remix)
〜「釣りバカ日誌2」〜

モノラル -4. 5. 8. 9. 10.

 

Disc. 久石譲 『効果音楽シリーズ ミュージック・エフェクト・コレクション 1-10』

1978年6月 EP発売
1992年10月1日 CDS発売

 

効果音楽シリーズ 全10作品
EP盤:効果音楽ライブラリー (1-10)
CD盤:ミュージック・エフェクト・コレクション (1-10)

ステレオ新録音
名場面を演出する コロムビア効果音楽ライブラリー
監修・構成:羽仁進 音楽:久石譲

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 1 季節の詩

CDS:CODG-81
EP:GH-41

1.花のワルツ
2.春の風
3.青い空
4.初夏
5.暑い夏
6.秋の曲
7.枯葉
8.冬
9.銀世界

ミュージック・エフェクト・コレクション 1 季節の詩 sc

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 2 レジャーと活動

CDS:CODG-82
EP:GH-42

1.旅のアルバム
2.楽しい集い
3.野山を行く
4.旧友再会
5.家族団らん
6.祝福
7.スポーツの喜び
8.村の祭り
9.成長の思い出

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 3 自然と風景

CDS:CODG-83
EP:GH-43

1.雄大な風景
2.海の情景
3.さびしい場景
4.美しい風景
5.古都の場景
6.神秘的な風景
7.険しい情景

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 4 雰囲気の世界

CDS:CODG-84
EP:GH-44

1.なつかしき世界のテーマ
2.なつかしき世界のブリッジ
3.なつかしき世界のコード
4.なつかしき世界のエンディング
5.朝の光
6.おやすみなさい
7.想い出
8.影の世界
9.わらべ唄によせて
10.心やすらぐ時

ミュージック・エフェクト・コレクション 4 雰囲気の世界 sc

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 5 愛と青春

CDS:CODG-85
EP:GH-45

1.愛のテーマ
2.愛のブリッジ
3.愛のコード
4.愛のエンディング
5.夜のよそおい
6.青春の情感
7.愛に捧ぐ
8.悲しみをこめて
9.ほのぼのと
10.孤独
11.若い喜び
12/悩みの時

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 6 人物登場

CDS:CODG-86
EP:GH-46

1.かわいい!
2.優しい少女
3.なつかしいおじいさん
4.ずっこけマーチ
5.さっそうと行く
6.恋する二人
7.サスペンスに挑戦する
8.誠実に

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 7 アクションと表現

CDS:CODG-87
EP:GH-47

1.アクションのテーマ
2.アクションのブリッジ
3.アクションのコード
4.アクションのエンディング
5.追跡
6.対決
7.西部劇のテーマ
8.西部劇のコードA
9.西部劇のコードB
10.西部劇のエンディング
11.ファンファーレA
12.ファンファーレB
13.不安、おや!、あれ?
14.絶対絶命、警鐘、迫りくる恐怖
15.不気味に、おどろき、コミック

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 8 メルヘンの世界

CDS:CODG-88
EP:GH-48

1.メルヘンのテーマ
2.メルヘンのブリッジ
3.メルヘンのコード
4.メルヘンのエンディング
5.愉快に進もう
6.ひと安心
7.おいかけっこ
8.民話のテーマ
9.民話のブリッジ
10.民話のコード
11.民話のエンディング
12.あら不思議
13.怪しいものが来る
14.大失敗
15.大成功

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 9 未知の世界

CDS:CODG-89
EP:GH-49

1.宇宙音A
2.宇宙音B
3.宇宙音C
4.宇宙音D
5.地底音
6.水中音A
7.水中音B
8.水中音C
9.特殊音A
10.特殊音B
11.衝撃音A・B・C
12.マンガ音A・B・C
13.原始リズムA
14.原始リズムB
15.原始リズムC
16.ドラム・ソロ
17.短い効果音 スチールギター / エレキベース / トランペット
18.琴A・B・C・D

 

 

ミュージック・エフェクト・コレクション 10 きらめくリズム

CDS:CODG-90
EP:GH-50

1.ジャズ
2.ロック
3.フォーク
4.ハワイアン
5.ボサノヴァ
6.サンバ
7.タンゴ
8.オリエンタルムード

 

