滝田洋二郎監督の『おくりびと(英語題:Departures)』が日本映画で初となるアカデミー賞外国語映画賞を獲得した。オスカー像を手にした滝田監督は、英語で「アカデミーありがとう。みなさんありがとう。助けていただいた皆さんありがとう。本当にうれしいです。私がこの場にこられたのも映画のおかげです。私にとっても、Departuresになりました。また、この場に戻ってきたい」と喜びを語った。
授賞式には滝田洋二郎監督、主演の本木雅弘、広末涼子、余貴美子らが出席した。外国語映画部門には、ほかにイスラエルの『戦場でワルツを』など政治的な重い内容の作品が並ぶなか、生と死という普遍的なテーマで人と人とのきずなを描いた『おくりびと』の温かさ、癒しが評価された。同作品は、モントリオール世界映画祭でグランプリ受賞をはじめ、国内外のさまざまな映画賞に輝き、今回のオスカー獲得で61冠となった。
また、短編アニメーション部門でも加藤久仁生監督作品『つみきのいえ』がオスカーを獲得し、第75回(2002年度)の宮崎駿監督作品『千と千尋の神隠し』(長編アニメーション部門)以来、しかも日本人によるダブル受賞の快挙となった。
第81回アカデミー賞の授賞式は現地時間22日、米国ロサンゼルスのコダック・シアターで開催された。賞式の模様は本日午後9時よりWOWOWでリピート放送されるほか、3月1日午後10時20分から90分のダイジェスト版が放送される。
なお、作品は、アメリカ、カナダ、フランス、韓国ほか合計36カ国で配給が決定した。
『おくりびと』オスカー受賞コメント
山崎努
先日の日本アカデミー賞でも過分に評価されたのに、今度はアメリカとは―。自分が参加した作品の出来を冷静に判断することは難しいものです。やたらにうまくいったと昂奮したり、逆にダメだダメだと落ち込んだりします。でも「おくりびと」はたしかに成功したんですね。こいつぁ春から縁起がいいや!さ、ビール飲もう!
久石譲
本当に優れた作品だからこそ、アメリカのアカデミー賞で海外映画のトップまで上り詰めた。滝田さん、本木さんをはじめ、スタッフの皆さんの作品への思いが偉大な結果につながった。音楽的には全編チェロをフィーチャーするなど僕なりの実験もした。この結果に心から満足しています。おめでとうございます。
吉行和子
おめでとうございます。すばらしい出来事ですね。本木さんの長年の夢が、こんな大きな花を咲かせたのですね。どんなに嬉しい事でしょう。私も参加できたことを、心から喜んでいます。何度も何度もおめでとう!
笹野高史
バンザイ、バンザイ!!「おくりびと」バンザイ。日本映画、バンザイ!!素晴らしい出来事に参加できたことを、心から光栄に思います。オスカー像に触らせてもらえたら「また会おうのぉ」と云います。