Disc. 久石譲 『この愛の物語 オリジナル・サウンドトラック』

1987年10月5日 CD発売 CT32-5001
1987年10月5日 LP発売 RT28-5001
1987年10月5日 CT発売 ZT28-5001

 

1987年公開 映画「この愛の物語」
監督:舛田利雄 音楽:久石譲 出演:中村雅俊 他

 

 

「これはビジネスにからんでくることなんです。アメリカ映画が『フラッシュダンス』以降、ミュージック映画として何曲かどんどん曲を入れて、そこからヒット曲を出しましたよね。それがきっかけで、映画の内容に関係なく、映画に使ってほしいと持ち込んで、一本の作品に何人もの作曲家が参加して、いくつものレコード会社が合乗りでやっていますね。そういう新しいマーケットが出来たことに、日本映画も注目すべきなんですよ。『この愛の物語』でその先兵をやってみたかった。現在、サントラ盤というものはまったく売れていないんです。ところが、映画音楽の製作費は、映画の製作費ではまかなえないんです。ですから、レコード会社に製作費を出させて、サントラ盤を出すというパッケージしか組めないんです。でも、サントラ盤は売れない。そうなると、誰かがサントラ盤は売れるんだ!ということをやってみせなければ、もっと悲惨な状態になってしまう。僕としては、ここでどうしてもサントラ盤を売るということをやって見せたかった。そのため、トータルなコーディネートを目ざしたんです。あの映画の中には11曲、そのうち8曲は映画のためのオリジナルです。台本の段階でそのシーンのイメージに近い曲を既製の楽曲から集める。それを監督に聞いてもらう。撮影中もその曲を流してもらった。次にそのシーンに合う曲を作り、歌詞を発注する。アレンジされた曲をもとに、もう一度、歌手、歌手選びと歌詞をやり直す。音楽が自然に流れていたはずです。血のにじむ努力ですね、あれは。3ヵ月、レコーディング時間はトータル350時間を超えましたからね」

Blog. 「キネマ旬報 1987年12月上旬号 No.963」 久石譲 インタビュー内容 より抜粋)

 

 

映画「この愛の物語」挿入歌である「時間(とき)よ古い友達なら」は、本サントラ盤では久石譲がボーカルを務めている。映画に出演していた中村雅俊が後に自身のオリジナルアルバム「Sincerely Yours」にてカバーもしている。

サントラ盤(歌:久石譲)がデジタルサウンドやピアノに軸を置いていたのに対し、中村雅俊カバーでは、シンプルなバンドサウンド、ギターサウンドが基調となっており、同じ楽曲でもアレンジが異なっている。どちらも編曲は久石譲である。また後者のほうでも久石譲はバック・コーラスとして参加もしている。

 

 

 

「鳥のように」は、本作品後に劇場版アニメ「きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかりたい」(1988)で挿入歌として使用されている。同アニメのいくつかの関連CD作品に収録されている。

CD「きまぐれオレンジ☆ロード あの日にかえりたい」
CD「きまぐれオレンジ☆ロード Loving Heart」

 

 

なお、下記オムニバス盤はサントラ盤未収録のBGMがいくつか収録されている。ボーカル曲のインストゥルメンタル・バージョンや、本編BGMが収録されている貴重な音源集。

 

 

 

久石譲 『この愛の物語 オリジナル・サウンドトラック』

1.オープニングテーマ / 久石譲
作曲・編曲:久石譲
2.レイン / 甲斐よしひろ
作詩・作曲:甲斐よしひろ 編曲:椎名和夫
3.Born To Be A Runner / 三浦秀美
作詩:Jim 作曲・編曲:久石譲
4.Take Me To The Party / 黒住憲五
作詩:Jim 作曲・編曲:久石譲
5.Flying High / SYOKO
作詩:SYOKO 作曲・編曲:久石譲
6.時間(とき)よ古い友達なら / 久石譲
作詩:冬杜花代子 作曲・編曲:久石譲
7.鳥のように / 和田加奈子
作詩:和田加奈子 作曲・編曲:久石譲
8.黒のラプソディ / BOOWY
作詩:氷室京介、松井五郎 作曲:氷室京介 編曲:布袋寅泰
9.Bitter Luck Lovers / 伊東真由美
作詩:冬杜花代子 作曲・編曲:久石譲
10.All Night / 高中正義
作詩:Daryl Canada 作曲・編曲:高中正義
11.眼差し / 黒住憲五
作詩:Show 作曲・編曲:久石譲
12.心戦場 / 大和美恵子
作詩:つかこうへい 補作詩:Show 作曲・編曲:久石譲

 

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