 

 

 

 

なお、2013年これからのシリーズからコンパイルされたCDが発売されている。

 

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 ドラマ編』

1992年9月25日 CD発売 TKCA-30683
1992年9月25日 CT発売 TKTA-20255

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

本作品は映画本編を映像なしの音声のみで聴く作品である。BGMはもちろんセリフや効果音などもそのまま収録されている。

 

 

紅の豚 ドラマ編

1. 空の賞金稼ぎ〜さくらんぼの実る頃〜
歌:加藤登紀子 (by the courtesy of Sony Records)
2. ピッコロの孫娘
3. 飛行艇乗りの誇り
4. 最後の夏〜時には昔の話を〜
歌:加藤登紀子 (by the courtesy of Sony Records)

 

Disc. 久石譲 『Symphonic Best Selection』

久石譲『Symphonic Best Selection』

1992年9月9日 CD発売 TOCT-6675
1992年12月2日 MD発売 TOYT-5018
2003年7月30日 CD発売 TOCT-25123

 

東京芸術劇場にて公演されたシンフォニックコンサートのライブ音源

 

 

寄稿

それまではスクリーンやブラウン管の向こう側に見え隠れしていた姿をかなりはっきりさせた形で一般の音楽ファンに見せたのが『I AM』だとしたら、久石譲は『MY LOST CITY』という力作を通過していよいよその巨大な姿を見せてしまった。

僕は今、完成したライブ・アルバムを聞いてはっきりとそう思う。5月20日と21日の両日、東京芸術劇場大ホールのステージで金洪才の指揮する新日本フィルハーモニー交響楽団をバックにピアノを弾く姿を見ながらもそのことは十分過ぎるほど予感はしていたが、CDというひとつの形になった時に、作曲家としても、編曲家としても、ピアニストとしても久石譲が稀有な魅力と才能の持主であることをこの最新作は理屈抜きで示している。

そして『MY LOST CITY』のオープニング・ナンバー「プロローグ」について、彼自身が書いた「僕にとってのピアノとストリングス、それは永遠に彷徨う旅人の心を歌うには最も相応した形態だ。新しい旅の始まり。」というコメントを引き合いに出せば、この最新作は彼が映像と音楽という無限の荒野を歩んできた長い旅のひとつの集大成でもある。演奏されているどの曲にも例外なく永遠の生命力がみなぎっているのも”いい音楽”が流行や傾向といったものに関係なく存在し続けることの証しと言えるだろうし、スケールの大きさと繊細さ、オーソドックスと前衛がうまく同居したストリングスの編曲の巧みさについては、リスナーに聞くたびに新たな発見の喜びをもたらしてくれるだろう。

立川直樹

(寄稿 ~CDライナーノーツより)

 

 

「完全決定ではないんですが、このライヴをやった時には、一応ライヴ盤も作ってみようという発想はあったんです。ただああいうクラシックの形態だと後で手直しがきかないんですよ。ですから、上がったもののクオリティによって出すか出さないかを最終的に決めようというスタンスはとってたんです。ただ、録るということに対する最大限の努力としてアビー・ロード・スタジオのチーフ・エンジニアのマイク・ジャレットを呼んだりとか、サウンドのクオリティが高いものになるよう万全は期したつもりです。」

「従来のソロ・アルバムとはまったく違うタイプですから、まったく違うものとして満足しています。中にはミス・タッチもあれば、オケとずれたりとか、いろんな部分があるんですが、その時、お客さんがいてオーケストラがいて僕がいてという独特の熱気、そういうのはスタジオ作品ではちょっと味わえないものがあるんですね。それが出てる部分で僕は凄く満足しています。特に本当にその場でテンポが揺れて気合で行くような時が多いライヴは、その時のエモーショナルな部分っていうのがそのまま演奏に出てくるから、そういう意味で作品がうまく再現されているということです。」

「基本的にクオリティの高い音楽をやっているから、音楽性を求める人に聴いて欲しいですよね。でももっと大事なのは、そういう音楽性の高い人にしかわからない音楽をやってるつもりはなくて、「あら、きれいなメロディだわ、ちょっとバックに流しながらお風呂に入っちゃおう」みたいなノリでもいいんですよ。それからその人がいろんな音楽を聴いて自分の音楽的レベルが上がると「このレコードこんなこともやってるんだ」というように、なおさら楽しいレコードが自分の理想なんですよ。不特定多数の聴ける音楽ができればいいなあと思います。」

