Info. 2023/07/25 久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団による熱狂のツアーが閉幕、オフィシャルレポートが公開(Web SPICEより)

Posted on 2023/07/25

久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団による熱狂のツアーが閉幕、オフィシャルレポートが公開

2023年7月21日(金)東京にて開幕し、愛知、そして24日(月)大阪にて閉幕した『久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2023』。この度、オフィシャルレポートが届いたので紹介する。

熱狂のWDOツアー終了! そして久石譲×マーラーへ

作曲家の久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団による『WORLD DREAM ORCHESTRA』(WDO)の2023年ツアーが、東京・サントリーホール(7月21日)、名古屋・愛知芸術劇場(同22日)、大坂・フェスティバルホール(同24日)で開催された。

WDOは2004年、久石が「世界中に素晴らしい曲がたくさんある。ジャンルにとらわれず魅力ある作品を多くの人々に聴いてもらいたい」と立ち上げたプロジェクト。国内ツアーだけでなく、中国や韓国など海外でもコンサートを成功させてきた。

ファーストシーズンにあたる11年までは、海外のポップスオーケストラをモデルに、管弦楽の魅力が伝わる様々な楽曲を久石がナビゲート。その後、数年の休止を挟み、14年に再開したセカンドシーズンでは、久石が作曲した宮﨑駿監督作品の楽曲を交響組曲にする計画がスタートし、壮大なシンフォニーを披露してきた。

セカンドシーズンの10年目にして締めくくりにあたる今年のコンセプトは「フレンチ・コネクション」。ドビュッシー「海」、ラヴェル「ラ・ヴァルス」というクラシック曲と、久石による「Woman for Piano Harp, Percussion and Strings」と交響組曲「崖の上のポニョ」(世界初演)を演奏した。

今回のプログラムは、世界中でコンサートを続けている久石が、作曲家、指揮者としていかに成熟し、進化を続けているかを示すことになった。

久石は近年、作曲家の視点でクラシック曲を指揮するコンサートシリーズ『FUTURE ORCHESTRA CLASSICS』を立ち上げ、ベートーヴェン、ブラームスなどの交響曲ツィクルスに挑んでいる。作曲家ならではの楽曲への理解、近藤薫(コンサートマスター)をはじめとする凄腕プレーヤーを集結させた疾走感のある演奏で、コンサートを収録したアルバム「久石譲:ベートーヴェン交響曲全集」が第57回レコード・アカデミー賞特別部門特別賞を受賞するなど、大きな評価を得ている。

そんな久石が導いた「海」と「ラ・ヴァルス」(フランス語で「ワルツ」を意味する)は、印象派と評されるドビュッシーとラヴェルが、不協和音や揺らぎまでも新しい響きとして伝えようしていた意欲を的確に汲み取り、楽曲が持ってた革新的な力を引き出すことに成功した。

今回のクライマックスは交響組曲「崖の上のポニョ」だが、映画では海や女性(母性)といったものが大きな鍵となっている。ドビュッシー「海」で始まり、自身の「Woman for Piano Harp, Percussion and Strings」を挟み、「崖の上のポニョ」へなだれ込む構成は見事だった。コンサート全体が連曲となっているような絶妙なブログラミングだ。

「崖の上のポニョ」は100人の合唱(東京と名古屋は栗友会合唱団、大阪は日本センチュリー合唱団)を従えた。30分近くの組曲の中で、メインテーマのモチーフは変化を繰り返し、原点のフレーズ立ち帰る。歌と演奏が完全に一体化し、最後に歓喜のシンフォニーが高らかに鳴り響くと、観客は熱い拍手を送った。

アンコールの1曲目、久石がピアノで弾いたのは公開中の映画『君たちはどう生きるか』(宮﨑駿監督)の楽曲。コンサートでの演奏は初めてで、なんと初日の東京公演では出演者、スタッフが誰も知らされてなかったサプライズ。映画を観たであろう観客が感激のあまり涙をぬぐう姿もあった。

最後はプロジェクトのテーマ曲「World Dreams」。合唱が歌い上げた「世界の夢よ 全ての人に 届けようこの歌声」という歌詞は、WDOが伝え続けた音楽の魅力だけでなく、この20年間、久石が今を生きる作曲家として世界をどう見つめてきたかを想像させた。

熱狂とともににツアーは幕を閉じたが、久石と新日本フィルは、熱気も冷めない9月、新たなコンサートを開く。久石の新曲とマーラーの交響曲第5番を披露するもので、WDOで培ったコンビネーションがどんな音楽世界を届けてくれるか、今から楽しみだ。

なお、久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団が共演する『久石譲の音楽世界 新作×マーラー《5番》』は、9月9日(土)すみだトリフォニーホール、9月11日(月)サントリーホールにて開催される。

 

公演情報

『久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2023』 ※終了

<東京公演>
日程:2023年7月21日(金)開演19:00(開場18:00)
会場:サントリーホール

<愛知公演>
日程:2023年7月22日(土)開演17:00(開場16:00)
会場:愛知県芸術劇場 コンサートホール

<大阪公演>
日程:2023年7月24日(月)開演19:00(開場18:00)
会場:フェスティバルホール

■出演者
指揮・ピアノ:久石 譲
管弦楽:新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ
ソロ・コンサートマスター:豊嶋泰嗣
合唱:栗友会合唱団(東京/名古屋)日本センチュリー合唱団(大阪)

■プログラム
クロード・ドビュッシー:「海」管弦楽のための3つの交響的素描
久石譲:Woman
1.Woman
2.Ponyo
3.Les Aventuriers
モーリス・ラヴェル:管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」
久石譲:交響組曲「崖の上のポニョ」

 

公演情報

『久石譲の音楽世界
新作×マーラー《5番》』

日程:2023年9月9日(土)開演14:00(開場13:15)
会場:すみだトリフォニーホール

日程:2023年9月11日(月)開演19:00(開場18:15)
会場:サントリーホール

■出演者
指揮:久石譲
管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団

■プログラム
久石譲:新作
マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

※曲目・曲順は変更になる可能性がありますのでご了承ください。

公式サイト https://joehisaishi-concert.com/mehler-2023/

 

出典:SPICE – エンタメ特化型情報メディア スパイス|久石譲と新日本フィルハーモニー交響楽団による熱狂のツアーが閉幕、オフィシャルレポートが公開
https://spice.eplus.jp/articles/320574

 

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