Blog. 「キーボード・マガジン 1992年10月号」「Symphonic Best Selection」久石譲インタビュー内容 より抜粋)

 

 

(MDパッケージ)

 

 

久石譲『Symphonic Best Selection』

「ナウシカ組曲」
1. 風の伝説
2. 谷への道
3. 鳥の人
「I am」より
4. DREAM
「MY LOST CITY」
5. PROLOGUE〜DRIFTING IN THE CITY
6. 1920〜AGE OF ILLUSION
7. SOLITUDE〜IN HER…
8. CAPE HOTEL〜MADNESS
9. 冬の夢
10. TANGO X.T.C.
「MELODY FAIR」
11. 魔女の宅急便
12. レスフィーナ
13. 天空の城ラピュタ
14. タスマニア物語

All Composed & Arranged by Joe Hisaishi

Produced by Naoki Tachikawa
Recording & Mixing Engineer:Mike Jarratt (Abbey Road Studio)
Mixed at Wonder Station, Tokyo

Musicians are:
Joe Hisaishi / Piano
Kim Hang Je / Strings, Conductor
Yasushi Toyoshima / Violin Solo (N.J.P)
Mitsuo Ikeda / Bandonéon
New Japan Philharmonic

ピアノ:久石譲
指揮:金洪才
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団
録音:1992年5月21,22日 東京芸術劇場

 

Disc. 久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

1992年7月25日 CD発売 TKCA-30596
1992年7月25日 CT発売 TKTA-20245
1997年5月21日 CD発売 TKCA-71156
2020年3月11日 LP発売 TJJA-10023

 

1992年公開 スタジオジブリ作品 映画「紅の豚」
監督:宮崎駿 音楽:久石譲

 

映画本編で使用された楽曲を収録したサントラ盤。アコースティックなサウンドにこだわり、ほぼ70名のフルオーケストラで録音。収録は1992年5~6月に行われた。加藤登紀子の歌2曲も収録。本作から、LPの発売は行われなくなった。

 

 

同時代に生きるアーティストとして
音楽監督・久石譲

「紅の豚」は、宮崎監督との仕事では「ナウシカ」から数えて、もう5作目になります。最初の打ち合わせでちょっと驚いたのは、映画の舞台が1920年代末期だという事。というのは、そのとき制作中だったソロアルバム(「My Lost City」 東芝EMI)でテーマにしていたのが、1920年代、アールデコの時代だったんです。同じ時代を生きるアーティストとして、どこか通じるところがあったのかも知れません。

ただ、通じ合ったということがイコール、音楽のレベルに結びつくとは限らない。たとえば「トトロ」ですが、自分の得意としる分野ではないのですが、それがかえって客観的かつ冷静に作れたせいか、思わぬ?レベルに達していてとても気に入っています。

そういう意味でいうと、今回もすべてスムーズに行ったというわけではありません。僕も宮崎監督も、お互いに妥協することが嫌いな方ですから(笑)。しかし、それによってこちらのテンションも上がったし、それがより高いレベルでの仕事につながったと思います。また今回はアコースティックなサウンドにこだわって70名のフルオーケストラでほぼ録音しました。

とにかく幸運にも、5作品も一緒に仕事をしてくると、毎回毎回が真剣勝負ですね。

1992年6月4日、アオイスタジオにて談

(CDライナーノーツより)

 

 

久石:
宮崎さんの個人的な思いが結構強く出てる映画ですよね。宮崎さんが前面に出てくるときの音楽のあり方っていうのは、僕はあんまりうまくなかった。どちらかというと、うんと引いてやるべきだったんだけれども、舞台がアドリア海で空飛ぶっていうので、ちょっと活劇調に振りそうになる部分と、そうじゃなくてほんとにパーソナルな思いっていうところで、たぶん僕があんまりこの作品を理解していなかったのかもしれない。今でもちょっとそれは反省してるんですよね。

鈴木:
いや、でも素晴らしかった。忘れもしない、久石さんにスタジオに来てもらって、宮崎の注文は「恥ずかしい曲を作ってください!盛り上げてください!」。いろいろな映画を観るとここで盛り上げるっていうときにほとんどの曲が盛り上がらない、そんな曲ばかり聴いてるとうんざりすると。でも久石さんなら、そこでほんとに高々に盛り上げてくれる曲、それをやってほしい、見事に期待に応じてくれたんですよ。だからあの曲ができたときに、宮崎が大喜びしたのを覚えています。

久石:
個人的にはある種映画「カサブランカ」のようなイメージで。ノスタルジックなんだけど男のかっこよさみたいな、そんなのが出たらいいなあっていう感じです。

鈴木:
ほんと一発で宮崎が気に入りましたから。(マルコとジーナのテーマを口ずさむ)久石さんのピアノで弾くところが宮崎が好きだったんですけどねえ、実にそれがうまくいって、絶賛でした。

Blog. NHK FM 「今日は一日”久石譲”三昧」 番組内容 -トーク編- より抜粋)

 

 

「嬉しかったのは、宮崎さんが舞台を1920年代の末に設定してこの映画を作り、そのことをまったく知らない状態で、僕も1920年代にこだわって『My Lost City』を作っていたことだ。およそ10歳、ワンジェネレーション離れている宮崎さんと僕が、同じ時期に、同じ時代のことを想定しながら、自分のいちばん大切なものを同時に作っていた。そのことにとても運命的なものを感じた。同じ時代を想定して作ったせいもあるだろう、宮崎さん自身も、僕の『My Lost City』をとても気に入ってくれた。「あの曲が全部欲しい、全部『紅の豚』に欲しい」と言っていたほどだ。事実、オープニングの曲は、『My Lost City』の「1920~Age of Illusion」を想定したものを書いて欲しいという依頼で作ったし、壊れた飛行機をもう一回作り直して、細い運河から飛び立つシーンは、『My Lost City』の「狂気」をそのまま使っている。」

(映画『紅の豚』 宮崎駿監督が久石譲に渡した詩の世界)

 

 

「時には昔の話を」(宮崎駿・加藤登紀子著)は、映画『紅の話』のエンディング用に宮崎駿監督が描き下ろした22枚の絵や、加藤登紀子さんとの対談、たくさんの詩がおさめられた大人の絵本的な作品。その本には5つの詩も収められている。「飛行艇乗りのタンゴ」「上昇」「黄昏のアドリア海」「夜間飛行」「秘密の庭」「メリーゴーランド」=詩/宮崎駿 これらの詩は映画『紅の豚』の音楽を久石譲にお願いするにあたり、音楽作りのヒントとして手渡されたものである。

なおこの本に収録されている22枚のイラストからの一部抜粋や、宮崎駿と加藤登紀子さんによる対談内容は、「ジブリの教科書 7 紅の話」にも収録されている。宮崎駿監督の6つの詩は本著のみ収録。

 

 

 

2020.03 Update

2020年発売LP盤には、新しく書き下ろされたライナーノーツが封入された。時間を経てとても具体的で貴重な解説になっている。

 

 

 

 

久石譲 『紅の豚 サウンドトラック』

1 .時代の風 -人が人でいられた時-
2. MAMMAIUTO(マンマユート)
3. Addio!(アディオ)
4. 帰らざる日々
5. セピア色の写真
6. セリビア行進曲(マーチ)
7. Flying boatmen
8. Doom -雲の罠-
9. Porco e Bella(ポルコ エ ベッラ)
10. Fio Seventeen
11. ピッコロの女たち
12. Friend
13. Partner ship
14. 狂気 -飛翔- (「My Lost City」より)
15. アドリアの海へ
16. 遠き時代を求めて
17. 荒野の一目惚れ
18. 夏の終わりに
19. 失われた魂 -LOST SPIRIT-
20. Dog fight
21. Porco e Bella -Ending-
22. さくらんぼの実る頃 歌:加藤登紀子
23. 時には昔の話を 歌:加藤登紀子

 

Porco Rosso (Original Soundtrack)

1.The Wind of Ages – When a Human Can be a Human
2.Mammaiuto
3.Addio!
4.Bygone Days
5.A Picture in Sepia
6.Serbian March
7.Flying Boatmen
8.Doom – Trap of Clouds
9.Porco e Bella
10.Fio – Seventeen
11.Women of Piccolo
12.Friend
13.Partnership
15.To the Adriatic Sea
16.In Search of the Distant Era
17.Love at the First Sight in the Wildness
18. At the End of the Summer
19.Lost Spirit
20.Dog Fight
21.Porco e Bella – Ending

*Track.14はデジタル収録されていない

 

Porco Rosso
(France, 1995) LBS 10 950602

1.L’EPOQUE DU VENT – Le temps où l’Homme était un Homme
2.MAMMAIUTO
3.ADDIO
4.LES JOURS SANS RETOUR
5.LA PHOTO COULEUR SEPIA
6.SERIVIA MARCH
7.FLYING BOATMEN
8.DOOM-LE PIEGE DES NUAGES
9.PORCO E BELLA
10.FIO-SEVENTEEN
11.LES FEMMES DE PICCOLO
12.FRIEND
13.PARTNERSHIP
14.VERS L’ADRIATIQUE
15.A LA RECHERCHE DU TEMPS PASSE
16.COUP DE COEUR DANS LE DESERT
17.LA FIN DE L’ETE
18.LOST SPIRIT
19.DOG FIGHT

 

붉은 돼지 Original Soundtrack
(South Korea, 2004) PCKD-20158

1.시대의 바람 -사람이 사람다울 때-
2.MAMMA AIUTO
3.Addio!
4.지난날
5.세피아 색의 사진
6.세르비아 행진곡
7.Flying Boatmen
8.Doom -구름의 덫-
9.Porco e Bella
10.Fio – Seventeen
11피코로의 여인들
12.Friend
13.Partner ship
14.광기 비상 –
15.아드리아해를 향해
16.머나먼 시대를 찾아서
17.황야에서의 첫 만남, 그리고 사랑
18.여름의 끝자락
19.잃어버린 영혼 -LOST SPIRIT-
20.Dog fight
21.Porco e Bella -Ending-
22.체리가 익어갈 무렵
23.때로는 옛 이야기를

 

Disc. 久石譲 『NATURAL WONDER LAND KUTCHAN』

1992年6月28日 CD発売 AKCD-210 ※倶知安町役場限定販売(開催期間)

 

倶知安町開祖百周年記念映画
「NATURAL WONDER LAND KUTCHAN」

 

豪雪の地”倶知安”は、先人のたゆまぬ努力と熱意により厳しい試練を乗り越え、今日の豊かな緑の大地を築きあげました。この度、開基百年を記念し「交響詩 倶知安」を制作致しました。天与の極めて優れた自然環境の中で培われてきた歴史、文化を継承し、次代の更なる発展を願いつつ本町第2世紀を皆様とともに奏でたいと思います。制作にあたり作曲家久石譲先生はじめ関係各位に深く感謝を申しあげご挨拶と致します。

倶知安町長 宮下 雄一郎

 

 

■メッセージ
豊かな水、豪雪に耐える逞しい人々、そして秀峰羊蹄山、それぞれに思いを込めて、「Main Theme AQUA」 「YAKUDOU」 「YOUTEI-ZAN」を作曲しました。皆様に愛されますなら幸いです。

久石譲

(CDライナノーツより)

 

●この音楽は倶知安町開基百年記念映像に使用されたものです

 

 

ピアノを基調とした澄んだ清らかなメロディ。同年発表のオリジナル・ソロアルバム「I am」に近い空気感と雰囲気。ピアノ、ギター、シンセサイザー、ストリングスといった、シンプルな楽器構成。自然の壮大さ、みずみずしさ、そして軽快さもあり、「タスマニア物語」や「仔鹿物語」といった同年代の作品とも共通する音楽世界。

現在は廃盤となった、施設/イベントへの音楽として貴重な作品。

 

 

NATURAL WONDER LAND KUTCHAN 倶知安 久石譲 sc

1.PROLOGUE
2.AQUA (Main Theme)
3.YAKUDOU
4.YOUTEI-ZAN
5.AQUA (Main Theme)